(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200570(P2020-200570A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】RSJ経編み機に基づくフリーカット経編み生地の製造方法
(51)【国際特許分類】
D04B 21/00 20060101AFI20201120BHJP
D04B 21/18 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
D04B21/00 Z
D04B21/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-229272(P2019-229272)
(22)【出願日】2019年12月19日
(31)【優先権主張番号】201910485102.X
(32)【優先日】2019年6月5日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519452116
【氏名又は名称】▲広▼州市天▲海▼花▲邊▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】沈 ▲寧▼一
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲東▼平
(72)【発明者】
【氏名】董 叶
(72)【発明者】
【氏名】黄 小兵
【テーマコード(参考)】
4L002
【Fターム(参考)】
4L002AB00
4L002CA01
4L002CA02
4L002CA03
4L002EA00
4L002EA06
4L002FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】RSJ経編み機に基づくフリーカット経編み生地の製造方法を提供する。
【解決手段】乾式紡糸スパンデックスのラップ糸または極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸を備える、ステップと、一定のドラフト比を有して乾式紡糸スパンデックスのラップ糸または極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸に対して整経を実施するステップであって、整経のために同一重量を有するコーンを選択するために使用され、重量の偏差率が、3%以内に制御され、上方および下方張力偏差が、整経プロセスにおいて1cN以内に制御される、ステップと、RSJ経編み機のジャカードガイドバーの穴内に乾式紡糸スパンデックスのラップ糸を送る、または穴内に極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の編み材料糸を2本通しすることにより、鎖編み、トリコット編み、および裏毛コード編みの混合を伴った地組織構造を形成するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RSJ経編み機に基づくフリーカット生地の製造方法であって、
1つまたは複数の糸を用意するステップであって、前記糸が、乾式紡糸スパンデックスのラップ糸または極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸を備える、ステップと、
前記乾式紡糸スパンデックスのラップ糸または前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸が個別に一定のドラフト比を有して整経ビーム上に整経されるように、前記乾式紡糸スパンデックスのラップ糸または前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸に対して整経を実施するステップであって、秤量方法が、整経のために同一重量を有するコーンを選択するために使用され、重量の偏差率が、3%以内に制御され、上方張力偏差および下方張力偏差が、整経プロセスにおいて1cN以内に制御される、ステップと、
RSJ経編み機のジャカードガイドバーの穴内に前記乾式紡糸スパンデックスのラップ糸を送る、または前記RSJ経編み機のジャカードガイドバーの穴内に前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の編み材料糸を2本通しすることにより、鎖編み、トリコット編み、および裏毛コード編みの混合を伴った地組織構造を形成するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
RSJ経編み機の元の送出しユニットの前方に別の送出しユニットを設置することにより、前記ジャカードガイドバーの前側から前記ジャカードガイドバーの穴中に前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸を挿通するステップを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸用の独立型糸走行システムを用意するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
