【解決手段】ガス発生器のフィルタの軸方向両端部のうち少なくとも一方の端部には、ハウジング内で平坦な面によって支持される軸方向端面であるフィルタ端面と、フィルタ端面に対して軸方向に窪むと共に燃焼室に繋がる凹部と、が形成され、フィルタは、凹部の開口部のうちガス発生剤の燃焼により生成される燃焼ガスが流れ込む内側開口部を除いた開口部が、少なくとも平坦な面を含む閉塞部材により閉塞された状態で配置される。
前記ハウジングは、筒状の周壁部と、前記周壁部の一端部を閉塞する天板部と、他端部を閉塞することで前記周壁部及び前記天板部と共に前記ハウジングの内部空間を画定する底板部と、を有し、
前記ハウジング内には、前記点火器である第1点火器と、第2点火器と、が配置され、
前記ガス発生器は、前記ハウジングの前記内部空間を、前記ハウジングの軸方向において、前記燃焼室である前記天板部側の第1燃焼室と、前記第2点火器により燃焼されるガス発生剤が収容される前記底板部側の第2燃焼室と、に分割する隔壁部材を備え、
前記フィルタの前記軸方向両端部のうち前記一方の端部は、前記隔壁部材に支持され、
前記フィルタの前記軸方向両端部のうち他方の端部は、前記天板部に支持されている、
請求項1から5の何れか一項に記載のガス発生器。
前記ハウジングは、筒状の周壁部と、前記周壁部の一端部を閉塞する天板部と、他端部を閉塞することで前記周壁部及び前記天板部と共に前記ハウジングの内部空間を画定する底板部と、を有し、
前記底板部には、前記点火器が固定され、
前記フィルタの前記軸方向両端部のうち前記一方の端部は、前記底板部に支持され、
前記フィルタの前記軸方向両端部のうち他方の端部は、前記天板部に支持されている、
請求項1から5の何れか一項に記載のガス発生器。
前記ハウジングは、筒状の周壁部と、前記周壁部の一端部を閉塞する天板部と、他端部を閉塞することで前記周壁部及び前記天板部と共に前記ハウジングの内部空間を画定する底板部と、を有し、
前記底板部には、前記点火器が固定され、
前記ガス排出孔は、前記ハウジングの軸方向において、前記底板部と前記天板部との中間位置よりも前記天板部側に位置し、
前記ガス発生器は、前記ガス排出孔と前記底板部との間に設けられ、前記周壁部の内周面から径方向内側に突出した支持壁部を備え、
前記フィルタの前記軸方向両端部のうち前記一方の端部は、前記支持壁部に支持され、
前記フィルタの前記軸方向両端部のうち他方の端部は、前記天板部に支持されている、
請求項1から5の何れか一項に記載のガス発生器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ガス発生器においては、フィルタと燃焼ガスとの接触面積を増やすことが好ましく、これにより、燃焼ガスの冷却性能や濾過性能を向上させることができる。一方で、仮に、フィルタの上端部と該上端部を支持する部位との間、又はフィルタの下端部と該下端部を支持する部位との間に隙間が生じると、燃焼ガスの一部がフィルタを通らずに該隙間を通ってガス排出孔に至る、所謂「ショートパス」が生じる虞がある。ガス発生器においては、ショートパスの発生を抑制することも重要となる。
【0006】
本願開示のガス発生器は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルタを具備するガス発生器において、燃焼ガスのショートパスを抑制しつつも燃焼ガスの冷却性能や残渣の捕集性能を向上し得る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願開示のガス発生器は、以下の構成を採用した。即ち、本願開示のガス発生器は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置される点火器と、前記点火器により燃焼されるガス発生剤が収容される燃焼室と、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジングの内部と外部とを連通するガス排出孔と、前記燃焼室を内側に含むように前記燃焼室と前記ガス排出孔との間に配置される筒状のフィルタと、を備え、前記フィルタの軸方向両端部のうち少なくとも一方の端部には、前記ハウジング内で平坦な面によって支持される軸方向端面であるフィルタ端面と、前記フィルタ端面に対して軸方向に窪むと共に前記燃焼室に繋がる凹部と、が形成され、前記フィルタは、前記凹部の開口部のうち前記ガス発生剤の燃焼により生成される燃焼ガスが流れ込む内側開口部を除いた開口部が、少なくとも前記平坦な面を含む閉塞部材により閉塞された状態で配置されている。
【0008】
このようなガス発生器によると、凹部が燃焼室に繋がって形成されていることから、ガス発生剤が燃焼することで発生し、燃焼室内からガス排出孔に向かおうとする燃焼ガスの
一部が、凹部を介してフィルタに進入可能となる。これにより、フィルタにおいて凹部を形成する内壁を燃焼ガスとの接触面として利用することができる。ここで、「燃焼ガスとの接触面」とは、例えば、フィルタの表面のうち、燃焼ガスがフィルタに進入する際に燃焼ガスが通過する面のことを指し、「接触面積」とは、例えば、フィルタにおける接触面の面積の総和を指す。本願開示に係るガス発生器は、凹部を形成するフィルタの内壁を燃焼ガスとの接触面として利用することで、フィルタの燃焼ガスとの接触面積を増加させることができる。その結果、燃焼ガスの冷却性能や濾過性能を向上させることができる。
【0009】
また、本願開示のガス発生器では、フィルタの軸方向両端部のうち凹部が形成された端部の軸方向端面であるフィルタ端面を、ハウジング内で平坦な面で支持する構成とすることで、フィルタ端面と該平坦な面との間に隙間を形成し難くすることができる。これにより、燃焼ガスがフィルタを通らずに該隙間を通ってガス排出孔に至ることが抑制されている。ここで、凹部がフィルタ端面に対して軸方向に窪むと共に燃焼室に繋がるように形成されていることから、凹部は、少なくともフィルタ端面側とフィルタの内周面側において開口部を有することとなる。更に、本願開示のガス発生器は、凹部に形成された開口部のうち燃焼ガスが流れ込む内側開口部を除いた開口部を閉塞部材によって閉塞する構成としている。これにより、ガス発生剤の燃焼により生成され、内側開口部から凹部に流れ込んだ燃焼ガスが、フィルタを通らずに開口部を通ってガス排出孔に至ることも抑制されている。その結果、本願開示のガス発生器によれば、ショートパスの発生を抑制しつつも、フィルタの冷却性能及び濾過性能を向上させることができる。
【0010】
更に、凹部が燃焼室に繋がっているため、凹部をガス発生剤の収容空間として利用可能となり、ハウジング内のガス発生剤の充填量を増やすことができる。但し、本願開示のガス発生器は、例えば、ガス発生剤の大きさを凹部の大きさよりも大きくしたり、凹部の内側開口部を覆うように金網を設けたりすることで、ガス発生剤の形状を問わずガス発生剤が凹部に入り込まないような構造としてもよい。この場合、凹部が燃焼ガスの排出経路の一部となり、燃焼室で発生した燃焼ガスの排出を円滑に行うことができる。
【0011】
更に、凹部がフィルタの端部に形成されていることで、フィルタの端部におけるクッション性が高まり、ガス発生器の組立時にフィルタの固定や配置が容易になるという利点もある。
【0012】
なお、本願開示のガス発生器は、フィルタ端面とハウジング内の上記平坦な面との間に公知のガスケットやシール部材等を介在させた態様を除外するものではなく、このような構造を有するガス発生器も含んでもよい。また、点火器としては、駆動方式(電気着火式、機械着火式)を問わず、公知の点火器を使用することができ、公知の伝火薬を一体に又は別体に配置した態様のものを使用してもよい。
