【解決手段】旋回体(11)に設けられる第1ブラケット21は、第1ピン孔21pを有する。ブーム(12)に設けられる第2ブラケット22は、第1ブラケット21を差し込み可能な二股状であり、第2ピン孔22pを有する。連結部材30は、左側第2ブラケット22Lの左右方向内側Yi部分と右側第2ブラケット22Rの左右方向内側Yi部分とを連結し、円筒状部31aを備える。円筒状部31aは、連結部材30の内面であって、第2ピン孔22pと同軸に配置される。左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれは、円筒状部31aに嵌まる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1〜
図6を参照して、第1実施形態のクレーン1について説明する。
【0010】
クレーン1は、
図1に示すように、ブーム12を用いて作業を行う建設機械である。クレーン1は、走行体5と、旋回体11と、ブーム12と、ブーム起伏装置15と、巻上装置17と、ブーム基端部支持構造20と、を備える。
【0011】
走行体5(下部走行体、下部本体)は、クレーン1を走行させる部分である。走行体5は、履帯(クローラ)を備えてもよく、ホイールを備えてもよい。
【0012】
旋回体11(上部旋回体)は、走行体5に対して旋回可能であり、旋回装置6を介して走行体5の上側Z1部分に取り付けられる。「上側Z1」などの方向の定義については後述する。旋回体11は、旋回フレーム11aと、運転室11bと、機械室11cと、カウンタウェイト11dと、を備える。旋回フレーム11aは、運転室11b、機械室11c、およびカウンタウェイト11dなどを支持する構造物である。運転室11bは、クレーン1の操作者が運転を行う部分である。運転室11bは、例えば、旋回体11の前側X1部分に配置される。
図2に示すように、運転室11bは、ブーム12よりも左右方向外側Yoに配置される。
図1に示すように、機械室11cは、図示しないエンジンや油機などが配置される部分である。カウンタウェイト11dは、クレーン1の前後方向Xのバランスをとるための、おもりである。カウンタウェイト11dは、旋回体11の後側X2端部に配置される。
【0013】
(方向)
走行体5に対する旋回体11の旋回の中心軸が延びる方向を、上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、走行体5から旋回体11に向かう側(向き)を上側Z1とし、その逆側を下側Z2とする。上下方向Zに直交する方向であって、旋回体11の(旋回フレーム11aの)長手方向を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、カウンタウェイト11dから、旋回体11へのブーム12の取付位置に向かう側を、前側X1とし、その逆側を後側X2とする。
図2に示すように、上下方向Zおよび前後方向Xのそれぞれに直交する方向を、左右方向Yとする。
図4に示すように、左右方向Yにおいて、例えば後側X2に向かって見たときの右を右側Yrとし、その逆側を左側Ylとする。なお、以下の説明における左と右とを互いに逆にしてもよい。左右方向Yにおいて、後述する第1ブラケット21と第2ブラケット22との左右方向Y中央に向かう側を、左右方向内側Yiとする。左右方向Yにおいて、第1ブラケット21と第2ブラケット22との左右方向Y中央から遠ざかる側を、左右方向外側Yoとする。
【0014】
ブーム12は、
図1に示すように、旋回体11に着脱可能に取り付けられる。ブーム12は、旋回フレーム11aの前側X1部分(例えば前側X1端部)に取り付けられる。ブーム12は、旋回体11に対して起伏可能である。ブーム12は、後述するブームフットピン25(
図4参照)の中心軸を中心に、旋回体11に対して回転可能である。ブーム12は、ラチス構造(骨組み構造)を有する。ブーム12は、ブーム12の長手方向に分解可能である。分解されたブーム12の構成要素(単位ブーム)どうしは、例えば図示しないピンにより連結される。ブーム12は、基端ブーム12aと、先端ブーム12bと、を備える。基端ブーム12aは、ブーム12を構成する単位ブームのうち最も基端側(旋回体11に取り付けられる側)に配置される。基端ブーム12aは、旋回体11に取り付けられる。先端ブーム12bは、ブーム12のうち基端ブーム12aよりも先端側(旋回体11に取り付けられる側とは反対側)に配置される部分である。ブーム12にはバックストップBSが取り付けられる。バックストップBSは、ブーム12が所定の角度よりも後側X2に倒れることを制限する。
【0015】
ブーム12および旋回体11のうち、一方を第1構造物S1とし、他方(第1構造物S1とは異なる方)を第2構造物S2とする。以下の例では、第1構造物S1が旋回体11(さらに詳しくは旋回フレーム11a)であり、第2構造物S2がブーム12(さらに詳しくは基端ブーム12a)である場合について説明する。
【0016】
ブーム起伏装置15は、旋回体11に対してブーム12を起伏させる装置である。ブーム起伏装置15は、ガントリ15aと、下部スプレッダ15bと、上部スプレッダ15cと、ガイライン15dと、起伏ロープ15eと、図示しない起伏ウインチと、を備える。ガントリ15aは、旋回体11から上側Z1に突出するように、旋回体11に取り付けられる。下部スプレッダ15bは、複数のシーブを有する装置であり、ガントリ15aの上側Z1端部に設けられる。上部スプレッダ15cは、複数のシーブを有する装置であり、ガントリ15aの上側Z1端部とブーム12の先端部との間に配置される。ガイライン15dは、上部スプレッダ15cとブーム12の先端部とに接続される。起伏ロープ15eは、下部スプレッダ15bのシーブと上部スプレッダ15cのシーブとに掛けられるロープである。起伏ロープ15eは、旋回体11に設けられる起伏ウインチ(図示なし)により、巻き取りおよび繰り出しされる。すると、下部スプレッダ15bと上部スプレッダ15cとの間隔が変わる。上部スプレッダ15cとブーム12の先端部とがガイライン15dで接続されているので、下部スプレッダ15bと上部スプレッダ15cとの間隔が変わると、旋回体11に対してブーム12が起伏する。
