(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200280(P2020-200280A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】サンスクリーン化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20201120BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20201120BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20201120BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20201120BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20201120BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20201120BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20201120BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20201120BHJP
A61K 8/11 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/37
A61K8/35
A61K8/40
A61K8/44
A61K8/81
A61K8/73
A61Q17/04
A61K8/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-108952(P2019-108952)
(22)【出願日】2019年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】土井 美沙季
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC511
4C083AC521
4C083AC522
4C083AC642
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD282
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB36
4C083BB46
4C083CC19
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】 紫外線吸収剤内包微小カプセルと微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を含有し、高い紫外線防御効果を示しつつ、使用感と安定性に優れたサンスクリーン化粧料を提供する。
【解決手段】 シリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体又はシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とする紫外線吸収剤内包微小カプセル1種又は2種以上、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤1種又は2種以上、及び水溶性高分子増粘剤を含有させてサンスクリーン化粧料を構成する。水溶性高分子増粘剤としては、アクリル酸系増粘剤、多糖類から選ばれる1種又は2種以上、含有量は化粧料全質量に対して0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)、(B)及び(C):
(A)シリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体又はシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とする紫外線吸収剤内包微小カプセル1種又は2種以上、
(B)微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤1種又は2種以上、
(C)水溶性高分子増粘剤、を含有することを特徴とするサンスクリーン化粧料。
【請求項2】
(A)成分の紫外線吸収剤内包微小カプセルが、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルから選ばれる紫外線吸収剤1種又は2種以上を内包する微小カプセルであることを特徴とする請求項1記載のサンスクリーン化粧料。
【請求項3】
(C)成分の水溶性高分子増粘剤が、アクリル酸系増粘剤、多糖類から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のサンスクリーン化粧料。
【請求項4】
(C)成分の水溶性高分子増粘剤の含有量が、化粧料全質量に対して0.01〜5質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3記載のサンスクリーン化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の紫外線吸収剤内包微小カプセルとそれ以外の紫外線防御剤を構成成分として含有するサンスクリーン化粧料に関する。さらに詳しくは、複数の紫外線防御剤を含む化粧料であり、(A)第一成分として、シリル化ペプチドとシラン化合物との共重合体又はシリル化アミノ酸とシラン化合物との共重合体を壁材とし、紫外線吸収剤を内包する微小カプセルと、(B)第二成分として、前記微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤、及び(C)第三成分として水溶性高分子増粘剤を含有したサンスクリーン化粧料に関するものである