【0013】
また、ガス発生器において、前記凹部は、前記フィルタの内周方向に沿って複数並んで形成されていてもよい。この場合は、凹部を一つのみ形成する場合と比較して、フィルタと燃焼ガスとの接触面積及びガス発生剤の充填量を増加させることができる。
【0014】
また、本願開示のガス発生器において、前記凹部は、前記フィルタの内周面から外周面まで貫通しており、前記閉塞部材は、前記平坦な面に加えて、前記凹部の前記フィルタの外周面側に形成された外側開口部を覆うカバー部材を含み、前記フィルタは、前記凹部の前記フィルタ端面の側に形成された端面開口部が前記平坦な面によって閉塞され、前記凹部の前記外側開口部が前記カバー部材によって閉塞された状態で配置されてもよい。
【0015】
これによると、凹部をフィルタの内周面から外周面まで貫通させることで、凹部の容積をより大きく確保することができ、ガス発生剤の充填量をより増やすことができる。ここ
で、凹部がフィルタの外周面まで貫通することで、凹部は、フィルタ端面側とフィルタの内周面側に加え、フィルタの外周面側においても開口部を有することとなる。これに対して、閉塞部材が、凹部のフィルタ端面側に形成された端面開口部を上記平坦な面によって閉塞し、凹部のフィルタ外周面側に形成された外側開口部をカバー部材によって閉塞することで、凹部の内側開口部を除いた開口部が閉塞された状態とすることができる。その結果、凹部をフィルタの内周面から外周面まで貫通させながらも、ショートパスを抑制することができる。
【0016】
また、本願開示のガス発生器において、前記凹部は、前記フィルタの内周面から半径方向に該フィルタの厚さの途中まで延在しており、前記閉塞部材は、前記平坦な面であって、前記フィルタは、前記凹部の前記フィルタ端面の側に形成された端面開口部が前記平坦な面によって閉塞された状態で配置されてもよい。
【0017】
これによると、凹部がフィルタの外周面側に開口部を有さないので、凹部に形成された開口部のうち端面開口部を上記平坦な面で閉塞するのみで、凹部の内側開口部を除いた開口部が閉塞された状態とすることができる。この場合、凹部は、フィルタの厚さの半分以上にわたって形成されることが好ましい。
【0018】
また、本願開示のガス発生器において、前記ガス排出孔は、前記フィルタの軸方向において、前記フィルタの前記軸方向両端部のうちの前記一方の端部よりも他方の端部側の位置に形成され、前記フィルタ端面から前記凹部を形成する内壁において最も窪んだ部位までの前記軸方向における距離は、前記フィルタ端面から前記ガス排出孔までの前記軸方向における距離よりも短くなるように設定されていてもよい。
【0019】
これによると、凹部がフィルタにおけるガス排出孔近傍の位置までは形成されないこととなる。ここで、燃焼ガスは、ガス排出孔に向かって直線的に流れる傾向があるため、比較的多量の燃焼ガスが、フィルタにおけるガス排出孔に近い部位を通ってガス排出孔に至る傾向がある。これに対して、凹部が形成されると、燃焼ガスの一部が該凹部に流れ込み易くなる。本願開示のガス発生器によると、凹部をフィルタにおけるガス排出孔近傍の位置にまで形成せずに(即ち、凹部の形成をフィルタの端部付近にとどめて)、凹部へ流れ込むガスの量を増やすことで、該凹部内からフィルタの端部を通ってガス排出孔に至る燃焼ガスの量を増やすことができる。つまり、フィルタにおいて燃焼ガスの通過量が比較的少量である端部に凹部を形成し、燃焼ガスの排出経路として用いることで、フィルタの端部における燃焼ガスの通過量を増やすことができる。その結果、フィルタ全体で燃焼ガスを好適に冷却及び濾過することが可能となり、フィルタを効率的に使用することができる。
【0020】
なお、本願開示のガス発生器は、2つの燃焼室が上下に配置されたデュアルタイプのガス発生器であってもよい。即ち、ガス発生器において、前記ハウジングは、筒状の周壁部と、前記周壁部の一端部を閉塞する天板部と、他端部を閉塞することで前記周壁部及び前記天板部と共に前記ハウジングの内部空間を画定する底板部と、を有し、前記ハウジング内には、前記点火器である第1点火器と、第2点火器と、が配置され、前記ガス発生器は、前記ハウジングの前記内部空間を、前記ハウジングの軸方向において、前記燃焼室である前記天板部側の第1燃焼室と、前記第2点火器により燃焼されるガス発生剤が収容される前記底板部側の第2燃焼室と、に分割する隔壁部材を備え、前記フィルタの前記軸方向両端部のうち前記一方の端部は、前記隔壁部材に支持され、前記フィルタの前記軸方向両端部のうち他方の端部は、前記天板部に支持されてもよい。このようなデュアルタイプのガス発生器において、フィルタの軸方向両端部のうち、隔壁部材に支持される該一方の端部のみにフィルタ端面及び凹部が形成されている場合には、上記平坦な面は、少なくとも隔壁部材に形成されていればよい。また、フィルタの軸方向両端部にフィルタ端面及び凹
部が形成されている場合には、隔壁部材と天板部との両方に上記平坦な面を形成すればよい。
【0021】
但し、本願開示のガス発生器は、このようなデュアルタイプのガス発生器において、該一方の端部のみにフィルタ端面及び凹部を形成し、該一方の端部を天板部によって支持する構成としてもよい。その場合、上記平坦な面が少なくとも天板部に形成されていればよい。なお、第1ガス発生剤と第2発生剤は、同種類、同一形状、同一寸法のガス発生剤であってもよいし、別種類、別形状、別寸法のガス発生剤であってもよい。
【0022】
また、本願開示のガス発生器は、所謂シングルタイプのガス発生器であってもよいし、例えば米国特許文献6032979号の
図1や米国特許文献6412815号の
図1に開示されているような、2つの燃焼室が横並びに配置されたデュアルタイプのガス発生器であってもよい。即ち、ガス発生器において、前記ハウジングは、筒状の周壁部と、前記周壁部の一端部を閉塞する天板部と、他端部を閉塞することで前記周壁部及び前記天板部と共に前記ハウジングの内部空間を画定する底板部と、を有し、前記底板部には、前記点火器が固定され、前記フィルタの前記軸方向両端部のうち前記一方の端部は、前記底板部に支持され、前記フィルタの前記軸方向両端部のうち他方の端部は、前記天板部に支持されてもよい。このようなタイプのガス発生器において、フィルタの軸方向両端部のうち、底板部に支持される該一方の端部のみにフィルタ端面及び凹部が形成されている場合には、上記平坦な面は、少なくとも底板部に形成されていればよい。また、フィルタの軸方向両端部にフィルタ端面及び凹部が形成されている場合には、底板部と天板部との両方に上記平坦な面を形成すればよい。
【0023】
また、ガス発生器をこのようなタイプのガス発生器とした場合において、前記ガス発生器は、前記ガス排出孔と前記底板部との間に設けられ、前記周壁部の内周面から径方向内側に突出した支持壁部を備え、前記フィルタの前記軸方向両端部のうち前記一方の端部は、前記支持壁部に支持され、前記フィルタの前記軸方向両端部のうち他方の端部は、前記天板部に支持されてもよい。
【0024】
