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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200970(P2020-200970A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】置換換気空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/08 20060101AFI20201120BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20201120BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   F24F13/08 A
   F24F7/10 Z
   F24F13/068 A
   F24F13/068 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-106379(P2019-106379)
(22)【出願日】2019年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】笠原 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】若杉 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】藤田 渉
(72)【発明者】
【氏名】村上 宏次
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 弥
(72)【発明者】
【氏名】川上 梨沙
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L080BA01
3L080BB01
3L080BB02
3L081AA01
3L081AA02
3L081AA03
3L081AB01
3L081AB02
3L081BA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】居住域の空間利用効率を向上するとともに、設置コストを低減することができる置換換気空調システムを提供する。
【解決手段】置換換気空調システム1Aは、天井面200a、壁面210及び床面で囲まれた室内に空調空気3を供給し、室内空気4aを排出することにより置換換気を行う。置換換気空調システム1Aは、壁面210寄りの天井面200aに設けられ、空調空気3を壁面210に沿って天井面200aから床面に向かう下方向Dに吹き出す吹出口10と、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布を調整する風速調整部11とを備え、風速調整部11は、壁面210から室内に向かう室内方向Fに対して壁面210から離間するほど空調空気3の風速が遅くなるように、風速分布を調整する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面、壁面及び床面で囲まれた室内に空調空気を供給し、前記室内の室内空気を排出することにより置換換気を行う置換換気空調システムであって、
前記壁面寄りの前記天井面に設けられ、前記空調空気を前記壁面に沿って前記天井面から前記床面に向かう下方向に吹き出す吹出口と、
前記吹出口から前記空調空気を吹き出すときの風速分布を調整する風速調整部と、を備え、
前記風速調整部は、
前記壁面から前記室内に向かう室内方向に対して前記壁面から離間するほど前記空調空気の風速が遅くなるように、前記風速分布を調整する、
ことを特徴とする置換換気空調システム。
【請求項2】
前記風速調整部は、
前記室内方向に対して前記壁面から離間するほど前記空調空気が流通するときの圧力損失が大きく設定された通気性部材で構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の置換換気空調システム。
【請求項3】
前記吹出口の前記室内方向側の縁部に設けられ、前記縁部から前記空調空気を吹き出すときの吹出方向を、前記下方向と前記室内方向とを合成した第1の傾斜吹出方向に変更する第1の吹出方向変更部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の置換換気空調システム。
【請求項4】
前記吹出口から前記空調空気を吹き出すときの吹出幅を変更する吹出幅変更部をさらに備え、
前記吹出幅は、
前記壁面の左方向及び右方向に沿った幅である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の置換換気空調システム。
【請求項5】
前記壁面の左方向及び右方向に沿って前記吹出口に設けられ、前記吹出口から前記空調空気を吹き出すときの吹出方向を、前記下方向と左方向又は右方向とを合成した第2の傾斜吹出方向に変更する第2の吹出方向変更部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の置換換気空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換換気空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調システムの1つとして、置換換気空調システムが知られている。この置換換気空調システムでは、室内空間の居住域における汚染物質濃度(例えば、二酸化炭素濃度)の高い空気を、汚染物質濃度の低い新鮮な空気で順次置換することにより、居住域の汚染物質濃度を低減し、室内空間の空気環境を良好に維持することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、二重床を形成する床パネルに設けられた孔から上方向に新鮮な空気を吹き出すことにより、置換換気を行う置換換気空調システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、空調空間の側面下部に設けられた給気口から水平方向に新鮮な空気を吹き出すことにより、置換換気を行う置換換気空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−241105号公報
