特開2020-199860(P2020-199860A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2020-199860ファスナスライダ用固定具、ファスナ用スライダ及び車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-199860(P2020-199860A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】ファスナスライダ用固定具、ファスナ用スライダ及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/58 20060101AFI20201120BHJP
   A47C 31/02 20060101ALI20201120BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20201120BHJP
   A44B 19/30 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   B60N2/58
   A47C31/02 A
   F16B19/00 C
   F16B19/00 N
   A44B19/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-107825(P2019-107825)
(22)【出願日】2019年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】石渡 和也
【テーマコード(参考)】
3B087
3B098
3J036
【Fターム(参考)】
3B087DE10
3B098AB06
3B098CA02
3B098CB02
3B098CC13
3J036AA03
3J036BA01
3J036DA02
3J036DB03
(57)【要約】
【課題】ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができるファスナスライダ用固定具、ファスナ用スライダ及び車両用シートを得る。
【解決手段】ファスナスライダ用固定具10は、シート表皮のスリット部に取り付けられると共にスライダ14をスライドさせることにより開閉可能に構成された帯状のファスナ12において、スライダ14のファスナ表側を向く基準面78Cに略アーチ状に突設される柱部16を挟持することで柱部16に係止される係止部70と、係止部70と一体に形成されると共に、基準面78Cから離間する方向である第1方向Pに向けて係止部70から立設され、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合される係合部74と、を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート表皮のスリット部に取り付けられると共にスライダをスライドさせることにより開閉可能に構成された帯状のファスナにおいて、前記スライダのファスナ表側を向く基準面に略アーチ状に突設される被係止部を挟持することで当該被係止部に係止される係止部と、
前記係止部と一体に形成されると共に、前記基準面から離間する方向である第1方向に向けて前記係止部から立設され、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合される係合部と、
を備えるファスナスライダ用固定具。
【請求項2】
前記係止部は、
前記被係止部に係止された状態で、前記係合部の基端部から前記第1方向とは反対方向である第2方向に向けて延在された脚部と当該脚部の第2方向側の端部から前記スライダのスライド方向に対して交差する方向に屈曲されて前記被係止部と前記スライダの前記基準面との間の開口部に挿入される挿入部とを備える第1押圧部と、
前記被係止部における前記第1方向側の端部に前記第2方向側から当接する第2押圧部と、を有し、
前記第1押圧部と前記第2押圧部とで前記被係止部をその厚さ方向に押圧し合うことで当該被係止部に係止される、請求項1に記載のファスナスライダ用固定具。
【請求項3】
前記第1押圧部の前記挿入部は前記開口部に開口方向の片側から挿入されて当該開口部を貫通し、
前記係止部は、前記被係止部に係止された状態で、当該被係止部に対して前記第1押圧部の前記脚部と反対側の位置において前記係合部の基端部から前記第2方向に向けて立設されると共に前記脚部側の面が前記挿入部の挿入方向と反対方向から前記被係止部の側面と当接する抜止め部を備える、請求項2に記載のファスナスライダ用固定具。
【請求項4】
前記係止部の前記第1押圧部は、各々が前記脚部と前記挿入部とを備える一方の押圧部と他方の押圧部とを含んで構成されており、
前記一方の押圧部と前記他方の押圧部とは、前記開口部に開口方向の両側からそれぞれ挿入され、前記一方の押圧部と前記他方の押圧部の両方で前記第1方向に向かって前記被係止部を押圧するように構成される、請求項2に記載のファスナスライダ用固定具。
【請求項5】
前記構成部材は、弾性材料で形成されたシートパッドであり、
前記係合部は、前記シートパッドに形成された前記被係合部としての凹部に差し込まれることにより係合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具。
【請求項6】
前記構成部材は、前記シート本体のフレーム又は当該フレームに取り付けられた部材であり、
前記係合部は、前記フレーム又は前記部材に形成された前記被係合部としての孔部に差し込まれることにより係合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具。
【請求項7】
前記構成部材は、前記シート本体が備える線材であり、
前記ファスナスライダ用固定具の前記係合部は、前記線材を保持することにより係合される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載され被係合部が設けられた構成部材を含んで構成されたシート本体と、
前記シート本体の表面を覆い、前記被係合部に取外し可能に係合された請求項1〜7のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具が係止されたスライダによって開閉されるファスナを有するシート表皮と、
を備える車両用シート。
【請求項9】
シート表皮のスリット部に取り付けられる帯状のファスナを開閉するスライド部と、
前記スライド部と一体に形成されると共に、前記スライド部のファスナ表側を向く基準面に当該基準面から離間する方向に向けて延設部を介して立設され、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合される係合部と、
を備えるファスナ用スライダ。
【請求項10】
請求項9に記載され被係合部が設けられた構成部材を含んで構成されたシート本体と、
前記シート本体の表面を覆い、前記被係合部に取外し可能に係合された請求項9に記載のファスナ用スライダによって開閉されるファスナを有するシート表皮と、
を備える車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファスナスライダ用固定具、ファスナ用スライダ及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び特許文献2には、車両用幌等を開閉するスライドファスナの引手を固定するためのクリップ(固定具)が開示されている。これらのクリップは、その下部が車体に形成された取付穴に係止されることで車体に固定されている。また、ファスナスライダの引手に形成された取付孔がクリップの上部に設けられた筒部に嵌合されることにより、ファスナを閉鎖した状態でファスナスライダをクリップに固定することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−146412号公報
