【解決手段】表示制御装置は、移動体内に配置される表示装置を制御する表示制御装置であって、前記移動体の外の状況を撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、前記表示装置により遮られる視界を補う補足画像を前記撮影画像に基づき生成する画像生成部と、前記補足画像を前記表示装置の表示画面に表示させる表示処理部と、を備える。
前記設定部は、前記移動体の運転主体を示す運転モードと、前記移動体の周辺状況と、前記移動体を運転する者の状況とのうちの少なくともいずれか一つに基づき、前記表示範囲の設定を行う、請求項4に記載の表示制御装置。
前記表示処理部は、所定の条件を満たす場合と満たさない場合とで、異なる画質の前記補足画像を前記表示画面に表示させる、請求項1から5のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、本発明が車両に適用される場合を例に挙げて説明する。本発明が適用される車両は、詳細には自動車であってよい。ただし、本発明は、車両に限らず、人が乗ることができる移動体に広く適用可能である。
【0018】
<1.表示システム>
図1は、本発明の実施形態に係る表示システム100の構成を示す図である。
図1に示すように、表示システム100は、表示制御装置1と、表示装置2と、撮影装置3と、を備える。
【0019】
表示制御装置1は、表示装置2を制御する。詳細には、表示制御装置1は、表示装置2の表示を制御する。表示制御装置1は、表示装置2と別個のものであってもよいが、表示装置2の一部として表示装置2内に組み込まれてもよい。また、表示制御装置1は、撮影装置3と有線又は無線で接続され、撮影装置3から情報を取得する。表示制御装置1の詳細については後述する。
【0020】
表示装置2は、画像を表示する。表示装置2は、画像を表示する表示画面を有する。表示画面は、例えば液晶表示パネル、有機ELパネル、プラズマ表示パネル等で構成されてよい。表示装置2は、車両(移動体)内に配置される。表示装置2の表示画面は、車室内に臨む。本実施形態において、表示装置2は、例えばCID(Center Information Display)等の車載表示装置である。表示装置2は、例えばナビゲーション機能やオーディオ機能等を備えてよい。表示装置2は、例えば地図の表示、映像コンテンツの表示、各種の操作を行うためのメニュー表示等が可能な装置であってよい。
【0021】
図2は、車室内の表示装置2の周辺を示す図である。本実施形態では、表示装置2は、窓4を有する車両内に配置される。窓4は、車両の外を見ることができるように設けられた開口部であり、当該開口部には、例えばガラスや樹脂等で構成される透明部材5が配置されている。本実施形態では、窓4は、車両の前方に設けられるフロントウィンドウである。透明部材5は、フロントガラスである。
【0022】
本実施形態では、表示装置2はダッシュボード6に取り付けられる。表示装置2は大型であり、上辺2aがフロントウィンドウ4の下辺4aより高くなっている。表示装置2は、窓4からの視界の一部を遮る。ここで言う視界は、車両の乗員の視界であり、例えば車両を運転する運転者等の視界である。本実施形態では、表示装置2は、少なくとも運転者の視界の一部を遮る。
【0023】
撮影装置3は、車両(移動体)に搭載され、車両の外の状況を撮影する。本実施形態では、撮影装置3は車両の前方を撮影するカメラである。本実施形態では、撮影装置3は車両の室外に配置される。撮影装置3は、車両の前端部(例えばフロントバンパ等)に配置される。ただし、撮影装置3は、車両の室内に配置されてもよい。撮影装置3は、撮影した画像(撮影画像)を表示制御装置1に出力する。
【0024】
本構成の表示システム100によれば、撮影装置3で撮影した撮影画像を用いて表示装置2によって遮られた視界を補うことができる。すなわち、本実施形態によれば、視界を十分に確保して移動体の運転の安全性を確保することができる。
【0025】
その他、本実施形態においては、表示制御装置1には、車両情報、環境情報、および、運転者情報が入力される。車両情報は、表示装置2が搭載される車両に関する情報である。車両情報には、例えば車両の速度や運転モード等が含まれてよい。運転モードは、車両の運転主体を示し、手動運転モードと自動運転モードとが含まれる。手動運転モードは、人が運転するモードであり、自動運転モードは、車両に備えられる自動運転装置が運転を行うモードである。車両情報は、例えばCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを介して表示制御装置1に入力されてよい。
【0026】