追加的に用意された前記別の送出しユニットの回転方向を変更することにより前記整経ビームからの前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸の出口位置を制御するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸用の糸拡散バーを設置することにより、前記極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および前記別の編み材料糸をほぼ平行な角度にて前記ジャカードガイドバーの前記穴に2本通しさせるステップを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RSJ経編み機に基づくフリーカット経編み生地の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも18個のパターンガイドバーを有するマルチバーラッセル機とは異なり、ジャカード経編み機は、ジャカードデバイスを有する複数のガイドバーのみからなる。その場合に、RSJシリーズのジャカード経編み機は、新型ピエゾジャカードシステムおよびその優れた性能により様々な経編みパターン生地を製造するために広く使用される。RSJシリーズのジャカード経編み機により編成された生地(RSJ生地)は、衣類生地、装飾材料、および工業材料の態様での使用が増加しており、RSJ生地の開発および用途は、市場において急速に変化する。従来の生地は、編成方向とは逆方向への外部力作用(洗浄、引張等を含む)下において容易にほつれる。現行のRSJ生地のほつれ防止特性は、編成時の機のピック数および仕上がり数を経方向に増加させることによって通常改善されるが、この方法は、RSJ生地のコストを大幅に上昇させ、フリーカットの機能を完全には実現することができない。
【0003】
フリーカットを特徴とするRSJ生地の切断は、高い自由度を必要とし、この高い自由度は、製造プロセスにおいて残る半端や切れ端を大幅に削減し、エネルギー節減を実現することを必要とする。したがって、コストを管理し良好なフリーカット性能をもたらす方法に関する研究および開発は、市場から好評を得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の主な目的は、RSJ生地の繊維感触の喪失および外観への悪影響を伴わずに、良好なほつれ防止性能をRSJ生地に与え、経方向編成密度を低下させ、繊維弾性を上昇させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願では、RSJタイプの経編み機に基づく編成方法が、当技術分野における問題を解決するために提案される。乾式紡糸スパンデックスのラップ糸を備える原材料、またはジャカードガイド内に2本通しされる(double-threaded)極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別材料の編み糸を備える原材料が、採用され、これらの原材料の均一なドラフト比は、本発明の特定の整経制御により実現される。RSJタイプの経編み機は、乾式紡糸スパンデックスのラップ糸を備える原材料、またはジャカードガイド内に2本通しされる極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の編み糸を備える原材料を複数のウェールにおいて交互に編成することにより、鎖編み、トリコット編み、および裏毛コード編み(lined cord)の混合を伴ったベース地組織を形成するために使用されてもよく、かかる地組織に基づき、ステッチは、経糸方向および緯糸方向において伸縮糸材料によってさらに強力に収縮されて、他の糸同士を共に緊密に保持し、それによってステッチ同士を緊密に編成し、多数の方向への緩みを困難にし、これにより従来のほつれ防止、感触、コスト等の間の相反を良好に解消する。
【0006】
乾式紡糸スパンデックスを備えるラップ糸材料の使用により実現される本発明の実施形態は、RSJ経編み機のスタンド構成に対する修正の必要性を伴わず、したがって機械スタンドの選択に関してより高い自由度を有することを特徴とする。
【0007】
ジャカードガイド内に2本通しされる極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の編み糸(例えば、ジャカード編み糸)を備える材料の使用により実現される本発明の実施形態は、2つの別個の糸(すなわちジャカード編み糸および極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸)が、糸送出しシステム、糸送給システム、およびコラム固定システムのセットの設置によりジャカードガイドバーの同一の穴に同時的に送られることを特徴とする。
