【氏名又は名称原語表記】FLUENCE ANALYTICS, formerly ADVANCED POLYMER MONITORING TECHNOLOGIES, INC.
【課題】重合反応プロセスのアクティブ制御のためのACOMPシステムを用いた手動および自動の方法および装置。反応およびポリマー特性の理想的な所望の軌道を確立して、重合反応プロセスにおいて特定の特性を有する所望の最終ポリマー生成物を生成する。
【解決手段】 重合反応プロセスの1つ以上の内容物を収容するための反応器と、該反応器から1つ以上の内容物のある量を自動的かつ連続的に抽出する手段と、ストリーム中で抽出された1つ以上の内容物を希釈及び/又は調整する手段と、ストリーム中で抽出された1つ以上の内容物を測定する検出器と、検出器の測定値から、連続的又は離散的な間隔で抽出された前記1つ以上の内容物の1つ以上のプロセス特性を決定し、及び決定された1つ以上のプロセス特性に基づいて、1つ以上のプロセス制御パラメータの変化を指示して、重合反応プロセスの軌道を変更して重合反応プロセスの理想的な軌道を達成するように構成されたプロセスコントローラと、を備える、装置。
1つ以上の前記反応器、前記抽出する手段、前記希釈及び/又は調整する手段、並びに前記検出器が、重合の自動連続オンラインモニタリング(ACOMP)システムに組み込まれている請求項1に記載の装置。
前記プロセスコントローラは支配的な速度論的及び関連する方程式を用いてプロセスパラメータの変化に起因するプロセス特性への影響を演算する請求項1又は請求項2に記載の装置。
前記プロセスコントローラは前記1つ以上のプロセス制御パラメータをアクティブに手動制御するためのインターフェースを備え、該インターフェースは1つ以上の操作可能な制御部を含み、各制御部は1つ以上のプロセス制御パラメータを制御するように構成された請求項1〜3の何れかに記載の装置。
前記1つ以上のプロセス制御パラメータは連続的または離散的に試剤または化学成分を前記反応器へ制御して添加すること、温度の変化、圧力の変化、またはそれらの任意の組合せを含む請求項1〜5の何れかに記載の装置。
前記理想的な軌道が、予め定められた所望の反応軌道、ポリマー分子量、固有粘度、分子量分布、固有粘度分布、還元粘度分布、組成分布、反応速度、モノマーの変換率、コモノマーの変換率、コモノマーの組成、コモノマーのドリフト、微粒子の存在、またはそれらの任意の組み合わせを含む請求項1〜6の何れかに記載の装置。
重合反応プロセスについての手動又は自動的なアクティブ制御の使用により生成される履歴ベータベースが、1つ以上のプロセス制御パラメータをアクティブに変更することにより、前記1つ以上の測定された特性がどのように変化し得るかを決定するために使用される、請求項8〜10の何れかに記載の方法。
変更されるプロセスパラメータを決定することは、プロセス制御パラメータをアクティブに変更することによって前記測定された特性がどのように変化し得るかを決定するために履歴データベースを参照することを含む、請求項12に記載の方法。
分析モジュールが更に備えられ、該分析モジュールは前記測定値を基準測定値に比較し、変化させるべき1つ以上のプロセスパラメータであって、調整された前記サンプルの前記測定値を前記基準測定値に近づくように移動させられる予想されるプロセスパラメータを決定する請求項15に記載の装置。
前記プロセスコントローラは前記分析モジュールの出力に応答して少なくとも1つのプロセス制御パラメータの変化を引き起こすように構成された請求項16に記載の装置。
前記プロセスコントローラは前記1つ以上のプロセス制御パラメータをアクティブに手動制御するためのインターフェースを備え、該インターフェースは1つ以上の操作可能な制御部を含み、各制御部は1つ以上のプロセス制御パラメータを制御するように構成された請求項15〜17の何れかに記載の装置。
前記1つ以上のプロセス制御パラメータは連続的または離散的に試剤または化学成分を前記反応容器へ制御して添加すること、前記試剤または化学成分は空気、窒素ガス、酸素ガスからなる群より選択され、撹拌、温度の変化、圧力の変化、またはそれらの任意の組合せを含む請求項15〜18の何れかに記載の装置。
前記理想的な軌道が、予め定められた所望の反応軌道、ポリマー分子量、固有粘度、分子量分布、固有粘度分布、還元粘度分布、組成分布、反応速度、モノマーの変換率、コモノマーの変換率、コモノマーの組成、コモノマーのドリフト、微粒子の存在、またはそれらの任意の組み合わせを含む請求項15〜19の何れかに記載の装置。
前記プロセスコントローラはモデル依存アクティブ制御を利用して測定軌道の偏差の基準に基づいて自動的に前記プロセス制御パラメータの変化を指示する請求項1に記載の装置。
【背景技術】
【0004】
石油原料(例えば、オレフィン、アルカン、環状化合物、ワックスなど)、医薬品、塩類など、及び他の同様の小分子を含む化学反応およびプロセスを制御するための広範囲の文献および広範な実施分野がある。ポリマー分野では、ポリマーの特性が本質的に測定するのが難しいため、オフラインの場合でも、反応とプロセスコントロールの目標は達成するのがより困難であった。例えば、重合反応に関与する反応媒体および処理媒体は、粘性、濁り、不均質、またはそれらの組み合わせであることが多い。さらに、製造された種々のポリマーには、分子量分布、分枝および架橋の程度および量、コモノマー組成、立体配座、および他の特性など、様々な特性のバリエーションがあり得る。それにもかかわらず、理論的(z変換法およびモーメント法など)の現場での豊富な研究は存在するが、ポリマー分子量、固有粘度、コモマー組成物のドリフト、および他の特性に関するポリマー反応およびプロセス特性の連続的なオンライン測定を行った事例は知られていない。z変換法およびモーメント法に関する理論的研究の例については、下記を参照されたい。非特許文献1:“Monitoring Polymerization Reactions, From Fundamentals to Applications,” Eds. Reed, W.F., and Alb, A.M., Wiley, 2014, Chapters 16-18; 及び “Polymerization Process Modelling,” Dotson et al., VCH Pub., New York, 1996。
【0005】
リチャーズ(Richards)およびコンガリディス(Congalidis)は、重合反応の測定および制御、およびより強固な反応器の設計に関する広範な研究を非特許文献2:“Measurement and control of polymerization reactors.” Comp. Chem. Eng., Vol. 30(10-12), pp. 1447-1463, 2006.に要約している。彼らは、重合反応器内の圧力、温度、レベルおよび流れ(PTLF)を維持することに多くの注意が集中していることを報告している(例えば、非特許文献3:Handbook of polymer reaction engineering, Eds. Meyer, T. and Keurentjes, J., Wiley-VCH, Weinheim, Germany, pp. 595-678, 2005; 及び 非特許文献4:Instrument engineer’s handbook, 4
th edition: Process measurement and analysis, Liptak, B.G., CRC Press, New York, 2003を参照)。赤外線、フーリエ変換赤外(FTIR)、近赤外(NIR)ラマン分光、熱量測定、ガスクロマトグラフィーなどのオンライン組成測定技術が利用可能である。赤外線分光法、熱量測定およびガスクロマトグラフィーの例については、非特許文献5:“Recent developments in hardware sensors for the online monitoring of polymerization reactions” Kammona, O. et al., Journal of Macromolecular Science-Reviews in Macromolecular Chemistry, Vol. C39(1), pp. 57-134, 1999.を参照されたい。FTIRおよびNIR分光法の例については、非特許文献6:“Continuous solution polymerization reactor control. 2. Estimation and nonlinear reference control during methyl methacrylate polymerization” Adebekun D. and Schorl F.J., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 28(12), pp. 1846-1861, 1989. ラマン分光の例にについては非特許文献7:Principles of polymer systems (5
th ed), Rodriguez, F. et al., Taylor and Francis, New York, 2003.を参照されたい。
【0006】
共重合反応中のポリマー組成物の制御に関する研究が報告されている。例えば、カルマンフィルタ法は、非線形プロセスの線形近似に基づいている(例えば、非特許文献8:“Applications of nonlinear observers and control: improving productivity and control of free radical solution copolymerization” Hammouri, H. et al., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 38(12), pp. 4815-4824, 1999を参照されたい)。しかし、そこには安定性と収斂性において課題があった(例えば、非特許文献9:“On-line estimation of microbial specific growth rates: an illustrative case study” Dochain, D. and Pauss, A., Can. J. Chem. Eng., Vol. 66(4), pp. 626-631, 1988;、非特許文献10:“Online molecular weight distribution estimation and control in batch polymerization” Ellis, M.F. et al., AIChE J., Vol. 40(3), pp. 445-462, 1994; 、非特許文献11:“State estimation for semi-batch polymerization reactors” Kozub, D.J. and MacGregor, J.F., Chem. Eng. Sci., Vol. 47(5), pp. 1047-1062, 1992;、非特許文献12: “Online nonlinear model-based estimation and control of a polymer reactor” Mutha, R.K. et al., AIChE J., Vol. 43(11), pp.3042-3058, 1997; 及び 非特許文献13“A new multirate-measurement-based estimator: emulsion copolymerization batch reactor case study” Mutha, R.K. et al., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 36(4), pp. 1036-1047, 1997を参照されたい)。そのため、多くの非線形方法が開発されている。 Ellis らは下記に提案された制御方法を用いて拡張カルマンフィルタを提案した。(非特許文献14:“Online molecular weight distribution estimation and control in batch polymerization” Ellis, M.F. et al., AIChE J., Vol. 40(3), pp. 445-462, 1994を参照された。また、制御方法として非特許文献15:“Online nonlinear model-based estimation and control of a polymer reactor” Mutha, R.K. et al., AIChE J., Vol. 43(11), pp.3042-3058, 1997;及び非特許文献16“A new multirate-measurement-based estimator: emulsion copolymerization batch reactor case study” Mutha, R.K. et al., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 36(4), pp. 1036-1047, 1997を参照されたい。化学反応による熱発生の速度を使用した非線形状態オブザーバはHammouriらによって使用され、フリーラジカル共重合時における重要なパラメーターが得られた(非特許文献17:“Applications of nonlinear observers and control: improving productivity and control of free radical solution copolymerization” Hammouri, H. et al., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 38(12), pp. 4815-4824, 1999を参照されたい)。これらの推定および技術は、カルマンフィルタよりもチューニングが簡単である(例えば、非特許文献18:“Non-linear tracking of glass transition temperatures for free radical emulsion copolymers” Fevotte, G. et al., Chem. Eng. Sci., Vol. 53(4), pp. 773-786, 1998; 及び非特許文献19 “Online monitoring and modeling of free radical copolymerizations: butyl acrylate/vinyl acetate” Othman, S. et al., Polym. React. Eng., Vol. 7(1), pp. 1-42, 1999を参照されたい)。Kravaris はコポリマー組成を制御するための非線形方法として温度追跡を使用している(非特許文献20“Nonlinear controllers for trajectory tracking in batch processes” Kravaris, C. et al., Comp. Chem. Eng., Vol. 13(1-2), pp. 73-82, 1989参照)。非線形システムの制御のために、モデル予測制御(MPC)アルゴリズムと非線形MPC(NLMPC)アルゴリズムが提案されている。例示的なMPCアルゴリズムについては、非特許文献21:“On-line multi-variable predictive control of molar mass and particle size distributions in free-radical emulsion copolymerization” Alhamad, B. et al., Chem. Eng. Sc., Vol. 60(23), pp. 6596-6606, 2005; 及び非特許文献22 “Internal model control. A unifying review and some new results” Garcia, C.E., and Morari M., Ind. Eng. Chem. Process. Des. Dev., Vol. 21(2), pp. 308-323, 1982を参照されたい。例示的なNLMPCアルゴリズムについては、非特許文献23“Control of copolymer properties in a semibatch methyl methacrylate/methyl acrylate copolymerization reactor by using a learning-based nonlinear model predictive controller” Park, M.-J., and Rhee, H.-K., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 43(11), pp. 2736-2746, 2004;、非特許文献24: Nonlinear quadratic dynamic matrix control with state estimation” Gattu, G., and Zafiriou, E., Ind. Eng. Chem. Res., 31(4):10961104, 1992; 、非特許文献25:“Extended kalman filter based nonlinear model predictive control.” Lee, J.H., and Ricker, N.L., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 33(6), pp. 1530-1541, 1994; 及び非特許文献26“Nonlinear model predictive control: current status and future directions” Henson, M.A., Comp. Chem. Eng., Vol. 23(2), pp.187-202, 1998を参照されたい。
【0007】
