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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200507(P2020-200507A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20201120BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20201120BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20201120BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B33Y30/00
   B33Y50/02
   B22F3/105
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-108515(P2019-108515)
(22)【出願日】2019年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】宮下 泰行
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018CA44
4K018DA31
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層造形の過程において照射するレーザ光の状態を観察し、造形状態の良否を判定することのできる積層造形装置の提供。
【解決手段】レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径と、記憶部に記憶された最小値および最大値とをそれぞれ比較し、焼結の良不良を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径の少なくとも一つが前記記憶部に記憶された最小値から最大値までの範囲外であった場合、焼結の不良と判定することを特徴とする積層造形装置。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の材料粉末が敷かれるテーブルと、
水平一軸方向に往復移動して前記テーブル上に材料粉末を供給するとともに平坦化して粉末層を形成するリコータヘッドと、
光源から発せられたレーザ光を粉末層の所定の焼結領域にレーザ照射して材料粉末が焼結された焼結層を形成するレーザ照射部と、
前記光源から発せられるレーザ光のレーザパワーを検出するレーザパワー検出部と、
前記レーザ照射部から粉末層に照射されるレーザ光の走査速度を検出するレーザ走査速度検出部と、
前記レーザ照射部から粉末層に照射されるレーザ光のビーム径を検出するレーザビーム径検出部と、
良好な焼結が行われるレーザパワー、走査速度およびビーム径のそれぞれの最小値および最大値を記憶する記憶部と、
前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径と、前記記憶部に記憶された最小値および最大値とをそれぞれ比較し、焼結の良不良を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径の少なくとも一つが前記記憶部に記憶された最小値から最大値までの範囲外であった場合、焼結の不良と判定することを特徴とする積層造形装置。
【請求項2】
前記記憶部には、レーザパワーの前記最小値、走査速度の前記最大値およびビーム径の前記最大値から算出されるレーザのエネルギー密度の最小値よりも大きい第1の値と、レーザパワーの前記最大値、走査速度の前記最小値およびビーム径の前記最小値から算出されるレーザのエネルギー密度の最大値よりも小さく、且つ、前記第1の値よりも大きい第2の値とがさらに記憶され、
前記判定部は、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径からレーザのエネルギー密度を算出し、該算出したエネルギー密度と、前記記憶部に記憶された第1の値および第2の値とを比較し、前記算出したエネルギー密度が前記第1の値未満であった場合または前記第2の値を超えた場合、焼結の不良と判定することを特徴とする請求項1に記載の積層造形装置。
【請求項3】
前記判定部は、
レーザパワーの前記最小値、走査速度の前記最大値およびビーム径の前記最大値からレーザのエネルギー密度の最小値を算出するとともに、該算出した最大値よりも予め定めた値だけ大きい第1の値を算出し、
レーザパワーの前記最大値、走査速度の前記最小値およびビーム径の前記最小値からレーザのエネルギー密度の最大値を算出するとともに、該算出した最小値よりも予め定めた値だけ小さい第2の値を算出し、
前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径からレーザのエネルギー密度を算出し、該算出したエネルギー密度と、前記第1の値および前記第2の値とを比較し、前記算出したエネルギー密度が前記第1の値未満であった場合または前記第2の値を超えた場合、焼結の不良と判定することを特徴とする請求項1に記載の積層造形装置。
