特開2020-200979(P2020-200979A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-200979(P2020-200979A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20060101AFI20201120BHJP
   F24D 19/10 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   F24D3/00 J
   F24D19/10 C
   F24D3/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-107335(P2019-107335)
(22)【出願日】2019年6月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 卓也
【テーマコード(参考)】
3L070
3L073
【Fターム(参考)】
3L070AA02
3L070BB03
3L070BC03
3L070BC14
3L070CC06
3L070DE06
3L070DF07
3L070DG09
3L073AA02
3L073AA14
3L073DE05
(57)【要約】
【課題】バーナの燃焼熱で加熱される熱媒の循環状態についての異常の有無を精度よく判断することができる熱源装置を提供する。
【解決手段】熱源装置Hの制御部80は、所定の消火条件が満たされた際に、熱媒加熱部3のバーナ32を消火するとともに、燃焼ファン36を駆動して燃焼室30から燃焼排気を排出させるアフターパージを実行する。異常検知部81は、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後に、熱媒加熱部3における熱媒の検出温度が所定温度以上であった場合に、熱媒の循環状態に異常が生じていると判断する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒が循環する熱媒循環路と、前記熱媒循環路の途中に設けられ、前記熱媒を加熱する熱媒加熱部と、前記熱媒加熱部を制御する制御部と、前記熱媒の循環状態の異常を検知する異常検知部と、前記熱媒の温度を検出する温度センサとを備えた熱源装置であって、
前記熱媒加熱部は、少なくとも、燃焼室と、前記燃焼室の内部で前記熱媒循環路を流通する前記熱媒と熱交換を行う熱媒熱交換器と、前記燃焼室に設けられ、前記熱媒熱交換器を加熱するバーナと、前記燃焼室から前記バーナの燃焼排気を排出するファンとから構成され、
前記制御部は、所定の消火条件が満たされた際に、前記バーナを消火するとともに、前記ファンを第1回転数で駆動して前記燃焼室から燃焼排気を排出させる第1パージ運転を実行し、
前記異常検知部は、前記第1パージ運転の実行終了時から所定時間経過後に、前記熱媒加熱部における前記熱媒の検出温度が所定温度以上であった場合に、前記熱媒の循環状態に異常が生じていると判断することを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
請求項1の熱源装置において、
前記制御部は、前記第1パージ運転の実行終了後に、前記第1パージ運転よりも低い回転数で前記ファンを駆動する第2パージ運転を実行し、
前記異常検知部は、前記第2パージ運転の実行開始時から所定時間経過後に、前記熱媒加熱部における前記熱媒の検出温度が所定温度以上であった場合に、前記熱媒の循環状態に異常が生じていると判断することを特徴とする熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水等の熱媒を、ポンプによって熱媒循環路に循環させながら、熱交換器を用いてバーナの燃焼熱で加熱する熱源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温水暖房器、給湯器、風呂釜、及び、それらの複合器等において、水等の熱媒を、ポンプによって熱媒循環路に循環させながら、熱交換器によって加熱するとともに、加熱された熱媒の熱を暖房端末等から放熱する熱源装置がある。
【0003】
ところで、この種の熱源装置のように、熱媒を循環させるタイプの熱源装置では、加熱をしていない状態で熱媒が循環すると、通常であれば、暖房端末等からの放熱によって、熱媒の温度は徐々に低下していく。
【0004】
しかし、例えば、熱媒を循環させるポンプの故障、熱媒循環路の内部における異物の堆積、熱媒循環路の内部に溜まった空気等によって、熱媒の循環が阻害されてしまっている場合、熱媒の温度は、循環が阻害されていない場合に比べて、暖房端末等から放熱されにくくなるので、低下しにくくなる。
【0005】
