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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-201047(P2020-201047A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/16 20060101AFI20201120BHJP
【FI】
   G01K1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-106003(P2019-106003)
(22)【出願日】2019年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 薫
(72)【発明者】
【氏名】今野 勇喜
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056DA02
(57)【要約】
【課題】感温素子に対する集熱性が向上し、熱応答性に優れた温度センサを提供する。
【解決手段】金属板5は、互いに対向している一対の主面5a,5bを有している。絶縁層7は、金属板5の主面5a上に配置されている。第一金属層10及び第二金属層20は、絶縁層7上に配置されており、互いに離間している。感温素子30は、第一金属層10と第二金属層20との間に接続されている。第一金属層10及び第二金属層20は、感温素子30が実装されるパッド11,21と、パッド11,21と離間しており、配線部材40が接続されるパッド13,23と、パッド11,21とパッド13,23とを連結する連結ライン15,25と、をそれぞれ有している。第一金属層10及び第二金属層20の熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向している一対の主面を有している金属板と、
前記金属板の一方の前記主面上に配置されている絶縁層と、
前記絶縁層上に配置されており、互いに離間している第一金属層及び第二金属層と、
前記第一金属層と前記第二金属層との間に接続されている感温素子と、を備え、
前記第一金属層及び前記第二金属層は、
前記感温素子が実装される第一パッドと、
前記第一パッドと離間しており、配線部材が接続される第二パッドと、
前記第一パッドと前記第二パッドとを連結する連結ラインと、をそれぞれ有し、
前記第一金属層及び前記第二金属層の熱伝導率は、前記金属板の熱伝導率より大きい、温度センサ。
【請求項2】
前記絶縁層上に配置されており、前記第一金属層及び前記第二金属層と離間している第三金属層を更に備えており、
前記第三金属層の熱伝導率は、前記金属板の熱伝導率より大きい、請求項1に記載の温度センサ。
【請求項3】
前記第三金属層は、前記第一金属層及び前記第二金属層を挟むように設けられている第一部分及び第二部分を有している、請求項2に記載の温度センサ。
【請求項4】
前記第三金属層は、前記第一金属層及び前記第二金属層を囲むように設けられている、請求項2に記載の温度センサ。
【請求項5】
前記連結ラインの長さは、前記第二パッドの長さより大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項6】
前記連結ラインの面積は、前記第二パッドの面積より小さい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の温度センサ。
【請求項7】
前記金属板の熱伝導率より大きい熱伝導率を有し、前記金属板の他方の前記主面上に配置されている第四金属層を更に備えている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
感温素子と、感温素子を収容すると共に金属板からなるケースと、感温素子をケースに保持する充填材と、を備えている温度センサが知られている(たとえば、特許文献1参照)。感温素子は、素子本体と、素子本体を覆っている封止体と、を有している。充填材は、樹脂からなり、封止体を覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2018/131164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの態様は、感温素子に対する集熱性が向上し、熱応答性に優れた温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様に係る温度センサは、互いに対向している一対の主面を有している金属板と、金属板の一方の主面上に配置されている絶縁層と、絶縁層上に配置されており、互いに離間している第一金属層及び第二金属層と、第一金属層と第二金属層との間に接続されている感温素子と、を備えている。第一金属層及び第二金属層は、感温素子が実装される第一パッドと、第一パッドと離間しており、配線部材が接続される第二パッドと、第一パッドと第二パッドとを連結する連結ラインと、をそれぞれ有している。第一金属層及び第二金属層の熱伝導率は、金属板の熱伝導率より大きい。
【0006】
