【解決手段】着座者の背部を支持するシートバック1であって、内部骨格を成すバックフレーム10と、バックフレーム10に前方から覆い被さる形に組み付けられて着座者の背部を面状に弾性支持する弾性マット20と、弾性マット20の着座者の背部を支持する天板部の下部領域をバックフレーム10に対して裏側から弾性支持すると共に下部領域のバックフレーム10に対するシート幅方向の移動を弾発力により抑制する圧縮バネ41と、を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0014】
《第1の実施形態》
(シートバック1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシートバック1の構成について、
図1〜
図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、「シート幅方向」と示す場合には、シートバック1の左右方向を指すものとする。
【0015】
図1〜
図2に示すように、本実施形態に係るシートバック1は、自動車用のシートの背凭れ部として構成されている。上記シートバック1は、その左右両サイドの下端部が、不図示のリクライナを介して、着座部となるシートクッションの左右両サイドの後端部に連結されている。それにより、シートバック1は、上記不図示のリクライナを介して、シートクッションに対する背凭れ角度を調節可能とされている。上記シートバック1の上部には、頭凭れ部となる不図示のヘッドレストが装着されている。
【0016】
上記シートバック1は、金属製のバックフレーム10と、ポリエステル系熱可塑性エラストマー製の弾性マット20と、樹脂製のバックボード30と、から構成される。バックフレーム10は、シートバック1の内部骨格を成す強度部材として機能するものである。弾性マット20は、バックフレーム10に前方から覆い被さる形に組み付けられて、着座者の背部を面状に弾性支持するクッション部材として機能するものである。バックボード30は、バックフレーム10に後方から覆い被さる形に組み付けられて、シートバック1の背裏面の意匠性を向上させる化粧板として機能するものである。
【0017】
(バックフレーム10の構成について)
具体的には、バックフレーム10は、
図2に示すように、シートバック1の左右両サイドの側部骨格を成す縦長板状のサイドフレーム11と、これらサイドフレーム11の上部間に架橋されてシートバック1の上部骨格を成す側面視略逆U字状に折り曲げられた断面形状を持つ横長板状のアッパフレーム12と、を有する。更に、バックフレーム10は、上記各サイドフレーム11の下端側の後縁部間に架橋された横長板状のロアパネル13を有する。
【0018】
更に、バックフレーム10は、上記各サイドフレーム11とアッパフレーム12とで構成されるフレーム本体10Aから前方に張り出す左右一対の支持ワイヤ14を有する。これら支持ワイヤ14は、それぞれ、高さ方向に延びる1本の鋼線材から成る。これら支持ワイヤ14は、それらの上側の端部14Aと下側の端部14Bとが、それぞれ、後方側に折り曲げられて、各サイドフレーム11の上端側の外側部と下端側の外側部とに当てられて溶接されている。
【0019】
また、上記バックフレーム10のロアパネル13の前面部には、横長板状の下部取付プレート15が前方から当てられて溶接されている。上記下部取付プレート15は、ロアパネル13の前面部から前斜め上向きに角度を付けて平坦状の面を張り出させる左右一対の座面部15Aを有する。これら座面部15Aの中央部には、それぞれ、正面視略逆U字状の切り込みが入れられて前方側に略L字板状に折り曲げられる形に切り起こされた掛止部15Bが形成されている。ここで、下部取付プレート15が、本発明の「フレーム側取付プレート」に相当する。
【0020】
上記下部取付プレート15の各座面部15A上には、後述する弾性マット20の天板部21の下部領域を後方から弾性支持する左右一対の圧縮バネ41の後端部がそれぞれ掛止されている。具体的には、
図5に示すように、各圧縮バネ41は、それらのコイル状に巻かれた巻き部の後端部が、前出の各座面部15Aから前方側に張り出すL字板状の各掛止部15Bに上方から通されて引掛けられることで、各座面部15Aにより後側から一体的に支持された状態としてセットされている。ここで、各圧縮バネ41が、それぞれ本発明の「弾性体」に相当する。