これによると、フィルタは、底板部まで延びることなく、支持壁部によって底板部と間隔を空けて支持される。ここで、ハウジング内で発生した燃焼ガスは、ガス排出孔に向かって直線的に流れる傾向があるため、ガス排出孔が天板部寄りに形成されている場合において、仮に、フィルタが底板部まで延びていたとしても、該フィルタの底板部付近を通過する燃焼ガスが少量となることが予想される。これに対して、フィルタを底板部まで延ばさずに、支持壁部によってフィルタを底板部と間隔を空けて支持することで、フィルタを効率的に使用することができる。また、フィルタの小型化、軽量化を実現することができ、それに伴い、ガス発生器全体を軽量化することができる。なお、このようなタイプのガス発生器において、フィルタの軸方向両端部のうち、支持壁部に支持される該一方の端部のみにフィルタ端面及び凹部が形成されている場合には、上記平坦な面は、少なくとも支持壁部に形成されていればよい。また、フィルタの軸方向両端部にフィルタ端面及び凹部が形成されている場合には、支持壁部と天板部との両方に上記平坦な面を形成すればよい。
【0025】
また、本願開示のガス発生器は、このようなタイプのガス発生器においても、該一方の端部のみにフィルタ端面及び凹部を形成し、該一方の端部を天板部によって支持する構成としてもよい。その場合、上記平坦な面が少なくとも天板部に形成されていればよい。
【発明の効果】
【0026】
本願開示によれば、フィルタを具備するガス発生器において、燃焼ガスのショートパスを抑制しつつも燃焼ガスの冷却性能や残渣の捕集性能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、図面を参照して本願開示の実施形態に係るガス発生器について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本願開示はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本願開示の第1実施形態に係るガス発生器100の軸方向断面図である。
図1に示すように、ガス発生器100は、ハウジング1と、内筒部材4と、上下分割部材5と、フィルタ6と、第1点火器10と、第2点火器20と、を備える。ガス発生器100は、ハウジング1内に充填されたガス発生剤を第1点火器10及び第2点火器20によって燃焼させて、その燃焼生成物である燃焼ガスを、フィルタ6で冷却・濾過し、ハウジング1に形成されたガス排出孔13から放出するように構成されている。詳細については後述するが、ガス発生器100は、符号62で示すフィルタ6の下端部に、符号16で示す凹部を形成することで、フィルタ6と燃焼ガスとの接触面積を増やすことを可能としている。以下、ガス発生器100の各構成について説明する。
【0030】
ハウジング1は、夫々が有底略円筒状に形成された金属製の上部シェル2及び下部シェル3が互いの開口端同士を向き合わせた状態で接合されることによって、軸方向の両端が閉塞した短尺円筒状に形成されている。ここで、ハウジング1の軸方向に沿う方向をガス発生器100の上下方向と定義し、上部シェル2側(即ち、
図1における上側)をガス発生器100の上側とし、下部シェル3側(即ち、
図1における下側)をガス発生器100の下側とする。
【0031】
上部シェル2は、筒状の上側周壁部21と該上側周壁部21の上端を閉塞する天板部22とを有し、これらにより内部空間を形成する。上部シェル2の内部空間には、第1ガス発生剤110が充填される。天板部22は、上面視で概ね円形状を有している。上側周壁部21は、天板部22の周縁から概ね垂直に延在することで、筒状の周壁を形成する。上側周壁部21の上端側には天板部22が繋がり、上側周壁部21の下端側には突き当て部23を介して嵌合壁部24が繋がっている。嵌合壁部24の下端部によって上部シェル2の開口部が形成されている。また、嵌合壁部24の内径は、上側周壁部21の内径よりも大きく形成されている。
【0032】
下部シェル3は、筒状の下側周壁部31と該下側周壁部31の下端を閉塞する底板部3
2とを有し、これらにより内部空間を形成する。下部シェル3の内部空間には、第2ガス発生剤120が充填される。底板部32は、上部シェル2の天板部22と同様に、上面視で概ね円形状を有している。また、底板部32には、第1点火器10が固定される第1嵌合孔321と第2点火器20が固定される第2嵌合孔322とが設けられている。下側周壁部31は、底板部32の周縁から概ね垂直に延在することで、筒状の周壁を形成する。下側周壁部31の下端側には底板部32が繋がり、下側周壁部31の上端部によって下部シェル3の開口部が形成されている。また、下側周壁部31の外径は、上部シェル2の嵌合壁部24の内径と概ね同等に形成されており、下側周壁部31が嵌合壁部24に嵌入されている。
【0033】
これら上部シェル2の上側周壁部21と下部シェル3の下側周壁部31とによって、ハウジング1には、天板部と底板部とを接続する筒状の周壁が形成されている。上側周壁部21と下側周壁部31とを含んだ構成は、本願開示に係る「周壁部」に相当する。つまり、ハウジング1は、筒状の周壁部と、周壁部の一端部を閉塞する天板部22と、他端部を閉塞することで周壁部及び天板部22と共にハウジング1の内部空間を画定する底板部32と、を有するように構成されている。
【0034】
また、上部シェル2の上側周壁部21には、ガス排出孔13が周方向に並んで複数形成されている。ガス排出孔13は、シールテープ14により閉塞されている。このシールテープ14としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。これにより、ハウジング1の気密性が確保されている。
【0035】
内筒部材4は、内部に空間を有する筒状の部材である。内筒部材4は、下部シェル3の底板部32に接合される基端部41と、基端部41に繋がると共に該基端部41から上方に延在する周壁部42と、周壁部42に繋がる接続部43と、接続部43に繋がると共に周壁部42よりも縮径して接続部43から上方に延在する嵌合壁部44と、嵌合壁部44に繋がると共に該嵌合壁部44から内側に曲がって終端し、その端縁によって内筒部材4の開口部を形成する先端部45とを有する。
図1に示すように、内筒部材4は、基端部41が下部シェル3の第1嵌合孔321の近傍に当接し、且つ、第1嵌合孔321に固定された第1点火器10が内筒部材4の内部に収容されるように、底板部32に接合されており、周壁部42及び嵌合壁部44が上部シェル2の天板部22に向かって上方に延在した状態となっている。
【0036】
上下分割部材5は、ハウジング1の軸方向と概ね直交する方向に延在してハウジング1の内部空間を上下に分割する円盤状の分割壁部51と、分割壁部51に繋がると共に該分割壁部51の周縁から下部シェル3の下側周壁部31の内周面に沿って上方に延在する筒状の嵌合壁部52と、嵌合壁部52に繋がると共に該嵌合壁部52の上端からハウジング1の径方向外側に延在する終端部53と、を有する。分割壁部51には、内筒部材4が貫通する開口部が形成されており、該開口部の縁には、上方に延在する筒状の開口壁部54が繋がっている。
図1に示すように、終端部53が下部シェル3の下側周壁部31の上端面に配置され、内筒部材4の嵌合壁部44が開口壁部54に嵌入されることで、上下分割部材5が下部シェル3と内筒部材4とによって支持されている。
【0037】
図1に示すように、ハウジング1の内部空間は、内筒部材4と上下分割部材5とによって、ハウジング1の軸方向における天板部22側(上側)に位置する第1燃焼室11と、ハウジング1の軸方向における底板部32側(下側)に位置する第2燃焼室12と、に分割される。内筒部材4の内部空間は、開口壁部54によって形成された開口部を介して上部シェル2の上側周壁部21の内部空間と繋がることで、第1燃焼室11の一部を形成する。ここで、ガス排出孔13が上部シェル2の上側周壁部21に形成されているため、ガス排出孔13は、ハウジング1において、分割壁部51よりも天板部22側に位置するこ