すなわち、バーナによる熱媒の加熱が停止した後に熱媒の温度の変化を参照することによって、熱媒の循環状態を把握することができる。そこで、この種の熱源装置では、熱媒の循環状態に異常が生じているか否かの判断を行う手法として、熱媒の加熱が停止した後における熱媒の温度を参照して判断を行う手法を採用しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−248895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の熱源装置のような、熱媒を加熱するためにバーナの燃焼熱を用いるものでは、バーナを停止した後に、燃焼室の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱交換器に蓄積された熱量等によって、熱媒が加熱されてしまい熱媒の温度が上昇してしまう(いわゆる後沸き)。
【0008】
そして、熱媒の温度が上昇している状態では、熱媒の温度を参照する判断手法を用いて熱媒の循環状態についての異常の有無を判断すると、実際には熱媒の循環が阻害されていないのにも関わらず、循環が阻害されていると判断されてしまい、熱媒の循環状態についての異常の有無を精度よく判断できないおそれがある。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、バーナの燃焼熱で加熱される熱媒の循環状態についての異常の有無を精度よく判断することができる熱源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の熱源装置は、
熱媒が循環する熱媒循環路と、前記熱媒循環路の途中に設けられ、前記熱媒を加熱する熱媒加熱部と、前記熱媒加熱部を制御する制御部と、前記熱媒の循環状態の異常を検知する異常検知部と、前記熱媒の温度を検出する温度センサとを備えた熱源装置であって、
前記熱媒加熱部は、少なくとも、燃焼室と、前記燃焼室の内部で前記熱媒循環路を流通する前記熱媒と熱交換を行う熱媒熱交換器と、前記燃焼室に設けられ、前記熱媒熱交換器を加熱するバーナと、前記燃焼室から前記バーナの燃焼排気を排出するファンとから構成され、
前記制御部は、所定の消火条件が満たされた際に、前記バーナを消火するとともに、前記ファンを第1回転数で駆動して前記燃焼室から燃焼排気を排出させる第1パージ運転を実行し、
前記異常検知部は、前記第1パージ運転の実行終了時から所定時間経過後に、前記熱媒加熱部における前記熱媒の検出温度が所定温度以上であった場合に、前記熱媒の循環状態に異常が生じていると判断することを特徴とする。
【0011】
ここで、「熱媒加熱部における熱媒の検出温度」とは、熱媒全体の温度ではなく、燃焼室の内部、又は、燃焼室に隣接する位置(例えば、燃焼室の出口又は入口)等における熱媒の検出温度を指す。
【0012】
本発明の熱源装置のようにバーナを用いた熱源装置では、一般的に、加熱を停止する際、バーナを消火するとともに、燃焼室の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱交換器に蓄積された熱量等による熱媒の加熱(いわゆる後沸き)を抑制するために、バーナの設置されている燃焼室から燃焼排気を排出させるパージ運転(本発明における第1パージ運転。いわゆるアフターパージ。)が実行される。
【0013】
一方で、この第1パージ運転の実行中及び実行終了直後においては、その実行の際における燃焼排気の排出動作によって、熱媒の循環する配管の表面温度、温度センサの検出部分等が過剰に冷却されて、熱媒加熱部における熱媒の検出温度は、大きく低下する。
【0014】
すなわち、第1パージ運転の実行中及び実行終了直後において、そのような温度の低下が生じてしまうために、熱媒の循環状態についての異常の有無を正確に判断することができない。
【0015】
しかし、そのような温度の低下の影響(すなわち、第1パージ運転の影響)は、一時的なものであり、時間の経過とともに小さくなる。そのため、燃焼室の内部の容量等に応じた所定の時間が経過した後には、その影響は無視することができる。
【0016】
そこで、このように、本発明の熱源装置では、第1パージ運転の実行終了時から所定時間経過後(すなわち、第1パージ運転による温度の変化が終了した時点)における熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態に異常が生じているか否かを判断している。具体的には、その時点において検出温度が高い場合には、熱媒の循環状態に異常が生じていると判断している。
【0017】
これにより、本発明の熱源装置では、その判断に際して、第1パージ運転を実行することによって、バーナの燃焼熱の影響(燃焼室の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱交換器に蓄積された熱量の影響)を排除し、さらに、所定時間を経過させることによって、第1パージ運転による冷却の影響を排除することができる。