【請求項4】
前記判定部によって焼結の不良と判定された場合、
前記リコータヘッドは、次の粉末層の形成を行わないことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属の積層造形においては、金属材料からなる粉末層を形成し、この粉末層の所定箇所にレーザ光または電子ビーム等のビームを照射して照射位置の粉末層を焼結または溶融させて焼結層を形成している。そして、粉末層の形成と焼結層の形成とを繰り返すことによって、所望の三次元造形物を造形している。
【0003】
このような金属の積層造形を行う積層造形装置は、近年、その性能が向上してきている。この性能の向上に伴って、試作品の制作が主な用途であった積層造形装置の利用範囲が拡大してきている。特に、最近では、医療分野や航空宇宙分野においても、積層造形装置により重要な部品等を製作する機会が増加している。これらの分野では、部品等の品質が一定以上であることが求められており、部品等を製作する側にとっても、その品質を保証できることが重要になってきている。
【0004】
造形物の品質を保証するための手段としては、成果物に対して厳密な検査を行うことが挙げられるが、造形物を形成する工程において品質の低下を抑制することも考えられる。
【0005】
前者としては、例えば、造形物に対してX線CTスキャンを実施する方法があり、後者としては、例えば、特許文献1に記載されているように、レーザビームのエネルギー密度を測定する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2016−540895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、造形物の欠陥等の多くは、その形成過程において発生していることが多い。例えば、造形物中の空隙は、造形物の形成後に生じるものではなく、形成過程において生じるものである。したがって、造形物の形成過程を観察することは重要なことである。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、基準支持体上にレーザビームを定期的に印加し、使用のたびに、この基準支持体上で得られる光強度を測定するものであり、造形物の形成過程において光強度を観察しているものではない。
【0009】
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、積層造形の過程において照射するレーザ光の状態を観察し、造形状態の良否を判定することのできる積層造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、金属の材料粉末が敷かれるテーブルと、水平一軸方向に往復移動して前記テーブル上に材料粉末を供給するとともに平坦化して粉末層を形成するリコータヘッドと、光源から発せられたレーザ光を粉末層の所定の焼結領域にレーザ照射して材料粉末が焼結された焼結層を形成するレーザ照射部と、前記光源から発せられるレーザ光のレーザパワーを検出するレーザパワー検出部と、前記レーザ照射部から粉末層に照射されるレーザ光の走査速度を検出するレーザ走査速度検出部と、前記レーザ照射部から粉末層に照射されるレーザ光のビーム径を検出するレーザビーム径検出部と、良好な焼結が行われるレーザパワー、走査速度およびビーム径のそれぞれの最小値および最大値を記憶する記憶部と、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径と、前記記憶部に記憶された最小値および最大値とをそれぞれ比較し、焼結の良不良を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径の少なくとも一つが前記記憶部に記憶された最小値から最大値までの範囲外であった場合、焼結の不良と判定することを特徴とする積層造形装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る積層造形装置は、レーザ照射部から粉末層に照射されるレーザ光のレーザパワー、走査速度およびビーム径のそれぞれを良好な焼結が行われる最小値および最大値と比較し、焼結の良不良を判定するように構成される。このような構成により、積層造形の過程において形成中の造形物の造形状態の良否を判定することができる。
【0012】
好ましくは、以下の発明が提供されてもよい。
【0013】
前記記憶部には、レーザパワーの前記最小値、走査速度の前記最大値およびビーム径の前記最大値から算出されるレーザのエネルギー密度の最小値よりも大きい第1の値と、レーザパワーの前記最大値、走査速度の前記最小値およびビーム径の前記最小値から算出されるレーザのエネルギー密度の最大値よりも小さく、且つ、前記第1の値よりも大きい第2の値とがさらに記憶され、前記判定部は、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径からレーザのエネルギー密度を算出し、該算出したエネルギー密度と、前記記憶部に記憶された第1の値および第2の値とを比較し、前記算出したエネルギー密度が前記第1の値未満であった場合または前記第2の値を超えた場合、焼結の不良と判定することを特徴とする前記積層造形装置。
