【解決手段】船舶1の操船システム31は、船体3を転舵可能に構成される推進機ユニット5と、船体3に配置されるトリムタブ7と、船舶1の進行状態を検出する姿勢センサ33と、コントローラ37とを、備える。コントローラ37は、推進機ユニット5の舵角を第1舵角に設定した状態でトリムタブ7を作動させた場合、トリムタブ7の作動による船舶1の進行状態の変化を補正するために、推進機ユニット5の舵角を第1舵角とは異なる第2舵角に設定する。
前記コントローラは、前記トリム調整部の作動前の前記第1ヨーデータと、前記トリム調整部の作動後の前記第2ヨーデータとに基づいて、前記ヨーデータの変化量を認識する、
請求項3に記載の船舶の操船システム。
前記コントローラは、前記第1ヨーデータ及び前記第2ヨーデータの間の積分値によって前記船舶の進行方向の変化を識別し、前記ヨーデータの積分値が第1所定値に到達するように、前記推進機ユニットの舵角を前記第2舵角に設定する、
請求項4に記載の船舶の操船システム。
前記コントローラは、前記第1ヨーデータを目標ヨーデータとして設定し、前記第2ヨーデータ及び前記目標ヨーデータの差分量によって前記船舶の進行方向の変化を識別し、前記ヨーデータの差分量が第2所定値に到達するように、前記推進機ユニットの舵角を前記第2舵角に設定する、
請求項4に記載の船舶の操船システム。
船体を転舵可能に構成される推進機ユニットと、前記船体に配置されるトリム調整部と、船舶の進行状態を検出する検出部とを備える船舶を操船するために、コントローラによって実行される船舶の操船方法であって、
前記推進機ユニットの舵角を第1舵角に設定することと、
前記トリム調整部を作動させることと、
前記トリム調整部の作動による前記船舶の進行状態の変化を補正するために、前記推進機ユニットの舵角を前記第1舵角とは異なる第2舵角に設定することと、
を備える船舶の操船方法。
前記推進機ユニットの舵角が前記第1舵角である場合の前記第1ヨーデータと、前記トリム調整部の作動後の前記第2ヨーデータとに基づいて、前記ヨーデータの変化量を認識すること、
を備える請求項10に記載の船舶の操船方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
図1に示すように、船舶1は、船体3と、推進機ユニット5と、複数(例えば1対)のトリムタブ7(トリム調整部の一例)とを、備える。船舶1は、転舵ユニット14(
図2及び
図4を参照)をさらに備える。船舶1は、操船システム31(
図4を参照)をさらに備える。
【0013】
ここでは、推進機ユニット5が1機である場合の例を示すが、推進機ユニット5は2機以上であってもよい。また、トリムタブ7の数は、3個以上であってもよい。
【0014】
以下の説明において、前後左右上下の各方向は、船体3の前後左右上下の各方向を意味する。例えば、
図1に示すように、船体3の前後方向に延びる中心線C1は、船舶1の重心Gを通過する。前後方向は、中心線C1に沿う方向である。前方は、
図1の中心線C1に沿って上側に向かう方向である。後方は、
図1の中心線C1に沿って下側に向かう方向である。
【0015】
左右方向(幅方向)は、
図1の中心線C1に垂直な方向である。左方は、
図1の中心線C1に垂直に左側に向かう方向である。右方は、
図1の中心線C1に垂直に右側に向かう方向である。鉛直方向は、前後方向及び左右方向に垂直な方向である。
【0016】
(推進機ユニットの構成)
図2に示すように、推進機ユニット5は船外機である。推進機ユニット5は、船舶1を推進させる推進力を、発生する。推進力が船舶1の重心Gを通過する方向に作用する場合、推進機ユニット5は船舶1を直進させる。推進力が船舶1の重心Gを通過しない方向に作用する場合、推進機ユニット5は船舶1を重心Gまわりに旋回させる。
【0017】
推進機ユニット5は、船体3を転舵可能に構成される。推進機ユニット5は、船体3の船尾に取り付けられる。例えば、推進機ユニット5は、1対のトリムタブ7の間に配置される。
【0018】
推進機ユニット5は、ブラケット29を介して、船体3に取り付けられる。例えば、推進機ユニット5は、船体3に固定されるブラケット29を介して、船体3の船尾に着脱可能に固定される。
【0019】
推進機ユニット5は、エンジン9と、ドライブ軸10と、プロペラ軸11と、シフト機構13と、エンジンカバー15と、ハウジング17とを、含む。
【0020】
エンジン9は、船体3に推進力を作用させるためのものである。エンジン9は、船体3の推進力を生み出す動力源である。本実施形態では、動力源としてエンジン9が用いられる場合の例を示すが、動力源としてモータを用いてもよい。エンジン9は、エンジンカバー15内に配置される。エンジン9は、クランク軸21を含む。クランク軸21は、鉛直方向に延びる。
【0021】
ドライブ軸10は、クランク軸21に接続される。ドライブ軸10は、エンジン9から下方に延びる。プロペラ軸11は、ドライブ軸10と交差する方向に延びる。ここでは、プロペラ軸11は、前後方向に延びる。プロペラ軸11は、シフト機構13を介して、ドライブ軸10に接続される。プロペラ軸11には、プロペラ23が接続される。
【0022】
ハウジング17は、エンジンカバー15の下方に配置される。ハウジング17は、エンジンカバー15に取り付けられる。ドライブ軸10と、プロペラ軸11と、シフト機構13とは、ハウジング17内に配置される。シフト機構13は、シフト部材25を介して、シフトアクチュエータ27によって駆動される。シフト機構13は、ドライブ軸10からプロペラ軸11へ伝達される動力の回転方向を切り換える。これにより、プロペラ23の回転方向が前進方向又は後進方向に切り換えられる。
【0023】
以下では、
