【解決手段】筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置されたピストン27と、ピストン27と貯蔵部本体1の側板2との間の気密性を確保するゴム膜24と、ピストン27と側板2とゴム膜24とで囲まれるピストン27の下方の貯蔵領域A1を貯蔵部本体1の外部に連通して貯蔵部本体1の外部に開口する排気管23Aと、排気管23Aの開口を閉塞する蓋23Bと、貯蔵部本体1の外部において蓋23Bを開放移動させる作動機構23Cと、を備え、貯蔵部本体1の内部において上昇位置のピストン27の上方に余剰領域A2が形成されており、貯蔵領域A1にて気体の許容貯蔵量を超える上昇位置にピストン27が達した場合上昇位置のピストン27と作動機構23Cとの間を連繋して作動機構23Cを作動する連繋部23Dを有する。
前記揺動部材は、前記側板を貫通する貫通穴を介して前記貯蔵部本体の内部から外部に延出されて前記上昇位置の前記ピストンに押し上げられる、請求項3に記載の貯蔵装置。
前記スライド部材は、前記貯蔵部本体の外部でスライド移動可能に設けられ、前記側板を貫通する貫通穴を介して前記貯蔵部本体の内部から外部に延出された当接部材を介して前記上昇位置の前記ピストンに押し上げられる、請求項6に記載の貯蔵装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
本実施形態では、既設の貯蔵装置を異なる形式に改造した貯蔵装置、および既設の貯蔵装置を異なる形式の貯蔵装置に改造する改造方法について説明する。
【0014】
まず、既設の貯蔵装置について説明する。
図1は、既存の貯蔵装置の側面図である。
図2は、
図1に示す貯蔵装置を垂直方向と直交する方向で切った断面模式図である。
図3は、
図1に示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
【0015】
図1〜
図3に示すように、既存の貯蔵装置は、気体を貯蔵するものである。既設の貯蔵装置は、外形が円筒状の貯蔵部本体1を有する。貯蔵部本体1は、基礎4(
図3参照)上に円筒状に立設された側板2と、側板2の頂部に設けられた屋根3とを有している。また、図には明示しないが、貯蔵部本体1は、基礎4上に配置された円板状に形成され側板2により囲まれる底板を有している。側板2は、回廊5と基柱6とにより補強されている。
【0016】
回廊5は、
図1および
図3に示すように、側板2の外壁面に取り付けられている。回廊5は、側板2の円筒状の周方向に沿って円環状に設けられ、かつ側板2の上下方向に複数設けられている。
【0017】
基柱6は、
図2に示すように、側板2に沿って円周方向に複数配列されている。基柱6は、側板2の内側に突出する突起部である基柱6Aと、側板2の外側に接して側板2の内側には突出しない基柱6Bとを有している。基柱6Aは、貯蔵部本体1の中央と点対称の位置にある。
【0018】
既存の貯蔵装置は、貯蔵部本体1の下部に気体出入口管7を有する。この気体出入口管7を介して貯蔵部本体1に気体(例えば、ガス)Gを供給または排出する。気体出入口管7は、
図3に示すように、一部が後述するピストンサポート11を貫通して貯蔵部本体1の内部に延びた延出部7aを有している。延出部7aは、ピストン8に設けられた後述する甲板8eの下側に位置する。
【0019】
既存の貯蔵装置は、貯蔵部本体1の内部にピストン8を有する。ピストン8は、貯蔵部本体1の内部を上下に区画するもので、気体出入口管7からの気体Gの流出入に応じて側板2の内面に沿って上下に円滑に昇降移動し、気体Gを貯蔵または排出する。この構造により、既存の貯蔵装置は、ピストン8で区画された下部空間を可変可能な可変容量のタンクとすることができる。
【0020】
ピストン8は、その外周部の上面に、支持フレーム8aが固定されている。支持フレーム8aは、
図2に示す基柱6Bの位置の側板2、または基柱6Bに当接する上部ガイドローラ8bおよび下部ガイドローラ8cを有している。ピストン8は、上部ガイドローラ8bおよび下部ガイドローラ8cによって傾斜が抑制されている。
【0021】
ピストン8は、
図3に示すように、円周方向に設けられたフートリング8dを有する。このフートリング8dに支持フレーム8aが固定されている。フートリング8dは、ピストン8の重量を調整するため、その内部にバランスコンクリートが充填されている。ピストン8は、バランスコンクリートで重量を調整されつつ自重で降下し(
図3に二点鎖線で示す)、ピストン8の下部に貯留される気体Gの圧力で上昇する(
図3に実線で示す)。既存の貯蔵装置は、ピストン8が重量をバランスコンクリートなどで調整されることにより、気体Gの圧力を所定の圧力に調整することができる。ピストン8は、
図3に示すように、上側に凸となるドーム型に形成され、円周方向と半径方向の梁で組み合わされた骨組み上に甲板(デッキ)8eが張られている。
【0022】
既存の貯蔵装置は、
図2に示すように、回転防止装置9を有する。回転防止装置9は、ピストン8が円周方向に回転することを防止する。回転防止装置9は、フートリング8dに設けられ、側板2の内側に突出する基柱6Aである突起部に係合することでピストン8の回転を防止する。
【0023】
既存の貯蔵装置は、
図3に示すように、側板2とピストン8との間に、シール装置10を有する。シール装置10は、内部に貯留している気体Gの漏洩を防止する。シール装置10は、ピストン8のフートリング8dに設けられて円周方向に連続して配置され、例えば、油の静圧力によりシール材を側板2に押し付ける。シール材は、ゴムや鉄板が用いられる。また、シール装置10は、油の静圧力以外に弾性力などでシール材を側板2に押し付けるものもある。
【0024】
既存の貯蔵装置は、
図3に示すように、ピストンサポート11を有する。ピストンサポート11は、貯蔵部本体1の内部を下降したピストン8におけるフートリング8dが載置され、最下降位置でピストン8を支持する。
【0025】
既存の貯蔵装置は、
図3に示すように、油回収装置12を有する。油回収装置12は、シール装置10の油の一部が側板2の内面に沿って流下した場合、この油を回収する。油回収装置12は、底部油溝12aと、油循環装置12bと、油上昇管12cと、予備油タンク12dと、を有する。底部油溝12aは、貯蔵部本体1の内部の下側に設けられて、側板2の内面に沿って流下した油を溜める。油循環装置12b、油上昇管12c、および予備油タンク12dは、貯蔵部本体1の外部に設けられており、底部油溝12aに溜まった油に混入している水を油循環装置12bで分離し、分離後の油を循環ポンプにより油上昇管12cを介して上方の予備油タンク12dに押し上げる。そして、予備油タンク12dから図示しないスリットを経て側板2の内面へ油が流下され、シール装置10に戻される。
【0026】
既存の貯蔵装置は、
図1および
図3に示すように、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を有する。非常用排気装置13は、例えば、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行う。
【0027】
なお、本実施形態において、上述した、ピストン8、回転防止装置9、シール装置10、ピストンサポート11、および油回収装置12を、ピストン8に関わる構成としてピストン部と言う。
【0028】
[実施形態1]
次に、上述した既存の貯蔵装置を改造した貯蔵装置および改造方法の実施形態1について説明する。