【0018】
したがって、本発明の熱源装置によれば、熱媒がバーナの燃焼熱で加熱されるものであっても、熱媒の循環状態を精度よく判断を行うことができる。
【0019】
また、熱源装置においては、
前記制御部は、前記第1パージ運転の実行終了後に、前記第1パージ運転よりも低い回転数で前記ファンを駆動する第2パージ運転を実行し、
前記異常検知部は、前記第2パージ運転の実行開始時から所定時間経過後に、前記熱媒加熱部における前記熱媒の検出温度が所定温度以上であった場合に、前記熱媒の循環状態に異常が生じていると判断することが好ましい。
【0020】
バーナを用いた熱源装置では、第1パージ運転の実行後に、次回の燃焼をスムーズに開始するために、第1パージ運転よりも低い回転数でファンを駆動して燃焼室の内部の空気を置換させる第2パージ運転(いわゆるポストパージ)が実行されることがある。
【0021】
この第2パージ運転は、第1パージ運転と比較して回転数が低いので、第2パージ運転によって導入される外気の流れによって、第1パージ運転のように、熱媒の循環する配管の表面温度、温度センサの検出部分等に過剰な冷却は生じない。一方で、その冷却の度合いは、燃焼室の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱交換器に蓄積された熱量等を抑制しきれるほどでもない。
【0022】
そのため、第2パージ運転の実行開始直後においては、熱媒の検出温度は、第1パージ運転で冷却された温度から、ある程度の温度まで徐々に上昇する。すなわち、第2パージ運転の実行開始直後における熱媒の検出温度に基づいて熱媒の循環状態に異常が生じているか否かを判断すると、上昇の程度が少ないので、精度よく判断を行えないおそれがある。
【0023】
そこで、このように、第2パージ運転の実行開始時から所定時間経過後に、熱媒の循環状態に異常が生じているか否かの判断を行うようにすると、第2パージ運転によって熱媒の温度が安定した段階で判断がなされるようになる。これにより、さらに精度よく判断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る熱源装置の概略構成を示す模式図。
図2図1の熱源装置が熱媒の循環状態の異常を判定する際に実行する処理を示すフローチャート。
図3図1の熱源装置における熱媒の検出温度の変化の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、図1を参照して、熱源装置Hの概略構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、熱源装置Hは、暖房端末1(床暖房機等)が途中に接続されている熱媒循環路2と、熱媒循環路2の途中に設けられている熱媒加熱部3と、熱媒加熱部3をバイパスして熱媒循環路2を連通する熱媒バイパス路4と、湯水が流通する給湯路5と、熱媒バイパス路4及び給湯路5の途中に設けられている給湯熱交換器6と、熱媒循環路2に熱媒(水、不凍液等)を循環させる循環ポンプ7とを備えている。
【0027】
熱媒加熱部3は、熱媒循環路2の途中に設けられている燃焼室30と、燃焼室30の内部に配置されている熱媒熱交換器31と、燃焼室30に配置され、熱媒熱交換器31を加熱するバーナ32と、バーナ32に点火する点火電極33と、バーナ32の燃焼炎を検出するフレームロッド34と、供給源(不図示)からの燃料ガスを供給するガス供給路35と、燃焼室30に対する気体の導入又は排出を行う燃焼ファン36とを有している。
【0028】
また、熱媒加熱部3は、熱媒熱交換器31の入口側で熱媒の温度を検出する入口側温度センサ37と、熱媒熱交換器31の出口側で熱媒の温度を検出する出口側温度センサ38と、熱媒熱交換器31の入口付近で圧力を検出する圧力センサ39とを有している。
【0029】
燃焼ファン36は、ガス供給路35から供給される燃料ガスと燃焼用空気とを混合して生成された混合気を、バーナ32に供給する。また、燃焼ファン36は、燃焼室30からの燃焼排気の排出、及び、燃焼室30への外気の導入も行う。
【0030】
具体的には、燃焼ファン36は、バーナ32の停止後に、燃焼室30の内部から燃焼排気を排出することによって、燃焼室30の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱媒熱交換器31に蓄積された熱量等による熱媒の加熱(いわゆる後沸き)を抑制するため、第1回転数(例えば、300Hz)で駆動するアフターパージ(第1パージ運転)を行う。
【0031】
