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特開2020-199910ラック軸、ステアリング装置、及びラック軸の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-199910(P2020-199910A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】ラック軸、ステアリング装置、及びラック軸の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 3/12 20060101AFI20201120BHJP
   F16H 55/26 20060101ALI20201120BHJP
   B21K 1/76 20060101ALI20201120BHJP
   B24C 1/08 20060101ALI20201120BHJP
   B24C 3/32 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   B62D3/12 503Z
   B62D3/12 501B
   F16H55/26
   B21K1/76 A
   B24C1/08
   B24C3/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-108685(P2019-108685)
(22)【出願日】2019年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞庭 高広
(72)【発明者】
【氏名】川田 大作
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 靖
(72)【発明者】
【氏名】小島 貴裕
【テーマコード(参考)】
3J030
4E087
【Fターム(参考)】
3J030AC03
3J030BA08
3J030BC02
3J030BC03
3J030BC06
3J030CA10
4E087AA08
4E087CA19
4E087CB03
4E087EC11
4E087HA06
(57)【要約】
【課題】ラック歯を鍛造で成形する場合、ラックガイドに支持される被ガイド部を表面処理することが容易になるラック軸及びラック軸の製造方法、並びに、当該ラック軸を備えたステアリング装置を提供すること。
【解決手段】軸心の軸方向に延びる鍛造品のラック軸であって、軸方向から見た状態で、軸心を挟んだ両側のうちの一方側に設けられ軸方向に沿って配置されるラック歯と、軸心を挟んだ両側のうちの他方側に設けられ且つラックガイドに支持される被ガイド部と、を備える。軸方向から見た状態で、軸心を中心とする円弧よりも径方向外側に膨らむ膨張部が設けられる。ラック歯の表面である第1面及び被ガイド部の表面である第2面は、ブラスト処理面である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心の軸方向に延びる鍛造品のラック軸であって、
前記軸方向から見た状態で、前記軸心を挟んだ両側のうちの一方側に設けられ前記軸方向に沿って配置されるラック歯と、
前記軸心を挟んだ両側のうちの他方側に設けられ且つラックガイドに支持される被ガイド部と、を備え、
前記軸方向から見た状態で、前記軸心を中心とする円弧よりも径方向外側に膨らむ膨張部が設けられ、
前記ラック歯の表面である第1面及び前記被ガイド部の表面である第2面は、ブラスト処理面である、
ラック軸。
【請求項2】
請求項1に記載のラック軸と、
前記ラック軸を支持する前記ラックガイドと、を備える、
ステアリング装置。
【請求項3】
ラック軸の軸心を挟んだ両側のうちの一方側に設けられ前記軸心の軸方向に沿って配置されるラック歯と、前記軸心を挟んだ両側のうちの他方側に設けられ且つラックガイドに支持される被ガイド部と、を備えるラック軸の製造方法であって、
前記ラック歯を鍛造によって成形するステップと、
前記ラック歯の表面である第1面及び前記被ガイド部の表面である第2面にブラスト処理を施してブラスト処理面とするステップと、を含む、
ラック軸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラック軸、ステアリング装置、及びラック軸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールの回転を直動運動に変換するラック軸及びピニオンを備えるステアリング装置が知られている。ラック軸には、例えば、軸方向から見た状態において軸心を挟んだ両側のうちの一方側にラック歯が設けられ、他方側にラックガイドに支持される被ガイド部が設けられる。ラック歯は例えば鍛造によって成形される(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−24901号公報
