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特開2020-200417土壌改質用組成物および土壌改質方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200417(P2020-200417A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】土壌改質用組成物および土壌改質方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/40 20060101AFI20201120BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20201120BHJP
   C09K 17/22 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   C09K17/40 H
   C09K17/06 H
   C09K17/22 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-109535(P2019-109535)
(22)【出願日】2019年6月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】浅田 素之
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 貞美
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 亮
【テーマコード(参考)】
4H026
【Fターム(参考)】
4H026AA03
4H026AA09
4H026AA13
4H026AB02
(57)【要約】
【課題】土壌の団粒化効果に優れ、使用時に粉じんが生じ難い土壌改質用組成物の提供。
【解決手段】高分子凝集剤および吸水性ポリマーの一方または両方と、平均粒子径が0.1〜2mmである水不溶性の粗粒材料を含むことを特徴とする土壌改質用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子凝集剤および吸水性ポリマーの一方または両方と、平均粒子径が0.1〜2mmである水不溶性の粗粒材料を含むことを特徴とする土壌改質用組成物。
【請求項2】
前記粗粒材料が炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載の土壌改質用組成物。
【請求項3】
前記土壌改質用組成物の総質量に対して、前記吸水性ポリマー及び前記高分子凝集剤の合計の含有量が2〜14質量%、かつ前記粗粒材料の含有量が86〜98質量%である、請求項1又は2に記載の土壌改質用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の土壌改質用組成物を、処理対象の土壌と混合する土壌改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土壌改質用組成物および土壌改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば放射性物質を含む汚染土壌の処理において、土壌には植物根などの可燃物等が含まれており、これらを除去するために分級操作が行われる。
粒径が細かい粘土やシルト系土壌など、高含水比で粘性が高い土壌は、分級装置への付着を抑制するために、予め粘性を低くして団粒化することが好ましい。また分級した土壌の転圧等の施工性の点からは、土壌を締固めた状態での強度も高い方が好ましい。
高含水比の土壌の改質方法として、例えば生石灰を混合して水分を低下させる方法がある。生石灰は安価で入手しやすいが、生石灰を混合すると土壌のpHが高くなるため、処理後の土壌を再利用する用途が制限される。
【0003】
特許文献1の実施例には、pHを中性に保ちながら高含水比の土壌を団粒化するために、使用済み鋳物砂と、吸水性ポリマーと、高分子凝集剤を含む土壌改質用組成物を、土壌と混合する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−138643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者等の知見によれば、特許文献1の実施例に記載の改質方法では、土壌改質用組成物を土壌と混合する際に粉じんが生じやすい。
本発明は、土壌の団粒化効果に優れ、使用時に粉じんが生じ難い、土壌改質用組成物および土壌改質方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の態様を有する。