【0008】
乾式紡糸スパンデックスのラップ糸または極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸の均一なドラフト比を実現するために、したがってジャカードバーでの編成を容易にするために、本発明は、均一な整経制御システムを用いて開発される。
【0009】
本発明による方法は、例えば、2つのジャカードバー、3つの編み芯地(knitting ground)バー、および1つのインレイバーを有するRSJ5/1タイプまたはRSJ5/1ELタイプの経編み機に対して(非限定的に)適用可能である。ジャカードバーは、主としてパターンおよび地組織を編成するために使用され得るものであり、編み芯地バーは、主として地組織を編成するために使用され得るものであり、インレイバーは、主として弾性原材料を送るために使用され得る。
【0010】
本発明における方法により生産されるRSJフリーカット生地は、ほつれ防止性および軟らかく快適な感触に加えて、優れた経方向および緯方向における弾性および復元性ならびに他の良好な品質を有する。
【0011】
以下、本発明をより明確に説明するために、添付の図面と組み合わせて、限定的な実施形態ではなく例示的な実施形態を紹介する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願によるジャカードガイド内に2本通しされた、極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の既知の編み糸で編成されたステッチ構造体の概略図である。
【
図2】本願による改良されたRSJ経編み機の糸送出しユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本願の実施形態の技術的解決策を明確にかつ余すところなく説明する。説明される実施形態は、本願の実施形態の一部に過ぎず全てではないことは明らかである。本明細書における実施形態に基づき、創造行為を伴わずに当業者によって実現されるあらゆる他の実施形態は、本願の保護範囲内に含まれる。
【0014】
本発明は、RSJ経編み機で経編み生地を生産するための方法を提供し、この方法により生産される生地は、好ましいフリーカット特性と様々な着用特徴とを有する。かかる編成方法では、乾式紡糸スパンデックスのラップ糸を備える原材料、またはジャカードガイド内に2本通しされる極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の編み材料糸を備える原材料を用いて、特定の地組織構造が、以下の様式でRSJ経編み機において形成され得る。すなわち、単一の経糸が、いくつかのウェールで交互に編成されて、ステッチを経糸方向および緯糸方向に完全に引き寄せ目の詰まったものにする。
【0015】
本発明の実施形態1は、乾式紡糸スパンデックスのラップ糸を編成することにより実現され、
1. 従来の編み材料ではなく、乾式紡糸スパンデックスを備えるラップ糸が準備される。
2. 乾式紡糸スパンデックスを備えるラップ糸は、整経ビーム上の各ラップ糸が均一なドラフト比を有するように、特定の整経により整経ビームに巻き付けられる。
3. 特定のほつれ防止地組織構造は、単一の経糸がいくつかのウェールで交互に編成されて、ステッチを経糸方向および緯糸方向に完全に引き寄せ目の詰まったものにするように、RSJ経編み機により形成される。
【0016】
本発明は、繊維ステッチ同士がコース間で緊密に織り合わされ得ることを必要とする。乾式紡糸スパンデックスのラップ糸は、この要件に非常によく合致する。乾式紡糸スパンデックスのラップ糸は、外方フィラメント糸または外方ステープル糸が外部にラップされた芯糸(すなわち超弾性乾式紡糸スパンデックス糸)からなる。外方糸は、らせん状に芯糸をラップして複合ラップ糸を形成する。この複合ラップ糸は、良好なかさ高および膨らみを伴った平滑さおよび滑らかさがあり、毛羽立ちがより少なく、強度がより高く、破断がより少ない。複合ラップ糸は、実際の要件に従った適切な芯糸および外方糸により形成されてもよく、その強度は個々の糸のいずれよりも高い。編成プロセスで、高強度を有するこの糸は、効率および品質に関して非常に重要である。
【0017】
乾式紡糸スパンデックスを備えるラップ糸は、極細外方糸によりらせん状に囲まれた良好な弾性伸びおよび復元性を有する乾式紡糸スパンデックスの芯糸によって形成され、良好な熱収縮特性を有する。また、ラップ糸のステッチは、それらのラップ糸のステッチ中へと経糸方向および緯糸方向において他の糸のレッグまたはアンダーラップをしっかりと固定すると共に、あらゆる角度からのほつれ防止特性を実現しフリーカット機能を実現するのに十分なだけ複数のウェールを引き寄せることが可能である。好ましくは、極細高弾性材料が、乾式紡糸スパンデックスの糸をラップする外方糸として使用することが可能であり、これはさらに、良好な着用快適性および多数の他の優れた着用特性を伴った素晴らしい触感を生地に与えると共に、生地密度を大幅に低下させる(したがって原材料コストを低下させる)。