【0017】
なお、ガントリ15aに代えて、旋回体11に対して起伏可能なマストが設けられてもよい。この場合、下部スプレッダ15bは、旋回体11の後端部に設けられる。上部スプレッダ15cは、マストの先端部に設けられる。ガイライン15dは、マストの先端部とブーム12の先端部とに接続される。起伏ロープ15eが、図示しない起伏ウインチにより巻き取りおよび繰り出しされる。すると、下部スプレッダ15bと上部スプレッダ15cとの間隔が変わる。すると、マストが旋回体11に対して起伏する。マストの先端部とブーム12の先端部とがガイライン15dで接続されているので、マストが旋回体11に対して起伏すると、ブーム12が旋回体11に対して起伏する。
【0018】
巻上装置17は、フック17cの巻き上げおよび巻き下げを行う。巻上装置17は、巻上ロープ17aと、シーブ17bと、フック17cと、を備える。巻上ロープ17aは、旋回体11に設けられる巻上ウインチ(図示なし)から繰り出される。シーブ17bは、巻上ロープ17aが掛けられ、巻上ロープ17aを案内する。シーブ17bは、ブーム12の先端部に設けられる。フック17cには、吊荷を掛けることが可能である。フック17cは、先端ブーム12bの先端部から、巻上ロープ17aを介して吊り下げられる。フック17cは、巻上ロープ17aの繰り出しおよび巻き取りによって昇降する。
【0019】
ブーム基端部支持構造20は、旋回体11に対して、ブーム12の基端部を支持するための構造(支承構造)である。ブーム基端部支持構造20は、旋回体11と、ブーム12の基端部と、の接続部分の構造である。
図3に示すように、ブーム基端部支持構造20は、第1ブラケット21と、第2ブラケット22と、ブームフットピン25と、連結部材30と、ガイドピン70と、固定ピン75と、を備える。ブーム基端部支持構造20は、左右方向Yに対称(または略対称、以下の「対称」について同様)に構成される。以下では、主に左右方向Yの一方側(例えば左側Yl)について説明し、他方側(例えば右側Yr)の説明を省略する場合がある。
【0020】
第1ブラケット21は、第1ピン孔21pを有する部分(部材)である。第1ブラケット21は、旋回体11(第1構造物S1)(
図2参照)の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに(左右一対に)配置される。第1ブラケット21は、旋回体11(
図2参照)の前側X1部分(例えば前側X1端部)に配置される。第1ブラケット21は、左側第1ブラケット21Lと、右側第1ブラケット21Rと、を備える。以下では、主に左側第1ブラケット21Lについて説明し、左側第1ブラケット21Lを単に「第1ブラケット21」ともいう。第1ブラケット21は、板部21aと、第1ピン孔21pと、を備える。板部21aは、1枚の平板状である。第1ピン孔21pは、ブームフットピン25を差し込み可能であり、板部21aを左右方向Yに貫通する孔である。
【0021】
第2ブラケット22は、第2ピン孔22pを有する部分(部材)である。第2ブラケット22は、ブーム12(第2構造物S2)(
図2参照)の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに(左右一対に)配置される。第2ブラケット22は、ブーム12の基端部に配置され、基端ブーム12aの基端部に配置される。第2ブラケット22は、左側第2ブラケット22Lと、右側第2ブラケット22Rと、を備える。以下では、主に左側第2ブラケット22Lについて説明し、左側第2ブラケット22Lを単に「第2ブラケット22」ともいう。
【0022】
この第2ブラケット22は、二股状であり、第1ブラケット21を差し込み可能(第1ブラケット21を挟むように配置可能)である。第2ブラケット22は、内側板部22iと、外側板部22oと、第2ピン孔22pと、を備える。内側板部22iは、第2ブラケット22の左右方向内側Yi部分に配置される。内側板部22iは、平板状である(外側板部22oも同様)。外側板部22oは、第2ブラケット22の左右方向外側Yo部分に配置される。外側板部22oは、内側板部22iとの間に、第1ブラケット21を差し込み可能な間隔を開けて配置される。外側板部22oは、内側板部22iと左右方向Yに対向する。第2ピン孔22pは、ブームフットピン25を差し込み可能であり、内側板部22iおよび外側板部22oのそれぞれを左右方向Yに貫通する孔である。
【0023】
ブームフットピン25は、第1ブラケット21と第2ブラケット22とを、互いに回転可能に、かつ互いに着脱可能に、連結(結合)するピンである。ブームフットピン25は、第1ピン孔21pと第2ピン孔22pとが位置合わせされた状態(左右方向Yに貫通する状態)で、第1ピン孔21pと第2ピン孔22pとに差し込まれる。ブームフットピン25は、左側ブームフットピン25Lと、右側ブームフットピン25Rと、を備える。以下では、主に左側ブームフットピン25Lについて説明し、左側ブームフットピン25Lを単に「ブームフットピン25」ともいう。
【0024】
このブームフットピン25は、
図5に示すように、第1ブラケット21の第1ピン孔21p、および、第2ブラケット22の第2ピン孔22pに着脱可能である。ブームフットピン25は、ピン本体部25aと、ガイドピン取付部25bと、を備える。ピン本体部25aは、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに差し込み可能な部分である。ピン本体部25aは、円柱状、略円柱状、円筒状、または略円筒状である。ガイドピン取付部25bは、後述するガイドピン70が取り付けられる部分である。ガイドピン取付部25bは、例えば、ガイドピン70が差し込まれる穴(差込穴)であり、例えば、ピン本体部25aの外周面から径方向内側に凹む穴である。
【0025】
連結部材30は、ブーム基端部支持構造20の剛性を向上させる部材である。
