【解決手段】内部にピニオンギヤ120を収容する外殻壁部5を備えるデフケース1であって、ピニオンギヤ120の背面側における外殻壁部5の内面に第1溝23が形成されている。また、ピニオンギヤ120の背面側における外殻壁部5の内面に凸部22が形成されており、第1溝23は凸22部に形成されている。さらに、凸部22の直径D1は、ピニオンギヤ120の背面124の直径D2以上である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪第1実施形態≫
本発明の第1実施形態について、
図1〜
図9を参照して説明する。なお、ここでは、本発明に係るデフケースが、三輪車(車両)の後輪側の動力伝達装置に組み込まれた構成を例示する。車両は三輪車に限定されず、その他に例えば、四輪車でもよい。また、
図1〜
図9に示す「前、後、左、右、上、下」を基準とする。
【0011】
≪動力伝達装置≫
図1に示すように、第1実施形態に係る動力伝達装置200は、車両前側のエンジン(図示しない)からベルト(図示しない)を介して伝達される動力を、左後輪及び右後輪(図示しない)に伝達すると共に、左後輪及び右後輪を差動回転させる装置である。左後輪及び右後輪のトレッド幅は、例えば、1.5〜2.0mであるが、左後輪及び右後輪が差動回転するので、三輪車はカーブ等をスムーズに走行可能である。
【0012】
動力伝達装置200は、受動プーリ210と、ホルダ220と、バックギヤ230と、デフ装置100(差動装置)と、を備えている。
【0013】
受動プーリ210は、リング状を呈しており、右ボス部41にラジアル軸受211を介して回転自在に取り付けられている。ラジアル軸受211は、右ボス部41に外嵌し、クリップ212によって軸方向に位置決めされている。受動プーリ210には、ベルト(図示しない)が巻回されており、駆動プーリ(図示しない)からの動力が伝達するようになっている。受動プーリ210の左側には、複数(例えば4つ)のボス部213が周方向において等間隔で突出形成されている。
【0014】
ホルダ220は、リング状を呈しており、その右側に、複数のボス部213が差し込まれている。ホルダ220とボス部213との間には、円筒状のブッシュ221が介装されている。ホルダ220は、ボルト222によって、デフケース1のフランジ部6に締結されている。これにより、受動プーリ210、ホルダ220及びデフケース1が一体で回転するようになっている。
【0015】
バックギヤ230は、リング状を呈しており、ボルト231によってホルダ220に締結されている。そして、後退時、カウンタギヤ(図示しない)によって、後退用モータ(図示しない)の出力ギヤとバックギヤ230とが動力伝達可能となり、後退用モータの駆動力によって、バックギヤ230及びデフケース1が後退方向に対応する逆方向に回転するようになっている。
【0016】
≪デフ装置≫
図2に示すように、デフ装置100は、ホルダ220からの動力を左後輪及び右後輪(図示しない)に伝達すると共に、左後輪及び右後輪を差動回転させる装置である。デフ装置100は、ピニオンシャフト110と、2つのピニオンギヤ120と、2つのサイドギヤ130と、デフケース1と、を備えている。デフケース1は、左右方向に延びる軸線O1を中心として回転する。
【0017】
ピニオンシャフト110の両端は、デフケース1の差込孔21に差し込まれている。そして、ピニオンシャフト110は、デフケース1と一体で回転するようになっている。
【0018】
ピニオンギヤ120は、ピニオンシャフト110を中心として回転するギヤである。ピニオンギヤ120は、円錐台状のピニオンギヤ本体121と、ピニオンギヤ本体121の外周面に形成されたピニオンギヤ歯122と、を備えている。ピニオンギヤ本体121の軸線上には、ピニオンシャフト110が挿通される挿通孔123が形成されている。
【0019】
ピニオンギヤ本体121の背面124(
図5参照)は、径方向外側に凸する凸曲面となっている。ピニオンギヤ本体121とデフケース1との間には、薄板湾曲状のスラスト軸受129が介装されている。背面124は、内向き視においてリング状であり、スラスト軸受129に摺接する摺接部である。