環境情報は、車両の周辺状況を知らせる情報である。環境情報は、例えば、車両に搭載されるカメラ、レーダ、超音波センサ等から取得されてよい。運転者情報は、車両を運転する運転者に関する情報である。運転者情報には、例えば、運転者の心拍や発汗量等を測定するセンサから取得される情報や、運転者の姿勢や行動を監視するカメラから取得される情報等であってよい。心拍等の生体情報を得るためのセンサは例えばハンドル等に配置されてよい。
【0027】
<2.表示制御装置>
図1に示すように、表示制御装置1は、制御部11と記憶部12とを備える。制御部11は、表示制御装置1の全体を制御する。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及び、ROM(Read Only Memory)などを備えるコンピュータで構成される。記憶部12は、制御部11が動作するために必要なコンピュータプログラムおよびデータを不揮発的に記憶する。記憶部12としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等を用いることができる。
【0028】
図1に示す画像取得部111、画像生成部112、表示処理部113、および、設定部114は、記憶部12に記憶されるコンピュータプログラムの実行により実現される制御部11の機能である。換言すると、表示制御装置1は、画像取得部111と、画像生成部112と、表示処理部113と、設定部114とを備える。
【0029】
なお、制御部11が備える各機能部111〜114の少なくともいずれか1つは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部11が備える各機能部111〜114は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてよい。
【0030】
画像取得部111は、車両(移動体)の外の状況を撮影した撮影画像を取得する。詳細には、画像取得部111は、車両の前方を撮影する撮影装置3で撮影した撮影画像を取得する。画像取得部111は、撮影装置3からアナログ又はデジタルの撮影画像を所定の周期で時間的に連続して取得する。そして、取得した時間的に連続した撮影画像がアナログの場合には、画像取得部111は、そのアナログの撮影画像をデジタルの撮影画像に変換(A/D変換)する。
【0031】
画像生成部112は、表示装置2により遮られる視界を補う補足画像を、画像取得部111で取得された撮影画像に基づき生成する。画像生成部112は、表示装置2に表示させることを想定して補足画像を生成する。すなわち、補足画像は、表示装置2による表示用の画像である。補足画像は、表示装置2に遮られる視界の少なくとも一部を補うことができる画像であればよい。補足画像は、フロントウィンドウ4越しに見える風景の画像(風景画像)を含む。補足画像は、表示装置2に遮られた視界を補うための画像以外の画像を含んでもよい。
【0032】
本実施形態では、画像生成部112は、運転者のフロントウィンドウ4越しの視界のうち、表示装置2に遮られる領域を補うための画像を含む補足画像を、撮影装置3で撮影された撮影画像に基づき生成する。画像生成部112は、運転者の視界が表示装置2に遮られる領域について、表示装置2が無かったとした場合にフロントウィンドウ4越しに見える風景の画像を撮影装置3で撮影された撮影画像から取得して、補足画像を生成する。画像生成部112は、表示装置2が無かったとした場合にフロントウィンドウ4越しに見える風景が表示装置2の表示画面に重なるように、補足画像を生成する。
【0033】
ところで、運転者の視界が表示装置2に遮られる領域は、運転者の目の位置により変化する。このために、補足画像を生成するに際しては、運転者の運転時の目の位置を設定する必要がある。運転者の運転時の目の位置は、例えば車両の室内に設置されるカメラ等のセンサから得られる情報によって自動的に設定されてよい。また、運転者の運転時の目の位置は、運転者の入力操作により手動で設定されてもよい。例えば、運転者の入力操作に対応して運転者の目の位置を変えた場合の補足画像が表示装置2の表示画面に切り替えて表示される構成とし、運転者が切り替えて表示される補足画像を見ながら運転時の目の位置の好ましい設定を決定してもよい。
【0034】
