【解決手段】物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側に凸面を有するとともに像側の凹面を有する第1レンズL1と、物体側に凹面を有する第2レンズL2と、絞りSTOPと、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸面を有する第3レンズL3と、負のパワーを有し、像側に凹面を有する第4レンズL4と、物体側に凸面を有する第5レンズL5と、を有し、第1レンズL1の物体側の面形状は、変曲点を有する曲面形状であり、以下の式(1)及び式(2)を満たす。
物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側に凸面を有するとともに像側の凹面を有する第1レンズと、物体側に凹面を有する第2レンズと、絞りと、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸面を有する第3レンズと、負のパワーを有し、像側に凹面を有する第4レンズと、物体側に凸面を有する第5レンズと、を有し、
前記第1レンズの少なくとも物体側の面形状は、変曲点を有する曲面形状であり、
光学レンズ系全体の焦点距離をF、前記第1レンズの焦点距離をFL1とし、前記第1レンズの物体側の面の光軸との交点から前記絞りの前記光軸上の位置までの距離をL1−STOPとするとき、以下の式(1)及び式(2)を満たす、光学レンズ系。
0.3<F/(L1−STOP)<0.6 ・・・(1)
−2.0<FL1/F<−1.5 ・・・(2)
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1:光学レンズ系
図1は、実施の形態1に係る光学レンズ系11の断面図である。
図1において、光学レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側に凸面を有するとともに像側に凹面を有する第1レンズL1と、物体側に凹面を有する第2レンズL2と、絞りSTOPと、正のパワーを有し、物体側及び像側に凸面を有する第3レンズL3と、負のパワーを有し、像側に凹面を有する第4レンズL4と、物体側に凸面を有する第5レンズL5と、を有する。また、光学レンズ系11は、第5レンズL5の像側レンズ面S11と結像面IMGとの間に、図示しない波長フィルターガラス及びカバーガラスを備えていてもよい。
【0015】
第1レンズL1は、負のパワーを有するレンズである。第1レンズL1の物体側レンズ面S1は、物体側に突出する凸形状の非球面を有している。また、第1レンズL1の少なくとも物体側レンズ面S1は、変曲点を有する曲面形状であることが好ましい。第1レンズL1の像側レンズ面S2は、物体側に窪む凹形状の非球面を有している。また、第1レンズL1の像側レンズ面S2も、変曲点を有する曲面形状であってもよい。ここで、変曲点を有する曲面形状とは、レンズの径方向及び光軸に平行な平面によって切断したレンズの断面において、レンズ面に接する接線の傾きがレンズの径方向と平行になる箇所(変曲点)を有する曲面形状を意味する。
【0016】
第2レンズL2は、正のパワーを有するレンズである。第2レンズL2の物体側レンズ面S3は、像側に窪む凹形状の曲面部分を有している。第2レンズL2の像側レンズ面S4は、像側に突出する凸形状の曲面部分を有している。なお、第2レンズL2の物体側レンズ面S3及び像側レンズ面S4は、変曲点を有する曲面形状であってもよい。
【0017】
絞りSTOPは、通過する光の量を調整する。例えば、絞りSTOPは、孔を有する板形状のものが好適である。
【0018】
第3レンズL3は、正のパワーを有するレンズである。第3レンズL3の物体側レンズ面S6は、物体側に突出する凸形状の非球面を有している。第3レンズL3の像側レンズ面S7は、像側に突出する凸形状の非球面を有している。なお、第3レンズL3の物体側レンズ面S6及び像側レンズ面S7は、変曲点を有する曲面形状であってもよい。
【0019】
第4レンズL4は、負のパワーを有するレンズである。第4レンズL4の物体側レンズ面S8は、物体側に突出する凸形状又は像側に窪む凹形状の曲面形状を有している。第4レンズL4の像側レンズ面S9は、物体側に窪む凹形状の曲面形状を有している。なお、第4レンズL4の物体側レンズ面S8及び像側レンズ面S9は、変曲点を有する曲面形状であってもよい。
【0020】
第5レンズL5は、正のパワーを有するレンズである。第5レンズL5の物体側レンズ面S10は、物体側に突出する凸形状の非球面を有している。第5レンズL5の像側レンズ面S11は、物体側に窪む凹形状の非球面又は像側に突出する凸形状の非球面を有している。なお、第5レンズL5の物体側レンズ面S10及び像側レンズ面S11は、変曲点を有する曲面形状であってもよい。
【0021】
