【解決手段】ジブ25の先端部に設けられ、ジブ25が垂下された状態で、ジブ25の先端から吊り下げられるフック装置33の上部を上から支持することが可能なブラケット6を有する。垂下したジブ25がブームに引き寄せられる際に、フック装置33が巻き上げられ、フック装置33の上部がブラケット6で上から支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持された状態で、フック装置33がブームに引き寄せられる。ブームに引き寄せられているジブ25がブームから離隔される際に、フック装置33が巻き上げられ、フック装置33の上部がブラケット6で上から支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持された状態で、フック装置33がブームから離隔される。
前記ブラケットは、前記ブラケットで上から支持された前記フック装置が前記ブームの方に移動するのを阻止するストッパを有することを特徴とする請求項1に記載のジブ係留装置。
前記フック装置の過剰な巻き上げを検出する過巻検出装置の重錘が、前記フック装置の上部の側方に位置した状態で、垂下した前記ジブの先端部に前記フック装置が保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載のジブ係留装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
[第1実施形態]
(タワークレーンの構成)
第1実施形態のジブ係留装置1は、タワークレーン20の側面図である
図1に示すように、タワークレーン20に設けられている。タワークレーン20は、クローラ式の下部走行体21に上部旋回体22が旋回可能に搭載された構成となっている。なお、タワークレーン20は、クローラ以外の移動手段(例えばホイール)を用いた移動式クレーンであってもよいし、移動手段を持たない固定式クレーンであってもよい。また、本発明の適用対象はタワークレーンに限定されず、例えば、ラッフィングクレーンに本発明を適用することも可能である。
【0011】
上部旋回体22は、運転室23と、タワー(ブーム)24と、ジブ25と、ガントリ26と、ストラット27と、下部スプレッダ28と、フック用ウインチ43と、ジブ起伏用ウインチ44と、ブーム起伏用ウインチ45と、カウンタウエイト29と、バックストップ装置30と、を有している。
【0012】
運転室23は、上部旋回体22の前部に設けられている。タワー24は、上部旋回体22の前部に、上部旋回体22に対して起伏可能に連結されている。タワー24の先端には、ブームガイライン39の一端が接続されている。
【0013】
ジブ25は、タワー24の先端部に、タワー24に対して起伏可能に連結されている。ジブ25の先端には、ジブポイントシーブ31が設けられている。このジブポイントシーブ31からは巻上ロープ32を介してフック装置33が吊り下げられている。
図1では、ジブ25が垂下した状態を図示している。
【0014】
ガントリ26は、上部旋回体22の後部に取り付けられている。ストラット27は、側方からの平面視で三角形状であって、タワー24の先端部に取り付けられている。ストラット27のフロントストラット27bの先端とジブ25の先端とは、ジブガイライン34により連結されている。
【0015】
タワー24の下部背面側に取り付けたジブ起伏用下部スプレッダ35と、ジブガイライン36の一端に連結したジブ起伏用上部スプレッダ37との間には、ジブ起伏ロープ38が掛け渡されている。ジブガイライン36の他端は、ストラット27のリアストラット27aの先端に接続されている。
【0016】
下部スプレッダ28は、ガントリ26の上端に取り付けられている。下部スプレッダ28と、ブームガイライン39の他端に連結した上部スプレッダ40との間には、ブーム起伏ロープ41が掛け渡されている。
【0017】
フック用ウインチ43、ジブ起伏用ウインチ44、および、ブーム起伏用ウインチ45は、上部旋回体22の中央部にそれぞれ配置されている。フック用ウインチ43は、巻上ロープ32を巻き取り又は繰り出してフック装置33の巻き上げ又は巻き下げを行う。ジブ起伏用ウインチ44は、ジブ起伏ロープ38を巻き取り又は繰り出すことで、ストラット27を、タワー24の先端部との結合点を中心に起伏させる。その結果、ジブ25がタワー24との結合点を中心として起伏する。ブーム起伏用ウインチ45は、ブーム起伏ロープ41を巻き取り又は繰り出すことで、タワー24を、その支点であるブームフットピン42回りに起伏させる。
【0018】
カウンタウエイト29は、上部旋回体22の後部に搭載されている。バックストップ装置30は、タワー24の下部背面側に設けられている。バックストップ装置30は、上部旋回体22に設けられたバックストップ受け(図示せず)に受けられることで、タワー24の後側への回動を規制する。
【0019】
(ジブ係留装置の構成)