図4は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示すフローチャートである。
図5は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す側面図である。
図6は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図7は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
【0029】
図1〜
図3に示す既存の貯蔵装置を改造するにあたり、始めに、
図4および
図5に示すように、側板2に開口部20を設ける(ステップS1)。開口部20は、貯蔵部本体1の外部に撤去すべき部材を搬出したり、貯蔵部本体1の内部に設置すべき部材を搬入したりするものである。また、開口部20は、必要に応じて貯蔵部本体1の内部に重機を搬入したり、貯蔵部本体1の外部に重機を搬出したりすることもできる。
【0030】
続いて、
図4および
図6に示すように、ピストン部を撤去する(ステップS2)。ピストン部は、ピストン8、回転防止装置9、シール装置10、ピストンサポート11、および油回収装置12であり、これらを解体・撤去し、貯蔵部本体1の内部の構成を開口部20から貯蔵部本体1の外部に搬出する。また、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS3)。なお、ステップS2において、回転防止装置9が係合する基柱(突起部)6Aは残す。
【0031】
続いて、
図4および
図7に示すように、レベルウエイト装置22を設置する(ステップS4)。レベルウエイト装置22は、ウエイト22aと、ワイヤ22bと、を有する。ワイヤ22bは、一端がウエイト22aに接続され、他端が後述する新設ピストン27に接続される。ワイヤ22bは、途中がプーリ22cで支持されて張力が付与された状態で一端と他端が上下に移動可能に設けられている。そして、レベルウエイト装置22は、新設ピストン27の昇降に伴ってワイヤ22bを介して貯蔵部本体1の外部に配置されたウエイト22aが昇降することで新設ピストン27の昇降を補助する。本実施形態のステップS4において、レベルウエイト装置22は、ワイヤ22b、プーリ22c、およびワイヤ22bに接続されたウエイト22aが設置される。
【0032】
続いて、
図4および
図7に示すように、新設非常用排気装置23を設置する(ステップS5)。新設非常用排気装置23は、その機能は、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13と同様であり、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行う。
【0033】
続いて、
図4および
図7に示すように、貯蔵部本体1にゴム膜24を取り付ける本体側固定具25aを設置する(ステップS6)。ゴム膜24は、円環状に形成されたゴム性のシートであり、貯蔵部本体1の内面と新設ピストン27の外周との間であって円周方向に連続して設置されることで、新設ピストン27と共に貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。本体側固定具25aは、ゴム膜24を貯蔵部本体1の内面に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、貯蔵部本体1の内面に対して気密性を確保する。
【0034】
続いて、
図4および
図7に示すように、気体出入口管7の貯蔵部本体1の内部への延出部7aを切断して撤去し、吸引防止網26を設置する(ステップS7)。吸引防止網26は、気体出入口管7により貯蔵部本体1の内部から気体Gを排出するとき、ゴム膜24の吸引を防ぐ。
【0035】
続いて、
図4および
図7に示すように、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS8)。新設ピストン27は、フェンダ27aと、甲板(デッキ)27bと、を有する。フェンダ27aは、貯蔵部本体1の内面に沿って上方に延び、かつ円周方向に沿って円環状に形成されている。フェンダ27aは、新設ピストン27の昇降時に、膨らんだゴム膜24を支持してゴム膜24に掛かる内圧を受ける。甲板27bは、円周方向と半径方向と上下方向との梁で組み合わされた骨組み上に張られて、上側に凸となるドーム型に形成される。新設ピストンサポート28は、貯蔵部本体1の内部を下降した新設ピストン27が載置され、最下降位置で新設ピストン27を支持する。新設ピストンサポート28には、いくつかの形態がある。例えば、
図7では、ドーム型の新設ピストンサポート28を示している。ドーム型の新設ピストンサポート28は、甲板27bの下側を支持するドーム部28aと、ドーム部28aを支持するサポート部28bと、を有している。また、図には明示しないが、新設ピストンサポート28は、サポート部28bが甲板27bに差し込まれたものや、
図3に示すピストンサポート11のように、貯蔵部本体1の内部を下降した新設ピストン27における後述の重量調整コンクリート29が載置され、最下降位置で新設ピストン27を支持する架台型がある。本実施形態において設置する新設ピストンサポート28は、上述したいずれかの形態を採用できる。
【0036】
続いて、
図4および
図7に示すように、新設ピストン27にゴム膜24を取り付けるピストン側固定具25bを設置する(ステップS9)。ピストン側固定具25bは、ゴム膜24を新設ピストン27の外周に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、新設ピストン27の外周に対して気密性を確保する。
【0037】
続いて、
図4および
図7に示すように、新設ピストン27に重量調整コンクリート29を打設する(ステップS10)。
【0038】
続いて、
図4および
図7に示すように、ゴム膜24を設置する(ステップS11)。
【0039】
続いて、
図4および
図5に示すように、ステップS1にて開放した開口部20を閉塞する(ステップS12)。開口部20を閉塞する場合、開口部20の蓋となる閉塞部20aを、側板2に溶接にて接合し、開口部20を密閉する。
【0040】
続いて、
図4および
図7に示すように、レベルウエイト装置22を新設ピストン27に接続する(ステップS13)。即ち、ワイヤ22bの他端を新設ピストン27に接続する。
【0041】
続いて、
図4に示すように、レベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、および新設ピストン27の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS14)。例えば、新設ピストン27に接続する他端の長さ位置を変えることで、ワイヤ22bの長さ、および新設ピストン27の傾斜を調整できる。試運転は、例えば、ブロワー接続用ノズル等から試験用気体をブロワーで供給することで実施できる。
【0042】
ところで、本実施形態の貯蔵装置の改造方法は、上述したステップの順でなくてもよい。ただし、側板2に開口部20を設ける(ステップS1)、ピストン部を撤去する(ステップS2)、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS8)、ゴム膜24を設置する(ステップS11)、開口部20を閉塞する(ステップS12)は、この順とする。