また、光学レンズ系11全体の焦点距離をF、第1レンズL1の焦点距離をFL1とし、第1レンズL1の物体側の面S1の光軸との交点から絞りSTOPの光軸上の位置までの距離をL1−STOP(mm)とするとき、光学レンズ系11は、以下の式(1)及び式(2)を満たす。
0.3<F/(L1−STOP)<0.6 ・・・(1)
−2.0<FL1/F<−1.5 ・・・(2)
【0022】
光学レンズ系11が上記の式(1)及び式(2)を満たすことにより、光学レンズ系11の画角を広くしながら、第1レンズL1の径を比較的小さくすることができる。具体的には、F/(L1−STOP)の値が0.3以下である場合、第1レンズL1の径が大きくなってしまう。一方、F/(L1−STOP)の値が0.6以上である場合、光学レンズ系11の十分な解像性能を得ることができなくなる。また、FL1/Fの値が−2.0以下である場合、第1レンズL1の径が大きくなってしまう。一方、FL1/Fの値が−1.5以上である場合、光学レンズ系11の十分な解像性能を得ることができなくなる。
【0023】
また、第1レンズL1の少なくとも物体側レンズ面S1が、変曲点を有する曲面形状であることにより、中心部(像高の低い位置)と周辺部(像高の高い位置)の結像倍率を変えるコントロールがし易くなり、遠距離の距離計測機能等のセンシング機能と、近距離の広範囲の撮像機能とを両立することが容易になる。
【0024】
また、第2レンズL2は、物体側に凹面を有していることにより広角の角度を持って広がった光線を絞りSTOPへ平行に近い角度で入射させることができる。これにより、第1レンズL1の物体側の面S1の光軸との交点から絞りSTOPの光軸上の位置までの距離(L1−STOP)を短く、すなわち、第1のレンズL1の径を小さくしながら画角を広く保つことができる。
【0025】
また、光学レンズ系11は、第1レンズL1の面径をΦ1とし、光学レンズ系11の光学全長をLとするとき、以下の式(3)を満たすことが好ましい。
Φ1/L<0.5 ・・・(3)
ここで、面径とは、第1レンズL1を通過できる光束(光線束)の物体側レンズ面S1における幅を意味し、レンズ面S1において反射防止処理等の所定の加工が施されている範囲の径を意味する。具体的には、面径は、
図2に示すΦ1に対応する。
図2において、第1レンズL1を通過できる光束の範囲を二点鎖線で示す。
また、光学レンズ系11の画角は、第1レンズL1の物体側レンズ面S1に入射する光線束のうち、最も外径側を通る光線の延長線同士が互いに交わる角度を意味する。具体的には、光学レンズ系11の画角は、
図2に示す「画角」に対応する。なお、本実施の形態1に係る光学レンズ系11の画角は、110°以上であることが好ましい。
【0026】
光学レンズ系11が上記の式(3)を満たすことにより、光学レンズ系11の画角を広く保ちながら、第1レンズL1の径をより小さくすることができる。
【0027】
次に、実施の形態1の光学レンズ系11に対応する実施例について、図面を参照して説明する。
(実施例1:光学レンズ系)
実施例1に係る光学レンズ系11は、
図1に示す構成を有する。また、第1レンズL1〜第5レンズL5は、ガラスレンズ又はプラスチックレンズで構成される。以下、実施例1に係る光学レンズ系11の特性データについて説明する。
まず、表1に、実施例1に係る光学レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表1では、レンズデータとして、各面の曲率半径(mm)、面間隔(mm)、d線における屈折率、及び、d線におけるアッベ数を提示している。ここで、光学レンズ系11の半画角は67.5°であり、Fナンバーは1.6である。また、表1に示す、d線における屈折率及びd線におけるアッベ数は、光学レンズ系11の周囲の温度である環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。また、表1において、「*印」がついた面は、非球面であることを示している。
【表1】
【0028】
また、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面に採用される非球面形状は、光軸方向のサグ量をY(h)、cを曲率半径の逆数、光軸に直交する方向の光軸からの高さをh、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次の非球面係数をそれぞれA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16とすると、以下の式(4)により表される。なお、各記号の意味及び非球面形状を表す式は、後述の実施例においても同様である。
【数1】
【0029】
表2に、実施例1の光学レンズ系11において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。表2において、例えば「−7.3915E−01」は、「−7.3915×10
−1」を意味する。
【表2】