【特許文献2】特開2005−282892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された置換換気空調システムでは、床下から空気を吹き出すようにするため、床下への空気の供給経路、二重床の構造、通気性を有する床パネル等を設置する必要がある。そのため、居住域の空間利用効率が低下するとともに、空調システムの設置コストが上昇するという問題点があった。
【0007】
また、特許文献2に開示された置換換気空調システムでは、壁面に設けられた給気口から水平方向に向かう気流が形成されるため、給気口の周辺や気流が直接到達する領域に対して、居住域を設定できなかったり、家具等の設備を設置できなかったりするという制約が生じる。そのため、室内空間を有効に利用することができず、居住域の空間利用効率が低下するという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、居住域の空間利用効率を向上するとともに、設置コストを低減することができる置換換気空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る置換換気空調システムは、
天井面、壁面及び床面で囲まれた室内に空調空気を供給し、前記室内の室内空気を排出することにより置換換気を行う置換換気空調システムであって、
前記壁面寄りの前記天井面に設けられ、前記空調空気を前記壁面に沿って前記天井面から前記床面に向かう下方向に吹き出す吹出口と、
前記吹出口から前記空調空気を吹き出すときの風速分布を調整する風速調整部と、を備え、
前記風速調整部は、
前記壁面から前記室内に向かう室内方向に対して前記壁面から離間するほど前記空調空気の風速が遅くなるように、前記風速分布を調整する、ことを特徴とする。
【0010】
また、上記置換換気空調システムにおいて、
前記風速調整部は、
前記室内方向に対して前記壁面から離間するほど前記空調空気が流通するときの圧力損失が大きく設定された通気性部材で構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
また、上記置換換気空調システムは、
前記吹出口の前記室内方向側の縁部に設けられ、前記縁部から前記空調空気を吹き出すときの吹出方向を、前記下方向と前記室内方向とを合成した第1の傾斜吹出方向に変更する第1の吹出方向変更部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0012】
また、上記置換換気空調システムは、
前記吹出口から前記空調空気を吹き出すときの吹出幅を変更する吹出幅変更部をさらに備え、
前記吹出幅は、
前記壁面の左方向及び右方向に沿った幅である、ことを特徴とする。
【0013】
また、上記置換換気空調システムは、
前記壁面の左方向及び右方向に沿って前記吹出口に設けられ、前記吹出口から前記空調空気を吹き出すときの吹出方向を、前記下方向と左方向又は右方向とを合成した第2の傾斜吹出方向に変更する第2の吹出方向変更部をさらに備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態に係る置換換気空調システムによれば、吹出口が、壁面寄りの天井面に設けられ、空調空気を壁面に沿って下方向に吹き出し、風速調整部が、室内方向に対して壁面から離間するほど空調空気の風速が遅くなるように、吹出口から空調空気を吹き出すときの風速分布を調整するので、最も壁面方向側を流れる気流の風速は最も速く調整され、最も室内方向側を流れる気流の風速は最も遅く調整される。そのため、最も壁面方向側を流れる気流は、壁面に沿って下方向に流れる際、コアンダ効果が生じることで床面に確実に到達することができるとともに、最も室内方向側を流れる気流は、当該気流付近に存在する室内空気との速度差が小さくなることで、室内空気を誘引して空調空気と混合することを抑制することができる。
【0015】
そして、最も壁面方向側を流れる気流と最も室内方向側を流れる気流との中間を流れる気流の風速は、壁面から離間するほど遅くなるように調整されているため、隣接する各気流間の速度差が小さくなることで、各気流間の境界付近で乱流が発生することを抑制することができる。
【0016】
したがって、壁面寄りの天井面に設けられた吹出口から空調空気を吹き出すことにより、空調空気は、室内空気と混合することなく、床面に到達し、置換換気を行うので、吹出口が床面や壁面に設けられた場合に比べて、居住域の空間利用効率を向上するとともに、設置コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aの全体構成の一例を示し、(a)は平面図、(b)正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示し、(a)は正面図、(b)はP−P線断面図、(c)は通気性部材110の分解斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示すQ−Q線断面図である。
図4】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aのシミュレーションの評価において、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布の設定を示す図である。(b)は、本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aのシミュレーションによる評価結果として、風速の分布状態を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aのシミュレーションによる評価結果として、(a)はCO濃度の分布状態、(b)は温度の分布状態を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示すQ−Q線断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示し、(a)は正面図、(b)はR−R線断面図である。