図1に示すように推進機ユニット5が中立位置に配置された状態において、推進機ユニット5は、回動軸心C2を基準として回動方向R1に回動する。推進機ユニット5は、転舵ユニット14によって回動する。
【0024】
(転舵ユニットの構成)
転舵ユニット14は、推進機ユニット5を船体3に対して回動させるためのものである。
図2及び
図4に示すように、転舵ユニット14は、ステアリング軸14aと、転舵用アクチュエータ14bと、舵角センサ14cとを、有する。
【0025】
ステアリング軸14aは、ブラケット29に対して推進機ユニット5を回動可能に支持する。詳細には、ステアリング軸14aは、ハウジング17及びブラケット29の間に配置される。ステアリング軸14aは、船体3に固定されるブラケット29に対して、ハウジング17を回動可能に支持する。
【0026】
転舵用アクチュエータ14bは、ステアリング軸14aを介して、推進機ユニット5を船体3に対して回動させる。詳細には、転舵用アクチュエータ14bは、ステアリング軸14aの回動軸心C2まわりに、ハウジング17をブラケット29に対して回動させる。
【0027】
例えば、転舵用アクチュエータ14bは、電動モータ102である。転舵用アクチュエータ14bは、図示しない油圧ポンプ及び油圧シリンダ等を介して、ハウジング17をブラケット29に対して回動させる。
【0028】
舵角センサ14cは、ステアリングハンドル8(
図1を参照)の操舵角を、検知する。例えば、ステアリングハンドル8は、船体3に回転可能に設けられる。舵角センサ14cは、ステアリングハンドル8の操舵角を示す操舵角データを、時系列データとしてコントローラ37に出力する。
【0029】
上記の転舵ユニット14では、転舵用アクチュエータ14bが舵角センサ14cの操舵角データに基づいて作動する。この転舵用アクチュエータ14bの作動によって、推進機ユニット5は、ブラケット29に対して回動する。推進機ユニット5の回動によって、船体3の中心線C1に対して推進力が作用する方向を変化させることができる。
【0030】
(トリムタブ7の構成)
図1に示すように、1対のトリムタブ7は、船体3に配置される。例えば、1対のトリムタブ7は、船体3の後部に取り付けられる。1対のトリムタブ7それぞれは、船体3の後部に揺動可能に取り付けられる。詳細には、1対のトリムタブ7は、推進機ユニット5の左右において、船体3の後部に揺動可能に取り付けられる。1対のトリムタブ7それぞれは、揺動軸心C3まわり揺動可能に船体3の後部に取り付けられる。
【0031】
図3に示すように、各トリムタブ7は、トリムタブアクチュエータ34と、タブ本体47とを、有する。各トリムタブアクチュエータ34は、各タブ本体47を船体3に対して揺動させるためのものである。各トリムタブアクチュエータ34は、各タブ本体47及び船体3の間において、各タブ本体47及び船体3それぞれに取り付けられる。
【0032】
各タブ本体47は、船体3の後部に揺動可能に取り付けられる。例えば、各タブ本体47の基端部は、船体3の後部に揺動軸心C3まわりに揺動可能に取り付けられる。各トリムタブアクチュエータ34の作動時に、各タブ本体47は揺動方向R2に揺動する。
【0033】
なお、
図3に示すように、揺動方向R2は上記の揺動軸心C3を基準として定義される。本実施形態では、揺動軸心C3は、中心線C1に直交する方向に延びている。例えば、揺動軸心C3は左右方向に延びている。揺動軸心C3は、ステアリング軸14aの回動軸心C2に交差するように斜めに延びていてもよい。
【0034】
(操船システムの構成)
船舶1は、操船システム31を搭載する。
図4に示すように、操船システム31は、上述した推進機ユニット5と、トリムタブ7と、姿勢センサ33(検出部の一例)と、船体位置センサ35と、コントローラ37とを、備える。操船システム31は、舵角センサ14cをさらに備える。舵角センサ14cの構成は上述した構成と同じであるので、ここでは説明が省略される。
【0035】
−トリムタブ−
各トリムタブ7は、上述したように、トリムタブアクチュエータ34と、タブ本体47とを、有する。各トリムタブアクチュエータ34は、コントローラ37によって制御される。例えば、コントローラ37は、各トリムタブアクチュエータ34に制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、各トリムタブアクチュエータ34は作動する。各トリムタブアクチュエータ34の作動によって、各タブ本体47は揺動する。各トリムタブアクチュエータ34は、油圧式のアクチュエータであっても、電動式のアクチュエータであってもよい。
【0036】
−姿勢センサ−
姿勢センサ33は、船舶1の進行状態を検出するために用いられる。例えば、姿勢センサ33は、船舶1の姿勢を検出するために用いられる。また、姿勢センサ33は、船舶1の進行方向を検出するために用いられる。姿勢センサ33は、船体3に取り付けられる。姿勢センサ33は、加速度センサ33aと、ジャイロセンサ33bと、とを、含む。
【0037】
加速度センサ33aは、船舶1の姿勢を示す第1姿勢データを、検出する。第1姿勢データは、船舶1の姿勢をコントローラ37に認識させるために用いられる。例えば、第1姿勢データは、ロール軸まわりのロール角度(ロールデータの一例)と、ピッチ軸まわりのピッチ角度(ピッチデータの一例)とを含む。
【0038】
加速度センサ33aは、ロール角度及びピッチ角度をコントローラ37に出力する。ロール角度及びピッチ角度は、時系列データとしてメモリ37bに記録される。なお、コントローラ37は、加速度センサ33aから加速度データを取得し、加速度データを用いてロール角度及びピッチ角度を算出してもよい。
【0039】