【特許文献2】特開2018−47473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラック歯を鍛造で成形する場合、柱状の中間素材(ワーク)の側面を金型等で加圧するため、ラック歯の近傍部が径方向外側に膨らんで膨張部が形成される。ここで、例えば砥粒が付いたテープ等を用いて被ガイド部を研磨する場合、膨張部が邪魔になって、テープ等が破損し、被ガイド部の全体を均一に研磨することが困難になる可能性がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ラック歯を鍛造で成形する場合、ラックガイドに支持される被ガイド部を表面処理することが容易になるラック軸及びラック軸の製造方法、並びに、当該ラック軸を備えたステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のラック軸は、軸心の軸方向に延びる鍛造品のラック軸であって、前記軸方向から見た状態で、前記軸心を挟んだ両側のうちの一方側に設けられ前記軸方向に沿って配置されるラック歯と、前記軸心を挟んだ両側のうちの他方側に設けられ且つラックガイドに支持される被ガイド部と、を備え、前記軸方向から見た状態で、前記軸心を中心とする円弧よりも径方向外側に膨らむ膨張部が設けられ、前記ラック歯の表面である第1面及び前記被ガイド部の表面である第2面は、ブラスト処理面である。
【0007】
ラック歯を鍛造によって成形する場合、例えば柱状の中間素材の側面を径方向内側に向けて加圧するため、ラック歯の近傍に径方向外側に膨らむ膨張部が形成される。ここで、例えば砥粒が付いたテープを用いて被ガイド部を研磨する場合、膨張部が邪魔になって被ガイド部の第2面を研磨することが困難になる。また、ラック歯の第1面にはスケールが残存しているため、スケールの除去も行う必要がある。以上より、ラック軸に膨張部が形成される場合において、ラック軸の第1面及び第2面をブラスト処理面とすることにより、第2面を表面処理することができ且つ第1面からスケールを除去することが可能となる。
【0008】
本開示の一態様のステアリング装置は、前述したラック軸と、前記ラック軸を支持する前記ラックガイドと、を備える。これによれば、ラック軸に膨張部が形成される場合において、ラック軸の第1面及び第2面をブラスト処理面とすることにより、第2面を表面処理することができ且つ第1面からスケールを除去することが可能となる。
【0009】
本開示の一態様のラック軸の製造方法は、ラック軸の軸心を挟んだ両側のうちの一方側に設けられ前記軸心の軸方向に沿って配置されるラック歯と、前記軸心を挟んだ両側のうちの他方側に設けられ且つラックガイドに支持される被ガイド部と、を備えるラック軸の製造方法であって、前記ラック歯を鍛造によって成形するステップと、前記ラック歯の表面である第1面及び前記被ガイド部の表面である第2面にブラスト処理を施してブラスト処理面とするステップと、を含む。
【0010】
これによれば、前述したように、ラック軸に膨張部が形成される場合において、ラック軸の第1面及び第2面をブラスト処理することにより、第2面を表面処理することができ、第1面からスケールを除去することが可能となる。また、従来のようにテープ等を用いた研磨よりもブラスト処理の方が第2面の処理時間を短縮することができ、省力化及び製造コスト低減になる。さらに、第1面のブラスト処理と第2面のブラスト処理とを同時に行えば、表面処理工程の処理時間をさらに短縮することができる。なお、第1面のブラスト処理に用いる粒子の粒径と第2面のブラスト処理に用いる粒子の粒径とを変えることにより、第1面及び第2面の算術平均粗さをそれぞれ相違させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ラック歯を鍛造で成形するラック軸において、ラックガイドに支持される被ガイド部を表面処理することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。
図2図2は、本実施形態のステアリングギアユニットの正面図である。
図3図3は、図2のA−A断面図である。
図4図4は、図3のラック軸及びラックガイドを拡大した断面図である。
図5図5は、ラック軸を拡大した模式図である。
図6図6は、本実施形態のラック軸の平面図である。
図7図7は、本実施形態のラック軸の正面図である。
図8図8は、本実施形態のラック軸に鍛造を行っている状態を示す模式図である。
図9図9は、本実施形態のラック軸にショットブラスト処理を施している状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の開示を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。図2は、本実施形態のステアリングギアユニットの正面図である。図3は、図2のA−A断面図である。図1に示すように、ステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、ピニオンシャフト87と、ステアリングギアユニット1と、を備える。
【0015】
図1に示すように、ステアリングホイール81は、ステアリングシャフト82に連結される。ステアリングシャフト82の一端は、ステアリングホイール81に連結される。ステアリングシャフト82の他端は、ユニバーサルジョイント84に連結される。ロアシャフト85の一端は、ユニバーサルジョイント84を介してステアリングシャフト82に連結される。ロアシャフト85の他端は、ユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に連結される。