【0043】
非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS3)は、ピストン部を撤去する(ステップS2)ことと同時期であってもよい。レベルウエイト装置22を設置する(ステップS4)は、レベルウエイト装置22を新設ピストン27に接続する(ステップS13)前であれば限定はない。新設非常用排気装置23を設置する(ステップS5)は、試運転を行う(ステップS14)前であれば限定はない。貯蔵部本体1にゴム膜24の本体側固定具25aを設置する(ステップS6)は、ゴム膜24を設置する(ステップS11)の前であれば限定はない。気体出入口管7の貯蔵部本体1の内部への延出部7aを切断して撤去し、吸引防止網26を設置する(ステップS7)は、新設ピストン27を設置する(ステップS8)前であることが好ましい。新設ピストン27にゴム膜24のピストン側固定具25bを設置する(ステップS9)は、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS8)後であってゴム膜24を設置する(ステップS11)前であれば限定はない。新設ピストン27に重量調整コンクリート29を打設する(ステップS10)は、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS8)後であって開口部20を閉塞する(ステップS12)の前であれば限定はない。レベルウエイト装置22を新設ピストン27に接続する(ステップS13)は、新設ピストン27および新設ピストンサポート28を設置する(ステップS8)後であってレベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、および新設ピストン27の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS14)前であれば限定はない。なお、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS3)を行わず、残置し、新設非常用排気装置23を設置(ステップS5)してもよい。
【0044】
改造した実施形態1の貯蔵装置は、気体出入口管7を介して貯蔵部本体1に気体Gを供給または排出する。新設ピストン27と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。新設ピストン27は、気体出入口管7からの気体Gの流出入に応じてゴム膜24を伴って昇降移動し、気体Gを貯蔵または排出する。この構造により、貯蔵装置は、新設ピストン27と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで区画された下部空間を可変可能な可変容量のタンクとすることができる。
【0045】
このように、実施形態1の貯蔵装置および貯蔵装置の改造方法は、貯蔵部本体1を利用しつつ、シール装置10を使用する貯蔵装置を、ゴム膜24を使用する貯蔵装置に改造できる。この結果、実施形態1の貯蔵装置の改造方法によれば、全てを新設することと比較して基礎工事費、材料費、制作費などの建設費および工期を削減できる。
【0046】
以下、新設非常用排気装置23の詳細について説明する。
図8は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図9は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
【0047】
実施形態1の貯蔵装置の改造方法では、シール構造がシール装置10を有する貯蔵装置から、ゴム膜24を有する貯蔵装置に改造するものである。また、改造後の貯蔵装置は、気体Gの貯蔵量が少なくなるように構成され、気体Gが満たされたときに新設ピストン27が既設ピストン8よりも上昇位置が低くなるように構成されている。即ち、
図7に示すように、改造後の貯蔵装置は、貯蔵部本体1の内部において、新設ピストン27と側板2とゴム膜24とで囲まれる新設ピストン27の下方に気体Gを貯蔵する貯蔵領域A1が形成され、上昇位置が下がった分、新設ピストン27の上方に気体Gを貯蔵しない余剰領域A2が形成されている。
【0048】
このような貯蔵装置において、新設非常用排気装置23は、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行うことを、上昇した新設ピストン27により作動する。だだし、新設非常用排気装置23は、新設ピストン27の上昇位置が既設ピストン8よりも低く、その上方に余剰領域A2が存在するため、新設ピストン27により作動できるための工夫が必要である。
【0049】
図8および
図9に示すように、新設非常用排気装置23は、排気管23Aと、蓋23Bと、作動機構23Cと、連繋部23Dと、を有する。
【0050】
排気管23Aは、貯蔵領域A1において、貯蔵部本体1の側板2を貫通して貯蔵部本体1の外部に連通して上方に延び上端が貯蔵部本体1の外部に開口して設けられている。排気管23Aは、上端の開口が貯蔵部本体1の屋根3の位置まで延びて形成されている。
【0051】
蓋23Bは、排気管23Aの上端を覆い、上端の開口を閉塞する。
【0052】
作動機構23Cは、貯蔵部本体1の外部において蓋23Bを開放作動する。作動機構23Cは、貯蔵部本体1の屋根3の外側に配置され、蓋23Bが軸23Baを介して連結された連結部23Caと、連結部23Caを上下方向に揺動可能に軸23Ccを介して支持し屋根3に固定された支持部23Cbと、を有する。
【0053】
連繋部23Dは、貯蔵領域A1において気体Gの許容貯蔵量を超える上昇位置に新設ピストン27が達した場合、新設ピストン27と作動機構23Cとの間を連繋して作動機構23Cを作動させる。連繋部23Dは、棒状部材23Daと、支持部材23Dbと、軸23Dcと、を有する。棒状部材23Daは、上下方向に延びて設けられ、屋根3を貫通して貯蔵部本体1の外部に上端が配置され、貯蔵部本体1の内部に下端が配置されている。支持部材23Dbは、貯蔵部本体1の内部において側板2に固定され、棒状部材23Daを上下方向に移動可能に支持するように設けられ、間隔をおいて上下方向に複数設けられている。棒状部材23Daは、上端が作動機構23Cの連結部23Caに当接できるように設けられ、下端が貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超える上昇位置に達した新設ピストン27に当接できるように設けられている。新設ピストン27の棒状部材23Daの下端が当接する部分には、例えば、フェンダ27aがある。また、棒状部材23Daは、上昇位置に達した新設ピストン27に下端が当接する位置で待機するように支持部材23Dbにより支持されている。軸23Dcは、棒状部材23Daの上端を、作動機構23Cにおける連結部23Caの途中であって軸23Ccと軸23Baとの間に連結する。従って、連繋部23Dは、