ととなる。内筒部材4と上下分割部材5とを含んだ構成は、本願開示に係る「隔壁部材」に相当する。
【0038】
第1燃焼室11には、第1点火器10と該第1点火器10により燃焼される第1ガス発生剤110とが収容されている。第1点火器10は、下部シェル3の第1嵌合孔321に固定され、内筒部材4の開口部から天板部22側に突出しないように内筒部材4内に収められた状態となっている。また、第1燃焼室11における天板部22と第1ガス発生剤110との間には、第1ガス発生剤110の振動を抑制するためのクッション7が配置されている。第2燃焼室12には、第2点火器20と該第2点火器20により燃焼される第2ガス発生剤120とが収容される。第2点火器20は、下部シェル3の第2嵌合孔322に固定されている。第2燃焼室12における上下分割部材5と第2ガス発生剤120との間には、第2ガス発生剤120の振動を抑制するためのクッション8が配置されている。また、第1点火器10及び第2点火器20は、金属製のカップ体C1,C2(
図6参照)の内部に収容された点火薬を燃焼させ、その燃焼生成物を外部に放出することで、第1ガス発生剤110及び第2ガス発生剤120を燃焼させる。なお、本願開示のガス発生器は、駆動方式(電気着火式、機械着火式)を問わず、公知の点火器を使用することができる。例えば、点火器は、カップ体の外部に別置きされた伝火薬を含むものであってもよい。
【0039】
第1ガス発生剤110には、比較的燃焼温度の低いガス発生剤が用いられる。第1ガス発生剤110の燃焼温度は、1000〜1700℃の範囲にあることが望ましく、例えば、硝酸グアニジン(41重量%)、塩基性硝酸銅(49重量%)及びバインダーや添加物からなる、単孔円柱状のものを用いることができる。また、第2ガス発生剤120にも、第1ガス発生剤110と同様のものを用いることができる。但し、第1ガス発生剤110や第2ガス発生剤120は、上記に限定されない。また、第1ガス発生剤110と第2ガス発生剤120は、同種類、同一形状、同一寸法のガス発生剤であってもよいし、別種類、別形状、別寸法のガス発生剤であってもよい。
【0040】
ここで、内筒部材4の周壁部42には、内筒部材4の内側空間と外側空間とを連通する連通孔46が設けられている。連通孔46により、第1燃焼室11と第2燃焼室12とが連通している。連通孔46は、第1ガス発生剤110が燃焼したときは開口せず、第2ガス発生剤120が燃焼したときに開口するように、図示しない閉塞部材で閉塞されている。なお、第1燃焼室11と第2燃焼室12とを連通させる方法は、内筒部材4の周壁部42に孔を設ける方法に限られず、内筒部材4の内部空間と第2燃焼室12とを連通させることが可能であれば、適宜変更可能である。また、分割壁部51に連通孔を設けることで、第1燃焼室11と第2燃焼室12とを連通させてもよい。
【0041】
図1に示すように、ハウジング1内には、第1燃焼室11及び第2燃焼室12で発生した燃焼ガスの冷却及び濾過を行うフィルタ6が設けられている。フィルタ6は、筒形状を有し、第1燃焼室11をフィルタ6の内側に含み、ガス排出孔13がフィルタ6の外側に位置するように、第1燃焼室11とガス排出孔13との間に配置されている。フィルタ6は、燃焼ガスが通過可能に構成されており、自身を通過する燃焼ガスを冷却し、その燃焼残渣を捕集することで燃焼ガスを濾過する。ここで、フィルタ6の軸方向両端部のうち、上側の端部(一方の端部)をフィルタ上端部61とし、下側の端部(他方の端部)をフィルタ下端部62とする。フィルタ6は、その中心軸がハウジング1の軸方向と平行となり、フィルタ上端部61が上部シェル2の天板部22に支持され、フィルタ下端部62が上下分割部材5の分割壁部51に支持されるように、ハウジング1内に設けられている。これにより、第1燃焼室11に収容された第1ガス発生剤110がハウジング1の径方向においてフィルタ6に取り囲まれた状態となっている。フィルタ6とガス排出孔13が形成された上側周壁部21との間には、環状の間隙15が形成されている。
【0042】
これら内筒部材4と上下分割部材5とフィルタ6とによって、第1燃焼室11と第2燃焼室12とが画定されている。第1燃焼室11は、分割壁部51と天板部22とフィルタ6とによって囲まれた空間と内筒部材4の内部空間とを含む空間となる。第2燃焼室12は、ハウジング1の周壁部と分割壁部51と底板部32とによって囲まれた空間から内筒部材4の内部空間を除いた空間となる。
【0043】
ガス発生器100の組立では、下部シェル3の第1嵌合孔321に第1点火器10が固定され、第2嵌合孔322に第2点火器20が固定される。そして、第1点火器10が内筒部材4に収容されるように、内筒部材4が下部シェル3の底板部32に配置される。このように内筒部材4が配置されることで、内筒部材4の周囲を囲むように環状の第2燃焼室12が形成されることとなり、そこに第2ガス発生剤120が充填される。第2ガス発生剤120が充填されると、上下分割部材5の終端部53が下部シェル3の下側周壁部31の上端面に配置され、内筒部材4の嵌合壁部44が上下分割部材5の開口壁部54に嵌入されるように、下部シェル3及び内筒部材4に対して上下分割部材5が取り付けられる。なお、下部シェル3の下側周壁部31の内壁面には、第2ガス発生剤120と下部シェル3との接触による第2ガス発生剤120の粉化を抑制するための、樹脂製のシート部材S1が設けられている。
【0044】
下部シェル3及び内筒部材4に上下分割部材5が取り付けられた後は、フィルタ6が組み付けられる。組付前のフィルタ6の外径は、上下分割部材5の嵌合壁部52の内径よりも若干大きめに形成されており、フィルタ6は、嵌合壁部52に圧入されることで、分割壁部51の上に配置される。この状態で、フィルタ6の内側に第1ガス発生剤110が充填され、上部シェル2が取り付けられる。上記の通り、下部シェル3における下側周壁部31の外径は、上部シェル2における嵌合壁部24の内径と概ね同等に形成されているため、上部シェル2の突き当て部23が上下分割部材5の終端部53に突き当たるまで、下側周壁部31が嵌合壁部24に嵌入される。上部シェル2の突き当て部23が上下分割部材5の終端部53に突き当たった状態において、上下分割部材5の嵌合壁部52は、下部シェル3の周壁部31に嵌合された状態となる。なお、ハウジング1において、上部シェル2、下部シェル3の接触部位は、内部に充填されるガス発生剤の防湿等のために好適な接合方法(例えば、溶接等)により接合される。これにより、ガス発生器100が組み立てられる。
【0045】
以上のように構成されることで、ガス発生器100は、2つの点火器(第1点火器10及び第2点火器20)を備え、2つの燃焼室が上下に配置されたデュアルタイプのガス発生器となっている。ガス発生器100では、第1点火器10の作動による第1ガス発生剤110の燃焼と、第2点火器20の作動による第2ガス発生剤120の燃焼とによって、比較的多量の燃焼ガスを生成して、その燃焼ガスをガス排出孔13から外部に放出することができる。また、本実施形態においては、第2点火器20は、第1点火器10の作動タイミング以降の所定のタイミングで作動される。各点火器の作動タイミングは、そこで発生する燃焼ガスの外部への放出タイミングに相関する。従って、ガス発生器100に対して求められる燃焼ガスの放出特性に応じて、各点火器の作動タイミングが決定され、それによってガス発生器100全体の出力性能が決定される。
【0046】