反応器への選択的試薬供給のための方策が開発されているセミバッチアプローチは、特に乳化重合のために、また共重合反応の間に組成を制御することに関して広範に詳述されている(例えば、非特許文献27:“Applications of nonlinear observers and control: improving productivity and control of free radical solution copolymerization” Hammouri, H. et al., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 38(12), pp. 4815-4824, 1999;、非特許文献28:“Extended kalman filter based nonlinear model predictive control.” Lee, J.H., and Ricker, N.L., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 33(6), pp. 1530-1541, 1994;、非特許文献29:“A comprehensive experimental investigation of the methyl methacrylate/butyl acrylate/acrylic acid emulsion terpolymerization” Parouti, S. et al., Polym. Reac. Eng., Vol. 11(4), pp. 829-853, 2003;、非特許文献30:“Molecular weight distribution of poly(methyl methacrylate) produced in a starved feed reactor.” Cao, G.P. et al., J. Polym. Eng., Vol. 21(5), pp. 401-419, 2001;、非特許文献31:“Grafting of styrene and methyl methacrylate concurrently onto polybutadiene in semicontinuous emulsion processes and determination of copolymer microstructure” Aerdts, A.M. et al., Polymer; 35(8):16481653, 1994;、非特許文献32:“Kinetic and molecular weight control for methyl methacrylate semi-batch polymerization. I. Modelling” Wu, J.-Y, and Shan G.-R., J. Appl. Pol. Sc., Vol. 100(4), pp. 2838-2846, 2006;、非特許文献33:“Design and application of model-on-demand predictive controller to a semibatch copolymerization reactor” Hur, S.-M. et al., Ind. Eng. Chem. Res., 2003; Vol. 42(4), pp. 847-859, 2003;、及び非特許文献34:“Dynamic optimization of non-linear emulsion copolymerization systems. Open-loop control of composition and molecular weight distribution.” Vicente, M. et al., Chem. Eng. J., Vol. 85(2-3), pp. 339-349, 2002を参照されたい)。モデルベースのセミバッチモノマー給送方法が制御されたラジカル重合(CRP)のために開発されている(例えば、非特許文献35:“Programmed synthesis of copolymer with controlled chain composition distribution via semibatch RAFT copolymerization” Sun, X. et al., Macromolecules, Vol. 40(4), pp. 849-859, 2007;及び非特許文献36:“Design and control of copolymer composition distribution in living radical polymerization using semi-batch feeding policies: A model simulation” Wang, R. et al., Macromol. Theory Simul., Vol. 15(4), pp. 356-368, 2006を参照されたい)。それらは、物質収支平衡を有する反応器モデルを提供し、組成を制御する実験結果を示した。 Vicente らはコモノマーの比率を維持することにより、開ループ法での乳化共重合における組成および分子量分布を制御した(非特許文献37:“Simultaneous control of copolymer composition and MWD in emulsion copolymerization” Vincente, M. et al., AIChE J., Vol. 47(7), pp. 1594-1606, 2001;及び非特許文献38:“Dynamic optimization of non-linear emulsion copolymerization systems. Open-loop control of composition and molecular weight distribution.” Vicente, M. et al., Chem. Eng. J., Vol. 85(2-3), pp. 339-349, 2002参照)。Yanjarappaらは生物機能化のための一定の組成を有するコポリマーを合成した(非特許文献39:“Synthesis of copolymers containing an active ester of methacrylic acid by RAFT: controlled molecular weight scaffolds for biofunctionalization” Yanjarappa, J.M. et al., Biomacromolecules, Vol. 7(5), pp. 1665-1670, 2006参照)。一般的なセミバッチ方法はAsuaによってレビューされている(非特許文献40:Polymer Reaction Engineering, Ed.: Asua, J.M., Blackwell Publishing Ltd., Oxford, pp. 1-28, 2007参照)。KiparissidesおよびMorrisにより分子量を制御する努力がなされている(非特許文献41:“Intelligent manufacturing of polymers” Kiparissides, C., and Morris, J., Comp. Chem. Eng., Vol. 20, pp. 1113-1118, 1996参照)。、Othmanらについては(非特許文献42:“Online monitoring and modeling of free radical copolymerizations: butyl acrylate/vinyl acetate” Othman, S. et al.; Polym. React. Eng.; Vol. 7(1); pp. 1-42; 1999)、Wu、J.-YおよびShan G.-R.については(非特許文献43:“Kinetic and molecular weight control for methyl methacrylate semi-batch polymerization. I. Modelling” Wu, J.-Y, and Shan G.-R., J. Appl. Pol. Sc., Vol. 100(4), pp. 2838-2846, 2006)を参照されたい。分子量を制御することの主な難点は、オンラインセンサの欠如であることがしばしば報告されている。
【0008】
一般に、分子量を制御する最良の方法は、モノマー、開始剤または連鎖移動剤の濃度を操作することによるものである(例えば、非特許文献44:“Online monitoring and modeling of free radical copolymerizations: butyl acrylate/vinyl acetate” Othman, S. et al.; Polym. React. Eng.; Vol. 7(1); pp. 1-42; 1999;、非特許文献45:“Dynamic modeling and state estimation for an emulsion copolymerization reactor” Dimitratos, J. et al., Comp. Chem. Eng., Vol. 13(1-2), pp. 21-33, 1989;、非特許文献46:“Feedforward and feedback control of a solution copolymerization reactor” Congalidis, J.P. et al., AIChE J., Vol. 35(6), pp. 891-907, 1989;、非特許文献47:“Molecular weight distributions in free-radical polymerizations. 1. Model development and implications for data interpretation” Clay, P.A., and Gilbert, R.G., Macromolecules, Vol. 28(2), pp. 552-569, 1995;、非特許文献48:“Molecular weight distribution in emulsion polymerization: role of active chain compartmentalization” Ghielmi, A. et al., Macromolecules, Vol. 31(21), pp. 7172-7186, 1998;、非特許文献49:“Control of polymer molecular weight using near infrared spectroscopy” Othman, N.S. et al., AIChE J., Vol. 50(3), pp. 654-664, 2004;及び非特許文献50:“Continuous solution polymerization reactor control. 2. Estimation and nonlinear reference control during methyl methacrylate polymerization” Adebekun, D., and Schorl, F.J., Ind. Eng. Chem. Res., Vol. 28(12), pp. 1846-1861, 1989参照)。ModiおよびGuilletは、1,3-(ジ-1-ナフチル)プロパン-2-オン(DNP)化合物を用いた光化学的方法を説明している(非特許文献51:“Photochemical control of molecular weight during free-radical polymerization” Modi, P.J., and Guillet, J.E., Macromolecules, Vol. 27(12), pp. 3319-3321, 1994参照)。DNPの存在下で、光に暴露されると、フリーラジカル重合反応の間に成長するポリマー鎖が停止し、したがって特に効果的でなくても分子量を制御する手段が提供される。
【0009】
分子量はしばしば温度によって制御されている(例えば、非特許文献52:“Nonlinear adaptive temperature control of multi-product, semi-batch polymerization reactors” Clarke-Pringle, T., and MacGregor, J.F., Comp. Chem. Eng., Vol. 21(12), pp. 1395-1409, 1997参照)。このアプローチの多くの問題が報告されている(例えば、非特許文献53:“Measurement and control of polymerization reactors” Richards, J.R., and Congalidis, J.P.; Comp. Chem. Eng.; Vol. 30(10-12); pp. 1447-1463; 2006;、非特許文献54:“Applications of nonlinear observers and control: improving productivity and control of free radical solution copolymerization” Hammouri, H. et al.; Ind. Eng. Chem. Res.; Vol. 38(12); pp. 4815-4824; 1999;、非特許文献55:“Non-linear tracking of glass transition temperatures for free radical emulsion copolymers” Fevotte, G. et al.; Chem. Eng. Sci.; Vol. 53(4); pp. 773-786; 1998;、非特許文献56:“Online monitoring and modeling of free radical copolymerizations: butyl acrylate/vinyl acetate” Othman, S. et al.; Polym. React. Eng.; Vol. 7(1); pp. 1-42; 1999;及び非特許文献57:On-line multi-variable predictive control of molar mass and particle size distributions in free-radical emulsion copolymerization” Alhamad, B. et al.; Chem. Eng. Sc.; Vol. 60(23); pp. 6596-6606; 2005を参照されたい)。
【0010】
再び、オンライン測定の問題のために、Vicente らはオープンループセミバッチ法によるエマルジョン共重合における組成物とMWDとを制御した(非特許文献58:“Simultaneous control of copolymer composition and MWD in emulsion copolymerization” Vincente, M. et al., AIChE J., Vol. 47(7), pp. 1594-1606, 2001参照)。Vicenteらは、反復動的計画法を用いて最適な材料供給プロファイルを決定した。この方法の成功は、数学的モデルの精度に依存し、プロセス中にモデル化されていない外乱がないことを必要とする。 Vicenteらは、熱量測定データから変換量を推定した。反応後のオフライン測定は推定値と一致し、数学モデルが良好であることを確認した。しかしながら著者らは、より良い制御のために、オンライン測定を含むより頑強な閉ループ方法を開発しなければならないことを認めている。
【0011】
Othmanらは、分子量を制御するための閉ループ法を提案した(非特許文献59:“Online monitoring and modeling of free radical copolymerizations: butyl acrylate/vinyl acetate” Othman, S. et al.; Polym. React. Eng.; Vol. 7(1); pp. 1-42; 1999参照)ここでは、NIRを用いて変換を推定した。制御ループに必要な反応速度を得るために、非線形推定器が開発された。この方法は、NIR校正に必要なオフライン測定の品質に依存する。非線形高ゲイン観測器を使用してモデルパラメータと反応速度を同定した。これらは、所望のモノマー供給を得るために使用され、その結果、重量平均分子量(Mw)が一定に保たれるようになった。このフィードバック制御は、オープンループの場合は達成できなかった高分子量を生成したが、アプローチは依然としてモデルの品質に依存していた。
【0012】
ParkとRheeは、セミバッチ共重合を制御するための学習ベースの非線形モデル予測制御(NLMPC)を使用した(非特許文献60:“Control of copolymer properties in a semibatch methyl methacrylate/methyl acrylate copolymerization reactor by using a learning-based nonlinear model predictive controller” Park, M.-J., and Rhee, H.-K.; Ind. Eng. Chem. Res.; Vol. 43(11); pp. 2736-2746; 2004参照)。その目的は、以前のバッチデータに基づいた非線形モデルを線形化することである。ここにおいて、予測は、2つの連続するバッチ間のインプットの増分の関数である。オンライン濃度計により転化率が得られ、粘度計により分子量が計算される。これらの測定された特性はフィードバックされ、推定および最適化手順を使用して、必要な供給量が得られた。シミュレーションは成功し、メタクリレート/メチル アクリレート共重合について実験的に検証された。このシステムは、いかなる反応に対しても妨害を示さなかった。著者らが報告しているように、一般的には、制御をよりよくするために外乱モデルが使用されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ポリマー反応およびプロセスをほぼリアルタイムで監視するために、過去17年間にわたって重合反応の自動連続オンラインモニタリング(ACOMP)のためのシステムおよび方法が開発されている。非常に広い範囲の重合反応、反応器およびプロセスが、ACOMPの方法およびシステムで首尾よく監視されている。本開示の主題が適用され得るこのような成功したモニタリングシナリオのリストには、これに限定されるものではないが、フリーラジカルのホモおよび共重合、制御されたフリーラジカル反応が含まれる。後者には、これに限定されるものではないが、開環メタセシス重合(ROMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトリキシド媒介重合(NMP)、可逆的付加フラグメンテーション連鎖移動重合(RARP)、リビングタイプの反応、重縮合および他のステップ成長反応、2つ以上の共重合体を含む反応、分枝及び架橋反応、後重合による重合体修飾、並びに加水分解、酸化及びスルホン化などの機能化、天然物の誘導体化、および廃水モニタリング、バルクでの反応、溶媒および不均一相における反応(例えば、これらに限定されないが、エマルジョン、ミニエマルション、逆エマルション、ミセル、および分散、高粘度および高温反応、加圧反応)などがある。 ACOMPシステムおよび本明細書に開示される主題が適用され得るポリマーの種類の例には、以下の化学および誘導体が含まれるが、これらに限定されない:ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリレート、メタクリレート、エタクリレートなど、ポリ(スチレン)、ポリカーボネート、ポリ(ビニルアルコール)、ウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンなどのホモポリマーおよびコポリマー)、ポリスルホン、ポリエステル、ポリアミン、ポリ塩化ビニル並びにグアー、キサンタン、アラビアゴム、アルギン酸塩、シゾフィランなどの天然物、更には酵素を含むタンパク質、ならびにコラーゲン、アクチン、およびミオシンなどの構造タンパク質が挙げられる。