ジブ係留装置1は、係止装置2と、被係止装置3と、解除ロープ(解除部材)4と、を有している。係止装置2は、タワー24の前面部に設けられている。被係止装置3は、ジブ25に設けられている。被係止装置3は、タワー24に対してジブ25を折り畳んだ際に係止装置2に対向する位置に設けられている。タワー24に対してジブ25が折り畳まれた状態で被係止装置3が係止装置2によって係止されることで、ジブ25をタワー24にロックすることができる。
【0020】
(係止装置)
ジブ係留装置1の詳細について説明する。
図2〜
図4は、ジブ係留装置1の拡大側面図であり、
図5は、ジブ係留装置1の拡大平面図である。係止装置2は、ロックピン51を有する。このロックピン51が、被係止装置3の係止軸61を係止する係止位置(
図2に示す位置)と、係止軸61の係止を解除する係止解除位置(
図3、
図4に示す位置)との間で移動することによって、ジブ25のロックおよびロック解除を実現することができる。
【0021】
タワー24に取り付けられたタワー側ブラケット52には、レバー支持ブラケット53が突設されており、このレバー支持ブラケット53に、ロック解除レバー54が支点ピン54aを介して回動可能に連結されている。ロック解除レバー54の前端部にはロックピン51が連結されており、ロック解除レバー54の後端部には解除ロープ4が連結されている。なお、ロープの代わりに、ワイヤ、チェーン等の紐状部材、ロッド等の棒状部材を用いてもよい。
【0022】
タワー側ブラケット52に取り付けられたロックフレーム56には、ガイド筒56aが形成されるとともに、ガイド筒56aに相対する位置にロック穴56bが形成されている。ロックピン51はガイド筒56a内を上下に移動することによって、ロックピン51がロック穴56bに嵌合する係止位置と、ロックピン51がロック穴56bから外れた係止解除位置との間で移動可能となっている。
【0023】
ロック解除レバー54は、ロックピン51を係止位置に移動させるロック位置(
図2に示す位置)と、ロックピン51を係止解除位置に移動させるロック解除位置(
図3、
図4に示す位置)との間で移動可能(回動可能)である。ロック解除レバー54のうち支点ピン54aよりも前側(ジブ25側)の部分とタワー側ブラケット52との間には、ロックスプリング57が介装されている。ロック解除レバー54は、ロックスプリング57によってロック位置の方向に付勢されている。
【0024】
ロックフレーム56内には、ピンブロック部材58が設けられている。ピンブロック部材58は、ロックフレーム56内を前後方向に移動可能であり、スプリング58aによって前方に付勢されている。
図3、
図4に示すように、ロックピン51が係止解除位置にあるときには、ピンブロック部材58がガイド筒56aの一部を閉塞する位置まで付勢される。これによって、ロックピン51がピンブロック部材58によってブロックされ、係止位置に移動できないようになっている。
【0025】
(解除ロープ)
解除ロープ4は、ロック解除レバー54の後端部に連結されている。この解除ロープ4を引っ張ることにより、ロックスプリング57による付勢力に抗してロック解除レバー54をロック解除位置に移動させることが可能である。即ち、係止装置2と被係止装置3との係合を解除することが可能である。また、解除ロープ4を引っ張るのを止めれば、ロックスプリング57による付勢力によって、ロック解除レバー54がロック位置に移動可能となる。
【0026】
(被係止装置)
ジブ25に設けられた被係止装置3は、係止軸61を有しており、この係止軸61がロックピン51によって係止されることで、折り畳まれた状態のジブ25がタワー24にロックされる。ジブ25に取り付けられたジブ側ブラケット62には、左右一対の軸支持ブラケット63が突設されている(
図5参照)。軸支持ブラケット63の先端にはベアリング63aが設けられており、左右一対のベアリング63aによりロックピン51と交差する係止軸61が支持されている。
【0027】
上記のような構成において、
図2に示すように、係止位置にあるロックピン51により、ロックピン51よりもタワー24側に位置する係止軸61が係止されることで、ジブ25がタワー24の前面部にロックされる。ジブ25がロック状態であることは、運転室23に設けられたモニタランプにより作業者に報知される。
【0028】
ジブ25のロックを解除する場合には、解除ロープ4を引っ張る。これにより、ロックスプリング57による付勢力に抗してロック解除レバー54がロック解除位置に移動する。
【0029】
その結果、
図3に示すように、ロックピン51が係止解除位置に移動し、係止軸61の係止状態が解除される。すると、係止軸61がスプリング58aの付勢力によってピンブロック部材58に押される。このとき、ジブ25をタワー24から前方に振り出すように起伏操作することで、ジブ25のロックが解除される。また、後述するように、タワー24が鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢である場合には、ジブ25が自重でタワー24から離隔することで、ジブ25のロックが解除される。このとき、ロックピン51はピンブロック部材58によってブロックされ、ロックピン51が係止位置に戻ることはない。ジブ25のロックが解除状態であることは、運転室23に設けられたモニタランプにより作業者に報知される。
【0030】