[1] 高分子凝集剤および吸水性ポリマーの一方または両方と、平均粒子径が0.1〜2mmである水不溶性の粗粒材料を含むことを特徴とする土壌改質用組成物。
[2] 前記粗粒材料が炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載の土壌改質用組成物。
[3] 前記土壌改質用組成物の総質量に対して、前記吸水性ポリマー及び前記高分子凝集剤の合計の含有量が2〜14質量%、かつ前記粗粒材料の含有量が86〜98質量%である、[1]又は[2]の土壌改質用組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかの土壌改質用組成物を、処理対象の土壌と混合する土壌改質方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の土壌改質用組成物は、使用時に粉じんが生じ難く、土壌の団粒化効果に優れる。
本発明の土壌改質方法は、粉じんが生じ難く、土壌の団粒化効果に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
【0009】
<土壌改質用組成物>
本発明の土壌改質用組成物は、吸水性ポリマー及び高分子凝集剤の一方または両方と、水不溶性の粗粒材料とを含む。
吸水性ポリマーは、多量の水を吸収してゲル化し、その水を保持する機能を有する高分子であり、土壌中の水分を吸収して団粒化に寄与する。高吸水性樹脂として公知のポリマーを用いることができる。例えば、アクリル酸重合体及び/又はその誘導体からなるポリマーが挙げられる。
高分子凝集剤は、土壌処理の分野で公知のものを用いることができる。ノニオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤のいずれでもよい。高分子凝集剤は水溶性であり、土壌中の水分を吸収して団粒化に寄与する。
【0010】
土壌改質用組成物は、少なくとも吸水性ポリマーを含むことが好ましい。
土壌改質用組成物の総質量に対して、吸水性ポリマーの含有量は2〜7質量%が好ましく、2〜5質量%がより好ましい。
土壌改質用組成物の総質量に対して、高分子凝集剤の含有量は0〜7質量%が好ましく、0〜1質量%がより好ましい。
土壌改質用組成物の総質量に対して、吸水性ポリマー及び高分子凝集剤の合計の含有量は2〜14質量%が好ましく、2〜6質量%がより好ましい。
【0011】
水不溶性の粗粒材料(単に、粗粒材料ともいう。)としては、例えば炭酸カルシウム、シリカアルミナ系焼結体(二酸化ケイ素およびアルミナを含む焼結体)、天然の砂、ゼオライト等が挙げられる。粒度分布を調整しやすい点で炭酸カルシウムが好ましい。粗粒材料は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
炭酸カルシウムとしては、石灰石を粉砕して得られる重質炭酸カルシウムでもよく、合成炭酸カルシウムでもよい。表面処理が施された市販品でもよい。
シリカアルミナ系焼結体としては、安価に入手できる点で、使用後の鋳物砂(鋳型の材料)が好ましい。
【0012】
ゼオライトは、結晶性アルミノケイ酸塩の総称であり、土壌処理の分野で吸着材として公知のゼオライトを用いることができる。ゼオライトを含有させると、土壌に放射性物質等の汚染物質が含まれている場合、これを吸着できるため、土壌から汚染物質が流出するのを防止できる。焼成ゼオライトを用いてもよく、乾燥ゼオライトを用いてもよい。
【0013】
粗粒材料は、平均粒子径が0.1〜2mmであるものを用いる。粗粒材料の平均粒子径が0.1mm以上であると粉じんが発生し難い。2mm以下であると、含水率の高い粘土等の土壌との混合性がよい。粗粒材料の平均粒子径は0.8〜2mmが好ましく、0.9〜2mmがより好ましく、1〜2mmがさらに好ましい。
粗粒材料として2種以上を併用する場合は、それぞれの平均粒子径が上記の範囲内であればよい。
本発明における平均粒子径は、積算分率で表された粒度分布におけるメディアン径(D50)である。粗粒材料の粒度分布はふるい分け法を用いて測定した、重量基準の粒度分布である。
【0014】
粗粒材料は、粉じんがより発生し難い点で、平均粒子径が上記の範囲内であり、かつ粗粒材料の総質量に対して、下記ふるい分け法によって目開き182μmの篩を通過する粒子(以下、182μmパス粒子という。)の割合が、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。
また、粉じんがさらに発生し難い点で、平均粒子径が上記の範囲内であり、かつ粗粒材料の総質量に対して、下記ふるい分け法によって目開き100μmの篩を通過する粒子(以下、100μmパス粒子という。)の割合が、5質量%以下であることが好ましく、
0.5質量%以下がより好ましい。