【0030】
また、表3に、実施例1に係る光学レンズ系11のFナンバー(Fno)、画角(Fov(°))、及び、光学長L(mm)、第1レンズL1の物体側の面S1の光軸との交点から絞りSTOPの光軸上の位置までの距離L1−STOP(mm)、光学レンズ系11の全系の焦点距離F(mm)、第1レンズL1〜第5レンズL5の焦点距離F1〜F5(mm)、第1レンズL1の面径Φ1(mm)、F1/F、F2/F、F3/F、F4/F及びF5/Fの値、F/(L1−STOP)の値、及び、Φ1/Lの値を示す。表3に示す値は、光線の波長が555nm、環境温度t(℃)が25(℃)のときの値である。
【表3】
【0031】
また、
図3に、実施例1の光学レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図3に示すように、実施例1の光学レンズ系11では、半画角が67.5°、Fナンバーが1.6である。また、
図3B及び
図3Cの像面湾曲図、歪曲収差図では、波長555nmの光線によるシミュレーション結果を示している。なお、
図3は、環境温度t(℃)が25(℃)のときの球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示している。
【0032】
図3Aの縦収差図では、横軸は光線が光軸と交わる位置を示し、縦軸は瞳径での高さを示す。
図3Aの縦収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、波長486nm、587nm、656nmの縦収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0033】
図3Bの像面湾曲図では、横軸は光軸方向の距離を示し、縦軸は像高(画角)を示す。また、
図3Bの像面湾曲図において、Sagはサジタル面における像面湾曲を示し、Tanはタンジェンシャル面における像面湾曲を示す。
図3Bの像面湾曲図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0034】
図3Cの歪曲収差図において、横軸は像の歪み量(%)を示し、縦軸は像高(画角)を示す。
図3Cの歪曲収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、歪曲収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0035】
表3に示すように、実施例1において、F/(L1−STOP)の値は0.524であり、実施例1の光学レンズ系11は、上記の式(1)を満たす。また、表3に示すように、実施例1において、F1/Fの値は−1.743であり、実施例1の光学レンズ系11は、上記の式(2)を満たす。そのため、表3に示すように、実施例1において、第1レンズL1のレンズ径Φ1は10.504mm、光学全長Lは27.196mmであり、式(3)のΦ1/Lは0.386となり、車載カメラ等に搭載される通常の広角レンズ系に比べて、全長に対する比率が小さくなっている。また、実施例1において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面が非球面形状であることにより、
図3に示すように、光学レンズ系11において、波長486nm、587nm、656nmの縦収差、像面湾曲、及び、歪曲収差が良好に補正されている。換言すれば、実施例1に係る光学レンズ系11において、像高の高い位置(撮像画像の周辺部)における高解像度が実現されている。
【0036】
(実施例2:光学レンズ系)
図4は、実施例2に係る光学レンズ系11の断面図である。
図4において、
図1と同様の構成については、同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
図4において、実施例2に係る光学レンズ系11は、物体側から像側に向かって順に、負のパワーを有し、物体側に変曲点を有する凸形状の非球面を有し、像側に凹形状の非球面を有する第1レンズL1と、正のパワーを有し、物体側に凹面を有し、像側に凸面を有する第2レンズL2と、絞りSTOPと、正のパワーを有し、物体側に凸形状の非球面を有し、像側に凸形状の非球面を有する第3レンズL3と、負のパワーを有し、物体側に凸面を有し、像側に凹面を有する第4レンズL4と、正のパワーを有し、物体側に凸形状の非球面を有し、像側に凹形状の非球面を有する第5レンズL5と、を有する。
また、第1レンズL1〜第5レンズL5は、ガラスレンズ又はプラスチックレンズで構成される。
【0037】
以下、実施例2に係る光学レンズ系11の特性データについて説明する。
まず、表4に、実施例2に係る光学レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表4に示す項目は、表1に示す項目と同じであるため、その説明を省略する。
【表4】
【0038】