図9に示すように、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えた場合、上昇位置に達した新設ピストン27が棒状部材23Daの下端に当接する。そして、さらに上昇する新設ピストン27により棒状部材23Daが支持部材23Dbにより支持されつつ上方に押し上げられる。上方に押し上げられた棒状部材23Daは、上端が作動機構23Cの連結部23Caを押し上げる。連結部23Caは、棒状部材23Daにより上方に押し上げられて軸23Ccを中心に揺動し、軸23Baで支持している蓋23Bを上方に移動させる。このため、上方に移動した蓋23Bにより排気管23Aの上端の開口が開放される。なお、作動機構23Cは、上記形状に限定されるものではない。つまり、上昇位置に達した新設ピストン27により突き上げられた連繋部23Dにより作動して蓋23Bを上方に移動させて排気管23Aの上端の開口を開放させる機構であればどのような形状であってもよい。
【0054】
このように、
図8および
図9に示す貯蔵装置は、新設ピストン27の上昇位置が既設ピストン8よりも低く、その上方に余剰領域A2が存在していても、上昇位置の新設ピストン27により連繋部23Dを介して作動機構23Cを作動できる。
【0055】
また、
図8および
図9に示す貯蔵装置では、連繋部23Dは、上下方向に延びた棒状部材23Daと、棒状部材23Daを上下方向に移動可能に貯蔵部本体1に対して支持する支持部材23Dbと、を備え、上昇位置の新設ピストン27が棒状部材23Daの下端を押し上げることで、棒状部材23Daが上方に移動して作動機構23Cを作動する。従って、余剰領域A2により棒状部材23Daが上下方向に長く構成されても、この棒状部材23Daを支持部材23Dbで上下方向に移動可能に支持するため、上昇位置の新設ピストン27が当接したときの棒状部材23Daの座屈を防ぎ、この棒状部材23Daにより作動機構23Cを確実に作動させることができる。
【0056】
図10〜
図13は、新設非常用排気装置23の他の形態を示す。
図10は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図11は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を垂直方向と直交する方向で切った一部拡大断面の模式図である。
図12は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図13は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。なお、
図8および
図9に示す新設非常用排気装置23と同等の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図10および
図12に示すように、新設非常用排気装置23は、排気管23Aと、蓋23Bと、作動機構23Eと、連繋部23Fと、を有する。
【0058】
作動機構23Eは、貯蔵部本体1の外部において蓋23Bを開放作動する。
図10および
図12に示すように、作動機構23Eは、屋根3に固定された支持部23Eaと、支持部23Eaに設けられた滑車23Ebと、滑車23Ebに架け渡されて蓋23Bが連結されたワイヤ23Ecと、を有する。滑車23Ebは、支持部23Eaに対して回転可能に設けられている。滑車23Ebは、1つでもよいが、本実施形態では複数設けられている。ワイヤ23Ecは、一端に蓋23Bが連結されている。
【0059】
連繋部23Fは、貯蔵領域A1において気体Gの許容貯蔵量を超える上昇位置に新設ピストン27が達した場合、新設ピストン27と作動機構23Eとの間を連繋して作動機構23Eを作動させる。連繋部23Fは、支持部材23Faと、揺動部材23Fbと、当接部材23Fcと、を有する。支持部材23Faは、貯蔵部本体1の外部において側板2に固定されている。揺動部材23Fbは、側板2を貫通して形成された貫通穴2aを介して貯蔵部本体1の内部から外部に延出されている。揺動部材23Fbは、貯蔵部本体1の外部において支持部材23Faに対して水平に延びる軸23Fdにより上下方向に揺動可能に支持されている。揺動部材23Fbは、貯蔵部本体1の外部において一方の揺動端にワイヤ23Ecの他端が連結されている。当接部材23Fcは、貯蔵部本体1の内部において揺動部材23Fbの他方の揺動端に設けられ、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超える上昇位置に達した新設ピストン27に当接できるように設けられている。当接部材23Fcは、揺動部材23Fbの他方の揺動端に対して水平に延びる軸23Feを介して上端が設けられ下端が下方に垂下して設けられている。新設ピストン27の当接部材23Fcが当接する部分には、例えば、フェンダ27aがある。なお、当接部材23Fcを設けずに、新設ピストン27が揺動部材23Fbの他方の揺動端に当接するように構成してもよい。従って、連繋部23Fは、
図12に示すように、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えた場合、上昇位置に達した新設ピストン27が当接部材23Fc(または揺動部材23Fbの他方の揺動端)に当接する。そして、さらに上昇する新設ピストン27により揺動部材23Fbの他方の揺動端が上方に押し上げられる。上方に押し上げられた揺動部材23Fbは、貯蔵部本体1の外部において一方の揺動端が下方に下がるように揺動する。一方の揺動端が下方に下がることで、ワイヤ23Ecは、他端が下方に引き下げられ、滑車23Ebを介して一端が上方に引き上げられ、蓋23Bを上方に移動させる。このため、上方に移動した蓋23Bにより排気管23Aの上端の開口が開放される。なお、作動機構23Eおよび連繋部23Fは、上記形状に限定されるものではない。つまり、上昇位置に達した新設ピストン27により揺動する連繋部23Fによりワイヤ23Ecを介して蓋23Bを上方に移動させて排気管23Aの上端の開口を開放させる機構であればどのような形状であってもよい。
【0060】
このように、
図10から
図12に示す貯蔵装置は、新設ピストン27の上昇位置が既設ピストン8よりも低く、その上方に余剰領域A2が存在していても、上昇位置の新設ピストン27により連繋部23Fを介して作動機構23Eを作動できる。
【0061】
また、
図10から
図12に示す貯蔵装置では、連繋部23Fは、上下方向に揺動可能に貯蔵部本体1に対して設けられて作動機構23Eとワイヤ23Ecで連結される揺動部材23Fbを備え、上昇位置の新設ピストン27が揺動部材23Fbを押し上げることで、揺動部材23Fbが揺動してワイヤ23Ecを介して作動機構23Eを作動する。従って、余剰領域A2によりワイヤ23Ecが上下方向に長く構成されても、このワイヤ23Ecを揺動部材23Fbで操作でき、作動機構23Eを確実に作動させることができる。
【0062】
また、
図10から
図12に示す貯蔵装置では、揺動部材23Fbは、側板2を貫通する貫通穴2aを介して貯蔵部本体1の内部から外部に延出されて上昇位置の新設ピストン27に押し上げられる。ここで、貯蔵部本体1の内部においては、新設ピストン27の昇降に干渉しないように揺動部材23Fbの高さに至り作業者が行き着く手段を設けることが難しく、貯蔵部本体1の外部では揺動部材23Fbの高さに至り作業者が行き着く階段や梯子を設けることが容易である。従って、揺動部材23Fbを貯蔵部本体1の内部から外部に延出して設けることで揺動部材23Fbの保守を行うことができる。
【0063】
ところで、
図13に示すように、排気管23Aを短くして上端の開口の位置を低くできる場合は、作動機構23Eの支持部23Eaを低い位置で側板2に固定し、ワイヤ23Ecを短くできる。
【0064】
図14〜
図16は、
図10〜
図13に示す新設非常用排気装置23の変形例を示す。