【0021】
また、
図2及び
図4に示すように、上記バックフレーム10のアッパフレーム12の左右両サイドの上面部には、前方側に張り出す略L字板状の上部取付ブラケット16が溶接されている。これら上部取付ブラケット16には、それらの前方側に張り出した先の各面部に、前方側に突出する引掛ピン16Aがそれぞれ取り付けられている。これら引掛ピン16Aには、後述する弾性マット20の天板部21の上部中央箇所の裏面部から突出する中央ピン25Bとの間に、ループ状に繋がれた各ループワイヤ50がそれぞれ引掛けられている。各ループワイヤ50の構成については、後に詳しく説明することとする。
【0022】
(弾性マット20の構成について)
弾性マット20は、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの射出成形材から成る。本実施形態では、ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、東レ・デュポン株式会社製の「ハイトレル」(登録商標)が用いられている。上記弾性マット20は、バックフレーム10に前方から覆い被さる形にセットされる凹湾曲面形状の天板部21と、天板部21の左右両側の縁部から後外側に向かって斜めに張り出す張出部22と、を有する。
【0023】
上記弾性マット20は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」(登録商標))から成る構成とされることで、天板部21の一部に不図示のスリットや孔を開けて硬さを調整したり通気性を高めたりすることが簡便に行える構成とされる。また、弾性マット20は、その表面にシボや幾何学模様を施したり2色成形したりして、重厚感のある意匠に仕上げることも簡便に行える構成とされる。
【0024】
上記弾性マット20の天板部21は、着座者の背部を後側から包み込むように面状に支持することが可能な凹湾曲面形状とされる。詳しくは、上記天板部21は、バックフレーム10の各サイドフレーム11とアッパフレーム12とロアパネル13とに跨って前方側から面状に覆い被さる形にセットされる大きさを備える。また、各張出部22は、上記天板部21の左右両側の縁部から後外側に斜めに張り出す形状とされて、天板部21の曲げや捩りに対する剛性を適度に高めている。
【0025】
上記弾性マット20は、
図3に示すように、その天板部21の裏面部に、枠状に組まれた鋼線材から成るインサートワイヤ23が一体成形されて組み付けられている。上記インサートワイヤ23は、2本の鋼線材が、天板部21の周縁に沿った正面視略枠状を成す形に組み合わされた構成とされる。上記弾性マット20の天板部21の裏面部には、そのインサートワイヤ23がセットされる領域に沿って、インサートワイヤ23を内部に埋設するように裏側に肉盛り状に張り出す肉盛り部21Aが形成されている。上記構成により、インサートワイヤ23は、その大部分が肉盛り部21A内に一体的に埋設された状態として設けられている。
【0026】
しかし、上記インサートワイヤ23は、その左右の各縦辺部の上部領域を成す各引掛部23Aが、天板部21の裏面部から部分的に後方側に折れ曲がる形に張り出して露出する構成とされる。これら引掛部23Aは、
図2に示すように、弾性マット20の左右2箇所をバックフレーム10の左右2箇所に設けられた各支持ワイヤ14に対して引張バネ42により後側から弾性支持した状態に組み付けるための引掛部とされる。
【0027】
上記各引張バネ42は、それらの前端部が、前出の各支持ワイヤ14の高さ方向に延びる中間部分に引掛けられ、後端部が、上記インサートワイヤ23の各引掛部23Aに引掛けられてセットされる。上記引掛けにより、弾性マット20は、その上部領域が各引張バネ42を介してバックフレーム10に左右対称状に弾性支持された状態に組み付けられる。それにより、弾性マット20は、着座者から比較的高い体圧作用を受ける肩甲骨周辺の領域を後側からクッション性良く弾性支持することができる構成とされる。
【0028】