また、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面に採用される非球面形状は、上記の式(4)により表される。
表5に、実施例2の光学レンズ系11において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表5】
【0039】
また、表6に、実施例2に係る光学レンズ系11の特性データを示す。表6に示す項目は、表3に示す項目と同じであるため、その説明を省略する。
【表6】
【0040】
また、
図5に、実施例2の光学レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図5に示す各収差図の説明は、
図3における説明と同様であるため、省略する。
【0041】
図5Aの縦収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、波長486nm、587nm、656nmの縦収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0042】
図5Bの像面湾曲図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0043】
図5Cの歪曲収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、歪曲収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0044】
表6に示すように、実施例2において、F/(L1−STOP)の値は0.456であり、実施例2の光学レンズ系11は、上記の式(1)を満たす。また、表6に示すように、実施例2において、F1/Fの値は−1.706であり、実施例2の光学レンズ系11は、上記の式(2)を満たす。そのため、表6に示すように、実施例2において、第1レンズL1のレンズ径Φ1は11.848mm、光学全長Lは28.087mmであり、式(3)のΦ1/Lは0.422となり、車載カメラ等に搭載される通常の広角レンズ系に比べて、全長に対する比率が小さくなっている。また、実施例2において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面が非球面形状であることにより、
図5に示すように、光学レンズ系11において、波長486nm、587nm、656nmの縦収差、像面湾曲、及び、歪曲収差が良好に補正されている。換言すれば、実施例2に係る光学レンズ系11において、像高の高い位置(撮像画像の周辺部)における高解像度が実現されている。
【0045】
(実施例3:光学レンズ系)
図6は、実施例3に係る光学レンズ系11の断面図である。
図6において、
図1及び
図4と同様の構成については、同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
また、第1レンズL1〜第5レンズL5は、ガラスレンズ又はプラスチックレンズで構成される。
【0046】
以下、実施例3に係る光学レンズ系11の特性データについて説明する。
まず、表7に、実施例3に係る光学レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表7に示す項目は、表1に示す項目と同じであるため、その説明を省略する。
【表7】
【0047】
また、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面に採用される非球面形状は、上記の式(4)により表される。
表8に、実施例3の光学レンズ系11において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表8】
【0048】
また、表9に、実施例3に係る光学レンズ系11の特性データを示す。表9に示す項目は、表3に示す項目と同じであるため、その説明を省略する。
【表9】
【0049】
また、
図7に、実施例3の光学レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図7に示す各収差図の説明は、
図3における説明と同様であるため、省略する。
【0050】
図7Aの縦収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、波長486nm、587nm、656nmの縦収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0051】
図7Bの像面湾曲図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0052】
図7Cの歪曲収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、歪曲収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0053】