図14は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った一部拡大縦断面の模式図である。
図15および
図16は、
図14に示すカバーの斜視図である。なお、
図10〜
図13に示す新設非常用排気装置23と同等の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図14〜
図16に示すように、新設非常用排気装置23は、貯蔵部本体1の外部に延出された揺動部材23Fbを覆い、かつ貫通穴2aを閉塞するカバー23Gを有する。
【0066】
カバー23Gは、直方体をなす箱状に形成され、1つの面に揺動部材23Fbを通す開口部23Gaが形成されている。開口部23Gaは、貫通穴2aよりも大きく形成されている。この開口部23Gaが形成された面は、貯蔵部本体1の外部で側板2に固定される。カバー23Gは、連繋部23Fの揺動部材23Fbと共に支持部材23Faを覆う。また、カバー23Gは、上面に、ワイヤ23Ecを通す貫通部23Gbが形成されている。貫通部23Gbは、
図15に示すように、穴として形成されていてもよいし、
図16に示すように、十字形状のスリットとして形成されていてもよい。
【0067】
このように、カバー23Gを有することで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止できる。また、カバー23Gを有することで、連繋部23Fを雨水や粉塵から保護できる。
【0068】
図17および
図18は、
図10〜
図13に示す新設非常用排気装置23の変形例を示す。
図17は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図18は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を垂直方向と直交する方向で切った一部拡大断面の模式図である。なお、
図10〜
図13に示す新設非常用排気装置23と同等の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図17および
図18に示すように、新設非常用排気装置23は、連繋部23Fが貯蔵部本体1の内部に設けられている。
【0070】
連繋部23Fは、支持部材23Faが貯蔵部本体1の内部において側板2に固定されている。揺動部材23Fbは、貯蔵部本体1の内部において支持部材23Faに対して水平に延びる軸23Fdにより上下方向に揺動可能に支持されている。揺動部材23Fbは、貯蔵部本体1の内部において一方の揺動端にワイヤ23Ecの他端が連結されている。当接部材23Fcは、貯蔵部本体1の内部において揺動部材23Fbの他方の揺動端に設けられ、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超える上昇位置に達した新設ピストン27に当接できるように設けられている。当接部材23Fcは、揺動部材23Fbの他方の揺動端に対して水平に延びる軸23Feを介して上端が設けられ下端が下方に垂下して設けられている。新設ピストン27の当接部材23Fcが当接する部分には、例えば、フェンダ27aがある。なお、当接部材23Fcを設けずに、新設ピストン27が揺動部材23Fbの他方の揺動端に当接するように構成してもよい。
【0071】
従って、連繋部23Fは、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えた場合、上昇位置に達した新設ピストン27が当接部材23Fc(または揺動部材23Fbの他方の揺動端)に当接する。そして、さらに上昇する新設ピストン27により揺動部材23Fbの他方の揺動端が上方に押し上げられる。上方に押し上げられた揺動部材23Fbは、貯蔵部本体1の外部において一方の揺動端が下方に下がるように揺動する。一方の揺動端が下方に下がることで、ワイヤ23Ecは、他端が下方に引き下げられ、滑車23Ebを介して一端が上方に引き上げられ、蓋23Bを上方に移動させる。このため、上方に移動した蓋23Bにより排気管23Aの上端の開口が開放される。なお、作動機構23Eおよび連繋部23Fは、上記形状に限定されるものではない。つまり、上昇位置に達した新設ピストン27により揺動する連繋部23Fによりワイヤ23Ecを介して蓋23Bを上方に移動させて排気管23Aの上端の開口を開放させる機構であればどのような形状であってもよい。
【0072】
このように、連繋部23Fを貯蔵部本体1の内部に設けることで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止でき、連繋部23Fを雨水や粉塵から保護できる。
【0073】
図19および
図20は、新設非常用排気装置23の他の形態を示す。
図19は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図20は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。なお、
図8〜
図13に示す新設非常用排気装置23と同等の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
図19および
図20に示すように、新設非常用排気装置23は、排気管23Aと、蓋23Bと、作動機構23Eと、連繋部23Hと、を有する。
【0075】
連繋部23Hは、貯蔵領域A1において気体Gの許容貯蔵量を超える上昇位置に新設ピストン27が達した場合、新設ピストン27と作動機構23Eとの間を連繋して作動機構23Eを作動させる。連繋部23Hは、支持部材23Haと、スライド部材23Hbと、当接部材23Hcと、を有する。支持部材23Haは、貯蔵部本体1の外部において側板2に固定されている。スライド部材23Hbは、貯蔵部本体1の外部において支持部材23Haに対して上下方向にスライド移動可能に支持されている。スライド部材23Hbは、その下方に、貯蔵部本体1の外部において滑車23Hdが設けられている。スライド部材23Hbは、その下端に滑車23Hdを介して上方に向けて掛け回されたワイヤ23Ecの他端が連結されている。当接部材23Hcは、側板2を貫通して形成された貫通穴2aを介して貯蔵部本体1の内部から外部に延出されている。当接部材23Hcは、スライド部材23Hbに固定されている。当接部材23Hcは、貯蔵部本体1の内部において、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超える上昇位置に達した新設ピストン27に当接できるように設けられている。新設ピストン27の当接部材23Hcが当接する部分には、例えば、フェンダ27aがある。従って、連繋部23Hは、
図20に示すように、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えた場合、上昇位置に達した新設ピストン27が当接部材23Hcに当接する。そして、さらに上昇する新設ピストン27により当接部材23Hcを介してスライド部材23Hbが上方に押し上げられる。スライド部材23Hbが上方に押し上げられることで、ワイヤ23Ecは、他端が上方に引き下げられ、滑車23Hd,23Ebを介して一端が上方に引き上げられ、蓋23Bを上方に移動させる。このため、上方に移動した蓋23Bにより排気管23Aの上端の開口が開放される。なお、作動機構23Eおよび連繋部23Hは、上記形状に限定されるものではない。つまり、上昇位置に達した新設ピストン27により突き上げられてスライド移動する連繋部23Hによりワイヤ23Ecを介して蓋23Bを上方に移動させて排気管23Aの上端の開口を開放させる機構であればどのような形状であってもよい。