【特許文献1】実開昭61−077810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用シートのシート表皮を閉鎖するファスナの端末を固定しなかった場合、周辺部品と接触して異音が発生することから、ファスナの端末をシート本体側に固定しておくことが好ましい。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載された技術では、ファスナスライダの引手をクリップに取り付けるために、寸法誤差等を考慮して引手の取付孔の径をクリップの嵌合部(筒部)の外径よりも大きく設定する必要がある。このため、仮にこの技術を車両用シートのシート表皮等に適用してファスナの端末を固定すると、引手の取付孔を囲む周縁部とクリップの嵌合部との間に隙間(ガタ)ができてしまい、車両の振動等により引手とクリップとが接触することで異音が発生する。また、上記技術では、引手がファスナスライダ本体に対して揺動可能に連結されており、ファスナスライダ本体との間に隙間(ガタ)があるため、車両の振動等により引手とファスナスライダ本体との間でも異音が発生してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができるファスナスライダ用固定具、ファスナ用スライダ及び車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のファスナスライダ用固定具は、シート表皮のスリット部に取り付けられると共にスライダをスライドさせることにより開閉可能に構成された帯状のファスナにおいて、前記スライダのファスナ表側を向く基準面に略アーチ状に突設される被係止部を挟持することで当該被係止部に係止される係止部と、前記係止部と一体に形成されると共に、前記基準面から離間する方向である第1方向に向けて前記係止部から立設され、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合される係合部と、
を備えている。
【0008】
請求項1に記載のファスナスライダ用固定具では、スライダをスライドさせることにより開閉可能に構成された帯状のファスナがシート表皮のスリット部に取り付けられており、スライダのファスナ表側を向く基準面に突設された略アーチ状の被係止部を係止部が挟持することで当該被係止部に係止されている。また、係止部と一体に形成された係合部が、基準面から離間する方向である第1方向に向けて係止部から立設され、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合されている。
【0009】
ここで、スライダの被係止部に係止される係止部とシート本体の被係合部に係合される係合部とが一体に形成されているため、ファスナスライダ用固定具は、これを把持して移動させることによりスライダをスライドさせる引手としての機能と、シート本体への固定具としての機能とを有している。引手として機能するファスナスライダ用固定具の係止部がスライダの被係止部を挟持することで係止されており、ガタがない構成とされているため、スライダに引手が揺動可能に連結されてガタがある構成と比較して、振動等によるスライダとファスナスライダ用固定具(引手)の接触による異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0010】
また、係合部が係止部と一体に形成されていることにより、別体として構成されている場合と比較すると、係合部と係止部との連結部分でのガタがないため、振動等による係合部と係止部の接触を防止することができる。これにより、ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0011】
請求項2に記載のファスナスライダ用固定具は、請求項1に記載のファスナスライダ用固定具において、前記係止部は、前記被係止部に係止された状態で、前記係合部の基端部から前記第1方向とは反対方向である第2方向に向けて延在された脚部と当該脚部の第2方向側の端部から前記スライダのスライド方向に対して交差する方向に屈曲されて前記被係止部と前記スライダの前記基準面との間の開口部に挿入される挿入部とを備える第1押圧部と、前記被係止部における前記第1方向側の端部に前記第2方向側から当接する第2押圧部と、を有し、前記第1押圧部と前記第2押圧部とで前記被係止部をその厚さ方向に押圧し合うことで当該被係止部に係止される。
【0012】
請求項2に記載のファスナスライダ用固定具では、係止部は、第1押圧部と第2押圧部とを備えている。この第1押圧部は、被係止部に係止された状態で、係合部の基端部から第1方向とは反対方向である第2方向に向けて延在された脚部と、脚部の第2方向側の端部からスライダのスライド方向に対して交差する方向に屈曲されて被係止部とスライダの基準面との間の開口部に挿入される挿入部とを備えている。第2押圧部は、被係止部における第1方向側の端部に第2方向側から当接している。また、第1押圧部と第2押圧部とで被係止部をその厚さ方向に押圧し合うことで係止部が被係止部に係止されるので、係止部と被係止部の間にガタがなく、振動等によるファスナスライダ用固定具とスライダの連結部分での異音の発生を防止することができる。
【0013】
請求項3に記載のファスナスライダ用固定具は、請求項2に記載のファスナスライダ用固定具において、前記第1押圧部の前記挿入部は前記開口部に開口方向の片側から挿入されて当該開口部を貫通し、前記係止部は、前記被係止部に係止された状態で、当該被係止部に対して前記第1押圧部の前記脚部と反対側の位置において前記係合部の基端部から前記第2方向に向けて立設されると共に前記脚部側の面が前記挿入部の挿入方向と反対方向から前記被係止部の側面と当接する抜止め部を備えている。
【0014】
請求項3に記載のファスナスライダ用固定具では、第1押圧部の挿入部は、スライダの被係止部と基準面との間の開口部に開口方向の両側から挿入されて当該開口部を貫通している。係止部が被係止部に係止された状態で、当該被係止部に対して第1押圧部の脚部と反対側の位置には、係合部の基端部から第2方向に向けて抜止め部が立設されている。この抜止め部は、脚部側の面が挿入部の挿入方向と反対方向から被係止部の側面と当接するように構成されているので、ファスナスライダ用固定具が挿入部の挿入方向と反対方向に向かってスライダから抜け落ちることを防止することができる。
【0015】
請求項4に記載のファスナスライダ用固定具は、請求項2に記載のファスナスライダ用固定具において、前記係止部の前記第1押圧部は、各々が前記脚部と前記挿入部とを備える一方の押圧部と他方の押圧部とを含んで構成されており、前記一方の押圧部と前記他方の押圧部とは、前記開口部に開口方向の両側からそれぞれ挿入され、前記一方の押圧部と前記他方の押圧部の両方で前記第1方向に向かって前記被係止部を押圧するように構成されている。
【0016】
請求項4に記載のファスナスライダ用固定具では、係止部の第1押圧部は、各々が脚部と挿入部とを備える一方の押圧部と他方の押圧部とを含んで構成されている。一方の押圧部と他方の押圧部とが開口部に開口方向の両側からそれぞれ挿入されて、一方の押圧部と他方の押圧部の両方で第1方向に向かってスライダの被係止部を押圧する。このため、ファスナスライダ用固定具が被係止部に対して両側から係止されるので、より強固にファスナスライダ用固定具をスライダに固定することができる。また、一方の押圧部の挿入方向及び他方の押圧部のそれぞれの挿入方向に向かってファスナスライダ用固定具がスライダから抜け落ちることを防止することができる。
【0017】
請求項5に記載のファスナスライダ用固定具は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具において、前記構成部材は、弾性材料で形成されたシートパッドであり、前記係合部は、前記シートパッドに形成された前記被係合部としての凹部に差し込まれることにより係合される。
【0018】
請求項5に記載のファスナスライダ用固定具では、係合部は、シート本体に設けられた弾性材料で形成されたシートパッドに形成された凹部に差し込まれることにより係合されるので、被係合部の形成が容易であると共に、ファスナスライダ用固定具の被係合部への着脱を容易に行うことができる。
【0019】
請求項6に記載のファスナスライダ用固定具は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具において、前記構成部材は、前記シート本体のフレーム又は当該フレームに取り付けられた部材であり、前記係合部は、前記フレーム又は前記部材に形成された前記被係合部としての孔部に差し込まれることにより係合される。
【0020】
請求項6に記載のファスナスライダ用固定具では、係合部は、シート本体のフレームに形成された孔部、又はフレームに取り付けられた部材に形成された孔部に差し込まれることにより係合されるので、スライダをシート本体に強固に固定することができる。