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサンは、熱的・機械的に安定である、耐光性を有する、生体不活性であるなどの優れた特性を有することから、広い分野で利用されている。マイクロカプセルやナノカプセルなどの微小カプセルの分野においても、オルガノポリシロキサンやそれに類する化合物を壁材として用いた微小カプセルが製造されており、本発明者らもシリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体を壁材に用いた紫外線吸収剤内包微小カプセルを、優れた紫外線防御剤として開発した(特許文献1)。
【0003】
さらには、内包物の滲み出しが少なく、壁材に由来するにおいがほとんどなく、広いpH安定性を有し、化粧品に配合した際には共存物と会合することなく安定性に優れ、しかも内包物の活性が十分に発揮できる内包済み微小カプセルとして、シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材に用いた内包済み微小カプセルについても開発している(特許文献2)。
【0004】
紫外線吸収剤を微小カプセルに内包することで、それを含有する化粧料を塗布した場合に紫外線吸収剤が肌や頭皮に直接接触することを防ぎ、刺激性やその親油性に起因するべとつき感などの好ましくない使用感を軽減することができる。
【0005】
一方、近年サンスクリーン化粧料に求められる性能は高まってきており、前記のように、紫外線吸収剤内包微小カプセルを含有する化粧料は安全性や使用感といった点で優れているものの、さらに優れた紫外線防御効果を示しつつ、良好な使用感が維持され、安定性に優れたサンスクリーン化粧料の開発が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−106612号公報
【特許文献2】特開2017−218392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、紫外線吸収剤内包微小カプセルを含有する化粧料の優れた使用感を損なうことなく、安定性に優れ、より高い紫外線防御効果を奏するサンスクリーン化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、紫外線吸収剤内包微小カプセル、カプセルに内包されていない紫外線吸収剤及び特定の化粧料基材を組み合わせて配合することで、高い紫外線防御効果を示しつつ、優れた安定性と使用感を奏するサンスクリーン化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は(A)シリル化ペプチドとシラン化合物との共重合体又はシリル化アミノ酸とシラン化合物との共重合体を壁材とする紫外線吸収剤内包微小カプセルから選ばれる1種又は2種以上と、(B)前記微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤1種又は2種以上と、(C)水溶性高分子増粘剤を含有することを特徴とするサンスクリーン化粧料を提供することにより前記課題を解決するものである(請求項1)。
【0010】
請求項2の発明は、前記(A)成分の紫外線吸収剤内包微小カプセルがパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルから選ばれる紫外線吸収剤1種又は2種以上を内包する微小カプセルであることを特徴とする請求項1記載のサンスクリーン化粧料である。これらの紫外線吸収剤内包微小カプセルは工業的に入手が容易で、化粧料に配合した場合に高い安定性を示すことから、請求項2は、この好ましい様態に該当するものである。
【0011】
請求項3の発明は、前記(C)成分の水溶性高分子増粘剤がアクリル酸系増粘剤、多糖類から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のサンスクリーン化粧料であって、当該水溶性高分子増粘剤を用いることにより、前記(A)成分の紫外線吸収剤内包微小カプセルと前記(B)成分の微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を化粧料に同時に配合した場合でも、これらの成分が凝集したり、分離することなく良好な安定性を維持し、また、特に優れた使用感を奏する。請求項3は、この好ましい様態に該当するものである。
【0012】
請求項4の発明は、前記(C)成分の水溶性高分子増粘剤の含有量が、化粧料全質量に対して0.01〜5質量%であることを特徴とする請求項1〜3記載のサンスクリーン化粧料であって、水溶性高分子増粘剤の含有量がこの範囲より低い場合には、化粧料の安定性を維持することが困難な場合があり、含有量がこの範囲より高い場合には、べとつきなどの好ましくない使用感を奏することがある。請求項4は、高い安定性と良好な使用感を得るための、特に好ましい様態に該当するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化粧料は、紫外線吸収剤内包微小カプセル、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤及び水溶性高分子増粘剤を含有することで、優れた紫外線防御効果と高い安定性及び使用感を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[紫外線吸収剤内包微小カプセル]
本発明のサンスクリーン化粧料に配合される(A)成分である紫外線吸収剤内包微小カプセルとは、シリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体を壁材としたカプセル又はシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材としたカプセルに紫外線吸収剤を内包した紫外線防止効果を有する微小カプセルであり、これらの微小カプセルは、前記特許文献1又は特許文献2に記載の方法で製造することができる。
【0015】
微小カプセルの壁材となるシラン化合物の構成モノマーとしては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシランなどが挙げられる。