表9に示すように、実施例3において、F/(L1−STOP)の値は0.379であり、実施例3の光学レンズ系11は、上記の式(1)を満たす。また、表9に示すように、実施例3において、F1/Fの値は−1.990であり、実施例3の光学レンズ系11は、上記の式(2)を満たす。そのため、表9に示すように、実施例3において、第1レンズL1のレンズ径Φ1は12.112mm、光学全長Lは28.398mmであり、式(3)のΦ1/Lは0.427となり、車載カメラ等に搭載される通常の広角レンズ系に比べて、全長に対する比率が小さくなっている。また、実施例3において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面が非球面形状であることにより、
図7に示すように、光学レンズ系11において、波長486nm、587nm、656nmの縦収差、像面湾曲、及び、歪曲収差が良好に補正されている。換言すれば、実施例3に係る光学レンズ系11において、像高の高い位置(撮像画像の周辺部)における高解像度が実現されている。
【0054】
(実施例4:光学レンズ系)
図8は、実施例4に係る光学レンズ系11の断面図である。
図8に示すように、実施例4に係る光学レンズ系11では、第4レンズL4の物体側レンズ面S8が像側に窪む凹面を有し、第5レンズL5の像側レンズ面S11が像側に突出する非球面を有する点が、実施例1〜実施例3に係る光学レンズ系11と異なる。よって、実施例4に係る光学レンズ系11において、実施例1〜実施例3と同様の構成については、同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
また、第1レンズL1〜第5レンズL5は、ガラスレンズ又はプラスチックレンズで構成される。
【0055】
以下、実施例4に係る光学レンズ系11の特性データについて説明する。
まず、表10に、実施例4に係る光学レンズ系11の各レンズ面のレンズデータを示す。表10に示す項目は、表1に示す項目と同じであるため、その説明を省略する。
【表10】
【0056】
また、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面に採用される非球面形状は、上記の式(4)により表される。
表11に、実施例4の光学レンズ系11において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面の非球面形状を規定するための非球面係数を示す。
【表11】
【0057】
また、表12に、実施例4に係る光学レンズ系11の特性データを示す。表9に示す項目は、表3に示す項目と同じであるため、その説明を省略する。
【表12】
【0058】
また、
図9に、実施例4の光学レンズ系11における球面収差図(縦収差図)、像面湾曲図、歪曲収差図を示す。
図9に示す各収差図の説明は、
図3における説明と同様であるため、省略する。
【0059】
図9Aの縦収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、波長486nm、587nm、656nmの縦収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0060】
図9Bの像面湾曲図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、像面湾曲が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0061】
図9Cの歪曲収差図に示すように、本実施例の光学レンズ系11によれば、歪曲収差が良好に補正されている。従って、光学レンズ系11が高解像度となる。
【0062】
表12に示すように、実施例4において、F/(L1−STOP)の値は0.397であり、実施例4の光学レンズ系11は、上記の式(1)を満たす。また、表12に示すように、実施例4において、F1/Fの値は−1.890であり、実施例4の光学レンズ系11は、上記の式(2)を満たす。そのため、表12に示すように、実施例4において、第1レンズL1のレンズ径Φ1は11.842mm、光学全長Lは27.975mmであり、式(3)のΦ1/Lは0.423となり、車載カメラ等に搭載される通常の広角レンズ系に比べて、全長に対する比率が小さくなっている。また、実施例4において、第1レンズL1、第3レンズL3、及び、第5レンズL5のレンズ面が非球面形状であることにより、
図9に示すように、光学レンズ系11において、波長486nm、587nm、656nmの縦収差、像面湾曲、及び、歪曲収差が良好に補正されている。換言すれば、実施例4に係る光学レンズ系11において、像高の高い位置(撮像画像の周辺部)における高解像度が実現されている。
【0063】