【0015】
現在開示されている主題の特に重要な適用分野は、「スマートポリマー」とも呼ばれる刺激応答性ポリマーの成長分野である。スマートポリマーは、熱、光および他の放射線、圧力、ならびにpH、イオン強度、特定のイオンおよび他の分子の存在、コロイドまたはポリマーなどの溶液条件などの刺激に応答するポリマーである。刺激に対する例示的な応答は、ミセル化、乳化、相変化、コンフォメーション変化、自己回復、導体から半導体への遷移、および刺激に対する他の同様の応答であり得るが、これらに限定されない。スマートポリマーは目的にあった方法で薬物を捕捉および放出するために使用することができる。これはまた、他の医薬品やナノ医薬品の用途や、刺激応答性のコーティングの形成、または当業者が想定できるその他適切な用途に使用できる。刺激応答性のコーティングはガラス、光学、電子機器、光電子、海洋用途、油の封入に適用できる。開発されているスマートポリマーおよびオリゴマーのタイプには次のものが含まれる。即ち、デンドリマー、スターポリマー、高度に網目状および超分岐ポリマー、キャビタンド、非共有結合ポリマー、コポリマーおよびブロックコポリマー、ポリマー、コポリマーまたはナノ粒子、ポリマー、コポリマーがグラフトされるブロックコポリマーである。更には、生物学的ポリマーまたはナノコンポジットに結合したブロックコポリマー等である。このような刺激応答ポリマーおよびオリゴマーに使用される重合プロセスは、従来のポリマーに比べてしばしば非常に複雑である。現在開示されている発明の対象は刺激応答性ポリマーの合成プロセスのアクティブコントロールに使用でき、その結果、重合反応の工業的規模へのスケールアップを可能にする。21世紀以降の新素材の多くは、刺激応答性ポリマーを使用し、このポリマーは広大な世界のポリマー製造業界のシェアを獲得することが想定される。
【0016】
ACOMP法およびそのシステムを用いた反応制御の第一段階が、Kreft and Reedによって次の文献において提案された。“Predictive control and verification of conversion kinetics and polymer molecular weight in semi-batch free radical homopolymer reactions” European Polymer J., Vol. 45, pp. 2288-2303, 2009, and “Predictive control of average composition and molecular weight distributions in semi-batch free radical copolymerization reactions”, Macromolecules, Vol. 42, pp. 5558-5565, 2009, この文献の内容をこの明細書の開示に取り込む。第一に、ACOMP法およびそのシステムを用いて、バッチ反応速度およびコモノマー反応比などのポリマー反応の動力学的パラメーターを決定した。次に、特定の試薬が反応器に供給されたときに生じるであろう反応軌道を予測するために、支配的な連立方程式を解いた。反応へ試剤を連続的にまたは実質的に連続的に加えるプロセスは、しばしば「セミバッチ」または「半連続的」操作と呼ばれる。 Kreft and Reedによる研究において、反応器へ開始剤を異なる流速および流通時間で投入することにより、反応速度の予測可能な軌道を得られることが最初に実証された。これらの温度やその他のプロセス変数の変化の詳細は、通常、化学工学の分野では「ポリシー(policies)」と呼ばれている。例えば、フリーラジカル重合では、理論上及び実験的に、流量が時間的に直線的に増加するように開始剤を反応器へ連続的に流すと、以下のような形式のガウス変換曲線を生じる:
【数1】
ここで、[m](t)は、反応が開始した後の任意の時間tにおける反応器内に残っているモノマーの濃度であり、k
pは連鎖成長速度定数であり、Fは開始剤分解効率であり、k
tはラジカル―ラジカル停止速度定数であり、k
dは開始剤の熱分解速度定数であり、 [I ']は、速度σ(cm
3 / s)で反応器に圧送される開始剤の供給容器内の濃度であり、[m]
0は反応容器内における初期モノマーの濃度であり、 V
0は反応器内の流体の初期容積である。
【0017】
KreftとReedの予測方法は受動的である。 推定された軌道が計算されるが、反応中に所望の軌道を維持するためのアクティブな制御または介入は行われない。分子量を受動的に制御するために、KreftおよびReedは、モノマーの反応器に対する流速を用い、モノマーからポリマーへの変換の反応速度を当該ポリマーのM
wが全反応を通じて一定となると予想されるようにバランスさせる。 フリーラジカル生成ポリマーの速度論的鎖長は、以下のように表される。
【数2】
【0018】
ここに、[R]はフリーラジカル濃度であり、k
3は連鎖移動剤が濃度[G]で存在するときの連鎖移動定数である。 KreftおよびReedは連鎖移動剤を使用せず、[R]がほぼ一定であるように非常にゆっくりと合成開始剤を使用したので、モノマーの適切な流速によって[m]を一定に保つことで一定の鎖長が予測される。
【0019】
式2を使用して、KreftおよびReedは、適切なモノマー流速によって反応器内の[m]を制御することによって予測分子量軌道を作成した。例えば、時間が経つにつれて[m]を増加させたとき、いわゆる「過剰(flooded)」な供給となり、分子量は実際に反応中に増加する。モノマー供給がされない場合、すなわちバッチ反応では、モノマーがポリマーに変換するにつれて必然的に[m]が減少するので、[R]がほぼ一定である場合にはバッチ反応で分子量が通常低下するか、 [m]よりもゆっくりと減少し、どちらも共通している。
【0020】
この最初の作業の後、KreftおよびReedは、2つのコモノマー(アクリルアミドおよびスチレンスルホネート)の異なる供給速度を使用することによって、コポリマー組成の予測制御を行った。この予想制御は2つのコモノマーの反応速度とそれらの個々のバッチ反応速度に基づき計算される。上記のような試剤の連続的な流れとは対照的に、重合反応プロセスの特性に対する試剤の離散的添加の効果も議論された。
【0021】
予測制御のためのACOMP法の上述の使用は、受動的反応制御のための新しい可能性を開拓したが、反応のアクティブフィードバック制御のためのこのようなシステムおよび方法の使用については詳しく述べられていない。
【0022】
この技術の目的は、ACOMP法およびそのシステムと組み合わせられたモデルフリーおよびモデル依存の方法を含む手動または自動方法のいずれかを使用して、重合反応の軌跡をアクティブに制御することにある。これにより最終製品の品質および特性を制御する。プロセス制御のために開発された経験的および化学的モデルの数多くのものとは異なり、この技術では、反応およびポリマー特性に関する連続的なACOMPデータを重合プロセス軌道に直接関連付けることによって、反応およびプロセス制御が行われる。ACOMP法またはこのシステムを用いた重合反応の手動によるアクティブ制御または自動的なアクティブ制御のいずれの前例もない。
【0023】
本開示全体を通じて適用されるいくつかの定義をここで提示する。
【0024】
本発明の文脈において、「プロセス特性」、「プロセス軌道」、「プロセス変数」、「プロセスパラメータ」、「制御」、「アクティブ制御」、「手動によるアクティブ制御」、「自動的なアクティブ制御」、「経験的」、「モデルに依存しない」および「モデルに依存する」という用語は頻繁に使用され、ここで定義される。
【0025】
「プロセス特性」とはプロセス容器中の試剤の瞬時濃度などの特性をいい、試剤にはモノマー、コモノマー、ポリマー、開始剤、分枝および架橋剤、触媒、などが含まれ(これに限定されるものではない)、またプロセスや反応の進行程度や完成度も指す。「プロセス特性」はまた重合依存特性も意味する。即ち、重量平均分子量Mwの平均、累積および瞬時値、還元及び固有粘度としてのηrおよび[η]、コポリマー組成および分子量分布の累積値(MWD)、MWDの多分散指数(polydispersity indices)、還元粘度または固有粘度分布、分岐および架橋指数を含む。このプロセスの究極の目標は、所望のまたは目標とされた「最終製品の特性」を作り出すことである。最終製品の特性は、上記の特性の全てに適用されるが、これに限定されない。本発明の文脈において、プロセス特性は、プロセス容器からの連続希釈されたサンプル流を測定する検出器によって得られる。これらの特性は、検出器から直接得ることができ、例えば、これに限定されるものではないが、連続またはデジタル出力電圧、散乱、吸収、圧力などに関する符号化されたデータであり、場合によっては、特性を得るため検出された情報はコンピューティングデバイスに送られて自動的にコンピュータ処理される。実施例では、限定するものではないが、光散乱強度検出を用いてポリマーのMwを得ている。この光散乱強度検出は、電磁波吸収(紫外、可視、赤外線、マイクロ波)、屈折率測定、導電率、および偏光測定(これに限定するものではないが)を介した濃度検出を伴っている。濃度検出器からのデータは差圧変換器または他の装置に送られる。これらの装置は、流動下の流体粘度を測定でき、その結果、ポリマーの還元粘度または固有粘度を得ることができる。
【0026】
「プロセス軌道(process trajectory)」は、プロセス特性の時間的進行過程(time course)である。例えば、限定するものではないが、Mw対時間のプロットは、プロセスのMwの軌道である。時間に対するモノマーまたはコモノマーの変換率のプロットも、プロセスの軌跡の例である。生成物の蓄積は一般にプロセスの時間経過とともに増加するので、時間の代わりに変換率の軌跡又は生成物の量を独立変数として使用することも可能である。そのような場合には、例えば、限定されないが、Mw対変換率、またはMw対生成物の量若しくは濃度をプロットすることが可能である。したがって、制御決定は、時間依存軌道だけでなく、変換率依存軌道、最終生成物濃度軌道などに基づいてもよい。
【0027】
「プロセス変数」は、反応の進行に影響を及ぼすことができる条件または反応物質である。プロセス「変数」には、これに限定されるものではないが、温度、圧力、攪拌のタイプおよび速度、並びにモノマー、コモノマー、開始剤、触媒、連鎖移動剤、架橋剤、分枝剤、緩和剤(quenching agent)、界面活性剤、塩、pH、イオン強度、クエンチング剤、コロイド成分、ガス、溶媒などの量及び濃度が挙げられる。 「プロセス変数」は、しばしば「プロセスパラメータ」と同義語として使用され、また、「制御変数」として使用されることもある。
【0028】
ここでの「制御」とは、プロセス変数(またはプロセスパラメータまたは制御変数)を変更することによって反応の軌道を変更することを意味する。これば、例えば、ポンプやガス流等を使って、これに限定されるものではないが、反応物質を反応器に導入すること、温度や圧力を変化させること、その他により行われる。
【0029】
「アクティブ制御」は、連続的な反応器の抽出および希釈に基づくモニタリングから得られた情報に基づいて、プロセス軌道およびプロセス特性の好ましい変化を引き起こすために、プロセス中にプロセスの制御変数を変更することを指す。
【0030】
「手動によるアクティブ制御」とは、意思決定者によってアクティブ制御を行うことを指す。この場合、ヒトは、プロセス特性情報をコンピュータ、グラフィカルユーザインタフェース、またはプロセス特性情報をヒトに送信することができる他のデバイスからプロセス特性情報を受信する。 「経験」、「直感」、「試行錯誤」、またはヒトによってなされた計算、コンピュータ若しくは他の装置によってヒトに提示される決定に基づいて、ヒトはアクティブ制御の決定をしてプロセス変数を変更する。ヒトは反応物質供給装置において、限定するものではないが、ポンプおよびガス流、温度、圧力および流量制御装置などを操作できる。起動は、コンピュータグラフィカルユーザインターフェース上の「ソフト」ノブまたはボタンを使って、またはコンソールに取り付けられたボタン、レバー若しくは他の操作装置によって行われるが、これに限定されない。加えて、ヒトは、手動バルブまたは反応プロセスへの材料の物理的挿入など(これに限定されるものではないが)、非コンピュータ化構成要素の直接的な手動調整を行うことができる。このモードでは、プロセス制御変数を変更する際の決定を導くためのデータや計算結果をヒトが入手できなかったりこれらを生成できないときに、モデルフリーの制御決定がなされる。
【0031】
「自動的なアクティブ制御」は、ヒトの判断およびヒトの動作とは独立して実行されるアクティブな制御を指す。この場合、プログラマブル論理コントローラ、マイクロコントローラ、分散制御システム、監視制御及びデータ収集(SCADA)又はコンピュータのような計算装置は、プロセス容器からの連続な、希釈されたサンプル流を測定する検出器によって得られたプロセス特性情報を受信する。自動コントローラは、いくつかの方法でプロセス変数を変更することができる。
【0032】
ここで「モデルフリー」または「モデル非依存」制御と同義に使用される「経験的制御」は、1つまたは複数のプロセス特性が定義された量、例えば数パーセト、所望の反応軌道から逸脱した場合に、プロセスへの制御介入を行う決定を行うコントローラを含む。制御介入を行う決定が下されると、ヒトまたは自動制御装置は、単純なルールを用いて、どのプロセス変数を変更すべきかまたはどれだけ変更すべきかを決定する。これは、動的なおよび/または物質収支、または他のタイプのモデルを必要とせず、したがってモデルフリー制御の別の例である。この場合、制御対象のプロセス変数を正しい方向に漸次変更できるようにする簡単なルールがプログラムされている。例えば、これに限定されるものではないが、反応が所望の軌道に追従するように加速されなければならない場合には、開始剤または触媒をより多く添加するかおよび/または温度を上昇させる(熱活性化プロセスの場合)。また、反応を減速する場合には(例えば、フリーラジカル反応に対する空気やキノン類)という緩衝材を導入することができる。軌道に従うためにMw又は、還元粘度若しくは固有粘度を増加させる場合、モノマー濃度は増加し、および/または温度が低下する可能性がある。 Mw又は還元粘度固有粘度を低下させる場合は、連鎖移動剤を添加し、より多くの開始剤を添加し、および/または温度を上昇させることができる。このような変化がもたらせるため、コントローラは既になされたプロセス変数の変化に起因するプロセス特性の予想される変化を推定し、その結果、変化を継続させるか、変化を止めるか、変化の方向を変えて進めるか、又は異なる変化を与えるかを、プロセスに対する影響度合いに応じて制御する。プロセス変数の変化が、一定期間にわたって反応軌道の所望のパーセンテージ変化を生成すると予想される場合、変化はコントローラによって測定され、次の決定がなされる。プロセス制御変数の変化に対する期待される変化のそのような推定は、反応速度論モデルに依存する必要はなく、純粋に経験的相関であってもよい。これは、モデルフリー制御のもう1つの例である。ヒトはそのような操作を監督し、必要に応じて自動アクティブ制御に介入する能力を有する。
【0033】
「モデル依存アクティブ制御」は、測定軌道の偏差の基準によってトリガされるプロセス変数の変化が、モデル依存計算に基づいて生じることを意味する。以下で説明するように、速度論的な、物質収支に関する、および他の物理的なパラメータが存在し、これらのパラメータとプロセス特性の時間変化とを関連付けられる式が存在する。プロセス変数を連続的に若しくは離散的に変化させたとき、プロセス変数や変化の速度がどの程度変化するか述べられる。使用されるモデルの深さと詳細には大きなバリエーションがある。多くの場合、簡素化された堅牢なモデルを使用して、必要なプロセス変数の変化を良好に推定する。これらの予想は、一旦適用されると、自動制御装置によって精査され、所望の軌道変更を引き起こすことを確実にする。そうでない場合、自動コントローラはプロセス変数の変化を再計算するか、または経験的モードを組み合わせて変更を行うことができる。後者の場合、自動制御は、「モデル依存型」および「モデル非依存型」制御のハイブリッドであり得る。
【0034】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、コロイドを意味することもできる。すなわち、ポリマーを生成するプロセスは、コロイドを生成するプロセスに対応し得る。用語「コロイド」はまた、エマルジョン、懸濁液、分散液、ナノ粒子、リポソーム、または他の同様のコロイド状物質を包含し得る。
【0035】
本開示の主題を適用することができる3つの主な反応器(リアクタ)の種類がある。 3つの主な反応器の種類は、バッチ式反応器、セミバッチ式反応器、および連続式反応器である。
【0036】
バッチ式反応器では、試剤は反応の最初に添加され、主要な制御変数は温度および緩和剤(例えばラジカル反応中の空気)である。これらの場合、反応の速度を上げたり遅くしたり、ポリマーMWDおよびコモノマー組成物を制御するために、温度または計量された緩和剤の量を変える。極端な場合には、緩和剤を用いて反応を完全に停止させることができる。場合によっては、圧力はバッチ式反応器の制御変数としても役立つことがある。
【0037】
セミバッチ反応器では、重合反応が進行するにつれて試剤が反応器に加えられる。本明細書で使用される「セミバッチ」は、離散的であれ連続的であれ、1つ以上のプロセス特性の変化を引き起こす反応中に任意の試剤の添加をすること指す。セミバッチ反応器は、通常、溶液相および不均一相反応に使用される。少なくとも1つの例では、本発明の主題が適用されるセミバッチ反応器は、乳化重合反応において使用することができる。試剤の添加の目的は、反応中のプロセス特性を調整し、制御することである。本開示の主題はセミバッチ反応器に特に有用である。なぜなら、連続的なモニタリングが、試剤の添加の効果を直ちに検出および定量化することができ、その後の試薬添加の基礎として役立つからである。セミバッチ式反応器では、プロセス制御変数として温度が変化させられる。セミバッチ反応器に頻繁に添加されるタイプの試剤として、開始剤、触媒、モノマー、ポリマー、連鎖移動剤、分岐剤、架橋剤、コロイド懸濁液用の流体、溶剤、ガス、およびフリーラジカル捕捉剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0038】