【0014】
前記判定部は、レーザパワーの前記最小値、走査速度の前記最大値およびビーム径の前記最大値からレーザのエネルギー密度の最小値を算出するとともに、該算出した最小値よりも予め定めた値だけ大きい第1の値を算出し、レーザパワーの前記最大値、走査速度の前記最小値およびビーム径の前記最小値からレーザのエネルギー密度の最大値を算出するとともに、該算出した最大値よりも予め定めた値だけ小さい第2の値を算出し、前記レーザパワー検出部によって検出されたレーザパワー、前記レーザ走査速度検出部によって検出された走査速度および前記レーザビーム径検出部によって検出されたビーム径からレーザのエネルギー密度を算出し、該算出したエネルギー密度と、前記第1の値および前記第2の値とを比較し、前記算出したエネルギー密度が前記第1の値未満であった場合または前記第2の値を超えた場合、焼結の不良と判定することを特徴とする前記積層造形装置。
【0015】
前記判定部によって焼結の不良と判定された場合、前記リコータヘッドは、次の粉末層の形成を行わないことを特徴とする前記積層造形装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る積層造形装置1の構成を示した図である。
図2】レーザ照射部5の構成の概略を示した図である。
図3】リコータヘッド42を上方から見た斜視図である。
図4】リコータヘッド42を下方から見た斜視図である。
図5】制御装置の構成を示すブロック図である。
図6】レーザ照射部5およびレーザ照射検出部87の構成を示すブロック図である。
図7】レーザ光Lの照射位置の軌跡を示した図である。
図8】レーザ光Lの走査速度の遅れの例を示した図である。
図9】拡散レンズ533の移動の遅れの例を示した図である。
図10】レーザ光Lの走査速度とレーザ光Lの照射のタイミングの関係を示した図である。
図11】積層造形装置1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0018】
1.構成例
図1は、本発明の実施形態に係る積層造形装置1の構成を示した図である。図1に示すように、積層造形装置1は、テーブル2、テーブル駆動部3、粉末層形成部4、レーザ照射部5、チャンバ6およびウインドウ7を有している。
【0019】
テーブル2は、所望の三次元造形物が形成される造形領域Rを有するものであり、金属の材料粉末が敷かれ、この材料粉末により粉末層Pが形成される。また、三次元造形物を形成する際には、テーブル2上にベースプレート21が載置されてもよい。このとき、ベースプレート21上に粉末層Pが形成される。
【0020】
テーブル駆動部3は、テーブル2を鉛直方向(矢印U方向)に移動させる。このテーブル駆動部3により、テーブル2は、鉛直方向に移動可能となる。
【0021】
粉末層形成部4は、造形領域Rに所定厚みの粉末層Pを形成する。具体的には、粉末層形成部4は、ベース台41と、ベース台41に配置され、水平一軸方向(矢印A方向)に往復移動してテーブル2上に材料粉末を供給するとともに平坦化して粉末層Pを形成するリコータヘッド42とを含む。なお、リコータヘッド42の詳細については後述する。
【0022】
レーザ照射部5は、光源から発せられたレーザ光Lを粉末層Pの所定の焼結領域にレーザ照射して材料粉末が焼結された焼結層Sを形成する。なお、レーザ照射部5の詳細については後述する。
【0023】
チャンバ6は、造形領域Rを覆うように構成される。チャンバ6内には、不活性ガスが充満されていることが望ましい。
【0024】
ウインドウ7は、レーザ光Lを透過させる素材、例えば、ガラス等であり、レーザ照射部5をヒューム等から保護するものである。
【0025】
2.レーザ照射部
次に、レーザ照射部5について説明する。図2は、レーザ照射部5の構成の概略を示した図である。
【0026】
レーザ照射部5は、光源51、コリメータ52、フォーカス制御ユニット53、ガルバノミラー54xおよびガルバノミラー54yを有している。
【0027】
光源51は、レーザ光Lを出力する。レーザ光Lは、粉末層Pを焼結することが可能であり、例えば、CO2レーザ、ファイバーレーザ、またはYAGレーザである。コリメータ52は、光源51から出力されたレーザ光Lを平行光に変換する。フォーカス制御ユニット53は、コリメータ52で平行光に変換されたレーザ光Lを集光し、所定のビーム径に調整する。ガルバノミラー54xとガルバノミラー54yは、それぞれ、レーザ光Lを反射し、その照射位置を制御する。
【0028】
ガルバノミラー54xとガルバノミラー54yにより照射位置が制御されたレーザ光Lは、ウインドウ12を通してテーブル2上の粉末層Pに照射され、焼結層Sを形成する。
【0029】
3.リコータヘッド
次に、粉末層形成部4のリコータヘッド42について説明する。図3は、リコータヘッド42を上方から見た斜視図である。また、図4は、リコータヘッド42を下方から見た斜視図である。
