【解決手段】キーボード装置10は、ベースプレート32と、複数のキートップ24と、メンブレンシート46と、フレーム26と、を備える。フレーム26は、隣接するキートップ24間に介在する枠部26aを有し、枠部26aの側面26bとキートップ24の側面24aとの間に隙間Cが形成されることで、各キートップ24を上下動可能な状態で仕切っている。ベースプレート32は、少なくとも隙間Cの下方に重なる位置に切欠部50dを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなキーボード装置には、各キートップ等の取付板となるベースプレートと、その上に積層されたスイッチシート(メンブレンシート)とを備えた構成がある。ところで、一般的なキーボード装置では、キートップ、フレーム及びメンブレンシートが、例えば黒色で統一されている。これに対し、ベースプレートはステンレス等の素材そのものの色(例えば銀色)である。このため、隣接するキートップ間、或いは隣接するキートップとフレームとの間の隙間の下方に、例えばメンブレンシートに形成された開口部等が配置された場合、上記の隙間からベースプレートが見える。そうすると、全体が黒色で統一されたキーボード装置の外観で銀色のベースプレートが目立ち、外観品質を低下させる。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、外観品質の低下を抑制することができるキーボード装置及び該キーボード装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るキーボード装置は、キーボード装置であって、ベースプレートと、前記ベースプレートの上面側で上下動可能に支持され、前後方向及び左右方向に並んで設けられた複数のキートップと、前記ベースプレートと前記キートップとの間に設けられ、前記キートップの押下操作を検出するメンブレンシートと、前記メンブレンシートの上方に設けられ、隣接する前記キートップ間に介在する枠部を有し、該枠部の側面と前記キートップの側面との間に隙間が形成されることで、各キートップを上下動可能な状態で仕切るフレームと、を備え、前記ベースプレートは、少なくとも前記隙間の下方に重なる位置に切欠部を有する。
【0007】
前記メンブレンシートは、前記切欠部を覆った構成としてもよい。
【0008】
前記ベースプレートの上面には、前記枠部の下方に配置され、前記メンブレンシートに形成された開口部を通して上方へと突出した突出部が設けられ、前記切欠部は、前記突出部の外周縁部の一部に形成された構成としてもよい。
【0009】
前記突出部は、前記ベースプレートを上方へと円形に膨出させた皿形状を有すると共に、該円形の外周縁部の一部が切除された部分が前記切欠部を構成していてもよい。
【0010】
前記突出部の中央には、板厚方向に貫通した貫通孔が設けられ、前記貫通孔を挿通した締結具により、前記ベースプレートの下面側に配置された部品と前記ベースプレートとが固定された構成としてもよい。
【0011】
さらに、前記ベースプレートの上面側に設けられ、複数の前記キートップで周囲が囲まれたポインティングスティックを備え、前記部品は、前記ポインティングスティックを支持するブラケット部材であり、前記締結具は、前記ベースプレートを上面側から下面側へと貫通するように取り付けられ、前記ブラケット部材を前記ベースプレートの下面に固定された構成としてもよい。
【0012】
本発明の第2態様に係るキーボード装置は、キーボード装置であって、ベースプレートと、前記ベースプレートの上面側で上下動可能に支持され、前後方向及び左右方向に並んで設けられた複数のキートップと、前記ベースプレートと前記キートップとの間に設けられ、前記キートップの押下操作を検出するメンブレンシートと、を備え、前記キートップ同士は、相互間に隙間が形成されており、前記ベースプレートは、少なくとも前記隙間の下方に重なる位置に切欠部を有する。
【0013】
前記メンブレンシートは、前記切欠部を覆った構成としてもよい。
【0014】
前記ベースプレートの上面には、前記メンブレンシートに形成された開口部を通して上方へと突出した突出部が設けられ、前記突出部には、板厚方向に貫通した貫通孔が設けられると共に、該貫通孔を挿通した締結具が、前記ベースプレートの下面側に配置された部品を前記ベースプレートに対して固定しており、前記突出部は、その外周縁部が前記締結具の頭部の外周よりも外側に張り出すように設けられると共に、該外周縁部の一部に前記切欠部が形成された構成としてもよい。
【0015】