【0016】
図1及び図3に示すように、ステアリングギアユニット1は、ピニオン3と、ラック軸4と、ラックガイド5と、ハウジング10と、ラックガイドスクリュー15と、コイルばね16と、を備える。ピニオンシャフト87は、ピニオン3に連結される。ピニオン3は、ラック軸4に噛み合う。ピニオン3が回転すると、ラック軸4が車両の車幅方向に移動する。ピニオン3及びラック軸4は、ピニオンシャフト87に伝達された回転運動を直進運動に変換する。ラック軸4は、タイロッド89に連結される。ラック軸4が移動することで車輪の角度が変化する。なお、ステアリングホイール81の操作が電気信号に変換され、電気信号によって車輪の角度が変化させられてもよい。すなわち、ステアリング装置80に、ステアバイワイヤシステムを適用してもよい。
【0017】
図1に示すように、ステアリング装置80は、電動モータ93と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、ECU(Electronic Control Unit)90と、を備える。電動モータ93、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。電動モータ93は、例えばブラシレスモータであるが、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備えるモータであってもよい。トルクセンサ94は、例えばピニオン3に取り付けられている。トルクセンサ94は、ピニオン3に伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、ステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
【0018】
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。
【0019】
図3に示すように、ピニオン3は、軸受11及び軸受12を介してハウジング10に支持される。ピニオン3は、複数のピニオン歯31を備える。ラックガイドスクリュー15は、ハウジング10に取り付けられる。例えば、ラックガイドスクリュー15の外周面に設けられるねじ溝が、ハウジング10の内周面に設けられるねじ溝に噛み合う。
【0020】
コイルばね16は、ラックガイドスクリュー15とラックガイド5との間に配置される。コイルばね16は、ラックガイド5をラック軸4に押し付ける。ラックガイド5は、ラック軸4を支持する。ラックガイド5は、ラック軸4をピニオン3に押し付ける。これにより、ラック軸4とピニオン3との間のバックラッシュが抑制される。
【0021】
図4は、図3のラック軸及びラックガイドを拡大した断面図である。図5は、ラック軸を拡大した模式図である。図6は、本実施形態のラック軸の平面図である。図7は、本実施形態のラック軸の正面図である。
【0022】
図3及び図4に示すように、ラックガイド5は、本体部51と、ガイド部53と、を備える。本体部51は、略円柱状である。本体部51は、例えば金属等で形成される。本体部51は、一方の端面51aと他方の端面51bとを有する。他方の端面51bは、一方の端面51aの反対側に配置される。
【0023】
具体的には、一方の端面51aは、図3での右側の端面及び図4での下側の端面である。他方の端面51bは、図3での左側の端面及び図4での上側の端面である。一方の端面51aは、図3に示すようにコイルばね16に接する。他方の端面51bは、半円筒状に形成される。ガイド部53は、他方の端面51bに設けられる。ガイド部53は、例えば樹脂等で形成される。ラックガイド5は、必ずしもいわゆる滑りタイプでなくてもよい。ラックガイド5は、いわゆる転がりタイプであってもよい。すなわち、ラックガイド5は、転動体を備えていてもよい。
【0024】
ラック軸4は、鍛造によって成形される鍛造品である。図3から図7に示すように、ラック軸4は、軸心Axの軸方向に延びる。以下、ラック軸4の軸心Axの軸方向を単に「軸方向」と称する。ラック軸4は、ラック歯41と、被ガイド部42と、を備える。図4図5及び図7に示すように、ラック歯41は、軸方向から見た状態において、軸心Axを挟んだ両側のうちの一方側に位置し、両側のうちの他方側には、被ガイド部42が位置する。具体的には、「一方側」とは、図4図5及び図7での上側であり、「他方側」とは、図4図5及び図7での下側である。ラック歯41と被ガイド部42とは、軸心Axを挟んで互いに反対側に位置する。
【0025】
図3に示すように、ラック歯41は、ピニオン歯31と噛み合う。図6及び図7に示すように、複数のラック歯41は、軸方向に沿って配置される。図5及び図7に示すように、ラック歯41は、歯の頂部である歯先411と、歯の谷部である歯底412と、を有する。また、ラック歯41の表面は、第1面4aとも称する。図3及び図4に示すように、被ガイド部42の表面は、被ガイド面421であり、第2面4bとも称する。被ガイド面421(第2面4b)は、軸方向から見た状態で、軸心Axを中心とする円弧状である。