また、燃焼ファン36は、アフターパージの実行後に、燃焼室30の内部の空気を置換する(例えば、燃焼室30の内部の空気を排出するとともに外気(例えば、熱源装置Hの外部の空気)を導入する)ことによって、次回の燃焼をスムーズに開始するため、第1回転数よりも低い第2回転数(例えば、150Hz)で駆動するポストパージ(第2パージ運転)も行う。
【0032】
なお、ポストパージの実行の際における燃焼ファン36の回転数は、アフターパージの実行の際における燃焼ファン36の回転数に比べ低くなっている。これは、燃焼排気の排出量、外気の導入量だけでなく、アフターパージに比べ長時間実行されるポストパージにおいて、騒音の量を抑制するためでもある。
【0033】
ガス供給路35には、ガス供給路35の開度を変更して燃料ガスの供給流量を変更するガス可変弁35aが設けられている。
【0034】
熱媒バイパス路4は、熱媒循環路2に上流端及び下流端で接続されている。本実施形態では、熱媒循環路2と熱媒バイパス路4との接続箇所のうち、熱媒バイパス路4の上流側となる接続箇所を接続箇所Xとし、熱媒バイパス路4の下流側となる接続箇所を接続箇所Yとする。接続箇所Yには、切換弁40が設けられている。
【0035】
切換弁40は、熱媒バイパス路4側を経由して循環ポンプ7から熱媒加熱部3に流通する熱媒の流量(第1ポート40aから第2ポート40bに流通する熱媒の流量)と、暖房端末1側を経由して循環ポンプ7から熱媒加熱部3へと流通する熱媒の流量(第3ポート40cから第2ポート40bに流通する熱媒の流量)との比率(分配比)を変更する。
【0036】
給湯路5の上流端は、上水道(不図示)に接続され、下流端は、給湯栓50に接続されている。給湯路5には、開度を変更することによって給湯路5に流入する水の流量を変更する流量可変弁51が設けられている。また、給湯路5には、給湯路5に流入する水の流量を検出する流量センサ52が設けられている。また、給湯路5には、給湯熱交換器6の出口側における給湯路5の湯水の温度を検出する出湯温度センサ53が設けられている。
【0037】
このように構成されている熱源装置Hでは、給湯熱交換器6によって、熱媒バイパス路4を流通する熱媒と給湯路5を流通する湯水との間で熱交換を行って、給湯路5を流通する水が加熱される。また、熱媒熱交換器31によって、バーナ32の燃焼炎による燃焼排気と熱媒循環路2を流通する熱媒との間で熱交換を行って、熱媒循環路2を流通する熱媒が加熱される。
【0038】
また、熱源装置Hは、熱源装置Hの全体的な作動を制御するコントローラ8と、熱源装置Hを遠隔操作するための熱源リモコン9a、及び、暖房端末1を遠隔操作するための暖房リモコン9bとを備えている。
【0039】
コントローラ8は、CPU、メモリ、各種インターフェース回路等によって構成された電子回路ユニットである。コントローラ8は、メモリに保持された熱源装置Hの制御用プログラムをCPUで実行することにより、制御部80及び異常検知部81として機能する。
【0040】
コントローラ8には、フレームロッド34、入口側温度センサ37、出口側温度センサ38、流量センサ52、及び、出湯温度センサ53の各検出信号が入力される。また、コントローラ8から出力される制御信号により、循環ポンプ7、バーナ32、点火電極33、ガス可変弁35a、燃焼ファン36、切換弁40、及び、流量可変弁51の作動が制御される。
【0041】
コントローラ8には、熱源装置Hを遠隔操作するための熱源リモコン9aが接続されている。この熱源リモコン9aに対する使用者の操作に応じて、操作信号(例えば、給湯設定温度等の運転条件の設定、暖房運転の開始等を指示する信号)が、コントローラ8に入力される。また、コントローラ8から出力される制御信号によって、熱源リモコン9aの表示部9a1の画面及びスピーカ9a2からの音声出力が制御される。
【0042】
また、コントローラ8には、暖房端末1を遠隔操作するための暖房リモコン9bが接続されている。コントローラ8は、暖房リモコン9bから送信される暖房の開始/停止指示、暖房設定温度、室温センサ9b1による室温の検出温度等を示す信号を受信する。
【0043】
ここで、制御部80により実行される暖房運転について説明する。
【0044】
制御部80は、使用者が熱源リモコン9a又は暖房リモコン9bにより暖房の開始操作が行われたときに、暖房運転を開始する。暖房運転においては、制御部80は、切換弁40を、第1ポート40aと第2ポート40bとの間を遮断し、第3ポート40cと第2ポート40bとの間を連通した第1切換状態として、循環ポンプ7を作動させる。
【0045】
これにより、熱媒循環路2の熱媒が、循環ポンプ7→熱媒熱交換器31→接続箇所X→暖房端末1→切換弁40(接続箇所Y)→循環ポンプ7の経路で循環する状態(第1循環状態)となる。そして、制御部80は、この状態で、室温センサ9b1の検出温度が暖房設定温度付近となるように、バーナ32の作動を制御する。