【0030】
図3および図4に示すように、リコータヘッド42は、材料収容部421と材料供給部422と材料吐出部423とを有する。材料収容部421は、材料粉末を収容する。材料供給部422は、材料収容部421の上面に配設され、図示しない材料供給部から材料収容部421に供給される材料粉末の受口となる。材料吐出部423は、材料収容部421の底面に配設され、材料収容部421内の材料粉末を吐出する。また、材料吐出部423はスリット形状であり、その長手方向は、リコータヘッド42の移動方向(矢印A方向)に直交する水平一軸方向(矢印B方向)である。
【0031】
ブレード424は、リコータヘッド42の側面に配設され、リコータヘッド42から吐出された材料粉末を造形領域R上に撒布する。本実施形態ではリコータヘッド42の両側面に1つずつブレード424が設けられるが、少なくとも1つのブレード424がリコータヘッド42に取り付けられればよい。また、ブレード424としては、平板状のもの、可撓性のあるもの、ブラシ状のもの、ローラ状のもの等、所定厚みの粉末層Pを形成可能なものであれば、種々の形態が採用可能である。
【0032】
このような構成により、粉末層形成部4は、リコータヘッド42がテーブル2の造形領域R上を往復移動しながら材料吐出部423から材料粉末を吐出し、ブレード424がリコータヘッド42の往復移動に伴って造形領域R上に吐出された材料粉末を均すことで、粉末層Pを形成する。
【0033】
4.制御装置
次に、積層造形装置1を制御する制御装置について説明する。図5は、制御装置の構成を示すブロック図である。
【0034】
図5に示すように、制御装置8は、CAM装置81、数値制御装置82、表示装置83、粉末層形成制御部84、テーブル制御部85、照射制御部86、レーザ照射検出部87、判定部88および記憶部89を有している。この制御装置8は、積層造形装置1のテーブル駆動部3と粉末層形成部4とレーザ照射部5とを制御するとともに、レーザ照射部5によるレーザ光Lの照射状態を観察するものである。
【0035】
CAM(Computer Aided Manufacturing)装置81は、所望の三次元造形物を形成するためのメインプログラムと、造形プログラムとを含むプロジェクトファイルを作成する。メインプログラムは、シーケンス番号をふられた複数のプログラム行で構成され、各プログラム行には、所定の層における焼結の指令等を含む。また、造形プログラムは、照射プログラムファイルであり、レーザ光Lの照射位置等の指令を含む。
【0036】
数値制御装置82は、CAM装置81が作成したプロジェクトファイルにしたがって、所望の三次元造形物を形成すべく、粉末層形成部4、テーブル2の高さおよびレーザ照射部5を数値制御するもので、記憶装置821と演算装置822とメモリ823とを有している。
【0037】
記憶装置821は、通信線や可搬記憶媒体を介してCAM装置81から取得したプロジェクトファイルを記憶する。
【0038】
演算装置822は、記憶装置821に記憶したプロジェクトファイルにしたがって、粉末層形成部4、テーブル2の高さおよびレーザ照射部5を数値制御するための演算処理を実行する。
【0039】
メモリ823は、演算装置822による演算処理の過程で一時的に記憶する必要のある数値やデータを一時的に記憶する。
【0040】
表示装置83は、数値制御装置82に接続され、数値制御装置82が通知するデータやエラーメッセージ等を表示する。
【0041】
粉末層形成制御部84は、数値制御装置82からの指令に基づいて粉末層形成部4を制御する。粉末層形成制御部84からの指令は、粉末層形成部4の駆動部43に入力され、当該指令に応じた電力を駆動部43が出力することで粉末層形成部4の図示しないモータが回転し、リコータヘッド42がベース台41上を往復移動する。また、粉末層形成制御部84には、駆動部43の出力に応じた信号や図示しないモータに取り付けられたエンコーダ等からの信号が入力され、これら入力された信号に基づいて粉末層形成制御部84は、フィードバック制御を行う。
【0042】
テーブル制御部85は、数値制御装置82からの指令に基づいてテーブル駆動部3を制御する。テーブル制御部85からの指令は、テーブル駆動部3の図示しない駆動部に入力され、当該指令に応じた電力をその駆動部が出力することでテーブル駆動部3の図示しないモータが回転し、テーブル2が上方向または下方向に移動し、その高さが変化する。また、テーブル制御部85には、テーブル駆動部3の図示しない駆動部の出力に応じた信号や図示しないモータに取り付けられたエンコーダ等からの信号が入力され、これら入力された信号に基づいてテーブル制御部85は、フィードバック制御を行う。
【0043】
また、テーブル駆動部3は、例えば、テーブル2の下に設けられるスライドベースと、送りねじと、送りねじを支持するガイドベースと、を備える。テーブル駆動部3の送りねじは、ねじ軸と、ねじ軸に螺合しスライドベースの側面に固定されるナットと、ねじ軸を回転させるモータを含む。このモータが図示しない駆動部から供給される電力により回転するものである。
【0044】