本発明の第3態様に係る電子機器は、上記構成のキーボード装置と、前記キーボード装置を設けた本体筐体と、前記本体筐体に対して回動可能に連結され、ディスプレイを有するディスプレイ筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、キーボード装置の外観品質の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るキーボード装置及び電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、一実施形態に係るキーボード装置10を備えた電子機器12の平面図である。電子機器12は、キーボード装置10を搭載した本体筐体14と、ディスプレイ16を搭載したディスプレイ筐体18とをヒンジ20で回動可能に連結したノート型PCである。
図1は、ディスプレイ筐体18を本体筐体14から開いて使用形態とした状態での平面図である。キーボード装置10は、ノート型PC以外の電子機器に搭載されてもよい。キーボード装置10は、例えばデスクトップ型PCに使用する外付けのキーボード装置であってもよい。
【0020】
以下、キーボード装置10について、
図1に示すように電子機器12に搭載されたキーボード装置10を使用するユーザから見た状態を基準とし、手前側を前、奥側を後、厚み方向を上下、幅方向を左右と呼んで説明する。
【0021】
ディスプレイ筐体18は、薄い箱状の筐体であり、例えば液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ16を備える。ディスプレイ筐体18は、その下端部が本体筐体14の後端部とヒンジ20を介して連結されている。
【0022】
本体筐体14は、ディスプレイ筐体18よりは厚みのある薄い箱状の筐体である。本体筐体14の内部には、マザーボード等の基板、基板に実装される演算装置やメモリ等の各種電子部品、バッテリ装置、冷却装置等が収納されている。
【0023】
キーボード装置10は、本体筐体14の上面に設けられている。キーボード装置10は、前後方向及び左右方向に並ぶように配列された複数のキートップ24を備える。各キートップ24は、例えば黒色である。各キートップ24は、隣接する側面24a,24a間の隙間C1がフレーム26によって埋められている。本実施形態のキーボード装置10は、隣接するキートップ24間がフレーム26の枠部26aによって仕切られている。つまりキーボード装置10は、各キートップ24がそれぞれ独立した構成からなるアイソレーション型の構造である。枠部26aは、各キートップ24が上下動可能に挿入される複数の孔部を形成しており、前後方向及び左右方向に沿って網目状に延びている。フレーム26は、本体筐体14の上面を形成するカバー部材14aと一体成形であってもよい。フレーム26は、カバー部材14aと別体に構成されてもよい。フレーム26は、キートップ24と同色であり、本実施形態では黒色である。
【0024】
キーボード装置10は、略中央にポインティングスティック28を有する。ポインティングスティック28は、ディスプレイ16に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するための入力装置であり、マウスの代わりとして操作できる。キーボード装置10の前側にはタッチパッド29が設けられている。タッチパッド29は、ディスプレイ16に表示されるカーソル(マウスポインタ)を操作するための入力装置である。タッチパッド29の後側には、ポインティングスティック28又はタッチパッド29によるカーソル操作と連係して機能する3つの押しボタン30が設けられている。
【0025】
図2は、キーボード装置10のポインティングスティック28及びその周辺部を拡大し、フレーム26を省略した平面図である。
図3は、キーボード装置10の模式的な底面図である。
【0026】
図2に示すように、ポインティングスティック28は、平面視円形状の部材である。ポインティングスティック28は、各キートップ24間の隙間C1のうち、例えば前後方向に延びた部分(隙間C2)と、左右方向に延びた部分(隙間C3)とが交差する位置に配置されている。隙間C2は、例えば左右一対のキートップ24,24間に形成されたスペースである。隙間C3は、前後のキートップ24,24間に形成されたスペースである。従って、本実施形態のポインティングスティック28は、隙間C1がT字状に交差する位置に配置され、周囲の3個のキートップ24の一部を円形に切り欠いた位置に配置されている。ポインティングスティック28の配置は適宜変更可能である。
【0027】
図2及び
図3に示すように、キーボード装置10は、各キートップ24の取付板となるベースプレート32を有する。ベースプレート32の下面32aには、ブラケット部材34が取り付けられている。ポインティングスティック28は、ブラケット部材34の上面で支持され、ベースプレート32の上面32bから上方に突出している。
図3に示すように、ベースプレート32は、各所を板厚方向に貫通した取付ねじ36によってフレーム26にねじ止め固定されている。
【0028】