【0046】
具体的には、室温センサ9b1の検出温度が暖房設定温度+αとなり、且つ、その温度が所定時間(例えば、5秒)以上継続した場合には、制御部80は、バーナ32を消火して、熱媒の加熱を停止する。また、室温センサ9b1の検出温度が暖房設定温度−αとなり、且つ、その温度が所定時間(例えば、5秒)以上継続した場合には、制御部80は、バーナ32を再点火して、熱媒の加熱を再開する。
【0047】
そして、暖房端末1は、このようにして設定温度付近まで加熱された熱媒の熱によって、例えば、温風を生成して、その温風によって室内等の対象を暖房する。
【0048】
一方、制御部80は、使用者が熱源リモコン9a又は暖房リモコン9bにより暖房の停止操作が行われたときに、バーナ32と循環ポンプ7の作動を停止して暖房運転を終了する。なお、熱源リモコン9a又は暖房リモコン9bがタイマ運転の設定機能を有している場合には、タイマ運転の開始及び停止の設定条件に応じて、制御部80は、暖房運転の開始と停止を行う。
【0049】
次に、制御部80により実行される給湯運転について説明する。
【0050】
制御部80は、流量センサ52の検出流量を監視し、流量センサ52の検出流量が閾値流量(例えば、給湯栓50が開栓された状態を想定して設定される流量)以上になっているときに、給湯運転を実行する。
【0051】
給湯運転においては、制御部80は、切換弁40を、第3ポート40cと第2ポート40bとの間を遮断し、第1ポート40aと第2ポート40bとの間を連通した第2切換状態として、循環ポンプ7を作動させる。
【0052】
これにより、熱媒循環路2の熱媒が、循環ポンプ7→熱媒熱交換器31→接続箇所X→熱媒バイパス路4→切換弁40(接続箇所Y)→循環ポンプ7の経路で循環する状態(第2循環状態)となる。
【0053】
制御部80は、この状態でバーナ32を作動させ、給湯熱交換器6において、給湯路5を流通する湯水が熱媒バイパス路4を流通する熱媒との熱交換によって加熱される状態にする。そして、制御部80は、出湯温度センサ53の検出温度が熱源リモコン9aにより設定された目標給湯温度となるように、バーナ32の燃焼量を制御する。
【0054】
ところで、この熱源装置Hでは、例えば、熱媒を循環させる循環ポンプ7の故障、熱媒循環路2の内部における異物の堆積、熱媒循環路2の内部に溜まった空気等によって、熱媒の循環が阻害されてしまうおそれがある。
【0055】
そこで、この熱源装置Hでは、コントローラ8の異常検知部81が、入口側温度センサ37及び出口側温度センサ38からの検出信号に基づいて(すなわち、熱媒の検出温度、又は、その温度変化に基づいて)、熱媒の循環状態に異常が生じているか否かを判定している。
【0056】
以下においては、図1図3を参照して、コントローラ8が、熱媒の循環状態の異常を検知する際に実行する処理について説明する。図2は、その際に行われる処理を示すフローチャートである。また、図3は、出口側温度センサ38で検出された熱媒の検出温度の変化を示すグラフである。
【0057】
この処理においては、まず、コントローラ8の制御部80が、消火条件が満足されたか否かを判断する(図2/STEP1)。
【0058】
具体的には、本実施形態においては、入口側温度センサ37、及び、出口側温度センサ38のいずれか一方において検出された熱媒の検出温度が90度以上となり、且つ、その温度が1秒以上継続した場合に、安全のための消火条件が満足されたと判断する。なお、図3のグラフにおいては、t1において、その消火条件が満足されている。
【0059】
消火条件が満足されていないと判断された場合(STEP1においNOの場合)、制御部80は、STEP1に戻り、所定の制御周期で同じ判断を繰り返す。
【0060】
一方、消火条件が満足されたと判断された場合(STEP1においてYESの場合)、制御部80は、バーナ32を消火する(図2/STEP2)。
【0061】
次に、制御部80は、燃焼ファン36を駆動して、アフターパージを実行する(図2/STEP3)。
【0062】
ここで、アフターパージとは、バーナ32が消火された後に、燃焼室30の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱媒熱交換器31に蓄積された熱量等による熱媒の加熱(いわゆる後沸き)を抑制するために、燃焼室30の内部に残った燃焼排気を排出させる操作である。本実施形態では、燃焼ファン36を、例えば、300Hzで駆動して、燃焼室30から燃焼排気を排出させる。なお、この風量は、燃焼室30の内部の容量等に応じて、適宜設定される。
【0063】
熱源装置Hでは、バーナ32の消火及びアフターパージによって、燃焼室30の内部の温度(ひいては、熱媒の検出温度)が急激に低下する。本実施形態では、アフターパージは、図3のグラフにおいて、t1からt2の期間に実行される。