製造プロセスにおいて多段階を含むバッチ式およびセミバッチ式反応器の場合、本発明の主題は、次に続く段階への移行がいつ行われるかを制御するために使用することができる。例えば、限定するものではないが、ブロックコポリマーの製造における一般的なシナリオは、第1段階で反応を行い第1ブロックを生成し、次いで第2段階で第2モノマーに切り替えて、この第2モノマーが連続的に第1ブロックに重合して、ジブロックコポリマーを生成する。第3のモノマーへの切り替えが後の段階で行われる場合、トリブロックコポリマーが製造される。現在記載されている主題は、各段階でモノマーの消費および/またはMwまたは還元または固有の粘度を連続的に監視することにより、次のブロックに適用するモノマーを伴う反応を進めるべく制御決定を行うときに必要な情報を提供する。
【0039】
連続反応器では定常状態に達し、この定常状態では時間に対してMWDや固有粘度分布などのポリマーの定常特性が一定になる。定常状態では、ポリマーに対するモノマーの比は通常は一定であり、触媒、開始剤、および分枝剤などの他の試薬(これに限定されない)に対しても同じである。現在記載されている主題は定常状態での操作をより確実にできるものであり、これは、プロセス特性からのズレに応じて試剤の供給を修正することにより行われる。 例えばこのプロセス特性のズレとして、以下に限定されるものではないが、M
w、MWD、還元または固有の粘度、モノマーのレベル若しくはコモノマーの変換率におけるこれらの定常状態操作中の定常状態からのズレが挙げられる。さらに、本発明は、1つの定常状態から別の定常状態に変化するときに、より効率的に定常状態を確立するために使用することができる。ポリマー製造業界では、定常状態条件は通常、ある製品を生産し、別の定常状態への切り替えは、通常、別のタイプまたはグレードの製品への切り替えに対応する。このような切り替えは、通常数時間から数十時間かかる。次のプロセスの段階が準備されているときには、プロセス容器の内容物は、限定されるものではないが、ポンプによって他のプロセス容器へ移すことができる。次のプロセス段階が生じるポンプによって、他のプロセス容器に移されてもよい。
【0040】
重合反応プロセスをアクティブ制御するために使用される手順の説明は、以下に概説され、7つの工程を含むことができる。以下の手順は、バッチ式、セミバッチ式および連続式の反応器に適用されることに留意されたい。バッチ式反応器の場合、温度および緩和剤のみが主要なプロセス制御変数である。他の場合には、攪拌または撹拌速度が、追加のまたは独立したプロセス制御変数であり得る。セミバッチ式反応器では、試剤の添加がプロセス制御変数となり得、更には、温度、緩和剤、および撹拌または攪拌の速度もなり得る。重合反応プロセスをアクティブに制御する手順は、以下の通りでる:
【0041】
最初に、所望のポリマー生成物特性を得るために、それぞれの関連する重合プロセス特性についての反応およびプロセス軌道が確立される。この軌道の確立は各軌道の予備計算、軌道の非計算的推定によりなされ、更には、既知の、確立された手順の、「レシピ」の、類似の反応軌道の履歴知識による、または許容されるポリマー生成物を生じさせる反応の軌道の知識によりなされる。この工程では、所望の最終生成物を製造するのに必要な重合のプロセス工程に最終的に所望されるポリマー特性を関連付けるための多くのオフライン法が存在する。マスバランスと速度方程式は、速度論的連鎖長、連鎖移動反応、および他のプロセスの式とともに数値的に解かれてプロセス経路と最終製品を示す。重合プロセスにおける最終工程の所望のポリマー特性をプロセス工程に関連付けるための市販のソフトウェア製品もある。例えば、GPROMS(登録商標)(http://www.psenterprise.com/gproms.html)およびAspentech (http//aspentech.com/)である。
【0042】
定常状態の連続式反応器の場合、各プロセス特性の軌道は特に単純であり、すなわち、各特性は時間的に一定である(すなわち、時間に対して軌道は水平線である)。 1つの定常状態から別の定常状態への変化がある場合、各プロセス特性を第1定常状態から次の定常状態にする時間依存軌道が存在する。このような軌跡は、様々な計算方法によってオフラインで最適化され、1つの定常状態から別の定常状態に変化する際の時間および原料消費量において最も効率的な軌道を提供する。
【0043】
第2に、反応の各瞬間、または反応中の規定された間隔で、関連する反応およびプロセス特性が、ACOMP法を用いて測定される。当該関連する反応およびプロセス特性は、例えば、M
w、MWD、モノマー変換、瞬間平均コモノマー組成、固有粘度、およびモノマー中の数百または数百ppm以下の残留モノマーである。典型的なACOMPサンプリングレートは、通常、ポイントごとに連続的かつ微分可能であると考えられるほど滑らかなデータを生成する。連続型データを生成するために必要な実際のサンプリング速度は、観察対象変数における測定可能な差異の間に複数のサンプル点が存在することを必要とする。例えば、モノマーの分別転化率(fractional monomer conversion)は0〜1の範囲であり、その結果、例えば1,000ポイントが通常連続型データに提供される。 1000秒間持続する反応では、1Hzのサンプリングレートでこの分解能が得られる。サンプリングをどれくらい速く、遅くするかという基本的な制限はないが、サンプリングは通常、ミリ秒から1分あたりの範囲である。現在開示されている主題において、データは連続型である必要はなく、連続型データがしばしば好ましいことがあるが、断続的データも制御の目的で使用できることを強調することが重要である。
【0044】
第3に、反応およびプロセス特性の値は、確立された理想的な軌道(1つの重合プロセス特性を制御するもの)及び軌道群(1又はそれ以上の重合プロセス特性を制御する場合)に従って得られるべきものと比較される。
【0045】
第4に、理想的な軌道と実際のACOMP観察軌道との間に差異がある場合、手動または自動アプローチが利用されるかどうかに応じて、以下のステップが取られる。
i)モデルフリー、またはモデルに依存した、手動のアクティブなアプローチ。
現在の軌道を理想的な軌道または所望の軌道に近づけることが知られているプロセス変数の1つまたは複数の変更または増分が行われる。変更または増分は、経験的に(モデルフリー)またはモデルによって(モデルに依存して)行うことができる。プロセス変数の変更はヒトによるコントロールで行うことができ、このプロセス変数として、例えば、これに限定されるものではないが、処理容器内に試剤または他の化学成分を移したり、温度、撹拌または圧力を変化させることが挙げられる。
ii)モデルフリーの自動アプローチ。
現在の軌道または軌道を所望の軌道に近づけることが知られているプロセス変数の1つまたは複数の変化または増分が行われる。自動的に変更または増分される変更または増分の大きさは、及び変更若しくは増分の対象は、選択アルゴリズムに従って決定され、自動機構によって実行される。プロセス変数の変化は経験的自動コントローラで行うことができ、このプロセス変数として、例えば、これに限定されるものではないが、プロセス容器内に試剤または他の化学成分を移したり、温度、攪拌または圧力を変化させたりすることが挙げられる。
iii)モデルに依存した自動アプローチ。
反応の支配的方程式やポリマー特性を使用して計算装置によって分析計算が行われ、1つまたは複数の制御可能なプロセスパラメータに対してどのような変化(単数または複数)が行われなければならないかが決定され、現在の軌道と次の時間間隔にわたる理想的または所望の軌道との差が修正される。プロセスが分析的関数で既述されるとき、この計算は、数値的に、または解析的に実行される。必要なプロセスパラメータの変更の計算が行われると、1つまたは複数のプロセスパラメータの変更が自動化されたメカニズムによって実行される。変更は、プロセスコントローラでプロセス変数を変更することによって行うことができ、このプロセス変数として、これに限定されるものではないが、プロセス容器内に試剤または他の化学成分を移したり、温度、攪拌または圧力を変化させたりすることが挙げられる。
iv)手順は、i)〜iii)のいずれかが完了した後にステップ5に進む。
【0046】
第5に、軌道変化の効果が所定の時間間隔に渡って観測され、1つまたは複数のプロセス特性の変化が現在の軌道を理想的なそれに収束させているか否かを評価する。
【0047】
第6に、反応が理想的なまたは所望の軌道に近い状態になるように維持し、かつかつ反応が所望の完了状態に達するまで上記ステップ1〜5が繰り返される。その後、反応は終了する。
【0048】
最後に、手動によるか、経験的自動化によるか、またはモデル依存性計算アプローチによるかに関係なく、観測されかつ制御されたそれぞれの反応につき、反応経路、変更されたプロセス変数、および他の全ての関連するACOMPおよび反応パラメータが保存されて使用される。これによりインテリジェントな機械学習アルゴリズムが訓練される。このアルゴリズムは、以前に実行された反応または実質的に類似な反応のインテリジェントで最適化され、かつ自動化された制御を提供するシナリオやアプローチの組合せを、ひとりでに、使うことができる。
【0049】
上記手順において、プロセス変数の「変化」(例えば、添加された試剤の量、または温度または圧力)は、任意の大きさであり得るが、「増加」は、プロセス変数が確立されそしてそれが現在の値から増えるように変化していることを指す。増加は連続的であってもよい。例えば、試剤は、反応プロセス特性軌道で起こる変化に対応する時間にわたって連続的に流すことができ、または反応プロセス特性軌道で起こる変化に対応する時間にわたって連続的に温度を変化させることができる。あるいは、増加は離散的であってもよい。例えば、一定量の試剤を短時間に若しくは迅速に反応器へ添加することができる。例えば反応器に試薬を迅速に注入することなどによる。
【0050】
図1および2は2つの異なるフリーラジカル重合反応プロセス特性に関するACOMP法による反応軌道の例を示す。ここに当該特性はモノマーの転化率(反応器中のモノマーの残留ppm、
図1)および高度に希釈した溶液粘度(
図2)である。
図2は、反応器または希釈されていないポリマー溶液のバルク粘度よりもむしろ、ポリマー自体の固有の流体力学的粘度特性を反映している。実際の固有粘度は、非常に低いポリマー濃度および低いせん断速度での還元粘度(ηr)に等しい。各瞬間に、ACOMPモニタリングは、以下の式に従って両方の曲線からのデータを組み合わせることにより、ηrを生じる。
【数3】
ここで、η(t)は、各時点tでのACOMPによって測定された高度に希釈された粘度であり、η
solvnetはポリマーを運ぶ溶媒の粘度であり、C
pは
図1の変換および希釈係数(
図2)から得られる高度に希薄な流れにおけるポリマーの濃度である。一般に、η
solvnetは、反応を開始する前の溶媒流で測定される。これらの特定のデータでは、すべてのモノマーがポリマーに変換されたときを反応の終了として、C
pは0(t = 0)から2.6x10
4 g / cm
3まで変化した。
【0051】
図1および
図2において、太い黒データ曲線110および210は理想的な軌跡であり、他の番号なしの曲線は個々の別々の反応の曲線である。これらの反応がモニターされている間、アクティブまたは受動的な制御はなかった。開始剤は、これらの反応において、確立された手順に従って反応器に流入し、その他に入れることはなかった。この手順は、高濃度の液体リザーバから開始剤を反応容器に低速度で圧送することを含んでいた。本開示の主題は、関連する重合プロセス特性の理想的な軌道を知ることで個々の反応をアクティブに制御することを可能にする、つまり、手動的に又は自動的にプロセス制御変数を調整して反応中の軌跡をできる限り理想的なそれに近づける。かつプロセス制御変数を手動または自動的に調整することによって個々の反応をアクティブに制御することを可能にする。例えば、変換に関して、変換速度が所望よりも速い場合、開始剤の供給速度を低下させることができる。供給速度を減少させると、ACOMPモニタリングは、反応中の軌道が理想的な軌道に対してどのようにシフトするかを示す。あるいは、変換が遅すぎる場合には、開始剤供給速度を増加させることができる。
【0052】
図1および
図2はまた、理想的なまたは所望の反応軌道110,210を達成するために上記のステップ1〜7を適用することができる例を示す。この例は、反応を制御する便利な手段がデジタルまたはグラフィックに基づくことができることを示す。すなわち、各重合反応プロセス特性に対する所望の反応軌道は、反応が「駆動」される理想的な軌道として示される。これにより、オペレータは、重合反応プロセス制御変数を変更または増分することによって、反応を理想軌道にできるだけ近づけることができる。理想的な軌道からの許容可能なずれのマージンも確立され、オペレータは前記マージン内で反応を駆動することができる。
図1および
図2において、斜線領域120,220は、使用される可能性のあるマージンのタイプの例である。どちらの軌道でも、全てがマージン内にある反応、全てが外側にある反応、一部がマージンの内側にあり他の部分が外側にある反応があることがわかる。上記のグラフィカルなアプローチはオプションである。あるいは、重合反応プロセス特性のアナログ的なまたは数的な値をオペレータに表示してもよい、表示を受けたオペレータは、観測された数値を理想的な反応軌道に対応する数値と比較して現在の反応軌道を制御できる。数値幅を理想的な反応軌道との許容可能な偏差に対応させてもよい。自動制御の場合、測定ベースのコントローラおよびフィードバックアクチュエータは、グラフィカルデータを必要とせず、完全にアナログまたは数値的に動作することができる。
反応軌道の表現とその制御
【0053】
以下の説明は、本開示の主題がどのような可能なモードでどのように使用され得るかを示す。可能なモードにはマニュアルアクティブ、経験的自動、およびモデルに依存するマニュアルまたは自動がある。以下の説明は、自動モードと手動のアクティブモードの両方を扱う。例えば、下記の式は、重合反応プロセス特性を所望の方向に駆動するためにプロセス制御変数をどのように変更しなければならないかを示すことができる。これは、アクティブな制御を実行する手動オペレータにとって即座に使用できる。次のレベルでは、必要または所望であれば、下記式は、重合反応プロセス特性を所望の量だけ変化させるためにプロセス制御変数をどれだけ変化させなければならないかについての定量的な見積もりも提供することができる。このような見積もりは、マニュアルのアクティブおよび経験的自動モードを導くことができ、モデル依存モードの基礎を提供することができる。
【0054】
制御パラダイムを表す簡便な方法は、ポリマーまたは重合反応プロセスの特性P(M
w、MWD、η
r、平均または瞬時コポリマー組成、組成ドリフト、多分散指数、残留モノマー、分岐度、架橋度、高分子電解質応答性、高分子刺激応答性等の重合反応過程の特性)を考慮することである。 P(t)は、時間に依存する関数であり、Pの時間に依存する軌跡を表す。P(t)は時間に加えて他のプロセス制御変数、N変数x1、x2 ... xNにも依存する。 P = P(t; x1、x2 ... xN)ここで、N≧1のとき、任意のプロセス制御変数に対するPの変化は次の全微分であらわされる。
【数4】
【0055】
上述のように、ACOMPアクティブ制御の目標は、任意の所望の軌道P(t)を達成することである。 xiは温度に依存することに注意することが重要です。例えば、xiが熱開始剤(例えば有機及び無機過酸化物、アゾ-開始剤、バソ-開始剤、過硫酸塩など)によって提供されるフリーラジカルの濃度である場合、これは反応容器内の所与のタイプの開始剤の濃度だけでなくの温度(T)にも依存する。
【0056】
式4のPの変化はPの勾配に関して考慮すると都合がよい。Pの勾配は変数x1、x2、...、xNによってスパンされ、単位ベクトルx
1^,x
2^, … ,x
N^を伴うN次元直交空間において計算され、次の方程式であらわされる:
【数5】
【0057】
変化dPは、以下のように表される。
【数6】
【0058】
ここで、dS
→は反応軌道制御増分(またはプロセス制御増分)であり、それぞれ以下のように表される。
【数7】
【0059】
したがって、この表現は、特性Pを制御する「自然な」変数を▽Pによって表現することができる。1つまたは複数の変数を増分することによって、反応軌道制御増分ds
→.‥ds
→に関してアクティブな介入を可能にする。上記のステップ4)でds
→の選択が行われ、手動コントローラまたは自動化メカニズムがds
→を反応に適用します。
【0060】
また、ds
→.やdx
i.は数学的には極微量であるため、開示される主題の現実世界での適用において、プロセス制御変数は、極微量ではなく、有限量で増分されるようにすることが重要である。したがって、式7aは極微量増分dxiから有限増分(プロセス変数の離散的な加算または変化によるか、または経過によるフローまたは段階的な温度変化によるかにかかわらず) に拡張でき、その結果、制御変数Δx
iの増分によって引き起こされる離散的な反応軌道制御増分ΔS
→を達成する。この離散的な反応軌道制御増分ΔS
→は、以下の式で定義される。
【数8】
【0061】
プロセス制御変数の変化がフローによって行われる場合、有限時間間隔にわたって生成されるΔx
iによる有限変化ΔS
→.を得るために、計算の目的で、時間の経過とともに微小量dxiを積分することは、依然として可能である。 t1からt2のように、
【数9】
【0062】
重合反応プロセスの特徴の一例は反応速度である。フリーラジカル反応では、反応速度(Ra)は以下の式で与えられる。
【数10】
【0063】
例えば、[m]または[R]の倍増がRaを2倍にすることが直ちに分かる。この場合、Δ[m] = 2 [m]
0- [m]
0 = [m]
0であり、[m]
0は増分Δmを加える前のモノマー濃度である。Δ [R] = [R]
0について同じであり、[R]の変化を介して2倍速になる。
【0064】
形式化の観点からは
【数11】
式6によれば、与えられたdS
→に対して生じるRaの変化は次のようになる。
【数12】
【0065】
[R]とkpの両方が温度に依存するので、Tは、以下のようにプロセス制御変数として加えられる。