ジャイロセンサ33bは、船舶1の進行方向を検出するための第2姿勢データを、検出する。第2姿勢データは、船舶1の進行方向をコントローラ37に認識させるために用いられる。例えば、第2姿勢データは、ヨー軸まわりのヨーレート(ヨーデータの一例)を含む。ジャイロセンサ33bは、ヨーレートをコントローラ37に出力する。ヨーレートは、時系列データとしてメモリ37bに記録される。ヨーレートは、ヨー回転角速度である。
【0040】
なお、姿勢センサ33は、ジャイロセンサ33bだけであってもよい。この場合、ジャイロセンサ33によって検出される姿勢データは、ロールレートと、ピッチレートと、ヨーレートとを、含む。ここでは、コントローラ37は、ロールレート及びピッチレートそれぞれを積分することによって、ロール角度及びピッチ角度を算出する。ロール角度及びピッチ角度は、上記の第1姿勢データとして用いられる。ヨーレートは、上記の第2姿勢データとして用いられる。
【0041】
−船体位置センサ−
船体位置センサ35は、船舶1の位置を示す位置データを、検出する。船体位置センサ35は、船体3に取り付けられる。船体位置センサ35は、例えばGPS受信ユニットである。船体位置センサ35は、位置データをGPS衛星から受信する。船体位置センサ35は、位置データをコントローラ37に出力する。位置データは、時系列データとしてメモリ37bに記録される。GPSは、Global Positioning Systemの略語である。
【0042】
−コントローラ−
コントローラ37は、プロセッサ37aとメモリ37bとを含む。プロセッサ37aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ37aは、メモリ37bに記録されたプログラムに従って、各装置及び各センサを制御するための処理を実行する。例えば、プロセッサ37aは、メモリ37bに記録されたプログラムに基づいて、各トリムタブアクチュエータ34を制御するための処理を、実行する。以下では、“コントローラ37が実行する処理”に関する記載は、“プロセッサ37aが実行する処理”と解釈してもよい。
【0043】
なお、コントローラ37は、船舶1を全体的に制御するメインコントローラと、舵角等を制御するサブコントローラとから、構成されていてもよい。この場合、例えば、メインコントローラは、トリムタブアクチュエータ34を制御する。サブコントローラには、舵角センサ14cが接続される。舵角センサ14cの操舵角データは、サブコントローラを介して、メインコントローラに出力される。
【0044】
メモリ37bは、RAM等の揮発性メモリを含む。メモリ37bは、ROM等の不揮発性メモリを含む。メモリ37bは、各装置及び各センサを制御するためのプログラム及びデータを、記憶する。例えば、メモリ37bは、各トリムタブアクチュエータ34を制御するためのプログラム及びデータを、記憶する。
【0045】
なお、コントローラ37は、ハードディスク及び/又はSSD等の補助記憶装置を、含んでもよい。また、図示しないハードディスク及び/又はSSD等の外部記憶装置(図示しない)を、コントローラ37に接続してもよい。
【0046】
−メモリの記録データ−
メモリ37bは、舵角センサ14cの操舵角データを、記録する。例えば、メモリ37bは、舵角センサ14cの操舵角データを、時系列データとして記録する。
【0047】
メモリ37bは、姿勢センサ33の姿勢データを、記録する。例えば、メモリ37bは、姿勢センサ33の姿勢データを、時系列データとして記録する。
【0048】
メモリ37bは、以下の操船システム31の処理形態において用いられる所定値を、記録する。所定値は、第1から第5所定値を含む。
【0049】
第1所定値及び第2所定値は、船舶1の進行方向を判別する際に用いられる。第3所定値は、船舶1の姿勢変化を判別する際に用いられる。第1所定値、第2所定値、及び第3所定値は、閾値として用いられる。
【0050】
例えば、第1所定値は所定値(≒0)に設定される。第2所定値は所定値(≠0)に設定される。第3所定値は所定値(≠0)に設定される。
【0051】
なお、誤差を考慮するために、第1所定値の代わりに、第1所定範囲を閾値として用いてもよい。第1所定範囲はゼロ(0)を含む。第2所定値の代わりに、第2所定範囲を閾値として用いてもよい。第2所定範囲はゼロ(0)を含まない。
【0052】
第4所定値(第1所定値の一例)及び第5所定値(第2所定値の一例)は、トリムタブ7の作動による船舶1の進行方向の変化を補正するために用いられる。例えば、第4所定値は、船舶1の進行方向が直進方向である場合の第1変化量YS1(後述する)の目標値として、用いられる。第5所定値は、船舶1の進行方向が旋回方向である場合の第2変化量YS2(後述する)の目標値として用いられる。
【0053】
例えば、第4所定値及び第5所定値は、所定値(≒0)に設定される。なお、誤差を考慮するために、第4所定値及び第5所定値の代わりに、第3所定範囲及び第4所定範囲を、閾値として用いてもよい。第3所定範囲及び第4所定範囲は、ゼロ(0)を含む。
【0054】
メモリ37bは、ロール角度及びトリムタブ7の作動量(トリムタブアクチュエータ34の作動量)の関係を示す第1テーブルデータを、記録する。なお、メモリ37bは、ロール角度に対するトリムタブ7の作動量(トリムタブアクチュエータ34の作動量)を算出するための関数を、記録していてもよい。
【0055】
メモリ37bは、ピッチ角度及びトリムタブ7の作動量(トリムタブアクチュエータ34の作動量)の関係を示す第2テーブルデータを、記録する。なお、メモリ37bは、ピッチ角度に対するトリムタブ7の作動量(トリムタブアクチュエータ34の作動量)を算出するための関数を、記録していてもよい。
【0056】