上記一つの態様では、第一金属層と第二金属層とが、金属板の熱伝導率より大きい熱伝導率を有している。測定対象物から金属板が得た熱は、第一金属層及び第二金属層に伝わりやすく、第一金属層及び第二金属層で集められる。第一金属層及び第二金属層が、金属板の一方の主面側で、集熱する。第一金属層及び第二金属層は、感温素子が実装される第一パッドをそれぞれ有しているので、感温素子に対する集熱性が向上する。したがって、上記一つの態様は、熱応答性に優れる。
【0007】
上記一つの態様では、絶縁層上に配置されており、第一金属層及び第二金属層と離間している第三金属層を備えていてもよい。この場合、第三金属層の熱伝導率は、金属板の熱伝導率より大きい。
測定対象物から金属板が得た熱は、第三金属層に伝わりやすく、第三金属層でも集められる。第三金属層も、金属板の一方の主面側で、集熱する。したがって、感温素子に対する集熱性がより一層向上する。この結果、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0008】
上記一つの態様では、第三金属層が、第一金属層及び第二金属層を挟むように設けられている第一部分及び第二部分を有していてもよい。
本構成では、金属板の一方の主面側での収熱性が向上する。したがって、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0009】
上記一つの態様では、第三金属層は、第一金属層及び第二金属層を囲むように設けられていてもよい。
本構成では、金属板の一方の主面側での収熱性がより一層向上する。したがって、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【0010】
上記一つの態様では、連結ラインの長さは、第二パッドの長さより大きくてもよい。
第二パッドには、配線部材が接続されるので、第二パッドに伝わった熱が、配線部材に奪われるおそれがある。熱が配線部材に奪われる場合、温度センサの熱応答性が低下する。
本構成では、連結ラインの長さが第二パッドの長さ以下である構成に比して、第一パッドから第二パッドに向かって熱が伝わる経路の長さが大きい。したがって、第一パッドの熱が、第二パッドに伝わりがたく、配線部材に奪われがたい。この結果、本構成は、熱応答性の低下を抑制する。
【0011】
上記一つの態様では、連結ラインの面積は、第二パッドの面積より小さくてもよい。
本構成では、連結ラインの面積が第二パッドの面積以上である構成に比して、第一パッドから第二パッドに向かって熱が伝わりがたい。したがって、第一パッドの熱が、第二パッドを通して配線部材に奪われがたい。この結果、本構成は、熱応答性の低下を抑制する。
【0012】
上記一つの態様では、金属板の熱伝導率より大きい熱伝導率を有し、金属板の他方の主面上に配置されている第四金属層を備えていてもよい。
本構成では、測定対象物から金属板に熱が伝わりやすく、金属板の集熱性が向上する。したがって、本構成は、熱応答性により一層優れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、感温素子に対する集熱性が向上し、熱応答性に優れた温度センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る温度センサを示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る温度センサの断面構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る温度センサの断面構成を示す図である。
図4】第一金属層及び第二金属層の例を示す平面図である。
図5】本実施形態の変形例に係る温度センサの断面構成を示す図である。
図6】第一金属層、第二金属層、及び第三金属層の例を示す平面図である。
図7】第一金属層、第二金属層、及び第三金属層の例を示す平面図である。
図8】本実施形態の他の変形例に係る温度センサの断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1図4を参照して、本実施形態に係る温度センサ1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る温度センサを示す斜視図である。図2及び図3は、本実施形態に係る温度センサの断面構成を示す図である。図4は、第一金属層及び第二金属層の例を示す平面図である。
温度センサ1は、図1図3に示されるように、基板3と、感温素子30とを備えている。基板3は、金属板5、複数の絶縁層7,9、第一金属層10、及び第二金属層20と、を有している。
【0017】
金属板5は、互いに対向している一対の主面5a,5bを有している。主面5aと主面5bとは、第一方向D1で互いに対向している。金属板5は、一対の主面5a,5bを連結するように第一方向D1に延在している側面も有している。温度センサ1は、主面5bが測定対象物と対向するように配置される。温度センサ1は、主面5bが測定対象物と接するように配置されてもよい。第一方向D1は、金属板5の厚さ方向である。金属板5は、たとえば、アルミニウム(Al)からなる。アルミニウムの熱伝導率は、204W/(m・K)である。