【0020】
サイドギヤ130は、左右方向において、ピニオンギヤ120を挟むように配置されている。サイドギヤ130は、円錐台状のサイドギヤ本体131と、サイドギヤ本体131の外周面に形成されたサイドギヤ歯132と、サイドギヤ本体131の背面側に突出形成された短円筒状の軸部133と、を備えている。サイドギヤ歯132は、ピニオンギヤ歯122と噛合している。軸部133は、後記する段違い穴32又は段違い穴62(
図3参照)に回転自在に差し込まれている。
【0021】
サイドギヤ130の軸線上には、内周面にスプライン溝の形成された孔スプライン134が形成されている。孔スプライン134は、左後輪、右後輪から延びるドライブシャフトがスプライン結合する孔である。サイドギヤ本体131とデフケース1との間には、薄板状のスラスト軸受139が介装されている。サイドギヤ本体131の背面135は、径方向内向き視においてリング状であり、スラスト軸受139に摺接する摺接部である。
【0022】
そして、2つのピニオンギヤ120がピニオンシャフト110を中心として回転すると、2つのサイドギヤ130が回転し、左後輪及び右後輪が差動回転するようになっている。
【0023】
≪デフケースの構成≫
図3〜
図9を参照して、デフケース1について詳細に説明する。
デフケース1は、ピニオンシャフト110、ピニオンギヤ120及びサイドギヤ130を収容すると共に、デフ装置100の骨格を構成する外殻容器である。デフケース1は、ここでは、鋳造品で構成されている。
【0024】
デフケース1は、内部にピニオンギヤ120、サイドギヤ130等を収容する球形殻状の外殻壁部5と、外殻壁部5から右側に延びる円筒状の右ボス部41と、外殻壁部5から左側に延びる円筒状の左ボス部71と、外殻壁部5から径外方向に延びるリング状のフランジ部6と、を備えている。
【0025】
フランジ部6には、前記したボルト222(
図1参照)が挿通される複数のボルト孔7が形成されている。このようなデフケース1は、デフケース本体10と、デフケース蓋50と、を備えており、2ピースで構成されている。また、デフケース1は、内部の潤滑剤が外部に流出しないように密閉された密閉形状である。なお、潤滑剤には、オイルやグリース等のデフ装置100を構成する構成要素の各接触面を潤滑させるものを含む。
【0026】
<デフケース本体>
デフケース本体10は、右側に底部を有する半球殻状部20と、半球殻状部20の底部から右側に延びる円筒状の右ボス部41と、半球殻状部20の左側外周面から径外方向に延びるリング状の右フランジ部45と、を備えている。
【0027】
<デフケース本体−半球殻状部>
半球殻状部20の内面は、概ね球面である。そして、半球殻状部20の中心を通り前後に延びる直径方向において、軸線O1を中心として対向する2つの差込孔21が形成されている。差込孔21は、ピニオンシャフト110の両端部が差し込まれ固定される孔である。
【0028】
半球殻状部20の内周面において差込孔21の周囲には、内側に突出する円柱台座状の凸部22が形成されている(
図3、
図4、
図5参照)。すなわち、ピニオンギヤ120の背面側において半球殻状部20(外殻壁部)の内周面(内面)には、凸部22が形成されている。凸部22の内面は研磨され、摺動抵抗の低減が図られている。このような凸部22は、鋳造によって凸部22よりも若干高い円柱台座を形成し、この円柱台座の頂部を研磨することで凸部22を容易に形成できる。
【0029】
各凸部22には、差込孔21を中心として、回転方向に延びる2本の第1溝23と、回転方向に対して傾斜した4本の第2溝24と、が形成されている。すなわち、第1溝23、第2溝24は、ピニオンギヤ120の背面側において半球殻状部20(外殻壁部)の内周面(内面)に形成された溝である。ただし、第1溝23、第2溝24の本数は変更自由である。
【0030】
差込孔21の軸方向視において、2本の第1溝23は差込孔21から180°間隔で回転方向に延びており、2本の第2溝24は2本の第1溝23の間において等間隔(60°間隔)で延びている。すなわち、2本の第1溝23と、4本の第2溝24は、差込孔21を中心として、放射状に延びている。このように、第1溝23等が放射状であるので、潤滑剤がデフケース1内全体を通流し易くなる。