−コンローラの制御−
コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の舵角又はトリムタブ7の作動時の舵角を、第1舵角として認識する。例えば、コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の舵角又はトリムタブ7の作動時の操舵角データを、取得する。コントローラ37は、この操舵角データに対応する舵角を、第1舵角として認識する。これにより、コントローラ37は、転舵用アクチュエータ14bを作動させ、推進機ユニット5の舵角を第1舵角に設定する。
【0057】
コントローラ37は、船舶1の進行方向を識別する。例えば、コントローラ37は、第2姿勢データに基づいて、船舶1の進行方向を識別する。具体的には、コントローラ37は、ヨーレートに基づいて、船舶1の進行方向が直進方向であるか否かを、識別する。
【0058】
コントローラ37は、ヨーレートの時系列データに基づいて、ヨーレートYAの積分値を算出する。これにより、コントローラ37は、ヨー軸まわりの船体角度を、認識する。このヨー軸まわりの船体角度によって、コントローラ37は、船舶1の進行方向を識別する。
【0059】
コントローラ37は、船舶1の姿勢変化を識別する。例えば、コントローラ37は、第1姿勢データに基づいて、船舶1の姿勢変化を識別する。具体的には、コントローラ37は、ロール角度及びピッチ角度の少なくともいずれか一方に基づいて、船舶1の姿勢変化を識別する。
【0060】
コントローラ37は、ロール角度に基づいて、ロール軸まわりの船体角度を認識する。詳細には、コントローラ37は、ロール角度の時系列データに基づいて、ロール軸まわりの船体角度を認識する。このロール軸まわりの船体角度によって、コントローラ37は、ロール軸まわりの船舶1の姿勢を識別する。
【0061】
コントローラ37は、ピッチ角度に基づいて、ピッチ軸まわりの船体角度を認識する。詳細には、コントローラ37は、ピッチ角度の時系列データに基づいて、ピッチ軸まわりの船体角度を認識する。このピッチ軸まわりの船体角度によって、コントローラ37は、ピッチ軸まわりの船舶1の姿勢を識別する。
【0062】
コントローラ37は、トリムタブ7を作動させることによって、船舶1の姿勢を補正する。例えば、コントローラ37は、第1姿勢データに基づいて各トリムタブ7を作動させることによって、船舶1の姿勢を補正する。
【0063】
具体的には、コントローラ37は、ロール角度及びピッチ角度の少なくともいずれか一方に基づいて、各トリムタブ7を作動させる。これにより、船舶1の姿勢が、ロール軸及びピッチ軸の少なくともいずれか一方まわりに変更される。
【0064】
より詳細には、コントローラ37は、ロール角度及びピッチ角度の少なくともいずれか一方に基づいてトリムタブ7アクチュエータを作動させることによって、タブ本体47を作動させる。トリムタブ7アクチュエータの作動によって、船舶1の姿勢が、ロール軸及びピッチ軸の少なくともいずれか一方のまわりに変更される。
【0065】
コントローラ37は、第2姿勢データに基づいて、トリムタブ7作動後の船舶1の進行方向の変化を、識別する。例えば、コントローラ37は、ヨーレートに基づいて、船舶1の進行方向を識別する。詳細には、コントローラ37は、ヨーレートの時系列データに基づいて、船舶1の進行方向を識別する。
【0066】
コントローラ37は、トリムタブ7の作動による船舶1の進行方向の変化を、補正する。例えば、コントローラ37は、第2姿勢データ(ヨーレート)に基づいて、トリムタブ7の作動による船舶1の進行方向の変化を補正する。これにより、トリムタブ7の作動による船舶1の進行方向の変化を減少させることができる。
【0067】
コントローラ37は、推進機ユニット5の舵角を第1舵角に設定した状態でトリムタブ7を作動させた場合、第2姿勢データ(ヨーレート)の変化量に基づいて、推進機ユニット5の舵角を第2舵角(第2舵角の一例)に設定する。第2舵角は、トリムタブ7の作動後の舵角であり、第1舵角とは異なる。
【0068】
コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の第1ヨーレートの積分値とトリムタブ7の作動後の第2ヨーレートの積分値とを用いて、ヨーの変化量を認識する。また、コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の第1ヨーレートとトリムタブ7の作動後の第2ヨーレートとを用いて、ヨーレートの変化量を認識する。第1ヨーレート及び第2ヨーレートは、ヨーレートの時系列データに含まれる。
【0069】
例えば、第1ヨーレートは、船舶1が第1舵角で進行する状態のヨーレートである。第2ヨーレートは、トリムタブアクチュエータ34の作動を開始させるための制御信号をコントローラ37が出力した後のヨーレートである。
【0070】
コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の所定の時刻を基準として、第1ヨーレートの積分値及び第2ヨーレートの積分値を算出する。コントローラ37は、第2ヨーレートの積分値及び第1ヨーレートの積分値の差分を計算することによって、ヨーレートの積分値の差分量(ヨーの第1変化量YS1)を算出する。なお、コントローラ37は、トリムタブ7の作動開始時の時刻を基準として第2ヨーレートの積分値を所定の時間間隔で連続的に算出することによって、ヨーの第1変化量YS1を算出してもよい。コントローラ37は、第2ヨーレート及び第1ヨーレートの差分を計算することによって、ヨーレートの差分量(ヨーレートの第1変化量YS1)を算出する。第1変化量YS1は、絶対値である。