【0018】
各主面5a,5bは、四つの辺を有している。各主面5a,5bは、矩形状を呈している。本実施形態では、各主面5a,5bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。したがって、金属板5は、平面視で、長方形状を呈している。以下、主面5a,5bの長辺方向を第二方向D2と規定し、主面5a,5bの短辺方向を第三方向D3と規定する。本実施形態では、第一方向D1と、第二方向D2と、第三方向D3とは、互いに直交している。各主面5a,5bは、正方形状を呈していてもよい。本明細書での矩形状は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。各主面5a,5bは、円形状を呈していてもよい。この場合、金属板5は、円板形状を呈する。各主面5a,5bは、矩形状以外の多角形状を呈していてもよい。
【0019】
金属板5の厚みは、たとえば、0.5〜1.5mmである。本実施形態では、金属板5の厚みは、1.0mmである。金属板5の第二方向D2での長さは、たとえば、8〜20mmである。本実施形態では、金属板5の第二方向D2での長さは、11mmである。金属板5の第三方向D3での長さは、たとえば、5〜10mmである。本実施形態では、金属板5の第三方向D3での長さは、6mmである。
【0020】
絶縁層7は、主面5a上に配置されている。絶縁層7は、主面5aと接している。絶縁層7は、主面5aの全体を覆っている。金属板5の主面5b及び側面は、絶縁層7から露出している。絶縁層7は、有機絶縁材料又は無機絶縁材料からなる。絶縁層7は、たとえば、エポキシ樹脂からなる。絶縁層7は、たとえば、アクリル樹脂又はポリイミド樹脂からなっていてもよい。絶縁層7の厚みは、金属板5の厚みより小さい。絶縁層7の厚みは、たとえば、30〜100μmである。本実施形態では、絶縁層7の厚みは、80μmである。
【0021】
第一金属層10及び第二金属層20は、絶縁層7上に配置されている。第一金属層10及び第二金属層20は、絶縁層7と接している。絶縁層7は、金属板5と、第一金属層10及び第二金属層20とを電気的に絶縁している。第二金属層20は、第一金属層10と離間している。本実施形態では、第一金属層10と第二金属層20とは、第三方向D3で離間している。第一金属層10及び第二金属層20の厚みは、たとえば、20〜50μmである。本実施形態では、第一金属層10及び第二金属層20の厚みは、35μmである。第一金属層10と第二金属層20とは、略合同である。
【0022】
第一金属層10は、図4に示されているように、一対のパッド11,13と、連結ライン15とを有している。一対のパッド11,13は、第二方向D2で離間している。連結ライン15は、パッド11とパッド13とを連結している。連結ライン15は、パッド11とパッド13との間に位置している。パッド11とパッド13とは、連結ライン15によって電気的に接続されている。一対のパッド11,13と、連結ライン15とは、一体的に形成されている。パッド11が、たとえば、第一パッドを構成する場合、パッド13が、第二パッドを構成する。
【0023】
各パッド11,13は、矩形状を呈している。各パッド11,13は、第二方向D2で互いに対向している一対の辺と、第三方向D3で互いに対向している一対の辺と、を有している。本実施形態では、パッド11は正方形状を呈しており、パッド13は、長方形状を呈している。パッド13の長辺方向は、第二方向D2である。パッド13の長辺方向は、第二方向D2である。パッド11は長方形状を呈していてもよく、パッド13は正方形状を呈していてもよい。
【0024】
連結ライン15は、パッド11とパッド13との間を、線状に延在している。図4の(a)及び(b)に示された連結ライン15は、直線状に延在している。図4の(c)に示された連結ライン15は、クランク状に延在している。図4の(c)に示された連結ライン15は、第二方向D2に延在する複数の部分と、第三方向D3に延在する複数の部分とが交互に位置している。
【0025】
第二金属層20は、図4に示されているように、一対のパッド21,23と、連結ライン25とを有している。一対のパッド21,23は、第二方向D2で離間している。連結ライン25は、パッド21とパッド23とを連結している。連結ライン25は、パッド21とパッド23との間に位置している。パッド21とパッド23とは、連結ライン25によって電気的に接続されている。一対のパッド21,23と、連結ライン25とは、一体的に形成されている。パッド21が、たとえば、第一パッドを構成する場合、パッド23が、第二パッドを構成する。
【0026】
各パッド21,23は、矩形状を呈している。各パッド21,23は、第二方向D2で互いに対向している一対の辺と、第三方向D3で互いに対向している一対の辺と、を有している。本実施形態では、パッド21は正方形状を呈しており、パッド23は、長方形状を呈している。パッド23の長辺方向は、第二方向D2である。パッド23の長辺方向は、第二方向D2である。パッド21は長方形状を呈していてもよく、パッド23は正方形状を呈していてもよい。
【0027】