【0031】
前側の第1溝23は、半球殻状部20の内面で回転方向に延びる円弧状の第1連通溝25を介して、後側の第1溝23と連通している。すなわち、軸線O1を中心として回転する半球殻状部20の最大内径部分において、第1溝23、第1連通溝25、第1溝23、第1連通溝25が連通し、回転方向に延びる1本の環状溝を構成している。
【0032】
このように、第1溝23、第1連通溝25は最大内径部分で連通しているので、デフケース1の回転時、遠心力が作用し半球殻状部20で径外方向に移動した潤滑剤は、第1連通溝25を通って、第1溝23に供給され易くなっている。これにより、潤滑剤が、凸部22、ピニオンギヤ本体121の背面124、スラスト軸受129に供給され、これらが良好に潤滑されるようになっている。その結果、凸部22、ピニオンギヤ本体121の背面124、スラスト軸受129の焼き付きが防止され、耐久性が高められている。
【0033】
<凸部の大きさ>
差込孔21の軸方向視において、凸部22の直径D1は、ピニオンギヤ本体121の背面124(背面側の摺接部)の直径D2以上に設計されている(D1≧D2、
図5参照)。このように、凸部22の直径D1がピニオンギヤ本体121の背面124の直径D2以上であるので、凸部22はピニオンギヤ本体121を偏心等せずに支持するようになっている。そして、凸部22も偏摩耗し難くなっている。
【0034】
半球殻状部20の底壁部31において、右シャフト孔42の開口縁には段違いで右側に凹んだ段違い穴32が形成されている(
図3、
図4参照)。底壁部31には、段違い穴32を挟んで軸線O1の直交方向に延びる2本の第3溝33が形成されている(
図6参照)。すなわち、第3溝33は、サイドギヤ130の背面側において半球殻状部20(外殻壁部)の底面(内面)に形成された溝である。
【0035】
第3溝33は、半球殻状部20の内面に形成された前後の第2連通溝26を介して、前側又は後側の凸部22の第2溝24と連通している(
図8参照)。これにより、第1連通溝25、第1溝23を通って凸部22に集まった潤滑剤の一部が、第2溝24、第2連通溝26を通って、第3溝33に供給されるようになっている。したがって、サイドギヤ130の背面135、スラスト軸受139が良好に潤滑されるようになっている。その結果、サイドギヤ130の背面135、スラスト軸受139の焼き付きが防止され、耐久性が高められている。
【0036】
<デフケース本体−右ボス部>
右ボス部41内には、右ドライブシャフトが挿通され、半球殻状部20内に連通する右シャフト孔42が形成されている(
図3、
図4参照)。右シャフト孔42の右側開口には、潤滑剤シール43が取り付けられている。潤滑剤シール43は、所謂、オイルシールであって、デフケース1を密閉形状とするものであり、これにより、内部の潤滑剤が外部に流出しない。
【0037】
<デフケース本体−右フランジ部>
右フランジ部45は、後記する左フランジ部75とで、フランジ部6を構成している。右フランジ部45において、周方向において隣り合うボルト孔7の間には、右側に開口する肉抜穴46が形成されている。これにより、右フランジ部45の軽量化が図られている。
【0038】
<デフケース蓋>
デフケース蓋50は、デフケース本体10の左側開口を閉じる部材である。デフケース蓋50は、肉厚円板状の蓋本体60と、蓋本体60の中央から左側に延びる円筒状の左ボス部71と、蓋本体60の外周縁から径外方向に延びるリング状の左フランジ部75と、を備えている。
【0039】
<デフケース蓋−蓋本体>
蓋本体60の中心には、左シャフト孔72が開口している。左シャフト孔72の開口縁には段違いで左側に凹んだ段違い穴62が形成されている(
図3、
図4参照)。蓋本体60の内面には、段違い穴62を挟んで軸線O1の直交方向に延びる2本の第4溝63が形成されている(
図7参照)。すなわち、第4溝63は、サイドギヤ130の背面側において蓋本体60(外殻壁部)の内面に形成された溝である。
【0040】
第4溝63は、半球殻状部20の内面に形成された前後の第3連通溝27を介して、凸部22の第2溝24と連通している(