図4に示すように、連結部材30は、左側第2ブラケット22Lの左右方向内側Yi部分と、右側第2ブラケット22Rの左右方向内側Yi部分と、を連結する。連結部材30の左右方向外側Yoの端部は、左側第2ブラケット22Lおよび右側第2ブラケット22Rのそれぞれの左右方向内側Yi部分(具体的には内側板部22i)に固定される。さらに詳しくは、連結部材30の左側Yl端部は、左側第2ブラケット22Lの内側板部22iの右側Yr端部(端面)に固定される。連結部材30の右側Yr端部は、右側第2ブラケット22Rの内側板部22iの左側Yl端部(端面)に固定される。この固定は、直接的な固定であり、例えば溶接などによる固定である。
【0026】
この連結部材30は、左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれを支持する。
図5に示すように、連結部材30は、ブームフットピン25が嵌まることが可能な形状を有し、ブームフットピン25の形状に対応する形状を有する。具体的には、連結部材30は、後述する円筒状部31a(
図6参照)を有する。連結部材30は、連結部材本体部31と、ガイド部61と、挿入位置固定ピン孔63と、引込位置固定ピン孔65と、を備える。
【0027】
連結部材本体部31は、パイプ状(筒状)である。この形状により、連結部材本体部31の剛性を確保しつつ軽量に構成できる(剛性を効率良く高めることができる)。連結部材本体部31は、第2ピン孔22pの中心線(中心軸)を囲むように配置される。この配置により、第2ピン孔22pの中心線から連結部材本体部31が大きく離れている場合に比べ、ブーム基端部支持構造20の剛性を高くできる。なお、第2ピン孔22pの中心線は、左右方向Yから見て円形の第2ピン孔22pの円の中心を通り、左右方向Yに延びる線である。連結部材本体部31は、例えば、連結部材本体部31の左側Yl端部から連結部材本体部31の右側Yr端部にわたって連続した一つの部材である。連結部材本体部31は、左右方向Yに分割可能でもよい(第2実施形態を参照)。連結部材本体部31は、円筒状部31aを備える。
【0028】
円筒状部31aは、ブームフットピン25を装着可能に(支持可能に)構成される。円筒状部31aは、ブームフットピン25のピン本体部25aの外周面が嵌まることが可能となるように構成される。円筒状部31aは、連結部材本体部31の内面である。円筒状部31aは、ピン本体部25aと同軸に配置され、第2ピン孔22pと同軸(同心)に配置される。円筒状部31aの内径は、第2ピン孔22pの内径と等しい(または略等しい、以下の「等しい」について同様)。円筒状部31aの内径は、ピン本体部25aの外径と等しい。円筒状部31aにブームフットピン25が嵌まることで、連結部材30とブームフットピン25とが略一体的になることが可能である。さらに詳しくは、連結部材30に対してブームフットピン25が、左右方向Yには移動可能、かつ、ブームフットピン25の径方向にほぼ移動不可能となる。
【0029】
ガイド部61は、
図3に示すように、ガイドピン70が左右方向Yに直線移動できるように、ガイドピン70をガイドする。ガイド部61・61は、連結部材30の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに(左右一対に)配置され、例えば左右方向Yに対称に配置される(挿入位置固定ピン孔63、引込位置固定ピン孔65、ガイドピン70、固定ピン75についても同様)。以下では、左右一対のガイド部61・61のうち一方(例えば左側Yl)のガイド部61について説明する(挿入位置固定ピン孔63、引込位置固定ピン孔65、ガイドピン70、固定ピン75についても同様)。
【0030】
このガイド部61は、
図5に示すように、連結部材本体部31に設けられる。ここで、
図2に示す旋回体11に対するブーム12の取り付けおよび取り外しの作業が行われる場合は、ブーム12は、倒伏姿勢になる場合がある。ブーム12の倒伏姿勢とは、ブーム12の中心軸が前後方向Xまたはほぼ前後方向Xに延びるように、ブーム12が倒伏した姿勢である。ブーム12が倒伏姿勢の場合、
図5に示す例では、ガイド部61は、連結部材本体部31の上側Z1部分に設けられる。なお、ガイド部61は、連結部材本体部31の上側Z1部分以外の部分(例えば前側X1部分など)に設けられてもよい。以下では、ブーム12(
図2参照)が倒伏姿勢であり、ガイド部61が連結部材本体部31の上側Z1部分に設けられる場合について説明する。ガイド部61は、スリット61aと、ガイド部材61bと、を備える。
【0031】
スリット61aは、
図3に示すように、ガイドピン70が通される部分である。スリット61aは、連結部材本体部31を上下方向Z(ブームフットピン25の径方向)に貫通する孔である。スリット61aは、左右方向Y(ブームフットピン25のスライド方向)に長い。
【0032】
ガイド部材61bは、ガイドピン70が左右方向Yに直線移動可能となるように、ガイドピン70をガイドする。ガイド部材61b・61bは、ガイドピン70を挟むように配置され、例えば2枚の板状部材(ガイド板)を備える。この2枚の板状部材であるガイド部材61b・61bは、前後方向Xに対向する。
図5に示すように、ガイド部材61bは、連結部材本体部31から上側Z1(ブームフットピン25の径方向外側)に突出する。
【0033】
挿入位置固定ピン孔63および引込位置固定ピン孔65のそれぞれは、固定ピン75を差し込み可能な孔であり、ガイド部材61bを前後方向Xに貫通する孔である(詳細は後述)。引込位置固定ピン孔65は、挿入位置固定ピン孔63よりも左右方向内側Yiに配置される。
【0034】
ガイドピン70は、作業者が手動によりブームフットピン25を左右方向Yに移動させやすくするための部材である。ガイドピン70は、ブームフットピン25に取り付けられる。ガイドピン70は、ガイド部61にガイドされる。さらに詳しくは、
図6に示すように、ガイドピン70は、スリット61aに通され、ガイド部材61b・61bに挟まれる。ガイドピン70は、ガイド部61により、前後方向Xへの移動が規制され、スリット61aの左右方向Y両端部間での左右方向Yへの移動が許容される(
図3参照)。ガイドピン70は、差込部71と、中央部72と、操作部73と、固定ピン孔74と、を備える。
【0035】