【数13】
【0066】
この場合の完全なプロセス制御増分は、以下のように定義される。
【数14】
ここに、反応器へのモノマーの流れがあれば、d [m]はモノマーd [m]を徐々に若しくは時間間隔を超えて添加することによって制御することができ、[R]は開始剤I
2を反応器に添加することによって制御され、これは次のようにラジカルRに分解する。
【数15】
【0067】
式13において、開始熱分解速度であるk
dは、熱開始剤の温度に対して指数関数的に敏感であり、これは周知であり、自由に得ることができる(k
d = ae
-bT、aはk
dの単位を有する定数であり、 bは、逆温度の単位を有する所与の開始剤についての定数である)。式13のk
iは温度にも敏感であるが、一般的にはk
dより実質的に感度が低い。伝搬速度(k
p)は、温度にも敏感である可能性があるが、一般にk
dよりもTの変化に対して実質的に敏感ではない。例えば、k
pを変化させることができる反応器の液体粘度はTとともに変化する。k
pの温度依存性は、しばしば、実験データ源または計算データ源から一般に入手可能である。
【0068】
式11は式12におけるdS
→.の形式に関する決定を可能にし、d [m]、dTおよび他の変数の実際の増分は実際の考慮事項(例えば、どの増分が最も簡単に変えられるか)に基づいて決定することができる。更には、変数の変化が他の重合反応プロセスの特性にどの程度影響するかどうかによっても決定される。例えば、[R]の増加は、反応速度の増加をもたらし、生成されたポリマー鎖の分子量も増加させる。
【0069】
後者に関しては、重合反応プロセス特性のもう1つの良好な非限定的な例は、分子量の瞬時値を支配する動的鎖長である。一定温度Tにおいて、以下のように表される。
【数16】
そして
【数17】
ここに、dS
→.は[m]、[R]および[G]の増分によって最も直接的に制御される。所定の反応条件下での速度定数は、通常変化しない。しかし、通常は[R]と時には[G]と同様に、温度Tに通常は敏感であるため、dS
→.は次の式で表されるTの変化を含めて既述できる。
【数18】
【0070】
式16は、速度定数の温度依存性が知られている場合に有用であり、速度定数の温度依存性の例として、k
d、開始剤の分解速度定数がある(これは通常よく知られており、書籍、論文及びインターネットにおいて表や図表として一般的に入手できる)
【0071】
鎖長の増分変化は、次の式によって与えられる。
【数19】
【0072】
式17は、鎖長の分数変化に関して以下のように書き直すことができる。
【数20】
【0073】
式18は、鎖長の正の増分が[m]の増分の増加によって達成され得、鎖長の部分的増加がモノマー濃度の部分的変化に等しいことを示す。より短い鎖を生成するために、鎖長の負の増加は、[R]および/または連鎖移動剤濃度[G]の漸進的変化によって達成することができる。 式18からわかるように、Tを変化させる効果は、最大5つのパラメータがTで変化する可能性があるため、潜在的に複雑であり、鎖長に対する正味の効果は正または負であり得る。
【0074】
プロセス制御変数に対する増分変化または経時変化が行われる場合、重合反応プロセス特性への影響は、通常「即時」である。すなわち、完全な変化が起こり(例えば、試剤の特別な増加すること、温度が変化し、安定化され、攪拌または攪拌速度が変化するなど)さらにそれがリアクタ全体に及びこととなると、支配方程式の影響を受ける変数は対応して変化する。例えば、上述のように、[m]の量が2倍になると、式8は、[m]の倍増が起こるとすぐにRaが2倍になると予測する。
【0075】
支配方程式への変更の非限定的な例は、Albらによるデータから抽出することができる。
「Simultaneous continuous, non-chromatographic monitoring and discrete chromatographic monitoring of polymerization reactions”, J. Appl. Polym. Sci., Vol. 13, pp. 190-198 (2009)」に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。 Alb et al。では、メタクリル酸メチルの単独重合を含むフリーラジカル反応を、ACOMPモニタリングの下で進行させた(
図3)。
図3に示すように、8,500秒で、別個の過剰量の開始剤(I
2)を反応に添加した。式8によって予測されるように、式13によって[R]の増加につながるI
2のこの加算はRaの増加において迅速に現れる、相対変換(ACOMPの連続検出についての光学屈折計により得られる)の傾きの増加として見られる。この開始剤のブーストは制御できず、反応を所望の変換軌道に追従させることも、定量的に予測される傾向を生じさせることも意味しなかった。このタイプの余分な開始剤の添加、開始剤ブーストは、反応をスピードアップし、反応の終わりにモノマーの残存量を減少させるために産業界で頻繁に使用されている。 ACOMPは2014年まで工業的に存在していないので、重合反応プロセスをアクティブに制御しかつ監視するために、本開示の主題を適用する機会は今までになかった。
【0076】
本発明は、反応またはプロセスの所望の反応軌道および/または所望の最終生成物を得るための反応またはプロセスのアクティブ制御を含む。反応またはプロセスの軌道の意図的な制御を伴わないとき、または反応またはプロセスの所望の最終生成物を意図的に得ようとしないときに生じたプロセス変数の変化による反応又はプロセスに生じる変化を監視することは本発明の主題ではない。
【0077】
漸増的または定期的に添加することができ、または反応器に流入可能で、プロセス制御のための変数として使える他の薬剤としては、これらに限定されるものではないが、
1)分子量を制御するためのモノマー(当業者は分子量の制御もまた固有粘度を大きく制御することができることを容易に理解することができる)。
2)ポリマー組成物およびそれに関連する最終生成物特性を制御するためのコモノマー;
3)連鎖を短縮し、MWDを制御するために一般的に使用される連鎖移動剤。
4)フリーラジカル開始剤は、熱分解制御下で、反応速度を制御し、MWDにも影響を及ぼす。
5)他の形態の開始剤、これらは次のように使用される、例えば制御された環化重合(CRP)において、例えば可逆的付加-断片化連鎖移動(RAFT)、ニトロキシド媒介ラジカル重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、開環メタシス重合(ROMP)、その他同様な重合技術において使用される。
6)熱分解に依存しない開始反応のためのレドックス結合試薬。
7)分枝剤、ポリマーの分枝および架橋を制御するためのものであって、MWDを変化させることができ、また、MWD及び[η]の分別制御につながる鎖構造を変化させることができる。
8)反応器溶液の相を乳化または反転させるための界面活性剤;
9)重合後の処理であって、例えば、ポリマー主鎖へのポリマーまたは他の材料のグラフト、PEG化、または一緒に反応するポリマーを含む化学組成の形成やブレンドなど。
10)溶媒ベースの反応中に使用されたのと同じタイプの溶媒、または初期溶媒からの異なる溶媒のいずれかの溶媒;そして
11)反応をパージまたは強化するために使用できるガス(例えば、パージのためのN
2)、または反応を遅くしたり止めたりするのに使用できるガス(例えば、空気またはO
2)。多くの場合、モノマー自体は特定の圧力および温度でガスとして存在する。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンおよび他のアルキレンは、特定の圧力および温度でガスとして存在することができる。
【0078】
反応器を制御するさらなる方法には、温度、圧力、光または他の放射線への暴露、または撹拌または混合の速度またはタイプの変更などのプロセス制御変数の変更、または他の当業者には明らか反応の条件変更を挙げられる。例えば、紫外線照射(UV)は、化学的開始の代わりに重合反応を開始するのに有用であることが示されており、本開示の主題はまた、UV照射量を制御することを通して反応の制御をすることを許容する。
【0079】
いくつかの実施形態では反応器が選択される。その反応器の容積は数ミリリットルから数十万リットルの範囲内とすることができる。そのような反応器は、ガラス、例えばアルミニウムなどの金属、例えばステンレス鋼などの合金、プラスチック、または任意の他の適切な反応器材料で作ることができる。反応器の形状は、円筒形、管状、箱形、または他の適切な形状であってもよく、1つまたは複数の部品で構成することができる。例えば、反応器は、取り外し可能な頂部または底部、フランジ、バルブなどを有することができる。反応器は、試剤または他の化学成分または重合反応生成物などの反応器内容物を連続的に抜き取ることができる手段を有さなければならない。反応器内容物を連続的に抜き取ることを可能にするこの手段は、例えば、再循環サンプリングループ、スリップストリーム、直接サンプリングポート、または反応器からの任意の他の適切な抽出手段であり得るが、これに限定されない。内部に流れがあり又は圧力がある反応器における抽出はバルブで行われる。このバルブは、球、バタフライ、セラミックディスク、チェック、チョーク、ダイヤフラム、ゲート、グローブ、アイソレーション、ナイフ、ニードル、ピンチ、ピストン、プラグ、減圧、サンプリングなどの要素を含むが、これらに限定されない。また、バルブは気体又は液体マスフローコントラーラや能動的な抽出装置を伴うことができる。この能動的抽出装置の例としてポンプが挙げられる。このポンプは、これに限られるものではないが、例えば、ロータリギア、ロータリーローブ、ロータリベーン、可撓性インペラー、単一または複数のピストン、遠心、蠕動、ローブ、スクリュー、進行中の空洞、根プランジャータイプ、ダイアフラム、ロープ、バルブレスタイプのポンプ、スロットタイプのポンプ等を備える。反応器は、上述したように、バッチ式、セミバッチ式(「半連続式」とも呼ばれる)、または連続式であってもよい。反応器からの流体の抽出速度は、典型的には、0.010ミリリットル/分から10ミリリットル/分までであるが、これに限定されない。
【0080】
次いで、試剤または他の化学成分または重合反応プロセス生成物のような、抽出された反応器内容物は、任意の程度まで希釈され得る。場合によっては、殆ど希釈しないか又は全く希釈しないことが好ましい。いくつかの実施形態では、反応器内での反応は水中で行われるが、反応の特性を測定することが望ましいことある。反応の特性として制御されたイオン強度下のポリマーの固有粘度が挙げられる。例えば高分子電解質はその固有粘度がイオン強度に対して非常に敏感である。そのような場合、0.010MのNaCl溶液が適切なイオン強度を提供することがあり得る。 NaClリザーバが4M NaCl溶液を含むとする。この場合、0.010MのNaCl流を得るには、連続抽出流にリザーバの400分の1の部分を加えればよい。この量の1.0025倍の希釈は、最終的な「希釈された」流れにおける反応器内容物の無視できる程度の変化のみを引き起こす。
【0081】
希釈自体は、ある種の希釈装置で行われる。これらには、高および低圧混合チャンバー、層状および乱流ミキサー、遠心および撹拌ミキサー、大気圧でのミキサーなどが含まれるが、これらに限定されない。混合チャンバーの容積は、流速および望ましい時間応答によって決定される。典型的な低容量の高圧混合チャンバーは、5マイクロリットル〜1ミリリットルの容量を有する。その他、混合チャンバーとして、100ミリリットルまでの容積を持つこともでき、場合によっては(非常に高い流量の場合)さらに大きな容積を持ちうる。希釈が要求されるのは、反応器からの連続的に抽出された流れの全部または一部を混合容器へ導入するためである。この導入は、典型的にはポンプを用いて金属または高分子配管を通して行われる。他方、所望の希釈溶媒の1つ以上の流れを混合チャンバへ同時に導入する。溶媒の導入も一般的にはポンプを使って行われるが、他の手段の使用も可能であり、例えば、重力または圧力で駆動される流れを用いることができ、この流れの制御は制御弁やアクティブ流量制御装置を用いる場合もそれらを用いない場合もある。混合は、乱流、羽根車付き撹拌機、撹拌棒との混合機、ロータまたは遠心ミキサーを用いて行われるが、これらに限定されない。部分的または最終的な調整(conditioning)もまた、混合チャンバ内で起こり得る。混合チャンバ内で起こり得る調整のいくつかの例として、これらに限定されるものではないが、下記がある。反応器及び/又は混合に由来する気泡の脱気、反応器から抽出された流れの中に含まれる溶媒(例えば、ヘキサンやイソオクタン)を蒸発すること、反応器から抽出された流れの中に含まれるモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン)を蒸発させることが挙げられる。これにより、反応器の内容物として含まれていた溶媒を新たな溶媒とすることができる。さらには、薬剤を希釈された流れの中に加える。この薬剤として界面活性剤があり、この界面活性剤により抽出された流れに含まれる成分が可溶化される。その結果、抽出された流れの相が変化させられる(例えば、ブレーカー活性剤により連続的な油相から連続的な水相に相変化する)。抽出された流れから塩を析出させることもできる。抽出された流れと異なる所望の希釈溶液を提供する。この希釈溶液は所望の溶媒、溶質の混合、塩、界面活性剤や分子プローブ(例えば、蛍光体やUV吸収剤)、ポリマー、コロイド等を含みうる。多重の混合チャンバーもまた使用でき、その場合、同じタイプの混合チャンバを多重にしてもよく、また、異なるタイプの混合チャンバを多重にしてもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、他の極端な場合には、分子量または固有粘度の測定のために、ポリスチレンまたはナイロンなどのバルクで製造されるポリマーを10
-4 g / cm
3に希釈することができる。この場合、希釈は約10,000倍である。
【0083】
「調整」という用語は抽出液に対して行われる任意の数のステップに適用でき、その抽出液は検出器ストリームにおけるその後の分析測定のために調製される。「調整」は必ずしも必要というわけではないが、頻繁に使用され、多くの様式をとることがでる。連続抽出、希釈、および調整の正味の効果は、1つまたは複数の検出器が連続的または断続的測定を行うことができる希薄ポリマー溶液を作成することである。連続測定の非限定的な例は、検出器が、それを通って流れる希釈され調整された流れに対して連続(例えば、アナログ)または迅速測定を行う場合である。「急速」とは、反応全体またはプロセスが発生する時間よりもはるかに短い時間間隔でデータポイントが集められることを意味する。例えば、1000秒間持続する反応の場合、「迅速な」サンプリングは毎秒、毎秒の10分の1または別の同様の間隔とすることができる。一般に、反応またはプロセスの間に検出器が作るデータ点の数は、約1000個であり得る。
【0084】
一方、断続的な測定は、反応またはプロセスの長さの間に比較的少数の点が作られるものであり得る。断続的な測定の例として、GPC、SEC、HPLCのようなクロマトグラフィー分離プロセスがある。または非クロマトグラフィー分離プロセスの例では、これに限定されるものではないが、連続した、希釈された、調整されたサンプル流の一部が時間の間隔をあけて分離装置に導入される。一つの例として、これに限定されるものではないが、分離分析を行うために5分を要するクロマトグラフィーカラムを備えたGPCシステムを挙げられる。この場合、1000秒間の反応またはプロセス中に3回の分析しか実施できないため、これらは「迅速」とはみなされない。「断続的」測定の大まかな定義は、反応またはプロセス中に行われる測定の数が100よりかなり少ないところである。
【0085】
断続的測定の別の例は、連続抽出および調整のプロセスが断続的に行われる場合である。そのような場合には、連続的で、希釈され、調整された流れと、対応する急速な又は間欠的な測定が一つの反応において2回以上のインターバルで実行される。限定するものではないが、反応またはプロセスが完了するまでに24時間かかることがある例がある。次の様な場合に典型的な断続的なサンプリングと言える。即ち、測定は30分ごとに行われ、反応またはプロセスの間に100データポイントよりかなり少ないデータが提供される場合である。 30分ごとに、連続的な抽出、希釈、および調整のためのシステムが使用され、連続的で、希釈され、調整された流れが生成され、この流れに対して1つまたは複数の検出器による測定が、上述のように、連続的に又は間欠的に行われる(例えばクロマトグラフィー分離を用いて)。
【0086】
いくつかの非限定的な例には、界面活性剤を使用して、界面活性剤を均質化するために逆エマルジョンの相を反転させることができる。エマルションを均質化するために、テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルホルムアミド(DMF)などの溶媒を使用することができる。反応器内の溶液中の塩を析出させるために溶媒を使用してもよい。反応器からの揮発性モノマーまたは溶媒成分は、例えば混合段階の前または間に熱を加えることによって揮発させることができ、希釈された流れを濾過してもよい。調整ステージを使用して、異なる濃度の試剤、他の化学成分または重合反応プロセス生成物などの調整された内容物を分離することができる。金属イオンを除去するために電極を使用してもよい。
【0087】
希釈された、場合によっては調整された流れは、その後、必要に応じて連続的または間欠的に測定され得る。この流れは、例えば、これに限定されないが、ポンプ、圧力駆動流れまたは他の流れを介して連続測定手段に導入される。この連続測定の手段はフローセルによる検出器の使用を含むことができる。かかる検出器として、マルチアングル静的光散乱、屈折計、粘度計、UV /可視吸収、蛍光、濁度、円偏光二色性、偏光計、または任意の他の適切な連続測定手段が挙げられる。これらによる測定値から、ときとして測定値の複合から、反応およびポリマーの特性を決定することができる。これらの特性には、反応速度、モノマーおよびコモノマーの変換効率、組成ドリフト、分子量、固有粘度、微粒子の存在などが含まれ得るが、これらに限定されない。組み合わされた測定の別の非限定的な例は、固有粘度の決定のための粘度測定を伴う濃度の検出である、断続的測定手段の非限定的な一つの例としてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)がある、これに対し、希釈され調整された流れを所望の間隔で自動的にまたは手動で注入できる。この流れとしてACOMPからの希釈液及び/又は調整された流れを用いることができる。所望の間隔は、例えば10分とすることができる。あるいは、所望の間隔は、1分、あるいは5分、あるいは15分、あるいは30分であってもよい。