【0064】
次に、制御部80は、燃焼ファン36を駆動して、ポストパージを実行する(図2/STEP4)。
【0065】
ここで、ポストパージとは、アフターパージの実行終了後に、次回の燃焼をスムーズに開始するために、燃焼室30の内部の空気を置換させる操作である。本実施形態では、燃焼ファン36を、例えば、150Hzで駆動して、燃焼室30の内部の空気と熱源装置Hの外部の空気とを置換させる。なお、この風量は、燃焼室30の内部の容量等に応じて、適宜設定される。
【0066】
熱源装置Hでは、ポストパージによって、燃焼室30の内部の温度(ひいては、熱媒の検出温度)が所定温度(例えば、外気の温度)となる。本実施形態では、ポストパージは、図3のグラフにおいて、t2からt3の期間に実行される。
【0067】
次に、制御部80は、ポストパージの実行開始時から所定時間が経過したか否かを判断する(図2/STEP5)。
【0068】
ポストパージは、アフターパージと比較して回転数が低いので、ポストパージによって導入される外気の流れによって、熱媒循環路2の表面温度、入口側温度センサ37及び出口側温度センサ38に過剰な冷却は生じない。一方で、その冷却の度合いは、燃焼室30の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱媒熱交換器31に蓄積された熱量等を抑制しきれるほどでもない。
【0069】
そのため、ポストパージの実行開始直後においては、熱媒の検出温度は、アフターパージで冷却された温度から、ある程度の温度まで徐々に上昇する。そのため、その時点で後述する熱媒の循環状態の異常の判定を行うと、上昇の程度が少ないので、精度よく判定することができないおそれがあるためである。
【0070】
所定時間が経過していないと判断された場合(STEP5においてNOの場合)、制御部80は、STEP5に戻り、所定の制御周期で同じ判断を繰り返す。
【0071】
所定時間が経過したと判断された場合(STEP5でYESの場合)、コントローラ8の異常検知部81は、熱媒の検出温度が所定温度以上であるか否かに基づいて、熱媒の循環状態に異常が生じているか否かを判断する(図2/STEP6)。
【0072】
なお、この判断における「所定温度」は、設定温度に基づいて定められていてもよいし(例えば、設定温度+αの温度等)、設定温度に関わらず、一律の温度としてもよい(例えば、一律60℃等)。
【0073】
熱源装置Hにおいては、熱媒の循環状態に異常が生じていない場合には、熱媒の検出温度は、図3のグラフにおいて点線で示したように、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後である、ポストパージの実行開始時から所定時間経過後には、一定の温度(例えば、外気の温度)で安定する。
【0074】
一方で、熱媒の循環状態に異常が生じていた場合には、熱媒の検出温度は、アフターパージの実行終了時には、異常が生じていない場合と同様に熱媒の検出温度は一旦低下する。しかし、この場合、熱媒の検出温度は、図3のグラフにおいて実線で示したように、ポストパージの実行開始時から所定時間経過後(例えば、図3におけるt4の時刻)には、ある程度の温度(本実施形態では、60度を超える程度)まで上昇してしまう。
【0075】
つまり、ポストパージの実行開始時から所定時間経過後(すなわち、燃焼室30の内部の温度の上昇が終了した後(例えば、50〜80秒経過した後))の熱媒の検出温度が所定温度を超えていた場合には、熱媒の循環状態に異常が生じていると判断することができる。
【0076】
そして、熱媒の検出温度が所定温度以上ではなく、熱媒の循環状態に異常が生じていないと判断された場合(STEP6でNOの場合)、制御部80は、燃焼装置H全体を停止して、今回の処理を終了する。
【0077】
一方で、熱媒の検出温度が所定温度以上であり、熱媒の循環状態に異常が生じていると判断された場合(STEP6でYESの場合)、制御部80は、使用者に対しエラーを報知して(図2/STEP8)、その後、燃焼装置H全体を停止して、今回の処理を終了する。
【0078】
具体的には、本実施形態では、制御部80は、熱源リモコン9aの表示部9a1及びスピーカ9a2を介して、使用者にエラーが生じた旨を報知する。
【0079】
以上説明したように、熱源装置Hでは、アフターパージ(第1パージ運転)の実行中又は実行終了直後における熱媒の検出温度ではなく、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後(すなわち、アフターパージによる温度の変化が終了し、熱媒の有している熱量による温度の変化が生じ始めた後)における熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態に異常が生じているか否かを判断している。