本実施形態では、サイズが既知の表示装置2が車両の所定位置に固定配置されている。このために、運転者の運転時の目の位置が設定されると、運転者の視界が表示装置2によって遮られる領域が決定される。また、撮影装置3も予め決められた位置に固定配置されている。このために、運転者の視界が表示装置2に遮られる領域について、表示装置2が無かったとした場合にフロントウィンドウ4越しに見える風景が撮影装置3における撮影画像に映る位置を特定することができる。したがって、画像生成部112は、運転者の視界が表示装置2に遮られる領域について、表示装置2が無かったとした場合にフロントウィンドウ4越しに見える風景の画像を撮影装置3で撮影された撮影画像から取得して、補足画像を生成することができる。
【0035】
なお、画像生成部112は、撮影装置3で撮影された撮影画像の画質を調整して、画質調整された撮影画像に基づいて補足画像を生成してもよい。例えば、画像生成部112は、車両の外部に設けられる照度センサによる照度の測定結果に応じて、撮影画像の色味やコントラストを肉眼で見るフロントウィンドウ4越しの風景に近い値に補正し、当該補正した撮影画像に基づいて補足画像の生成を行ってよい。画質の調整処理は、画像生成部112で行われずに、例えば画像取得部111で行われてもよい。
【0036】
表示処理部113は、補足画像を表示装置2の表示画面に表示させる。表示処理部113は、表示装置2を制御して画像生成部112で生成した補足画像を表示させる処理を行う。
図3は、本発明の実施形態に係る表示処理部113の制御処理の下、表示装置2の表示画面に表示される補足画像200の一例を示す図である。
図3においては、補足画像200について理解しやすいように、フロントウィンドウ4越しに見える実風景300も一緒に示している。
【0037】
図3に示すように、表示画面に表示される補足画像200は、フロントウィンドウ4越しに見える実風景300にほぼ繋がって見える。本実施形態によれば、表示装置2によって視界が遮られているにもかかわらず、それを補う画像(風景画像)が表示装置2の表示画面に表示される。このために、本実施形態によれば、視界を遮る表示装置2が存在するにもかかわらず、適切に視界を確保することができる。
【0038】
なお、
図3に示す例では、補足画像200は、表示装置2により遮られた領域に対応する画像以外の画像を含む。詳細には、補足画像200は、ボンネット等の車両のボディの死角になって本来は見えない部分の画像も含む。これにより、運転者の視界を広げることができる。補足画像200は、表示装置2により遮られた領域に対応する画像のみで構成されてもよい。この場合には、補足画像200は、表示装置2の表示画面の一部にのみ表示されてよい。
【0039】
本実施形態では、表示処理部113は、表示装置2の表示画面における表示範囲を切り替えて補足画像200を表示させる。これによれば、例えば車両周辺の状況や、運転者の状況等を加味して、補足画像200の表示範囲を変えることができ、表示画面を効率良く使用することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、切替え可能な表示範囲の設定には、表示装置2の表示画面に補足画像200の表示が行われない表示範囲無し(表示範囲ゼロ)が含まれる。これによれば、必要に応じて補足画像以外の画像を表示画面の全体に表示することが可能であり、表示装置2の利用態様の幅が広がる。表示範囲の設定に関する詳細については後述する。
【0041】
設定部114は、補足画像200の表示画面における表示範囲を設定する。表示処理部113は、設定部114の設定結果に応じて表示範囲を切り替えて補足画像200を表示させる。これによれば、例えば車両周辺の状況や、運転者の状況等に応じて自動的に補足画像200の表示範囲を変更することができる。
【0042】
設定部114は、車両(移動体)の運転主体を示す運転モードと、車両の周辺状況と、車両を運転する者の状況との少なくともいずれか一つに基づき、表示範囲の設定を行うことが好ましい。これによれば、表示装置2の表示画面に危険の有無に応じた適切な画像を表示させることができる。
【0043】
なお、表示範囲を自動的に設定する設定部114は設けられなくてもよい。例えば、補足画像200の表示範囲は切替え不能であってもよく、この場合には設定部114は不要である。また、補足画像200の表示範囲は、運転者等の車両の乗員により手動で切り替えられてもよく、手動での切替えが可能な場合には設定部114は設けられなくてよい。設定部114によって自動的に表示範囲が切り替えられるモードと、手動によって表示範囲が切り替えられるモードとが選択可能に設けられてもよい。
【0044】
次に、以上のように構成される表示制御装置1の動作例について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る表示制御装置1の動作例を示すフローチャートである。表示制御装置1の動作は、例えば車両の電源(ACC等)がオンされた場合、表示装置2の電源がオンされた場合、イグニッションがオンされた場合等に開始される。