また、上記弾性マット20には、更に、そのインサートワイヤ23の下辺部の通る天板部21の下部領域の左右2箇所に、平板状の下部取付プレート24が前出の肉盛り部21A内に一体的に埋設された状態として設けられている。これら下部取付プレート24は、インサートワイヤ23の下辺部の左右2箇所に形成された高さ方向に波打ち状に折り曲げられた曲返し部23Bに後方から当てられて溶接されている。
【0029】
そして、各下部取付プレート24は、上記溶接されたインサートワイヤ23の下辺部の各曲返し部23Bと共に、弾性マット20の肉盛り部21A内に一体成形されて埋設されている。詳しくは、各下部取付プレート24は、
図5に示すように、それらの平坦状の面を成す座面部24Aの裏面が肉盛り部21Aの裏面から露出する形に一体成形されている。上記各下部取付プレート24の座面部24Aの中央部には、正面視略逆U字状の切り込みが入れられて後方側に略L字板状に折り曲げられる形に切り起こされた掛止部24Bが形成されている。
【0030】
上記各下部取付プレート24の座面部24A上には、前出の左右一対の圧縮バネ41の前端部がそれぞれ掛止されている。具体的には、各圧縮バネ41は、それらのコイル状に巻かれた巻き部の前端部が、上記各座面部24Aから後方側に張り出すL字板状の各掛止部24Bに上方から通されて引掛けられることで、各座面部24Aが前側から一体的に当てられた状態としてセットされている。
【0031】
上記のように、弾性マット20は、その下部領域が上記各圧縮バネ41を介してバックフレーム10に後側から弾性支持された状態に組み付けられている。それにより、弾性マット20は、着座者から比較的高い体圧作用を受ける腰部周辺の領域を、後側から底付き感を感じさせることなくクッション性良く弾性支持することができる構成とされる。
【0032】
また、
図2〜
図3に示すように、上記弾性マット20には、更に、そのインサートワイヤ23の上辺部の通る天板部21の裏側の上部中央箇所に、プレス成形材から成る上部中央ブラケット25がビス25Aにより一体的に取り付けられている。上記上部中央ブラケット25は、上記インサートワイヤ23の上辺部の通る高さ方向の中間部が後方側に凹状に退く形に折り曲げられた曲げ板状の部材から成る。上記上部中央ブラケット25には、その後方側に退いた中間板部分に、後方側に突出する中央ピン25Bが取り付けられている。
【0033】
上記中央ピン25Bには、前出のバックフレーム10の左右両サイドの上部箇所に設けられた各引掛ピン16Aとの間に、それぞれ、細長なループ形状に繋がれた各ループワイヤ50が引掛けられた状態にセットされている。上記各ループワイヤ50は、それぞれ、1本の鋼線材が細長なループ形状を成す形に繋げられた構成とされる。そして、各ループワイヤ50は、それらの内側の端部がそれぞれ中央ピン25Bに通され、外側の端部が各側の引掛ピン16Aに分かれて通された状態とされる。
【0034】
上記各ループワイヤ50は、
図4に示すように、上記中央ピン25Bと各側の引掛ピン16Aとの間を互いに左右対称状に延びる細長なループ形状とされる。各ループワイヤ50は、弾性マット20に着座者の背凭れ荷重が掛けられる前の常時は、弾性マット20が前出の各引張バネ42により前方へ押し出された状態に保持される付勢作用によって、各引掛ピン16Aから中央ピン25Bに向かって前下がり状に斜めに延びる形となって保持される。
【0035】
上記各ループワイヤ50は、弾性マット20に着座者の背凭れ荷重が掛けられることで、弾性マット20が各引張バネ42の付勢力に抗して後側へ押し込まれるのに伴い、それらのループ内で中央ピン25Bを長手方向に滑らせながら弾性マット20の後方移動を逃がすようになっている。したがって、弾性マット20の後方移動が各ループワイヤ50によって阻害されないことから、弾性マット20により着座者の背部を底付き感を感じさせることなくクッション性良く弾性支持することができる。
【0036】
上記各ループワイヤ50は、車両の旋回時や路面凹凸への乗り上がり時等、車両から着座者に横方向の慣性力が入力される時には、それに伴う弾性マット20のシート幅方向の移動を次のように突っ張って規制する。すなわち、上記弾性マット20が、車両からの横方向の慣性力の入力に伴い、例えば着座者の背部に押されて右方向に動かされた場合には、左側の引掛ピン16Aと中央ピン25Bとの間に掛けられたループワイヤ50がこれらの間で突っ張って弾性マット20の同方向への移動を規制する。
【0037】
