特開2020-200262(P2020-200262A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200262(P2020-200262A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20201120BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20201120BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61K8/25
   A61Q17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-107676(P2019-107676)
(22)【出願日】2019年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】竹村 千尋
(72)【発明者】
【氏名】木崎 寿美子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC882
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD211
4C083AD212
4C083BB26
4C083BB51
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC12
4C083CC23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083EE07
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】
特定の成分を併用することにより、角質水分量が相乗的に向上し、保湿効果を発揮する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
プルランと無孔質球状シリカを含有する皮膚外用剤を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルランと無孔質球状シリカを含有する皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プルランと無孔質球状シリカを含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料の使用感を改良し、滑りをよくするために、球状多孔質シリカを配合することが知られている(特許文献1)。
プルランは、プルラリア属の微生物が産生する多糖類で、保湿剤、増粘剤、被膜形成剤として化粧料に配合することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、球状多孔質シリカを化粧料に配合すると、経時でシリカが水分を吸収し、乾燥することが課題であった。また、プルランは有効量配合するとべたつきが生じる場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−108954号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】新化粧品ハンドブック、平成18年10月30日発行、118p
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プルランと無孔質球状シリカを併用することにより、角質水分量が相乗的に向上し、保湿効果を発揮する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プルランと無孔質球状シリカを含有する皮膚外用剤を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、角質水分量が相乗的に向上し、高い保湿効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0010】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品等のいずれの用途にも用いられ得る。
【0011】
本発明で使用するプルランは、皮膚外用剤に配合し得るものであれば特に限定されないが、好ましくは分子量が10万〜30万のものを用いることが好ましい。プルランの市販品としては、「化粧品用プルラン」、「食品添加物プルラン」(以上林原生物化学研究所社製)が挙げられる。
【0012】
本発明の皮膚外用剤100質量%中のプルランの含有量は、保湿効果とべたつきのない使用感の観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以下である。
【0013】
本発明で使用する無孔質球状シリカは、平均粒子径が1〜50μmであることが好ましい。かかる無孔質球状シリカの市販品として「サンスフェアNP−30(平均粒径3μm)」、「サンスフェアNP−100(平均粒径10μm)」、「サンスフェアNP−200(平均粒径18μm)」以上AGC社製が挙げられる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤100質量%中の無孔質球状シリカの含有量は、皮膚外用剤の剤型によって異なるが、保湿効果とべたつきのない使用感の観点から、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、上述の成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0016】
本発明の皮膚外用剤の剤型は、特に限定されず、水系、油系、乳化型、粉体型等いずれの剤型でもよい。
【0017】
本発明の皮膚外用剤は定法により調製することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏、粉体型の剤型で用いることができる。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0020】
[保湿効果試験]
・前腕内側部をあらかじめ決められた石鹸(商品名:ノブソープD)を用いて洗浄し、前腕の水分をふき取る。
・21±0.5℃、相対湿度50±5%の環境下で15分安静にし馴化する。
・左右前腕に4箇所ずつ3.0cm×3.0cmの領域を記し、塗布前の角質水分量を測定する。表1に記載の実施例若しくは比較例を合計9μL塗布して、塗布後1時間後の角質水分量を測定した。
なお、被験者は、試験前1週間前腕内側に化粧料を使用しないよう指導のもと試験を行い、各測定領域につき5回測定した平均値を測定値とした。各試験のn数は20である。また、角質水分量はIBS社製SKICON−200EXを用いて測定した、角質水分量は、溶媒のみを塗布した部位の水分変化量を1とした相対値で算出し表1にあわせて示した。
【0021】
【表1】
【0022】
表1、実施例1に示した通り、プルランと無孔質球状シリカを併用して用いることにより、多孔質シリカ、ポリメチルメタクリレートクロスポリマーをそれぞれ配合した比較例1、2より1時間後の角質水分量が多くなっていた。かかることより、プルランと無孔質球状シリカを併用して用いることにより、保湿効果が相乗的に向上することが明らかとなった。
【0023】
[実施例2]クリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)セタノール 3.6