ガス発生器100では、センサ(図示せず)が衝撃を感知すると、所定信号が各点火器に送られて各点火器が作動する。まず、第1点火器10が作動すると、第1ガス発生剤110が燃焼することで第1燃焼室11内に高温・高圧のガスが生成される。この燃焼ガスがフィルタ6を通過することで、フィルタ6が燃焼ガスを冷却し、燃焼残渣を捕集する。フィルタ6によって冷却及び濾過された燃焼ガスは、間隙15を通り、シールテープ14を破ってガス排出孔13からハウジング1の外部へと放出される。そして、第1点火器10の作動タイミング以降に第2点火器20が作動すると、第2ガス発生剤120が燃焼す
ることで第2燃焼室12内に生じた燃焼ガスが、連通孔46を経て第1燃焼室11へ移動する。第2燃焼室12から第1燃焼室11へ移動した燃焼ガスは、フィルタ6によって冷却及び濾過された後に、間隙15を通り、ガス排出孔13を介してハウジング1の外部へと放出される。ここで、フィルタ6を取り囲むように間隙15が形成されていることで、燃焼ガスがフィルタ6の全領域を通過し易くなっており、フィルタ6の有効利用と燃焼ガスの効果的な冷却及び濾過が達成されている。第1ガス発生剤110及び第2ガス発生剤120の燃焼ガスは、ハウジング1の外部へ放出された後に、エアバッグ(図示せず)内に流入する。エアバッグが膨張することで、乗員と堅い構造物の間にクッションが形成され、乗員が衝撃から保護される。
【0047】
ところで、ガス発生器の燃焼ガスの冷却性能や濾過性能を向上させるためには、フィルタと燃焼ガスとの接触面積を増やすことが好ましい。一方で、仮に、フィルタの端部と該端部を支持する部位との間に隙間が生じると、燃焼ガスの一部がフィルタを通らずに該隙間を通ってガス排出孔に至る、所謂「ショートパス」が生じる虞がある。ガス発生器においては、ショートパスの発生を抑制することも重要となる。本実施形態に係るガス発生器100は、燃焼ガスのショートパスを抑制しつつも、燃焼ガスの冷却性能や濾過性能を向上させることが可能に構成されている。以下、詳細に説明する。
【0048】
図2は、フィルタ6のフィルタ下端部62付近を示す図である。
図2に示すように、フィルタ下端部62には、平坦な軸方向端面であるフィルタ端面63が形成されている。フィルタ端面63は、概ねフィルタ6の軸方向と直交する平坦面として形成されている。但し、本願開示のフィルタ端面は、平坦面に限定しない。
【0049】
また、フィルタ下端部62には、フィルタ端面63に対して軸方向に窪んだ凹部16が形成されている。凹部16は、フィルタ6の内周面64から外周面65まで貫通する溝として形成されている。これにより、
図1に示すように、凹部16は、フィルタ6の内側に形成された第1燃焼室11に繋がっている。
図2に示すように、フィルタ下端部62には、複数の凹部16がフィルタ6の内周方向に沿って等間隔に並んで形成されている。
【0050】
図3は、ガス発生器100におけるフィルタ6近傍を示す図である。
図3に示すように、分割壁部51においてフィルタ下端部62のフィルタ端面63に当接する当接面511は、概ねハウジング1の軸方向と直交する平坦面に形成されている。これにより、ガス発生器100では、フィルタ端面63の全域が平坦面によって支持されている。
【0051】
ここで、凹部16がフィルタ端面63に対して軸方向に窪むと共にフィルタ6の内周面64から外周面65まで貫通していることから、凹部16は、フィルタ端面63側とフィルタ6の内周面64側、及びフィルタ6の外周面65側において開口部を有している。以下、凹部16に形成された開口部のうち、フィルタ6の内周面64側の開口部を内側開口部161とし、フィルタ6の外周面65側の開口部を外側開口部162とし、フィルタ端面63側の開口部を端面開口部163とする。内側開口部161は、凹部16と第1燃焼室11とを繋ぐ開口部であって、ガス発生剤の燃焼により生成される燃焼ガスが流れ込む開口部となる。
図3に示すように、当接面511がフィルタ端面63に当接することで、端面開口部163が当接面511によって閉塞されている。ここで、
図3に示す符号d1は、外側開口部162のフィルタ6の軸方向における開口幅を示す。また、符号d2は、フィルタ6の軸方向における当接面511から嵌合壁部52の上端部までの距離を示す。即ち、d2は、嵌合壁部52の高さを示している。上述のように、ガス発生器100では、フィルタ6が上下分割部材5の嵌合壁部52に圧入されているため、上下分割部材5の嵌合壁部52がフィルタ6の外周面65に当接している。そして、ガス発生器100では、d1<d2とすることで凹部16の外側開口部162が嵌合壁部52によって覆われた状態としている。これにより、凹部16の外側開口部162が塞がれている。以上のよう
に、凹部16の端面開口部163が上下分割部材5の当接面511によって閉塞され、凹部16の外側開口部162が上下分割部材5の嵌合壁部52によって閉塞された結果、凹部16は、内側開口部161を除いた開口部が閉塞された状態となっている。ここで、ガス発生器100においては、当接面511が本願開示に係る「平坦な面」に相当し、上下分割部材5の嵌合壁部52が本願開示に係る「カバー部材」に相当し、上下分割部材5の当接面511と嵌合壁部52とを含んだ構成が本願開示に係る「閉塞部材」に相当する。
【0052】
[作用・効果]
このようなガス発生器100によると、凹部16が第1燃焼室11に繋がって形成されていることから、第1燃焼室11内からガス排出孔13に向かおうとする燃焼ガスが凹部16を介してフィルタ6に進入可能となる。これにより、フィルタ6において凹部16を形成する内壁66を、燃焼ガスとの接触面として利用することができる。なお、ここでいう「燃焼ガスとの接触面」とは、フィルタ6の表面のうち、燃焼ガスがフィルタ6に進入する際に燃焼ガスが通過する面のことを指し、「接触面積」とは、フィルタ6における接触面の面積の総和を指す。ガス発生器100は、凹部16を形成するフィルタ6の内壁66を燃焼ガスとの接触面として利用することで、フィルタ6の燃焼ガスとの接触面積を増加させることができる。その結果、燃焼ガスの冷却性能や濾過性能を向上させることができる。
【0053】
また、ガス発生器100では、フィルタ6の軸方向両端部のうち凹部16を形成したフィルタ下端部62の軸方向端面であるフィルタ端面63を平坦な当接面511で支持する構成とし、フィルタ端面63と当接面511とを面接触させることで、フィルタ端面63と当接面511との間に隙間を形成し難くしている。これにより、燃焼ガスがフィルタ6を通らずに該隙間を通ってガス排出孔13に至ることが抑制されている。更に、凹部16の開口部のうち燃焼ガスが流れ込む内側開口部161を除いた開口部が閉塞された状態となるようにフィルタ6が配置されているため、内側開口部161から凹部16に流れ込んだ燃焼ガスがフィルタ6を通らずに開口部を通ってガス排出孔13に至ることも抑制されている。その結果、ガス発生器100によれば、第1燃焼室11からガス排出孔13に至るまでの燃焼ガスの流れが必ずフィルタを経由する状態とすることができ、ショートパスを抑制することができる。また、フィルタ6がしっかりと保持されるため、フィルタ6の位置ずれによるショートパスの発生を抑制することができる。従って、ガス発生器100によれば、ショートパスの発生を抑制しつつも、フィルタ6の冷却性能及び濾過性能を向上させることができる。なお、本願開示のガス発生器は、フィルタ端面とハウジング内の平坦な面(本例では当接面511)との間に公知のガスケットやシール部材等を介在させてもよい。これらの部材がフィルタ端面における凸凹を吸収することで、ショートパスの防止機能が更に向上する。
【0054】