ブラケット部材34は、2本のねじ38と、係合部44とでベースプレート32に取り付けられる。各ねじ38は、ブラケット部材34に設けられた左右一対の取付孔40a,40bを通してブラケット部材34をベースプレート32に締結する。係合部44は、ベースプレート32に形成された被係合部42に係合する。ねじ38は、キートップ24やフレーム26と同色であり、本実施形態では黒色である。
【0029】
図4は、
図2中の一方の取付孔40a及びねじ38と、その周辺部を拡大した平面図であり、フレーム26は2点鎖線で図示している。
図5は、
図4に示すねじ38及びその周辺部の構成を模式的に示した側面断面図である。
図4及び
図5は、一方の取付孔40a及びその周辺部の構成を代表的に図示しているが、他方の取付孔40b及びその周辺部も同様な構成となっている。
【0030】
図5に示すように、キーボード装置10は、ベースプレート32と、メンブレンシート46と、ライトガイドプレート48とを積層した3層構造の支持プレートを備える。支持プレートは、3層構造以外であってもよい。
【0031】
ベースプレート32は、薄いステンレス板やアルミニウム板等の金属板に切り起こし成形や打ち抜き成形を施したものである。ベースプレート32は、キートップ24及びブラケット部材34(ポインティングスティック28)の取付板となる。ベースプレート32は、ステンレス等の金属素材そのもの色、本実施形態では略銀色である。
【0032】
メンブレンシート46は、ベースプレート32の上面32bに積層されている。メンブレンシート46は、例えば押圧された場合に接点が閉じる三層構造のスイッチシートである。メンブレンシート46は、固定接点及び可動接点が重なる位置が押圧された場合に、固定接点と可動接点とが密着することで接点を閉じるものである。メンブレンシート46は、3層構造以外、例えばゴム製の導電部が回路を短絡させる接触スイッチを用いた構造等でもよい。メンブレンシート46は各所に貫通孔を有する。キートップ24は、この貫通孔を通過した図示しないパンタグラフ機構等を介してベースプレート32の上面32bに取り付けられている。これによりキートップ24は、ベースプレート32の上面32b側で上下動し、下降した場合に図示しないラバードームを介してメンブレンシート46のスイッチをオンする。メンブレンシート46は、キートップ24やフレーム26と同色、本実施形態では黒色である。
【0033】
ライトガイドプレート48は、ベースプレート32の下面32aに積層されている。ライトガイドプレート48は、LED素子等の光源から発せられた光を導光して反射することにより、各キートップ24を下面側から照射する。ライトガイドプレート48の代わりに防水シートを設けてもよい。
【0034】
図3及び
図5に示すように、ブラケット部材34は、ベースプレート32の下面32a側に固定されている。ブラケット部材34は、薄いステンレス板やアルミニウム板等の金属板であり、平面視で後側に向かって幅狭に形成された略釣鐘形状である。
【0035】
取付孔40a,40bは、それぞれブラケット部材34の前側左右角部に設けられており、互いに左右方向に並んでいる。取付孔40a(40b)の周囲には、上方に起立した円筒部40cが形成されている(
図5参照)。円筒部40cは、例えばブラケット部材34の下面から上面に向かうバーリング加工等によって形成される。取付孔40a,40bは、円筒部40cを貫通するように形成され、その内周面にねじ38を螺合可能な雌ねじが形成されている。係合部44は、ブラケット部材34の先細りに形成された後縁部に設けられている。係合部44は、ベースプレート32の下面32a側に切り起こし形成された被係合部42(
図6参照)に係合する板片である。
【0036】
ポインティングスティック28は、ブラケット部材34の上面で図示しないセンサ基板を介して起立している。ポインティングスティック28は、ベースプレート32に貫通形成されたスティック挿通孔32d(
図6参照)を通して、上面32bよりも上方へと突出している。センサ基板は、ポインティングスティック28の制御基板であり、ポインティングスティック28に対する水平方向(前後左右斜め方向)への入力操作に対する操作荷重を検出する。
【0037】
図6は、ベースプレート32を上面32b側から見た斜視図であり、スティック挿通孔32d及びその周辺部を拡大した図である。
図7は、
図6に示す突出部50の拡大図である。
【0038】
図4〜
図7に示すように、ベースプレート32は、取付孔40a(40b)と重なる位置に突出部50を有する。突出部50は、ベースプレート32を上方へと円形に膨出させた皿形状を成している。突出部50は、ベースプレート32の上面32bから突出し、メンブレンシート46に形成された開口部46aを通過している。突出部50の上部は、メンブレンシート46の上面よりも上にある(
図5参照)。突出部50は、外周縁部50aと、円板部50bと、貫通孔50cと、切欠部50dとを有する。
【0039】