図8】本発明の第3の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示すS−S線断面図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示し、(a)は正面図、(b)はT−T線断面図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る吹出幅変更部18の動作を説明するものであり、(a)は開閉ダンパ181が開状態、(b)は開閉ダンパ181が閉状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aの全体構成の一例を示し、(a)は平面図、(b)正面図である。置換換気空調システム1Aは、天井面200、壁面210及び床面220で囲まれた居室2の室内に新鮮な低CO濃度の空調空気3を供給し、室内の高CO濃度の室内空気4を排出することにより置換換気を行う空調システムである。
【0020】
居室2は、天井面200、壁面210及び床面220を有するとともに、天井面200、壁面210及び床面220で仕切られることで、建築物の内部に所定の室内空間を形成する。建築物は、天井20、壁21及び床22、柱23、床スラブ24、梁等の躯体で構成されており、例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、木造等の工法で設計されている。また、建築物は、任意の態様で使用されるものであり、例えば、オフィスビル、集合住宅、戸建住宅、商業施設、病院、学校、福祉施設、文化施設、公共施設、駅、空港、工場、倉庫等として使用される。
【0021】
置換換気空調システム1Aは、壁面210寄りの天井面200aに設けられ、空調空気(給気SA)3を吹き出す吹出口10と、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布を調整する風速調整部11と、居室2の中央寄りの天井面200に設けられ、室内空気(還気RA)4を吸い込む吸込口12とを備える。
【0022】
壁面210寄りの天井面200aは、天井面200のうち、天井面200及び壁面210が交差する隅角部201に近接する部分の天井面200である。なお、壁面210寄りの天井面200aに、梁等による段差がある場合には、壁面210寄りの天井面200aは、段差として下がっている部分の天井面200でもよいし、段差として下がっていない部分の天井面200でもよい。また、壁面210寄りにおける壁面210は、壁面210同士が交差する入隅部分の壁面210でもよいし、壁面210同士が交差していない部分の壁面210でもよい。
【0023】
図1(a)に示す例では、置換換気空調システム1Aは、4つの吹出口10と、4つの吸込口12とを備える。4つの吹出口10は、居室2の4隅、すなわち、壁面210同士が交差する入隅部分の壁面210寄りの天井面200aにそれぞれ設けられている。4つの吸込口12は、居室2の中央寄りの天井面200にそれぞれ設けられている。なお、吹出口10及び吸込口12を設置する数や配置は、図1(a)に示す例に限られず、居室2の体積、形状等に応じて適宜変更してもよい。
【0024】
また、置換換気空調システム1Aは、冷房機能及び暖房機能を有する空調機13と、空調機13と吹出口10との間を連通する給気ダクト130及び吹出チャンバ14と、空調機13と吸込口12との間を連通する還気ダクト131と、温度センサ等のセンサ情報やユーザ操作等による操作情報を入力するとともに、空調機13等の各機器に対して制御情報を出力する制御盤15とを備える。空調機13は、例えば、建物内の空調室や建物の屋上等に設置されている。給気ダクト130、吹出チャンバ14及び還気ダクト131は、天井20と床スラブ24との間に形成された天井裏空間202等に設置されている。
【0025】
空調機13は、建物の外部から外気OAを導入して温度調整し、その温度調整した空調空気3を給気SAとして給気ダクト130及び吹出チャンバ14を介して吹出口10に供給する。また、空調機13は、吸込口12から吸い込まれた室内の室内空気4を還気ダクト131を介して還気RAとして吸入し、建物の外部に排気EAとして排出する。なお、空調機13は、温度だけでなく、湿度についても調整するようにしてもよい。
【0026】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示し、(a)は正面図、(b)はP−P線断面図、(c)は通気性部材110の分解斜視図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示すQ−Q線断面図である。
【0027】
ここで、置換換気空調システム1Aの構成を特定するための各方向について説明する。天井面200及び床面220に垂直な方向(高さ方向)であって、天井面200から床面220に向かう方向を「下方向D」とし、下方向Dの反対方向であって、床面220から天井面200に向かう方向を「上方向U」とする。壁面210に沿った方向であって、壁面210を正面に見たときに左側に向かう方向を「左方向L」とし、左方向Lの反対方向であって、壁面210を正面に見たときに右側に向かう方向を「右方向R」とする。壁面210に垂直な方向(奥行方向)であって、壁面210から離間するように壁面210から室内に向かう方向を「室内方向F」とし、室内方向Fの反対方向であって、壁面210に接近するように室内から壁面210に向かう方向を「壁面方向B」とする。
【0028】
吹出チャンバ14は、内部空間を有する箱状の部材であり、その上面140に、給気ダクト130が接続されており、その下面141に、吹出口10として機能する矩形状の開口部100が形成されている。