【0016】
シリル化ペプチドとしては、例えば、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパク、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパクなどが挙げられる。
【0017】
前記N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパク、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピル加水分解タンパクの構成成分である加水分解タンパクは、タンパク質を酸、アルカリ、酵素、又はそれらの併用によって部分加水分解することで得られる。このタンパク源としては、動物性タンパク質、植物性タンパク質、及び微生物由来のタンパク質などが挙げられるが、動物性タンパク質としては、コラーゲン(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラチン、フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、プロタミン、鶏などの卵黄タンパク質や卵白タンパク質などを挙げることができ、植物性タンパク質としては、大豆、小麦、米(米糠)、ゴマ、エンドウ、トウモロコシ、イモ類などに含まれるタンパク質を挙げることができる。また、微生物由来のタンパク質としては、サッカロミセス属、カンディダ属、エンドミコプシス属の酵母菌、ビール酵母や清酒酵母といわれる酵母菌より分離した酵母タンパク質、キノコ類(担子菌)やクロレラより分離したタンパク質などを挙げることができる。
【0018】
シリル化アミノ酸としては、例えば、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピルアミノ酸、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピルアミノ酸などが挙げられる。
【0019】
N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−トリヒドロキシシリル)プロポキシ〕プロピルアミノ酸、N−〔2−ヒドロキシ−3−(3’−ジヒドロキシメチルシリル)プロポキシ〕プロピルアミノ酸の構成成分であるαアミノ酸は、化粧品に用いられるものなら特に制限はない。例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸、グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン、システイン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミンなどの中性アミノ酸、アルギニン、リシン、ヒスチジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸のいずれも用いることができる。
【0020】
シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とする紫外線吸収剤内包微小カプセルの製造において、より安定性の高い微小カプセルを得るために、前記シリル化アミノ酸の構成成分であるαアミノ酸としては、親水性のアミノ酸が好ましい。ここで親水性アミノ酸とは、25℃での水に対する溶解度が10%以上のものを言い、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、セリン、プロリンなどが挙げられる。親水性のアミノ酸の中でも、電荷を有しない中性アミノ酸を用いると、安定性により優れたより強固なカプセルが得られるためより好ましい。すなわち、中性アミノ酸のセリン、グリシン、アラニン、プロリンなどがより好ましい。
【0021】
上記のシラン化合物の構成モノマーと、シリル化ペプチド又はシリル化アミノ酸を共重合させてシリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体又はシリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とする紫外線吸収剤内包微小カプセルを製造する場合、紫外線吸収剤としては1種又は2種以上を混合したものを用いてもよい。紫外線吸収剤は微小カプセル全質量に対して0.01〜99質量%の範囲で内包させることができるが、微小カプセルの調製のしやすさや、調製した微小カプセルの紫外線防御効果を考慮すると、紫外線吸収剤の内包率は微小カプセル全質量の80〜95%が好ましい。すなわち、内包させる紫外線吸収剤の量が少ない場合は微小カプセル状紫外線防御剤の紫外線防御効果が低くなるため、紫外線防御目的で化粧料に配合する場合には多量に配合しなければならず、化粧料として使用感を損なわせる恐れがある。一方、紫外線吸収剤の内包率を極端に上げると、微小カプセル全量に占める壁材部分の割合が減少し、微小カプセルの安定性が減少する恐れがある。
【0022】
前記微小カプセルに内包される紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン−スルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシケイヒ酸エチル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、パラメトキシケイヒ酸ナトリウム、パラメトキシケイヒ酸カリウム、ジパラメトキシケイヒ酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシケイヒ酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、オクトクリレン(2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸−2−エチルヘキシル)、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)及びオクチルトリアゾン等が挙げられる。その中でも、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルが好ましく用いられる。ただし、上記例示のものに限られることはない。また、内包される物質には、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤以外の他の成分を含めてもよい。