図9参照)。これにより、第1連通溝25、第1溝23を通って凸部22に集まった潤滑剤の一部が、第2溝24、第3連通溝27を通って、第4溝63に供給されるようになっている。したがって、左側のサイドギヤ130の背面135、スラスト軸受139が良好に潤滑されるようになっている。その結果、左側のサイドギヤ130の背面135、スラスト軸受139の焼き付きが防止され、耐久性が高められている。
【0041】
蓋本体60には、デフケース1内への潤滑剤の注入用の注入孔65と、排出用の排出孔66とが形成されている(
図3、
図7参照)。注入孔65にはボルト91が螺合しており、排出孔66には六角穴付き止めねじ92が螺合している。
【0042】
<デフケース蓋−左ボス部>
左ボス部71内には、左ドライブシャフトが挿通され、半球殻状部20内に連通する左シャフト孔72が形成されている。左シャフト孔72の左側開口には、左ドライブシャフトに摺接する潤滑剤シール73が取り付けられている。潤滑剤シール73は、所謂、オイルシールであって、デフケース1を密閉形状とするものである。
【0043】
<デフケース本体−左フランジ部>
左フランジ部75において、周方向において隣り合うボルト孔7の間には、左側に開口する肉抜穴76が形成されている。これにより、左フランジ部75の軽量化が図られている。なお、左右方向において、肉抜穴76は、肉抜穴46よりも浅く形成されている。
【0044】
≪デフケースの作用効果≫
デフケース1の作用効果を説明する。
デフケース1が回転すると潤滑剤に遠心力が作用し、潤滑剤が、デフケース1内で最大内径である第1連通溝25、第1溝23を通って(
図8、
図9、矢印A1参照)、ピニオンギヤ120の背面側に供給される。そして、潤滑剤が、ピニオンギヤ120の背面124、スラスト軸受129、凸部22を良好に潤滑し、背面124等の焼き付きが防止され、耐久性が高くなる。これに対して、従来技術のように、第1溝23等が形成されていない場合、潤滑剤がピニオンギヤ120の背面側に供給され難くなる。
【0045】
そして、凸部22に集まった潤滑剤の一部は、第2溝24、第2連通溝26を通って(
図8、矢印A2参照)、右側のサイドギヤ130の背面側の第3溝33に供給される。これにより、右側のサイドギヤ130の背面135、スラスト軸受139を良好に潤滑し、背面135等の焼き付きが防止され、耐久性が高くなる。これに対して、従来技術のように、第2溝24、第2連通溝26、第3溝33が形成されていない場合、潤滑剤がサイドギヤ130の背面側に供給され難くなる。
【0046】
また、潤滑剤の一部は、第2溝24、第3連通溝27を通って(
図9、矢印A2参照)、左側のサイドギヤ130の背面側の第4溝63に供給される。これにより、左側のサイドギヤ130の背面135、スラスト軸受139を良好に潤滑し、背面135等の焼き付きが防止され、耐久性が高くなる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように変更してもよいし、後記する実施形態の構成と適宜に組み合わせてもよい。
【0048】
前記した実施形態では、半球殻状部20の内面に凸部22が形成され、凸部22に第1溝23、第2溝24が形成された構成を例示したが、その他に例えば、半球殻状部20が凸部22を備えず、差込孔21の周りに第1溝23、第2溝24が形成された構成でもよい。
【0049】
前記した実施形態では、凸部22が円柱状である構成を例示したが、その他に例えば、凸部22が四角柱状、五角柱状、六角柱、八角柱状であってもよい。また、凸部22が差込孔21の軸方向視においてリング状、つまり、差込孔21を中心とした円筒状である構成でもよい。この場合、凸部であるリブ状かつ円弧状のリングが二重、三重等である構成でもよい。
【0050】
前記した実施形態では、デフケース1が、デフケース本体10及びデフケース蓋50の2ピース構成である場合を例示したが、その他に例えば、3ピース構成でもよい。
【0051】