ジブ25をロックする場合には、
図4に示す状態において、ジブ25をタワー24の前面に向かって折り畳む。すると、係止軸61がピンブロック部材58に当接し、スプリング58aの付勢力に抗してピンブロック部材58をタワー24側に押し込む。その結果、ピンブロック部材58によるロックピン51のブロックが解除され、
図2に示すように、ロックスプリング57の付勢力によりロック解除レバー54がロック位置に移動するのと同時に、ロックピン51が係止位置に移動し、ジブ25がタワー24にロックされる。
【0031】
(駆動機構)
また、ジブ係留装置1は、
図1に示すように、駆動機構5を有している。駆動機構5は、鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢のタワー24に、垂下したジブ25を引き寄せる。また、駆動機構5は、鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢のタワー24に引き寄せられているジブ25を、タワー24から離隔させる。
【0032】
本実施形態の駆動機構5は、タワー24の基部に設けられたリービングウインチ71と、リービングウインチ71から繰り出されて、フック装置33に連結されたロープ72と、ガイドシーブ73と、を有している。なお、ロープの代わりに、ワイヤ、チェーン等の紐状部材を用いてもよい。また、リービングウインチ71は、上部旋回体22(特に、タワー24側の部分)に設けられていてもよいし、下部走行体21(特に、タワー24側の部分)に設けられていてもよい。
【0033】
なお、リービングウインチ71は、タワー24へのブーム起伏ロープ41の巻き掛けを補助する装置である。リービングウインチ71から繰り出したロープ72を、ブーム起伏ロープ41の巻き掛けとは逆の順に巻き掛け、その先端に、ブーム起伏用ウインチ45から繰り出したブーム起伏ロープ41の先端をつなぐ。そして、リービングウインチ71でロープ72を巻き取ることで、ブーム起伏ロープ41がタワー24に巻き掛けられる。
【0034】
ガイドシーブ73は、ロープ72をガイドするものであり、タワー24の腹面に着脱自在に取り付けられている。ガイドシーブ73は、フック装置33に連結されたロープ72をリービングウインチ71で巻き取る際に、ガイドシーブ73よりも上流側のロープ72が、ジブ25の長手方向にほぼ直交する方向に引っ張られるように、ロープ72をガイドする。言い換えれば、ガイドシーブ73は、ガイドシーブ73よりも上流側のロープ72をジブ25の長手方向にほぼ直交する方向にガイドするような位置に取り付けられている。
【0035】
タワー24に対して折り畳まれた状態のジブ25をタワー24に係留する際には、フック装置33とリービングウインチ71とをロープ72で連結した状態で、タワー24を鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢にして、ジブ25を垂下させた後に、リービングウインチ71でロープ72を巻き取る。これにより、フック装置33がタワー24に引き寄せられることで、垂下したジブ25がタワー24に引き寄せられる。一方、タワー24に係留されたジブ25をタワー24から解放する際には、フック装置33とリービングウインチ71とをロープ72で連結した状態で、タワー24を鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢にして、解除ロープ4により係止装置2と被係止装置3との係合を解除するとともに、リービングウインチ71からロープ72を繰り出す。これにより、フック装置33がタワー24から離隔することで、タワー24に引き寄せられていたジブ25がタワー24から離隔する。
【0036】
(ブラケット)
また、
図1の要部Aの拡大図である
図6に示すように、ジブ係留装置1は、ブラケット6と、過巻検出装置7と、コントローラ8と、を有している。
【0037】
ブラケット6は、ジブ25の先端部に設けられている。ブラケット6は、複数の取付ピン91でジブ25の先端部に取り付けられている。ジブ25が垂下された状態のとき、ブラケット6の下面は略水平となる。
【0038】
図6のB−B断面図である
図7に示すように、ブラケット6は、左右一対の縦板6aを有している。
図6に示すように、一対の縦板6aの間には、複数のガイドローラ6bが設けられている。これらガイドローラ6bは、ジブポイントシーブ31のシーブガード31aに装着されたガイドローラ31bと協同して、巻上ロープ32をガイドする。
【0039】
図7に示すように、一対の縦板6aの各々のフック装置33側の面には、その面が縦板6aに直交する当接板6cが接合されている。
図6に示すように、ジブ25が垂下された状態で、フック装置33の上面を当接板6cに当接させることが可能である。これにより、ブラケット6は、ジブ25が垂下された状態で、フック装置33の上部を上から支持することが可能である。フック装置33の上部がブラケット6で支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。
【0040】