【0045】
なお、表示制御装置1は、
図4に示す処理の開始前に補足画像200の表示処理に必要となる初期設定を行ってよい。初期設定には、上述した運転者の運転時の目の位置の設定が含まれてよい。この場合、当該目の位置の設定は、自動的に行われてもよいし、表示制御装置1の要求に応じて運転者等が手動で設定してもよい。また、運転時の目の位置は、最初に設定されるのではなく、例えば、各補足画像の生成の前に毎回設定される構成であってもよい。
【0046】
ステップS1では、画像取得部111が撮影装置3により撮影された撮影画像を取得する。本実施形態では、画像取得部111は、所定の周期で撮影画像を取得するが、これは例示にすぎない。画像取得部111は、必要に応じて撮影画像を撮影装置3から取得する構成であってもよい。画像取得部111による撮影画像の取得が完了すると、次のステップS2に処理が進められる。
【0047】
ステップS2では、画像生成部112が画像取得部111で取得した撮影画像に基づき補足画像200を生成する。本実施形態では、画像取得部111で撮影画像を取得するごとに補足画像200を生成する。ただし、これは例示にすぎず、補足画像200は、例えば、表示装置2の表示画面に補足画像を表示する必要がある場合にのみ生成される構成であってもよい。補足画像200の生成が完了すると、次のステップS3に処理が進められる。
【0048】
ステップS3では、設定部114が補足画像200の表示範囲の設定を行う。設定部114は、例えば、補足画像200の表示範囲を表示画面の全体に設定するか、表示範囲をゼロに設定するかのいずれかとする。表示範囲の設定の選択肢には、表示範囲を表示画面の一部に設定する構成が含まれてもよい。補足画像200の表示範囲の設定処理例については後述する。設定部114による補足画像200の表示範囲の設定処理が完了すると、次のステップS4に処理が進められる。
【0049】
ステップS4では、表示処理部113が、補足画像200の表示範囲の設定結果にしたがって、表示装置2の表示画面に補足画像200を表示させる。設定部114によって表示範囲が表示画面全体に設定された場合、例えば
図3に示すように、補足画像200が表示画面の全体に表示される。設定部114によって表示範囲がゼロに設定された場合、表示処理部113は、表示画面に補足画像200とは別の画像が表示させる処理を行うか、表示画面に画像を表示させない。表示処理部113による表示処理が完了すると、次のステップS5に処理が進められる。
【0050】
ステップS5では、制御部11は動作終了イベントが発生したか否かを確認する。動作終了イベントは、例えば表示装置2の電源オフ指令等により発生する。動作終了イベントが発生した場合(ステップS5でYes)、表示制御装置1の動作が終了する。動作終了イベントが発生していない場合(ステップS5でNo)、ステップS1の処理に戻る。
【0051】
なお、ステップS5を実施する代わりに、表示制御装置1の動作終了イベントが発生しているか否かを表示制御装置1がフローチャートの動作中常時監視し、表示制御装置1の終了イベントが発生すれば直ちにフローチャートの動作を終了するようにしてもよい。
【0052】
図5は、設定部114による補足画像200の表示範囲の設定処理を例示するフローチャートである。ステップS31では、設定部114は、車両の周辺に危険因子があるか否かを判断する。危険因子としては、例えば、道路上における障害物の存在、側溝の存在、他車両の接近、道幅の減少等が挙げられる。危険因子の発見には、例えば、車両に搭載されるカメラ、レーダ、超音波センサ等が利用される。設定部114は、危険因子があると判断した場合には(ステップS31でYes)、ステップS32に処理を進める。設定部114は、危険因子がないと判断した場合には(ステップS31でNo)、ステップS33に処理を進める。
【0053】
ステップS32では、設定部114は、補足画像200の表示範囲を表示画面全体に設定する。危険因子が存在するために、運転者の視界を広く確保するためである。
図6は、補足画像200の表示範囲が表示画面全体に設定された場合の表示例を示す図である。
図6に示す例では、道路上に障害物7があるために、設定部114で危険因子が存在すると判断され、補足画像200の表示範囲が表示画面全体に設定されている。
【0054】
図7は、補足画像200の表示範囲が表示画面全体に設定された場合の別の表示例を示す図である。上述の
図6に示す例では、道路上に障害物7が存在し、補足画像200内に障害物7が映る。このような場合には、運転者に注意を喚起するために、障害物7を目立たせることが好ましい。
