特開2020-20164(P2020-20164A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 信和株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2020020164-足場用の幅木 図000003
  • 特開2020020164-足場用の幅木 図000004
  • 特開2020020164-足場用の幅木 図000005
  • 特開2020020164-足場用の幅木 図000006
  • 特開2020020164-足場用の幅木 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-20164(P2020-20164A)
(43)【公開日】2020年2月6日
(54)【発明の名称】足場用の幅木
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20200110BHJP
【FI】
   E04G5/00 301A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-144705(P2018-144705)
(22)【出願日】2018年8月1日
(11)【特許番号】特許第6576527号(P6576527)
(45)【特許公報発行日】2019年9月18日
(71)【出願人】
【識別番号】306035122
【氏名又は名称】信和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098224
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 勘次
(74)【代理人】
【識別番号】100140671
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 正代
(72)【発明者】
【氏名】山田 博
(72)【発明者】
【氏名】青山 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】河合 賢樹
(57)【要約】
【課題】径の異なる複数種類の支柱に取り付けることができる幅木を提供する。
【解決手段】平板状の幅木本体10の一端に設けられた第一支柱係止部及び他端に設けられた第二支柱係止部12がそれぞれフック21と、フック中心軸と平行な軸心を有する筒部22と、筒部の軸心周りに回動する回動アーム23と、回動アームの回動を規制するストッパ25とを備えていると共に、フックの内周面が略V字形を呈しており、回動アームが基部23cと、基部から屈曲して延出しているアーム部23a,23bとを備えており、基部が筒部より長く、かつ基部が筒部に遊嵌されていることにより上下動するものであり、下方に移動した状態の回動アームがフック中心軸から離れる方向に回動すると干渉する位置にストッパが突設されていると共に、上方に向かうほどフック中心軸から離れるように傾斜しているテーパ部25tをストッパが備えている構成とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の幅木本体と、該幅木本体の長手方向における一方の端部に設けられた第一支柱係止部及び他方の端部に設けられた第二支柱係止部とを具備し、隣接する支柱間で前記幅木本体を立設させる幅木であって、
前記第一支柱係止部及び第二支柱係止部はそれぞれ、支柱に引掛けるフックと、該フックの中心を通り上下に延びるフック中心軸と平行な軸心を有する筒部と、該筒部の軸心周りに回動する回動アームと、該回動アームの回動を規制するストッパとを備えており、
前記フックは、内周面が略V字形を呈しており、
前記回動アームは、前記筒部に挿入され、且つ、抜け止めされた基部と、該基部から屈曲して延出し前記基部の回動に伴い前記フック中心軸に離隔接近するアーム部とを備え、前記基部が前記筒部より長く、且つ、前記基部が前記筒部に遊嵌されていることにより上下動するものであり、
前記ストッパは、前記回動アームが下方に移動した状態で前記フック中心軸から離れる方向に回動しようとする前記アーム部と干渉する位置に突設されていると共に、上方に向かうほど前記フック中心軸から離れるように傾斜しているテーパ部を備えている
ことを特徴とする足場用の幅木。
【請求項2】
前記フックは、前記幅木本体の表裏面のうちの一方が面している方向に開口しており、
前記第一支柱係止部が、前記幅木本体に固定されている一方で、
前記第二支柱係止部は、前記幅木本体の端部近傍に貫設された長孔に沿って前記幅木本体の長手方向にスライドする
ことを特徴とする請求項1に記載の足場用の幅木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場において踏み板の辺縁に沿って立設させる幅木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅やビル等の建物、橋梁やトンネル等の土木構造物の建築現場において仮設される足場は、一般的に、設置面から立設させた支柱と、隣接する支柱間に架け渡され、或いは、1本の支柱に片持ち状に支持されている横架材と、同じ高さにある平行な二本の横架材間に架け渡された踏み板とから、主に構成されている。
【0003】
