特開2020-201122(P2020-201122A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2020-201122推定装置、推定システムおよび推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-201122(P2020-201122A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】推定装置、推定システムおよび推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/388 20190101AFI20201120BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20201120BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20201120BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
   G01R31/388
   G01R31/3842
   H02J7/00 X
   H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-108014(P2019-108014)
(22)【出願日】2019年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雄大
(72)【発明者】
【氏名】久永 将人
(72)【発明者】
【氏名】下町 孝
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA03
2G216BA14
2G216CA03
2G216CA04
2G216CB31
2G216CB55
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA03
5G503CB11
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD02
5H030AS08
5H030BB03
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】SOC推定の精度を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る推定装置は、電圧が所定範囲外への端点に到達した場合に定電圧による充放電状態となるように制御される電池の充電率を推定する推定装置であって、制御部を備える。制御部は、上記電圧が所定範囲外であり、かつ、電池の充放電電流の絶対値が所定の電流閾値以下である場合に、少なくとも電池の温度を含む電池状態に応じて可変するように予め設定されたリセット値によって上記充電率をリセットする。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が所定範囲外への端点に到達した場合に定電圧による充放電状態となるように制御される電池の充電率を推定する推定装置であって、
前記電圧が所定範囲外であり、かつ、前記電池の充放電電流の絶対値が所定の電流閾値以下である場合に、少なくとも前記電池の温度を含む電池状態に応じて可変するように予め設定されたリセット値によって前記充電率をリセットする制御部
を備えることを特徴とする推定装置。
【請求項2】
前記電池状態は、
複数の前記電流閾値で区切られる前記充放電電流の入力電流状態をさらに含み、
前記制御部は、
前記入力電流状態のそれぞれと前記温度との組み合わせごとに前記リセット値が予め設定された特性マップに基づいて前記リセット値を導出する
ことを特徴とする請求項1に記載の推定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記絶対値が前記電流閾値以下である状態が所定時間継続する場合に、前記特性マップに基づいて前記リセット値を導出する
ことを特徴とする請求項2に記載の推定装置。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の推定装置と、
前記電池と
を備えることを特徴とする推定システム。
【請求項5】
車両に搭載される
ことを特徴とする請求項4に記載の推定システム。
【請求項6】
電圧が所定範囲外への端点に到達した場合に、定電圧による充放電状態となるように制御される電池の充電率を推定する推定装置を用いた推定方法であって、
前記電圧が所定範囲外であり、かつ、前記電池の充放電電流の絶対値が所定の電流閾値以下である場合に、少なくとも前記電池の温度を含む電池状態に応じて可変するように予め設定されたリセット値によって前記充電率をリセットする制御工程
を含むことを特徴とする推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、推定装置、推定システムおよび推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やEV(Electric Vehicle)に搭載されるリチウムイオン二次電池(LIB:Lithium-Ion rechargeable Battery)等の充電率(SOC:State Of Charge)を、所定のアルゴリズムを用いて推定する技術が知られている。
【0003】