図6に示すように、ブラケット6は、ストッパ6dを有している。ストッパ6dは、当接板6cのタワー24側の端部に、その面が当接板6cに直交するように取り付けられている。ストッパ6dは、ブラケット6で上から支持されたフック装置33がタワー24の方に移動するのを阻止する。
【0041】
ここで、本実施形態のフック装置33は、単索用であって、フック81と、フック支持筒82とを有している。フック81は、フック支持筒82に揺動自在に取り付けられている。フック支持筒82のジブ25側の端部は、ジブ25の方に向かって縮径した円錐状の円錐状部82aになっている。
【0042】
図1に示すように、フック支持筒82の内部には、軸受(図示せず)により回転自在に支持されたヨーク83が取り付けられている。このヨーク83には、巻上ロープ32の先端部に設けられたロープソケット32aが取り付けられている。
【0043】
(過巻検出装置)
図6に示すように、過巻検出装置(検出装置)7は、重錘85と、検出器86と、チェーン87とを有している。重錘85は、環状である。検出器86は、ジブ25の先端部に取り付けられており、リミットスイッチ(図示せず)を内蔵している。チェーン87は、左右に一対設けられており、それぞれが検出器86と重錘85とを繋いでいる。
【0044】
通常、重錘85は検出器86から垂下された状態にされている。よって、チェーン87は張った状態である。フック装置33がジブ25の先端部に対して所定距離まで巻き上げられると、重錘85が持ち上げられてチェーン87が撓み、検出器86に作用する荷重が低減する。これをリミットスイッチが過巻状態として検出する。
【0045】
重錘85の内径は、フック装置33が過巻状態になった際に重錘85の内側にフック支持筒82の円錐状部82aが嵌まるように寸法設定されている。即ち、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持された状態で、重錘85はフック装置33の上部の周囲(側方)に位置する。なお、重錘85の内側に円錐状部82aが嵌まった際に、フック支持筒82がぐらつかないように、重錘85の内面を、円錐状部82aの傾斜に沿ったテーパ状にしてもよい。
【0046】
(コントローラ)
コントローラ(ウインチ制御装置)8は、運転室23内に設けられている。ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置7のリミットスイッチが検出した場合に、コントローラ8は、ジブ25の先端部からフック装置33までの距離が所定距離よりも長い場合に比べて、フック用ウインチ43の巻き取り力を低減させる。具体的には、コントローラ8は、巻上用可変ポンプ(図示せず)の傾転変更による馬力制御(圧力および流量の低減)や、巻上回路上に設けられた低圧ポートリリーフ弁(図示せず)の制御により、フック用ウインチ43の巻き取り力、および、巻き取り速度を低減させる。なお、コントローラ8は、フック用ウインチ43の巻き取り力のみを低減させてもよいし、フック用ウインチ43の巻き取り速度のみを低減させてもよい。
【0047】
(ガイドローラ)
また、
図1の要部Cの拡大図である
図8に示すように、ジブ係留装置1は、複数のガイドローラ9を有している。複数のガイドローラ9は、タワー24のジブ25側の先端部に設けられて、フック装置33を吊り下げている巻上ロープ32をガイドする。
【0048】
図8の要部Dの拡大図である
図9に示すように、本実施形態では、ガイドローラ9は5個設けられている。複数のガイドローラ9は、垂下した状態とタワー24に引き寄せられた状態との間でジブ25が移動される際に、ガイドローラ9からフック装置33までの巻上ロープ32の長さが一定に維持されるように配置されている。具体的には、ガイドローラ9同士の間隔が等しくされているとともに、5個のガイドローラ9が円弧を描くように配置されている。また、ジブ25の回動の支点であるジブフットピンの近傍に、ガイドローラ9の1つが配置されている。
【0049】
(ジブ係留装置の動作)
次に、ジブ係留装置1の動作について、
図1、
図2〜4、
図10を参照しつつ説明する。
図10は、タワークレーン20の側面図である。
【0050】
(係留ステップ)
折り畳まれた状態のジブ25をタワー24に係留する場合、まず、
図1に示すように、ブーム起伏ロープ41を繰り出すことで、タワー24を鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢にする。本実施形態において、タワー24の水平面からの傾斜角度は80度であるが、傾斜角度はこれに限定されない。
【0051】
次に、ジブ起伏ロープ38を繰り出して、ジブ25を鉛直方向に垂下した状態にする。そして、巻上ロープ32を繰り出してフック装置33を地面近くまで降ろす。次に、リービングウインチ71から繰り出したロープ72の先端をフック81に引っ掛ける。
【0052】