更に、足場では、作業用の工具や建築用の部材が踏み板から落下することを防止する共に、踏み板から作業者の足が外れるおそれなく安心感を持って作業することができるように、踏み板の辺縁に沿って幅木を立設させることがある。一般的な幅木は、平板状の幅木本体と、幅木本体の両端にそれぞれ取り付けられたフックを備えている。それぞれのフックを支柱に係止させることにより、踏み板に対して幅木本体が直角をなす姿勢を維持することができる。
【0004】
従来の幅木は、フックの形状が円弧状であり、円弧の径は支柱の径に合わせて設定されていた。ところが、足場によって、径の異なる支柱が使用されることがある。そのため、径の異なる支柱の種類に応じて、幅木も複数種類が必要であるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、支柱に係止させるフックを備える幅木であって、径の異なる複数種類の支柱に取り付けることができる幅木の提供を、課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる足場用の幅木(以下、単に「幅木」と称することがある)は、
「平板状の幅木本体と、該幅木本体の長手方向における一方の端部に設けられた第一支柱係止部及び他方の端部に設けられた第二支柱係止部とを具備し、隣接する支柱間で前記幅木本体を立設させる幅木であって、
前記第一支柱係止部及び第二支柱係止部はそれぞれ、支柱に引掛けるフックと、該フックの中心を通り上下に延びるフック中心軸と平行な軸心を有する筒部と、該筒部の軸心周りに回動する回動アームと、該回動アームの回動を規制するストッパとを備えており、
前記フックは、内周面が略V字形を呈しており、
前記回動アームは、前記筒部に挿入され、且つ、抜け止めされた基部と、該基部から屈曲して延出し前記基部の回動に伴い前記フック中心軸に離隔接近するアーム部とを備え、前記基部が前記筒部より長く、且つ、前記基部が前記筒部に遊嵌されていることにより上下動するものであり、
前記ストッパは、前記回動アームが下方に移動した状態で前記フック中心軸から離れる方向に回動しようとする前記アーム部と干渉する位置に突設されていると共に、上方に向かうほど前記フック中心軸から離れるように傾斜しているテーパ部を備えている」ものである。
【0007】
ここで言う「上下」とは、幅木が使用される状態、すなわち、隣接する支柱間に幅木本体が立設された状態における上下である。
【0008】
本構成の幅木を隣接する支柱に取り付ける場合、第一支柱係止部及び第二支柱係止部それぞれにおけるフックの開口に、支柱を相対的に挿入する。フックの内周面は略V字形を呈しているため、支柱の径が異なっても、支柱の外周面はV字形の内周面のどこかに当接し、フック内に支柱を保持することができる。
【0009】
その状態で、回動アームを基部の軸心周りに回動させ、アーム部を支柱に当接させることにより、フックに支柱を保持させた状態を維持することができる。具体的には、基部は筒部に遊嵌されているため、回動アームは自重で下方に移動するが、回動アームが下方に移動した状態では、アーム部のフック中心軸から離れる方向への回動はストッパによって規制される。そして、ストッパには、上方に向かうほどフック中心軸から離れるように傾斜しているテーパ部が形成されているため、支柱の径に応じて、アーム部はテーパ部における高さ方向のどこかに当接するまで下降することができ、最大限に下降した状態で、支柱とストッパとの間に挟持される。そのため、支柱とストッパとの間に挟持されたアーム部によって、支柱がフックに向かって押圧された状態となり、フックに支柱が保持された状態が維持される。つまり、支柱の径が異なっても、アーム部によって支柱をフックに押圧することができ、フックが支柱を保持する状態を維持することができる。
【0010】
本発明にかかる足場用の幅木は、上記構成に加え、
「前記フックは、前記幅木本体の表裏面のうちの一方が面している方向に開口しており、
前記第一支柱係止部が、前記幅木本体に固定されている一方で、
前記第二支柱係止部は、前記幅木本体の端部近傍に貫設された長孔に沿って前記幅木本体の長手方向にスライドする」ものとすることができる。
【0011】
従来の幅木は、長手方向の長さが定まっているものであった。ところが、足場における支柱間距離は一定ではないため、従来は、一般的な足場に採用される支柱間距離に対応させて、複数種類の幅木を用意しておく必要があった。これに対し、本構成では、第二支柱係止部が幅木本体の長手方向にスライドするため、単一の幅木を支柱間距離の異なる足場で使用することができる。
【0012】
具体的には、長孔に沿って第二支柱係止部をスライドさせることにより、第二支柱係止部を幅木本体の長手方向にスライドさせることができる。そのため、第一支柱係止部のフック中心軸と第二支柱係止部のフック中心軸との間の距離を、長孔の長さ分だけ変化させることができる。また、本構成では、フックの開口方向が幅木本体の表裏面のうちの一方が面している方向であるため、第一支柱係止部のフック中心軸と第二支柱係止部のフック中心軸との間の距離を、隣接する支柱間の距離に合わせた状態で、第一支柱係止部のフック及び第二支柱係止部のフックの双方の内部に支柱を相対的に挿入し、保持させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、支柱に係止させるフックを備える幅木であって、径の異なる複数種類の支柱に取り付けることができる幅木を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態である幅木を背面側から見た斜視図(第二支柱係止部の拡大図を含む)であり、図1(b)は同じ幅木を背面側から見た斜視図(第一支柱係止部の拡大図を含む)である。