所定のアルゴリズムの1つとしては、クーロンカウント法が知られている。ただし、クーロンカウント法は、いわゆる電流積算方式であるため、たとえば電流センサの測定誤差等があると、長時間の積算により誤差が蓄積されてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、定期的に、OCV(Open-circuit voltage)−SOC特性に基づくSOCの推定値により、SOCをリセットする技術も知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−283922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術には、SOC推定の精度を向上させるうえで、更なる改善の余地がある。
【0007】
たとえば、OCV−SOC特性を利用するのみによってSOCをリセットする場合、電池に一定時間負荷がなく、安定状態での電池電圧を使用するため、LIBが充放電状態にある間はリセットを行うことができない。
【0008】
また、車両の制御中で上記の安定状態が少ない場合や、そもそも広いSOC範囲においてOCVの変化が微小であるようなOCV−SOC特性を有する場合、十分なリセットタイミングを確保できない。
【0009】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、SOC推定の精度を向上させることができる推定装置、推定システムおよび推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一態様に係る推定装置は、電圧が所定範囲外への端点に到達した場合に定電圧による充放電状態となるように制御される電池の充電率を推定する推定装置であって、制御部を備える。前記制御部は、前記電圧が所定範囲外であり、かつ、前記電池の充放電電流の絶対値が所定の電流閾値以下である場合に、少なくとも前記電池の温度を含む電池状態に応じて可変するように予め設定されたリセット値によって前記充電率をリセットする。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、SOC推定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、実施形態に係る推定方法の概要説明図(その1)である。
図1B図1Bは、実施形態に係る推定方法の概要説明図(その2)である。
図2A図2Aは、実施形態に係る電池パックのブロック図である。
図2B図2Bは、実施形態に係る推定装置のブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る特性マップの構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る第2リセット部が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する推定装置、推定システムおよび推定方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
また、以下では、実施形態に係る推定システム1が、車両に搭載されるLIB3(図2A参照)の電池パック2(図2A参照)を含み、実施形態に係る推定装置10がかかる電池パック2に含まれる場合を例に挙げて説明する。
【0015】
まず、実施形態に係る推定方法の概要について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1Aは、実施形態に係る推定方法の概要説明図(その1)である。また、図1Bは、実施形態に係る推定方法の概要説明図(その2)である。
【0016】
ところで、LIB3のSOCの0%や100%というものは、性能が保証されている所定の電圧範囲で定義されており、たとえば定電流(CC:Constant Current)モードおよび定電圧(CV:Constant Voltage)モードを組み合わせた方法で充放電が行われる。
【0017】
たとえば、セル電圧が所定の電圧に到達するまではCCモードで充放電が行われ、セル電圧が所定の電圧に到達したならば、過充放電保護のためにCVモードでの充放電が行われることとなる。実施形態に係る推定方法は、かかるCVモードでの充放電中に、CVモードであることにより充放電電流の変化量が絞られて充放電がされにくくなる特性に着目し、これを利用するものである。
【0018】
なお、以下では、CVモードでの充電を「CV充電」と言い、CVモードでの放電を「CV放電」と言い、まとめては「CV充放電」と言う場合がある。同様に、CCモードでの充電を「CC充電」と言い、CCモードでの放電を「CC放電」と言い、まとめては「CC充放電」と言う場合がある。
【0019】
具体的には、図1Aに示すように、実施形態に係る推定方法では、まずCV充電時においては、セル電圧がCV充電領域に到達するとともに、これに応じて充放電電流の変化量が所定量以下である状態が継続するならば、実験等により事前に導出された電池状態とSOCリセット値との関係性を示す特性マップにおける当該条件成立時のSOCリセット値により、SOC推定値をリセットする。
【0020】
より具体的には、同図に示すように、実施形態に係る推定方法では、CV充電時においては、(セル電圧≧電圧閾値THV1)AND(充放電電流≦電流閾値THC1がn秒継続)との条件が成立したならば、電池状態−SOCリセット値特性マップにおける当該条件成立時のSOCリセット値でSOC推定値をリセットする。
【0021】
一方、図1Bに示すように、CV放電時においては、実施形態に係る推定方法では、セル電圧がCV放電領域に到達するとともに、これに応じて充放電電流の変化量が所定量以下である状態が継続するならば、上述の特性マップにおける当該条件成立時のSOCリセット値により、SOC推定値をリセットする。
【0022】