【0021】
請求項7に記載のファスナスライダ用固定具は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具において、前記構成部材は、前記シート本体が備える線材であり、前記ファスナスライダ用固定具の前記係合部は、前記線材を保持することにより係合される。
【0022】
請求項7に記載のファスナスライダ用固定具では、係合部は、シート本体が備える線材を保持することにより係合されるので、スライダの被係合部への着脱を容易に行うことができる。また、ファスナスライダ用固定具を固定するための専用の線材を設ける場合には、所望の位置に線材を設けることにより、スライダを固定する位置の自由度を高めることができる。
【0023】
請求項8に記載の車両用シートは、請求項1〜7のいずれか一項に記載され被係合部が設けられた構成部材を含んで構成されたシート本体と、前記シート本体の表面を覆い、前記被係合部に取外し可能に係合された請求項1〜7のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具が係止されたスライダによって開閉されるファスナを有するシート表皮と、を備えている。
【0024】
請求項8に記載の車両用シートでは、シート本体は、被係合部が設けられた構成部材を含んで構成され、シート本体の表面を覆うシート表皮は、シート本体の被係合部に取外し可能に係合された請求項1〜7のいずれか一項に記載のファスナスライダ用固定具が係止されたスライダによって開閉されるファスナを有している。これにより、ファスナを閉じた状態でファスナスライダをシート本体に固定することができると共に車両の振動又は車両用シートに着座する乗員の動きによるファスナ端末における異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0025】
請求項9に記載のファスナ用スライダは、シート表皮のスリット部に取り付けられる帯状のファスナを開閉するスライド部と、前記スライド部と一体に形成されると共に、前記スライド部のファスナ表側を向く基準面に当該基準面から離間する方向に向けて延設部を介して立設され、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合される係合部と、を備えている。
【0026】
請求項9に記載のファスナ用スライダでは、シート表皮のスリット部に取り付けられる帯状のファスナを開閉するスライド部のファスナ表側を向く基準面に、基準面から離間する方向に向けて延設部を介して係合部が立設されている。係合部は、シート本体の構成部材に設けられた被係合部に取外し可能に係合される。ここで、係合部がスライド部と一体に形成されていることにより、スライド部と係合部とが別体として構成されて引手を介して互いに連結されている場合に生じるガタをなくすことができる。結果として、ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0027】
請求項10に記載の車両用シートは、請求項9に記載され被係合部が設けられた構成部材を含んで構成されたシート本体と、前記シート本体の表面を覆い、前記被係合部に取外し可能に係合された請求項9に記載のファスナ用スライダによって開閉されるファスナを有するシート表皮と、を備えている。
【0028】
請求項10に記載の車両用シートでは、シート本体は、被係合部が設けられた構成部材を含んで構成され、シート本体の表面を覆うシート表皮は、シート本体の被係合部に取外し可能に係合された請求項9に記載のファスナ用スライダによって開閉されるファスナを有している。これにより、ファスナを閉じた状態でファスナスライダをシート本体に固定することができると共に車両の振動又は車両用シートに着座する乗員の動きによるファスナ端末における異音の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明に係るファスナスライダ用固定具、ファスナ用スライダ及び車両用シートでは、ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態に係るファスナスライダ用固定具を備えたファスナをファスナ表側から見た概略斜視図である。
図2図1に示されるファスナスライダ用固定具が適用された車両用リアシートをシート左側から見た側面図である。
図3図2に示される車両用リアシートのシートバック及びヘッドレストをシート右斜め後方から見た斜視図である。
図4図3に示されるシートバックの一部を拡大して背面ボード及びシート表皮と共に示す拡大斜視図である。
図5図4の5−5線に沿った切断面を拡大して示す拡大断面図である。
図6】(A)は図1に示されるファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられる前の状態を示す図であり、(B)は(A)に示されるファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられた状態を示す正面図である。
図7】(A)は本実施形態の第1変形例に係るファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられる前の状態を示す正面図であり、(B)は(A)に示されるファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられた状態を示す正面図である。
図8】本実施形態の第2変形例に係るファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられる前の状態を示す図である。
図9】(A)は第2実施形態に係るファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられる前の状態を示す正面図であり、(B)は(A)に示されるファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられた状態を示す正面図である。
図10】(A)は第3実施形態に係るファスナスライダ用固定具を示す斜視図であり、(B)は(A)に示されるファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられた状態を示す正面図である。
図11】(A)は第4実施形態に係るファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられる前の状態を示す概略斜視図であり、(B)は(A)に示されるファスナスライダ用固定具がスライダに取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
図12】第5実施形態に係るファスナ用スライダを備えたファスナをファスナ表側から見た概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
以下、図1図8を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。なお、図中に適宜示される矢印FRはシート前方向を、矢印UPはシート上方向を、矢印LHはシート左方向をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、シート前後方向の前後、シート上下方向の上下、シート幅方向の左右を示すものとする。
【0032】
図1には、本実施形態に係るファスナスライダ用固定具10を備えたファスナ12の概略斜視図が示されている。この図に示されるように、ファスナ12は、スライダ14をスライドさせることによって開閉される所謂スライドファスナである。このファスナ12の表側に配置されるスライダ14の「被係止部」としての柱部16にファスナスライダ用固定具10が係止されている。ファスナスライダ用固定具10及びスライダ14の構成については後述する。
【0033】
(車両用リアシートの構成)
図2には、本実施形態に係るファスナスライダ用固定具10が適用された車両用リアシート20をシート左側から見た側面図が示されている。この図に示されるように、車両用リアシート20は、図示しない車両床部に下部が固定されたシートクッション22と、シートクッション22の後端部に起立した状態で配置されたシートバック24と、シートバック24の上端部に取り付けられたヘッドレスト26と、を備えている。シートバック24の下部には、シートバック24の骨格の一部を構成する下側フレーム28がシート幅方向を長手方向として配置され、この下側フレーム28がシート幅方向に沿った軸線回りに回動可能に取付部材30に連結され、取付部材30が図示しない車両床部に固定されている。