【0076】
このように、
図19および
図20に示す貯蔵装置は、新設ピストン27の上昇位置が既設ピストン8よりも低く、その上方に余剰領域A2が存在していても、上昇位置の新設ピストン27により連繋部23Hを介して作動機構23Eを作動できる。
【0077】
また、
図19および
図20に示す貯蔵装置では、連繋部23Hは、上下方向にスライド移動可能に貯蔵部本体1に対して設けられて作動機構23Eとワイヤ23Ecで連結されるスライド部材23Hbを備え、上昇位置の新設ピストン27がスライド部材23Hbを押し上げることで、スライド部材23Hbがスライド移動してワイヤ23Ecを介して作動機構23Eを作動する。従って、余剰領域A2によりワイヤ23Ecが上下方向に長く構成されても、このワイヤ23Ecをスライド部材23Hbで操作でき、作動機構23Eを確実に作動させることができる。
【0078】
また、
図19および
図20に示す貯蔵装置では、スライド部材23Hbは、貯蔵部本体1の外部でスライド移動可能に設けられ、側板2を貫通する貫通穴2aを介して貯蔵部本体1の内部から外部に延出された当接部材23Hcを介して上昇位置の新設ピストン27に押し上げられる。ここで、貯蔵部本体1の内部においては、新設ピストン27の昇降に干渉しないようにスライド部材23Hbの高さに至り作業者が行き着く手段を設けることが難しく、貯蔵部本体1の外部ではスライド部材23Hbの高さに至り作業者が行き着く階段や梯子を設けることが容易である。従って、スライド部材23Hbを貯蔵部本体1の外部に設けることでスライド部材23Hbの保守を行うことができる。
【0079】
ところで、図には明示しないが、
図13に示す構成と同様に、排気管23Aを短くして上端の開口の位置を低くできる場合は、作動機構23Eの支持部23Eaを低い位置で側板2に固定し、ワイヤ23Ecを短くできる。
【0080】
また、図には明示しないが、
図17に示す構成と同様に、連繋部23Hが貯蔵部本体1の内部に設けられていてもよい。従って、連繋部23Hを貯蔵部本体1の内部に設けることで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止でき、連繋部23Hを雨水や粉塵から保護できる。
【0081】
図21および
図22は、
図19および
図20に示す新設非常用排気装置23の変形例を示す。
図21は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った一部拡大縦断面の模式図である。
図22は、実施形態1に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置を貯蔵装置本体の中心で切った一部拡大縦断面の模式図である。なお、
図19および
図20に示す新設非常用排気装置23と同等の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0082】
図21および
図22に示すように、新設非常用排気装置23は、貯蔵部本体1の外部に配置されたスライド部材23Hbを覆い、かつ貫通穴2aを閉塞するカバー23Gを有する。
【0083】
図21に示すカバー23Gは、直方体をなす箱状に形成され、1つの面に当接部材23Hcを通す開口部23Gaが形成されている。開口部23Gaは、貫通穴2aよりも大きく形成されている。この開口部23Gaが形成された面は、貯蔵部本体1の外部で側板2に固定される。カバー23Gは、スライド部材23Hbと共に支持部材23Haおよび滑車23Hdを覆う。また、カバー23Gは、上面に、ワイヤ23Ecを通す貫通部23Gbが形成されている。貫通部23Gbは、
図15に示すように、穴として形成されていてもよいし、
図16に示すように、十字形状のスリットとして形成されていてもよい。
【0084】
図22に示すカバー23Gは、直方体をなす箱状に形成され、1つの面に当接部材23Hcを通す開口部23Gaが形成されている。開口部23Gaは、貫通穴2aよりも大きく形成されている。この開口部23Gaが形成された面は、貯蔵部本体1の外部で側板2に固定される。カバー23Gは、スライド部材23Hbと共に支持部材23Haを覆い、滑車23Hdは覆わない。また、カバー23Gは、下面に、ワイヤ23Ecを通す貫通部23Gbが形成されている。貫通部23Gbは、
図15に示すように、穴として形成されていてもよいし、
図16に示すように、十字形状のスリットとして形成されていてもよい。
【0085】
このように、カバー23Gを有することで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止できる。また、カバー23Gを有することで、連繋部23Hを雨水や粉塵から保護できる。
【0086】
また、実施形態1の貯蔵装置の改造方法は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置された新設ピストン27と、を有する貯蔵装置の改造方法であって、新設ピストン27と貯蔵部本体1の側板2との間の気密性を確保するゴム膜24を設け、貯蔵部本体1の内部において、新設ピストン27の下方に新設ピストン27と側板2とゴム膜24とで囲まれる貯蔵領域A1を形成する工程と、貯蔵領域A1を貯蔵部本体1の外部に連通して貯蔵部本体1の外部に開口する排気管23Aと、排気管23Aの開口を閉塞する蓋23Bと、蓋23Bを開放移動する作動機構23C,23Eと、を設ける工程と、貯蔵領域A1において許容する気体Gの貯蔵量を超える上昇位置に新設ピストン27が達した場合上昇位置の新設ピストン27と作動機構23C,23Eとの間を連繋して作動機構23C,23Eを作動する連繋部23D,23F,23Hを設ける工程と、を含む。
【0087】
従って、新設ピストン27の上昇位置が既設ピストン8よりも低く、その上方に余剰領域A2が存在していても、上昇位置の新設ピストン27により連繋部23D,23F,23Hを介して作動機構23C,23Eを作動できる。
【0088】
[実施形態2]
以下、上述した既存の貯蔵装置を改造した貯蔵装置およびする改造方法の実施形態2について説明する。
図23は、実施形態2に係る貯蔵装置の改造方法を示すフローチャートである。
図24は、実施形態2に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
図25は、実施形態2に係る貯蔵装置の改造方法を示す貯蔵装置本体の中心で切った縦断面の模式図である。
【0089】
図1〜
図3に示す既存の貯蔵装置を改造するにあたり、始めに、
図5および
図23に示すように、側板2に開口部20を設ける(ステップS21)。開口部20は、貯蔵部本体1の外部に撤去すべき部材を搬出したり、貯蔵部本体1の内部に設置すべき部材を搬入したりするものである。また、開口部20は、必要に応じて貯蔵部本体1の内部に重機を搬入したり、貯蔵部本体1の外部に重機を搬出したりすることもできる。
【0090】
続いて、
図23および
図24に示すように、
