特開2020-200603(P2020-200603A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200603(P2020-200603A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】排水ドレン
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20201120BHJP
【FI】
   E04D13/068 503E
   E04D13/068 503C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-106675(P2019-106675)
(22)【出願日】2019年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北村 昌司
(57)【要約】
【課題】落ち葉やビニール袋等の障害物が堆積しても、排水口に排水することが可能な排水ドレンを提供する。
【解決手段】複数の排水窓24を有するごみ除け体23を備えた排水部2と、該排水部より上方に上部が露出している予備排水部3とを備えた排水ドレン1において、前記予備排水部は、下端部4bが下方に開口している本体部4と、該本体部の上方を覆う覆い部5と、側方に排水導入口30とを有し、該排水導入口は前記排水部より上方に位置し、前記本体部の下端部の開口と連通している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の排水窓を有するごみ除け体を備えた排水部と、該排水部より上方に上部が露出している予備排水部とを備えた排水ドレンにおいて、
前記予備排水部は、下端部が下方に開口している本体部と、該本体部の上方を覆う覆い部と、側方に排水導入口とを有し、該排水導入口は前記排水部より上方に位置し、前記本体部の下端部の開口と連通していることを特徴とする排水ドレン。
【請求項2】
請求項1において、
前記本体部は、上端部の開口が下端部の開口より大きく形成されていることを特徴とする排水ドレン。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記本体部は、内方に位置する支持部を有し、
前記予備排水部は、前記覆い部が前記支持部に支持されることで、前記覆い部と前記本体部との間に略全周にわたり側方開口が形成され、該側方開口で前記排水導入口を構成したことを特徴とする排水ドレン。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記本体部の内部に上下方向に延びる棒状体をさらに備えることを特徴とする排水ドレン。
【請求項5】
請求項4において、
前記棒状体の下端部は、前記本体部の下端部より下方に位置することを特徴とする排水ドレン。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記本体部の下端部は、前記ごみ除け体の下端部より下方に位置することを特徴とする排水ドレン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒樋やベランダ等の排水口に取り付ける排水ドレンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、雨水を排水する軒樋やベランダ等の屋外の排水口には、落ち葉やビニール袋等の障害物が排水口に流れ込むのを防止する排水窓を備えた排水ドレンが設けられている。このような排水ドレンでは、障害物が排水口に流れ込むのを防止できるが、排水窓が障害物によって塞がれてしまい、雨水が排水口に排水されずに水位が上がりオーバーフローして軒樋から雨水が溢れるおそれがある。そのため、排水窓が障害物によって雨水がせき止められた場合、排水窓より上方に開口を設けた予備排水部によって竪樋に雨水を排水し、軒樋から雨水が溢れることを防止する排水ドレンが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平01−042577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、予備排水部の上端が開口されているので、上端の開口が落ち葉やビニール袋等の障害物によって塞がれると、オーバーフローした雨水の排水がスムーズに行われなくなり、雨水が軒樋から溢れるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、落ち葉やビニール袋等の障害物が堆積しても、排