【0018】
乾式紡糸スパンデックスを備えるラップ糸は、編成物の確実性を確保するためにある特定の弾性伸びを有するため、弾性複合糸の一定のドラフト比は、編成における張力の一定性を実現するために特定の整経プロセスのみを通じて保証されてもよい。
【0019】
RSJ経編み機での編成は、整経により、原材料がこの機械で使用され得るパッケージとして整経ビームに巻き付けられることを必要とする。スパンデックス糸は、高弾性であり、6〜7回伸張され得る。整経ビーム上における各糸のドラフト比を高い一定性で実現するためには、乾式紡糸スパンデックスを備えるラップ糸材料に関する整経張力を厳密に制御することが必要である。これを目的として、整経時には、同一サイズの元のコーンを使用し、秤量方法による整経のために同一重量を有するコーンを選択することが必要であり、重量の偏差率は、3%以内に制御されるべきである。整経プロセスでは、張力の上方偏差および下方偏差が、1cNの範囲内で制御され、好ましくは、整経張力デバイスのダンピングレベルの高さは、1つずつ検出される。さらに、最終ドラフトが、整経中に厳密に制御され、同一質量を有する各コーンが、均一な張力という目的を達成するために同一の長さの糸で整経されなければならない。さらに、これらのコーンを使用する場合に、同一の原材料ボックス内のコーンは、整経機の同一の糸スタンドへの取付けを回避されるべきである。
【0020】
また、フリーカット特性に対する地組織構造の影響が非常に重要である。一般的な機械タイプの地組織は、鎖編みから形成され、経糸が、1つのウェールにステッチを形成するようになっており、緯糸方向において他のステッチと限定的に関連付けられる。本発明では、鎖編み、トリコット編み、および裏毛コード編みの混合を伴った地組織構造は、RSJ経編み機により形成され、これは、異なるウェールにおいて糸を交互に編成させて、異なるレベルにて他の糸に重畳およびインターロックし、あらゆる角度からのほつれ防止特性を実現する。
【0021】
フリーカット製品が乾式紡糸スパンデックスを備える複合ラップ糸を使用することによりRSJ経編み機で形成される本実施形態における方法は、機械スタンドの制約を伴うことなく広く一般的に使用されるが、特定の整経制御システムが、ドラフト比の一定性を確保するために必要とされる。
【0022】
本発明の実施形態2は、ジャカードガイド内に2本通しされた極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および別の編み材料糸を編成することにより実現され、
1. 別の糸送出しユニットが、RSJ経編み機の元の糸送出しユニットに追加してジャカード糸送出しユニットの前方に設置され(それぞれ当技術分野の従来の設計のように前後から2つのジャカードバーのガイド穴内に挿入しない)、これは、前側からジャカードガイドバーの穴内に弾性糸を挿通するのを容易にする。このような糸通しの最も顕著な利点は、弾性糸が起動プロセスにおいて付着および結び目ができやすい状況が完全に考慮されており、それにより作業員が糸の不良に対処するのを可能な限り支援する点である。
2. 極細乾式紡糸スパンデックスの裸子に適した独立型糸走行システムが、新規に追加され、これは、大量の極細弾性乾式紡糸スパンデックス糸が送られるときに付着または結び目が発生しないことを助長し得る。
3. 実施形態1と同様の特定の整経制御プロセスを通じて、極細乾式紡糸スパンデックスの裸子は、均一なドラフト比で整経されるため、機械で使用されるのに適した整経ビームのパッケージが得られる。
4.2つの糸(すなわち極細乾式紡糸スパンデックス糸および別の編み材料糸)が、ジャカードガイドの穴に同時に挿通され、重畳され、編成される。
【0023】
本発明の実施形態2の編成方法は、極細乾式紡糸スパンデックスの裸子が、RSJ経編み機の特徴および実際の生産上の必要性に基づき、RSJ経編み機の最前部に送出しデバイスセットを追加しスパンデックス糸に適した独立型糸走行システムを追加することにより、元の糸のインレイの影響を伴わずにガイドの穴内に直線的に送られ得るようにするものである。
【0024】
極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸および従来のジャカード糸は、ジャカードガイドバーの穴に2本通しされる。編成後に、他の糸のレッグまたはアンダーラップは、極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸の強力な引き寄せによりしっかりとロックされるため、ほつれがいずれの方向からも容易には起きず、生地がフリーカット特性を有することになる。
【0025】