その後、巻上ロープ32を巻き取ることで、フック装置33を巻き上げ、フック装置33の上部をブラケット6で上から支持させる。このとき、ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置7が検出すると、コントローラ8がフック用ウインチ43の巻き取り力を低減させる。これにより、フック装置33がブラケット6に衝突することによる損傷を抑制することができる。よって、ブラケット6の板厚を薄くするなどの軽量化を行うことができる。また、ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置7で検出することで、検出用の装置を別途設ける必要がないので、コストを抑えることができる。また、別途設けた装置の破損により作業性が低下する恐れがない。
【0053】
フック装置33の上部がブラケット6で上から支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。よって、フック装置33をジブ25の先端部に案内するための部材をジブ25の先端部に設けたり、フック装置33がジブ25の先端部の近くまで巻き上げられたことを検出するリミットスイッチを設けたりする必要がない。よって、コストを抑えることができる。また、リミットスイッチを設けないので、リミットスイッチの破損により作業性が低下する恐れがない。よって、作業性を向上させることができる。また、フック装置33の上部がブラケット6で支持されるまでフック装置33を巻き上げるだけの簡単な操作で、ジブ25の先端部にフック装置33を保持することができるので、作業者の負担を軽減させることができる。
【0054】
また、過巻検出装置7の重錘85がフック装置33の上部の側方に位置した状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。よって、重錘85が邪魔にならないので、ジブ25の係留をスムーズに行うことができる。
【0055】
次に、リービングウインチ71でロープ72を巻き取っていくと、
図10に示すように、フック装置33がタワー24に引き寄せられることで、垂下していたジブ25がタワー24の前面部に引き寄せられる。このとき、ブラケット6で上から支持されたフック装置33がタワー24の方に移動するのが、ストッパ6dで阻止される。これにより、フック装置33の上部とブラケット6との係合が緩い場合であっても、ジブ25の先端部にフック装置33を確実に保持することができる。
【0056】
また、垂下した状態とタワー24に引き寄せられた状態との間でジブ25が移動される際に、ガイドローラ9からフック装置33までの巻上ロープ32の長さが一定に維持されるように、複数のガイドローラ9がタワー24の先端部に配置されている。巻上ロープ32の長さを一定に維持することで、フック装置33の上部とブラケット6との係合状態が緩んだり強くなったりしないようにすることができる。よって、フック装置33の上部とブラケット6との係合状態を安定させることができる。そのため、巻上ロープ32の巻き取り又は繰り出しの手間を抑制できるので、作業者の負担を軽減させることができる。
【0057】
ジブ25がタワー24に十分に近接すると、
図4に示すように、係止軸61がピンブロック部材58に当接し、ピンブロック部材58をタワー24側に押し込む。これにより、
図2に示すように、ロック解除レバー54がロック位置に移動するのと同時に、ロックピン51が係止位置に移動し、ジブ25がタワー24にロックされる。
【0058】
その後、ロープ72を繰り出しながら、フック装置33を地面近くまで降ろす。そして、ロープ72の先端をフック81から取り外す。
【0059】
(解放ステップ)
タワー24に係留されたジブ25をタワー24から解放する場合、フック装置33を地面近くまで降ろして、ロープ72の先端をフック81に引っ掛ける。このとき、タワー24が倒伏状態であってもよい。
【0060】
その後、巻上ロープ32を巻き取ることで、フック装置33を巻き上げ、フック装置33の上部をブラケット6で上から支持させる。このとき、ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置7が検出すると、コントローラ8がフック用ウインチ43の巻き取り力を低減させる。これにより、フック装置33がブラケット6に衝突することによる損傷を抑制することができる。よって、ブラケット6の板厚を薄くするなどの軽量化を行うことができる。また、ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置7で検出することで、検出用の装置を別途設ける必要がないので、コストを抑えることができる。また、別途設けた装置の破損により作業性が低下する恐れがない。
【0061】
フック装置33の上部がブラケット6で上から支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。よって、フック装置33をジブ25の先端部に案内するための部材をジブ25の先端部に設けたり、フック装置33がジブ25の先端部の近くまで巻き上げられたことを検出するリミットスイッチを設けたりする必要がない。よって、コストを抑えることができる。また、リミットスイッチを設けないので、リミットスイッチの破損により作業性が低下する恐れがない。よって、作業性を向上させることができる。また、フック装置33の上部がブラケット6で支持されるまでフック装置33を巻き上げるだけの簡単な操作で、ジブ25の先端部にフック装置33を保持することができるので、作業者の負担を軽減させることができる。