【0088】
GPCは、全分子量分布(MWD)を測定することを可能にする。したがって、間欠的なGPCをACOMPストリームに組み込むことにより、反応軌道に沿って有用なチェックポイントを提供し、手動またはアクティブに細かい制御が可能になる場合がある。例えば、反応を追跡しながら積極的に制御している間、間欠的なGPCはMWDの形状および幅を示すことができる。これにより、MWDのある部分に幅を加えたり、分子量を増やしたりするなど、MWDの形状をさらに制御するための制御手段を取ることができる。
【0089】
ACOMP連続測定はMWDを直接供給しないが、重量平均分子量および重量平均還元粘度の瞬時値M
w,instおよびη
red,w,instが次の式に基づきそれぞれの瞬間に計算される。
【数21】
式中、C
pは反応中の任意の時点でのポリマーの濃度であり、M
wおよびη
redは反応中の任意の時点でのそれぞれ重量平均分子量および還元粘度の累積値である。希釈溶液中の低ポリマー濃度の限界において、重量平均還元粘度は、重量平均固有粘度[η]
wになる。分子量または還元された(または固有の)粘度に基づいて反応を制御する場合、瞬時値を用いてより高い分解能を得ることができる。さらに、短い間隔にわたってC
pの瞬時値を収集することによってMWDおよび/または還元粘度分布(RVD)を各瞬時に構築できる。ここに、C
pはMWDおよび/またはRVDのヒストグラムまたは他の所望の表現をもたらす。このように集められたMWDおよびRVDは、完全なGPC分離の解を提供しないが、それにもかかわらず、MWDおよびRVDの形状および幅のロバストな測定を提供する。したがって、これらの表現は、MWDおよびRVDの形状および幅を制御する際にGPCの代わりに使える。バッチ反応器の場合、式27は次のように書くことができることに留意されたい。
【数22】
ここで、fはフラクショナルコンバ―ションである。
【0090】
反応およびポリマー特性および特徴の計算を含むこの時点までの操作は、上記のACOMP方法の実施形態のいずれかによって達成することができる。
【0091】
バッチおよびセミバッチ反応器の場合、この技術は、重合反応プロセスをアクティブに制御するために使用された上記手順からここに概説される一連の工程を追加する。反応が始まる前に、所望の生成物を生成するために、どの反応軌道または軌道群に従うかが決定される。これは、限定するものではないが、以下のいずれを正しい時間に用いるべきかの決定を伴う。それは、モノマーの転化率、反応速度、共重合反応におけるコモノマーの転化率、重量平均分子量M
w、MWD、固有粘度、分枝、コポリマーの組成、または反応の終わりに残っている残留モノマーである。
【0092】
理想的なまたは所望の反応軌道に対応する予備軌道計画は、プロセス変数の近似値を用いて、または公表されたまたは工業的手順などの既知の手順に従って、またはオフライン予測モデルスキーム(例えば、GPROMS(登録商標)またはAspentechソフトウェアパッケージなど)によって定められる。あるいは、ACOMP法を用いた以前の重合反応プロセスからの十分な履歴データを用いて、履歴データベースからの理想的な軌跡に基づいて反応経路を決定することもできる。上記の手順の組み合わせ、すなわち、近似値、オフライン予測モデルおよび過去のACOMPデータを利用することができる。プロセス制御変数は、これに限定されるものではないが、薬剤の濃度を含む。この薬剤として、以下に限定されるものではないが、モノマー、コモノマー、開始剤、触媒、助触媒、阻害剤、連鎖移動剤、架橋剤、界面活性剤、コロイド懸濁液、塩、特殊なイオン、ラジカル消失剤、空気、特殊なガスなどを挙げられる。そして、温度、圧力、照射、機械的攪拌または攪拌、超音波の適用、または任意の他の同様のプロセス制御変数であって当業者が重合反応プロセスにおいて変化させようとするものも挙げられる。
【0093】
反応が進行するにつれて、1つまたは複数のプロセス制御変数を、モデルフリーまたはモデル依存のマニュアルアクティブまたはモデルフリーまたはモデル依存アクティブオートモードによってアクティブに変更することができる。現在記載されている主題は、上記のように、所与のプロセス変数の増加または減少が対象となる重合反応プロセス特性にどのように影響するかを決定する1つの非限定的な方法の概要を提供する。任意に、制御モードのいずれかについて、反応速度論および関連するポリマー特性の支配方程式を解いて、どのプロセス制御変数の増分が適用できるかをもとめ、現在の軌道を修正し、それを理想的なまたは所望の軌道に向かって移動させる。非限定的な例として、反応を通して分子量を一定に保つことが望ましい場合がある(M
w(t)=一定)。これは、反応器中へのモノマーのセミバッチ供給によって、または場合によっては連鎖移動剤の使用によって達成することができる。反応が進行するにつれて、M
w(t)がその所望の値から特定の量だけ逸脱すると、既述のモード(モデルフリーまたはモデル依存手動操作モード、またはモデルフリーまたはモデル依存自動モード)が M
w(t)を一定値に調整するために使用される。指定された偏差は、例えば最大5%であり得る。あるいは、指定された偏差は、0.1%以下、あるいは1%以下、あるいは2.5%以下、あるいは10%以下であってもよい。任意に、M
w(t)をその一定値に近づけるために、モノマーの流速をどのように変化させるべきかについての計算を行うことができる。バッチ反応の場合には、必要な連鎖移動剤の量を計算し、離散的に変化させて、M
w(t)を一定値に近づけることができる。
【0094】
別の例では、所望の分子量分布(MWD)を生成するために時間の経過とともにM
w(t)を変化させることが望ましい場合がある。いくつかのポリマーでは、有意な多分散性を有することが望ましい。すなわち、いくつかのポリマーは、押出および加工性、または機械的特性などの特性に好都合に影響し得る分子量の範囲を示すことが望ましい。場合によっては、バイモーダルまたはマルチモーダルのMWDが望ましい。どのMWDが望まれようとも、反応が始まる前に、軌道M
w(t)が計算される。計算されたM
w(t)軌跡は所望のMWDを生じ、Mw(t)軌道を達成するための近似スキームを確立することができる。これにより、モノマーおよび/または開始剤の時間依存流速を制御する。反応が進むにつれて、Mw(t)軌道から指定量を超える偏差があるときはいつでも、既述のモード(モデルフリーまたはモデル依存アクティブマニュアルモード、またはモデル依存アクティブ自動モード)のいずれかがその理想的な軌道または所望の軌道に向けてM
w(t)を調整するために使用される。指定された偏差は、例えば最大5%であり得る。あるいは、指定された偏差は、0.1%以下、あるいは1%以下、あるいは2.5%以下、あるいは10%以下であってもよい。モデル依存モードでは、目標軌道に向かって軌道を変更するためにプロセス変数のどの増分が必要であるかを決定する計算が行われる。
【0095】
別の非限定的な例は、コポリマー組成物の制御であり得る。コポリマーは、2つ以上の化学的に異なるモノマー種からなる。化学的に異なるモノマー種は、しばしば異なる速度で互いに反応する。この場合、固定コポリマー組成物を有する鎖を製造することが望ましく、対照的に、広い組成分布またはマルチモーダル組成分布などの組成分布が望ましいことがあり得る。この場合、所望の組成分布を達成するために各コモノマーの濃度の軌道が決定される。反応が開始すると、ある量を超える組成の偏差がある場合、前述の3つのモード(マニュアルアクティブ、経験的自動、および分析自動)のいずれかを使用して、現在の濃度軌道を理想または所望の濃度軌道に戻す。指定された偏差は、例えば最大5%であり得る。あるいは、指定された偏差は、0.1%以下、あるいは1%以下、あるいは2.5%以下、あるいは10%以下であってもよい。選択的に、支配方程式が解かれて1以上のプロセス制御変数、例えば反応器への各コモノマーの流速、の増分を決定する。これは、3つのモードの何れかの実施により、各モノマーの現在の濃度軌道をその望ましく、理想の軌道へ戻すために要求さる。
【0096】
個人または製造業者が頻繁に同じ製品を製造する場合、アクティブ制御の3つのモードのいずれかを適用することによって得られた知識は、所望の軌道からの反応の偏差に応じてプロセス変数を変化させるための一定のパターンおよび「規則」をもたらすことが期待される。この場合、アクティブ制御は、データベースベースまたは「歴史的」根拠の制御を使用することができ、これらの後者の方法は、元のモデル依存のアクティブ制御から得られた学習を利用する。多くの状況において、3つのモードのいずれかにおけるアクティブ制御の実施は、データベースまたは歴史的根拠の制御を開発する目的を有し得、そしてそれは本発明の製品と考えられる。履歴制御データのこのマイニングは、前述したように、機械学習アルゴリズムによって自動的に行われ、新しい制御形式が実装される。実装において、新しい制御設定として履歴データベースからの長期間の最適化された制御データが用いられる。この新しい制御設定は、ACOMPデータを所定の反応の制御の基礎として利用する。
【0097】
アクティブ制御は、制御装置を用いて達成することができる。制御装置は、いくつかの実施形態を有することができる。制御装置は、監視システムによってもたらされるプロセス特性の進行に関する連続的なデータを使用して、手動または自動のいずれかの制御決定を行うことを可能にする。制御装置は入力を受け付け、どのプロセス変数がどれだけ変化するかについての決定を行うことができる。プロセス特性には、モノマー転化率、モノマー、コモノマーおよびポリマー濃度、重量平均分子量、分子量分布、還元または固有粘度、還元または固有粘度分布、温度および圧力が含まれ得るが、これらに限定されない。任意のプロセスパラメータをどのように変化させるか、どれだけ多くのプロセスパラメータを変化させるかについての決定はアクティブにまた手動的に行われる。オペレータは手動制御を用い、これらのパラメータの経験的調整によりアクティブかつ自動的におこなわれ、または分析的に、計算によれば変化させるべきパラメータの適用すべき適切な増分がえられる。決定に基づいて、コントローラはプロセスパラメータを変更することができる。ポンプなどの輸送装置を使用して、制御可能な量の試剤、溶媒および他の物質を反応器に輸送することができ、温度制御器は温度を変えることができ、ガス供給は、反応を加速、減速または安定化させ、それら自体モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン)である。
【0098】
図4は、例示的な重合反応プロセス制御システム400を示す模式図である。制御システム400は、ACOMP反応器制御インターフェース401およびACOMP分析制御インターフェース402を含む。少なくとも1つの実施形態では、ACOMP反応器制御インターフェース401およびACOMP分析制御インターフェース402は、コンピューティングデバイス(図示せず)に結合されたプログラマブルロジックコントローラ(PLC)制御システム(図示せず)によって制御される。 PLC制御システムは、例えば、Allen Bradley / Rockwell ControlLogix PLC制御システム(Rockwell Automation、Inc.、Milwaukee、WI、USA)とすることができる。コンピューティングデバイスは、デスクトップまたはラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット、または他の同様のデバイスであってもよい。コンピューティングデバイスは、プロセス制御変数および制御システム400のコンポーネントの視覚化および制御を可能にすることができる。
【0099】
ACOMP反応器制御インターフェース401は、制御システム400の様々な構成要素を制御することができる。1つのコンポーネントは、リアクタ410である。リアクタ410は、1.5Lm 316Lステンレス鋼ジャケット付きリアクタとすることができ、6ポートのボルト・オン・リッドを有し、このリッド(蓋)は取り付けたものにモノマー、開始剤または連鎖移動剤のようなプロセス供給材料の供給を可能とする。リアクタの内容物の温度を正確に監視し制御することができるように、水中ステンレス鋼温度プローブ(図示せず)をリアクタの蓋の上部を通して取り付けることができる。このリアクタの蓋はミキサ440を取付けることができる。ミキサ440はリアクタ410の外側に配置される。このミキサ440として、例えば、IKAユーロスターオーバーヘッドミキサー(IKA(登録商標)Works、Inc.、Wilmingtion、NC、USA)を用いることができきる。
【0100】
羽根車連結器(図示せず)をミキサー440に取り付けることができる。羽根車連結器は、例えば、Buchi Glass Mag Drive impeller coupling(BuchiAG、Uster、Switzerland)であり得る。羽根車連結器は、リアクタ410内において、4ブレードステンレススチール羽根車を連結することができ、リアクタ内の撹拌を行う。
【0101】
フローコントローラー420,422は、リアクタ410へのガスを加えることのために使用することができる。フローコントローラー420,242を介して加えられるガスは、例えば、窒素、酸素または空気であり得る。フローコントローラ420,422は、例えば、MKS Gas Flow Controllers(MKS Instruments、Inc、Andover、MA、USA)であり得る。各フローコントローラ420,422は、調整されたガスシリンダに結合されたインレット(図示せず)を有することができる。各フローコントローラ420,422は、100ポンド/平方インチ(PSI)の入口圧力の定格を有するものとすることができる。各フローコントローラ420,422は、リアクターの蓋に接続されたアウトレット(図示せず)を有することができる。ガスは、ディップチューブ(図示せず)によって入口を通ってリアクタ410内に精確に供給できる。ガスは、約20sccm〜約1000sccmの範囲の速度でリアクタ410に供給される。
【0102】
ポンプ430、430及び434は溶液や液体をリアクタ410へ加えることに使われる。この溶液または液体として、例えば、1つまたは複数のモノマー、1つまたは複数の開始剤、連鎖移動剤、溶媒、コロイド懸濁液のための流体、または重合反応プロセスに使用するための他の適切な溶液もしくは液体を挙げられる。ポンプ430,432および434は、例えば、Fluid Metering Inc.(Syosset、NY、USA)によって提供されるような往復ピストンポンプとすることができる。ポンプ430,432および434は、リアクタ410に供給される溶液の体積流量を正確に制御することを可能にする。体積流量は、例えば、約0.1ml /分〜約20ml /分の速度とする。ポンプ430,432および434は可逆的であり、試剤または他の化学成分または重合反応生成物などの内容物をリアクタ410から抽出するためにも使用できる。
【0103】
リアクタ410およびそこに収容された内容物はまた、温度コントローラ438からの加熱または冷却に付され得る。温度コントローラ438は、リアクタ410に熱を伝達することができ、そこに含まれる内容物にはジャケット(図示せず)介して熱が伝達される。ジャケットはリアクタ410の1つ以上の外面に固定的にまたは着脱可能に取り付けられる。ジャケットは、温度制御循環浴(図示せず)に接続することができる。上述したように、水中温度プローブは、リアクタ410およびその中の内容物の所望の温度を正確に維持するフィードバックループを完成するために使用することができる。反応器ジャケットの入口温度および出口温度は熱電対(図示せず)によってそれぞれ監視され、熱量移動の計算に用いられる。
【0104】
リアクタ410はまた、リサイクルポンプ450と連結されている。リサイクルポンプは、ドレーンポート(図示せず)およびボールバルブ(図示せず)を介してリアクタ410の底部に連結される。リアクタの内容物は、リサイクルポンプ450を介して連続的に抽出され、リアクタの頂部に再循環される。リアクタの内容物は、例えば、1/6 "ODステンレス鋼管を含むリサイクルラインを通してポンプ輸送することができる。リアクタの内容物を20ml /分の速度でポンプ輸送することができる。あるいは、リアクタの内容物を、例えば5ml /分〜50ml /分、あるいは10ml /分〜40ml /分、あるいは15ml /分〜30ml /分の範囲の速度でポンプ輸送することができる。リサイクルラインに沿った抽出ポイントはリアクターの小さな流れをサンプリングするために使用でき、これにより、内容物が調整され、ACOMPシステムインターフェース402により分析測定される。リサイクルポンプ450は内歯車ポンプとすることができ、例えば、Zenith Pump(Colfax Corporation、アナポリスジャンクション、メリーランド州、米国)を使用できる。内歯車ポンプは、例えば、1回転につき0.1ccの変位を有することができる。リサイクルポンプ450は、硬化された工具鋼から製造され、1~2Mセンチポアズの粘度範囲に定格されることができる。
【0105】
抽出ポンプ460は、リサイクルポンプ450を介してACOMPシステムインターフェース402をリアクター制御インターフェース401に接続する。リサイクルポンプ450は、例えば、Fluid Metering Inc.(Syosset、NY、USA)によって提供されるような往復ピストンポンプであり得る。抽出ポンプ460の容積流量は、例えば、約0.2ml /分〜約2ml /分の流量であり得る。抽出ポンプ460は、正逆両方の方向にポンプすることができる。
【0106】
抽出されたリアクタの内容物は、溶媒源468からのクエンチング溶媒の流れと組み合わされる。抽出されたリアクタの内容物および溶剤は、例えば10/1の比率で混合することができる。クエンチング溶媒の目的は、重合反応プロセスの伝搬を停止させることである。抽出されたリアクタ内容物の濃度を低下させる混合及び希釈プロセスは単一分子固有の特性の測定を可能にする。いったんリアクタの内容物とクエンチング溶媒とが混合されると、その混合物は不活性なプロピレンチューブを介して動的な混合器470へ送られる。この混合チャンバ470は、リアクタの内容物および溶媒の2つの連続流を1つの均質な混合物に積極的に攪拌および混合するために使用することができる。混合チャンバ470の容積および混合/攪拌速度は、重合反応プロセスまたは対応する特性に従って予め決定されカスタマイズされるべきである。場合によっては、非常に高い反応器濃度の場合には、さらなる希釈のために追加の混合の必要性が存在し得る。そのような場合、追加の混合チャンバ(図示せず)と第2の溶媒源(図示せず)から供給される第2の溶媒が用いられて、リアクタの内容物の濃度を更に低下させ、一分子測定に適したものとする。