【0034】
図3には、図2に示される車両用リアシート20のシートバック24及びヘッドレスト26をシート右斜め後方から見た斜視図が示されている。なお、この図では、後述する背面ボード40及びシート表皮42の図示は省略されている。この図に示されるように、シートバック24は、車室内の後方において車両幅方向左側に配置される左側シートバック部32と車両幅方向中央に配置される中央シートバック部34とが一体に形成されており、中央シートバック部34の車両幅方向右側には、図示しない右側リアシートのシートバックが隣接して配置される。
【0035】
また、シートバック24は、「シート本体」としての本体部35と、シート表皮42(図4参照)と、を含んで構成されている。本体部35は、シートバック24の骨格を構成する「構成部材」及び「フレーム」としてのシートバックフレーム36と、シートバックフレーム36のシート前方側に取り付けられて発泡ウレタン等の弾性材料で形成された「構成部材」及び「シートパッド」としてのシートバックパッド38と、背面ボード40(図4参照)と、を含んで構成されている。
【0036】
シートバックフレーム36は、金属製のパイプ等で枠状に形成されており、逆U字状に構成された上側フレーム44と、シートバック24の下部にシート幅方向に沿って配置される上述の下側フレーム28と、を含んで構成されている。上側フレーム44は、左右のサイドフレーム部44A、44Bと、左右のサイドフレーム部44A、44Bの上端部から屈曲されてシート幅方向に延在されたアッパフレーム部44Cと、を備えている。下側フレーム28は、シート幅方向両端がヒンジブラケット46、48を介して上側フレーム44の左右のサイドフレーム部44A、44Bの下端部に連結されている。上側フレーム44のアッパフレーム部44Cと下側フレーム28との間には、左側シートバック部32と中央シートバック部34との境界近傍においてシートバック24の高さ方向に沿って「フレーム」としての補助フレーム50が架け渡されている。
【0037】
また、シートバックフレーム36の右側のサイドフレーム部44Bと補助フレーム50との間には、シート幅方向に沿って補強部材52が架け渡されている。この補強部材52によって、中央シートバック部34に設けられた図示しないアームレストが支持されている。
【0038】
図4には、図3に示されるシートバック24のシート下方の一部が拡大されて背面ボード40及びシート表皮42と共に示されている。この図に示されるように、シートバックフレーム36のシート後方側には、上述の背面ボード40が取り付けられている。この背面ボード40は、例えば木粉等を平板状に成形した木質ボード等で形成されている。
【0039】
(シート表皮及びファスナの構成)
シートバックパッド38のシート前方側及び側方側の表面と、背面ボード40のシート後方側の面は、シート表皮42によって覆われている。このシート表皮42は、シート前方側に配置される前側表皮42Aとシート後方側に配置される後側表皮42Bとを備えており、シート下方に向かって開放された袋状に形成されている。また、前側表皮42Aのシート幅方向右側端部と後側表皮42Bのシート幅方向右側端部とが互いに対向するようにシートバック24の高さ方向に沿って配置され、スリット部54が形成されている。このスリット部54には、上述した帯状のファスナ12が取り付けられている。シートバック24のシート幅方向右側には、上述の通り図示しない右側リアシートのシートバックが隣接して配置されるので、ファスナ12はシートバック24と右側リアシートのシートバックとの間に配置される。
【0040】
ファスナ12は、対向する一対のストリンガ56、58と、スライダ14と、ファスナスライダ用固定具10(図1参照)と、後述する一対のエレメント60、62と、を含んで構成されている。ファスナ12のストリンガ56が前側表皮42Aのシート幅方向右側端部に、ストリンガ58が後側表皮42Bのシート幅方向右側端部にそれぞれ縫合されている。ここで、前側表皮42A及び後側表皮42Bの下部はファスナ12のストリンガ56、58に縫合されておらず、後側表皮42Bの下部はシート後方側にまくり上げることができるように構成されている。なお、図4においては、後側表皮42Bのまくり上げが可能な下部の図示が省略されている。
【0041】
ファスナ12の対向する一対のストリンガ56、58には、複数の務歯が長手方向に沿って配列されてそれぞれ構成された一対のエレメント60、62が設けられている。この一対のエレメント60、62は、スライダ14の内部に挿通され、シート表皮42をシートバック24に取り付けた状態でスライダ14をファスナ12の延在方向に沿ってシート下方側に向かってスライドさせることにより一対のエレメント60、62が互いに噛み合い、スライダ14をシート上方側にスライドさせることにより一対のエレメント60、62の噛み合いが解除される。したがって、ファスナ12が完全に閉じた状態では、スライダ14はファスナ12のシート下方側の端部に配置されており、一対のエレメント60、62の延在方向端部近傍に配置された図示しない一対の下止部によってスライダ14のファスナ12の端部側への更なる移動が規制されている。
【0042】
ファスナ12のシート下方側の部分は、上述の通り前側表皮42A及び後側表皮42Bに縫合されていない自由端とされており、ファスナ12の表側がシート前方側を向いた状態でシート幅方向に延在されている。また、閉鎖位置にあるスライダ14を含むファスナ12の端末部64が背面ボード40に形成された略矩形状の開口部66に挿入され、この開口部66からファスナ12の端末部64がシート前方側に向かって配置されている。
【0043】
図5には、図4の5−5線に沿った切断面を拡大して示す拡大断面図が示されている。この図に示されるように、背面ボード40の開口部66にシート後方側から挿入されたファスナ12の端末部64はファスナ12の表側がシート前方側を向くように配置されている。詳細については後述するが、ファスナスライダ用固定具10は、スライダ14の柱部16に係止された係止部70と、係止部70から立設された係合部74と、を備えている。係合部74は、シートバックパッド38に形成された「被係合部」及び「凹部」としての差込穴72に差し込まれている。また、係合部74の基端側には、「基端部」としてのフランジ部76が設けられている。このフランジ部76により、係合部74が差込穴72へ所定の深さ以上に進入することが抑止されている。ファスナスライダ用固定具10は、樹脂等によりその全体が一体に形成されている。
【0044】
(スライダの構成)
図1図6(A)及び図6(B)に示されるように、スライダ14は、ファスナ12の表側に配置される表側板部78と、裏側に配置される裏側板部80と、表側板部78と裏側板部80とを繋ぐ案内部82とを含んで構成されている。
【0045】
表側板部78には、一対のエレメント60、62(図3図4参照、他の図では図示省略)を案内する一対の表側レール部78A、78B(表側レール部78Bについては図6(B)参照)が設けられている。裏側板部80には、一対の表側レール部78A、78Bに対向する位置に一対の裏側レール部80A、80B(裏側レール部80Bについては図6(B)参照)が設けられている。表側レール部78Aと裏側レール部80Aの間、及び表側レール部78Bと裏側レール部80Bの間には、一対のストリンガ56、58がそれぞれ挿通され(図1参照)、一対のエレメント60、62(図4参照)は、一対の表側レール部78A、78Bの間かつ一対の裏側レール部80A、80Bの間を通るように構成されている。案内部82は、ファスナ12の表側と裏側とに跨るようにスライダ14の閉鎖方向(ファスナ12を閉じる際のスライダ14のスライド方向)の先端側に配置される。
【0046】
表側板部78のファスナ表側を向く基準面78Cには、上述の柱部16が略アーチ状に突設されている。柱部16は、スライダ14のスライド方向S(図1参照)に沿って延在されており、柱部16と表側板部78の基準面78Cとの間には、スライド方向Sに対して交差する方向に開口された開口部84が形成されている。柱部16は、スライド方向Sの一端(スライダ14の閉鎖方向の端部)のみが基準面78Cに接続されており、他端(スライダ14の開放方向の端部)はファスナスライダ用固定具10が抜け落ちない程度に基準面78Cから離間されて基準面78Cとの間に空隙部79(図6(A)参照)が形成されている。なお、柱部16のスライド方向Sの両端が表側板部78の基準面78Cに接続されている構成としてもよい。また、スライダ14は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