水口に排水することが可能な排水ドレンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の排水ドレンは、複数の排水窓を有するごみ除け体を備えた排水部と、該排水部より上方に上部が露出している予備排水部とを備えた排水ドレンにおいて、前記予備排水部は、下端部が下方に開口している本体部と、該本体部の上方を覆う覆い部と、側方に排水導入口とを有し、該排水導入口は前記排水部より上方に位置し、前記本体部の下端部の開口と連通していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の排水ドレンは、前記本体部は、上端部の開口が下端部の開口より大きく形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の排水ドレンは、前記本体部は、内方に位置する支持部を有し、前記予備排水部は、前記覆い部が前記支持部に支持されることで、前記覆い部と前記本体部との間に略全周にわたり側方開口が形成され、該側方開口で前記排水導入口を構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の排水ドレンは、前記本体部の内部に上下方向に延びる棒状体をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の排水ドレンは、前記棒状体の下端部は、前記本体部の下端部より下方に位置することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の排水ドレンは、前記本体部の下端部は、前記ごみ除け体の下端部より下方に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の排水ドレンは、上述した構成とされているため、予備排水部の上方から落下してきた障害物によって予備排水部の排水導入口は塞がれにくくなる。
【0013】
請求項2に記載の排水ドレンは、上述した構成とされているため、本体部全体の開口を大きくすることなく、広い範囲の雨水を本体部に流入させることができる。
【0014】
請求項3に記載の排水ドレンは、上述した構成とされているため、全周から雨水を予備排水部に流入させることができる。
【0015】
請求項4に記載の排水ドレンは、上述した構成とされているため、棒状体が本体部内部の排水の流れを誘導することができる。また、棒状体を用いることで、予備排水部に覆い部と本体部との間に略全周にわたり側方開口を容易に設けることができる。
【0016】
請求項5に記載の排水ドレンは、上述した構成とされているため、予備排水部に流入した雨水の流れを本体部の下方まで誘導することができる。
【0017】
請求項6に記載の排水ドレンは、上述した構成とされているため、本体部が排水窓から流入した雨水を下方に誘導する整流部となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】は、本発明に係る排水ドレンの分解斜視図である。
図2】(a)は、排水ドレンの模式縦断面図、(b)は、障害物が堆積した状態における排水ドレンの模式縦断面図である。
図3】(a)〜(d)は、それぞれ他の実施形態における排水ドレンの模式縦断面図である。
図4】(a)は、排水部に係止足部を備えた変形例の模式縦断面図、(b)は、桟材とリング部を備えた排水部の鍔部の変形例の平面図、(c)は、本体部の外周面に雄ねじ溝が形成された予備排水部の変形例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。まず、排水ドレンの基本構成について説明する。なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
【0020】
図1,2に示す排水ドレン1は、複数の排水窓24を有するごみ除け体23を備えた排水部2と、排水部2より上方に上部が露出している予備排水部3とを備えている。予備排水部3は、下端部4bが下方に開口している本体部4と、本体部4の上方を覆う覆い部5と、側方に排水導入口30とを有し、排水導入口30は排水部2より上方に位置し、本体部4の下端部4bの開口と連通している。以下、詳しく説明する。なお、本実施形態の排水ドレン1は、軒樋7の下流側の底面71に開設された排水口72に取り付けられるものを例として説明する。
【0021】