より具体的には、同図に示すように、実施形態に係る推定方法では、CV放電時においては、(セル電圧≦電圧閾値THV2)AND(充放電電流≧電流閾値THC2がn秒継続)との条件が成立したならば、電池状態−SOCリセット値特性マップにおける当該条件成立時のSOCリセット値でSOC推定値をリセットする。なお、本実施形態においては、電流値の表記として、充電時を正、放電時を負として扱う。そのため、図1Aでは充放電電流は正であるが、図1Bでは充放電電流は負として表している。
【0023】
なお、電池状態−SOCリセット値特性マップは、たとえばCV充放電中の入力電流状態およびセル温度を各次元とする2次元マップ上にSOCリセット値をマッピングしたものとして構成される。その具体例については、後ほど図3に示すこととする。
【0024】
このように、実施形態に係る推定方法では、セル電圧が所定範囲外への端点に到達して定電圧状態となるとともに、充放電電流の絶対値が所定値以下となった場合に、少なくともセル温度を含む電池状態に応じて可変するように予め設定されたSOCリセット値によってSOCをリセットすることとした。
【0025】
したがって、実施形態に係る推定方法によれば、OCV−SOC特性を利用するのみによってSOCをリセットする場合等に対して、リセットのタイミングを増加させ、たとえばCV充放電中にSOCのリセットを行うことができる。すなわち、実施形態に係る推定方法によれば、SOC推定の精度を向上させることができる。
【0026】
以下、上述した推定方法を適用した推定装置10を含む推定システム1について、さらに具体的に説明する。
【0027】
図2Aは、実施形態に係る推定システム1のブロック図である。また、図2Bは、実施形態に係る推定装置10のブロック図である。なお、図2Aおよび図2Bでは、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0028】
換言すれば、図2Aおよび図2Bに図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0029】
図2Aに示すように、推定システム1は、電池パック2と、上位ECU(Electronic Control Unit)20とを含む。電池パック2は、LIB3と、電流センサ4と、電圧センサ5と、温度センサ6と、推定装置10とを備える。推定装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。
【0030】
LIB3は、車両に搭載されるリチウムイオン二次電池である。電流センサ4は、LIB3と推定装置10との間に設けられ、LIB3からの入力電流を検出して制御部12へ出力する。
【0031】
電圧センサ5は、LIB3と推定装置10との間など、LIB3への入力電流値が計測できる箇所に設けられ、LIB3のセル電圧を検出して制御部12へ出力する。温度センサ6は、LIB3と推定装置10との間に設けられ、LIB3のセル温度を検出して制御部12へ出力する。
【0032】
上位ECU20は、たとえば電池パック2の状態を監視するECUであって、制御部12によって推定され、制御部12から出力されるSOCを受け取る。
【0033】
つづいて、推定装置10について説明する。既に述べたが、図2Bに示すように、推定装置10は、記憶部11と、制御部12とを備える。記憶部11は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、図2Bの例では、特性マップ11aを記憶する。
【0034】
特性マップ11aは、上述した電池状態−SOCリセット値特性マップである。ここで、実施形態に係る特性マップ11aの具体的な構成例について図3を用いて説明する。図3は、実施形態に係る特性マップ11aの構成の一例を示す図である。
【0035】
図3に示すように、特性マップ11aは、たとえばCV充電中またはCV放電中それぞれにおける、入力電流状態およびセル温度を各次元とする2次元マップ上にSOCリセット値をマッピングしたものとして構成される。
【0036】
同図に示すように、入力電流状態は、入力電流値の絶対値が所定の閾値以下で所定時間継続することを示すものであって、かかる各入力状態と各セル温度との組み合わせごとに、事前の実験等により導出されたSOCリセット値がマッピングされる。なお、SOCリセット値は、かかる各入力状態と各セル温度との組み合わせに応じて、SOCリセット値が少なくとも可変となる、すなわち動的に変化するように設定される。
【0037】
なお、同図に示した各SOCリセット値は、あくまで一例を示すものであって、実際の設定値を限定するものではない。
【0038】
図2Bの説明に戻る。制御部12は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部11を含む推定装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0039】
制御部12は、クーロンカウント部12aと、リセット制御部12bと、第1リセット部12cと、第2リセット部12dと、算出部12eとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0040】
クーロンカウント部12aは、電流センサ4によって検出された入力電流に基づく電流積算を実行し、積算値を算出部12eへ出力する。
【0041】
リセット制御部12bは、電流センサ4によって検出された入力電流、電圧センサ5によって検出されたセル電圧、および、温度センサ6によって検出されたセル温度に応じ、第1リセット部12cに第1リセット処理を、第2リセット部12dに第2リセット処理をそれぞれ実行させる。