【0026】
被ガイド面421(第2面4b)は、ガイド部53の表面を摺動しつつガイド部53によって支持される。被ガイド面421には、軸方向に沿って直線状に延びる溝422が設けられる。溝422は、径方向内側に向けて凹む凹部である。溝422に潤滑剤が充填されることにより、ラック軸4の被ガイド面421とラックガイド5のガイド部53との間の摩擦抵抗が抑制される。
【0027】
以下に、図5を参照してラック軸4の構造を更に詳細に説明する。図5に示すように、ラック軸4の左右両側部には、第1膨張部470及び第2膨張部480が設けられる。前述のように、軸心Axを挟んだ上下両側のうちの一方側(図5での上側)にはラック歯41が位置し、軸心Axを挟んだ他方側(図5での下側)には被ガイド部42が位置する。軸方向から見た状態で、前記一方側には、第1角部43、第2角部44、第3角部45及び第4角部46が位置する。第1角部43及び第2角部44は、ラック歯41の歯先411の両端に位置する。
【0028】
第3角部45及び第4角部46は、第1角部43及び第2角部44よりも前記他方側(図5での下側)に位置する。第3角部45と第4角部46とを結ぶ直線L1は、歯底412よりも径方向内側に位置し軸心Axにより近い。第3角部45よりも他方側(図5での下側)には第1部位47が位置し、第4角部46よりも他方側(図5での下側)には第2部位48が位置する。第1部位47と第2部位48とを結んだ直線L2は、歯先411、歯底412及び直線L1と略平行である。直線L2は、軸心Axを通る。被ガイド面421(第2面4b)は、軸方向から見た状態で、軸心Axを中心とする円弧状である。
【0029】
また、二点鎖線で示す仮想的な円弧423,424も、軸心Axを中心とする円弧状である。円弧423は、第1角部43と第1部位47とを結ぶ。円弧424は、第2部位48と第2角部44とを結ぶ。第1角部43と第3角部45とは、第1連結部431によって連結される。第2角部44と第4角部46とは、第2連結部441によって連結される。第1連結部431及び第2連結部441は、軸方向から見た状態で、軸心Axを中心とする円弧状である。第3角部45と第1部位47とは、第3連結部451によって連結される。第4角部46と第2部位48とは、第4連結部461によって連結される。第3連結部451及び第4連結部461は、図5での上下方向に沿って直線状に延びる。
【0030】
ここで、円弧423と、第1連結部431と、第3連結部451とで囲まれた部位は、第1膨張部470(膨張部)である。即ち、第1膨張部470は、軸心Axを中心とする円弧423よりも径方向外側に膨らんだ部位である。また、円弧424と、第2連結部441と、第4連結部461とで囲まれた部位は、第2膨張部480(膨張部)である。即ち、第2膨張部480は、軸心Axを中心とする円弧424よりも径方向外側に膨らんだ部位である。
【0031】
また、ラック歯41の第1面4a及び被ガイド部42の表面である第2面4bは、ブラスト処理面であり、算術平均粗さRaは、例えば、0.2以上0.6以下である。ブラスト処理については、ラック軸の製造方法において詳述する。
【0032】
次いで、ラック軸の製造方法について説明する。図8は、本実施形態のラック軸に鍛造を行っている状態を示す模式図である。図9は、本実施形態のラック軸にショットブラスト処理を施している状態を示す模式図である。
【0033】
ラック軸4の製造方法は、ラック歯41を冷間鍛造(鍛造)によって成形するステップと、ラック歯41の表面である第1面4a及び被ガイド部42の表面である被ガイド面421(第2面4b)にブラスト処理を施してブラスト処理面とするステップと、を含む。
【0034】
冷間鍛造を行う鍛造装置100の構造を説明する。図8に示すように、鍛造装置100は、パンチ101と、受け部材102と、第1支持台103と、第2支持台104と、を備える。パンチ101は、板状部材であり、下面に凹凸部101aが設けられる。凹凸部101aは、ラック歯41に対応する形状を有する。受け部材102の上面には、凹部102aが形成される。凹部102aには、円柱状の中間素材140が収納される。第1支持台103は、受け部材102を支持する。第2支持台104は、第1支持台103を支持する。以下にラック軸を製造する手順を説明する。
【0035】
まず、受け部材102の凹部102aに中間素材140を収納する。そして、中間素材140の上にパンチ101を配置する。パンチ101を下降させ、パンチ101の凹凸部101aで中間素材140の側面を下方に向けて押圧する。この冷間鍛造によって、ラック歯41が成形される。
【0036】
このとき、図5で説明したように、中間素材140の左右両側部には、第1膨張部470及び第2膨張部480が形成される。即ち、パンチ101で中間素材140を下方に押圧することにより、中間素材140の材料の一部が左右両側に移動して膨らむ結果、図5に示す第1膨張部470及び第2膨張部480が形成される。なお、冷間鍛造は、形状が異なる複数の受け部材102によって複数回行われる。
【0037】