【0047】
(ファスナスライダ用固定具の構成)
図6(A)及び図6(B)に示されるように、ファスナスライダ用固定具10は、スライダ14の柱部16に係止される係止部70と、ファスナ12に取り付けられた状態においてファスナ12の表側に向けられた基準面78Cから離間する方向である第1方向Pに向けて係止部70から立設された係合部74と、を含んで構成されている。
【0048】
ファスナスライダ用固定具10の係止部70は、「第1押圧部」としての鉤状部90と、「第2押圧部」としてのガタ止め部92と、抜止め部94と、を備えている。鉤状部90は、係合部74の基端側に設けられたフランジ部76から第1方向Pとは反対方向である第2方向Q(基準面78Cに向かう方向)に向けて延在された脚部90Aと、脚部90Aの第2方向Q側の端部から鉤状に屈曲された挿入部90Bと、を含んで構成されている。挿入部90Bの挿入方向の先端部90B1は、テーパ状に構成されており、開口部84に片側から挿入されて挿入部90Bが開口部84を貫通している。
【0049】
係止部70のガタ止め部92は、フランジ部76から鉤状部90の脚部90Aと略平行に第2方向Qに向けて立設されている。また、係止部70がスライダ14の柱部16に係止された状態において、ガタ止め部92の第2方向Q側の端部がスライダ14の柱部16の第1方向P側の端部に当接するように構成されている(図6(B)参照)。ここで、鉤状部90の挿入部90Bの第1方向P側の端部とガタ止め部92の第2方向Q側の端部との間の自然状態における距離が、柱部16の厚さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、係止部70が柱部16に取り付けられた状態では、鉤状部90の挿入部90Bに第1方向Pに向かう弾性(復元)力が生じるので、鉤状部90の挿入部90Bとガタ止め部92とでスライダ14の柱部16をその厚さ方向に押圧し合い、係止部70が柱部16に係止される。
【0050】
係止部70の抜止め部94は、柱部16に対して鉤状部90の脚部90Aと反対側の位置において係合部74のフランジ部76からガタ止め部92と略平行に第2方向Q側に向けて立設されている。抜止め部94の第2方向Q側の端部は、ガタ止め部92の端部よりも第2方向Q側に配置されている。また、抜止め部94の脚部90A側の内側面94Aの第2方向Q側の端部が、挿入部90Bの挿入方向と反対方向から柱部16の側面16Aと当接するように構成されている。言い換えると、鉤状部90の挿入部90Bの第1方向P側の端部と抜止め部94の第2方向Q側の端部との間の距離が、柱部16の厚さ寸法よりも小さく設定されている。
【0051】
上述の通り、挿入部90Bと抜止め部94との間の距離が、柱部16の厚さ寸法よりも小さく設定されているので、ファスナスライダ用固定具10をスライダ14に取り付ける際には、挿入部90Bのテーパ状の先端部90B1を開口部84に挿入すると、開口部84の縁が先端部90B1の傾斜面に当接しながら滑ることにより、挿入部90Bの先端部90B1が第2方向Qに変位するように鉤状部90が弾性変形される。そして、柱部16が挿入部90Bと抜止め部94との間を通り抜けると、柱部16はその側面16Aが抜止め部94の内側面94Aに当接する位置で挿入部90Bとガタ止め部92とに挟持される。なお、抜止め部94の内側面94Aと柱部16の側面16Aとは、常時当接しているとは限らない。例えば寸法誤差や使用時に生じるずれ等によって、内側面94Aと側面16Aとが僅かに離間していてもよい。
【0052】
ファスナスライダ用固定具10の係合部74は、基端側に設けられた上述のフランジ部76と、フランジ部76から第1方向Pに向けて立設された本体部96と、複数のリブ部98と、を備えている。本体部96は、ファスナスライダ用固定具10の中心軸CLに沿って延在された軸部96Aと、軸部96Aに連結された4枚の壁部96Bとを含んで構成されており、基準面78Cに平行な面で切断した断面が略十字形状とされている。壁部96Bの第1方向P側の端部は、テーパ状に形成されており、本体部96は第1方向P側の先端が尖った形状とされている。これにより、シートバックパッド38に形成された差込穴72(図5参照)に差し込みやすいように構成されている。
【0053】
係合部74の複数のリブ部98は、隣合う壁部96Bを繋ぐと共に、基準面78Cに平行に配置された平板状とされており、第1方向Pに沿って互いに離間されて配置されている。また、複数のリブ部98の各々は、第2方向Qから見た形状が略矩形状とされており、軸部96Aに連結された角部から見て対角に位置する角部は角が落とされた形状とされている。壁部96B及び複数のリブ部98の中心軸CLからの径方向の寸法は、係合部74が差し込まれるシートバックパッド38に形成された差込穴72(図5参照)の内径と同じ又は若干大きく設定されている。これにより、係合部74が差込穴72に差し込まれると、複数のリブ部98がシートバックパッド38に食い込むようにして係合される。
【0054】
(作用及び効果)
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0055】
本実施形態に係るファスナスライダ用固定具10では、図6(B)に示されるように、スライダ14をスライドさせることにより開閉可能に構成された帯状のファスナ12がシート表皮42のスリット部54(図4参照)に取り付けられており、スライダ14のファスナ表側を向く基準面78Cに突設された略アーチ状の柱部16を係止部70が挟持することで柱部16に係止されている。また、係止部70と一体に形成された係合部74が、基準面78Cから離間する方向である第1方向Pに向けて係止部70から立設され、車両用リアシート20の本体部35のシートバックパッド38に設けられた差込穴72(図5参照)に取外し可能に係合されている。
【0056】
ここで、スライダ14の柱部16に係止される係止部70と車両用リアシート20の差込穴72に係合される係合部74とが一体に形成されているため、ファスナスライダ用固定具10は、これを把持して移動させることによりスライダ14をスライドさせる引手としての機能と、車両用リアシート20の本体部35への固定具としての機能とを有している。引手として機能するファスナスライダ用固定具10の係止部70がスライダ14の柱部16を挟持することで係止されており、ガタがない構成とされているため、スライダに引手が揺動可能に連結されてガタがある構成と比較して、振動等によるスライダ14とファスナスライダ用固定具(引手)10の接触による異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0057】
また、係合部74が係止部70と一体に形成されていることにより、別体として構成されている場合と比較すると、係合部74と係止部70との連結部分でのガタがないため、振動等による係合部74と係止部70の接触を防止することができる。これにより、ファスナ12を閉じた状態でスライダ14を固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るファスナスライダ用固定具10では、係止部70は、鉤状部90とガタ止め部92とを備えている。この鉤状部90は、スライダ14の柱部16に係止された状態で、係合部74のフランジ部76から第1方向Pとは反対方向である第2方向Qに向けて延在された脚部90Aと、脚部90Aの第2方向Q側の端部からスライダ14のスライド方向Sに対して交差する方向に屈曲されて柱部16とスライダ14の基準面78Cとの間の開口部84に挿入される挿入部90Bと、を備えている。ガタ止め部92は、柱部16における第1方向P側の端部に第2方向Q側から当接している。また、鉤状部90とガタ止め部92とで柱部16をその厚さ方向に押圧し合うことで係止部70が柱部16に強固に係止されるので、係止部70と柱部16の間にガタがなく、振動等によるファスナスライダ用固定具10とスライダ14の連結部分での異音の発生を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るファスナスライダ用固定具10では、鉤状部90の挿入部90Bは、スライダ14の柱部16と基準面78Cとの間の開口部84に開口方向の片側から挿入されてこの開口部84を貫通している。また、係止部70が柱部16に係止された状態で、柱部16に対して鉤状部90の脚部90Aと反対側の位置には、係合部74のフランジ部76から第2方向Qに向けて抜止め部94が立設されている。この抜止め部94は、脚部90A側の内側面94Aが挿入部90Bの挿入方向と反対方向から柱部16の側面16Aと当接するように構成されているので、ファスナスライダ用固定具10が挿入部90Bの挿入方向と反対方向に向かってスライダ14から抜け落ちることを防止することができる。