【0029】
吹出口10は、矩形状の開口部100として、所定の幅w1及び奥行d1を有し、壁面210寄りの天井面200aに設けられている。吹出口10は、給気ダクト130及び吹出チャンバ14を介して空調機13に連通されており、空調機13から供給された空調空気3を壁面210に沿って下方向Dに吹き出す。
【0030】
風速調整部11は、図3に示すように、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布を、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど空調空気3の風速を遅くなるように調整する。すなわち、風速調整部11は、壁面方向B側(壁側)の風速が速く、室内方向F側(居室側)の風速が遅くなるように、風速分布を調整する。
【0031】
風速調整部11は、その具体的な構成として、開口部100を覆うようにして配置されて、空調空気3が通過可能な通気性部材110で構成されている。通気性部材110は、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど空調空気3が通過するときの圧力損失が大きく設定されている。
【0032】
本実施形態では、通気性部材110は、幅及び奥行がそれぞれ異なる5枚の不織布111a〜111eからなる。5枚の不織布111a〜111eは、高さ方向に積層されて吹出口10に配置されることで、不織布111a〜111eの積層枚数の多少に応じて、圧力損失の大小が設定されている。
【0033】
5枚の不織布111a〜111eの形状としては、図2(c)に示すように、最も下方向Dに配置された不織布111aは、吹出口10と同程度の幅wa及び奥行daを有する矩形状に形成されており、不織布111aよりも上方向Uに順に積層された4枚の不織布111b〜110eは、L字状に形成されており、上方向Uに向かうほど、L字状を形成するための切り欠き部分の幅wb〜we及び奥行db〜deが大きくなるように形成されている。
【0034】
そして、5枚の不織布111b〜111eは、切り欠き部分が壁面方向B側に配置されるようにして積層されることで、壁面210から離間するほど不織布111a〜111eの積層枚数が多くなり、空調空気3が通過するときの圧力損失が大きくなるように配置されている。
【0035】
したがって、5枚の不織布111b〜111eは、図3に示すように、室内方向F側の積層枚数が多い部分を通過した空調空気3の風速を、壁面方向B側の積層枚数が少ない部分を通過した空調空気3の風速よりも遅くすることにより、吹出口10から空調空気3を第1乃至第5の気流30a〜30eとして吹き出すときの風速分布を、壁面210から離間するほど空調空気3の風速Va〜Ve(Va>Vb>Vc>Vd>Ve)が5段階で遅くなるように調整する。
【0036】
最も壁面方向B側を流れる第1の気流30aの風速Vaは、例えば、0.4m/s〜0.8m/s程度であり、最も室内方向F側を流れる第5の気流30eの風速Vbは、例えば、0.05m/s〜0.25m/s程度である。
【0037】
なお、風速調整部11は、5枚の不織布111a〜111eを積層することで、風速分布を5段階で調整するものであるが、不織布111a〜111eの枚数を変更することで、風速分布の段階数を変更してもよい。また、密度や厚さが異なる不織布111a〜111eを積層したり、不織布111a〜111eに対する切り欠き部分の幅及び奥行を変更したりすることで、風速分布の傾きを変更したり、風速分布を曲線的に変更したりするようにしてもよい。さらに、風速調整部11は、風速分布を調整する際に、風速を段階的に遅くなるように調整するだけではなく、風速を連続的に遅くなるように調整するようにしてもよい。
【0038】
また、通気性部材110は、空調空気3が通過するときの圧力損失を設定可能な部材であればよく、不織布111a〜111eに代えて、例えば、パンチングボードや金網等で構成されていてもよい。
【0039】
(置換換気空調システム1Aの動作と、居室2の空気環境について)
次に、上記構成を有する置換換気空調システム1Aの動作と、置換換気空調システム1Aが動作したときの居室2の空気環境について、シミュレーションによる評価結果を参照しながら説明する。
【0040】
図4(a)は、本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aのシミュレーションの評価において、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布の設定を示す図である。図4(b)は、本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aのシミュレーションによる評価結果として、風速の分布状態を示す図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aのシミュレーションによる評価結果として、(a)はCO濃度の分布状態、(b)は温度の分布状態を示す図である。
【0041】
置換換気空調システム1Aのシミュレーションでは、居室2は、夏季を想定し、高温(空気温度26℃)で高CO濃度の室内空気4で満たされており、吹出口10は、19℃に温度調整した低温で低CO濃度の空調空気3を吹き出すものとした。風速調整部11は、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布として、図4(a)に示すように、第1乃至第3の気流31a〜31cの3段階に調整するものとし、第1の気流31aの風速Vaは、0.55m/h(250CMH)、第2の気流31bの風速Vcは、0.35m/h(125CMH)、第3の気流31cの風速Vcは、0.23m/h(75CMH)とした。なお、図4(b)、図5(a)、(b)にて四角柱として示す部分は、熱源及びCO排出源として「人」を模擬したものである。
【0042】