差込部71は、ブームフットピン25のガイドピン取付部25bに取り付けられる(例えば差し込まれる)。差込部71は、スリット61aに差し込まれる。差込部71は、ガイドピン70の下側Z2部分に配置される。差込部71は、例えば円柱状などである。中央部72は、ガイド部材61b・61bに挟まれるように配置される。中央部72は、ガイドピン70の長手方向(上下方向Z)の、例えば中央部分に配置される。中央部72は、例えば矩形状などである。操作部73(操作グリップ)は、作業者に握られる(持たれる)部分である。操作部73は、ガイドピン70の先端側部分(上側Z1部分)に配置される。操作部73は、ガイド部61よりも上側Z1に突出する。操作部73は、例えば円柱状などである。固定ピン孔74は、固定ピン75が取り付けられる部分である。固定ピン孔74は、ガイドピン70の一部(例えば中央部72)を前後方向X(ブームフットピン25の軸方向に直交する方向)に貫通する孔である。なお、
図6などでは、ガイド部材61b・61bとガイドピン70との間には隙間があり、スリット61aとガイドピン70との間には隙間がないように図示したが、これらの隙間の広さは適宜設定されてもよい。
【0036】
固定ピン75は、
図4に示すように、ブームフットピン25を挿入位置(後述)および引込位置(後述)で固定するための部材(ブームフットピン固定部材)である。ブームフットピン25を挿入位置で固定する場合は、固定ピン75は、挿入位置固定ピン孔63と、固定ピン孔74(
図6参照)と、に差し込まれる。ブームフットピン25を引込位置で固定する場合は、固定ピン75は、引込位置固定ピン孔65と、固定ピン孔74(
図6参照)と、に差し込まれる。
【0037】
(連結部材30へのブームフットピン25の取り付け)
連結部材30へのブームフットピン25の取り付け作業は、次のように行われる。以下では作業の順序(手順)に沿って説明するが、手順は適宜変更されてもよい。また、以下では、ブーム基端部支持構造20の左右方向Yの一方側(例えば左側Yl)の作業(作動)について説明する。左右方向Yの他方側(例えば右側Yr)の作業は、左右方向Yの一方側(例えば左側Yl)の作業と同様に行われる。
【0038】
図2に示す基端ブーム12aが、旋回体11から取り外された状態で、
図4に示すブームフットピン25が、第2ブラケット22よりも左右方向外側Yoから、第2ピン孔22pに通され、左右方向内側Yiに移動させられる。そして、ブームフットピン25が、連結部材30の内部(連結部材本体部31の内部)に挿入される。
【0039】
図5に示す連結部材30の内部にブームフットピン25が配置された状態で、ガイドピン70が、連結部材30のスリット61aに差し込まれ、ブームフットピン25のガイドピン取付部25bに取り付けられる。作業者が、操作部73を握り、ブームフットピン25を左右方向Yに移動させ、ブームフットピン25を引込位置に配置させる。引込位置は、
図4に示す右側ブームフットピン25Rのように、ブームフットピン25の先端部(左右方向外側Yoの端部)が、第1ブラケット21の第1ピン孔21pよりも左右方向内側Yiに配置されたときの、ブームフットピン25の位置である。ブームフットピン25が引込位置のとき、ブームフットピン25の先端部が、第2ブラケット22の内側板部22iの第2ピン孔22pに差し込まれていてもよい。
【0040】
ブームフットピン25が引込位置に配置された状態で、固定ピン75が、引込位置固定ピン孔65および固定ピン孔74(
図6参照)に差し込まれる。すると、ブームフットピン25が、引込位置で固定され、左右方向Yへの移動が規制される。このとき、ブームフットピン25は、連結部材30の内部で連結部材30に支持された状態である。
【0041】
(旋回体11への基端ブーム12aの取り付け)
図2に示す旋回体11への基端ブーム12aの取り付けは、次のように行われる。基端ブーム12aが、クレーン1の組立用の補助クレーン(図示なし)により吊り上げられる。そして、
図3に示すように、第2ブラケット22の内側板部22iと外側板部22oとの間に、第1ブラケット21の板部21aが差し込まれる(挟まれる)ように、基端ブーム12a(
図2参照)が配置される。このとき、第2ピン孔22pの中心軸の位置が、第1ピン孔21pの中心軸の位置に合わせられる(略一致させられる)。
【0042】
固定ピン75が、
図4に示す引込位置固定ピン孔65および固定ピン孔74(
図6参照)から取り外される。そして、第1ピン孔21pと第2ピン孔22pとの位置が合った状態で、作業者が、操作部73(
図6参照)を握り、ブームフットピン25を左右方向Yに移動させ、ブームフットピン25を挿入位置に配置させる。
図4に示す左側ブームフットピン25Lのように、ブームフットピン25の「挿入位置」は、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22p(内側板部22iおよび外側板部22oのそれぞれの第2ピン孔22p)に差し込まれたブームフットピン25の位置である。
【0043】
ブームフットピン25が挿入位置に配置された状態で、固定ピン75が、挿入位置固定ピン孔63および固定ピン孔74(
図6参照)に差し込まれる。すると、ブームフットピン25が、挿入位置で固定され、左右方向Yへの移動が規制される。
【0044】
図5に示すように、ブームフットピン25が挿入位置に配置されたとき、ブームフットピン25のうち、第2ピン孔22pよりも左右方向内側Yiの部分の外周面が、連結部材30に(円筒状部31aに)嵌り込み、支持される。
図4に示す左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれが、挿入位置に配置(図示なし)される、連結部材30に支持される。よって、左側ブームフットピン25Lと、連結部材30と、右側ブームフットピン25Rとが、略一体的になる。よって、左右それぞれの、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに、1本のピンを通したのと同様の状態にすることができる。よって、第1ブラケット21および第2ブラケット22の左右方向Yの剛性を高めることができる。その結果、
図2に示すブーム12の基端部の左右方向Yの剛性を高めることができ、また、旋回体11の左右方向Yの剛性を高めることができる。