【0023】
[微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤]
本発明のサンスクリーン化粧料に配合される(B)成分の微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤は、(A)成分の微小カプセルに内包された紫外線吸収剤と同一又は異なっていてもよく、また、1種又は異なる2種以上の紫外線吸収剤を配合してもよい。具体的には、前記微小カプセルに内包される紫外線吸収剤として例示されたものが挙げられるが、その中でも、(A)成分の微小カプセルに内包された紫外線吸収剤と組み合わせて配合した場合の紫外線防御能の高さの点から、パラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルから選ばれる1種又は2種以上を配合することが好ましい。
【0024】
(A)成分の微小カプセルに内包された紫外線吸収剤及び(B)成分の微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤の含有量の上限については、厚生労働省告示の化粧品基準別表第4号で紫外線吸収剤ごとに配合上限が決められているため、販売を目的としたり、日常的な使用を目的とした化粧料中では、その基準以上に含有させることはできない。例えば、化粧料100g中の最大配合量は、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンやオクトクリレンはすべての化粧品に対し10g、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルやパラメトキシケイヒ酸−2−エチルヘキシルは、粘膜に使用されることがない化粧品に対しそれぞれ10g、20gである。そのため、販売を目的としたり、日常的な使用を目的としたサンスクリーン化粧料中に含有させることができる紫外線吸収剤ごとの合計量の最大値は、各紫外線吸収剤の最大配合量を超えない値である。
【0025】
[水溶性高分子増粘剤]
本発明の化粧料に配合される(C)成分の水溶性高分子増粘剤としては、化粧料に用いられるものであれば特に制限はないが、具体的には、多糖類、アクリル酸系増粘剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン性水性ゲル化剤等が挙げられる。
【0026】
多糖類としては、キサンタンガム、セルロースガム、ローカストビーンガム、グァーガム、スターチ、カラギーナン、ジェランガム、デンプン、デキストリン、アルギン酸、ペクチン、スクレログルカン、アラビアガム、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、カラゲナンガム、カンテン、キャロブガム、ヒドロキシエチルグァーガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられる。
【0027】
アクリル酸系増粘剤としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、カルボマー、ポリアクリルアミド、アクリロイルジメチルタウリン又はその塩をモノマー成分とするコポリマー、クロスポリマー、具体的には、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、ポリアクリレート−13、ポリアクリレートクロスポリマー−6等が挙げられる。
【0028】
アクリル酸系増粘剤は、化粧品原料として市販されている製品を使用することができ、具体的な製品としては、カルボキシビニルポリマーでは、住友精化株式会社製の「AQUPEC HV−505E」、Lubrizol Advanced Materials社製の「カーボポール940」「カーボポール941」、3Vシグマ社製の「シンタレンK」「シンタレンL」等が挙げられ、アルキル変性カルボキシビニルポリマーでは、住友精化株式会社製の「AQUPEC HV−501ER」、Lubrizol Advanced Materials社製の「カーボポール1342」「カーボポールETD2020」「カーボポールUltrez21」等が挙げられる。カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、それぞれ1種又は2種以上を用いることができ、またカルボキシビニルポリマーとアルキル変性カルボキシビニルポリマーを併用することもできる。
【0029】
ポリアクリルアミドでは、SEPPIC社製の「SEPIGEL 305」等が挙げられ、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーでは、SEPPIC社製の「SIMULGEL EG」等が挙げられ、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーでは、SEPPIC社製の「SIMULGEL NS」「SEPINOV EMT 10」等が挙げられ、ポリアクリレートクロスポリマー−6では、SEPPIC社製の「SEPIMAX ZEN」等が挙げられる。
【0030】
カチオン性水性ゲル化剤としては、4級化ポリビニルピロリドン共重合体等の合成高分子、例えば、ポリオクタニウム−86(ビニルピロリドン、塩化−1−メチル−3−ビニルイミダゾリン、ビニルイミダゾール及びメタクリル酸の共重合体)などが挙げられる。
【0031】