同様に、弾性マット20が着座者の背部に押されて左方向に動かされた場合には、右側の引掛ピン16Aと中央ピン25Bとの間に掛けられたループワイヤ50がこれらの間で突っ張って弾性マット20の同方向への移動を規制する。このように、着座者の背部を支える弾性マット20の横移動が各ループワイヤ50の突っ張りにより規制されるようになっていることで、着座者の頭部が揺さ振られにくくなる。その結果、上記のような横移動が起きても、着座者の視線を安定させることができる。
【0038】
また、上記のような弾性マット20の横移動を抑制する作用は、弾性マット20をバックフレーム10に対して弾性支持する左右一対の引張バネ42及び圧縮バネ41によっても発揮される。具体的には、弾性マット20が着座者の背部に押されて右方向或いは左方向に動かされた場合、そのどちらの時にも各引張バネ42と各圧縮バネ41とが弾性マット20のバックフレーム10に対する横移動を弾発力により抑制するように作用する。
【0039】
すなわち、各圧縮バネ41は、
図5で前述したように、それらの前側の端部と後側の端部とがそれぞれ弾性マット20の下部取付プレート24とバックフレーム10の下部取付プレート15とに一体的に固定された構成とされる。そのようなことから、各圧縮バネ41は、弾性マット20が後方に押し込まれた際にも、左右に揺さぶられた際にも、それらの動きをバックフレーム10に対して弾性的に抑制するような弾発力を発揮できる構成とされる。
【0040】
したがって、弾性マット20が横方向に動かされた際には、どちらかのループワイヤ50が突っ張る位置で弾性マット20の横移動が急激的に止められるのではなく、各引張バネ42及び各圧縮バネ41により発揮される弾発力による抑止力によって、弾性マット20の横移動を徐々に強く押さえ込むように緩やかに抑制することができる。
【0041】
(バックボード30の構成について)
バックボード30は、バックフレーム10に後方から覆い被さる形にセットされる平板状の背板部31と、背板部31の全周縁から前方に向かってフランジ状に延びる張出部32と、を有する。上記背板部31は、上記バックフレーム10の各サイドフレーム11とアッパフレーム12とに後方から覆い被さる形にセットされる大きさを備える。
【0042】
張出部32は、背板部31の全周縁から前方に張り出す形状とされて、背板部31の曲げや捩りに対する剛性を高めると共に、バックフレーム10の周囲側面を被覆する。上記バックボード30は、上記バックフレーム10に後方から覆い被さる形にセットされて、その所々の箇所がバックフレーム10に後方から引掛けられたりスナップフィット嵌合されたりすることで一体的に固定される。
【0043】
(まとめ)
以上をまとめると、本実施形態に係るシートバック1は、次のような構成となっている。すなわち、着座者の背部を支持するシートバック(1)であって、内部骨格を成すバックフレーム(10)と、バックフレーム(10)に前方から覆い被さる形に組み付けられて着座者の背部を面状に弾性支持する弾性マット(20)と、弾性マット(20)の着座者の背部を支持する天板部(21)の下部領域をバックフレーム(10)に対して裏側から弾性支持すると共に下部領域のバックフレーム(10)に対するシート幅方向の移動を弾発力により抑制する弾性体(41)と、を有する。
【0044】
上記構成によれば、弾性マット(20)の天板部(21)の下部領域が弾性体(41)により裏側から弾性支持されることで、弾性マット(20)によりクッション性の良い弾性支持を行うことができる。また、着座者に乗物からの横方向の慣性力が入力された際、背部を支える弾性マット(20)の下部領域の横移動が弾性体(41)の弾発力により抑制されることで、着座者の頭部が揺さ振られにくくなる。
【0045】
また、弾性体(41)が、弾性マット(20)の下部領域の裏面部とバックフレーム(10)とにそれぞれ一体的に結合される。上記構成によれば、弾性体(41)を介して弾性マット(20)の下部領域の横移動をより適切に抑制することができる。
【0046】
また、弾性体(41)が、弾性マット(20)の下部領域の裏面部に沿って一体成形されたマット側取付プレート(24)と、バックフレーム(10)に接合されたフレーム側取付プレート(15)と、に各側の端部が掛け止められた圧縮バネ(41)から成る。上記構成によれば、圧縮バネ(41)により、弾性マット(20)の下部領域の弾性支持と横移動の抑制とを安定して行うことができる。