【0060】
また、挿入部90Bが開口部84に開口方向の片側から挿入されるので、鉤状部90を柱部16と基準面78Cとの間の空隙部79(図6(A)参照)からスライド方向S(図1参照)に沿って開口部84に挿入して柱部16に取り付ける場合と比較して、挿入部90Bの厚さ寸法を大きくすることができる。これにより、鉤状部90の強度及び剛性を高めることができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係るファスナスライダ用固定具10では、係合部74は、車両用リアシート20の本体部35に設けられた弾性材料で形成されたシートバックパッド38に形成された差込穴72(図5参照)に差し込まれることにより係合されるので、車両用リアシート20の本体部35側における被係合部の形成が容易であると共に、ファスナスライダ用固定具10の被係合部への着脱を容易に行うことができる。
【0062】
本実施形態に係る車両用リアシート20では、図4に示されるように、本体部35が上述の差込穴72(図5参照)が設けられたシートバックパッド38を含んで構成されており、本体部35の表面を覆うシート表皮42は、差込穴72に取外し可能に係合された上述のファスナスライダ用固定具10が柱部16に係止されたスライダ14によって開閉されるファスナ12を有している。これにより、車両の振動又は車両用リアシート20に着座する乗員の動きによるファスナ12の端末における異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0063】
(第1変形例)
図7(A)には、本実施形態の第1変形例に係るファスナスライダ用固定具100がスライダ14に取り付けられる前の状態が正面図にて示されている。また、図7(B)には、ファスナスライダ用固定具100がスライダ14に取り付けられた状態が正面図にて示されている。これらの図に示されるように、ファスナスライダ用固定具100の係止部102は、上記第1実施形態のガタ止め部92及び抜止め部94(図6(B)参照)を備えていない点が第1実施形態と異なっている。ファスナスライダ用固定具100の係止部102は、「第1押圧部」としての鉤状部104を備えており、この鉤状部104は、脚部104Aと挿入部104Bとを含んで構成されている。
【0064】
スライダ14の柱部16の第1方向P側の端部には、フランジ部76の第2方向Q側の「第2押圧部」としての端部76Aが当接しており(図7(B)参照)、鉤状部104の挿入部104Bとフランジ部76の端部76Aとでスライダ14の柱部16をその厚さ方向に押圧し合うことで係止部102が柱部16に係止されている。すなわち、本変形例では、フランジ部76が係合部74の基端部を構成すると共に、フランジ部76の第2方向Q側の端部76Aは第2押圧部として係止部102の一部を構成している。なお、本変形例において、上記実施形態の抜止め部94を設けてもよい。
【0065】
本変形例に係るファスナスライダ用固定具100においても、上記実施形態と同様に、係止部102がスライダ14の柱部16に係止されると共に、係止部102と一体に形成された係合部74が車両用リアシート20の本体部35の差込穴72(図5参照)に係合される。これにより、ガタがない構成とされているため、ファスナ12を閉じた状態でスライダ14を固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0066】
(第2変形例)
図8には、本実施形態の第2変形例に係るファスナスライダ用固定具110がスライダ14に取り付けられる前の状態が示されている。この図に示されるように、本変形例の係合部112は、「基端部」としての台座部114と、台座部114に支持されると共に軸線方向から見て第1方向Pに向かって開口されたC字形状とされた保持部116と、保持部116の開口端側の一対の端部116Aから第1方向Pに向かうにつれて互いに離間するように延在された一対のガイド部118と、を備えている。
【0067】
係合部112の保持部116は、シートバック24の本体部35(図3参照)の一部を構成する「被係合部」としての線材117の一部を保持するように構成されている。具体的には、保持部116の開口端側の一対の端部116Aの間の距離が線材117の外径よりも小さく設定されていると共に、保持部116の内面が線材117にその外周の半周以上に亘って当接するように構成されている。一対のガイド部118は、先端側から基端側に向かうにつれて互いの間の距離が小さくなるように構成されている。これにより、係合部112を線材117に取り付ける際には、線材117が一対のガイド部118の内側の面に沿って滑るように第2方向Qに向かって案内され、一対の端部116Aの間を押し広げるように弾性変形させながら通過した後に、保持部116に係合される。
【0068】
本変形例に係るファスナスライダ用固定具110では、係合部112は、車両用リアシート20の本体部35(図3参照)が備える線材117を保持することにより係合されるので、ファスナスライダ用固定具110の被係合部(差込穴72)への着脱を容易に行うことができる。また、ファスナスライダ用固定具110を固定するための専用の線材117を設ける場合には、所望の位置に線材117を設けることにより、スライダ14を固定する位置の自由度を高めることができる。
【0069】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0070】
<第2実施形態>
(構成)
図9(A)には、第2実施形態に係るファスナスライダ用固定具120がスライダ14に取り付けられる前の状態が正面図にて示されている。また、図9(B)には、ファスナスライダ用固定具120がスライダ14に取り付けられた状態が正面図にて示されている。これらの図に示されるように、ファスナスライダ用固定具120の係止部122は、「一方の押圧部」としての第1鉤状部124と、「他方の押圧部」としての第2鉤状部126と、を含んで構成されている。
【0071】
係止部122の第1鉤状部124は、フランジ部76から第2方向Q(基準面78Cに向かう方向)に向けて立設された脚部124Aと、脚部124Aの第2方向Q側の端部から鉤状に屈曲された挿入部124Bと、を含んで構成されている。第2鉤状部126は、ファスナスライダ用固定具120の中心軸CLに対して第1鉤状部124と対称に構成されており、脚部126Aと、挿入部126Bとを備えている。挿入部124B、126Bの先端部124B1、126B1(図9(A)参照)は、テーパ状に構成されており、互いに対向している。
【0072】
ファスナスライダ用固定具120がスライダ14に取り付けられた状態では(図9(B)参照)、挿入部124Bの先端部124B1は、開口部84にその開口方向の片側から挿入されており、挿入部126Bの先端部126B1は、開口部84にその開口方向の反対側から挿入部124Bの挿入方向と反対方向に向かって挿入されている。
【0073】
フランジ部76の第2方向Q側の「第2押圧部」としての端部76Aは、柱部16の第1方向P側の端部に当接されている。ここで、挿入部124B、126Bの第1方向P側の端部とフランジ部76の第2方向Q側の端部76Aとの間の自然状態における距離は、柱部16の厚さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、係止部122が柱部16に取り付けられた状態では、挿入部124B、126Bに第1方向Pに向かう弾性(復元)力が生じるので、第1鉤状部124の挿入部124Bと第2鉤状部126の挿入部126Bの両方で第1方向Pに向かって柱部16を押圧している。すなわち、フランジ部76と、挿入部124B、126Bとで柱部16をその厚さ方向に押圧し合うことで係止部122が柱部16に係止されている。
【0074】