図1に示すように、糸Aおよび糸Bの一方が、極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸であり、これは、良好な弾性を有し、ほつれへの抵抗を補助するようにステッチ同士を複数の交差部(例えば
図1ではステッチ中に数字で示される位置等)で共に緊密に接触および固定し得る。
【0026】
極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸が2本通しされる編成性を保証するために、RSJ経編み機の特徴に基づき、糸走行経路の完全セットが、最適な様式で極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸用に設計される。すなわち、弾性糸(極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸)の送出しは、ガイドバーの大きな角度での曲がりを通過することなく機械の上方前方部から実施され、これらの糸は、糸走行経路中における追加的な摩擦を回避するために可能な限り、最短直線距離に位置するジャカードガイドバーの穴に対してほぼ通され、一方でこれは、元の従来の糸走行に対して悪影響を及ぼさない。他方で、極細乾式紡糸スパンデックスの裸糸は、独立型糸走行システムの完全セットを有し、破断した糸の処理は、元の従来の材料糸により全く影響されないことが可能となる。
【0027】
スパンデックス原材料および非スパンデックス原材料が、整経プロセスおよび編成プロセスにおいて異なるドラフトを有するため、ならびに従来のRSJ経編み機には追加の糸送出しデバイスが存在しないため、独立型糸送出し経路は、スパンデックス編成に適合するようにスパンデックス糸の送出しが2本通しされるように設計されなければならない。
【0028】
図2は、本願による能動糸送出しデバイスを概略的に示す。参照数字1は、整経ビームを示し、参照数字2は、能動送出しユニットを示し、参照数字3は、駆動チェーンを示し、参照数字4は、ピラーを示す。ピラー4は、送出しユニットおよび糸拡散デバイス等の構成要素を固定するために新規に追加される。RSJスタンド上の元の糸送出しユニットに加えて、能動送出しユニット2は、整経ビーム上のスパンデックスの裸糸がある特定の送出し量にしたがって編成バーのガイド内に送られるように、送出し整経ビーム1を駆動するために新規で追加される。
【0029】
整経ビーム1上に整経される極細乾式紡糸スパンデックスの材料は、より細く、より低い強度を有する。過度に長い糸走行経路および蛇行状の糸走行経路のどちらも、極細乾式紡糸スパンデックスの編成において糸破断の問題または糸走行位置の問題を引き起こす。編成時には、整経ビーム1上における極細乾式紡糸スパンデックスの糸の出口位置を調節することが必要とされ、本実施形態では、整経ビーム上における糸の出口位置は、整経ビームの下方である。糸の出方は、送出しユニット2の回転方向を変更することにより変動し得る。極細乾式紡糸スパンデックス糸および編み材料糸は、編成時に正確なレイ動作を実施することが可能となるように同一のバーニードルの穴に2本通しされるため、2本通しされる場合の極細乾式紡糸スパンデックス糸と編み材料糸との間の角度は、可能な限り小さく、好ましくは実質的に平行である。糸拡散バーが、極細乾式紡糸スパンデックス糸をこの拡散バーに通して進ませ、したがって極細乾式紡糸スパンデックス糸と編み材料糸との間に所要の角度を実現するために機械スタンド内に設置されてもよい。整経ビームからの極細乾式紡糸スパンデックス糸の出口位置から糸拡散バーまでの角度が過剰に大きくなり得る、およびその大きな角度により極細乾式紡糸スパンデックス糸の走行が滑らかでなくなり得る場合には、糸拡散バーと整経ビームとの間に別の糸拡散バーが、この問題の解消のために追加される。
【0030】
実施形態2で使用されるスパンデックスの裸子の整経は、スパンデックスの裸糸用のコーンのパッケージがはるかにより大きく、事前加工の実施が不要であり、さらには材料供給が十分となりこれが発送期間による影響を被らないため、有利である。したがって、包括的なコストは、実施形態1のものよりも有利となる。
【0031】
上記は、RSJ経編み機によりフリーカット特性を有する生地を編成する2つのアプローチであり、これらは両方とも、整経ビームの特定の整経制御システムを必要とする。RSJ経編み機は、第2のアプローチでは改良される。特定の地網(ground net)が、フリーカット特性を有する生地を編成するためにRSJ経編み機により設計および実施されてもよく、それを目的として当技術分野におけるいかなる変更も要件に基づき実施されてもよく、本願では列挙しない。
【0032】
上記は、本願の好ましい実施形態に過ぎず、本発明を限定するようには意図されない。本願の趣旨および原理の範囲内においてなされるいかなる修正、均等物、置換、改良等も、本発明の保護範囲内に含まれ得る。
【符号の説明】
【0033】
1 整経ビーム
2 能動送出しユニット
3 駆動チェーン
4 ピラー
【外国語明細書】