連結ライン25は、パッド21とパッド23との間を、線状に延在している。図4の(a)及び(b)に示された連結ライン25は、直線状に延在している。図4の(c)に示された連結ライン25は、クランク状に延在している。図4の(c)に示された連結ライン25は、第二方向D2に延在する複数の部分と、第三方向D3に延在する複数の部分とが交互に位置している。
【0028】
各パッド11,21の第二方向D2での長さは、たとえば、8〜20mmである。本実施形態では、各パッド11,21の第二方向D2での長さは、11mmである。各パッド11,21の第三方向D3での長さは、たとえば、5〜10mmである。本実施形態では、各パッド11,21の第三方向D3での長さは、6mmである。各パッド11,21の面積は、たとえば、0.25〜4mmである。本実施形態では、各パッド11,21の面積は、1mmである。
【0029】
各パッド13,23の第二方向D2での長さL1は、たとえば、1.0〜5.0mmである。本実施形態では、各パッド13,23の長さL1は、3.0mmである。長さL1は、パッド11,21とパッド13,23とが離間している方向での長さである。各パッド13,23の第三方向D3での長さL2は、たとえば、0.5〜2.0mmである。本実施形態では、各パッド13,23の長さL2は、1.25mmである。各パッド13,23の面積は、たとえば、0.5〜10mmである。本実施形態では、各パッド13,23の面積は、3.75mmである。
【0030】
図4の(a)に示された各連結ライン15,25の長さは、各パッド13,23の長さL1より小さい。図4の(b)及び(c)に示された各連結ライン15,25の長さは、各パッド13,23の長さL1より大きい。図4の(a)に示された各連結ライン15,25の長さは、たとえば、2.5mmである。図4の(b)に示された各連結ライン15,25の長さは、たとえば、4.0mmである。図4の(c)に示された各連結ライン15,25の長さは、たとえば、4.5mmである。各連結ライン15,25の幅は、各パッド13,23の長さL2より小さい。各連結ライン15,25の幅は、各連結ライン15,25の第三方向D3での長さである。各連結ライン15,25の幅は、たとえば、0.2mmである。
【0031】
各連結ライン15,25の面積は、各パッド13,23の面積より小さい。図4の(a)に示された各連結ライン15,25の面積は、0.5mmである。図4の(b)に示された各連結ライン15,25の面積は、0.8mmである。図4の(c)に示された各連結ライン15,25の面積は、0.9mmである。
【0032】
第一金属層10及び第二金属層20は、たとえば、銅(Cu)からなる。銅の熱伝導率は、372W/(m・K)である。第一金属層10及び第二金属層20の各熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より大きい。
【0033】
絶縁層9は、絶縁層7上と、連結ライン15,25上とに配置されている。絶縁層9は、絶縁層7と、連結ライン15,25とに接している。絶縁層9は、絶縁層7における第一金属層10及び第二金属層20から露出している領域と、連結ライン15,25とを覆っている。絶縁層9には、各パッド11,13,21,23に対応する位置に、開口が形成されている。絶縁層9には、四つの開口が形成されている。各パッド11,13,21,23は、絶縁層9から露出している。絶縁層9は、有機絶縁材料又は無機絶縁材料からなる。絶縁層9は、たとえば、レジスト材料からなる。絶縁層9の厚みは、たとえば、20〜80μmである。本実施形態では、絶縁層9の厚みは、40μmである。
【0034】
感温素子30は、略直方体形状の素体31と、素体31の長手方向の両端部に形成されている一対の外部電極33と、を備えている。感温素子30は、積層チップサーミスタである。感温素子30は、一方の外部電極33に接続されている内部電極35と、他方の外部電極33に接続されている内部電極37と、を有している。内部電極35と内部電極37とは、互いに対向するように素体31内に配置されている。素体31は、内部電極35と内部電極37とで挟まれる領域を有している。この領域は、感温素子30としての特性を主に発揮する。感温素子30は、上記領域の抵抗値の温度変化を利用することにより、サーミスタとして機能する。感温素子30は、この技術分野では既知であり、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0035】
感温素子30は、一対のパッド11,21に実装されている。本実施形態では、感温素子30は、一対のパッド11,21にはんだ実装されている。図2及び図3では、はんだの図示が省略されている。一方の外部電極33は、パッド11に接続されており、他方の外部電極33は、パッド21に接続されている。感温素子30は、第一金属層10と第二金属層20との間に接続されている。一方の外部電極33は、パッド11及び連結ライン15を通して、パッド13と電気的に接続されている。他方の外部電極33は、パッド21及び連結ライン25を通して、パッド23と電気的に接続されている。
【0036】