【0071】
第1変化量YS1は、船舶1の進行方向を直進方向に調整する場合に用いられる変化量である。ここでは、船舶1の進行方向を直進方向に調整する場合のヨーレートの積分値の差分量を、「“ヨー”の第1変化量YS1」と表現している。また、船舶1の進行方向を直進方向に調整する場合のヨーレートの差分量を、「“ヨーレート”の第1変化量YS1」と表現している。
【0072】
また、コントローラ37は、第1ヨーレートを目標ヨーレートとして設定する。ここで、コントローラ37は、第1ヨーレートを目標ヨーレートとしてメモリ37bに記録する。この場合、コントローラ37は、ヨーレートの時系列データに基づいて、第2ヨーレート及び目標ヨーレートの差分量(ヨーレートの第2変化量YS2)を、算出する。第2変化量YS2は、絶対値である。
【0073】
第2変化量YS2は、船舶1の進行方向を旋回方向に調整する場合に用いられる変化量である。ここでは、船舶1の進行方向を旋回方向に調整する場合のヨーレートの差分量を、「“ヨーレート”の第2変化量YS2」と表現している。
【0074】
コントローラ37は、ヨーレートの時系列データに基づいて、推進機ユニット5の回動方向R1を設定する。例えば、コントローラ37は、ヨーレートの時系列データを用いて、船舶1の進行方向が時計回りに変化したのか反時計回りに変化したのかを、識別する。コントローラ37は、船舶1の進行方向の変化を打ち消す方向に、推進機ユニット5の回動方向R1を設定する。
【0075】
コントローラ37は、第1変化量YS1に基づいて、推進機ユニット5の舵角を第2舵角に設定する。例えば、コントローラ37は、第1変化量YS1が減少するように、転舵用アクチュエータ14bを作動させる。詳細には、コントローラ37は、第1変化量YS1が第4所定値に到達するように、転舵用アクチュエータ14bを作動させる。この転舵用アクチュエータ14bの作動によって、推進機ユニット5の舵角が第2舵角に設定される。
【0076】
コントローラ37は、第2変化量YS2に基づいて、推進機ユニット5の舵角を第3舵角(第2舵角の一例)に設定する。例えば、コントローラ37は、第2変化量YS2が減少するように、転舵用アクチュエータ14bを作動させる。詳細には、コントローラ37は、第2変化量YS2が第2所定値に到達するように、転舵用アクチュエータ14bを作動させる。この転舵用アクチュエータ14bの作動によって、推進機ユニット5の舵角が第3舵角に設定される。
【0077】
(操船システムの処理形態)
図5A、
図5B、及び
図5Cは、操船システム31の処理を示すフローチャートである。
【0078】
船舶1が走行を開始すると、コントローラ37は、船舶1の動作状態の監視を開始する(S1)。例えば、コントローラ37は、船舶1の姿勢状態、トリムタブ7の作動状態、及び船舶1の進行状態を、監視する。
【0079】
ここでは、コントローラ37は、第1姿勢データ(ロール角度RA及びピッチ角度PA)と、第2姿勢データ(ヨーレートYA)を、取得する。コントローラ37は、第1及び第2姿勢データの時系列データの時系列データに基づいて、船舶1の姿勢状態及び船舶1の進行状態を監視する。コントローラ37は、トリムタブアクチュエータ34に出力する制御信号によって、トリムタブ7の作動状態を認識している。
【0080】
コントローラ37は、現状の舵角を第1舵角として認識する(S2)。これにより、コントローラ37は、推進機ユニット5の舵角が第1舵角になるように、転舵用アクチュエータ14bを作動させる。この状態では、推進機ユニット5の舵角が第1舵角に設定された状態で、船舶1は進行する。
【0081】
コントローラ37は、ヨーレートYA(第2姿勢データ)の時系列データに基づいて、船舶1の進行方向が直進方向であるか否かを判断する(S3)。
【0082】
例えば、コントローラ37は、ヨーレートYAの時系列データに基づいて、船舶1の進行方向が直進方向であるか否かを判断する。ヨーレートYAが実質的にゼロ(0)である場合が、船舶1の進行方向が直進方向である場合に対応する。
【0083】
ここで、現状のヨーレートYAが第1所定値(≒0)である場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が直進方向であると認識する(S3でYes)。なお、第1所定値に代えて、第1所定範囲を閾値として用いてもよい。この場合、ヨーレートYAが第1所定範囲内である場合(|YA|<A1)、コントローラ37は、船舶1の進行方向が直進方向であると認識する。ここでは、誤差範囲がA1によって定義されている。A1は、正数である。誤差範囲はゼロ(0)を含む。
【0084】
一方で、現状のヨーレートYAが第2所定値(≠0)である場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が旋回方向であると認識する(S3でNo)。第2所定値は、第1所定値を除いた値である。
【0085】
なお、第2所定値に代えて、第2所定範囲を閾値として用いてもよい。第2所定範囲は、第1所定値(≒0)又は第1所定範囲を除く範囲である。この場合、ヨーレートYAが第2所定範囲内である場合(|YA|≧A1)、コントローラ37は、船舶1の進行方向が旋回方向であると認識する。
【0086】
上記状態(S3でYes又はS3でNo)における船舶1の走行中に、船上での人の移動及び船舶1への横風の影響等によって船舶1の姿勢が変化した場合、以下の処理によって、コントローラ37は船舶1の姿勢を元の姿勢に復帰させる。
【0087】
コントローラ37は、ロール角度RA及びピッチ角度PA(第1姿勢データ)に基づいて、ロール軸及び/又はピッチ軸まわりに船舶1の姿勢を変更する必要があるか否かを、判断する(S4,S5)。