照射制御部86は、数値制御装置82から造形プログラムを受信し、この造形プログラムに基づいて照射データの生成を行い、生成した照射データに基づいてレーザ照射部5に指令を送出する。また、照射制御部86には、レーザ照射部5の動作に基づく信号が入力され、これらの入力された信号に基づいて照射制御部86は、フィードバック制御を行う。
【0045】
レーザ照射検出部87は、レーザ照射部5から、レーザ照射部5の動作に基づく信号を取得し、レーザ照射部5によるレーザ光Lの照射の状態を検出する。なお、レーザ照射検出部87の詳細については後述する。
【0046】
判定部88は、レーザ照射検出部87が検出したレーザ光Lの照射の状態に基づいて、レーザ光Lによる焼結の良否を判定する。なお、判定部88の詳細については後述する。
【0047】
記憶部89は、判定部88が判定の際に利用する閾値等を記憶する。なお、記憶部89に記憶される値については後述する。
【0048】
5.レーザ照射検出部
続いて、レーザ照射検出部87の詳細について説明する。図6は、レーザ照射部5およびレーザ照射検出部87の構成を示すブロック図である。
【0049】
まず、レーザ照射部5について説明する。図6に示すように、レーザ照射部5は、光源51、フォーカス制御ユニット53、ガルバノミラー54x、ガルバノミラー54y、駆動部55x、駆動部55y、アクチュエータ56xおよびアクチュエータ56yを有している。なお、レーザ照射部5は、図6には示していないコリメータ52も有している。
【0050】
光源51は、レーザ光Lを出力する。出力するレーザ光Lのパワーやレーザ光Lを出力するタイミングは、照射制御部86から送出される指令に従う。
【0051】
ここで、光源51がレーザ光Lを出力するタイミングについて説明する。図7は、レーザ光Lの照射位置の軌跡を示した図である。レーザ照射部5は、粉末層Pの所定の焼結領域にレーザ光Lを照射して焼結層Sを形成する際に、所定の幅w毎にレーザ光Lを照射する。図7に示した軌跡のうち、実線の矢印で示した軌跡が、焼結層Sを形成する部分で、レーザ光Lが照射される部分であり、一定の走査速度でレーザ光Lが照射される。また、図7に示した軌跡のうち、一点鎖線の矢印で示した軌跡は、x軸方向の走査速度が減速している部分であり、二点鎖線の矢印で示した軌跡は、x軸方向の走査速度が加速している部分であり、いずれも、レーザ光Lが照射されない部分である。
【0052】
このように、レーザ光Lは、幅w内の領域を間隔p毎に照射されるが、この間隔pは、レーザ光Lのビーム径dと等しいものである。なお、図7では、レーザ光Lの走査方向をx軸方向として説明しているが、走査方向は必ずしもx軸方向である必要はない。また、形成する三次元造形物の形状に応じて、幅w内においても、レーザ光Lを照射しない部分、つまり、焼結層Sを形成しない部分が生じる場合がある。
【0053】
フォーカス制御ユニット53は、駆動部531、アクチュエータ532および拡散レンズ533を有し、照射制御部86から送出される指令に応じてレーザ光Lの焦点距離を調整する。具体的には、照射制御部86からの指令は、駆動部531に入力され、当該指令に応じた電力を駆動部531が出力することでアクチュエータ532が動作し、拡散レンズ533が移動する。この拡散レンズ533の移動により、拡散レンズ533と図示しない集光レンズの距離が変化し、レーザ光Lの焦点距離が変化する。レーザ光Lの焦点距離が適切に調整されることで、レーザ光Lの照射位置である粉末層Pにおけるビーム径が所定の大きさとなる。
【0054】
また、照射制御部86には、駆動部531の出力に応じた信号やアクチュエータ532に取り付けられたエンコーダ等からの信号が入力され、これら入力された信号に基づいて照射制御部86は、フォーカス制御ユニット53をフィードバック制御する。
【0055】
ガルバノミラー54xは、照射制御部86のミラー制御部861xから送出される指令に応じて回転し、レーザ光Lの照射位置のx軸方向の位置を調整する。具体的には、ミラー制御部861xからの指令は、駆動部55xに入力され、当該指令に応じた電力を駆動部55xが出力することでアクチュエータ56xが動作し、ガルバノミラー54xが回転する。なお、x軸方向は、水平面の任意の方向であり、例えば、リコータヘッド42の移動方向(矢印A方向)である。
【0056】
また、ミラー制御部861xには、駆動部55xの出力に応じた信号やアクチュエータ56xに取り付けられたエンコーダ等からの信号が入力され、これら入力された信号に基づいてミラー制御部861xは、ガルバノミラー54xをフィードバック制御する。
【0057】
ガルバノミラー54yは、照射制御部86のミラー制御部861yから送出される指令に応じて回転し、レーザ光Lの照射位置のy軸方向の位置を調整する。具体的には、ミラー制御部861yからの指令は、駆動部55yに入力され、当該指令に応じた電力を駆動部55yが出力することでアクチュエータ56yが動作し、ガルバノミラー54yが回転する。なお、y軸方向は、水平面においてx軸と直行する方向であり、例えば、x軸がリコータヘッド42の移動方向(矢印A方向)であれば、y軸は、リコータヘッド42の移動方向に直交する方向(矢印B方向)である。