【0045】
例えば、
図1に示す走行体5に対して旋回体11が旋回したときに、ブーム12は、左右方向Yの慣性力(旋回体11を基準とした慣性力)を受ける。また、例えば、風荷重などの左右方向Yの力をブーム12が受ける場合がある。また、ブーム12の先端部に、図示しないジブが設けられる場合がある。ジブが設けられた場合などに、ブーム12は、ねじり方向(ブーム12の長手方向に延びるブーム12の中心軸を中心とするねじり方向)の力を受ける。左右方向Yやねじり方向の力がブーム12にかかった場合、ブーム12の基端部および旋回体11は、左右方向Yの力を受ける。ブーム基端部支持構造20では、このような左右方向Yの力に対する、ブーム12および旋回体11の剛性を高めることができる。
【0046】
ここで、
図4に示す左側第1ブラケット21L、左側第2ブラケット22L、右側第1ブラケット21R、および右側第2ブラケット22Rに、共通の1本のピン(「共通ピン」という)が差し込まれる場合について検討する。この場合、共通ピンの左右方向Yの長さを、左側第2ブラケット22Lから右側第2ブラケット22Rまでの幅よりも長くする必要がある。そのため、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに対する共通ピンの着脱の作業が困難となる。例えば、共通ピンを着脱するために、大掛かりな装置が必要になる。例えば、共通ピンの着脱の作業スペースの確保が困難になる。一方、ブーム基端部支持構造20では、左側ブームフットピン25Lと右側ブームフットピン25Rとが別々に設けられる。よって、上記の共通ピンに比べ、左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rを小型化できる。よって、左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rの着脱の作業を容易に行える。その結果、左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rの着脱の作業を、例えば手作業または簡易な装置で行える。また、着脱作業に必要な作業スペースを確保しやすい。
【0047】
(旋回体11からの基端ブーム12aの取り外しなど)
図1に示す旋回体11からの基端ブーム12aの取り外しの作業は、旋回体11への基端ブーム12aの取り付けの作業とは逆の手順で行われる。ただし、旋回体11から基端ブーム12aが取り外された状態のとき、
図3に示すブームフットピン25が、連結部材30の内部に配置されたままでよい。この場合、連結部材30からブームフットピン25を取り外す作業が不要になる。例えば、連結部材30の内部にブームフットピン25が配置された状態で、基端ブーム12a(
図2参照)が輸送されてもよい。また、ブームフットピン25が、連結部材30の内部に配置されたままとした場合、次回のクレーン1(
図2参照)の組立時に、ブームフットピン25を連結部材30に取り付ける作業が不要になる。よって、
図2に示す旋回体11に対する基端ブーム12aの着脱の作業の負担を軽減でき、作業時間を短縮でき、作業効率を向上させることができる。なお、変形例として、旋回体11から基端ブーム12aが取り外された状態のとき、ブームフットピン25が連結部材30から取り外されてもよい。
【0048】
クレーン1では、基端ブーム12aは、左右方向Yに分解不要である。さらに詳しくは、クレーン1の輸送時には、輸送物の寸法および質量が制限される。そのため、クレーン1の輸送時には、ブーム12が、この制限値に収まるように、
図1に示す基端ブーム12aと先端ブーム12bとに分解される。一方、クレーン1では、
図2に示す基端ブーム12aの左右方向Yの幅は、輸送時の制限寸法に収まるので、基端ブーム12aを左右方向Yに分解する必要はない。よって、基端ブーム12aを左右方向Yに分解する必要がある場合に比べ、クレーン1の組立および分解の作業の手間(労力、時間)を削減できる。なお、変形例として、基端ブーム12aが左右方向Yに分解可能に構成されてもよい。
【0049】
(効果)
図1に示すクレーン1のブーム基端部支持構造20による効果は次の通りである。
【0050】
(第1の発明の効果)
クレーン1は、第1構造物S1と、第2構造物S2と、を備える。第1構造物S1は、旋回体11に着脱可能に取り付けられるブーム12、および旋回体11の一方である。第2構造物S2は、旋回体11およびブーム12のうち第1構造物S1とは異なる方である。
図4に示すように、ブーム基端部支持構造20は、第1ブラケット21と、第2ブラケット22と、左側ブームフットピン25Lと、右側ブームフットピン25Rと、連結部材30と、を備える。第1ブラケット21は、
図2に示すように、第1構造物S1の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに設けられ、
図4に示すように、第1ピン孔21pを有する。第2ブラケット22は、
図2に示すように、第2構造物S2の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに設けられ、
図4に示すように、第1ブラケット21を差し込み可能な二股状であり、第2ピン孔22pを有する。左側ブームフットピン25Lは、左側第1ブラケット21Lの第1ピン孔21pおよび左側第2ブラケット22Lの第2ピン孔22pに着脱可能である。右側ブームフットピン25Rは、右側第1ブラケット21Rの第1ピン孔21pおよび右側第2ブラケット22Rの第2ピン孔22pに着脱可能である。
【0051】
[構成1−1]連結部材30は、左側第2ブラケット22Lの左右方向内側Yi部分と右側第2ブラケット22Rの左右方向内側Yi部分とを連結する。
【0052】
[構成1−2]連結部材30は、円筒状部31aを備える。円筒状部31aは、連結部材30の内面であって、第2ピン孔22pと同軸に配置される。左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれは、円筒状部31aに嵌まる。
【0053】