【0088】
例えば、コントローラ37は、ロール角度RA(ロール軸まわりの船体角度)、及び/又はピッチ角度PA(ピッチ軸まわりの船体角度)が、第3所定値A2(≠0)より大きくなった場合(|RA|>A2、|PA|>A2)、船舶1の姿勢を変更する必要があると判断する。A2は正数である。
【0089】
ここで、コントローラ37は、ロール軸及び/又はピッチ軸まわりに船舶1の姿勢を変更する必要がないと判断した場合(S4,S5でNo)、ステップ3(S3)の処理を実行する。
【0090】
一方で、コントローラ37は、ロール軸及び/又はピッチ軸まわりに船舶1の姿勢を変更する必要があると判断した場合(S4,S5でYes)、1対のトリムタブ7の少なくともいずれか一方を、作動させる(S6,S7)。
【0091】
例えば、コントローラ37は、ロール角度RA及び/又はピッチ角度PAが実質的にゼロ(0)になるように、トリムタブアクチュエータ34を介して、1対のタブ本体47の少なくともいずれか一方を、作動させる(S6,S7)。
【0092】
具体的には、コントローラ37は、第1テーブルデータを参照し、トリムタブ7の作動量(トリムタブアクチュエータ34の作動量)を設定する。これにより、コントローラ37は、1対のタブ本体47の少なくともいずれか一方を作動させる。
【0093】
また、コントローラ37は、第2テーブルデータを参照し、トリムタブ7の作動量(トリムタブアクチュエータ34の作動量)を設定する。これにより、コントローラ37は、1対のタブ本体47の少なくともいずれか一方を作動させる。
【0094】
このように1対のタブ本体47の少なくともいずれか一方を作動させることによって、船舶1の姿勢が、実質的に水平な姿勢に補正される。
【0095】
上記のようにトリムタブ7が作動し、トリムタブ7の作動によって船舶1の進行方向が変化した場合、
図6A及び
図6Bに示すように、コントローラ37は船舶1の進行方向を補正する。ここでは、コントローラ37は、ヨーレートYA(第2姿勢データ)の時系列データに基づいて船舶1の進行方向が変化したか否かを、判断する(S8,S9)。
【0096】
図6A及び
図6Bでは、現状の船舶1の進行方向が、実線の矢印で示される。トリムタブ7の作動によって変化した船舶1の進行方向は、破線の矢印で示される。作動するトリムタブ7には、ハッチングが施されている。船舶1の進行方向を補正する方向は、白抜きの矢印で示される。船舶1の進行方向を補正するために推進機ユニット5の回動方向R1は、ハッチング付きの矢印で示される。
【0097】
・現状の船舶1の進行方向が直進方向である場合(例えば
図6Aの場合)
この場合、ヨーレートYAの積分値の変化量、又はヨーレートYAの変化量を用いることによって、船舶1の進行方向が補正される。
【0098】
(ヨーレートの積分値の変化量を用いる場合)
コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の第1ヨーレートの積分値及びトリムタブ7の作動後の第2ヨーレートの積分値を用いて、ヨーレートYAの積分値の変化量、例えばヨーレートYAの積分値の差分量(ヨーの第1変化量YS1)を、算出する。この差分量は、絶対値である。
【0099】
例えば、コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の所定の第1時刻からトリムタブ7の作動開始時までのヨーレートの積分値を、第1ヨーレートの積分値と設定する。コントローラ37は、上記の第1時刻からトリムタブ7の作動後の所定の第2時刻までのヨーレートYAの積分値を、第2ヨーレートの積分値と設定する。コントローラ37は、第2ヨーレートの積分値及び第1ヨーレートの積分値の差分量を、ヨーの第1変化量YS1として用いる。
【0100】
また、コントローラ37は、次のようにヨーの第1変化量YS1を算出してもよい。コントローラ37は、トリムタブ7の作動開始時の時刻を基準としてヨーレートYAの積分値を所定の時間間隔で連続的に算出することによって、ヨーレートYAの積分値の差分量(ヨーの第1変化量YS1)を算出してもよい。この差分量は、絶対値である。
【0101】
現状の船舶1の進行方向が直進方向である場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が変化したか否かを、判断する(S8)。例えば、コントローラ37は、ヨーの第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に一致するか否かを、判断する。
【0102】
ここで、ヨーの第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に一致した場合(S8でYes)、コントローラ37は、船舶1の進行方向が直進方向を維持している、又は、船舶1の進行方向の変化が補正されたと、判断する。この場合、コントローラ37は、ステップ12(S12)の処理を実行する。
【0103】
一方で、ヨーの第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に一致しない場合(S8でNo)、コントローラ37は、直進状態の船舶1の船体角度がヨー軸まわりに変化したと判断する。この場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が変化したと判断する。
【0104】
(ヨーレートの変化量を用いる場合)
コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の第1ヨーレート及びトリムタブ7の作動後の第2ヨーレートを用いて、ヨーレートYAの変化量、例えばヨーレートYAの差分量を、算出する。この差分量は、絶対値である。コントローラ37は、このヨーレートYAの差分量を、ヨーレートの第1変化量YS1として用いる。