【0080】
これにより、熱源装置Hでは、その判断に際して、アフターパージを実行することによって、バーナ32の燃焼熱の影響(燃焼室の内部に残留している燃焼排気の熱量、熱交換器に蓄積された熱量の影響)を排除し、さらに、所定時間を経過させることによって、アフターパージによる冷却の影響を排除することができる。
【0081】
したがって、熱源装置Hによれば、熱媒がバーナ32の燃焼熱で加熱されるものであっても、熱媒の循環状態を精度よく判断を行うことができる。
【0082】
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0083】
例えば、上記実施形態においては、アフターパージ(第1パージ運転)の実行終了後にポストパージ(第2パージ運転)を実行している。そして、そのポストパージの実行開始時から所定時間経過後における熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態の異常を判断している。
【0084】
しかし、本発明の熱源装置は、このような構成に限定されるものではなく、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後における熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態の異常を判断するものであればよい。
【0085】
そのため、例えば、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後であって、ポストパージの実行開始前の熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態の異常を有無してもよい。また、例えば、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後であって、ポストパージの実行終了後の熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態の異常を判断してもよい。
【0086】
また、熱源装置の種類によっては、ポストパージを実行しないものもある。そのような熱源装置に対しても、本発明の熱源装置は、前述のように、アフターパージの実行終了時から所定時間経過後における熱媒の検出温度に基づいて、熱媒の循環状態の異常を判断するものであればよいので、適用することができる。
【0087】
また、上記実施形態においては、消火条件として、熱媒の検出温度が所定温度を超えて、緊急停止がなされた場合について説明している。しかし、本発明における熱媒の循環状態の異常の有無の判断は、そのような場合にのみ行い得るものではない。例えば、使用者からの操作、前述した室温センサの検出温度が暖房設定温度付近となるように行われる制御に基づいて熱源装置の停止が指示された場合にも、異常の有無の判断を行ってもよい。
【0088】
また、上記実施形態においては、図1に示すように、熱媒の検出温度を熱媒加熱部3の入口近傍に設けられた入口側温度センサ37、及び、出口近傍に設けられた出口側温度センサ38を用いて検知するとともに、それらのいずれか一方の温度が所定温度であった場合に、熱媒の循環状態の異常の有無の判断を行っている。
【0089】
しかし、本発明の熱源装置は、このような構成に限定されるものではなく、熱媒の検出温度を検知できるものであればよい。例えば、燃焼室の内部において検知された熱媒の検出温度を用いて、異常の有無の判断を行ってもよい。
【0090】
また、例えば、上記実施形態における熱源装置Hでは、本実施形態のように構成すると最も精度よく判断することができるが、ある程度精度が低くてもよい場合には、入口側温度センサ37及び出口側温度センサ38で検知された温度の両方が所定温度であった場合に異常が生じていると判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…暖房端末、2…熱媒循環路、3…熱媒加熱部、4…熱媒バイパス路、5…給湯路、6…給湯熱交換器、7…循環ポンプ、8…コントローラ、9a…熱源リモコン、9a1…表示部、9a2…スピーカ、9b…暖房リモコン、9b1…室温センサ、30…燃焼室、31…熱媒熱交換器、32…バーナ、33…点火電極、34…フレームロッド、35…ガス供給路、35a…ガス可変弁、36…燃焼ファン、37…入口側温度センサ、38…出口側温度センサ、39…圧力センサ、40…切換弁、40a…第1ポート、40b…第2ポート、40c…第3ポート、50…給湯栓、51…流量可変弁、52…流量センサ、53…出湯温度センサ、80…制御部、81…異常検知部、H…熱源装置。
図1
図2
図3