上記[構成1−1]では、左側第2ブラケット22Lと、右側第2ブラケット22Rと、連結部材30と、が一体的に構成される。また、上記[構成1−2]では、ブームフットピン25(左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれ)は、円筒状部31aに嵌まる。よって、円筒状部31aに対するブームフットピン25の径方向への移動が規制される(移動がほぼ不可能となる)。よって、左側ブームフットピン25Lと、右側ブームフットピン25Rと、連結部材30と、が略一体的に構成される。よって、左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれが、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに差し込まれたとき、上記[構成1−1]および上記[構成1−2]により、次の効果が得られる。このとき、左側第1ブラケット21L、左側第2ブラケット22L、左側ブームフットピン25L、連結部材30、右側ブームフットピン25R、右側第2ブラケット22R、および右側第1ブラケット21Rが、略一体的に構成される。よって、連結部材30を備えない場合に比べ、旋回体11とブーム12との接続部分での、左右方向Yの剛性を向上させることができる。その結果、クレーン1(
図1参照)の吊り上げ能力を向上させることができる。
【0054】
上記[構成1−2]により、次の効果が得られてもよい。
図4に示す右側ブームフットピン25Rのように、ブームフットピン25が第1ピン孔21pから抜かれた状態のときに、ブームフットピン25が円筒状部31aに嵌まる場合は、円筒状部31aがブームフットピン25を支持できる。この場合は、ブームフットピン25を支持する部材であって連結部材30とは別の部材(支持専用部材)を設ける必要がない。よって、支持専用部材を設ける必要がある場合に比べ、ブーム基端部支持構造20を簡素に構成でき、ブーム基端部支持構造20にかかるコストを抑制できる。
【0055】
(第6の発明の効果)
[構成6]
図1に示すように、第1構造物S1は、旋回体11である。第2構造物S2は、ブーム12である。
【0056】
上記[構成6]では、第2構造物S2は、ブーム12である。よって、
図4に示す二股状の第2ブラケット22および連結部材30は、ブーム12に設けられる。よって、第2ブラケット22および連結部材30が、
図2に示す旋回体11に設けられる場合に比べ、ブーム12の左右方向Yの剛性を、より向上させることができる。その結果、クレーン1の吊り上げ能力を、より向上させることができる。
【0057】
(第2実施形態)
主に
図7〜
図11を参照して、第2実施形態のブーム基端部支持構造220について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、第2実施形態のブーム基端部支持構造220のうち、第1実施形態との共通点については、第1実施形態と同一の符号を付すなどして、説明を省略する。相違点の概要は次の通りである。
図7に示す連結部材230は、左右方向Yに分解可能に構成される。また、ブーム基端部支持構造220は、シリンダ280(着脱装置)を備える。
【0058】
ブームフットピン25は、シリンダ280を取り付け可能に構成される。具体的には例えば、ブームフットピン25は、
図8に示すピン側取付部225cと、
図10に示すピン側取付ピン孔225pと、を備える。
図8に示すように、ピン側取付部225cは、シリンダ280が取り付けられる部分であり、ピン本体部25aの左右方向内側Yiの端部に配置される。ピン側取付部225cは、ピン本体部25aの左右方向内側Yiの端面から左右方向外側Yoに凹む穴である。
図10に示すように、ピン側取付ピン孔225pは、後述する取付ピン287が取り付けられるピン孔である。例えば、ピン側取付ピン孔225pは、ブームフットピン25の径方向(例えば前後方向X)にピン本体部25aを貫通する。ピン側取付ピン孔225pは、ピン側取付部225cの内面と、ピン本体部25aの外周面と、を連通させる。
【0059】
連結部材230は、
図7に示すように、左右方向Yに分解可能に構成される。連結部材230は、例えば3つの部材に分解可能に構成され、4以上の部材に分解可能に構成されてもよい。連結部材230は、ピン装着部240(左側ピン装着部240L、右側ピン装着部240R)と、中間部250と、締結部材259(
図8参照)と、を備える。
【0060】
ピン装着部240は、ブームフットピン25が装着される部分である。ピン装着部240は、第2ブラケット22の内側板部22iに連結(固定)される。ピン装着部240は、連結部材230の左側Yl部分および右側Yr部分のそれぞれに(左右一対に)配置される。ピン装着部240は、左側ピン装着部240Lと、右側ピン装着部240Rと、を備える。以下では、主に左側ピン装着部240Lについて説明し、左側ピン装着部240Lを単に「ピン装着部240」ともいう。
【0061】
ピン装着部240は、
図8に示すように、ピン装着部本体部241と、ピン装着部側フランジ部243と、貫通孔245(
図10参照)と、を備える。ピン装着部本体部241は、ブームフットピン25が装着される部分であり、円筒状部31aを有する。ピン装着部本体部241は、パイプ状である。ガイド部61は、ピン装着部本体部241に設けられる。ピン装着部側フランジ部243は、中間部250とピン装着部240との連結のための部分であり、ピン装着部240の左右方向内側Yi部分(開放端部)に配置される。ピン装着部側フランジ部243は、ピン装着部本体部241から、ブームフットピン25の径方向外側に突出する。
図10に示すように、貫通孔245は、後述する取付ピン287を差し込み可能である。貫通孔245は、ブームフットピン25の径方向(例えば前後方向X)にピン装着部本体部241を貫通する。
【0062】
中間部250は、
図7に示すように、左側ピン装着部240Lと右側ピン装着部240Rとの左右方向Yにおける間に配置され、左側ピン装着部240Lと右側ピン装着部240Rとに連結(固定)される。