図7に示す例では、表示処理部113による表示処理の際に障害物7を目立たせるための処理が施されている。詳細には、障害物7を枠8で囲って目立たせている。枠8の色は、例えば赤色等の目立つ色が好ましい。障害物7を目立たせることができればよいために、例えばマーキング処理や拡大処理等の枠8で囲む以外の処理が施されてもよい。
【0055】
なお、運転者に注意を喚起する対象には、道路上の障害物7に限らず、運転に危険をもたらす危険因子が広く含まれてよい。危険因子には、例えば、路面に形成された穴や側溝等が含まれてよい。また、運転者に注意を喚起するための処理は、補足画像200の表示範囲が表示画面の一部である場合に行われてもよい。
【0056】
ステップS33では、設定部114は、運転者に余裕があるか否かを判断する。運転者に余裕があるか否かの判断には、例えば、心拍数や発汗量等をセンサにて測定するバイタルセンシングが利用されてよい。また、運転者に余裕があるか否かは、運転者を撮影するカメラの映像に基づいて判断されてもよい。設定部114は、運転者に余裕がないと判断した場合には(ステップS33でNo)、上述のステップS32に処理を進める。設定部114は、運転者に余裕があると判断した場合には(ステップS33でYes)、ステップS34に処理を進める。なお、ステップS33の処理とステップS31の処理とは、順番が入れ替られてもよい。
【0057】
ステップS34では、設定部114は、補足画像200の表示範囲をゼロに設定する。
図8は、補足画像200の表示範囲がゼロに設定された場合の表示例を示す図である。
図8に示す例では、表示装置2の表示画面には、車両の存在位置近傍の地図情報が表示されている。ただし、表示画面に表示される画像は、地図以外でも勿論よく、例えばオーディオに関する情報や操作メニュー等であってもよい。
【0058】
以上からわかるように、本実施形態では、注意を喚起すべき危険が生じているか否かによって、表示装置2の表示画面に補足画像200が表示されるか否かが切り替わる。換言すると、注意を喚起すべき危険が生じているか否かによって、補足画像200の表示範囲が切り替わる。注意を喚起すべき危険が生じている場合には、表示画面に補足画像200が表示される。注意を喚起すべき危険が生じていない場合には、表示画面に補足画像200が表示されない。
【0059】
また、以上では、補足画像200の表示範囲の設定が、画面全体であるか、表示なしかの2種類のみである例を示したが、これは例示にすぎない。例えば、補足画像200の表示範囲の設定が、画面全体、画面の一部、および表示なしの3つから選択される構成等であってもよい。
【0060】
図9は、補足画像200の表示範囲が表示画面の一部に設定された場合の表示例を示す図である。
図9に示す例では、表示装置2の表示画面のうち、上辺からフロントウィンドウ4の下辺4aに相当する高さ位置までの範囲に補足画像200が表示されている。補足画像200の下には、一例としてオーディオの操作メニューが表示されている。ただし、表示画面の上部と下部を2つに分ける場合に、どのような割合で分けるかは適宜変更されてよい。また、上部と下部に表示される画像も必要に応じて変更されてよい。例えば、上部にオーディオの操作メニュー、下部に撮影装置3で撮影された撮影画像から生成される風景画像が表示される構成としてもよい。
【0061】
また、設定部114は、運転モードが手動運転モードであるか、自動運転モードであるかに基づいて、補足画像200の表示範囲を設定してよい。例えば、手動運転モードである場合には、設定部114は、
図5に示すフローチャートにしたがって表示範囲を設定してよい。また、設定部114は、自動運転モードである場合には、運転者に余裕があるために補足画像200の表示範囲をゼロとしてもよい。
【0062】
図10および
図11は、運転モードが自動運転モードである場合の表示例を示す図である。
図10および
図11に示す例では、フロントウィンドウ4と略同サイズのスクリーン9上に映画等のコンテンツ画像が表示されている。スクリーン9の代わりに、例えばフロントガラス5が利用されてよい。
図10および
図11においては、表示画面の上部はスクリーン9に隠れて見えない。
【0063】
図10においては、表示装置2の表示画面の下部に、一例として字幕および操作キーが表示されている。
図11においては、表示装置2の表示画面の下部に、一例として撮影装置3で撮影された撮影画像から生成される風景画像が表示されている。自動運転モードにおいても、運転者が外の状況を確認できるようにするためである。
【0064】
なお、表示画面の上部が隠れていない場合には、表示画面の上部に例えばコンテンツ画像の一部が表示されてもよい。