図1〜3に示す上記構成を有する置換換気空調システム1Aにおいて、低CO濃度の空調空気3が、空調機13から給気ダクト130及び吹出チャンバ14を介して吹出口10に供給されると、空調空気3は、壁面210寄りの天井面200aに設けられた吹出口10から壁面210に沿って下方向Dに吹き出される。このとき、空調空気3は、通気性部材110を通過することにより、空調空気3が吹出口10から吹き出されるときの第1乃至第5の気流30a〜30e(図4、5に示すシミュレーションでは、第1乃至第3の気流31a〜31cを想定)の風速分布は、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど風速Va〜Ve(Va>Vb>Vc>Vd>Ve)が遅くなるように調整される。
【0043】
そのため、最も壁面方向B側を流れる第1の気流30aの風速Vaは、最も速く調整されており、第1の気流30aが、壁面210に沿って下方向Dに流れる際、コアンダ効果が生じることで床面220に到達する。床面220に到達した第1の気流30aは、床面220で室内方向Fに曲がるようにして、床面220に沿って室内方向Fに流れていく。この点について、シミュレーションによる評価結果として、図4(b)に示す風速の分布状態を参照すると、最も壁面方向B側を流れる第1の気流31aは、壁面210及び床面220に沿って風速Vaを維持した状態で流れているのが分かる。
【0044】
一方、最も室内方向F側を流れる第5の気流30eの風速Veは、最も遅く調整されており、第5の気流30e付近に存在する室内空気4aとの速度差が小さくなるため、第5の気流30eが、室内空気4aを巻き込むように誘引することを抑制した状態で下方向Dに流れていく。この点について、シミュレーションによる評価結果として、図4(b)に示す風速の分布状態を参照すると、最も室内方向F側を流れる第3の気流31cは、第3の気流31c付近に存在する室内空気4aを大きく巻き込むことなく、下方向Dに流れているのが分かる。
【0045】
また、第1の気流30aと第5の気流30eとの中間を流れる第2乃至第4の気流30b〜30dの風速Vb〜Vdは、壁面210から離間するほど遅くなるように調整されているため、隣接する各気流30a〜30e間の速度差が小さくなる。そのため、隣接する各気流30a〜30e間の境界付近で乱流が発生することを抑制し、第1乃至第5の気流30a〜30eの各々は、風速Va〜Veをそれぞれ維持し、層流として下方向Dに流れていく。この点について、シミュレーションによる評価結果として、図4(b)に示す風速の分布状態を参照すると、第1乃至第3の気流31a〜31cは、風速Va〜Vcをそれぞれ維持したまま下方向Dに流れているのが分かる。
【0046】
そして、最も壁面方向B側を流れる第1の気流30aだけでなく、第2乃至第5の気流30b〜30eについても下方向Dに流れて床面220に到達すると、床面220で室内方向Fに曲がるようにして、床面220に沿って室内方向Fに流れていく。このとき、第1乃至第5の気流30a〜30eの風速Va〜Veは、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど遅く調整されているため、床面220に到達して室内方向F側(居室側)に曲がるときに、第1乃至第5の気流30a〜30eの風速Va〜Veが、曲率半径が小さくなる内側部分を通るほど遅くなっている。
【0047】
そのため、床面220に到達して室内方向Fに曲がるときでも、隣接する各気流30a〜30e間の速度差が小さく維持されることにより、壁面210及び床面220が交差する隅角部221で乱流が発生することを抑制し、第1乃至第5の気流30a〜30eの各々が、層流として、床面220で室内方向Fに曲がるようにして、床面220に沿って室内方向Fに流れていく。この点について、シミュレーションによる評価結果として、図4(b)に示す風速の分布状態を参照すると、第1乃至第3の気流31a〜31cは、風速Va〜Vcをそれぞれ維持したまま、隅角部221で下方向Dから室内方向Fに曲がるようにして、下方向Dに流れているのが分かる。
【0048】
その結果、低CO濃度の空調空気3が居室2の下部全体に供給されることで、高CO濃度の室内空気4が居室2の上部に浮上する。そして、居室2の上部に浮上した室内空気4が、天井面200の中央寄りに設けられた吸込口12に吸い込まれることで、高CO濃度の室内空気4から低CO濃度の空調空気3へ置換換気が行われる。この点について、シミュレーションによる評価結果として、図5(a)に示すCO濃度の分布状態を参照すると、壁面210付近と、「人」を模擬した四角柱付近を含む居室2の下部(居住域)では、CO濃度が低くなっており、居室2の上部では、CO濃度が高くなっているのが分かる。また、図5(b)に示す温度の分布状態を参照すると、壁面210付近と、「人」を模擬した四角柱付近を含む居室2の下部(居住域)では、温度が低くなっており、上方向Uに向かうほど温度が上昇し、居室2の上部では、温度が高くなっているのが分かる。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る置換換気空調システム1Aによれば、吹出口10が、壁面210寄りの天井面200aに設けられ、空調空気3を壁面210に沿って下方向Dに吹き出し、風速調整部11が、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど空調空気3の風速Va〜Veが遅くなるように、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速分布(Vf>Va>Vb>Vc>Vd>Ve)を調整するので、最も壁面方向B側を流れる第1の気流30aの風速Vaは最も速く調整され、最も室内方向F側を流れる第5の気流30eの風速Veは最も遅く調整される。そのため、最も壁面方向B側を流れる第1の気流30aは、壁面210に沿って下方向Dに流れる際、コアンダ効果が生じることで床面220に確実に到達することができるとともに、最も室内方向F側を流れる第5の気流30eは、第5の気流30e付近に存在する室内空気4aとの速度差が小さくなることで、室内空気4aを誘引して空調空気3と混合することを抑制することができる。