【0062】
また、過巻検出装置7の重錘85がフック装置33の上部の側方に位置した状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。よって、重錘85が邪魔にならないので、ジブ25の解放をスムーズに行うことができる。
【0063】
その後、ロープ72の弛みがなくなるまでロープ72を巻き取る。
【0064】
次に、ブーム起伏ロープ41を巻き取ることで、
図10に示すように、タワー24を鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢にする。本実施形態において、タワー24の水平面からの傾斜角度は80度であるが、傾斜角度はこれに限定されない。
【0065】
次に、
図3に示すように、解除ロープ4を引っ張ることで、ロック解除レバー54がロック解除位置に移動すると同時に、ロックピン51が係止解除位置に移動し、係止軸61の係止状態が解除される。これにより、ジブ25のロックが解除され、ジブ25は自重でタワー24から離隔する。
【0066】
次に、ロープ72を繰り出す。これにより、
図1に示すように、フック装置33がタワー24から離隔することで、ジブ25がタワー24から離隔していき、最終的に、ジブ25がタワー24から垂下した状態になる。このとき、ガイドローラ9からフック装置33までの巻上ロープ32の長さが一定に維持されるように、複数のガイドローラ9がタワー24の先端部に配置されている。巻上ロープ32の長さを一定に維持することで、フック装置33の上部とブラケット6との係合状態が緩んだり強くなったりしないようにすることができる。よって、フック装置33の上部とブラケット6との係合状態を安定させることができる。そのため、巻上ロープ32の巻き取り又は繰り出しの手間を抑制できるので、作業者の負担を軽減させることができる。
【0067】
その後、ロープ72を繰り出しながら、巻上ロープ32を繰り出して、フック装置33を地面近くまで降ろす。そして、ロープ72の先端をフック81から取り外す。
【0068】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るジブ係留装置1によると、タワー24に対して折り畳まれた状態のジブ25をタワー24に係留する際には、垂下したジブ25がタワー24に引き寄せられる。このとき、ジブ25の先端から吊り下げられたフック装置33が巻き上げられ、フック装置33の上部が、ジブ25の先端部に設けたブラケット6で上から支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。また、タワー24に係留されたジブ25をタワー24から解放する際には、タワー24に引き寄せられているジブ25がタワー24から離隔される。このとき、ジブ25の先端から吊り下げられたフック装置33が巻き上げられ、フック装置33の上部が、ジブ25の先端部に設けたブラケット6で上から支持されることで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。このように、ジブ25の先端部に設けたブラケット6でフック装置33の上部を上から支持することで、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。よって、フック装置33をジブ25の先端部に案内するための部材をジブ25の先端部に設けたり、フック装置33がジブ25の先端部の近くまで巻き上げられたことを検出するリミットスイッチを設けたりする必要がない。よって、コストを抑えることができる。また、リミットスイッチを設けないので、リミットスイッチの破損により作業性が低下する恐れがない。よって、作業性を向上させることができる。また、フック装置33の上部がブラケット6で支持されるまでフック装置33を巻き上げるだけの簡単な操作で、ジブ25の先端部にフック装置33を保持することができるので、作業者の負担を軽減させることができる。
【0069】
また、ブラケット6で上から支持されたフック装置33がタワー24の方に移動するのが、ストッパ6dで阻止される。これにより、特に、垂下したジブ25がタワー24に引き寄せられる場合において、フック装置33の上部とブラケット6との係合が緩い場合であっても、ジブ25の先端部にフック装置33を確実に保持することができる。
【0070】
また、過巻検出装置7の重錘85が、フック装置33の上部の側方に位置した状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置33が保持される。よって、重錘85が邪魔にならないので、ジブ25の係留およびジブ25の解放をスムーズに行うことができる。
【0071】