また、凹部16が第1燃焼室11に繋がっているため、凹部16を第1ガス発生剤110の収容空間として利用可能となり、ハウジング1内の第1ガス発生剤110の充填量を増やすことができる。これにより、例えば、次式:(ガス発生剤の合計体積)/(燃焼室の容積)×100から求められる充填率を高めることができる。ガス発生剤の充填率を高め
ることで、より多くの燃焼ガスを発生させることが可能となる。更に、凹部16を形成することで、フィルタを軽量化することも可能となり、それに伴い、ガス発生器全体を軽量化することができる。
【0055】
なお、本願開示のガス発生器は、例えば、ガス発生剤の大きさを凹部16の大きさよりも大きくしたり、凹部16の内側開口部161を覆うように金網を設けたりすることで、ガス発生剤の形状を問わずガス発生剤が凹部16に入り込まないような構造としてもよい。その場合、凹部16が燃焼ガスの排出経路の一部となり、燃焼室で発生した燃焼ガスの排出を円滑に行うことができる。
【0056】
ここで、ハウジング1内で発生した燃焼ガスは、ガス排出孔13に向かって直線的に流れる傾向がある。そのため、フィルタ6の軸方向両端部付近を通過する燃焼ガスよりもフィルタ6の軸方向内側の領域を通過する燃焼ガスの方が多量となることが予想される。これに対してガス発生器100は、燃焼ガスが流れ込み易い凹部16をフィルタ下端部62に形成することで、フィルタ下端部62を通る燃焼ガスの量を増やすことができ、また、凹部16に流れ込んだ燃焼ガスに含まれる残渣を凹部16内に溜めることができる。これにより、フィルタ6の冷却効率および濾過効率を向上させることができる。
【0057】
ところで、ガス発生器100の組み付け方法として、組み付け前におけるフィルタ6の軸方向の長さを組付け後における上部シェル2の天板部22と上下分割部材5の分割壁部51との間隔よりも大きく設定しておき、組み付け時には天板部22と分割壁部51とによってフィルタ6を押し潰すことでフィルタ6を天板部22と分割壁部51との間に設ける方法が挙げられる。このとき、ガス発生器100では、フィルタ6のフィルタ下端部62に凹部16が形成されることで、フィルタ6がフィルタ下端部62付近において変形し易くなっているため、フィルタ6に軸方向の圧縮荷重が加わったときの変形量を大きく確保することができる。即ち、フィルタ6の端部のクッション性を高めることができる。これにより、上述の方法でガス発生器100を組み付ける場合に、フィルタ6の軸方向における寸法公差の調整が容易となり、その結果、フィルタ6の固定や配置が容易となる。
【0058】
特に、ガス発生器100のように、ハウジングの内部空間を第1燃焼室と第2燃焼室とに分割する隔壁部材を備え、該隔壁部材によってフィルタの端部を支持する構成としたデュアルタイプのガス発生器では、隔壁部材が薄肉に形成されることが多いが、ガス発生器100を上述の方法で組み付ける場合であっても、組み付け時にフィルタが大きく変形して押し潰れるため、隔壁部材が薄肉であっても、隔壁部材が撓むことを抑制できる。
【0059】
ここで、
図3に示す符号66は、凹部16を形成する内壁を示す。また、符号d3は、フィルタ端面63から内壁66における最も窪んだ部位までのフィルタ6の軸方向における距離を示す。即ち、d3は、凹部16の深さを示している。また、符号d4は、フィルタ下端部62のフィルタ端面63からガス排出孔13までの軸方向における距離を示す。より詳しくは、d4は、フィルタ下端部62のフィルタ端面63とガス排出孔13の最下部(フィルタ下端部62側の部分)との、軸方向における距離を示している。
【0060】
上述のように、燃焼ガスは、ガス排出孔に向かって直線的に流れる傾向があるため、比較的多量の燃焼ガスが、
図3中、符号R1で示す経路のように、フィルタ6においてガス排出孔13に近い部位を通ってガス排出孔に至る。一方で、フィルタ6に凹部16が形成されることで、燃焼ガスの一部が凹部16に流れ込み易くなっている。ここで、
図3に示すように、ガス排出孔13は、フィルタ6の軸方向において、フィルタ下端部62よりもフィルタ上端部61側の位置に形成されている。また、凹部16の深さd3は、フィルタ端面63からガス排出孔13の最下部までの距離d4よりも短くなるように設定されている。つまり、凹部16がフィルタ6におけるガス排出孔13近傍の位置までは形成されず、凹部16の形成がフィルタ6の端部付近にとどまっている。このように凹部16を形成し、凹部16へ流れ込むガスの量を増やすことで、凹部16内からフィルタ6の端部を通ってガス排出孔13に至るガスの量を増やすことができる。より具体的には、符号R2で示す経路のように、凹部16の内壁66からフィルタ6の内部に進入し、外周面65からフィルタ6の外部に抜けるようなフィルタ6の軸方向に対して斜めに移動する燃焼ガスの流れが形成されやすくなる。つまり、フィルタにおいて燃焼ガスの通過量が比較的少量である端部に凹部を形成し、燃焼ガスの排出経路として用いることで、R1のような直線的な流れを維持しつつも、R2のような凹部16からフィルタ6の端部を通る流れを増やすことができる。その結果、フィルタ6の全体で燃焼ガスを好適に冷却及び濾過することが
でき、フィルタ6を効率的に使用することができる。
【0061】
なお、本願開示のガス発生器は、フィルタの軸方向両端部のうち少なくとも一方の端部に、フィルタ端面及び凹部が形成され、フィルタ端面が平坦な面によって支持され、凹部の開口部のうち内側開口部を除いた開口部が閉塞されていればよい。それにより、
図1に示すガス発生器100と同様の効果を得ることができる。例えば、フィルタ6のフィルタ上端部61にフィルタ端面63及び凹部16が形成され、天板部22においてフィルタ端面63に当接する部位を平坦な面に形成することでフィルタ端面63を平坦な面によって支持する構成としてもよい。なお、この場合においては、凹部16の深さを上端部61に形成されたフィルタ端面63からガス排出孔13(この場合、ガス排出孔13の最上部)までの距離よりも短くなるように設定することで、フィルタ6の上端部61を通ってガス排出孔13に至る燃焼ガスの流れを増やすことができる。また、フィルタ6のフィルタ上端部61とフィルタ下端部62との両方にフィルタ端面63及び凹部16を形成し、夫々のフィルタ端面63を平坦な面によって支持する構成としてもよい。フィルタ6の軸方向両端部にフィルタ端面63及び凹部16を形成する場合、一方の端部のみに形成する場合と比較して、フィルタ6と燃焼ガスとの接触面積及びガス発生剤の充填量を増加させたり、フィルタ両端部でのガスの流れを増やしたりすることができる。
【0062】
更に、ガス発生器100では、凹部16をフィルタ6の内周方向に沿って複数並んで形成している。これにより、凹部16を一つのみ形成する場合と比較して、フィルタ6と燃焼ガスとの接触面積及びガス発生剤の充填量を増加させることができ、また、フィルタ6に軸方向の圧縮荷重が加わったときにフィルタ6がより変形し易くなる。但し、凹部16の数量は、複数に限定されず、一つのみであってもよい。また、凹部16を複数形成する場合、隣り合う凹部16同士の間隔は等間隔でなくともよい。
【0063】
また、ガス発生器100では、凹部16をフィルタ6の内周面64から外周面65まで貫通させることで、凹部16の容積を大きく確保することができ、ガス発生剤の充填量を増やすことができる。更に、ガス発生器100では、上下分割部材5の嵌合壁部52をカバー部として利用し、凹部16のフィルタ6の外側開口部162を覆うことで、外側開口部162を閉塞している。これにより、凹部16をフィルタ6の内周面64から外周面65まで貫通させながらも、凹部16の内側開口部を除いた開口部が閉塞された状態とすることができる。更に、ガス発生器100は、上下分割部材5を下部シェル3に取り付けるための嵌合壁部52をカバー部材として利用することで、部品点数の増加を抑制している。また、筒状の嵌合壁部52がフィルタ6の外周面65に当接することで、フィルタ6の位置決めがなされている。