外周縁部50aは、上面30bから上方に向かって次第に縮径したテーパ形状の側壁部である。外周縁部50aは、例えばベースプレート32を下面32a側から上面32b側に向かってプレス成形することで形成される。外周縁部50aは、例えばその成形時には周方向に連続した円形であり、その後の工程によって一部が切欠部50dで切除された形状となっている。つまり外周縁部50aは、全体として円形の外形軌跡を有するが、一部(本実施形態では3カ所)が切欠部50dで切除されて分断されている。外周縁部50a及び切欠部50dは、同時成形されてもよい。
【0040】
円板部50bは、外周縁部50aの上部を塞ぐ板部であり、皿形状の底面を形成している。本実施形態の円板部50bは、ベースプレート32の上面32bやメンブレンシート46の上面よりも上方に位置している。貫通孔50cは、円板部50bの中心を貫通した孔部である。
【0041】
切欠部50dは、本来は円形の外形軌跡を有する外周縁部50aの一部を扇状に切除した部分である。本実施形態の切欠部50dは、外周縁部50aの一部と共に、円板部50bの一部とベースプレート32の一部を同時に切除した形状となっている。切欠部50dは、外周縁部50aの一部のみを切除した形状でもよい。切欠部50dには、メンブレンシート46の一部(膨出部46b)が入り込んでいる。つまりメンブレンシート46は、切欠部50dの少なくとも一部、具体的には切欠部50dにおける少なくとも隙間Cの下方に重なる範囲を覆っている。
【0042】
図4及び
図5に示すように、キーボード装置10は、キートップ24とフレーム26の枠部26aとの間に隙間Cが形成されている。具体的には、隙間Cは、キートップ24の側面24aと、枠部26aの側面26bとの間に形成されている。隙間Cは、キートップ24が上下動する際に枠部26aに干渉することを防止するための隙間である。切欠部50dは、少なくとも隙間Cの下方に重なる範囲に設けられている。つまり切欠部50dは、外周縁部50aの本来の円形の外形軌跡のうち、隙間Cの下方に重なる範囲を切除したものである。従って、突出部50は、フレーム26の下に隠される部分には外周縁部50aが配置され、フレーム26の下に隠されない部分には切欠部50dが配置されている。
【0043】
以上より、本実施形態のキーボード装置10は、
図5中に矢印Eで示すように、隙間Cを上方から覗いた際、その先には外周縁部50aが見えず、切欠部50dに進入したメンブレンシート46の膨出部46bが見える構造となっている。つまり当該キーボード装置10は、隙間Cから見えるものは、キートップ24やフレーム26と同色(黒色)のメンブレンシート46のみとなっている。つまり当該キーボード装置10は、
図5中の矢印Eの方向で隙間Cを見た際、メンブレンシート46の黒色が見えるため、外観の全体が黒色で統一され、高い外観品質が得られる。
【0044】
なお、メンブレンシート46は、仮に開口部46aの内径が突出部50の外周縁部50aの外径と略同一に設計されている場合は、その縁部が外周縁部50aに乗り上げしまう可能性がある。その理由は、開口部46aや突出部50の製造公差や組付交差等による。この場合、メンブレンシート46は、外周縁部50aに乗り上げた部分が上方に大きく突出する。そうすると、メンブレンシート46がキートップ24の上下動作に干渉する懸念がある。そこで、
図4及び
図5に示すように、メンブレンシート46の開口部46aは、突出部50の外周縁部50aからある程度の間隔(例えば0.3mm程度)を取って形成されている。
【0045】
このため、本実施形態の突出部50は、隙間Cの下方に重なる範囲に切欠部50dを設け、この切欠部50dにメンブレンシートの膨出部46bを入り込ませている。これによりメンブレンシート46は、突出部50に乗り上げることなく、ねじ38に対して可及的に接近した位置に配置される。その結果、当該キーボード装置10では、
図5中の矢印Eの方向で隙間Cを見た際、確実にメンブレンシート46の黒色が見える構造となっている。
【0046】
一方、仮に突出部50が切欠部50dを持たない構成である場合に、
図5中の矢印Eの方向から隙間Cを見た状態を考える。この場合は、開口部46aと外周縁部50aとの間に確保した隙間からベースプレート32の銀色が見えてしまう可能性がある。そうすると、全て黒色で統一されたキートップ24とフレーム26との隙間Cでベースプレート32の銀色が目立ち、当該キーボード装置10の外観品質を低下させる。
【0047】
なお、切欠部50dの下にあるブラケット部材34が、キートップ24やフレーム26と同色或いは類似色である場合には、メンブレンシート46は膨出部46bを持たない構造でもよい。この場合には、隙間Cの下には切欠部50d及びライトガイドプレート48の開口部48aを通してブラケット部材34が露出する。このため、隙間Cからベースプレート32の銀色が目立つことはない。また、ライトガイドプレート48又はこれに代わる防水シートが、キートップ24やフレーム26と同色或いは類似色である場合にも、メンブレンシート46は膨出部46bを持たない構造でもよい。この場合には、ライトガイドプレート48に開口部48aを設けず、切欠部50dの下にライトガイドプレート48等を配置しておくことで、外観品質の低下を抑制できる。