【0105】
例えば、コントローラ37は、トリムタブ7の作動前の所定の第1時刻からトリムタブ7の作動開始時までのヨーレートの平均値を、第1ヨーレートと設定する。船舶1の進行方向が直進方向である場合、第1ヨーレートは、実質的にゼロである。第1ヨーレートは、トリムタブ7の作動開始時のヨーレートであってもよい。
【0106】
コントローラ37は、トリムタブ7の作動開始時を基準として、所定の時間間隔で第2ヨーレートを連続的に算出する。コントローラ37は、第2ヨーレート及び第1ヨーレートの差分を計算することによって、ヨーレートの第1変化量YS1を算出する。すなわち、コントローラ37は、所定の時間間隔で、ヨーレートの第1変化量YS1(タブ駆動前後のヨーレートYAの差分量)を連続的に算出する。
【0107】
なお、第1ヨーレート、第2ヨーレート、及びヨーレートの第1変化量YS1は、メモリ37bに記録される。
【0108】
現状の船舶1の進行方向が直進方向である場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が変化したか否かを、判断する(S8)。例えば、コントローラ37は、ヨーレートの第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に一致するか否かを、判断する。
【0109】
ここで、ヨーレートの第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に一致した場合(S8でYes)、コントローラ37は、船舶1の進行方向が直進方向を維持している、又は、船舶1の進行方向の旋回角速度の変化が補正されたと、判断する。この場合、コントローラ37は、ステップ12(S12)の処理を実行する。
【0110】
一方で、ヨーレートの第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に一致しない場合(S8でNo)、コントローラ37は、直進状態の船舶1の船体角度がヨー軸まわりに変化したと判断する。この場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向の旋回角速度が変化したと判断する。
【0111】
船舶1の進行方向が変化した場合(
図6Aの破線矢印を参照)、コントローラ37は、コントローラ37は、転舵用アクチュエータ14bを作動させることによって、推進機ユニット5の舵角を第2舵角に設定する(S10)。
【0112】
例えば、コントローラ37は、ヨーレートYAの時系列データに基づいて、推進機ユニット5の回動方向R1(
図6Aのハッチング付きの矢印を参照)を、設定する。コントローラ37は、第1変化量YS1が第4所定値(≒0)に到達するように、推進機ユニット5の舵角を第2舵角に設定する。これにより、
図6Aのハッチング付き矢印のように推進機ユニット5は回動し、
図6Aの白抜き矢印のように船舶1の進行方向が補正される。
【0113】
なお、第4所定値に代えて、第3所定範囲を閾値として用いてもよい。この場合、第1変化量YS1が第3所定範囲内である場合(|YS1|<A3)、コントローラ37は、船舶1が現状の直進方向を維持している、又は、船舶1の進行方向の変化が補正されたと、判断する。ここでは、誤差範囲がA3によって定義されている。A3は、正数である。誤差範囲はゼロ(0)を含む。
【0114】
また、第1変化量YS1が第3所定範囲外である場合(|YS1|≧A3)、コントローラ37は、船舶1の進行方向(現状の直進方向)が変化したと判断する。この場合、コントローラ37は、第1変化量YS1が第3所定範囲内になるように、推進機ユニット5の舵角を第2舵角に設定する。このように推進機ユニット5の舵角を制御しても、船舶1の進行方向は補正される。
【0115】
・現状の船舶1の進行方向が旋回方向である場合(例えば
図6Bの場合)
この場合、ヨーレートYAの時系列データに基づいて、船舶1の進行方向が調整される。コントローラ37は、第2ヨーレート及び目標ヨーレート(第1ヨーレート)を用いて、ヨーレートYAの変化量例えばヨーレートYAの差分量を、算出する。この差分量は、絶対値である。コントローラ37は、このヨーレートYAの差分量を、ヨーレートYAの第2変化量YS2として用いる。
【0116】
例えば、コントローラ37は、第2ヨーレート及び目標ヨーレートの差分を計算することによって、ヨーレートYAの差分量(ヨーレートの第2変化量YS2)を算出する。すなわち、コントローラ37は、トリムタブ7の作動開始時を基準として、所定の時間間隔でヨーレートの第2変化量YS2(ヨーレートYAの差分量)を連続的に算出する。なお、ヨーレートの第2変化量YS2は、メモリ37bに記録される。
【0117】
現状の船舶1の進行方向が旋回方向である場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が変化したか否かを、判断する(S9)。例えば、コントローラ37は、第2変化量YS2が第5所定値(≒0)に一致するか否かを、判断する(S9)。
【0118】
ここで、第2変化量YS2が第5所定値(≒0)に一致した場合(S9でYes)、コントローラ37は、船舶1の進行方向が現状の旋回方向を維持している、又は、船舶1の進行方向の変化が補正されたと、判断する。この場合、コントローラ37は、ステップ12(S12)の処理を実行する。
【0119】