【0050】
そして、第1の気流30aと第5の気流30eとの中間を流れる第2乃至第4の気流30b〜30dの風速Vb〜Vdは、壁面210から離間するほど遅くなるように調整されているため、隣接する各気流30a〜30e間の速度差が小さくなることで、各気流30a〜30e間の境界付近で乱流が発生することを抑制することができる。
【0051】
したがって、壁面210寄りの天井面200aに設けられた吹出口10から空調空気3を吹き出すことにより、空調空気3は、室内空気4と混合することなく、床面220に到達し、置換換気を行うので、吹出口10が床面220や壁面210に設けられた場合に比べて、居住域の空間利用効率を向上するとともに、設置コストの上昇を抑制することができる。
【0052】
また、風速調整部11が、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど空調空気3が流通するときの圧力損失が大きく設定された通気性部材110(本実施形態では、不織布111a〜111e)で構成されているので、簡単な構成で風速分布を調整することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示すQ−Q線断面図である。
【0054】
本実施形態に係る置換換気空調システム1Bは、第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aと比較して、吹出口10の室内方向F側の縁部101に設けられた第1の吹出方向変更部16をさらに備えるように変更したものである。なお、その他の基本的な構成は、第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0055】
第1の吹出方向変更部16は、吹出口10の室内方向F側の縁部101から空調空気3を吹き出すときの吹出方向を、下方向Dと室内方向Fとを合成した第1の傾斜吹出方向DFに変更する。
【0056】
第1の吹出方向変更部16は、その具体的な構成として、吹出口10の開口部100に配置された通気性部材110、すなわち、不織布111a〜111eのうち、縁部101に配置された部分(本実施形態では、図6で示すように、5枚の不織布111a〜111eが積層された部分)の不織布111a〜111eを、上方向Uに所定の曲率で湾曲状に丸めるようにして構成されている。
【0057】
なお、第1の吹出方向変更部16は、5枚の不織布111a〜111eが積層された部分を屈曲状に折り曲げるようにして構成されていてもよいし、4枚の不織布111a〜111dが積層された部分から湾曲状に丸めたり、屈曲状に折り曲げたりして構成されていてもよい。また、第1の吹出方向変更部16は、5枚の不織布111a〜111eが積層された部分を湾曲状に丸めることに代えて、例えば、吹出口10の室内方向F側の縁部101に、下方向Dに対して室内方向F側に所定の傾斜角で傾斜した状態で取り付けられたルーバ―部材で構成されていてもよく、その際、ルーバー部材は、傾斜角が変更可能な状態で取り付けられていてもよい。
【0058】
上記構成を有する置換換気空調システム1Bにおいて、空調機13から供給された空調空気3は、上方向Uに湾曲状に丸められた部分の不織布111a〜111eを通過することにより、空調空気3が第1の吹出方向変更部16を介して吹き出されるときの第5の気流30e1〜30e3の吹出方向は、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど第1の傾斜吹出方向DFが下方向Dから室内方向F側に大きく傾斜するように調整される。また、このときの第5の気流30e1〜30e3の風速分布は、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど風速Ve1〜Ve3(Ve1>Ve2>Ve3)が遅くなるように調整される。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る置換換気空調システム1Bによれば、第1の吹出方向変更部16が、吹出口10の室内方向F側の縁部101から空調空気3を吹き出すときの吹出方向を第1の傾斜吹出方向DFに変更するので、最も室内方向F側を流れる第5の気流30e1〜30e3が、下方向Dに対して室内方向F側に傾斜した状態で流れる。したがって、第5の気流30e1〜30e3は、第5の気流30e1〜30e3付近に存在する室内空気4aを室内方向F側に押し込むように流れるため、室内空気4aを誘引して空調空気3と混合することを抑制することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示し、(a)は正面図、(b)はR−R線断面図である。図8は、本発明の第3の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示すS−S線断面図である。
【0061】
本実施形態に係る置換換気空調システム1Cは、第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aと比較して、壁面210の左方向L及び右方向R(幅方向)に沿って吹出口10に設けられた第2の吹出方向変更部17をさらに備えるように変更したものである。なお、その他の基本的な構成は、第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0062】
第2の吹出方向変更部17は、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの吹出方向を、下方向Dと左方向Lとを合成した第2の傾斜吹出方向DLに変更する。
【0063】
第2の吹出方向変更部17は、その具体的な構成として、吹出口10の壁面方向B側の縁部102に、左方向L及び右方向Rに沿って所定の間隔で並設された複数のベーン部材170で構成されている。
【0064】