【0042】
第1リセット部12cは、たとえば車両が安定状態にある場合に、セル電圧に基づき、OCV−SOC特性を利用したSOCリセット値を導出し、算出部12eへ出力する。
【0043】
第2リセット部12dは、図1Aおよび図1Bを用いて説明した実施形態に係る推定方法を適用した、CV充放電中におけるSOCのリセット処理を実行する。すなわち、第2リセット部12dは、入力電流、セル電圧およびセル温度に基づき、CV充放電中に所定の条件が成立した場合に(図1Aおよび図1B参照)、特性マップ11aにおける当該条件成立時のSOCリセット値を導出し、算出部12eへ出力する。
【0044】
算出部12eは、クーロンカウント部12aからの積算値を受け付けた場合に、かかる積算値に基づいてSOC推定値を算出し、上位ECU20へ出力する。また、算出部12eは、第1リセット部12cからのSOCリセット値を受け付けた場合に、SOC推定値をかかるSOCリセット値によりリセットして、上位ECU20へ出力する。
【0045】
また、算出部12eは、第2リセット部12dからのSOCリセット値を受け付けた場合に、SOC推定値をかかるSOCリセット値によりリセットして、上位ECU20へ出力する。
【0046】
次に、実施形態に係る第2リセット部12dが実行する処理手順について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る第2リセット部12dが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0047】
図4に示すように、第2リセット部12dは、セル電圧が所定範囲外への端点に到達したか否かを判定する(ステップS101)。ここで、セル電圧が所定範囲外への端点に到達した場合(ステップS101,Yes)、第2リセット部12dは、充放電電流の絶対値が所定の閾値以下の状態であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0048】
そして、充放電電流の絶対値が所定の閾値以下の状態である場合(ステップS102,Yes)、第2リセット部12dは、かかる状態が所定時間継続するか否かを判定する(ステップS103)。
【0049】
そして、かかる状態が所定時間継続する場合(ステップS103,Yes)、第2リセット部12dは、特性マップ11aにおいて当該状態に該当するSOCリセット値でSOC推定値をリセットさせる(ステップS104)。
【0050】
そして、第2リセット部12dは、ステップS101からの処理を繰り返す。なお、ステップS101,S102,S103の判定条件を満たさない場合も(ステップS101,No/ステップS102,No/ステップS103,No)、ステップS101からの処理を繰り返すこととなる。
【0051】
上述してきたように、実施形態に係る推定装置10は、電圧が所定範囲外への端点に到達した場合に定電圧による充放電状態となるように制御されるLIB3(「電池」の一例に相当)のSOC(「充電率」の一例に相当)を推定する推定装置10であって、制御部12を備える。制御部12は、上記電圧が所定範囲外であり、かつ、LIB3の充放電電流の絶対値が所定の電流閾値以下である場合に、少なくともLIB3の温度を含む電池状態に応じて可変するように予め設定されたSOCリセット値(「リセット値」の一例に相当)によってSOCをリセットする。
【0052】
したがって、実施形態に係る推定装置10によれば、SOC推定の精度を向上させることができる。
【0053】
また、上記電池状態は、複数の上記電流閾値で区切られる上記充放電電流の入力電流状態をさらに含み、制御部12は、上記入力電流状態のそれぞれと上記温度との組み合わせごとにSOCリセット値が予め設定された特性マップ11aに基づいてSOCリセット値を導出する。
【0054】
したがって、実施形態に係る推定装置10によれば、入力電流状態およびセル温度の組み合わせに基づく多様な電池状態に応じて可変するように設定された特性マップ11aのSOCリセット値によりSOC推定値をリセットすることで、SOC推定の精度を向上させることができる。
【0055】
また、制御部12は、上記絶対値が上記電流閾値以下である状態が所定時間継続する場合に、特性マップ11aに基づいてSOCリセット値を導出する。
【0056】
したがって、実施形態に係る推定装置10によれば、瞬間のノイズ的な挙動を示す電池状態においてはSOCのリセットを行わないようにすることができ、SOC推定の精度を向上させることができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、推定装置10が電池パック2に含まれる場合を例に挙げたが、無論、LIB3を含む電池パック2と、推定装置10とは、別体で構成されてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、LIB3が搭載される機器が車両である場合を例に挙げたが、車両に限定されるものではない。たとえば、LIB3が、携帯電話やノートパソコンをはじめとする多様な電子機器・電気機器へ搭載される場合であってもよい。
【0059】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 推定システム
2 電池パック
4 電流センサ
5 電圧センサ
6 温度センサ
10 推定装置
11 記憶部
11a 特性マップ
12 制御部
12a クーロンカウント部
12b リセット制御部
12c 第1リセット部
12d 第2リセット部
12e 算出部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4