図3に示す支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を撤去する(ステップS22)。即ち、ピストン部において、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を解体・撤去し、貯蔵部本体1の内部の構成を開口部20から貯蔵部本体1の外部に搬出する。従って、ステップS22は、ピストン部において、ピストン8を構成するフートリング8dおよび甲板8eと、ピストンサポート11とを残す。また、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS23)。なお、ステップS22において、回転防止装置9が係合する基柱(突起部)6Aは残す。
【0091】
続いて、
図23に示すように、フートリング8dに充填されているバランスコンクリートの重量調整を行う(ステップS24)。即ち、バランスコンクリートを一部除去または増設することでバランスコンクリートの重量を調整し、これによりピストン8の重量を調整する。
【0092】
続いて、
図23および
図25に示すように、ピストン8にフェンダ21を設置する(ステップS25)。フェンダ21は、貯蔵部本体1の内面に沿って上方に延び、かつ円周方向に沿って円環状に形成される。フェンダ21は、ピストン8の昇降時に、後述するゴム膜24の膨らんだ形態を支持してゴム膜24に掛かる内圧を受ける。
【0093】
続いて、
図23および
図25に示すように、レベルウエイト装置22を設置する(ステップS26)。レベルウエイト装置22は、ウエイト22aと、ワイヤ22bと、を有する。ワイヤ22bは、一端がウエイト22aに接続され、他端がピストン8に接続される。ワイヤ22bは、途中がプーリ22cで支持されて張力が付与された状態で一端と他端が上下に移動可能に設けられている。そして、レベルウエイト装置22は、ピストン8の昇降に伴ってワイヤ22bを介して貯蔵部本体1の外部に配置されたウエイト22aが昇降することでピストン8の昇降を補助する。本実施形態のステップS26において、レベルウエイト装置22は、ワイヤ22b、プーリ22c、およびワイヤ22bに接続されたウエイト22aが設置される。
【0094】
続いて、
図23および
図25に示すように、新設非常用排気装置23を設置する(ステップS27)。新設非常用排気装置23は、その機能は、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13と同様であり、貯蔵部本体1の内部の気体Gが許容する貯蔵量を超えるような非常時に、貯蔵部本体1の内部から外部に排気を行う。新設非常用排気装置23の詳細は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
続いて、
図23および
図25に示すように、貯蔵部本体1にゴム膜24を取り付ける本体側固定具25aを設置する(ステップS28)。ゴム膜24は、円環状に形成されたゴム性のシートであり、貯蔵部本体1の内面とピストン8の外周との間であって円周方向に連続して設置されることで、ピストン8と共に貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。本体側固定具25aは、ゴム膜24を貯蔵部本体1の内面に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、貯蔵部本体1の内面に対して気密性を確保する。
【0096】
続いて、
図23および
図25に示すように、ピストン8にゴム膜24を取り付けるピストン側固定具25bを設置する(ステップS29)。ピストン側固定具25bは、ゴム膜24をピストン8の外周に取り付けるためのもので、円周方向に沿って配置され、ピストン8の外周に対して気密性を確保する。
【0097】
続いて、
図23および
図25に示すように、ゴム膜24を設置する(ステップS30)。
【0098】
続いて、
図23および
図5に示すように、ステップS21にて開放した開口部20を閉塞する(ステップS31)。開口部20を閉塞する場合、開口部20の蓋となる閉塞部20aを、側板2に溶接にて接合し、開口部20を密閉する。
【0099】
続いて、
図23および
図25に示すように、レベルウエイト装置22をピストン8に接続する(ステップS32)。即ち、ワイヤ22bの他端をピストン8に接続する。
【0100】
続いて、
図23に示すように、レベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、およびピストン8の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS33)。例えば、ピストン8に接続する他端の長さ位置を変えることで、ワイヤ22bの長さ、およびピストン8の傾斜を調整できる。試運転は、例えば、ブロワー接続用ノズル等から試験用気体をブロワーで供給することで実施できる。
【0101】
ところで、本実施形態の貯蔵装置の改造方法は、上述したステップの順でなくてもよい。ただし、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を撤去する(ステップS22)、ゴム膜24を設置する(ステップS30)は、この順とする。
【0102】
非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS23)は、支持フレーム8a、回転防止装置9、シール装置10および油回収装置12を撤去する(ステップS22)と同時期であってもよい。バランスコンクリートの重量調整を行う(ステップS24)は、ゴム膜24を設置する(ステップS30)前であれば限定はない。フェンダ21を設置する(ステップS25)は、ゴム膜24を設置する(ステップS30)前であれば限定はない。レベルウエイト装置22を設置する(ステップS26)は、レベルウエイト装置22をピストン8に接続する(ステップS32)前であれば限定はない。新設非常用排気装置23を設置する(ステップS27)は、試運転を行う(ステップS33)前であれば限定はない。貯蔵部本体1にゴム膜24の本体側固定具25aを設置する(ステップS28)は、ゴム膜24を設置する(ステップS30)の前であれば限定はない。ピストン8にゴム膜24のピストン側固定具25bを設置する(ステップS29)は、ゴム膜24を設置する(ステップS30)前であれば限定はない。レベルウエイト装置22をピストン8に接続する(ステップS32)は、レベルウエイト装置22のワイヤ22bの長さ、およびピストン8の傾斜を調整し試運転を行う(ステップS33)前であれば限定はない。なお、開口部20が不要な場合は、ステップS21およびステップS31は行わない。なお、非常用排気装置(既設非常用排気装置)13を解体・撤去する(ステップS23)を行わず、残置し、新設非常用排気装置23を設置(ステップS27)してもよい。
【0103】
改造した実施形態2の貯蔵装置は、気体出入口管7を介して貯蔵部本体1に気体Gを供給または排出する。ピストン8と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで貯蔵部本体1の内部を上下に区画する。ピストン8は、気体出入口管7からの気体Gの流出入に応じてゴム膜24を伴って昇降移動し、気体Gを貯蔵または排出する。この構造により、貯蔵装置は、ピストン8と貯蔵部本体1の側板2とゴム膜24とで区画された下部空間を可変可能な可変容量のタンクとすることができる。
【0104】