排水口72の上方に取り付けられる排水部2は、筒状体21と、鍔部22と、ごみ除け体23とにより構成されている。筒状体21は、合成樹脂等で形成され、外径は軒樋7の排水口72より小径に形成されている。筒状体21の外周面には、ねじ山等の螺合部21aが形成されている。筒状体21の上端には、外方に突設した鍔部22が形成されている。また、筒状体21の上端には、ごみ除け体23が固着されている。ごみ除け体23は全体が半球状の格子に形成されており、複数の排水窓24が開設されている。ごみ除け体23の頂部23aには、後述する予備排水部3の本体部4の一部が挿通される開口が形成されている。なお、ごみ除け体23は、合成樹脂で形成されてもよく、金網に用いられるような金属材料であってもよい。本実施形態では、筒状体21とごみ除け体23とが別体でそれぞれ形成されたものを固着させているが、合成樹脂等で一体に形成されてもよい。
【0022】
予備排水部3は、本体部4と覆い部5とにより構成されている。本体部4は、排水部2のごみ除け体23の頂部23aより上方に露出し、上方に向けて次第に拡径する排水導入部41と、ごみ除け体23の頂部23aより下方に位置し、排水導入部41の下端部41bに上端部42aが接続されている上下方向に延びた管状部42とを有している。これにより本体部4は上端部4a(排水導入部41の上端部41a)の開口が下端部4b(管状部42の下端部42b)の開口より大きくなる。排水導入部41は内周面41cの半ばから内方上方に向けて延びた複数の立設した板状の桟材43を有する。また、本体部4は、複数の桟材43のそれぞれ内方の端部43aに接続されている、本体部4の内方に位置する円柱状の支持部44を有する。支持部44は、本体部4の径方向の略中心に位置し、その中心部に上下に連通している雌ねじ孔44aが形成されている。
【0023】
覆い部5は、中心部が上方に突出するように湾曲した笠状に形成され、本体部4の上端部4aと略同径に形成されている。覆い部5の下面5bは凹曲面となっている。また、下面5bの中心部には、棒状体51の上端部が係止される係止凹部52が形成されている。棒状体51は、覆い部5の係止凹部52から下方に延びて形成されており、上部の一部の外周には支持部44の雌ねじ孔44aに螺合する雄ねじ溝51aが形成されている。これにより、覆い部5は支持部44によって支持され、本体部4の上方を覆い、棒状体51と支持部44との協働で、予備排水部3に側方開口が形成される。また、雄ねじ溝51aの上方には、外方に突設している突起部51cが形成されている。突起部51cにより、覆い部5の必要以上の下方への移動が規制される。なお、棒状体51の上端部に雄ねじ溝を形成し、係止凹部52に雌ネジ溝を形成して螺合されてもよい。
【0024】
覆い部5が棒状体51の突起部51cを支持部44の上端に当接させるようにして本体部4の上方を覆うことで、覆い部5の下端縁部5cと本体部4の上端部4aとの間に略全周にわたり側方開口が形成される。この側方開口が予備排水部3の排水導入口30となり、本体部4の下端部4bの開口と連通している。また、棒状体51は、本体部4の内部の中心部を通るように配される。以上のようにして構成された予備排水部3の一部が、ごみ除け体23の上方から頂部23aを通して挿通される。頂部23aの開口は、予備排水部3の管状部42が通る大きさで形成されているが、排水導入部41は上方にかけて次第に拡径する形状であるので、頂部23aの開口を排水導入部41が通れずに引っ掛かる。これにより、予備排水部3は、上部である排水導入部41が排水部2から露出して、ごみ除け体23に支持される。以上によって、排水ドレン1は構成される。
【0025】
次に、排水口72の下方に取り付けられるドレン受部6について説明する。ドレン受部6は、合成樹脂等で形成され、嵌合段部61と鍔部62を有している。嵌合段部61は排水口72より小径に形成されている。嵌合段部61の上部61Aは、内周面の一部又は全部に周方向に向けてネジ溝等の螺合受け部61aが形成されている。また、嵌合段部61の下部61Bは、上部61Aの螺合受け部61aに筒状体21の螺合部21aが螺合されたときに筒状体21の内周面と下部61Bの内周面とが略面一になるように上部61Aより小径に形成されている。また、嵌合段部61は竪樋8等の上端8aと連結可能となっており、連結されたときに上部61Aの外周面と竪樋8の上端8aの外周面とが面一になるように、嵌合段部61は形成されている。嵌合段部61の上端には、外方に突設した鍔部62が形成されている。
【0026】
上述のようにして構成されたドレン受部6を用いて排水ドレン1が排水口72に装着される例を説明する。排水部2の筒状体21が、軒樋7の排水口72の下方に露出するように排水口72の上方から排水部2を配設する。そして、排水部2の筒状体21の螺合部21aが、嵌合段部61の螺合受け部61aに螺合するように軒樋7の排水口72の下方にドレン受部6を配設する。排水部2の鍔部22とドレン受部6の鍔部62とが、排水口72の縁部付近を挟持し、排水ドレン1は排水口72に装着される。