また、第1鉤状部124の脚部124A及び第2鉤状部126の脚部126Aにおいて中心軸CLから離間する側の面には、中心軸CLから離間する方向に向かって把持部124C、126Cがそれぞれ立設されている。ファスナスライダ用固定具120をスライダ14に取り付けるときには(図9(A)参照)、柱部16の第1方向P側から第2方向Qに向かってファスナスライダ用固定具120を押圧することにより、柱部16が挿入部124B、126Bのテーパ状の先端部124B1、126B1の傾斜面に沿って滑るように移動して当該先端部同士の間を押し開く。このとき、把持部124C、126Cを把持して係合部74の本体部96に向かう方向に弾性変形させることにより、挿入部124B、126Bの先端部124B1、126B1の間の距離が大きくなり、柱部16が先端部124B1、126B1の間を通り抜けることができるので、取り付けが容易になる。
【0075】
なお、係止部122が把持部124C、126Cを備えない構成としてもよい。また、係止部122が第1実施形態のガタ止め部92に相当する部材を備えていてもよい。この場合には、脚部124A、126Aの間にガタ止め部92が配置され、ガタ止め部92を備えない構成に比べて脚部124A、126Aの長さを長く設定する。
【0076】
また、図9(A)及び図9(B)においては、脚部124A、126Aは第2方向Qに向かうにつれて互いに近づくように構成されているが、第2方向Qに沿って立設されて互いに略平行に配置されていてもよい。
【0077】
(作用及び効果)
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0078】
本実施形態に係るファスナスライダ用固定具120では、係止部122は、各々が脚部124A、126Aと挿入部124B、126Bとを備える第1鉤状部124と第2鉤状部126とを含んで構成されている。第1鉤状部124と第2鉤状部126とが開口部84に開口方向の両側からそれぞれ挿入されて、第1鉤状部124と第2鉤状部126の両方で第1方向Pに向かってスライダ14の柱部16を押圧する。このため、ファスナスライダ用固定具120が柱部16に対して両側から係止されるので、より強固にファスナスライダ用固定具120をスライダ14に固定することができる。これにより、ファスナ12を閉じた状態でスライダ14を固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。また、第1鉤状部124及び第2鉤状部126のそれぞれの挿入方向に向かってファスナスライダ用固定具120がスライダ14から抜け落ちることを防止することができる。
【0079】
<第3実施形態>
(構成)
図10(A)には、第3実施形態に係るファスナスライダ用固定具130の斜視図が示されている。また、図10(B)には、ファスナスライダ用固定具130がスライダ14に取り付けられた状態が正面図にて示されている。これらの図に示されるように、ファスナスライダ用固定具130の係止部132は、「第1押圧部」としてのバンド部134と、「第2押圧部」としてのロック部136とを備えている。
【0080】
図10(B)に示されるように、係止部132のロック部136は、フランジ部76の第2方向Q側の面に連結されており、内部に挿通孔138を備えている。この挿通孔138の内壁には、複数の係止爪から成る鋸歯状の係止爪部136Aが設けられている。バンド部134は、基端側がロック部136の第2方向Q側の端部に連結されており、先端側がロック部136の挿通孔138に挿通されている。バンド部134は、弾性変形可能な材料で構成されており、取付時には、スライダ14の柱部16の開口部84に挿通されると、反対方向に折り返すように弾性変形されてロック部136の挿通孔138に挿通される。
【0081】
また、バンド部134は、挿通孔138内に配置される位置において、複数の係止爪から成る鋸歯状の係止爪部134Aを備えている。この係止爪部134Aが、ロック部136の係止爪部136Aに係止されて、バンド部134の先端側が挿通孔138への挿通方向と反対方向に移動することが規制されている。バンド部134は、挿通孔138への挿通方向には移動可能であるので、バンド部134の先端を挿通方向に引くことにより、バンド部134とロック部136とで柱部16を厚さ方向に押圧し合い、係止部132が柱部16に係止される。
【0082】
(作用及び効果)
次に、第3実施形態の作用及び効果について説明する。
【0083】
本実施形態に係るファスナスライダ用固定具130では、バンド部134の先端を挿通孔138への挿通方向に引くことにより、バンド部134とロック部136とで柱部16を厚さ方向に押圧し合い、係止部132が柱部16に係止される。このため、組付けが容易であると共に、係止部132と柱部16の間にガタがなく、振動等によるファスナスライダ用固定具130とスライダ14の連結部分での異音の発生を防止することができる。
【0084】
<第4実施形態>
(構成)
図11(A)には、第4実施形態に係るファスナスライダ用固定具140がスライダ14に取り付けられる前の状態が斜視図にて示されている。また、図11(B)には、ファスナスライダ用固定具140がスライダ14に取り付けられた状態が斜視図にて示されている。これらの図に示されるように、ファスナスライダ用固定具140の係止部142は、「第1押圧部」としてのU字状部144と、「第2押圧部」としてのL字状部146とを備えている。
【0085】
係止部142のU字状部144は、係合部74のフランジ部76から第2方向Qに向けて延在された一対の脚部144Aと、一対の脚部144Aの第2方向Q側の端部を繋ぐ挿入部144Bと、を含んで構成されている。
【0086】
係止部142のL字状部146は、フランジ部76から第2方向Qに向けて立設された脚部146Aと、脚部146Aの第2方向Q側の端部から屈曲されてU字状部144の開口部に挿通されると共にU字状部144と直交する位置に配置される押圧部146Bと、を含んで構成されている。
【0087】
U字状部144の挿入部144Bは、柱部16の延在方向における一端(スライダ14の開放方向側の端部)と基準面78Cとの間の空隙部79から、スライダ14の閉鎖方向に向かって開口部84に挿入される(図11(A)参照)。ファスナスライダ用固定具140がスライダ14に取り付けられた状態(図11(B)参照)では、L字状部146の押圧部146Bは、柱部16の長手方向に沿って延在されると共に柱部16の第1方向P側を向いた面に当接されている。ここで、U字状部144の挿入部144Bの第1方向P側の端部とL字状部146の押圧部146Bの第2方向Q側の端部との間の自然状態における距離は、柱部16の厚さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、係止部142が柱部16に取り付けられた状態では、L字状部146の押圧部146Bに第2方向Qに向かう弾性(復元)力が生じるので、U字状部144の挿入部144BとL字状部146の押圧部146Bとでスライダ14の柱部16をその厚さ方向に押圧し合い、係止部142が柱部16に係止される。
【0088】
(作用及び効果)
次に、第4実施形態の作用及び効果について説明する。
【0089】
本実施形態に係るファスナスライダ用固定具140では、係止部142が、柱部16と基準面78Cとの間の空隙部79から開口部84に挿入される。このため、柱部16の両側にU字状部144の脚部144Aが配置される構成とすることができ、ファスナスライダ用固定具140が柱部16に対して両側から係止されるので、より強固にファスナスライダ用固定具140をスライダ14に係止させることができる。これにより、ファスナ12を閉じた状態でスライダ14を固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0090】
また、第2押圧部としてのL字状部146の押圧部146Bが、柱部16の長手方向に沿って柱部16に当接されているので、例えば柱部16の長手方向中央部だけに当接されている場合と比較して、ファスナスライダ用固定具140が基準面78Cに対して傾くことが抑制されて、ファスナスライダ用固定具140のスライダ14への係止状態が解除されにくい構成となっている。
【0091】
<第5実施形態>
(構成)
図12には、第5実施形態に係るファスナ用スライダ200を備えたファスナ12の概略斜視図が示されている。この図に示されるように、ファスナ用スライダ200は、一対のストリンガ56、58の延在方向に沿ってスライドすることによりファスナ12を開閉するスライド部202と、スライド部202のファスナ表側を向く基準面78Cにこの基準面78Cから離間する方向である第1方向Pに向けて延設された延設部204と、延設部204の第1方向P側の端部から第1方向Pに向けて立設された係合部74と、を含んで構成されている。