また、含水率の高い粘土等の土壌との混合性の点で、平均粒子径が上記の範囲内であり、かつ粗粒材料の総質量に対して、下記ふるい分け法によって目開き2.2mmの篩上に残留する粒子(以下、2.2mmオン粒子という。)の割合が、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。
粗粒材料は、必要に応じて、粒子径が小さすぎる粒子や粒子径が大きすぎる粒子を、ふるい分けにより除去したものであってもよい。
【0015】
ふるい分け法は、以下の(1)〜(3)の手順で行う。(1)使用するふるいを受器の上に置く。ふるいは枠の直径が200mmの試験用ふるいを用いる。(2)ふるいに試料を静かに入れ、ふたをする。試料の投入量は100〜200gとする。(3)これを両手で持ち、水平面内を一方向に、振幅幅約70mm、1分間約60往復の割合で1分間振動させる。
【0016】
土壌改質用組成物の総質量に対して、粗粒材料の含有量は86〜98質量%が好ましく、95〜98質量%がより好ましい。
粗粒材料がゼオライトを含む場合、土壌改質用組成物の総質量に対して、ゼオライトの含有量は0質量%超20質量%以下であることが好ましく、0質量%超2質量%以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明の土壌改質用組成物は、前記高分子凝集剤、吸水性ポリマー、および粗粒材料以外に、土壌処理の分野で公知の任意成分を、その他の成分として本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
その他の成分は、土壌改質用組成物の総質量に対して1質量%以下が好ましい。
【0018】
<土壌改質用組成物の製造方法>
本発明の土壌改質用組成物は、吸水性ポリマー及び高分子凝集剤の一方または両方と、粗粒材料と、任意に加えられるその他の成分とを混合して製造される。
【0019】
<土壌改質方法>
本発明の土壌改質方法は、本発明の土壌改質用組成物を、処理対象の土壌と混合して改質を行う方法である。改質した土壌は、分級等の必要に応じた処理が行われる。
処理対象の土壌100質量部に対して、土壌改質用組成物の添加量は1〜10質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましく、3〜5質量部がさらに好ましい。
【0020】
本発明によれば、吸水機能を有する高分子材料(吸水性ポリマー及び/又は高分子凝集剤)と、水不溶性の粗粒材料とを含む土壌改質用組成物を、土壌と混合することにより、粉じんの発生を防止しつつ、優れた団粒化効果が得られる。
【実施例】
【0021】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例で用いた材料は以下の通りである。
粗粒炭酸カルシウム(1):菱光石灰工業社製、製品名:粗粒炭カルIIA、粒径0.8〜2.2mm、平均粒子径1.0mm。
吸水性ポリマー:SDPグローバル株式会社製、製品名:サンフレッシュ(主成分:アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物)、粉末状。
高分子凝集剤:大明化学工業株式会社製、製品名:タイポリマー、粉末状。
粉体炭酸カルシウム(比較例):JIS舗装用石灰石粉規格相当品普通タンカル、平均粒子径0.1mm未満、150μmパス粒子90%以上、75μmパス粒子70%以上。
【0022】
[実施例1]
(土壌改質用組成物の製造)
粗粒炭酸カルシウム(1)95質量部と、吸水性ポリマー5質量部とを混合して土壌改質用組成物を得た。
(土壌の改質)
得られた土壌改質用組成物を、含水率28.8質量%(含水比40質量%)の試験土に、50kg/トンの割合で添加し混合したところ、土壌が改質されて団粒化した。混合時の粉じんを目視で確認したところ、粉じんの発生は無かった。
(コーン指数の測定)
JIS A1228「締め固めた土のコーン指数試験方法」に準処してコーン指数を測定した。コーン指数とは、土壌を締固めた試料中にコーンペネトロメーターを押し込む際の貫入抵抗度であり、コーン指数の値が大きいほど、土壌を締固めた状態での強度が高いことを意味する。
本例において、改質前のコーン指数は57kN/m、改質後は114kN/mであり、改質によって強度が2倍に増大したことがわかる。
【0023】
[比較例1]
(土壌改質用組成物の製造)
粉体炭酸カルシウム95質量部と、高分子凝集剤5質量部とを混合して土壌改質用組成物を得た。
(土壌の改質)
得られた土壌改質用組成物を、含水率28.8質量%(含水比40質量%)の試験土に、30kg/トンの割合で添加し混合した。その結果、実施例1と同様に試験土は団粒化したが、混合時に粉じんの発生が認められた。