また、垂下した状態とタワー24に引き寄せられた状態との間でジブ25が移動される際に、ガイドローラ9からフック装置33までの巻上ロープ32の長さが一定に維持されるように、複数のガイドローラ9がタワー24の先端部に配置されている。巻上ロープ32の長さを一定に維持することで、フック装置33の上部とブラケット6との係合状態が緩んだり強くなったりしないようにすることができる。よって、フック装置33の上部とブラケット6との係合状態を安定させることができる。そのため、巻上ロープ32の巻き取り又は繰り出しの手間を抑制できるので、作業者の負担を軽減させることができる。
【0072】
また、ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられると、フック用ウインチ43の巻き取り力が低減される。これにより、フック装置33がブラケット6に衝突することによる損傷を抑制することができる。よって、ブラケット6の板厚を薄くするなどの軽量化を行うことができる。
【0073】
また、過巻検出装置7が、ジブ25の先端部に対してフック装置33が所定距離まで巻き上げられたことを検出する。よって、フック装置33がジブ25の先端部に対して所定距離まで巻き上げられたことを検出するための装置を別途設ける必要がないので、コストを抑えることができる。また、別途設けた装置の破損により作業性が低下する恐れがない。
【0074】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態のジブ係留装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0075】
(タワークレーンの構成)
タワークレーン20の側面図である
図11に示すように、本実施形態のタワークレーン20は、単索用のフック装置33に代えて、複数掛け用のフック装置133を有している。
【0076】
図11の要部Eの拡大図である
図12に示すように、フック装置133は、フック141と、左右一対の側板142と、トラニオンピン143と、シーブ144と、シーブピン145と、を有している。
【0077】
トラニオンピン143は、側板142の先端側において、一対の側板142に支持されている。トラニオンピン143は、フック141を回転および揺動自在に支持している。シーブピン145は、側板142の中央部において、一対の側板142に支持されている。シーブ144は、シーブピン145に回転自在に支持されている。
【0078】
側板142のジブ25側の中央部は、ジブ25側に突出した突出部142aとなっている。この突出部142aには、奇数掛け時に使用するロープソケット取付ピン146が着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態では、フック装置133を2本掛けで使用するので、ロープソケット取付ピン146は使用されない。
【0079】
(ジブ係留装置の構成)
(アダプタ)
本実施形態のジブ係留装置101は、アダプタ10を有している。アダプタ10は、ロープソケット取付ピン146により、フック装置133の上部に着脱可能に取り付けられている。ジブ25が垂下された状態で、ブラケット6の当接板6cにアダプタ10を当接させることが可能である。フック装置133の上部とブラケット6とにアダプタ10が挟まれた状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置133が保持される。
【0080】
アダプタ10は、タワー24側に、ストッパ6dに対向する縦板10aを有している。この縦板10aがストッパ6dに当接することで、ブラケット6で上から支持されたフック装置133がタワー24の方に移動するのが阻止される。
【0081】
(過巻検出装置)
本実施形態の過巻検出装置107は、重錘151と、検出器152と、ロープ153とを有している。重錘151は、巻上ロープ32のエンド側に取り付けられている。垂下したジブ25の先端部にフック装置133が保持された状態で、重錘151はアダプタ10の側方に位置している。検出器152は、ジブ25の先端部に取り付けられており、リミットスイッチ(図示せず)を内蔵している。ロープ153は、検出器152と重錘151とを繋いでいる。
【0082】
(ジブ係留装置の動作)
次に、ジブ係留装置101の動作について、
図11、
図2〜4、
図13を参照しつつ説明する。
図13は、タワークレーン20の側面図である。
【0083】
(係留ステップ)
折り畳まれた状態のジブ25をタワー24に係留する場合、まず、
図11に示すように、ブーム起伏ロープ41を繰り出すことで、タワー24を鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢にする。本実施形態において、タワー24の水平面からの傾斜角度は80度であるが、傾斜角度はこれに限定されない。
【0084】
次に、ジブ起伏ロープ38を繰り出して、ジブ25を鉛直方向に垂下した状態にする。そして、巻上ロープ32を繰り出してフック装置133を地面近くまで降ろす。次に、リービングウインチ71から繰り出したロープ72の先端をフック141に引っ掛ける。
【0085】