ベーン部材170は、長さw2(30mm程度)及び奥行d2(20mm程度)を有する平板状で形成されている。ベーン部材170は、平板状の平面部分が、下方向Dに対して左方向L側に所定の傾斜角で傾斜した状態(本実施形態では、左方向L側に45度傾斜した状態)で、吹出口10の開口部100に取り付けられている。通気性部材110は、ベーン部材170が取り付けられた部分よりも室内方向F側の開口部100を覆うようにして配置されている。
【0065】
なお、第2の吹出方向変更部17は、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの吹出方向を、下方向Dと右方向Rとを合成した第2の傾斜吹出方向DRに変更するようにしてもよい。また、第2の吹出方向変更部17は、室内方向F側の縁部101と、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの吹出方向を、壁面方向B側の縁部102との間の任意の範囲において、第2の傾斜吹出方向DL、DRに変更するようにしてもよい。
【0066】
さらに、複数のベーン部材170は、傾斜角が異なる状態で取り付けられていてもよく、例えば、図7(a)に示す例において、左方向Lに対して壁面210から離間するほど傾斜角が大きくなるように取り付けられていてもよい。また、複数のベーン部材170は、傾斜角が変更可能な状態で取り付けられていてもよく、その場合には、ベーン部材170の傾斜角を、ユーザが手動で変更するようにしてもよいし、制御盤15が電動モータ等を制御することによりに自動で変更するようにしてもよい。
【0067】
上記構成を有する置換換気空調システム1Cにおいて、空調機13から供給された空調空気3は、下方向Dに対して左方向L側に45度傾斜した状態で配置された複数のベーン部材170を通過することにより、空調空気3が第2の吹出方向変更部17を介して吹き出されるときの傾斜気流32の吹出方向は、図7(a)に示すように、ベーン部材170が傾斜した方向に沿って、第2の傾斜吹出方向DLに調整される。また、このときの傾斜気流32と、第1乃至第5の気流30a〜30eの風速分布は、図8に示すように、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど風速Vf、Va〜Ve(Vf>Va>Vb>Vc>Vd>Ve)が遅くなるように調整される。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る置換換気空調システム1Cによれば、第2の吹出方向変更部17が、吹出口10の壁面方向B側の縁部102から空調空気3を吹き出すときの吹出方向を第2の傾斜吹出方向DLに変更するので、最も壁面方向B側を流れる傾斜気流32が、下方向Dに対して左方向L側に傾斜した状態で流れる。したがって、吹出口10が、例えば、図7(a)に示すように、右方向R側に壁面210があるような位置に設けられた場合であっても、吹出口10が設けられた位置に対して左方向L側に、すなわち、居室2の中央側に空調空気3を供給することができるため、吹出口10を設置する位置の自由度を向上することができる。
【0069】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る吹出口10部分の構成の一例を示し、(a)は正面図、(b)はT−T線断面図である。図10は、本発明の第4の実施形態に係る吹出幅変更部18の動作を説明するものであり、(a)は開閉ダンパ181が開状態、(b)は開閉ダンパ181が閉状態を示す図である。
【0070】
本実施形態に係る置換換気空調システム1Dは、第1の実施形態に係る置換換気空調システム1Aと比較して、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの壁面210の左方向L及び右方向Rに沿った吹出幅w1、w3を変更する吹出幅変更部18をさらに備えるように変更したものである。なお、その他の基本的な構成は、第1の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0071】
吹出幅変更部18は、その具体的な構成として、吹出チャンバ14内の内部空間及び開口部100を、左方向L側の第1のチャンバ室142L及び第1の開口部100Lと、右方向R側の第2のチャンバ室142R及び第2の開口部100Rとに仕切る仕切り部材180と、第1のチャンバ室142Lに接続された第1の給気ダクト130Lと、第2のチャンバ室142Rに接続された第2の給気ダクト130Rと、第1の給気ダクト130Lに設けられた開閉ダンパ181とを備えて構成されている。
【0072】
開閉ダンパ181は、制御盤15により開状態に制御された場合、第1の給気ダクト130Lを開放し、制御盤15により閉状態に制御された場合、第1の給気ダクト130Lを閉塞する。
【0073】
第1及び第2の給気ダクト130L、130Rには、給気ダクト130を介して空調空気3が供給されるが、第2の給気ダクト130Rには、開閉ダンパ181が設けられていないため、第2の給気ダクト130Rに供給された空調空気3は、常に第2のチャンバ室142Rに供給される。一方、第1の給気ダクト130Lに供給された空調空気3は、開閉ダンパ181の開閉状態に応じて、第1のチャンバ室142Lに供給される場合と、第1のチャンバ室142Lに供給されない場合とが切り換えられる。
【0074】
そして、吹出幅変更部18は、図10(a)に示すように、開閉ダンパ181を開状態に切り換えることで、第1及び第2の開口部100L、100Rの両方から空調空気3を吹き出すように、吹出口10の吹出幅を、幅w1に変更する。また、吹出幅変更部18は、図10(b)に示すように、開閉ダンパ181を閉状態に切り換えることで、第2の開口部100Rの片方から空調空気3を吹き出すように、吹出口10の吹出幅を、幅w3(<w1)に変更する。
【0075】