【0064】
[フィルタの製造方法]
図4(a)〜(c)は、フィルタ6の製造方法の一例を説明するための図である。フィルタ6の軸方向の端部に凹部16を形成する必要があるため、フィルタ6の製造方法としては、圧縮成形が好ましい。まず、
図4(a)に示すような円筒状にニット編みされたステンレス鋼製の金網を、
図4(b)に示すように軸方向の一端部E1から反対端部E2に向かって繰り返し折り曲げることで、
図4(c)に示すような、金網が半径方向に重なった短尺の筒状体とする。この筒状体を型に入れ、圧縮成形する。該型には、凹部16に対応する部位が形成されている。これにより、凹部16が形成されたフィルタ6が製造される。
図5(a),(b)は、フィルタ6の製造方法の別の一例を説明するための図である。フィルタ6は、
図4(a)に示した円筒状の金網を、
図5(a)に示すように板状に押し潰し、
図5(b)に示すように一端部E1から反対端部E2にかけて巻き上げることで金網が半径方向に重なった筒状体とし、該筒状体を圧縮成形することで製造してもよい。また、フィルタ6は、金属繊維を型に充填し、これを圧縮や焼結することで製造してもよい。但し、フィルタ6の製造方法は、上記に限定されない。
【0065】
[第1実施形態の変形例]
図6は、第1実施形態の変形例に係るガス発生器の軸方向断面図である。以下、第1実施形態の変形例に係るガス発生器100Aについて、ガス発生器100との相違点を中心に説明し、ガス発生器100と同様の構成については同一の符号を付すことで詳細な説明を割愛する。
図6に示すように、変形例に係るガス発生器100Aは、符号16Aで示す凹部がフィルタの内周面64から外周面65まで貫通しない点で、
図1に示したガス発生器100と相違し、その他の点では概ねガス発生器100と同様である。
【0066】
図7は、第1実施形態の変形例に係るフィルタ6Aのフィルタ下端部62付近を示す図である。
図8は、変形例に係るガス発生器100Aにおけるフィルタ6近傍を示す図である。
図7に示すように、フィルタ6Aのフィルタ下端部62には、概ね平坦な軸方向端面であるフィルタ端面63と該フィルタ端面63に対して軸方向に窪んだ凹部16Aとが形成されている。
図7に示すように、凹部16Aは、フィルタ6Aの内周面に対して半径方向外側に窪んだ凹みとも捉えることができる。より詳細には、凹部16Aは、フィルタ6Aの内周面64から半径方向に該フィルタ6Aの厚さの途中まで延在することで、フィルタ6Aの内側に開口しつつもフィルタ6Aの外側には開口しないように形成されている。即ち、凹部16Aは、外側開口部を有さない形状となっている。そして、
図8に示すように、フィルタ6Aは、凹部16Aの端面開口部163が上下分割部材5の当接面511によって閉塞されている。その結果、ガス発生器100Aでは、凹部16Aが第1燃焼室11に繋がる内側開口部161を除いて閉塞された状態となっている。
【0067】
このようなガス発生器100Aにおいても、
図1に示したガス発生器100と同様の効果を得ることができる。なお、ガス発生器100Aでは、凹部16Aがフィルタ6Aの外周面側に開口部を有さないので、凹部16Aに形成された開口部のうち端面開口部163のみを閉塞すればよい。そのため、上下分割部材5の嵌合壁部52とフィルタ6Aの外周面65とを当接させる必要はない。この場合において、凹部16は、フィルタ6の内周面64からフィルタ6の厚さの半分以上にわたって形成されることが好ましい。但し、本願開示のガス発生器はこれに限定されるものではない。ガス発生器100Aにおいては、上下分割部材5の当接面511が本願開示に係る「閉塞部材」に相当する。
【0068】
<第2実施形態>
図9は、本願開示の第2実施形態に係るガス発生器200の軸方向断面図である。
図9に示すように、ガス発生器200は、上部シェル202と下部シェル203とが夫々が有するフランジ部で溶接固定されて形成されるハウジング201内に、燃焼室17と点火器210とが各々1つずつ収容された、シングルタイプのガス発生器として構成されている。以下、第2実施形態に係るガス発生器200について、ガス発生器100との相違点を中心に説明し、ガス発生器100と同様の構成については同一の符号を付すことで詳細な説明を割愛する。
【0069】
上部シェル202は、筒状の上側周壁部221と該上側周壁部221の上端を閉塞する天板部222とを有し、これらにより内部空間を形成する。天板部222は、上面視で概ね円形状を有している。上側周壁部221は、天板部222の周縁から概ね垂直に延在することで、筒状の周壁を形成する。上側周壁部221の上端側には天板部222が繋がり、上側周壁部221の下端部によって上部シェル202の開口部が形成されている。上側周壁部221の下端部には、半径方向外側に延在したフランジ部223が繋がっている。
【0070】
下部シェル3は、筒状の下側周壁部231と該下側周壁部231の下端を閉塞する底板部232とを有し、これらにより内部空間を形成する。底板部232は、上面視で概ね円形状を有している。また、底板部232には、点火器210が固定される。下側周壁部2
31は、底板部232の周縁から概ね垂直に延在することで、筒状の周壁を形成する。下側周壁部231は、底板部232に繋がる小径周壁部231aと、接続部231bを介して小径周壁部231aに繋がる大径周壁部231cと、を有する。大径周壁部231cの上端部によって下部シェル203の開口部が形成されている。また、大径周壁部231cの内径は、小径周壁部231aの内径よりも大きく形成されている。大径周壁部231cの上端部には、半径方向外側に延在したフランジ部233が繋がっている。
【0071】
上部シェル202のフランジ部223と下部シェル203のフランジ部233とが重ね合わされてレーザ溶接等によって接合されることで、軸方向の両端が閉塞した短尺円筒状のハウジング201が形成されている。上側周壁部221と下側周壁部231とを含んだ構成は、本願開示に係る「周壁部」に相当する。また、上部シェル202の上側周壁部221には、シールテープ14により閉塞されたガス排出孔13が周方向に沿って複数並んで形成されている。
【0072】
点火器210は、ハウジング201の内部空間の概ね中央位置に配置されている。点火器210の下端部は、下部シェル203の底板部232に固定されている。これにより、ハウジング201の内部空間には、点火器210を包囲するように環状の燃焼室17が形成されている。燃焼室17には、点火器210によって燃焼されるガス発生剤170が充填される。
【0073】
燃焼室17とガス排出孔13との間には、燃焼室17を内側に含むようにして、筒状のフィルタ6Bが配置されている。フィルタ6Bは、その中心軸がハウジング201の軸方向と平行となり、フィルタ上端部61が上部シェル202の天板部222に支持され、フィルタ下端部62が下部シェル203の底板部232に支持されるように、ハウジング201内に設けられている。これにより、燃焼室17に収容されたガス発生剤170がハウジング201の半径方向においてフィルタ6Bに取り囲まれた状態となっている。
【0074】