【0058】
また、ミラー制御部861yには、駆動部55yの出力に応じた信号やアクチュエータ56yに取り付けられたエンコーダ等からの信号が入力され、これら入力された信号に基づいてミラー制御部861yは、ガルバノミラー54yをフィードバック制御する。
【0059】
続いて、レーザ照射検出部87について説明する。図6に示すように、レーザ照射検出部87は、レーザパワー検出部871、レーザ走査速度検出部872およびレーザビーム径検出部873を有している。
【0060】
レーザパワー検出部871は、光源51から発せられるレーザ光Lのレーザパワーを検出する。具体的には、レーザパワー検出部871は、光源51に配されている出力モニタ端子から出力される信号を取得し、この信号に基づいて光源51から発せられるレーザ光Lのレーザパワーを特定する。もちろん、別の方法、例えば、ビームスプリッタ等を利用してレーザ光Lの一部を受光して、そのパワーを検出するようにしてもよい。
【0061】
レーザ走査速度検出部872は、レーザ照射部5から粉末層Pに照射されるレーザ光Lの走査速度を検出する。具体的には、レーザ走査速度検出部872は、アクチュエータ56xに取り付けられたエンコーダ等からの信号とアクチュエータ56yに取り付けられたエンコーダ等からの信号に基づいて、走査速度を算出する。
【0062】
レーザ光Lの照射位置は、アクチュエータ56xにより回転するガルバノミラー54xの位置(角度)と、アクチュエータ56yにより回転するガルバノミラー54yの位置(角度)によって決定されるが、ガルバノミラー54xとガルバノミラー54yの回転は、慣性等の影響によりミラー制御部861xとからの指令とミラー制御部861yからの指令とから遅れが生じる場合がある。照射位置の制御に遅れが生じた場合、当然のことながら、レーザ光Lの走査速度にも遅れが生じることになる。このため、レーザ走査速度検出部872は、アクチュエータ56xに取り付けられたエンコーダ等からの信号とアクチュエータ56yに取り付けられたエンコーダ等からの信号に基づいて、走査速度を算出している。
【0063】
図8は、レーザ光Lの走査速度の遅れの例を示した図である。図8に示したグラフにおいて、一点鎖線は、ミラー制御部861xとからの指令とミラー制御部861yからの指令とから算出したレーザ光Lの走査速度であり、実線は、アクチュエータ56xに取り付けられたエンコーダ等からの信号とアクチュエータ56yに取り付けられたエンコーダ等からの信号に基づいて算出したレーザ光Lの走査速度である。
【0064】
レーザビーム径検出部873は、レーザ照射部5から粉末層Pに照射されるレーザ光Lのビーム径を検出する。具体的には、レーザビーム径検出部873は、アクチュエータ56xに取り付けられたエンコーダ等からの信号とアクチュエータ56yに取り付けられたエンコーダ等からの信号に基づいてレーザ光Lの照射位置を算出し、算出した照射位置からレーザ光Lの光路長を算出する。その一方で、レーザビーム径検出部873は、アクチュエータ532に取り付けられたエンコーダ等からの信号に基づいてレーザ光Lの焦点距離を算出する。そして、レーザビーム径検出部873は、算出したレーザ光Lの光路長と焦点距離とに基づいて、レーザ光Lの照射位置におけるビーム径を算出する。
【0065】
レーザ光Lのビーム径は、アクチュエータ56xにより回転するガルバノミラー54xの位置(角度)と、アクチュエータ56yにより回転するガルバノミラー54yの位置(角度)と、アクチュエータ532により移動する拡散レンズ533の位置によって決定されるが、ガルバノミラー54xとガルバノミラー54yの回転は、前述したように遅れが生じる場合があり、拡散レンズ533の移動も慣性等の影響により照射制御部86からの指令から遅れが生じる場合がある。このため、レーザビーム径検出部873は、アクチュエータ56xに取り付けられたエンコーダ等からの信号とアクチュエータ56yに取り付けられたエンコーダ等からの信号とアクチュエータ532に取り付けられたエンコーダ等からの信号とに基づいて、ビーム径を算出している。
【0066】
図9は、拡散レンズ533の移動の遅れの例を示した図である。図9に示したグラフにおいて、一点鎖線は、照射制御部86からの指令が示す拡散レンズ533の位置であり、実線は、アクチュエータ532に取り付けられたエンコーダ等からの信号が示す拡散レンズ533の位置である。
【0067】
6.判定部
次に、判定部88による焼結の良否の判定について説明する。判定部88は、レーザ照射検出部87が検出したレーザ光Lの照射の状態に基づいて、レーザ光Lによる焼結の良否を判定するが、この判定に際して、記憶部89に記憶されている値を利用する。このため、まず、記憶部89に記憶されている値について説明する。
【0068】
記憶部89には、良好な焼結が行われるレーザパワー、走査速度およびビーム径のそれぞれの最小値および最大値が記憶される。つまり、記憶部89には、良好な焼結が行われると想定されるレーザ光Lのレーザパワーの範囲が、その最小値と最大値とで記憶されるとともに、良好な焼結が行われると想定されるレーザ光Lの走査速度の範囲が、その最小値と最大値とで記憶される。また、記憶部89には、良好な焼結が行われると想定されるレーザ光Lのビーム径の範囲が、その最小値と最大値とで記憶される。