なお、吹出幅変更部18は、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの吹出幅を、2つの幅w1、w3だけではなく、3つ以上の幅に変更するようにしてもよい。また、吹出幅変更部18は、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの吹出幅を変更可能に構成されていればよく、仕切り部材180や開閉ダンパ181等に代えて、例えば、左方向L及び右方向Rに移動して開口部100を覆う範囲を変更することで吹出幅を変更可能なシャッター部材で構成されていてもよい。
【0076】
上記構成を有する置換換気空調システム1Dにおいて、開閉ダンパ181が、図10(a)に示すように、開状態に切り換えられることで、空調機13から供給された空調空気3は、第1及び第2のチャンバ室142L、142Rに供給される。そのため、空調空気3が吹出幅変更部18を介して吹き出されるときの吹出幅は、第1の開口部100L及び第2の開口部100L、100Rの幅w1に変更される。その結果、空調空気3が第1の開口部100L及び第2の開口部100L、100Rから吹き出されるときの風速分布は、第1の実施形態と同様に、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど風速が遅くなるように調整される。
【0077】
また、開閉ダンパ181が、図10(b)に示すように、閉状態に切り換えられることで、空調機13から供給された空調空気3は、第2のチャンバ室142Rだけに供給される。そのため、空調空気3が吹出幅変更部18を介して吹き出されるときの吹出幅は、第2の開口部100Rの幅w3に変更される。その結果、空調空気3が第2の開口部100Rから吹き出されるときの風速分布は、開状態に切り換えられている場合と同様に、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど風速が遅くなるように調整されるが、壁面210から離間した距離が同じ位置の風速を比較すると、閉状態に切り換えられているときの風速は、開状態に切り換えられているときの風速よりも速く調整される。
【0078】
以上のように、本実施形態に係る置換換気空調システム1Dによれば、吹出幅変更部18が、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの吹出幅w1、w3を変更するので、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速を変更することができる。したがって、吹出口10から空調空気3を吹き出すときの風速を速くした場合には、暖房時においては、空調空気3を床面220まで確実に到達することができ、また、冷房時においては、スポットクーラとして機能させることができる。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0080】
例えば、上記第1乃至第4の実施形態を適宜組み合わせてもよく、例えば、第2の実施形態に、第3又は第4の実施形態を組み合わせてもよいし、第1の実施形態に、第3及び第4の実施形態を組み合わせてもよいし、これら以外の複数の実施形態を組み合わせてもよい。
【0081】
また、上記各実施形態では、吹出口10の開口部100は、矩形状であるものとして説明したが、他の形状であってもよく、例えば、室内方向F側に膨らむような半円形状でもよい。
【0082】
さらに、吹出口10が、例えば、東西に延びる第1の壁面と南北に延びる第2の壁面とが交差するような入隅部分の壁面210寄りの天井面200aに設けられる場合には、吹出口10の開口部100は、例えば、L字状でもよいし、直角三角形状でもよいし、中心角が直角の扇形状でもよい。
【0083】
その場合には、風速調整部11は、第1の壁面及び第2の壁面の少なくとも一方の壁面から離間するほど空調空気の風速が遅くなるように、風速分布を調整するようにすればよい。第1の吹出方向変更部16は、第1の壁面及び第2の壁面の少なくとも一方の壁面に対する室内方向側の縁部に設けられるようにすればよい。第2の吹出方向変更部17は、第1の壁面及び第2の壁面の少なくとも一方の壁面の左方向及び右方向に沿って設けられるようにすればよい。吹出幅変更部18は、第1の壁面及び第2の壁面の少なくとも一方の壁面の左方向及び右方向に対して吹出幅を変更するようにすればよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、風速調整部11は、通気性部材110で構成されたものとして説明したが、室内方向Fに対して壁面210から離間するほど空調空気3の風速が遅くなるように、風速分布を調整するものであれば、通気性部材110に限られない。例えば、置換換気空調システムが、吹出チャンバ14の内部に板状のガイド部材を備え、板状のガイド部材が、給気ダクト130から供給された気流を、風速が異なる複数の気流に分流することにより、風速分布を調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1A〜1D…置換換気空調システム、2…居室、3…空調空気、4、4a…室内空気、
10…吹出口、11…風速調整部、12…吸込口、13…空調機、
14…吹出チャンバ、15…制御盤、
16…第1の吹出方向変更部、17…第2の吹出方向変更部、18…吹出幅変更部、
20…天井、21…壁、22…床、23…柱、24…床スラブ、
30a〜30e、30e1〜30e3、31a〜31c…気流、32…傾斜気流、
100…開口部、100L…第1の開口部、100R…第2の開口部、
101…縁部、102…縁部、110…通気性部材、111a〜111e…不織布、
130…給気ダクト、130L…第1の給気ダクト、130R…第2の給気ダクト、
131…還気ダクト、140…上面、141…下面、
142L…第1のチャンバ室、142R…第2のチャンバ室、
170…ベーン部材、180…仕切り部材、181…開閉ダンパ、
200、200a…天井面、201…隅角部、202…天井裏空間
210…壁面、220…床面、221…隅角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10