以上に説明した実施の形態1に係る光学レンズ系11では、光学レンズ系11が上記の式(1)及び式(2)を満たすことにより、光学レンズ系11の画角を広くしながら、第1レンズL1の径を比較的小さくすることができる。具体的には、F/(L1−STOP)の値が0.3以下である場合、第1レンズL1の径が大きくなってしまう。具体的には、光学レンズ系11のパワーFが同じ場合、第1レンズL1から絞りまでの距離L1−STOPが長いと第1レンズL1に入射する光線の光軸となす角度が小さくなるため、光学レンズ系11の画角を広くするには、第1レンズL1の径を大きくする必要がある。一方、F/(L1−STOP)の値が0.6以上である場合、光学レンズ系11の十分な解像性能を得ることができなくなる。具体的には、光学レンズ系11のパワーFが同じ場合、第1レンズL1から絞りまでの距離L1−STOPが短いと、第1レンズL1の径を大きくせずとも光学レンズ系11の画角を広くすることができるが、収差補正が十分できなくなるため、解像性能が悪化してしまう。
また、FL1/Fの値が−2.0以下である場合、第1レンズL1の径が大きくなってしまう。具体的には、光学レンズ系11のパワーFが同じ場合、第1レンズL1のパワーFL1が小さい(絶対値が大きい)と、第1レンズL1から出射される光線の光軸となす角度が小さくなるため、光学レンズ系11の画角を広くするには、第1レンズL1の径を大きくする必要がある。一方、FL1/Fの値が−1.5以上である場合、光学レンズ系11の十分な解像性能を得ることができなくなる。具体的には、光学レンズ系11のパワーFが同じ場合、第1レンズL1のパワーFL1が大きい(絶対値が小さい)と、第1レンズL1の径を大きくせずとも光学レンズ系11の画角を広くすることができるが、収差補正が十分できなくなるため、解像性能が悪化してしまう。
第1レンズL1の径を比較的小さくすることができるため、車載カメラに光学レンズ系11が搭載されても、第1レンズL1に跳ね石が当たる確率を小さくすることができる。また、光学レンズ系11のサイズを小さくすることができる。これにより、当該光学レンズ系11が搭載されるカメラのサイズを小さくすることができ、カメラの設置場所や意匠の制限を低減することができる。また、光学レンズ系11の画角を広くすることができるため、Fナンバーが1.6の明るい光学レンズ系を実現できる。
【0064】
また、第1レンズL1の少なくとも物体側レンズ面S1が、変曲点を有する曲面形状であることにより、中心部(像高の低い位置)と周辺部(像高の高い位置)の結像倍率を変えるコントロールがし易くなり、遠距離の距離計測機能等のセンシング機能と、近距離の広範囲の撮像機能とを両立することが容易になる。これにより、小型で高性能な光学レンズ系11を実現できる。
【0065】
このように、本実施の形態1に係る光学レンズ系11によれば、望遠レンズと広角レンズの特徴を兼ね備え、第1レンズの径が小さい光学レンズ系11を提供することができる。
【0066】
また、第2レンズL2は、物体側に凹面を有していることにより広角の角度を持って広がった光線を絞りSTOPへ平行に近い角度で入射させることができる。これにより、第1レンズL1の物体側の面S1の光軸との交点から絞りSTOPの光軸上の位置までの距離(L1−STOP)を短く、すなわち、第1のレンズL1の径を小さくしながら画角を広く保つことができる。
【0067】
また、光学レンズ系11が上記の式(3)を満たすことにより、光学レンズ系11の画角を広く保ちながら、第1レンズL1の径をより小さくすることができる。
【0068】
また、第5レンズL5の像側レンズ面S11が変曲点を有する曲面形状であることにより、光学レンズ系11の像面湾曲を良好に修正することができ、高解像度を実現することができる。
【0069】
また、第3レンズL3の像側レンズ面S7が像側に突出する凸形状であり、第4レンズL4の像側レンズ面S9が物体側に窪む凹形状であることにより、光学レンズ系11の色収差補正を行うことができる。
【0070】
実施の形態2:撮像装置への適用例
図10は、実施の形態2に係る撮像装置20の断面図である。撮像装置20は、光学レンズ系11と、撮像素子21と、を備える。光学レンズ系11と、撮像素子21と、は筐体(不図示)に収容されている。光学レンズ系11は、上述の実施の形態1に記載された光学レンズ系11である。
【0071】
撮像素子21は、受光した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサが用いられる。撮像素子21は、光学レンズ系11の結像位置に配置されている。なお、本明細書において画角とは特に指定していない限り、対角画角をいうものとする。
【0072】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本発明の光学レンズ系の用途は、車載カメラや監視カメラに限定されるものではなく、携帯電話等の小型電子機器に搭載する等の他の用途にも用いることができる。