【0069】
良好な焼結が行われると想定されるレーザ光Lのレーザパワー、走査速度、ビーム径の範囲は、粉末層Pを構成する金属の種類等に応じて予め決定される値である。
【0070】
判定部88は、レーザパワー検出部871によって検出されたレーザパワー、レーザ走査速度検出部872によって検出された走査速度およびレーザビーム径検出部873によって検出されたビーム径の少なくとも一つが記憶部89に記憶された最小値から最大値までの範囲外であった場合、焼結の不良と判定する。
【0071】
つまり、判定部88は、レーザパワー検出部871が検出したレーザ光Lのレーザパワーが記憶部89に記憶されているレーザパワーの最小値未満である場合と、レーザパワー検出部871が検出したレーザ光Lのレーザパワーが記憶部89に記憶されているレーザパワーの最大値を超えている場合には、レーザ走査速度検出部872が検出したレーザ光Lの走査速度とレーザビーム径検出部873が検出したレーザ光Lのビーム径にかかわらず、焼結の不良と判定する。
【0072】
また、判定部88は、レーザ走査速度検出部872が検出したレーザ光Lの走査速度が記憶部89に記憶されている走査速度の最小値未満である場合と、レーザ走査速度検出部872が検出したレーザ光Lの走査速度が記憶部89に記憶されている走査速度の最大値を超えている場合には、レーザパワー検出部871が検出したレーザ光Lのレーザパワーとレーザビーム径検出部873が検出したレーザ光Lのビーム径にかかわらず、焼結の不良と判定する。
【0073】
同様に、判定部88は、レーザビーム径検出部873が検出したレーザ光Lのビーム径が記憶部89に記憶されているビーム径の最小値未満である場合と、レーザビーム径検出部873が検出したレーザ光Lのビーム径が記憶部89に記憶されているビーム径の最大値を超えている場合には、レーザパワー検出部871が検出したレーザ光Lのレーザパワーとレーザ走査速度検出部872が検出したレーザ光Lの走査速度にかかわらず、焼結の不良と判定する。
【0074】
また、記憶部89に、レーザパワーの最小値、走査速度の最大値およびビーム径の最大値から算出されるレーザのエネルギー密度の最小値よりも大きい第1の値と、レーザパワーの最大値、走査速度の最小値およびビーム径の最小値から算出されるレーザのエネルギー密度の最大値よりも小さく、且つ、第1の値よりも大きい第2の値とをさらに記憶するようにしてもよい。
【0075】
レーザ光Lのエネルギー密度は、レーザパワーを、走査速度にビーム径を乗じた値で除した値となる。つまり、良好な焼結が行われると想定されるレーザパワーの最小値と、良好な焼結が行われると想定される走査速度の最大値と、良好な焼結が行われると想定されるビーム径の最大値を用いて算出したエネルギー密度は、良好な焼結が行われると想定される最小のエネルギー密度であり、良好な焼結が行われると想定されるレーザパワーの最大値と、良好な焼結が行われると想定される走査速度の最小値と、良好な焼結が行われると想定されるビーム径の最小値を用いて算出したエネルギー密度は、良好な焼結が行われると想定される最大のエネルギー密度である。
【0076】
したがって、第1の値と第2の値で規定されるエネルギー密度は、良好な焼結が行われると想定されるレーザ光Lのレーザパワー、走査速度、ビーム径の範囲をより狭めたものとなる。
【0077】
記憶部89に、第1の値と第2の値を記憶している場合、判定部88は、レーザパワー検出部871によって検出されたレーザパワー、レーザ走査速度検出部872によって検出された走査速度およびレーザビーム径検出部873によって検出されたビーム径からレーザのエネルギー密度を算出し、算出したエネルギー密度と、記憶部89に記憶された第1の値および第2の値とを比較し、算出したエネルギー密度が第1の値未満であった場合または第2の値を超えた場合、焼結の不良と判定する。
【0078】
また、記憶部89に第1の値と第2の値を記憶させずに、判定部88が、記憶部89に記憶されているレーザパワーの最小値、走査速度の最大値およびビーム径の最大値からレーザのエネルギー密度の最小値を算出するとともに、算出した最小値よりも予め定めた値だけ大きい第1の値を算出し、また、記憶部89に記憶されているレーザパワーの最大値、走査速度の最小値およびビーム径の最小値からレーザのエネルギー密度の最大値を算出するとともに、算出した最大値よりも予め定めた値だけ小さい第2の値を算出するようにしてもよい。
【0079】
この場合も、判定部88は、レーザパワー検出部871によって検出されたレーザパワー、レーザ走査速度検出部872によって検出された走査速度およびレーザビーム径検出部873によって検出されたビーム径からレーザのエネルギー密度を算出し、算出したエネルギー密度と、記憶部89に記憶された第1の値および第2の値とを比較し、算出したエネルギー密度が第1の値未満であった場合または第2の値を超えた場合、焼結の不良と判定する。
【0080】