【0107】
均質溶液が混合チャンバを出た後、濾過システム472を通過させて粒子状物質またはゲル状物質を除去する。なお、これらはリアクタ410からその内容物とともに除去しておくこともできる。1つの非限定的な例において、濾過システム472は、40μmのステンレススチールメッシュフィルターである。濾過システム472のタイプは、決して限定されず、特定の重合反応プロセスまたはその特性に応じて変えることができる。
【0108】
次いで、濾過された均質溶液は1つ以上のインライン分析検出器474に流される。これらは「検出器列」と呼ぶことができる。一例では、検出器列は、UV /可視吸収分光計および温度制御された単一毛細管粘度計を含む。 UV /可視吸収分光計は、最大4つの独立した波長を連続的に監視することができ、例えば、Gilson、IncのUV / Visible吸収分光計など、50ml / minまでの流速に対応できる0.2cmの経路長のセルを有することができる。かかる吸光度計はGilson, Inc(ミドルトン、ウィスコンシン州、米国)から供給される。均質溶液のUV吸収は、例えば、リアクタ内容物中のモノマーの濃度と直接関係付けられる。また、重合中にモノマーが消費されるにつれ生成されるポリマーの濃度に関連付けることもできる。単一の毛細管粘度計は、溶液の安定した流れの粘度の増加または減少に起因して、毛管を横切る差圧の変化を監視するように設計されている。このように粘度に起因する圧力を測定することは、 UV / Vis検出器から決定された濃度と照らしあわされて、生成されるポリマーの固有粘度/還元粘度の絶対測定を可能にする。この単一の毛細管粘度計は、Advanced Polymer Monitoring Technologies Inc.により開発製造される。
【0109】
ACOMP分析制御インターフェース402によって処理される分析手順は、以下のプロセス特性を決定するための未処理UV / Vis吸収および粘度測定圧力の解釈を含む。そのプロセル特性には、モノマー濃度、ポリマー濃度、全プロセス転化率、固有/還元粘度がある。この解釈の自動化された方法はオンボード分析パッケージ476によって処理される。このパッケージ476はオートメーションおよび制御ソフトウェアとのインターフェースを介して手動操作トリガーに応答する。これらのトリガーは、分析ソフトウェアにカギとなる解析アルゴリズムを実行するように指示し、このアルゴリズムは重合反応プロセスにおける各ステップまたは相に適切である。
【0110】
プロセスコントローラ480は、ACOMP反応器制御インタフェース401およびACOMP分析制御インタフェース402に接続され、ユーザがACOMP反応器制御インタフェース401を使って作業をできるようにする。この作業は、重合化反応の進行に直接影響を及ぼし、ACOMP分析制御インターフェース402からのデータを表示する。
【0111】
図5は、重合反応プロセスのプロセス制御変数のアクティブな手動制御のための例示的なインターフェースの図である。例示的なインターフェース500は、プロセスコントローラ480の一部であってもよく、またはプロセスコントローラ480とは別個のコンポーネントであってもよい。例示的なインターフェース500はコントロールパネルであって、操作者は制御部520を使ってM
wを制御し、制御部540を使って共重合体組成を制御し、制御560を使って反応速度を制御できる。制御部520,540,560は、開始剤、モノマー、および緩和剤(クエンチャー)の温度と流れを制御することに使うことができる。制御部520,540,560は、ジョイスティック、ダイヤル、ボタン、及び他の手段とすることもでき、これにより操作者は開始剤、モノマー及び緩和剤の温度と流れを
図5に開示の方法で操作できる。これらのプロセス変数を操作することで、反応を加速させ(例えば、開始剤の添加または温度の上昇)、反応を減速させ(例えば、空気または緩和剤の添加、温度の低下、溶媒の添加など)、分子量の増加させ(例えば、モノマーの添加または温度の低下)または分子量の減少(例えば、開始剤、連鎖移動剤の添加、温度の上昇)させることができる。例示的なインターフェースは、コンピュータゲームでしばしば使用されるタイプのような物理的コンソールであってもよいし、GUI(Graphical User Interface)を介して、コンピュータスクリーン上の「ソフトノブ」または「ソフトスライダ」であってもよい。示された実施形態には反応を強制終了させる(例えば、空気や緩衝剤を用いて)ボタン580が開示されている。この強制終了は重合操作において時には必要とされる(例えば、温度の暴走が危険な反応器のオーバーヒートを引き起こしたり、重合の進行が仕様に満たないことが明らかであった場合)。現在説明されている主題では、アクティブ制御を使用する重合反応であって仕様に満たないものの反応がアクティブ制御によっても回復できないときは、強制終了ボタン580によってその反応を終了させ、もって、かかる重合反応の数を減少させる。
実施例
【0112】
ACOMPシステムは、Advanced Polymer Monitoring Technologies、Inc.(New Orleans、Louisiana)により
図4に実質的に記載されているように設計され、構築された。
【0113】
使用した反応は、開始剤として過硫酸カリウム(KPS)を使用して、アクリルアミド(Am)のフリーラジカル重合であった。 Amを純水に3質量%で溶解し、KPSを用いて反応を開始させた。
実施例1-バッチ反応器制御
【0114】
この実施例では、反応の温度が52℃で開始し、次いで反応中に60℃から70℃に上昇するバッチ実験を行った。 248nmでの紫外線吸収シグナルの減少は、マイクロ吸収単位(μA)、UV(t)として示される。これは、モノマー濃度C
m(t)に直接関連し、次のように表される。
【数23】
【0115】
低濃度でのバッチ式反応では、C
m(t)はポリマー濃度C
p(t)に関連し、質量バランスから次のように表される。
【数24】
【0116】
分別モノマー変換率(fractional monomer conversion)f(t)は、C
m(t)から次のように直接与えられる。
【数25】
【0117】
このバッチ反応に適用された本発明の概念を実証するために、この反応を「モデル反応」とてし採用した。そしてその変換軌道が後に続く反応において追従される。この軌跡は最適化された経路ではないが、それにもかかわらず、それに追従すべき具体的な経路を表し、本発明の概念を実証することができる。オフラインの計算やモデリング、実際の反応をモニタリングすることによって実験的に決定することによって、効率的な経路や最適化された経路見つかれば、そのような経路は単にここでの任意の「モデル反応」に置き換えられる。
【0118】
図6において、モデル反応軌道は太い黒線で示されている。また、
図6には後に続く反応から得られたデータが示され、このデータができる限り黒い太線に近づくように、温度はアクティブに制御され、撹拌は手動制御された。暗い灰色の線は、アクティブに制御された実験の経路を示す。薄い灰色の帯は、モデル反応の15%エラーバー領域、または許容可能な軌道経路偏差を表す。図から明らかなように、積極的に制御された反応は15%エラーバー内にあり、従って、ACOMPモニタリングにより重合反応プロセスをアクティブに制御するというコンセプトが実証される。ここに、ACOMPモニタリングは調整可能なリアクタパラメータ制御と共に使用される。
実施例2 - 半バッチリアクター制御;リアクタへの開始剤の供給
【0119】
これらの実施例の第1の目的は上記の温度駆動の「モデル反応」に追従することであり、これは、一定温度で、リアクタへの開始剤のアクティブな手動の流れを介して反応の変換率を制御することによってなされる。ラジカル重合のリアルタイムに近い制御が達成されたのはこれが初めてであると考えられている。これは、開始剤‐濃度により制御され化学的に開始される等温反応を熱的に制御された化学的に開始される反応に同形写像することである。これは、「同形反応」の対を表し、互いに「熱/開始剤‐濃度変換同形」と呼ぶことができる。
【0120】
図7は、太いブラックラインとしての示されるバッチ式反応の例から得られる同じモデル反応データを示す図である。濃い灰色の線は後続のセミバッチ式の実験であり、これでは、反応器への開始剤の供給はアクティブに手動制御され、もって、反応を可能な限りモデル軌道に近づけるようする。薄い灰色の帯は、モデル反応の15%エラーバー領域、または許容可能な軌道経路偏差を表す。図から明らかなように、一定温度での開始剤供給を用いたアクティブ制御されたセミバッチ反応は、15%エラーバー内にあり、このことは、調整可能なリアクタのパラメータ制御と共にではあるが、ACOMPモニタリングを使用するコンセプトが、セミバッチ式重合反応プロセスをアクティブに制御することを実証する。また、図には、モデル反応による変化している温度プロファイルとは対照的に、セミバッチ反応の安定したリアクタ温度が示されている。
図8は、上記アクティブ手動制御反応に対応する希薄液粘度信号を示す図である。黒い線はモデル軌道、濃いグレーの線はアクティブな手動制御反応の結果、明るい灰色の幅はモデル軌道の14%誤差バー領域または許容軌道経路偏差である。
実施例3‐セミバッチリアクタ制御;リアクタへのモノマーの流れ;希釈液粘度を用いたアクティブ重合制御
【0121】
この実施例3では、重合体をアクティブに制御するために、ポリマーベースの特性である希薄液粘度を用いてモノマーをリアクタへ流入させた。その目的はリアクタへのモノマーの流入に基づく希釈液粘度の軌道を最初に確立することであり、そのとき、開始剤の変更はなく、残存モノマーを重合させきる反応の終わりに温度を変えるだけある。次に、第1の反応の希釈液粘度軌道を繰り返すために、第2の反応が実行された。希薄溶液粘度の軌跡は、ポリマーのモル質量に直接関係しており、したがって、このタイプのアクティブ制御は基本的なポリマー特性に基づき、試剤の濃度やモノマーのポリマーへの化学的変換率には基づかない。
【0122】
図9は、最初のモデル反応と第2反応の結果を示すグラフである。実線の黒色の曲線は、第1(モデル)反応からの希薄液粘度軌道であり、実線の濃い灰色の曲線は、反応器(リアクタ)へのモノマー供給を制御することによって第1の反応を繰り返すことを試みた第2反応の軌道である。図から明らかなように、2つの反応は非常に近似しており、軌道においてもそのいくつかのセグメントの間で非常に密接に重なっている。灰色の陰影部分は5%の誤差幅を表す。図に示されるように、第2の反応は、第1の(モデル)反応の5%以内にとどまった。したがって、手動アクティブ制御は成功したといえる。点線の黒色の曲線は、モデル反応におけるUV吸収であり、反応器中のモノマーの量に比例する。破線の黒色の濃い灰色の曲線は、第2反応のUV吸収に対応する。図から明らかなように、UV吸収の点で2つの反応の間に有意差があり、第2の反応のUV特性を第1の反応のUV特性内に包含するために25%のエラーバーが必要であった。図からあきらかなように、点線の黒色であらわされる第1反応のUV特性の周囲の25%の変位境界が灰色の実線で示される。したがって、この場合、ポリマー反応希薄液粘度をアクティブに制御することにより、変換軌道の変動がはるかに大きくなった。
【0123】
図10は、
図9に示された2つの反応のモノマー流れの制御を示す図である。これらはACOMPシステムの一部によって読み取られ記録され、反応器へのモノマー流速を制御した。暗い黒色の点は、第1の(モデル)反応のためのものであり、灰色の点は、後の反応から得られる。理解されるように、流量タイミングの後続のものは、最初の反応のものと同一ではない。第2の反応の希釈粘度を非常に厳密に第1のそれに追従させることが許された第2の反応における制御された流速の差は、小さいけれども計画されたものである(
図9参照)。
【0124】
両方の粘度曲線に強い上向き曲率(正の二次微分)がみられ、その後の変曲点は約6,300秒であり、この変曲点はモノマーの供給がポリマーの瞬時の動的連鎖長を増加させた結果であり、このことはまたその固有粘度を増加させる。
図Eで測定した希釈液粘度ηは次の式で与えられる。
【数26】
ここで、η
sは純粋な溶媒の粘度であり、この場合水は(η
s= 0.0089ポアズである、ただし標準圧で25℃の水に対する)、C
pはポリマー濃度(g / cm
3)、[η]は固有粘度、κ
Hは約0.4に等しい無次元定数であり、ここでの反応で生成されたポリアクリルアミドなどの線状ポリマーの場合に適用される、溶液が非常に希薄であるため、C
p2項は小さく、ηへの主な貢献は[η] C
p項からのものとなる。 [η]は、所定の溶媒と温度における特定のポリマーの基本的な物理的性質であり、個々のポリマーのモル質量単位当たりの流体力学的体積V Hを評価する(すなわち、固有粘度はポリマー濃度依存性をすべて除去するので、固有粘度はリアクタ内のバルク粘度とは大きく異なる。リアクタ内には通常はポリマーが濃縮されており、かくしてバルク粘度はポリマー濃度に強く依存する)。
【数27】
ここに、V
Hは、ポリマー構造型に依存する。ポリアクリルアミドのようなランダムコイル線状ポリマーの場合、[η]は通常、その形式のべき乗則に従う
【数28】
αはしばしばMark-Houwink係数と呼ばれ、ポリアクリルアミドなどのコイルポリマーの場合、溶液と温度のタイプによって0.5〜0.8の範囲になる。
【0125】
瞬時鎖長がモノマー濃度に依存するという事実は、鎖長モノマー濃度[m]、フリーラジカル濃度[R]、および伝播定数および終結定数k
pおよびk
tの間の関係に見られ、関係は次のように表される。
【数29】
反応器中へのモノマーの流れによる[m]の増加、非常にゆっくりと作用する過硫酸カリウム開始剤の平方根に比例する[R]は本質的に一定のままであるので、反応中に鎖長が増加する。したがって、モノマーの流れによる鎖長の増加は[η]の増加をもたらし、希薄液粘度を増加させる。したがって、希薄液粘度に追従させることはポリマーの特性に起因するモル質量に追従させることに基づくという主張が実証される。
【0126】
反対事例が
図7に示されている。ここでは、軌道の曲線が下向きに凹状である(二次微分が負)。その理由は反応が進むに応じて鎖が次第に短くなるためであり、鎖が短くなるのはモノマーの濃度が反応全体にわたって低下する(反応器中にモノマー供給がない)ことに起因する。そして、[R]は温度が上昇しているので増加しており、開始剤の分解を早めその結果[R]が増加する。
【0127】
希薄液粘度がポリマーモル質量の尺度であることを示したので、以下の式は、ポリマーの濃度C
pと未処理の総希釈液粘度との組み合わせからの還元粘度η
rの抽出を示す。 η
rは以下のように定義される。
【数30】
固有粘度[η]はη
rにゼロ濃度に外挿したものである。現在のデータは、ゼロ濃度限界に効果的に近くなるように十分に低い濃度であるので、[η]≒η
rとなる。もちろん、ポリマー溶液によって拡散された絶対的な全強度を評価することによってM
wは直接測定することができる。これはReedらによって1998年以来ACOMPプラットフォームで定期的に行われてきた。
【0128】
以下の図はセミバッチ式供給実験のための未処理の粘度とともに検出器列中のポリマーおよびモノマー濃度を示す。この供給実験においてモノマー(アクリルアミド)のリザーバは0.500g / cm
3であり、ポンプでリアクタに送られる。最初は0.014 g / cm
3である。反応は約4,000秒で開始した。 C
mは重合でモノマーが消費されるにつれて低下するが、約4,000sから始まる反応器中へのモノマーの流れはC
mを約6,000sまで上昇させ、その時点でモノマーの流れは止まり、C
mは単調に低下し始め、C
pは継続的に上昇する。
【0129】
図11は、先の図からのC
pと未処理粘度との組合せを示す図であり、点線で示された還元粘度η
rを生じる。式27bから瞬間還元粘度η
r、instを計算した。これは、期待通り、モノマーの添加中は上昇する。一定期間上昇した後急激に低下し始める。このとき、残留モノマーが消費される反応の最終段階までリアクタの温度は上昇して60℃なる。したがって、モノマーの供給は、その供給が続くにつれてより大きな鎖を生成し、その供給が無くなるとそのサイズは次第に小さくなる。
【0130】
図12は反応の異なる間隔にわたるη
r、instのヒストグラムにより如何にして還元粘度分布を生成するかを示す。ここに、還元粘度分布は、低ポリマー濃度に限られるが、固有粘度分布にほぼ等しい。式35のκ
Hを用いた補正は、検出器列のC
pが十分に低くない場合に、2つの分布間の一致を精緻化するために使用することができる。右下がりの斜めのハッシュ・ヒストグラムは、小さいが増加するη
r、inst鎖が4,000-6,000sで生成され、大きな鎖が6,000-8,000sで生成されることを示している。 4,000-9,000sの分布全体は、反応中に蓄積された低および高η
r、inst鎖の幅を示す。
【0131】
これらの分布のリアルタイム表現は、例えば、
図12に示されるように、それらが望ましい最終分布となるように反応を指揮することに役立つ。そのとき、モノマーの量、開始剤の量、および連鎖移動供給、および反応器温度などのプロセス制御変数が使用される。
実施例4 - 連続リアクタ制御
【0132】
本発明は、連続反応器に適用することができる。これを説明するために、Grassl and Reedの「Online polymerization monitoring in a continuous tank reactor」、Macromolecular Chemistry and Physics、Vol。 203、pp.586-597,2002を参照されたい。そしてその内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図13は、水中のフリーラジカル反応によってポリアクリルアミドを製造する連続実験室規模の反応器の分別モノマー転化率f(左手y軸)および重量平均分子量M
w(右手y軸)を示す図である。10000秒(図では1×10
4秒と記載)で、fとM
wの両方が定常状態になり、これらのプロセス特性のそれぞれが一定であり、時間に対して水平線として測定されたことを意味する。10,000〜17,000秒の間に、温度変動が反応器に導入された。温度変動は、一番上のバーの温度低下として見ることができる。温度変化の影響は、fおよびM
wに直ちに見られる。上述したように、フリーラジカルを生成する開始剤の減衰速度は、温度k
d = ae
-bTに指数関数的に敏感である。したがって、反応速度が遅くなり、fが減少し、フリーラジカルに対するモノマーの比である速度論的鎖長が増加しなければならない。 fにおけるそれぞれの減少およびM
wにおける増加は、