【0027】
図2(a)に示すように、排水口72に装着された排水ドレン1は、通常は図中の二点鎖線の矢印が示すように、ごみ除け体23の排水窓24を通って排水口72へ雨水が排水される。しかし、落ち葉やビニール袋、塵芥等の障害物Gにより排水窓24が塞がれると、排水窓24から雨水が排水されにくくなり、排水部2の排水能力が減退して軒樋7内の水位Wが上昇する(図2(b)参照)。そして、水位Wが本体部4の上端部4aに達すると、図中の二点鎖線の矢印が示すように、雨水が排水導入口30を通じて予備排水部3の本体部4内に流入し、排水導入部41の内周面41cに沿って流れる。本体部4の下端部4bは下向きに開口しているので、排水口72を通じて下方の竪樋8に雨水が排水される。したがって、排水能力が減退した排水部2からの排水と、予備排水部3からの排水とで、軒樋7において想定していた排水能力を確保することができる。
【0028】
また、覆い部5の上面5aは湾曲した形状となっているので、上面5aに雨水がたまりにくくなっており、上面5aに付着した雨水はやがて軒樋7内に流れる。覆い部5は、本体部4の上端部4aの開口を覆うので、排水ドレン1の上方から飛来した障害物Gが本体部4の上端部4aの開口に到達するのを阻止する。また、覆い部5は本体部4の上端部と略同径に形成されているので、覆い部5の上面5aに堆積した障害物Gが落下しても、本体部4内に入りにくい構成となっている。
【0029】
棒状体51は、本体部4の中心を通るように支持部44を貫通して下方に延びている。これにより、予備排水部3に流入した雨水は、棒状体51に接触しやすくなるので、排水効率が上昇し、棒状体51は、排水導入口30からの排水の流れを整える整流棒となる。なお、本実施形態では、棒状体51の下端部51bは、本体部4の下端部4bより下方に位置し、筒状体21の半ば付近に位置する。棒状体51の下端部が本体部4の下端部4bよりも下方に位置するので、本体部4内からスムーズに雨水が排水される。なお、棒状体51の下端部51bは、図中に示したものに限定されることはなく、さらに上方や下方に位置してもよく、本体部4内に位置してもよく、また筒状体21よりも下方に位置してもよい。
【0030】
そして、本体部4の下端部4bは、ごみ除け体23の下端部23bより下方に位置している。これにより、排水窓24を通じて排水口72に流れてきた雨水は、本体部4(管状部42)に接触しながら排水され易くなるので、排水効率が上昇し、本体部4は、排水窓24からの排水の流れを整える整流部となる。なお、本体部4の下端部4bは、図中に示したものに限定されることはなく、さらに上方や下方に位置してもよく、また筒状体21よりも下方に位置してもよい。
【0031】
次に図3(a)〜(d)を参照して、排水ドレン1の他の実施形態について説明する。なお、図1,2に示す排水ドレン1は第1実施形態とし、図3(a)〜(d)に示す排水ドレン1は、第2実施形態〜第5実施形態として説明する。また、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。
【0032】
図3(a)に示す第2実施形態の排水ドレン1は、本体部4の下端部4bがごみ除け体23の頂部23aと略同一の上下位置に位置し、本体部4が下端部4bから上端部4aにかけて次第に拡径する形状となっている。つまり本実施形態の本体部4は、第1実施形態の本体部4における管状部42が形成されておらず、第1実施形態における排水導入部41のみの構成となっている。また、本体部4の桟材43に支持されている支持部44の上端には、上方に突出した係止凸部44bが形成されている。一方、支持部44の下端には、雌ねじ穴44cが形成され、雌ねじ穴44cに棒状体51の上端に形成された雄ねじ溝51aが螺合される。棒状体51の下端部51bは、ごみ除け体23の下端部23b付近に位置し、棒状体51の外周面にはらせん状に突設したらせん溝51dが形成されている。らせん溝51dの整流作用によって、棒状体51は排水を誘導する整流棒となる。覆い部5には、係止凸部44bが嵌合する係止凹部52が形成されている。支持部44の係止凸部44bが覆い部5の係止凹部52に嵌合されることで、覆い部5は本体部4の上方を覆うように支持され、予備排水部3は本体部4の上端部4aと覆い部5の下端縁部5cとの間に、排水導入口30となる側方開口が形成される。なお、本体部4とごみ除け体23とは、接着剤等で固着されてもよく、本体部4の外周面の一部に雄ねじ溝を形成し、ごみ除け体23の頂部23aに雌ねじ溝を形成して螺合されてもよく、ごみ除け体23と本体部4とが一体に形成された構成であってもよい。また、支持部44の係止凸部44bに雄ねじ溝を形成し、覆い部5の係止凹部52に雌ネジ溝が形成されてもよい。また、棒状体51には、らせん溝51dは形成されていなくてもよい。