一方で、第2変化量YS2が第5所定値(≒0)に一致しない場合(S9でNo)、コントローラ37は、旋回状態の船舶1の船体角度がヨー軸まわりに変化したと判断する。この場合、コントローラ37は、船舶1の進行方向が変化したと判断する。
【0120】
船舶1の進行方向が変化した場合(
図6Bの破線矢印を参照)、コントローラ37は、転舵用アクチュエータ14bを作動させることによって、推進機ユニット5の舵角を第3舵角に設定する(S11)。
【0121】
例えば、コントローラ37は、ヨーレートYAの時系列データに基づいて、推進機ユニット5の回動方向R1(
図6Bのハッチング付きの矢印を参照)を、設定する。コントローラ37は、第2変化量YS2が第5所定値(≒0)に到達するように、推進機ユニット5の舵角を第3舵角に設定する。これにより、
図6Bのハッチング付き矢印のように推進機ユニット5は回動し、
図6Bの白抜き矢印のように船舶1の進行方向が補正される。
【0122】
なお、第5所定値に代えて、第4所定範囲を閾値として用いてもよい。この場合、第2変化量YS2が第4所定範囲内である場合(|YS2|<A4)、コントローラ37は、船舶1が現状の旋回方向を維持している、又は、船舶1の進行方向の変化が補正されたと、判断する。ここでは、誤差範囲がA4によって定義されている。A4は、正数である。誤差範囲はゼロ(0)を含む。
【0123】
また、第2変化量YS2が第4所定範囲外である場合(|YS2|≧A4)、コントローラ37は、船舶1の進行方向(現状の旋回方向)が変化したと判断する。この場合、コントローラ37は、第2変化量YS2が第4所定範囲内になるように、推進機ユニット5の舵角を第3舵角に設定する。このように、推進機ユニット5の舵角を制御しても、船舶1の進行方向は補正される。
【0124】
上記のように船舶1の進行方向が補正された後、コントローラ37は、トリムタブ7の作動が停止した否かを判断する(S12)。ここでは、トリムタブ7を作動させる信号が消失した場合(S12でYes)に、コントローラ37は、トリムタブ7の作動が停止したと判断する。この場合、コントローラ37は、ステップ2(S2)の処理を実行する。
【0125】
一方で、トリムタブ7を作動させる信号が存在している場合(S12でNo)、コントローラ37は、トリムタブ7が作動中であると判断する。この場合、コントローラ37は、ステップ8,9(S8,S9)の処理を実行する。
【0126】
例えば、トリムタブ7の作動中(S6〜S12)では、ヨーレートYA(第2姿勢データ)がトリムタブ7の作動によって変化する。このため、第2舵角及び第3舵角は、ヨーレートYAの変化に応じて変化する。すなわち、ステップ8〜11(S8〜S11)の処理は、トリムタブ7の作動が停止するまで実行される。これにより、現状の船舶1の進行方向がトリムタブ7の作動によって変化した場合に、船舶1の進行方向の変化を好適に補正することができる。
【0127】
<変形例>
上記の操船システム31は、以下のように構成してもよい。
【0128】
(A1)前記実施形態では、姿勢センサ33が検出部の一例である場合の例を示したが、船体位置センサ35(検出部の一例)例えばGPS受信ユニットを用いて、船舶1の進行方向の変化を識別してもよい。
【0129】
この場合、コントローラ37は、位置データを船体位置センサ35から取得する。コントローラ37は、位置データに基づいて、船舶1の進行方向を示す方向データを算出する。コントローラ37は、方向データに基づいて推進機ユニット5の舵角を、上述した第2舵角又は第3舵角に、設定する。
【0130】
具体的には、コントローラ37は、位置データの時系列データに基づいて、方向データを算出する。コントローラ37は、方向データの時系列データに基づいて、船舶1の進行方向が変化したか否かを判断する(S8,S9)。ここで、船舶1の進行方向が変化した場合(S8でYes,S9でYes)、推進機ユニット5の舵角を、第2舵角又は第3舵角に設定する。
【0131】
(A2)前記実施形態では、姿勢センサ33が検出部の一例である場合の例を示したが、磁気方位センサ(図示しない)を用いて、船舶1の進行方向の変化を識別してもよい。この場合、コントローラ37は、磁気方位センサから取得したヨー角度の時系列データに基づいて、船舶1の進行方向が変化したか否かを判断する(S8,S9)。ここで、船舶1の進行方向が変化した場合(S8でYes,S9でYes)、推進機ユニット5の舵角を、第2舵角又は第3舵角に設定する。
【0132】
<他の実施形態>
上記の操船システム31は、以下のように構成してもよい。
【0133】
(B1)前記実施形態の
図6A及び
図6Bでは、操船システム31の説明を容易にするために、1対のトリムタブ7の一方(左側のトリムタブ7)が作動する場合を示した。操船システム31では、1対のトリムタブ7の他方(右側のトリムタブ7)を作動させてもよい。また、1対のトリムタブ7(左右のトリムタブ7)を同時に作動させてもよい。
【0134】
(B2)前記実施形態では、推進機ユニット5が船外機である場合の例を示したが、推進機ユニット5は船内機であってもよい。また、推進機ユニット5は、電動の船外機であってもよい。
【0135】
(B3)前記実施形態では、クランク軸21が鉛直方向に延びる場合の例を示したが、クランク軸21が延びる方向は他の方向であってもよい。例えば、クランク軸21が、鉛直方向に交差する方向に延びていても、鉛直方向に垂直な方向に延びていてもよい。
【0136】
(B4)前記実施形態では、トリムタブ7がトリム調整部の一例である場合の例を示したが、トリム調整部はインターセプターであってもよい。この場合、コントローラ37は、インターセプター用のアクチュエータを制御する。これにより、インターセプターを水中において、船体の下面から突出させたり、船体の下面より上方に収納したりすることができる。