その後、巻上ロープ32を巻き取ることで、フック装置133を巻き上げ、アダプタ10をブラケット6に当接させる。このとき、ジブ25の先端部に対してフック装置133が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置107が検出すると、コントローラ8がフック用ウインチ43の巻き取り力を低減させる。フック装置133の上部とブラケット6とにアダプタ10が挟まれた状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置133が保持される。よって、複数掛け用のフック装置133であっても、アダプタ10を装着することで、垂下したジブ25の先端部にフック装置133を容易に保持することができる。なお、作業時には、フック装置133からアダプタ10を取り外しておくことで、吊り上げ能力を向上させることができる。
【0086】
次に、リービングウインチ71でロープ72を巻き取っていくと、
図13に示すように、フック装置133がタワー24に引き寄せられることで、垂下していたジブ25がタワー24の前面部に引き寄せられる。このとき、ブラケット6で支持されたフック装置133がタワー24の方に移動するのが、ストッパ6dで阻止される。また、垂下した状態とタワー24に引き寄せられた状態との間でジブ25が移動される際に、ガイドローラ9からフック装置133までの巻上ロープ32の長さが一定に維持されるように、複数のガイドローラ9がタワー24の先端部に配置されている。
【0087】
ジブ25がタワー24に十分に近接すると、
図4に示すように、係止軸61がピンブロック部材58に当接し、ピンブロック部材58をタワー24側に押し込む。これにより、
図2に示すように、ロック解除レバー54がロック位置に移動するのと同時に、ロックピン51が係止位置に移動し、ジブ25がタワー24にロックされる。
【0088】
その後、ロープ72を繰り出しながら、フック装置133を地面近くまで降ろす。そして、ロープ72の先端をフック141から取り外す。
【0089】
(解放ステップ)
タワー24に係留されたジブ25をタワー24から解放する場合、フック装置133を地面近くまで降ろして、ロープ72の先端をフック141に引っ掛ける。その後、巻上ロープ32を巻き取ることで、フック装置133を巻き上げ、アダプタ10をブラケット6に当接させる。このとき、ジブ25の先端部に対してフック装置133が所定距離まで巻き上げられたことを過巻検出装置7が検出すると、コントローラ8がフック用ウインチ43の巻き取り力を低減させる。
【0090】
フック装置133の上部とブラケット6とにアダプタ10が挟まれた状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置133が保持される。よって、複数掛け用のフック装置133であっても、アダプタ10を装着することで、垂下したジブ25の先端部にフック装置133を容易に保持することができる。
【0091】
その後、ロープ72の弛みがなくなるまでロープ72を巻き取る。
【0092】
次に、ブーム起伏ロープ41を巻き取ることで、
図13に示すように、タワー24を鉛直方向に対して前方に傾斜した姿勢にする。本実施形態において、タワー24の水平面からの傾斜角度は80度であるが、傾斜角度はこれに限定されない。
【0093】
次に、
図3に示すように、解除ロープ4を引っ張ることで、ロック解除レバー54がロック解除位置に移動すると同時に、ロックピン51が係止解除位置に移動し、係止軸61の係止状態が解除される。これにより、ジブ25のロックが解除され、ジブ25は自重でタワー24から離隔する。
【0094】
次に、ロープ72を繰り出す。これにより、
図11に示すように、フック装置133がタワー24から離隔することで、ジブ25がタワー24から離隔していき、最終的に、ジブ25がタワー24から垂下した状態になる。その後、ロープ72を繰り出しながら、巻上ロープ32を繰り出して、フック装置133を地面近くまで降ろす。そして、ロープ72の先端をフック141から取り外す。
【0095】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るジブ係留装置101によると、フック装置133の上部とブラケット6とにアダプタ10が挟まれた状態で、垂下したジブ25の先端部にフック装置133が保持される。よって、フックブロックの上部が突出した複数掛け用のフック装置133であっても、アダプタ10を装着することで、垂下したジブ25の先端部にフック装置133を容易に保持することができる。また、作業時には、フック装置133からアダプタ10を取り外しておくことで、吊り上げ能力を向上させることができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0097】
例えば、第2実施形態において、
図12に示すように、リービングウインチ71から繰り出されたロープ72は、フック装置133のフック141に連結されるのではなく、フック装置133の側板142に連結される構成であってもよい。この場合、ジブ25をタワー24に引き寄せた際に、フック装置133とタワー24の腹面との間の隙間に余裕を持たせることができる。