【0048】
図8は、変形例に係るキーボード装置10Aにおける取付孔40a及びねじ38と、その周辺部を拡大した平面図である。なお、
図8において、
図1〜
図7に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略する。
【0049】
図8に示すように、キーボード装置10Aは、フレーム26を持たない以外は、上記したキーボード装置10と略同一の構成である。このキーボード装置10Aの突出部50は、各キートップ24の下に重なる位置に外周縁部50aを設け、各キートップ24の側面24a,24a間の隙間C1に重なる位置に切欠部50dを設けた構成である。突出部50は、外周縁部50aがねじ38の頭部よりも外側に張り出している。突出部50は、円板部50bがねじ38の頭部よりも小さい外径となっている。
【0050】
従って、キーボード装置10Aでは、各キートップ24間の隙間C1には、ねじ38と、切欠部50dに入り込んだメンブレンシート46の膨出部46bのみが露出する。このため、当該キーボード装置10Aにおいても、外観上にベースプレート32の銀色が露出せず、高い外観品質を確保できている。
【0051】
なお、当該キーボード装置10Aでは、突出部50の一部やねじ38の一部がキートップ24の下に位置している。そこで、キートップ24は、その側面24aを構成する側壁24b(
図5参照)の一部、つまり突出部50やねじ38と重なる部分を切除しておくとよい。これによりキートップ24が、突出部50やねじ38と干渉することをより確実に防止できる。
【0052】
以上のように、本実施形態に係るキーボード装置10では、ベースプレート32の上面32bに形成した突出部50は、その外周縁部50aの一部を切除した形状を有する切欠部50dを隙間Cの下に重なる部分に有する。また、キーボード装置10Aでは、突出部50は、その外周縁部50aの一部を切除した形状を有する切欠部50dを隙間C1の下に重なる部分に有する。これにより、当該キーボード装置10(10A)では、例えばねじ38の締結に使用する突出部50の一部が外観上に露出することを切欠部50dによって防止できる。従って、当該キーボード装置10(10A)は、ベースプレート32の突出部50に対して、キートップ24やメンブレンシート46等と同一色の塗装を施すことない。このため、当該キーボード装置10(10A)は、低コスト且つ少ない作業工数で外観意匠の色味を統一でき、高い外観品質を得ることができる。
【0053】
突出部50は省略されてもよい。すなわち、ベースプレート32が突出部50を持たない構成の場合であっても、例えばメンブレンシート46が隙間C(C1)の下方に重なる位置に開口部46a等を有している場合は、ベースプレート32が外観上に露出する可能性がある。従って、切欠部50dは、ベースプレート32の平板部分に形成されてもよく、少なくとも隙間C(C1)の下方に重なる位置に形成されていればよい。
【0054】
この際、当該キーボード装置10(10A)では、切欠部50dにメンブレンシート46の一部(膨出部46b)を配置している。このため、切欠部50dの下に配置される部品、例えばライトガイドプレート48やブラケット部材34が、キートップ24やメンブレンシート46等と同一色や類似色でない場合であっても、高い外観品質を確保できる。なお、突出部50は、その成形方法等を考慮すると、隙間C(C1)の下方のみを避けた形状とすることは困難である。つまり突出部50は、通常、平面視で円形又は矩形等に形成せざるを得ない。このため、当該キーボード装置10(10A)では、切欠部50dを突出部50に設けることで、隙間C(C1)からベースプレート32が露出することを抑制している。
【0055】
なお、本発明は、上記した開示内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0056】
上記では、突出部50は、ねじ38の締結用のボスである構成を例示した。しかしながら、突出部は、例えば押しボタン30の取付用のヒンジの一部等であってもよい。ねじ38は、リベット等の他の締結具で代用してもよい。また、ねじ38等の締結具を用いてベースプレート32の下面32a側に取り付けられる部品は、ポインティングスティック28のブラケット部材34以外であってもよく、例えばアンテナ装置や各種電子部品等でもよい。
【0057】
上記では、ねじ38を突出部50の上から締結する構成を例示した。しかしながら、ねじ38は、ベースプレート32の下面32a側から上に向かって締結する構成としてもよい。この場合、突出部50は、貫通孔50cをねじ穴として形成するとよい。