ところで、図7に示したように、レーザ光Lの走査方向は反転する場合があり、その際の走査速度は0となる。また、レーザ光Lが照射されないタイミングもあり、その際には、レーザ光Lのビーム径は0となり、レーザパワーも0となる。このような場合、レーザ光Lのレーザパワー、走査速度、ビーム径の少なくとも1つが、良好な焼結が行われると想定される範囲を逸脱することになるため、誤判定の原因となる。
【0081】
ここで、レーザ光Lの走査速度とレーザ光Lの照射のタイミングの関係について説明する。図10は、レーザ光Lの走査速度とレーザ光Lの照射のタイミングの関係を示した図である。図10に示したグラフにおいて、破線は、レーザ光Lの走査速度であり、実線は、レーザ光Lが照射されている(ON)か否か(OFF)を示している。
【0082】
図10から明らかなように、レーザ光Lの走査速度が0となる際には、レーザ光Lは照射されていない状態(OFF)である。したがって、レーザ光Lが照射されていないタイミングにおいて、判定部88による判定を中断するか、レーザ照射検出部87による検出を中断することで、判定部88による誤判定を防止することが可能となる。
【0083】
7.全体動作
次に、積層造形装置1の動作の流れについて説明する。図11は、積層造形装置1の動作の流れを示すアクティビティ図である。
【0084】
積層造形装置1は、造形処理を開始すると、まず、テーブル2を所定の高さだけ下降させる(A101)。
【0085】
続いて、粉末層形成部4のリコータヘッド42が動作して、テーブル2上に粉末層Pを形成する(A102)。
【0086】
テーブル2上に粉末層Pが形成されると、レーザ照射部5が動作して、粉末層P上にレーザ光Lを照射する(A103)。
【0087】
レーザ照射部5がレーザ光Lを照射している間に、レーザパワー検出部871がレーザ光Lのレーザパワーを検出し(A104)、レーザ走査速度検出部872がレーザ光Lの走査速度を検出し(A105)、レーザビーム径検出部873がレーザ光Lのビーム径を検出する(A106)。
【0088】
レーザパワー、走査速度、ビーム径が検出されると、判定部88が、検出したそれぞれの値を記憶部89に記憶されているそれぞれの最小値および最大値と比較し、焼結が良好に行われているか否かを判定する。
【0089】
判定部88により焼結が不良であると判定された場合には、リコータヘッド42が次の粉末層Pの形成を行わない、つまり、積層造形装置1が造形処理を中止する。
【0090】
判定部88が、レーザパワー、走査速度、ビーム径のそれぞれの値を記憶部89に記憶されているそれぞれの最小値および最大値と比較した結果、焼結が良好に行われていると判定した場合には、判定部88は、さらに、レーザパワー、走査速度、ビーム径のそれぞれの値からレーザ光Lのエネルギー密度を算出する(A107)。
【0091】
判定部88は、レーザ光Lのエネルギー密度を算出すると、算出したエネルギー密度の値を記憶部89に記憶されている第1の値および第2の値と比較し、焼結が良好に行われているか否かを判定する。
【0092】
判定部88により焼結が不良であると判定された場合には、リコータヘッド42が次の粉末層Pの形成を行わない、つまり、積層造形装置1が造形処理を中止する。
【0093】
なお、記憶部89に第1の値と第2の値が記憶されていない場合には、判定部88が第1の値と第2の値を算出してもよく、エネルギー密度の算出を含む第1の値および第2の値との比較を省略してもよい。
【0094】
これらA104以降の処理は、現に形成している焼結層の形成が完了するまで繰り返され、また、現に形成している焼結層の形成が完了すると、A101以降の処理を、造形物が完成するまで繰り返される。
【符号の説明】
【0095】
1 :積層造形装置
12 :ウインドウ
2 :テーブル
21 :ベースプレート
3 :テーブル駆動部
4 :粉末層形成部
41 :ベース台
42 :リコータヘッド
421 :材料収容部
422 :材料供給部
423 :材料吐出部
424 :ブレード
43 :駆動部
5 :レーザ照射部
51 :光源
52 :コリメータ
53 :フォーカス制御ユニット
531 :駆動部
532 :アクチュエータ
533 :拡散レンズ
54x :ガルバノミラー
54y :ガルバノミラー
55x :駆動部
55y :駆動部
56x :アクチュエータ
56y :アクチュエータ
6 :チャンバ
7 :ウインドウ
8 :制御装置
81 :CAM装置
82 :数値制御装置
821 :記憶装置
822 :演算装置
823 :メモリ
83 :表示装置
84 :粉末層形成制御部
85 :テーブル制御部
86 :照射制御部
861x :ミラー制御部
861y :ミラー制御部
87 :レーザ照射検出部
871 :レーザパワー検出部
872 :レーザ走査速度検出部
873 :レーザビーム径検出部
88 :判定部
89 :記憶部
A :矢印
B :矢印
L :レーザ光
P :粉末層
R :造形領域
S :焼結層
U :矢印
d :ビーム径
p :間隔
w :幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11