【0047】
《第2の実施形態》
続いて、本発明の第2の実施形態に係るシートバック1の構成について、
図6を用いて説明する。本実施形態に係るシートバック1は、弾性マット20の着座者の背部を支持する天板部21の下部領域をバックフレーム10に対して裏側から弾性支持する弾性体が、柱状のゴム43により形成されている。ここで、各ゴム43が、それぞれ本発明の「弾性体」に相当する。
【0048】
各ゴム43は、それらの後端部が、ロアパネル13に溶接された下部取付プレート15(本発明の「フレーム側取付プレート」に相当する。)の各座面部15A上に形成された筒状の各嵌合部15C内に前方から嵌め込まれて一体的に固定されている。また、各ゴム43は、それらの前端部が、弾性マット20のインサートワイヤ23の各曲返し部23Bが通る各肉盛り部21Aの曲げ返し領域に肉抜き形成された凹状の各嵌合部24C内に後方から嵌め込まれて一体的に固定されている。
【0049】
上記構成とされた各ゴム43は、弾性マット20が後方に押し込まれた際にも、左右に揺さぶられた際にも、それらの動きを弾性的に抑制可能な弾発力を発揮できる構成とされる。したがって、弾性マット20が横方向に動かされた際には、各ゴム43により発揮される弾発力による抑止力によって、弾性マット20の横移動を徐々に強く押さえ込むように抑制することができる。なお、上記以外の構成については、第1の実施形態で示した構成と同様の構成となっているため、同一の符号を付して説明を省略することとする。
【0050】
(まとめ)
以上をまとめると、本実施形態に係るシートバック1は、次のような構成となっている。すなわち、着座者の背部を支持するシートバック(1)であって、内部骨格を成すバックフレーム(10)と、バックフレーム(10)に前方から覆い被さる形に組み付けられて着座者の背部を面状に弾性支持する弾性マット(20)と、弾性マット(20)の着座者の背部を支持する天板部(21)の下部領域をバックフレーム(10)に対して裏側から弾性支持すると共に下部領域のバックフレーム(10)に対するシート幅方向の移動を弾発力により抑制する弾性体(43)と、を有する。
【0051】
上記構成によれば、弾性マット(20)の天板部(21)の下部領域が弾性体(43)により裏側から弾性支持されることで、弾性マット(20)によりクッション性の良い弾性支持を行うことができる。また、着座者に乗物からの横方向の慣性力が入力された際、背部を支える弾性マット(20)の下部領域の横移動が弾性体(43)の弾発力により抑制されることで、着座者の頭部が揺さ振られにくくなる。
【0052】
また、弾性体(43)が、弾性マット(20)の下部領域の裏面部とバックフレーム(10)とにそれぞれ一体的に結合される。上記構成によれば、弾性体(43)を介して弾性マット(20)の下部領域の横移動をより適切に抑制することができる。
【0053】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を2つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、各種の形態で実施することができるものである。
【0054】
1.本発明のシートバックは、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシートにも広く適用することができるものである。また、シートバックは、乗物用シートの他、スポーツ施設や、劇場、コンサート会場、イベント会場等の各施設に設置される観覧席や、マッサージシート等の様々なシートにも広く適用することができるものである。
【0055】
2.弾性マットは、東レ・デュポン株式会社製「ハイトレル」(登録商標)以外のポリエステル系熱可塑性エラストマーから成るものであっても良い。また、ゴムや他の樹脂材料から成るものであっても良い。
【0056】
3.弾性体は、圧縮バネやゴムの他、引張バネやいわゆるフィッシュマウスバネ等のバネ材から成るものであってもよい。また、弾性体は、バネとゴムとの組み合わせから成る構成であっても良い。上記弾性体は、弾性マットの天板部の下部領域における中央1箇所或いはシート幅方向の3箇所以上に分かれて設けられる構成であっても良い。