図10は、ガス発生器200におけるフィルタ6B近傍を示す図である。第2実施形態では、第1実施形態と同様に、フィルタ6Bのフィルタ下端部62に、概ね平坦な軸方向端面であるフィルタ端面63と該フィルタ端面63に対して軸方向に窪んだ凹部16とが形成されている。
図10に示すように、凹部16は、フィルタ6Bの内周面64から外周面65まで貫通する溝として形成されている。これにより、凹部16は、フィルタ6Bの内側に形成された燃焼室17に繋がっている。フィルタ下端部62には、複数の凹部16がフィルタ6Bの周方向に沿って等間隔に並んで形成されている。また、底板部232においてフィルタ下端部62のフィルタ端面63に当接する当接面2321は、概ねハウジング201の軸方向と直交する平坦な面に形成されており、フィルタ端面63の全域が平坦な面によって支持されている。
【0075】
図9に示すように、ガス発生器200では、組付前のフィルタ6Bの外径が下部シェル203の小径周壁部231aの内径よりも若干大きめに形成されており、フィルタ6Bは、小径周壁部231aに圧入されている。そのため、下部シェル203の小径周壁部231aは、凹部16の外側開口部162を覆うようにフィルタ6Bの外周面65に当接している。
図10に示すように、ガス発生器200では、凹部16の端面開口部163が底板部232の当接面2321によって閉塞され、凹部16の外側開口部162が下側周壁部231の小径周壁部231aによって閉塞された結果、凹部16は、内側開口部161を除いた開口部が閉塞された状態となっている。ガス発生器200においては、底板部232の当接面2321が本願開示に係る「平坦な面」に相当し、下側周壁部231の小径周壁部231aが本願開示に係る「カバー部材」に相当し、当接面2321と小径周壁部231aとを含んだ構成が本願開示に係る「閉塞部材」に相当する。なお、筒状の小径周壁部231aがフィルタ6Bの外周面65に当接することで、フィルタ6Bの位置決めがな
されている。
【0076】
このようなガス発生器200によると、点火器210がガス発生剤を燃焼させることで燃焼室17内に燃焼ガスが発生した場合に、フィルタ6Bにおいて凹部16を形成する内壁66を燃焼ガスとの接触面として利用することができ、フィルタ6Bの燃焼ガスとの接触面積を増加させることができる。その結果、燃焼ガスの冷却性能や濾過性能を向上させることができる。また、フィルタ端面63を平坦な当接面2321で支持する構成とし、フィルタ端面63と当接面2321とを面接触させることで、ショートパスを抑制することができる。このように、ガス発生器200によれば、ガス発生器100と同様に、ショートパスの発生を抑制しつつも、フィルタ6Bの冷却性能及び濾過性能を向上させることができる。また、凹部16が燃焼室17に繋がっているため、ハウジング201内のガス発生剤の充填量を増やすことができる。更に、凹部16を形成することで、フィルタ及びガス発生器の軽量化も可能となる。
【0077】
[第2実施形態の変形例]
図11は、第2実施形態の変形例に係るガス発生器の軸方向断面図である。以下、第2実施形態の変形例に係るガス発生器200Aについて、ガス発生器200との相違点を中心に説明し、ガス発生器200と同様の構成については同一の符号を付すことで詳細な説明を割愛する。
図11に示すように、変形例に係るガス発生器200Aは、フィルタの下端部がハウジングの底板部と間隔を空けて支持されている点で、
図9に示したガス発生器200と相違し、その他の点では概ねガス発生器200と同様である。
【0078】
図11に示すように、ガス発生器200Aは、ハウジング201内における上部シェル202の天板部222と下部シェル203の底板部232との間にフィルタ6Cのフィルタ下端部62を支持する、支持部材9を備える。支持部材9は、ハウジング201の周壁部の内周面から半径方向内側に突出した支持壁部91と、支持壁部91に繋がると共に凹部16の外側開口部162を覆うようにフィルタ6Cの外周面65に当接する筒状のカバー壁部92と、を有する。
【0079】
図11に示すように、ガス排出孔13は、ハウジング201の軸方向において、底板部232と天板部222との中間位置よりも天板部222側に位置している。つまり、天板部222の方が底板部232よりもガス排出孔13に近くに位置するように、ガス排出孔13が形成されている。また、支持壁部91は、ハウジング201の軸方向において、ガス排出孔13と底板部232との間に設けられている。そして、フィルタ6Cは、フィルタ上端部61が上部シェル202の天板部222に支持され、フィルタ下端部62が支持部材9の支持壁部91に支持されるように、ハウジング201内に設けられている。これにより、燃焼室17に収容されたガス発生剤170がハウジング201の半径方向においてフィルタ6Cに取り囲まれた状態となっている。支持壁部91においてフィルタ下端部62のフィルタ端面63に当接する当接面911は、平坦な面に形成されており、ガス発生器200Aでは、フィルタ端面63の全域が平坦な面によって支持されている。
【0080】
図12は、ガス発生器200Aにおけるフィルタ6C近傍を示す図である。
図12に示すように、ガス発生器200Aでは、凹部16の端面開口部163が支持壁部91の当接面911によって閉塞され、凹部16の外側開口部162がカバー壁部92によって閉塞された結果、凹部16は、内側開口部161を除いた開口部が閉塞された状態となっている。ガス発生器200Aにおいては、支持壁部91の当接面911が本願開示に係る「平坦な面」に相当し、カバー壁部92が本願開示に係る「カバー部材」に相当し、当接面911とカバー壁部92とを含んだ構成が本願開示に係る「閉塞部材」に相当する。
【0081】
ハウジング201内で発生した燃焼ガスは、ガス排出孔13に向かって直線的に流れる
傾向があるため、
図11に示すようにガス排出孔13が天板部222寄りに形成されている場合において、仮に、フィルタが底板部232まで延びていたとしても、該フィルタの底板部232付近を通過する燃焼ガスが少量となることが予想される。これに対して、ガス発生器200Aは、フィルタ6Cを底板部232まで延ばさず、支持壁部91によってフィルタ下端部62を底板部232と間隔を空けて支持することで、フィルタ6Cを効率的に使用することができる。また、フィルタの小型化、軽量化を実現することができ、それに伴い、ガス発生器全体を軽量化することができる。
【0082】
なお、第2実施形態においても、フィルタ上端部にフィルタ端面及び凹部を形成し、天板部においてフィルタ端面に当接する部位を平坦な面に形成することでフィルタ端面を平坦な面によって支持する構成としてもよい。また、フィルタ上端部とフィルタ下端部との両方にフィルタ端面及び凹部を形成し、夫々のフィルタ端面を平坦な面によって支持する構成としてもよい。
【0083】
また、第2実施形態においても、凹部をフィルタの内周面から半径方向に該フィルタの厚さの途中まで延在させることで、凹部が内側開口部を有しつつも外側開口部を有さない形状としてもよい。この場合、凹部が外側開口部を有さないので、凹部に形成された開口部のうち端面開口部のみを底板部又は支持板部で閉塞すればよい。
【0084】
また、上述した第2実施形態の構成は、例えば、米国特許文献6032979号の
図1や米国特許文献6412815号の
図1に開示されているような、2つの燃焼室が横並びに配置されたデュアルタイプのガス発生器に対しても適用することができる。
<その他の実施例>
以上、本願開示の好適な実施形態について説明したが、上述した種々の形態は、可能な限り組み合わせることができる。