【0033】
図3(b)に示す第3実施形態の排水ドレン1の排水導入部41は、第1,2実施形態とは異なり桟材は用いられず、内周面41cから内方に突出するようにして形成された支持部44が、周方向に等間隔に複数形成されている。そして、各支持部44の上端には、それぞれ凹状に開口した係止凹部44dが形成されている。覆い部5の下面5bには、支持部44の係止凹部44dと同軸線上に係止足部53が配される。係止足部53は、上端に雄ねじ溝53aが形成され、覆い部5の下面5bに形成された雌ねじ穴54に螺合されている。覆い部5の係止足部53が支持部44の係止凹部44dに嵌合することで、覆い部5は本体部4の上方を覆うように支持され、予備排水部3は、本体部4の上端部4aと覆い部5の下面5bとの間に、排水導入口30となる側方開口が形成される。また、覆い部5は、上面5aの中心部が上方に突出するように湾曲した形状である点は、上述した第1,2実施形態と同様であるが、下面5bは凹曲面ではなく平坦面となっており、上面5aと下面5bとの間は中実となっている。本体部4の下端部4bは、第1,2実施形態よりも若干下方に位置し、筒状体21の半ば付近に位置する。なお、覆い部5の下面5bの径方向中心に下方に延びる棒状体51が配されてもよい。
【0034】
図3(c)に示す第4実施形態の排水ドレン1の本体部4は、排水部2の上方に位置する上端部4aから筒状体21の半ば付近に位置する下端部4bにかけて同径の筒体で形成されている。つまり本実施形態の本体部4は、第1実施形態における拡径する形状の排水導入部41は形成されていない構成となっている。本体部4は、内周面4cから内方上方に向けて延びた複数の立設した板状の桟材43を有する。複数の桟材43のそれぞれの内方の端部43aに支持部44が接続されることで、本体部4は径方向略中心に位置する支持部44を有する。支持部44の径方向略中心には、上下に連通している挿通孔44eが形成されている。挿通孔44eには、第1実施形態の支持部44の雌ねじ孔44aとは異なり雌ねじ溝が形成されていない。そのため、棒状体51の外周面から突設している突起部51cが支持部44の上端に引っ掛かることで、挿通孔44eに挿通された棒状体51は支持部44に支持される。
【0035】
覆い部5は、棒状体51に雄ねじ溝が形成されていない点で第1実施形態とは異なる。棒状体51の下端部51bは、筒状体21の半ば付近に位置し、本体部4の下端部4bと略同位置に位置する。覆い部5は、本体部4の径より大きいごみ除け体23と略同径に形成されているので、上方から障害物Gがごみ除け体23に堆積しにくくなっている。覆い部5の下面5bと本体部4の上端部4aとの間が側方開口となり排水導入口30が構成される。なお、覆い部5は、本体部4と略同径に形成されてもよい。また、本体部4とごみ除け体23とは、接着剤等で固着されてもよく、本体部4の外周面の一部に雄ねじ溝を形成し、ごみ除け体23の頂部23aに雌ねじ溝を形成して螺合されてもよい。また、本体部4の外周面に外方に突設した突起部を設けてごみ除け体23に引っ掛かる構成であってもよく、ごみ除け体23と本体部4とが一体に形成された構成であってもよい。
【0036】
図3(d)に示す第5実施形態の排水ドレン1は、ごみ除け体23の形状が半球状ではなく、円錐台状の格子に形成されており、複数の排水窓24が開設されている。予備排水部3は、直線状の横設管状体に形成された覆い部5と、覆い部5の長手方向の中間部の開口している下端部5baに、上端部4aが接続されている上下方向に延びる管状体の本体部4とが一体に形成されている。横設管状体の覆い部5の側方の開口が排水導入口30とされる。また、本体部4の下端部4bは、ごみ除け体23の半ば付近に位置する。このように構成された予備排水部3は、外観がT字管状となる。本体部4の中途部分がごみ除け体23の頂部23aに固定されているが、本体部4とごみ除け体23とは、接着剤等で固着されてもよく、本体部4の外周面の一部に雄ねじ溝を形成し、ごみ除け体23の頂部23aに雌ねじ溝を形成して螺合されてもよい。また、本体部4の外周面に外方に突設した突起部を設けてごみ除け体23の頂部23aに引っ掛かる構成であってもよく、ごみ除け体23と本体部4とが一体に形成された構成であってもよい。また、本体部4の中途部分がごみ除け体23の頂部23aに固定されることに限定されることはなく、予備排水部3がより下方に位置して覆い部5の下面5bがごみ除け体23の頂部23aに引っ掛かる構成であってもよい。このような構成であっても、予備排水部3の一部である覆い部5は排水部2の上方に露出し、排水導入口30は排水部2の上方に位置する。また、本実施形態では棒状体51が形成されていないが、覆い部5の上方から上面5aを貫通するようにして棒状体51が配されてもよい。また、覆い部5の形状は上記のものに限定されることはなく、例えば覆い部5が平面視して十字状の横設管状体であってもよい。