図13に見ることができる。 17,000〜24,500秒の間に、開始剤の濃度を、開始剤の量を増加させることによって変化させる。結果としてフリーラジカル濃度が増加することにより、fは増加し、Mwは減少する。
【0133】
現在開示されている主題が利用可能になればその時点で、温度、開始剤供給、およびモノマー濃度を積極的に制御することによって、元の定常状態からの逸脱を回避できる。この回避は、これらの制御変数を使用して反応を定常状態に戻すことによって手動で達成することができるか、または上記の開示された式を使用して達成できる。fおよびMwの増分変化はプロセス変数の増分変化に対応するとみなされる。このプロセス変数の増分変化は重合反応プロセスを定常状態にするために必要であり、この定常状態では理想的な若しくは求められる反応軌道となる。これらの計算された値は、プロセス変数の変化を手動または自動で行うために使用される。
以下の事項(statements)を開示する。
【0134】
事項1:重合反応プロセスの1つ以上の内容物を収容するための反応器と、該反応器から1つ以上の内容物のある量を自動的かつ連続的に抽出する手段と、 ストリーム中で前記1つ以上のの抽出された化学成分を希釈及び/又は調整する手段と、前記ストリームの中で連続的又は離散的な間隔で前記1つ以上の抽出されたな内容物の1つ以上のプロセス特性を測定及び計算する手段と、1つ以上のプロセス制御変数の変化を指示して、重合反応プロセスの軌道を変更して目的特性を達成するプロセスコントローラとを備える、装置。
【0135】
事項2:事項1に記載の装置において、1つ以上の反応器、抽出手段、希釈手段及び/又は調整手段、並びに測定及び計算手段が、重合の自動連続オンラインモニタリング(ACOMP)装置に組み込まれている装置。
【0136】
事項3:事項1又は事項2に記載の装置において、
前記プロセスコントローラは支配的な速度論的及び関連する方程式を用いてプロセス変数の変更に起因するプロセス特性への影響を演算する装置。
【0137】
事項4:事項1から事項3の何れかに記載の装置において、前記プロセスコントローラは前記1つ以上のプロセス制御変数をアクティブに手動制御するためのインターフェースを備え、該インターフェースは1つ以上の操作可能な制御部を含み、各制御部は1つ以上のプロセス制御変数を制御するように構成された装置。
【0138】
事項5:事項1から事項4の何れかに記載の装置において、重合反応または一連の重合反応をアクティブに制御することができる装置。
【0139】
事項6:事項1から事項5の何れかに記載の装置において、1つ以上のプロセス制御変数の変化に応答して、1つ以上の重合反応プロセス特性に関する1つ以上の所定の反応軌道に沿って制御が行われる装置。
【0140】
事項7:事項6に記載の装置において、前記1つ以上の所定の反応軌道は履歴データベースからの履歴軌跡を使用して決定される装置。
【0141】
事項8:事項6に記載の装置において、前記1つ以上の所定の反応軌道は計算された軌道を使用して決定される装置。
【0142】
事項9:事項1から事項8のいずれかに記載の装置において、前記1つ以上のプロセス変数は連続的または離散的に試剤または化学成分をリアクタへ制御して添加すること、温度の変化、圧力の変化、またはそれらの任意の組合せを含む装置。
【0143】
事項10:事項1から事項9の何れかに記載の装置において、前記重合反応プロセスのターゲット特性が、予め定められた反応プロセス軌道、ポリマー分子量、固有粘度、分子量分布、固有粘度分布、還元粘度分布、組成分布、反応速度、モノマーの変換率、コモノマーの変換率、コモノマーの組成、コモのマーのドリフト、微粒子の存在、またはそれらの任意の組み合わせを含む装置。
【0144】
事項11:事項1から事項10の何れかに記載の装置において、前記1つ以上のプロセス制御変数における変化が、モデルに依存しない手動のアクティブなアプローチの下で生じる装置。
【0145】
事項12:事項1から事項10の何れかに記載の装置において、1つ以上のプロセス制御変数における変化が、モデルに依存するマニュアルアクティブアプローチのもとで生じる装置。
【0146】
事項13:事項1から事項10の何れかに記載の装置において、1つ以上のプロセス制御変数の変化が、モデルに依存しない自動アプローチの下で生じる装置。
【0147】
事項14:事項1から事項10の何れかに記載の装置において、1つ以上のプロセス制御変数における変化が、モデルに依存する自動アプローチの下で生じる装置。
【0148】
事項15:事項1から事項14の何れかに記載の装置において、1つ以上の抽出された内容物を廃棄物リザーバに送ることができるか、または反応器に再循環させることができる装置。
【0149】
事項16:事項1から事項15の何れかに記載の装置において、プロセス特性が、製造されたポリマーのモル質量に直接関係する装置。
【0150】
事項17:事項16に記載の装置において、前記プロセス特性のモル質量は累積重量平均モル質量、累積重量平均還元粘度、累積重量平均固有粘度、瞬時重量平均分子量M
w、瞬時重量平均還元粘度、瞬時重量平均固有粘度、分子量分布、還元粘度分布、および固有粘度分布のいずれかを含む装置。
【0151】
事項18:リアクタ容器内で重合反応プロセスを実施し、前記リアクタ容器から、単位時間当たりに重合反応プロセスの内容物の規定量を連続的に抽出し、前記重合反応プロセスの抽出された内容物を希釈及び/又は調整し、連続的に又は間欠的に前記重合反応プロセスの希釈及び/又は条件抽出された内容物の1つ以上の特性を測定し、手動または自動コントローラを介して前記1つ以上の測定された特性に応じて1つ以上のプロセス変数を変更して、前記重合反応プロセスの軌道を変更して目的特性を達成するステップとを含む方法。
【0152】
事項19:ステップの1つ以上がACOMPシステムを使用して実施される、事項18に記載の方法。
【0153】
事項20:アクティブ制御を用いて、1つ以上の重合反応プロセス特性のための1つ以上の所定の反応軌道そって反応が実行される事項18から事項19の何れかに記載の方法。
【0154】
事項21:プロセス変数を変更することによって測定された特性がどのように変化しうるかを決定するために、手動または自動コントローラ内で計算が行われる、事項18から事項20の何れかに記載の方法。
【0155】
事項22:1つ以上のプロセス制御変数の変化が、モデルに依存しない手動アクティブアプローチのもとで生じる、事項18から事項21のいずれかに記載の方法。
【0156】
事項23:1つ以上のプロセス制御変数における変化が、モデルに依存する手動アクティブアプローチのもとで生じる、事項18から事項21のいずれかに記載の方法。
【0157】
事項24:1つ以上のプロセス制御変数における変化が、モデルに依存しない自動アプローチの下で生じる、事項18から事項21のいずれかに記載の方法。
【0158】
事項25:1つ以上のプロセス制御変数における変化が、モデルに依存する自動アプローチの下で生じる、事項18から事項21のいずれかに記載の方法。
【0159】
事項26:プロセス特性が、製造されているポリマーのモル質量に直接関係する、事項18から事項25のいずれかに記載の方法。
【0160】
事項27:前記モル質量が、累積重量平均モル質量、累積重量平還元粘度、累積重量平均固有粘度、瞬時重量平均モル質量Mw、瞬時重量平均還元粘度、瞬時重量平均固有粘度、分子量分布、還元粘度分布、および固有粘度分布のいずれかを含む、事項26に記載の方法。
【0161】
事項28:リアクタ容器内で重合反応プロセスを実施し、前記リアクタ容器から、重合反応プロセス生成物の規定量を連続的に抽出し、前記抽出された重合反応プロセス生成物を希釈及び/又は調整し、連続的に又は間欠的に希釈された及び/又は条件抽出された前記重合反応プロセス生成物の1つ以上の特性を測定し、手動または自動コントローラを介して前記1つ以上の測定された特性に応じて1つ以上のプロセス変数を変更して前記重合反応プロセスの軌道を変更して目的特性を達成するステップとを含む方法において、重合についての手動又は自動的なアクティブコントロールにより生成される履歴ベータベースを使用して、1以上のプロセス制御変数をアクティブ変更することにより、前記1つ以上の測定された特性が如何にして変更されたかが決定される方法。
【0162】
事項29:少なくとも1つの変数によって影響を受ける反応が進行する内容物を収容するように構成された重合反応容器と、前記重合反応容器から内容物を連続的にサンプリングするように構成された抽出器と、測定のために連続的にサンプリングされた前記内容物を調整するように構成された調整器と、調整された連続サンプル内容物の1つ以上のプロセス特性を測定および計算するように構成された測定モジュールと、前記少なくとも1つの変数に変化を生じさせて、重合反応プロセスの軌道を変更して目的特性を達成するように構成されたプロセスコントローラとを含む装置。
【0163】
事項30:事項29に記載の装置において、分析モジュールが更に備えられ、該分析モジュールは前記測定値を基準測定値に比較し、変化させるべきプロセス変数であって、調整されたサンプルの前記測定値を前記基準測定値に近づくように移動させられる予想されるプロセス変数を決定する装置。
【0164】
事項31:事項29から事項30の何れかに記載の装置において、前記プロセスコントローラは分析モジュールの出力に応答して少なくとも1つの変数の変化を引き起こすように構成された装置。
【0165】
事項32:重合反応が起こっているリアクタからサンプルを得、前記サンプルを測定のための状態に調整し、調整されたサンプルの1つ以上の特性を測定し、前記1つ以上の測定された特性に応じてプロセス変数を変化させて、目的特性を達成するために前記重合反応プロセスの軌道を変更する方法。
【0166】
事項33:事項32に記載の方法において、更に、前記1つ以上の測定された特性を基準測定値と比較し、調整されたサンプルの1つ以上の測定された特性を前記基準測定値に近づけるように変更するプロセス変数を決定し、そのプロセス変数を変更して調整されたサンプルの測定された特性を基準測定値に近づけ、重合反応プロセスの軌道を変更して目的特性を達成する方法。
【0167】
事項34:変更されるプロセス変数を決定することは、支配的な速度論または関連する式を解くことを含む、事項33に記載の方法。
【0168】
事項35:変更されるプロセス変数を決定することは、プロセス制御変数をアクティブに変更することによって測定された特性がどのように変化し得るかを決定するために履歴データベースを参照することを含む、請求項34に記載の方法。
また、以下に追加の事項を開示する。
事項(1):重合反応プロセスの1つ以上の内容物を収容するための反応器と、
該反応器から前記1つ以上の内容物のある量を自動的かつ連続的に抽出する手段と、
ストリーム中で抽出された前記1つ以上の内容物を希釈及び/又は調整する手段と、
前記ストリーム中で抽出された前記1つ以上の内容物を測定する検出器と、
前記検出器の測定値から、連続的又は離散的な間隔で抽出された前記1つ以上の内容物の1つ以上のプロセス特性を決定し、及び
決定された前記1つ以上のプロセス特性に基づいて、1つ以上のプロセス制御パラメータの変化を指示して、前記重合反応プロセスの軌道を変更して前記重合反応プロセスの理想的な軌道を達成するように構成されたプロセスコントローラと、を備える、装置。
事項(2):1つ以上の前記反応器、前記抽出する手段、前記希釈及び/又は調整する手段、並びに前記検出器が、重合の自動連続オンラインモニタリング(ACOMP)システムに組み込まれている事項(1)に記載の装置。
事項(3):前記プロセスコントローラは支配的な速度論的及び関連する方程式を用いてプロセスパラメータの変化に起因するプロセス特性への影響を演算する事項(1)又は事項(2)に記載の装置。
事項(4):前記プロセスコントローラは前記1つ以上のプロセス制御パラメータをアクティブに手動制御するためのインターフェースを備え、該インターフェースは1つ以上の操作可能な制御部を含み、各制御部は1つ以上のプロセス制御パラメータを制御するように構成された事項(1)〜(3)の何れかに記載の装置。
事項(5):1つ以上のプロセス制御パラメータの変化に応答して、1つ以上の重合反応プロセス特性に関する1つ以上の所定の理想的な軌道に沿って制御が行われ、
前記1つ以上の所定の理想的な軌道は履歴データベースからの履歴軌跡を使用して決定される、事項(1)〜(4)の何れかに記載の装置。
事項(6):前記1つ以上のプロセス制御パラメータは連続的または離散的に試剤または化学成分を前記反応器へ制御して添加すること、温度の変化、圧力の変化、またはそれらの任意の組合せを含む事項(1)〜(5)の何れかに記載の装置。
事項(7):前記理想的な軌道が、予め定められた所望の反応軌道、ポリマー分子量、固有粘度、分子量分布、固有粘度分布、還元粘度分布、組成分布、反応速度、モノマーの変換率、コモノマーの変換率、コモノマーの組成、コモノマーのドリフト、微粒子の存在、またはそれらの任意の組み合わせを含む事項(1)〜(6)の何れかに記載の装置。
事項(8):反応容器内で重合反応プロセスを実施し、
前記反応容器から、単位時間当たりに重合反応プロセスの内容物の規定量を連続的に抽出するステップ、
前記重合反応プロセスの抽出された内容物を希釈及び/又は調整するステップ、
前記重合反応プロセスの希釈及び/又は調整した抽出された内容物の1つ以上の測定された特性を、連続的又は離散的な間隔で、測定するステップ、及び
前記希釈及び/又は調整した抽出された内容物の1つ以上の測定された特性の測定値から前記希釈及び/又は調整した抽出された内容物の1つ以上のプロセス特性を決定するステップ、及び
手動または自動コントローラを介して、前記1つ以上の測定された特性に応じて1つ以上のプロセスパラメータを変更して、前記重合反応プロセスの軌道を変更して前記重合反応プロセスの理想的な軌道を達成するステップを含む、方法。
事項(9):前記ステップの1つ以上がACOMPシステムを使用して実施される、事項(8)に記載の方法。
事項(10):アクティブ制御を用いて、1つ以上の重合反応プロセス特性のための1つ以上の所定の理想的な軌道に沿って反応が実行される事項(8)又は(9)に記載の方法。
事項(11):重合反応プロセスについての手動又は自動的なアクティブ制御の使用により生成される履歴ベータベースが、1つ以上のプロセス制御パラメータをアクティブに変更することにより、前記1つ以上の測定された特性がどのように変化し得るかを決定するために使用される、事項(8)〜(10)の何れかに記載の方法。
事項(12):更に、前記1つ以上の測定された特性を基準測定値と比較し、
調整されたサンプルの前記1つ以上の測定された特性を前記基準測定値に近づけるように変更するプロセスパラメータを決定し、及び
プロセスパラメータを変更して前記調整されたサンプルの測定された特性を前記基準測定値に近づけ、前記重合反応プロセスの軌道を変更して前記重合反応プロセスの理想的な軌道を達成し、
前記重合反応プロセスの前記理想的な軌道は重量平均分子量(Mw)対時間、Mw対変換率、Mw対生成物の量若しくは濃度、又はそれらの組み合わせにより定義される、事項(8)〜(11)の何れかに記載の方法。
事項(13):変更されるプロセスパラメータを決定することは、支配的な速度論的または関連する方程式を解くことを含む、事項(12)に記載の方法。
事項(14):変更されるプロセスパラメータを決定することは、プロセス制御パラメータをアクティブに変更することによって前記測定された特性がどのように変化し得るかを決定するために履歴データベースを参照することを含む、事項(12)に記載の方法。
事項(15):少なくとも1つのパラメータによって影響を受ける反応が進行する内容物を収容するように構成された重合反応容器と、
前記重合反応容器から内容物を連続的にサンプリングするように構成された抽出器と、
測定のために連続的にサンプリングされた前記内容物を調整するように構成された調整器と、
調整された連続サンプル内容物の1つ以上を測定する検出器と、
前記調整された連続サンプル内容物の1つ以上のプロセス特性を測定および計算するように構成された測定モジュールと、及び
前記検出器の測定値から前記調整された連続サンプル内容物の1つ以上のプロセス特性を決定し、及び決定された前記1つ以上のプロセス特性に基づいて、1つ以上のプロセス制御パラメータに変化を生じさせて、前記重合反応プロセスの軌道を変更して前記重合反応プロセスの理想的な軌道を達成するように構成されたプロセスコントローラと、を備える装置。
事項(16):分析モジュールが更に備えられ、該分析モジュールは前記測定値を基準測定値に比較し、変化させるべき1つ以上のプロセスパラメータであって、調整された前記サンプルの前記測定値を前記基準測定値に近づくように移動させられる予想されるプロセスパラメータを決定する事項(15)に記載の装置。
事項(17):前記プロセスコントローラは前記分析モジュールの出力に応答して少なくとも1つのプロセス制御パラメータの変化を引き起こすように構成された事項(16)に記載の装置。
事項(18):前記プロセスコントローラは前記1つ以上のプロセス制御パラメータをアクティブに手動制御するためのインターフェースを備え、該インターフェースは1つ以上の操作可能な制御部を含み、各制御部は1つ以上のプロセス制御パラメータを制御するように構成された事項(15)〜(17)の何れかに記載の装置。
事項(19):前記1つ以上のプロセス制御パラメータは連続的または離散的に試剤または化学成分を前記反応容器へ制御して添加すること、前記試剤または化学成分は空気、窒素ガス、酸素ガスからなる群より選択され、撹拌、温度の変化、圧力の変化、またはそれらの任意の組合せを含む事項(15)〜(18)の何れかに記載の装置。
事項(20):前記理想的な軌道が、予め定められた所望の反応軌道、ポリマー分子量、固有粘度、分子量分布、固有粘度分布、還元粘度分布、組成分布、反応速度、モノマーの変換率、コモノマーの変換率、コモノマーの組成、コモノマーのドリフト、微粒子の存在、またはそれらの任意の組み合わせを含む事項(15)〜(19)の何れかに記載の装置。
事項(21):前記プロセスコントローラはモデル依存アクティブ制御を利用して測定軌道の偏差の基準に基づいて自動的に前記プロセス制御パラメータの変化を指示する事項(1)に記載の装置。
【0169】
上記の実施形態は例示的なものに過ぎない。従って、そのような詳細の多くは示されておらず記載されていない。本開示の構造および機能の詳細と共に、本技術の多くの特徴および利点が上記の説明に記載されているが、本開示は例示的なものに過ぎない。詳細な変更が許される、特に、本開示の原理内において部品の形状、サイズ、および配置の変更は、添付の特許請求の範囲において使用される用語の広範な一般的な意味にまで許される。したがって、上述した実施形態は、添付の特許請求の範囲内で変更することができることが理解されよう。