(C)成分の水溶性高分子増粘剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。それらの中でも、化粧料に配合した場合の安定性の高さ、皮膚や毛髪に塗布した場合の感触の良さといった点から、多糖類、アクリル酸系増粘剤を用いることが好ましく、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミド、アクリロイルジメチルタウリン又はその塩をモノマー成分とするコポリマー、クロスポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを用いることが特に好ましい。
【0032】
本発明の化粧料には、上記の必須成分に加え、通常化粧料に用いられる成分を必要に応じて適宜配合することができる。このような成分としては、例えば、保湿剤、(C)成分以外の増粘剤、乳化剤、油剤、pH調整剤、界面活性剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤、美白成分、金属酸化物などの紫外線散乱剤、顔料、着色料、香料等が挙げられる。
【0033】
本発明の化粧料は、必要に応じた剤型を採ることができる。剤型の例としては、ローション、分散液、乳液、クリーム、ジェル、スティック状、ケーキ型、粉体状、スプレー、エアゾール等が挙げられる。乳化型製剤の場合には、油中水型、水中油型、油中水中油型、水中油中水型等のいずれであってもよい。これらの製剤は、前記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び前記その他の通常使用される成分を用い、常法にて製造することができる。
【実施例】
【0034】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例の表中に記載されている数値は、いずれも化粧料全体に対する質量%である。
【0035】
実施例1〜3及び比較例1、2
シリル化ペプチドとシラン化合物の共重合体を壁材とした紫外線吸収剤内包微小カプセル及び微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を配合したサンスクリーンクリーム(実施例1〜3)と、紫外線吸収剤内包微小カプセル又は微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤のみを配合したサンスクリーンクリーム(比較例1、2)を調製し、紫外線防御効果及び肌に塗布した場合の使用感について評価した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1中、*1は(株)成和化成製のSilasoma MEA(L)(商品名)、*2はSEPPIC社製のSIMULGEL EG(商品名)、*3は(株)成和化成製のセイセプト−H(商品名)である。
【0038】
[紫外線防御効果]
ブレンダームサージカルテープに、調製した各製剤を14mg(2mg/cm2)塗布し、1分間塗り伸ばし、15分間乾燥させた後SPFアナライザー(Labsphere社製UV−2000S)を用いてSPF値を測定した。
【0039】
[使用感の評価]
調製した各製剤を肌に塗布した場合の、塗り広げやすさ、さらさら感、油性感のなさ、べたつきのなさについて、10人のパネラーに下記の評価基準で評価させた。
塗り広げやすさ:
3: 肌に塗布した際、塗り広げやすさが非常に良い。
2: 肌に塗布した際、塗り広げやすさが良い。
1: 肌に塗布した際、塗り広げやすさに乏しい。
さらさら感:
3: 肌に塗布した際、さらさら感が高く非常に良い。
2: 肌に塗布した際、さらさら感があり良い。
1: 肌に塗布した際、さらさら感に乏しい。
油性感のなさ:
3: 肌に塗布した際、油性感がなく非常に良い。
2: 肌に塗布した際、油性感が少なく良い。
1: 肌に塗布した際、油性感がある。
べたつきのなさ:
3: 肌に塗布した際、べたつきがなく非常に良い。
2: 肌に塗布した際、べたつきが少なく良い。
1: 肌に塗布した際、べたつきがある。
【0040】
この評価結果に基づき、下記のように分類した。その結果を表2に示す。
◎:10人の総合点が25以上
○:10人の総合点が15〜24
△:10人の総合点が14以下
【0041】
【表2】
【0042】
表2の結果が示すように、微小カプセルに内包されている紫外線吸収剤と微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤の合計量が同じである実施例と比較例の紫外線防御能(SPF値)の評価において、紫外線吸収剤内包微小カプセルのみを配合した比較例1のSPF値が17.3であったのに対し、紫外線吸収剤内包微小カプセルと微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を組み合わせて配合した実施例1、2及び3のSPF値はそれぞれ18.3、23.8、22.0であった。また、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤のみを配合した比較例2のSPF値の20.8と比べても、実施例2及び3のSPF値はより高い値を示し、これらの結果から、紫外線吸収剤内包微小カプセル又は微小カプセルに内包されてない紫外線吸収剤のみを配合した製剤に比べて、紫外線吸収剤内包微小カプセルと微小カプセルに内包されてない紫外線吸収剤を組み合わせて配合した製剤の方が、紫外線吸収剤の含有量の合計が同じにもかかわらず、高い紫外線防御能を示すことが明らかであった。
【0043】