図8に示すように、中間部250は、中間部本体部251と、支持部253と、中間部側フランジ部255と、を備える。中間部本体部251は、パイプ状である。中間部本体部251は、ブームフットピン25を支持してもよく、支持しなくてもよい。中間部本体部251は、円筒状部31aを有してもよく、有さなくてもよい。中間部本体部251の内面が円筒状の場合、例えば、中間部本体部251の内面の内径は、第2ピン孔22pの内径と同じでもよく、例えば、中間部本体部251は、第2ピン孔22pと同軸でもよい。
【0063】
支持部253は、シリンダ280を支持する。
図7に示すように、支持部253は、連結部材30の左右方向Y中央部に配置され、中間部250の左右方向Y中央部に配置される。支持部253は、例えば、左右方向Yに直交する方向に延びる板(壁)である。支持部253は、中間部本体部251の内部に配置され、中間部本体部251の内面に固定される。
【0064】
中間部側フランジ部255は、
図8に示すように、中間部250とピン装着部240との連結のための部分である。中間部側フランジ部255は、中間部本体部251の左右方向外側Yo部分から、ブームフットピン25の径方向外側に突出する。中間部側フランジ部255は、ピン装着部側フランジ部243と左右方向Yに対向し、接触する。
【0065】
締結部材259は、中間部250とピン装着部240とを着脱可能に固定(強固に固定)するための部材である。締結部材259は、中間部側フランジ部255とピン装着部側フランジ部243とを締結し固定する。締結部材259は、例えば、複数組の、ボルトおよびナットなどである。例えば、締結部材259を差し込み可能な孔が、中間部側フランジ部255およびピン装着部側フランジ部243のそれぞれに設けられ、例えば円周等配に配置される。
【0066】
シリンダ280(着脱装置)は、ブームフットピン25を、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに対して着脱させる。シリンダ280は、差込位置と引込位置との間で、ブームフットピン25を左右方向Yに移動(スライド)させる。シリンダ280は、連結部材230の内部に配置され、円筒状部31aよりも径方向内側に配置される。シリンダ280は、左右方向Yに伸縮可能な伸縮シリンダである。シリンダ280は、油圧シリンダでもよく、電動シリンダでもよい。なお、シリンダ280の作動に必要な部材(例えば油圧配管や電線など)は、連結部材230に設けられた孔(図示なし)に通される。シリンダ280が設けられることで、作業者が手作業でブームフットピン25を移動させる必要がなく、ブームフットピン25を遠隔操作できる。その結果、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに対するブームフットピン25の着脱の作業を容易に行える。
【0067】
このシリンダ280は、左右一対に設けられる。シリンダ280は、左側シリンダ280Lと、右側シリンダ280Rと、を備える。左側シリンダ280Lと右側シリンダ280Rとは、左右方向Yに対称に配置され、互いに同軸に配置される。以下では、主に左側シリンダ280Lについて説明し、左側シリンダ280Lを単に「シリンダ280」ともいう。また、以下では、シリンダ280が油圧シリンダである場合について説明する。シリンダ280は、ブームフットピン25に取り付けられる。シリンダ280は、ブームフットピン25と同軸に配置され、第2ピン孔22pと同軸に配置される。シリンダ280は、シリンダチューブ281と、シリンダロッド283と、を備える。
【0068】
シリンダチューブ281は、シリンダ280の左右方向内側Yi部分に配置される。シリンダチューブ281の左右方向内側Yiの端部(シリンダ280の両端部のうち一方の端部)は、連結部材230(さらに詳しくは支持部253)に取り付けられ、固定される。
【0069】
シリンダロッド283は、シリンダチューブ281の内部およびシリンダチューブ281よりも左右方向外側Yoに配置される。シリンダロッド283の左右方向外側Yoの端部(シリンダ280の両端部のうち連結部材230に取り付けられる側とは反対側の端部)は、ブームフットピン25に取り付けられる。シリンダロッド283は、シリンダ側取付部283cと、シリンダ側取付ピン孔283p(
図10参照)と、を備える。シリンダ側取付部283cは、ピン側取付部225cに取り付けられ、ピン側取付部225cに例えば差し込まれる。
図10に示すように、シリンダ側取付ピン孔283pは、後述する取付ピン287を差し込み可能なピン孔である。シリンダ側取付ピン孔283pは、ブームフットピン25の軸方向に直交する方向(例えば前後方向X)にシリンダ側取付部283cを貫通する。
【0070】
シリンダ固定部材285は、
図8に示すように、シリンダ280を連結部材230(支持部253)に固定するための部材である。シリンダ固定部材285は、左側シリンダ280Lの右側Yrの端部と、右側シリンダ280Rの左側Ylの端部とを、支持部253を介して一体的に固定するための部材である。具体的には例えば、左側シリンダ280Lのシリンダチューブ281の右側Yr端部(例えばフランジ状部)と、右側シリンダ280Rのシリンダチューブ281の左側Yl端部(例えばフランジ状部)とが、支持部253を挟むように配置される。そして、シリンダ固定部材285は、左側シリンダ280Lの右側Yr端部と、右側シリンダ280Rの左側Yl端部と、シリンダ固定部材285と、を一体的に締結し固定する。シリンダ固定部材285は、例えば複数組の、ボルトおよびナットなどである。
【0071】
取付ピン287は、ブームフットピン25にシリンダ280を取り付けるための部材である。
図10に示すように、取付ピン287は、ピン側取付ピン孔225pと、シリンダ側取付ピン孔283pと、に差し込まれる。取付ピン287は、ブームフットピン25の径方向(例えば前後方向X)に延びるように配置される。
【0072】
(連結部材230へのブームフットピン25の取り付け)
連結部材230へのブームフットピン25の取り付け作業は、次のように行われる。