前記した実施形態では、ピニオンギヤ120の背面側の第2溝24と、サイドギヤ130の背面側の第3溝33、第4溝63とが、凹状の第2連通溝26、第3連通溝27を介して連通する構成を例示したが、その他に例えば、溝を形成せず、デフケース1が正回転した場合おいて溝に相当する部分の若干後方に、径方向内向きに突出する細長のリブを形成し、このリブで潤滑剤を堰き止めることで、第2溝24と、第3溝33、第4溝63とを連通させる構成でもよい。
【0052】
前記した実施形態では、デフケース1にホルダ220を介して受動プーリ210が固定され、ベルトの動力が受動プーリ210を介してデフケース1に伝達する構成を例示したが、その他に例えば、デフケース1に受動スプロケットが固定され、チェーンの動力がデフケース1に伝達する構成でもよい。また、デフケース1に大径のリングギヤが固定され、リングギヤにドライブピニオンギヤが噛合する構成でもよい。
【0053】
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態について、
図10〜
図11を参照して説明する。
第2実施形態に係るデフケース2は、各凸部22に2本の第2溝24が形成され、底壁部31に1本の第3溝33が形成され、蓋本体60に1本の第4溝63が形成されている。差込孔21の軸方向視において、第2溝24は第1溝と直交する方向に延びている。第3溝33、第4溝63は、ピニオンシャフト110と平行に延びている。
【0054】
このように、各凸部22に2本の第2溝24が形成された構成でも、第1溝23を通って凸部22に集まった潤滑剤の一部が、第2溝24、第2連通溝26を通って、第3溝33または第4溝63に供給されるようになっている。すなわち、潤滑剤量、サイドギヤ130の潤滑程度等に基づいて、第2溝24の本数を適宜に変更してよい。
【0055】
≪第3実施形態≫
本発明の第3実施形態について、
図12を参照して説明する。
第3実施形態に係るデフケース3は、潤滑剤がケース内外で通流する開放型である。具体的には、デフケース蓋50の蓋本体60に、デフケース3の内外を連通する2つの窓部69が形成されている。これにより、例えば、回転するデフケース3が掻き上げた潤滑剤が、窓部69を通って、デフケース3内に流入するようになっている。これにより、デフケース3内の潤滑剤が入れ替わり、流出した潤滑剤を潤滑剤フィルタ等で洗浄することもできる。
【0056】
また、デフケース本体10を構成する半球殻状部20の外周面に2本の第1リブ28、28が突出形成されている。各第1リブ28は、前側の差込孔21から半球殻状部20の肩部29を経由して後側の差込孔21に延びる円弧状のリブである。2本の第1リブ28、28は、偏心回転しないように軸線O1を中心として対称であって、正面視において、前側の差込孔21を基準として右斜め上方向と右斜め下方向とにそれぞれ延びており、
図12における水平面となす角度は概ね45°である。各第1リブ28は、半球殻状部20の他の部分よりも厚肉で形成されており、他の部分は薄肉で形成されている。これにより、デフケース本体10の強度を高めつつ、軽量化が図られている。
【0057】
同様に、デフケース蓋50を構成する蓋本体60の外周面に2本の第2リブ67、67が突出形成されている。各第2リブ67は、前側の差込孔21から大径のフランジ部6を挟んで、蓋本体60の肩部68を経由して後側の差込孔21に延びる円弧状のリブである。2本の第2リブ67、67は、偏心回転しないように軸線O1を中心として対称であって、正面視において、前側の差込孔21を基準として左斜め上方向と左斜め下方向とにそれぞれ延びており、
図12における水平面となす角度は概ね45°である。すなわち、2本の第1リブ28、28と、2本の第2リブ67、67とは、正面視において、差込孔21を基準中心として、概ね等間隔で放射状に延びている。各第2リブ67は、蓋本体60の他の部分よりも厚肉で形成されており、他の部分は薄肉で形成されている。
【0058】
このように、2本の第1リブ28、28と、2本の第2リブ67、67と、大径のフランジ部6とは、概ね、ピニオンシャフト110の差し込まれる差込孔21を中心として、外殻壁部5(デフケース3)の外周面全体に形成されている。これにより、デフケース3とピニオンシャフト110との間で応力が一部に集中せず、デフケース3全体に分散されるようになっている。