各パッド13,23には、配線部材40が接続されている。各配線部材40は、絶縁被覆された導体線である。各パッド13,23には、対応する導体線の端部がはんだ接合されている。図2及び図3では、はんだの図示が省略されている。
【0037】
温度センサ1は、図2及び図3に示されるように、被覆層45を備えていてもよい。被覆層45は、絶縁層9上に配置されている。被覆層45は、絶縁層9を全体的に覆っている。被覆層45は、感温素子30と、各配線部材40の一部とを覆っている。被覆層45は、絶縁層9と、感温素子30と、各配線部材40の一部とに接している。被覆層45の表面は、露出している。被覆層45は、被覆層45以外の部材で覆われていない。被覆層45の熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より小さい。被覆層45は、たとえば、エポキシ樹脂からなる。被覆層45は、たとえば、ウレタン樹脂からなっていてもよい。図1では、後述する被覆層45の図示が省略されている。
【0038】
以上のように、温度センサ1では、第一金属層10と第二金属層20とが、金属板5の熱伝導率より大きい熱伝導率を有している。測定対象物から金属板5が得た熱は、第一金属層10及び第二金属層20に伝わりやすく、第一金属層10及び第二金属層20で集められる。第一金属層10及び第二金属層20が、金属板5の主面5a側で、集熱する。第一金属層10は、感温素子30が実装されるパッド11を有し、第二金属層20は、感温素子30が実装されるパッド21を有している。したがって、温度センサ1では、感温素子30に対する集熱性が向上する。この結果、温度センサ1は、熱応答性に優れる。
【0039】
一方の外部電極33は、パッド11に接続されており、他方の外部電極33は、パッド21に接続されている。第一金属層10及び第二金属層20で集められた熱は、各パッド11,21及び各外部電極33を通して、素体31の両端から伝わる。したがって、熱が、内部電極35と内部電極37とで挟まれる領域に伝わりやすい。この結果、温度センサ1の熱応答性が向上する。
絶縁層7の厚みが、金属板5の厚みより小さいので、絶縁層7の熱伝導率が金属板5の熱伝導率より小さい場合でも、絶縁層7が、金属板5から第一金属層10及び第二金属層20への伝熱を阻害しがたい。この結果、温度センサ1の熱応答性の低下が抑制される。
【0040】
温度センサ1では、各連結ライン15,25の長さが、各パッド13,23の長さL1より大きい。
各パッド13,23には、配線部材40が接続される。したがって、各パッド13,23に伝わった熱が、配線部材40に奪われるおそれがある。熱が配線部材40に奪われる場合、温度センサ1の熱応答性が低下する。
温度センサ1では、各連結ライン15,25の長さが各パッド13,23の長さL1以下である構成に比して、パッド11,21からパッド13,23に向かって熱が伝わる経路の長さが大きい。したがって、各パッド11,21の熱が、対応するパッド13,23に伝わりがたく、配線部材40に奪われがたい。この結果、温度センサ1は、熱応答性の低下を抑制する。
【0041】
温度センサ1では、各連結ライン15,25の面積が、各パッド13,23の面積より小さい。
温度センサ1では、各連結ライン15,25の面積が各パッド13,23の面積以上である構成に比して、熱が、各パッド11,21から、対応するパッド13,23に向かって伝わりがたい。したがって、各パッド11,21の熱が、対応するパッド13,23を通して、配線部材40に奪われがたい。この結果、温度センサ1は、熱応答性の低下をより一層抑制する。
【0042】
被覆層45は、感温素子30と、各配線部材40の一部とを保護する。
被覆層45の熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より小さい。したがって、第一金属層10及び第二金属層20で集められた熱が、被覆層45を通して放散されるのが抑制される。この結果、温度センサ1では、感温素子30に対する集熱性の向上が抑制される。この結果、被覆層45は、熱応答性の低下を抑制する。
【0043】
次に、図5図7を参照して、本実施形態の変形例に係る温度センサ1の構成を説明する。図5は、本変形例に係る温度センサの断面構成を示す図である。図6及び図7は、第一金属層、第二金属層、及び第三金属層の例を示す平面図である。本変形例に係る温度センサ1は、概ね、上述した温度センサ1と類似又は同じであるが、第三金属層50を備えている点で、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0044】
温度センサ1は、第三金属層50を更に備えている。第三金属層50は、図5に示されるように、第一金属層10及び第二金属層20と同様に、絶縁層7上に配置されている。第三金属層50は、絶縁層7と接している。第三金属層50は、第一金属層10及び第二金属層20と離間している。第三金属層50は、第一金属層10及び第二金属層20と電気的に絶縁されている。
【0045】
第三金属層50の厚みは、たとえば、20〜50μmである。本変形例では、第三金属層50は、35μmである。