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)グリセリン 10.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)アルギニン(20質量%水溶液) 15.0
(10)精製水 全量を100とする量
(11)化粧品用プルラン 0.15
(12)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−100) 3.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(12)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。
【0024】
[実施例3]乳液
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)メチルフェニルポリシロキサン 4.0
(3)水素添加パーム核油 0.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(7)グリセリン 4.0
(8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(9)化粧品用プルラン 0.15
(10)精製水 全量を100とする量
(11)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−100) 3.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(7)〜(11)の水相成分を80℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。
【0025】
[実施例4]化粧水
(1)エタノール 15.0(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 0.3
(3)香料 0.1
(4)精製水 全量を100とする量
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)化粧品用プルラン 0.1
(9)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−30) 4.0
製法:(1)に(2)及び(3)を溶解する。溶解後、(4)〜(8)を順次添加した後、十分に攪拌し、(9)を加え、均一に混合する。
【0026】
[実施例5]美容液
(1)精製水 全量を100とする量
(2)グリセリン 10.0(質量%)
(3)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(4)化粧品用プルラン 0.15
(5)アルギン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 15.0
(6)モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 3.0
(8)N-ラウロイル-L-グルタミン酸
ジ(フィトステリル−2−オクチルドデシル) 2.0
(9)硬化パーム油 2.0
(10)スクワラン(オリーブ由来) 1.0
(11)ベヘニルアルコール 0.75
(12)ミツロウ 1.0
(13)ホホバ油 1.0
(14)1、3−ブチレングリコール 10.0
(15)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−30) 5.0
製法:(1)〜(6)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(14)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。乳化終了後に冷却を開始し、50℃にて(15)を加える。さらに40℃まで冷却し、(16)〜(20)を加え、均一に混合する。
【0027】
[実施例6]洗顔フォーム
(1)ステアリン酸 16.0(質量%)
(2)ミリスチン酸 16.0
(3)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(4)グリセリン 20.0
(5)水酸化ナトリウム 7.5
(6)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 1.0
(7)精製水 全量を100とする量
(8)化粧品用プルラン 0.1
(9)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−200) 5.0
製法:(1)〜(3)の油相成分を80℃にて加熱溶解する。一方(4)〜(8)の水相成分を80℃にて加熱溶解し、油相成分と均一に混合撹拌する。冷却を開始し、40℃にて(9)を加え、均一に混合する。
【0028】
[実施例7]メイクアップベースクリーム
(1)スクワラン 10.0(質量%)
(2)セタノール 2.0
(3)グリセリントリ−2−エチルヘキサン酸エステル 2.5
(4)親油型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(5)プロピレングリコール 11.0
(6)ショ糖脂肪酸エステル 1.3
(7)精製水 全量を100とする量
(8)化粧品用プルラン 0.05
(9)酸化チタン 1.0
(10)ベンガラ 0.1
(11)黄酸化鉄 0.4
(12)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−100) 5.0
製法:(1)〜(4)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(5)〜(8)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(9)〜(12)の粉体を加え、ホモミキサーにて均一に分散させる。この水相成分に前記油相成分を加え、ホモミキサーにて乳化する。
【0029】
[実施例8]乳液状ファンデーション
(1)メチルポリシロキサン 2.0(質量%)
(2)スクワラン 5.0
(3)ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
(4)セタノール 1.0
(5)ポリオキシエチレン(20E.O.)
ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 0.7
(7)1、3−ブチレングリコール 8.0
(8)化粧品用プルラン 0.1
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)精製水 全量を100とする量
(11)酸化チタン 9.0
(12)タルク 7.4
(13)ベンガラ 0.5
(14)黄酸化鉄 1.1
(15)黒酸化鉄 0.1
(16)無孔質球状シリカ(サンスフェアNP−100) 5.0
製法:(1)〜(6)の油相成分を混合し、75℃にて加熱溶解する。一方、(7)〜(10)の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解し、これに(11)〜(16)の粉体を加え、ホモミキサーにて均一に分散する。油相成分を加え、乳化を行う。