このように、実施形態2の貯蔵装置および貯蔵装置の改造方法は、貯蔵部本体1を利用しつつ、シール装置10を使用する貯蔵装置を、ゴム膜24を使用する貯蔵装置に改造できる。この結果、実施形態2の貯蔵装置の改造方法によれば、全てを新設することと比較して基礎工事費、材料費、制作費などの建設費および工期を削減できる。特に、実施形態2では、シール装置10を使用する貯蔵装置において、ピストン8のフートリング8dおよび甲板8eを残し、かつピストンサポート11を利用しており、基礎工事費、材料費、制作費などの建設費および工期をより削減できる。
【0105】
実施形態2の新設非常用排気装置23の詳細については、上述した実施形態1に対し、新設ピストン27を用いず既設のピストン8を残すことが異なるが、
図8〜
図22に示す形態と同様である。
【0106】
即ち、実施形態2の貯蔵装置は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置されたピストン8と、ピストン8と貯蔵部本体1の側板2との間の気密性を確保するゴム膜24と、ピストン8と側板2とゴム膜24とで囲まれるピストン8の下方の貯蔵領域A1を貯蔵部本体1の外部に連通して貯蔵部本体1の外部に開口する排気管23Aと、排気管23Aの開口を閉塞する蓋23Bと、貯蔵部本体1の外部において蓋23Bを開放移動させる作動機構23C,23Eと、を備え、貯蔵部本体1の内部において上昇位置のピストン8の上方に余剰領域A2が形成されており、貯蔵領域A1にて気体Gの許容貯蔵量を超える上昇位置にピストン8が達した場合上昇位置のピストン8と作動機構23C,23Eとの間を連繋して作動機構23C,23Eを作動する連繋部23D,23F,23Hを有する。
【0107】
従って、ピストン8の上昇位置が低くなるように改造され、その上方に余剰領域A2が存在していても、上昇位置のピストン8により連繋部23D,23F,23Hを介して作動機構23C,23Eを作動できる。
【0108】
また、連繋部23Dは、上下方向に延びた棒状部材23Daと、棒状部材23Daを上下方向に移動可能に貯蔵部本体1に対して支持する支持部材23Dbと、を備え、上昇位置のピストン8が棒状部材23Daの下端を押し上げることで、棒状部材23Daが上方に移動して作動機構23Cを作動する。従って、余剰領域A2により棒状部材23Daが上下方向に長く構成されても、この棒状部材23Daを支持部材23Dbで上下方向に移動可能に支持するため、上昇位置のピストン8が当接したときの棒状部材23Daの座屈を防ぎ、この棒状部材23Daにより作動機構23Cを確実に作動させることができる。
【0109】
また、連繋部23Fは、上下方向に揺動可能に貯蔵部本体1に対して設けられて作動機構23Eとワイヤ23Ecで連結される揺動部材23Fbを備え、上昇位置のピストン8が揺動部材23Fbを押し上げることで、揺動部材23Fbが揺動してワイヤ23Ecを介して作動機構23Eを作動する。従って、余剰領域A2によりワイヤ23Ecが上下方向に長く構成されても、このワイヤ23Ecを揺動部材23Fbで操作でき、作動機構23Eを確実に作動させることができる。
【0110】
また、揺動部材23Fbは、側板2を貫通する貫通穴2aを介して貯蔵部本体1の内部から外部に延出されて上昇位置のピストン8に押し上げられる。ここで、貯蔵部本体1の内部においては、ピストン8の昇降に干渉しないように揺動部材23Fbの高さに至り作業者が行き着く手段を設けることが難しく、貯蔵部本体1の外部では揺動部材23Fbの高さに至り作業者が行き着く階段や梯子を設けることが容易である。従って、揺動部材23Fbを貯蔵部本体1の内部から外部に延出して設けることで揺動部材23Fbの保守を行うことができる。
【0111】
また、新設非常用排気装置23は、貯蔵部本体1の外部に延出された揺動部材23Fbを覆い、かつ貫通穴2aを閉塞するカバー23Gを有する。従って、カバー23Gを有することで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止できる。また、カバー23Gを有することで、連繋部23Fを雨水や粉塵から保護できる。
【0112】
また、連繋部23Hは、上下方向にスライド移動可能に貯蔵部本体1に対して設けられて作動機構23Eとワイヤ23Ecで連結されるスライド部材23Hbを備え、上昇位置のピストン8がスライド部材23Hbを押し上げることで、スライド部材23Hbがスライド移動してワイヤ23Ecを介して作動機構23Eを作動する。従って、余剰領域A2によりワイヤ23Ecが上下方向に長く構成されても、このワイヤ23Ecをスライド部材23Hbで操作でき、作動機構23Eを確実に作動させることができる。
【0113】
また、スライド部材23Hbは、貯蔵部本体1の外部でスライド移動可能に設けられ、側板2を貫通する貫通穴2aを介して貯蔵部本体1の内部から外部に延出された当接部材23Hcを介して上昇位置のピストン8に押し上げられる。ここで、貯蔵部本体1の内部においては、ピストン8の昇降に干渉しないようにスライド部材23Hbの高さに至り作業者が行き着く手段を設けることが難しく、貯蔵部本体1の外部ではスライド部材23Hbの高さに至り作業者が行き着く階段や梯子を設けることが容易である。従って、スライド部材23Hbを貯蔵部本体1の外部に設けることでスライド部材23Hbの保守を行うことができる。
【0114】
また、新設非常用排気装置23は、貯蔵部本体1の外部に配置されたスライド部材23Hbを覆い、かつ貫通穴2aを閉塞するカバー23Gを有する。従って、カバー23Gを有することで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止できる。また、カバー23Gを有することで、連繋部23Hを雨水や粉塵から保護できる。
【0115】
また、連繋部23F,23Hが貯蔵部本体1の内部に設けられていてもよい。従って、連繋部23F,23Hを貯蔵部本体1の内部に設けることで、貯蔵部本体1の外部から内部に雨水や粉塵の侵入を防止でき、連繋部23F,23Hを雨水や粉塵から保護できる。
【0116】
また、実施形態2の貯蔵装置の改造方法は、筒状の貯蔵部本体1と、貯蔵部本体1の内部を昇降可能に配置されたピストン8と、を有する貯蔵装置の改造方法であって、ピストン8と貯蔵部本体1の側板2との間の気密性を確保するゴム膜24を設け、貯蔵部本体1の内部において、ピストン8の下方にピストン8と側板2とゴム膜24とで囲まれる貯蔵領域A1を形成する工程と、貯蔵領域A1を貯蔵部本体1の外部に連通して貯蔵部本体1の外部に開口する排気管23Aと、排気管23Aの開口を閉塞する蓋23Bと、蓋23Bを開放移動する作動機構23C,23Eと、を設ける工程と、貯蔵領域A1において許容する気体Gの貯蔵量を超える上昇位置にピストン8が達した場合上昇位置のピストン8と作動機構23C,23Eとの間を連繋して作動機構23C,23Eを作動する連繋部23D,23F,23Hを設ける工程と、を含む。
【0117】
従って、ピストン8の上昇位置が低くなるように改造され、その上方に余剰領域A2が存在していても、上昇位置のピストン8により連繋部23D,23F,23Hを介して作動機構23C,23Eを作動できる。
【0118】
なお、上述した実施形態1,2の貯蔵装置の改造方法は、シール構造としてシール装置10を有する貯蔵装置を、ゴム膜24を有する貯蔵装置に改造するものであるが、ゴム膜24を有する貯蔵装置において、ピストン27の上昇位置を下げるように改造するものであってもよい。即ち、ピストン27の上昇位置が下がることで、既設の非常用排気装置の作動機構を作動させることができなくなり、上述した新設非常用排気装置23を設置することで、作動機構を作動できるようになる。