冷間鍛造の次に、ブラスト処理を行う。図9に示すブラストガン61,62は、左右に離隔した状態で保持される。ブラストガン61には、配管61aが接続される。ブラストガン62には、配管62aが接続される。本実施形態では、ブラスト処理の一例としてウェットブラスト処理を行う。ウェットブラスト処理とは、粒子6(砥粒)と液体とを混ぜたスラリー(混合液)を圧縮空気によって被処理物に吹き付ける方法である。粒子6(砥粒)の材質は、石、ガラス、プラスチック等を適用することができる。粒子6の粒径は、例えば50μm以上200μm以下である。液体は、水又は水に薬液を混入させたものが適用可能である。なお、本実施形態の表面処理は、ウェットブラスト処理に限定されず、ショットブラスト、ショットピーニングなど粒子6(砥粒)を被処理物に衝突させる表面処理であればよい。
【0038】
図9に示すように、ブラストガン61とラック歯41とを対向させて配置し、ブラストガン62と被ガイド面421とを対向させて配置する。配管61a,62aを介してブラストガン61,62の先端から、粒子6(砥粒)及び液体を圧縮空気によって噴出させる。ブラストガン61から噴出される粒子6がラック歯41の表面(第1面4a)に当たって、当該表面(第1面4a)がブラスト処理面となる。ブラスト処理面には、小さい凹凸が形成される。
【0039】
ブラストガン62から噴出される粒子6が被ガイド面421(第2面4b)に当たって、被ガイド面421(第2面4b)がブラスト処理面となる。特に、ラック歯41の表面にはスケールが残存しているため、ブラスト処理によってブラスト処理面の形成と同時にスケールの除去も行うことができる。第1面4aのブラスト処理と第2面4bのブラスト処理とは、同時に行ってもよいが、それぞれ個別のタイミングで行ってもよい。なお、圧縮空気を吹き付ける際のエア圧力と吹き付け時間は、例えば、0.2MPaで20秒、又は、0.4MPaで10秒が適用可能である。そして、ブラスト処理の後におけるラック歯41の表面及び被ガイド面421の算術平均粗さRaは、例えば、0.2以上0.6以下である。算術平均粗さRaの計測は、表面粗さ測定機を用い、JIS B 0601−2001に則って行う。
【0040】
以上で説明したように、ステアリング装置80は、ラック軸4と、ラックガイド5と、を備える。ラック軸4は、軸方向から見た状態で、軸心Axを挟んだ一方側に設けられるラック歯41と、他方側に設けられ且つラックガイド5に支持される被ガイド部42と、を備える。軸心Axを中心とする円弧423,424よりも径方向外側に膨らむ第1膨張部470及び第2膨張部480が設けられる。ラック歯41の第1面4a及び被ガイド部42の表面である第2面4bは、ブラスト処理面である。
【0041】
ラック歯41を鍛造によって成形する場合、柱状の中間素材140の側面を径方向内側に向けて加圧するため、ラック歯41の近傍に径方向外側に膨らむ第1膨張部470及び第2膨張部480が形成される。ここで、例えば砥粒が付いたテープを用いて被ガイド部42を研磨する場合、第1膨張部470及び第2膨張部480が邪魔になってテープが破損し、被ガイド部42の被ガイド面421である第2面4bを均一に研磨することが困難になる。
【0042】
また、ラック歯41の表面である第1面4aにはスケールが残存しているため、ラック歯41からスケールを除去する必要がある。以上より、ラック軸4に第1膨張部470及び第2膨張部480が形成される場合において、ラック軸4の第1面4a及び第2面4bをブラスト処理面とすることにより、第2面4bを均一に表面処理することができ且つ第1面4aからスケールを除去することが可能となる。
【0043】
また、ラック軸4の製造方法は、ラック歯41を鍛造によって成形するステップと、ラック歯41の表面である第1面4a及び被ガイド部42の表面である第2面4bにブラスト処理を施してブラスト処理面とするステップと、を含む。
【0044】
本実施形態のラック軸4の製造方法は、砥粒が付いたテープ等を用いて研磨する必要がない。ラック軸4に第1膨張部470及び第2膨張部480が形成されても、ラック軸4の第1面4a及び第2面4bをブラスト処理することにより、第2面4bを表面処理することができ、第1面4aからスケールを除去することが可能となる。また、従来のようにテープを用いた研磨よりもブラスト処理の方が第2面4bの処理時間を短縮することができる。従って、本実施形態の方が従来例よりも省力化を図ることができ且つ製造コストがさらに低減される。さらに、第1面4aのブラスト処理と第2面4bのブラスト処理とを同時に行えば、表面処理工程の処理時間をさらに短縮することができる。なお、第1面4aのブラスト処理に用いる粒子6の粒径と第2面4bのブラスト処理に用いる粒子6の粒径とを変えることにより、第1面4a及び第2面4bの算術平均粗さRaをそれぞれ相違させることができる。
【符号の説明】
【0045】
4 ラック軸
4a 第1面
4b 第2面
41 ラック歯
42 被ガイド部
5 ラックガイド
80 ステアリング装置
470 第1膨張部(膨張部)
480 第2膨張部(膨張部)
Ax 軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9