第三金属層50は、たとえば、銅からなる。銅の熱伝導率は、372W/(m・K)である。第三金属層50は、たとえば、銀(Ag)からなっていてもよい。銀の熱伝導率は、418W/(m・K)である。第三金属層50の熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より大きい。
【0046】
第三金属層50は、図6に示されるように、互いに離間している少なくとも二つの部分50a,50bを有している。部分50aと部分50bとは、第二方向D2で離間している。第一方向D1から見て、第一金属層10及び第二金属層20は、部分50aと部分50bとの間に位置している。第一金属層10及び第二金属層20は、第二方向D2で、部分50aと部分50bとに挟まれている。部分50aと部分50bとは、第一金属層10及び第二金属層20を挟むように設けられている。部分50aは、パッド11,21と隣り合っている。部分50bは、パッド13,23と隣り合っている。部分50aが、たとえば、第一部分を構成する場合、部分50bが、第二部分を構成する。
【0047】
第三金属層50は、図7に示されるように、第一金属層10及び第二金属層20を囲むように設けられていてもよい。第三金属層50は、平面視で、枠状を呈している。第一方向D1から見て、第一金属層10及び第二金属層20は、第三金属層50の内側に位置している。第三金属層50は、第二方向D2で離間している一対の部分50cと、第三方向D3で離間している一対の部分50dと、を有している。部分50cと部分50dとは、連続している。部分50cと部分50dとは、離間していてもよい。各部分50c,50dは、主面5aの縁に沿うように位置している。
【0048】
温度センサ1は、上述したように、第三金属層50を備えていてもよい。第三金属層50の熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より大きい。
測定対象物から金属板5が得た熱は、第三金属層50に伝わりやすく、第三金属層50でも集められる。第三金属層50も、金属板5の主面5a側で、集熱する。したがって、感温素子30に対する集熱性がより一層向上する。この結果、第三金属層50を備えていている温度センサ1は、熱応答性により一層優れる。
【0049】
第三金属層50が部分50aと部分50bとを有している構成では、金属板5の主面5a側での収熱性が向上する。したがって、上記構成は、熱応答性により一層優れる。
【0050】
第三金属層50は、第一金属層10及び第二金属層20を囲むように設けられている構成では、金属板5の主面5a側での収熱性がより一層向上する。したがって、上記構成は、第三金属層50が部分50aと部分50bとを有している構成に比して、熱応答性により一層優れる。
【0051】
次に、図8を参照して、他の変形例に係る温度センサ1の構成を説明する。図8は、他の変形例に係る温度センサの断面構成を示す図である。本変形例に係る温度センサ1は、概ね、上述した実施形態に係る温度センサ1と類似又は同じであるが、第四金属層60を備えている点で、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0052】
温度センサ1は、第四金属層60を更に備えている。第四金属層60は、図8に示されるように、主面5b上に配置されている。第四金属層60は、主面5bと接している。第四金属層60は、主面5bの全体を覆っている。金属板5の側面は、第四金属層60から露出している。金属板5の側面も、第四金属層60で覆われていてもよい。本変形例に係る温度センサ1は、第四金属層60が測定対象物と対向するように配置される。本変形例に係る温度センサ1は、第四金属層60が測定対象物と接するように配置されてもよい。
【0053】
第四金属層60の厚みは、たとえば、20〜50μmである。本変形例では、第四金属層60は、35μmである。
第四金属層60は、たとえば、金(Au)からなる。金の熱伝導率は、295W/(m・K)である。第四金属層60は、たとえば、銀からなっていてもよい。銀の熱伝導率は、418W/(m・K)である。第四金属層60の熱伝導率は、金属板5の熱伝導率より大きい。
【0054】
温度センサ1が第四金属層60を備えている構成では、測定対象物から金属板5に熱が伝わりやすく、金属板5の集熱性が向上する。したがって、上記構成は、熱応答性により一層優れる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0056】
部分50aと部分50bとは、第三方向D3で離間していてもよい。
第三金属層50は、部分50aのみを有していてもよい。第三金属層50が部分50aと部分50bとを有している場合、上述したように、金属板5の主面5a側での収熱性が向上する。
【符号の説明】
【0057】
1…温度センサ、5…金属板、5a,5b…主面、7…絶縁層、10…第一金属層、11,13…パッド、15…連結ライン、20…第二金属層、21,23…パッド、25…連結ライン、30…感温素子、40…配線部材、50…第三金属層、60…第四金属層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8