【0092】
スライド部202は、上記第1〜第4実施形態のスライダ14の柱部16以外の部分と同様の構成とされている。すなわち、スライド部202は、一対の表側レール部78A、78Bを備える表側板部78と、一対の裏側レール部80A、80Bを備える裏側板部80と、案内部82と、を含んで構成されている(表側レール部78A及び一対の裏側レール部80A、80Bについては図6(B)参照)。
【0093】
係合部74は、車両用リアシート20(図2参照)のシートバックパッド38に設けられた差込穴72(図5参照)に取外し可能に係合される。この係合部74のフランジ部76とスライド部202の基準面78Cとを連結する延設部204の第1方向Pにおける寸法は、係合部74を差込穴72に差し込むことが可能な大きさに設定されている。スライド部202と、延設部204と、係合部74とは、樹脂等の材料で一体に形成されている。
【0094】
(作用及び効果)
次に、第5実施形態の作用及び効果について説明する。
【0095】
本実施形態に係るファスナ用スライダ200では、シート表皮42のスリット部54(図4参照)に取り付けられる帯状のファスナ12を開閉するスライド部202のファスナ表側を向く基準面78Cに、基準面78Cから離間する第1方向Pに向けて延設部204を介して係合部74が立設されている。係合部74は、車両用リアシート20の本体部35のシートバックパッド38に設けられた差込穴72(図5参照)に取外し可能に係合される。ここで、係合部74がスライド部202と一体に形成されていることにより、スライド部と係合部とが別体として構成されて引手を介して互いに連結されている場合に生じるガタをなくすことができる。結果として、ファスナ12を閉じた状態でスライダ14を固定することができると共に異音の発生を抑制又は防止することができる。また、ファスナ用スライダ200の全体が一体に形成されていることにより、スライド部202と係合部74とを連結する延設部204の肉厚を厚くすることができるので、強度及び剛性を向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態に係るファスナ用スライダ200によって開閉されるファスナ12をシート表皮42に適用した車両用リアシート20(図2図4参照)では、ファスナを閉じた状態でファスナスライダをシート本体に固定することができると共に車両の振動又は車両用リアシート20に着座する乗員の動きによるファスナ端末における異音の発生を防止することができる。
【0097】
(上記実施形態の補足事項)
なお、上記実施形態では、図5に示されるように、係合部74が車両用リアシート20の本体部35の構成部材としてのシートバックパッド38に形成された被係合部としての差込穴72に係合される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図3に示される車両用リアシート20の本体部35の「構成部材」としてのシートバックフレーム36又は補助フレーム50に形成された図示しない「被係合部」としての孔部に係合部74が係合されていてもよい。
【0098】
また、シートバックフレーム36に取り付けられたヒンジブラケット46、48に形成された図示しない「被係合部」としての孔部に係合部74が係合されていてもよい。さらに、補強部材52に形成された「被係合部」としての孔部52A(図3参照)に係合されていてもよい。さらにまた、背面ボード40(図4参照)に形成された図示しない「被係合部」としての孔部に係合部74が係合されていてもよい。なお、本体部35に形成された孔部に係合部74が係合されるこれらの構成では、係合部を上述の係合部74と異なる構成としてもよい。例えば、径方向外側に突出した係合爪を備えた筒状部を係合部に設けて、筒状部が孔部に差し込まれるときには係合爪が筒状部の径方向内側に変位し、筒状部が孔部に挿入されると係合爪が径方向外側に突出して孔部に係合される構成としてもよい。また、シートバックフレーム36に取り付けられたヒンジブラケット46、48及び補強部材52以外の図示しない部材に設けられた孔部に係合部74を係合させてもよい。
【0099】
上記構成によれば、係合部74は、車両用リアシート20の本体部35の構成部材であるシートバックフレーム36又は補助フレーム50に形成された孔部、又はシートバックフレーム36に取り付けられたヒンジブラケット46、48、補強部材52、及び背面ボード40のうちのいずれか一つに形成された孔部に差し込まれることにより係合されるので、スライダ14を車両用リアシート20の本体部35に強固に固定することができる。
【0100】
また、図8に示される第1実施形態の第2変形例に係る係合部112を第2〜第5実施形態に適用して、ファスナスライダ用固定具120、130、140及びファスナ用スライダ200を車両用リアシート20の本体部35(図3参照)が備える線材117に係合させてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、本発明に係るファスナスライダ用固定具120、130、140及びファスナ用スライダ200を車両用リアシート20のシートバック24のシート表皮42に適用する例を示したが、本発明を適用する箇所はこれに限定されない。例えば図3に示される車両用リアシート20の他の位置に適用してもよいし、図2に示されるシートクッション22、ヘッドレスト26、図示しないアームレスト等の表皮に適用してもよい。また、車両用フロントシート等、車室内の他のシートに適用してもよい。
【0102】
さらに、上記実施形態では、本発明に係るファスナスライダ用固定具120、130、140及びファスナ用スライダ200を車両用シートのシート表皮42に適用する例を示したが、飛行機等の他の乗り物のシート表皮に適用してもよい。この場合であっても、ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に、飛行機の振動又はシートに着座する人の動きによるファスナ端末における異音の発生を抑制又は防止することができる。
【0103】
さらにまた、上記実施形態では、本発明に係るファスナスライダ用固定具120、130、140及びファスナ用スライダ200をソファ等の家具の表皮に適用してもよい。この場合であっても、ファスナを閉じた状態でファスナスライダを固定することができると共に、着座する人の動き等によるファスナ端末における異音の発生を抑制又は防止することができる。
【符号の説明】
【0104】
10 ファスナスライダ用固定具
12 ファスナ
14 スライダ
16 柱部(被係止部)
16A 側面
35 本体部(シート本体)
36 シートバックフレーム(構成部材、フレーム)
38 シートバックパッド(構成部材、シートパッド)
42 シート表皮
46、48 ヒンジブラケット(構成部材)
50 補助フレーム(構成部材、フレーム)
52 補強部材(構成部材)
52A 孔部(被係合部)
54 スリット部
70 係止部
72 差込穴(被係合部)
74 係合部
76 フランジ部(基端部)
76A 端部(第2押圧部)
78C 基準面
84 開口部
90 鉤状部(第1押圧部)
90A 脚部
90B 挿入部
92 ガタ止め部(第2押圧部)
94 抜止め部
94A 内側面(脚部側の面)
100 ファスナスライダ用固定具
102 係止部
104 鉤状部(第1押圧部)
104A 脚部
104B 挿入部
110 ファスナスライダ用固定具
112 係合部
114 台座部(基端部)
117 線材(被係合部)
120 ファスナスライダ用固定具
122 係止部
124 第1鉤状部(第1押圧部、一方の押圧部)
124A、126A 脚部
126 第2鉤状部(第1押圧部、他方の押圧部)
124B、126B 挿入部
130 ファスナスライダ用固定具
132 係止部
134 バンド部(第1押圧部)
136 ロック部(第2押圧部)
140 ファスナスライダ用固定具
142 係止部
144 U字状部(第1押圧部)
144A 脚部
144B 挿入部
146 L字状部(第2押圧部)
200 ファスナ用スライダ
202 スライド部
204 延設部
P 第1方向
Q 第2方向
S スライド方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12