使用感に関しては、塗り広げやすさ、さらさら感、油性感のなさ、べたつきのなさ、の全てにおいて、紫外線吸収剤内包微小カプセルのみを配合した比較例1の方が、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤のみを配合した比較例2より評価が高かった。又、紫外線吸収剤内包微小カプセルと微小カプセルに内包されてない紫外線吸収剤を組み合わせて配合した実施例2は、さらさら感、油性感のなさ、べたつきのなさ、において比較例1と同等であったが、塗り広げやすさにおいてはより評価が高かった。これらの結果から、紫外線吸収剤内包微小カプセルと微小カプセルに内包されてない紫外線吸収剤を組み合わせて配合した製剤は、紫外線吸収剤内包微小カプセル又は微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤のみを配合した製剤に比べて、肌に塗布した場合の使用感においても、同等又はそれ以上であることが明らかであった。
【0044】
実施例4〜8及び比較例3、4
シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とした紫外線吸収剤内包微小カプセル及び微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を配合したサンスクリーンクリーム(実施例4〜8)と、紫外線吸収剤内包微小カプセル又は微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤のみを配合したサンスクリーンクリーム(比較例3、4)を調製し、肌に塗布した場合の使用感と安定性について評価した。
【0045】
【表3】
【0046】
表3中、*4は(株)成和化成製のSilasoma SP(商品名)、*5はSEPPIC社製のSEPIGEL 305(商品名)、*6はSEPPIC社製のSIMULGEL EG(商品名)、*7は(株)Lubrizol Advanced Materials 社製のカーボポールUltrez21(商品名)である。
【0047】
調製した各製剤を肌に塗布した場合の、塗り広げやすさ、さらさら感について、実施例1〜3及び比較例1、2で用いた評価基準で10人のパネラーに評価させた。
【0048】
[安定性の評価]
実施例4〜8及び比較例3、4で調製したクリームをそれぞれ50mLのスクリュー管に入れて密栓し、50℃で1週間保管した。1週間後の乳化組成物の外観を10人のパネラーに下記の評価基準で評価させた。
3:水層と油層の二層の分離が観察されない
2:油層がやや浮き出している
1:水層と油層の二層への分離が観察される
【0049】
この評価結果に基づき、下記のように分類した。その結果を表4に示す。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が16〜24
×:10人の総合点が15以下
【0050】
【表4】
【0051】
表4の結果が示すように、シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とした紫外線吸収剤内包微小カプセル、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤及び水溶性高分子増粘剤を配合した実施例4〜7のサンスクリーンクリーム、紫外線吸収剤内包微小カプセルと水溶性高分子増粘剤、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤と水溶性高分子増粘剤を配合した比較例3、4のサンスクリーンクリームはいずれも高い安定性を示した。紫外線吸収剤内包微小カプセルを配合した比較例4は、使用感の点で微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を配合した比較例3より優れていたが、実施例4〜7の製剤は比較例4と比較して同等な評価であった。これらの結果から、シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とした紫外線吸収剤内包微小カプセル、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤及び水溶性高分子増粘剤を配合したサンスクリーンクリームは、紫外線吸収剤内包微小カプセルが持つ優れた使用感を損なうことなく、良好な安定性を示すサンスクリーン化粧料であることが明らかであった。
【0052】
実施例9〜11及び比較例5、6
シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とした紫外線吸収剤内包微小カプセル及び微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤を配合したサンスクリーンジェル(実施例9〜11)と、紫外線吸収剤内包微小カプセル又は微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤のみを配合したサンスクリーンジェル(比較例5、6)を調製し、肌に塗布した場合の使用感と、各製剤の経時安定性について評価した。
【0053】
【表5】
【0054】
表5中、*4、*5、*6及び*7は、表3中と同じ市販されている製品である。
【0055】
調製した各製剤を肌に塗布した場合の使用感(塗り広げやすさ及びさらさら感)を、実施例1〜3及び比較例1、2で用いた評価基準で10人のパネラーに評価させた。各製剤の安定性については、調製したサンスクリーンジェルを実施例4〜8及び比較例3、4と同じ条件で保管し、ジェルの外観を10人のパネラーに下記の評価基準で評価させた。
3:製剤中に塊状物が観察されない。
2:製剤中に塊状物がわずかに観察される。
1:製剤中に塊状物が観察される。
【0056】
この評価結果に基づき、下記のように分類した。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が16〜24
×:10人の総合点が15以下
【0057】
【表6】
【0058】
表6の結果が示すように、シリル化アミノ酸とシラン化合物の共重合体を壁材とした紫外線吸収剤内包微小カプセル、微小カプセルに内包されていない紫外線吸収剤及び水溶性高分子増粘剤を配合した実施例9〜11のサンスクリーンジェル、紫外線吸収剤内包微小カプセルと水溶性高分子増粘剤を配合した比較例6のサンスクリーンジェルは、安定性、肌に塗布した際の使用感の点で同等に優れていることが明らかであった。