【0065】
<3.留意事項>
本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で適宜組み合わせて実施されてよい。
【0066】
例えば、表示処理部113は、所定の条件を満たす場合と満たさない場合とで、異なる画質の補足画像200を表示画面に表示させてよい。画質の切替え処理自体は、表示処理部113で行われてもよいし、例えば画像生成部112等の他の機能部で行われてもよい。本構成によれば、例えば車両の乗員が不安や不快感等を抱きそうな画像を見え難くするといったことを行うことができ、車両の乗員に補足画像200を快適に見せることが可能になる。
図12は、表示処理部113の表示処理の際に、補足画像200の画質処理が行われる手順を示すフローチャートである。
【0067】
ステップS41では、表示処理部113は、車両の速度が所定速度以上であるか否かを確認する。車両の速度は、車載ネットワークを介して取得することができる。所定速度は、実験等を行うことで適宜決定されてよい。所定速度は、例えば、表示画面に映る補足画像200を見る車両の乗員が恐怖感を感じ始める速度であってよい。例えば補足画像200に車両に近い位置の路面が含まれる場合等に、車両の乗員が車両の速度が速くなることで恐怖感を抱き易くなることを考慮するものである。表示処理部113は、車両の速度が所定速度以上である場合には(ステップS41でYes)、ステップS42に処理を進める。表示処理部113は、車両の速度が所定速度未満である場合には(ステップS41でNo)、ステップS43に処理を進める。
【0068】
ステップS42では、表示処理部113は、画像生成部112で生成された補足画像200にブラー(ぼかし)処理を実行し、ブラー処理後の補足画像200を表示させる処理を行う。これにより、車両の速度が速くなった場合において、表示画面に映る補足画像200を見た者に与える恐怖感を抑制することができる。ブラー処理に替えて、例えば、補足画像200の画質を粗くする処理が行われてもよい。
【0069】
ステップS43では、表示処理部113は、画像生成部112で生成された補足画像200に所定の画像が含まれるか否かを判断する。所定の画像は、例えば、道路上に存在する動物の死骸の画像等、人が見たくないと感じる画像である。補足画像200に所定の画像が含まれる場合(ステップS43でYes)、上述のステップS42に処理が進められる。これにより、補足画像200を見る運転者等の乗員に不快感を与えられることを抑制できる。補足画像200に所定の画像が含まれない場合(ステップS43でNo)、ステップS44に処理が進められる。なお、ステップS41の処理とステップS43の処理とは入れ替えて実行されてよい。
【0070】
ステップS44では、表示処理部113は、画像生成部112で生成された補足画像200にブラー(ぼかし)処理を行うことなく、補足画像200を表示画面に表示させる処理を行う。すなわち、表示処理部113は、画像生成部112で生成された補足画像200の画質を変更することなく、補足画像200を表示画面に表示させる処理を行う。
【0071】
また、以上においては、補足画像200は、フロントウィンドウ4越しに見える実風景300にほぼ繋がって見える構成とした(
図3参照)。ただし、これは例示にすぎない。
図13は、表示装置2の表示画面に表示される補足画像200の他の例を示す図である。
図13に示すように、補足画像200は、表示装置2により遮られる視界を補う画像であればよいために、撮影装置3で撮影された画像をそのまま表示装置2の表示画面に表示させたものであってもよい。これによれば、撮影装置3で撮影された撮影画像に対して複雑な処理を行う必要がなく、制御部11の処理負担を低減できる。
【0072】
また、以上に示す例においては、補足画像200は、表示装置2により遮られる運転者の視界を補足するものとした。これは例示にすぎない。補足画像200は、表示装置2により遮られる運転者の視界を補足するものだけなく、表示装置2により遮られる運転者以外の乗員の視界も補足するものであってよい。この場合には、制御部11は、例えば車室に設けられるカメラやDSM(Driver Status Monitor)等を利用して、表示装置2の表示画面を見ている者を特定する。そして、制御部11は、表示装置2の表示画面を見ている者を基準に補足画像を生成する構成としてよい。
【0073】
なお、表示装置2の表示画面を同時に見る者が複数居るといった事態が起こり得る。このような事態が起こった場合には、予め定めた優先順位が高い者を基準に補足画像が生成される構成としてよい。優先順位は、例えば運転者が最も高く設定される。