【0037】
上述した各実施形態では、排水ドレン1は、ドレン受部6に螺合することで排水口72に取り付けられる態様であったが、これに限定されることはない。例えば、図4(a)に示すような、排水部2の鍔部22の下端に、周方向等間隔に設けられた外方に向けて弾性付勢される係止足部25を筒状体21の代わりに設けてもよい。係止足部25は、上方から排水口72に差し込まれると、内方に縮径されると共に、その弾性力によってドレン受部6の内周面を押圧することで、排水ドレン1は、排水口72に取り付けられる。また、排水ドレン1は、ドレン受部6を用いずに直接竪樋8等に接続されてもよい。
【0038】
また、本体部4の下端部4bがごみ除け体23の下端部23bより下方に位置する構成であれば、図4(b)に示すような、鍔部22の内縁部22aから内方に延びる帯状の桟材22bを複数設けると共に、複数の桟材22bの内方端部22baをつなぐように環状のリング部22cを設けてもよい。リング部22cは鍔部22の径方向中心に位置し、リング部22cの内径は、本体部4の下端部4bが通る程度の大きさに形成されている。これにより、本体部4は、ごみ除け体23の頂部23aとリング部22cの二箇所に挿通されるので、姿勢がぐらつきにくくなり安定する。なお、第5実施形態のように、本体部4の下端部4bがごみ除け体23の半ば付近に位置する構成であれば、ごみ除け体23の半ばより上方に、同様にして内方に延びる桟材とそれに接続されているリング部を設けて本体部4が挿通される態様であってもよい。
【0039】
また、図4(c)に示すように、上記各実施形態の本体部4の管状部42の外周面の略全体に雄ねじ溝42dを形成し、ごみ除け体23の頂部23aの開口に雄ねじ溝42dが螺合される雌ネジ溝を形成してもよい。このようにすれば、本体部4はごみ除け体23に螺合されて固定されるだけでなく、軒樋7の高さやオーバーフローレベル等に応じて、本体部4がごみ除け体23に対する螺合具合を調整することで、予備排水部3の排水導入口30の高さを自在に調整することができる。
【0040】
上記各実施形態の排水ドレン1を構成する各部材は、上述したものに限定されることはなく、形状や材質は適宜選択される。例えば、第1実施形態等の覆い部5の上面5aは平坦面であってもよい。また、第1実施形態等の棒状体51の外周面に刻まれた雄ねじ溝は、棒状体51の一部ではなく略全部に形成されてもよい。このようにすれば、棒状体51の雄ねじ溝は、第2実施形態のらせん溝51dのような整流作用を有する整流棒となる。本体部4や棒状体51の形状や寸法は上述したものに限定されることはなく種々のものが用いられる。そして、上述した各実施形態では、軒樋に排水ドレン1を取り付ける態様だが、これに限定されることはなく、例えばベランダやバルコニー等の排水口に取り付けるものであってもよい。さらに、すでに排水口72に取り付けられている排水部2や、既製品の排水部2の頂部に開口等を設けて、上述した各実施形態の予備排水部3を取り付けて排水ドレン1としてもよい。
【0041】
なお、各図に示されている排水ドレン1は模式的に描かれており、各構成部材の形状や寸法関係等は図面に限定されることはない。例えば、第1実施形態等の排水導入部41の上端部41aと管状部42との径の比率関係は図面に示されているものに限定されることはない。予備排水部3の排水量を大きくするために、排水導入部41の上端部41aの径に対して管状部42の径を図面に示されているものよりも大きくてもよく、管状部42の径の大きさに併せてごみ除け体23の頂部23aの開口を大きくしてもよい。また、管状部42と本体部4の内部に上下方向に延びる棒状体51との径や長さ等の寸法関係も図面に示されているものに限定されることはない。
【符号の説明】
【0042】
1 排水ドレン
2 排水部
23 ごみ除け体
23b 下端部
24 排水窓
3 予備排水部
30 排水導入口
4 本体部
4a 上端部
4b 下端部
44 支持部
5 覆い部
51 棒状体
51b 下端部
図1
図2
図3
図4