図7に示す中間部250が、ピン装着部240から取り外された状態(図示なし)とされる。ブームフットピン25が、ピン装着部240の開放端部(左右方向内側Yi端部)から、ピン装着部240に挿入される。第1実施形態と同様に、ガイドピン70がブームフットピン25に取り付けられ、ブームフットピン25が引込位置に移動させられ、固定ピン75がガイドピン70などに取り付けられる。このとき、ブームフットピン25は、シリンダ280に取り付けられていないので、例えば作業者の手作業により移動させられる。そして、中間部250が、左側ピン装着部240Lと右側ピン装着部240Rとの左右方向Yの間に嵌め込まれる。具体的には、
図11に示す中間部側フランジ部255とピン装着部側フランジ部243とが、左右方向Yに対向するように位置合わせされ、締結部材259で締結される。これにより、
図7に示す左側ピン装着部240Lと、中間部250と、右側ピン装着部240Rとが、強固に連結される。
【0073】
(ブームフットピン25へのシリンダ280の取り付け)
図11に示すシリンダ280が伸長させられる。すると、
図9に示すように、シリンダロッド283のシリンダ側取付部283cが、ピン側取付部225cに差し込まれる。
図10に示すように、取付ピン287が、連結部材230の貫通孔245に通され、ピン側取付ピン孔225pおよびシリンダ側取付ピン孔283pに差し込まれる。その結果、
図9に示すブームフットピン25が、シリンダロッド283に取り付けられる。
【0074】
(旋回体11への基端ブーム12aの取り付け)
第1実施形態と同様に、
図2に示す基端ブーム12aが補助クレーンにより吊り上げられ、
図9に示す第1ピン孔21pと第2ピン孔22pとの位置合わせが行われる。そして、第1ピン孔21pと第2ピン孔22pとの位置が合った状態で、シリンダ280を伸長させる。具体的には、シリンダチューブ281に対してシリンダロッド283を左右方向外側Yoに移動させる。すると、
図8に示すように、ブームフットピン25が、第1ピン孔21pと第2ピン孔22pとに差し込まれ、挿入位置に配置される。なお、固定ピン75の着脱の作業は、第1実施形態と同様に行われる。
【0075】
(旋回体11からの基端ブーム12aの取り外しなど)
図2に示す旋回体11からの基端ブーム12aの取り外しは、旋回体11への基端ブーム12aの取り付けと逆の手順で行われる。ただし、旋回体11から基端ブーム12aが取り外された状態のとき、
図9に示すブームフットピン25が連結部材230から取り外される必要はなく(第1実施形態と同様)、また、ピン装着部240から中間部250が取り外される必要はない。
【0076】
(効果)
図7に示すブーム基端部支持構造220による効果は、次の通りである。
【0077】
(第2の発明の効果)
[構成2]連結部材230は、左右方向Yに分解可能に構成される。
【0078】
上記[構成2]により、連結部材230を分解した状態で、連結部材230の内部に物(例えばブームフットピン25やシリンダ280など)を容易に配置できる。
【0079】
(第3の発明の効果)
[構成3]ブーム基端部支持構造220は、シリンダ280(着脱装置)を備える。シリンダ280は、円筒状部31aよりも径方向内側に配置され、左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rを、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pに着脱させる。
【0080】
上記[構成3]では、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pへのブームフットピン25(左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25Rのそれぞれ)の着脱を、シリンダ280で行える。このとき、作業者は、シリンダ280を操作すればよく、ブームフットピン25を手作業で移動させる必要はない。よって、ブームフットピン25の着脱が手作業で行われる必要がある場合に比べ、ブームフットピン25の着脱の作業を容易に行える。また、上記[構成3]では、シリンダ280は、連結部材230の内部に配置される。よって、連結部材230の内部のスペースを有効活用できる。連結部材230の外部にシリンダ280を配置する必要がない。
【0081】
(第4の発明の効果)
[構成4]
図8に示すように、シリンダ280は、円筒状部31aの軸方向(左右方向Y)に伸縮可能であり、左側ブームフットピン25Lと右側ブームフットピン25Rと連結部材230とにつながれる。
【0082】
上記[構成4]では、第1ピン孔21pおよび第2ピン孔22pにブームフットピン25(左側ブームフットピン25Lおよび右側ブームフットピン25R)を着脱させる際に、シリンダ280の反力を連結部材230で受けることができる。よって、シリンダ280の反力を受ける部材を、連結部材230とは別に設ける必要がある場合に比べ、シリンダ280の周辺の構成を簡素にでき、コストを削減できる。
【0083】
(第5の発明の効果)
図7に示すように、シリンダ280は、左側ブームフットピン25Lに取り付けられる左側シリンダ280Lと、右側ブームフットピン25Rに取り付けられる右側シリンダ280Rと、を備える。
【0084】
[構成5]左側シリンダ280Lの右側Yrの端部と、右側シリンダ280Rの左側Ylの端部とは、連結部材230を介して一体的に固定される。
【0085】
上記[構成5]により、左側シリンダ280Lおよび右側シリンダ280Rのそれぞれを連結部材230に固定するための構造を、簡素に構成できる。
【0086】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【0087】
例えば、上記実施形態では、
図2に示すように、第1ブラケット21(
図3参照)を有する第1構造物S1が旋回体11であり、二股状の第2ブラケット22(
図3参照)を有する第2構造物S2がブーム12であった。一方、第1ブラケット21(
図3参照)を有する第1構造物S1がブーム12であり、二股状の第2ブラケット22(
図3参照)を有する第2構造物S2が旋回体11でもよい。この場合でも、旋回体11およびブーム12の基端部のそれぞれの、左右方向Yの剛性を向上させることができる。