図2図2図1(a),(b)と同じ幅木の斜視図である。
図3図3図1(a),(b)と同じ幅木の平面図である。
図4図4(a)はフックに大径の支柱を保持させたときのフック近傍の平面図であり、図4(b)フックに小径の支柱を保持させたときのフック近傍の平面図であり、図4(c)は図4(a)の状態の背面図であり、図4(d)は図4(b)の状態の背面図である。
図5図5(a)は第一支柱係止部のフック中心軸と第二支柱係止部のフック中心軸との間の距離を最長としたときの背面図であり、図5(b)は第一支柱係止部のフック中心軸と第二支柱係止部のフック中心軸との間の距離を最短としたときの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である足場用の幅木1について、図1乃至図5を用いて説明する。ここで、「上下」は、前述した通り、幅木1が隣接する支柱間に立設された使用状態における上下である。また、使用状態において、踏み板側からの視野を「正面」と称すると共に、正面視または背面視における左右方向の外側及び内側を、それぞれ「外側」及び「内側」と称して説明する。
【0016】
幅木1は、幅木本体10と、第一支柱係止部11と、第二支柱係止部12とを、主な構成とする。幅木本体10は、細長い長方形の平板状であり、長手方向における一方の端部に第一支柱係止部11が設けられていると共に、他方の端部に第二支柱係止部12が設けられている。なお、本実施形態の幅木1は、幅木本体10の下辺から正面側に直角に延出した下面部17を備えている。下面部17は、踏み板と幅木本体10との隙間を埋めるためのものである。
【0017】
第一支柱係止部11と第二支柱係止部12は、それぞれ共通して、フック21と、筒部22と、回動アーム23と、ストッパ25とを、備えている。フック21、筒部22、及びストッパ25は何れも、上下に細長い平板状の支持部20に固定されている。
【0018】
フック21は、支持部20より外側に位置し、且つ、背面側に開口するように、支持部20の上端近傍に固定されている。フック21の高さは、幅木本体10の上辺より僅かに高く、フック21における正面側の端部位置は、幅木本体10の正面からはみ出さない位置である。フック21は、内周面に略V字形を呈したV字周面部21vを有しており、V字周面部21vから開端までは一定の幅で開口している。
【0019】
筒部22は、支持部20において高さ方向の略中央に固定されている。従って、フック21の中心を通り上下に延びるフック中心軸は、筒部22の軸心より外側に位置する。回動アーム23は、筒部22に挿入される円柱状の基部23cと、基部23cから屈曲して延出しているアーム部を備えている。本実施形態では、回動アーム23一つ当たり二本のアーム部23a,23bを備えており、アーム部23a,23bと基部23cとで略コ字形をなしている。アーム部23a,23bそれぞれの端部は、外側に向かって湾曲している。
【0020】
回動アーム23の基部23cは筒部22より長い。また、筒部22に挿入された基部23cは、筒部22の内周面との間に隙間がある遊嵌状態である。従って、回動アーム23は、筒部22及び筒部22が固定されている支持部20に対して上下動する。
【0021】
ストッパ25は、筒部22より上方かつ内側で、支持部20に固定されている。より具体的には、ストッパ25は、支持部20から背面側に突出し、更に上方に向かって屈曲して延出している。そして、ストッパ25の上端部における外側の側面には、上方に向かうほど内側に傾斜したテーパ部25tが形成されている。換言すれば、テーパ部25tは、上方に向かうほどフック中心軸から離れるように傾斜している。
【0022】
本実施形態では、回動アーム23が二本のアーム部23a,23bを備えていることに対応させて、第二ストッパ26を備えている。第二ストッパ26は、筒部22より下方かつ内側で、支持部20に固定されている。第二ストッパ26もストッパ25と同様に、支持部20から背面側に突出し、更に上方に向かって屈曲して延出しているが、ストッパ25とは異なりテーパ部25tは有していない。第二ストッパ26の上端部における外側の側面の位置は、ストッパ25の上端における外側の側面の位置、すなわち、ストッパ25の外側の側面における最も内側の位置、の直下に設定されている。
【0023】
第一支柱係止部11と第二支柱係止部12が相違する点は、第一支柱係止部11が幅木本体10に対して固定されているのに対し、第二支柱係止部12は幅木本体10に対して可動である点である。第一支柱係止部11の支持部20は、幅木本体10の一方の端部に固着されている。
【0024】
一方、幅木本体10において第二支柱係止部12が設けられている側の端部近傍には、幅木本体10の長手方向に延びる長孔15が貫設されている。本実施形態では、二つの長孔15が上下に離隔して設けられている。第二支柱係止部12の支持部20には、長孔15に合わせた位置関係で、二つの孔部27が貫設されている。本実施形態では、二つの孔部27の位置が、回動アーム23が上下方向に移動可能な範囲より、それぞれ上方の位置及び下方の位置となるように、孔部27及び長孔15の位置が設定されている。
【0025】
このような構成により、孔部27及び長孔15に通したボルト軸部(図示を省略)を長孔15に沿って移動させることにより、幅木本体10に対して第二支柱係止部12をスライドさせることができる。換言すれば、第一支柱係止部11のフック中心軸C1と第二支柱係止部12のフック中心軸C2との間の距離を、長孔15の長さ分だけ変化させることができる。また、孔部27及び長孔15に通したボルト軸部にナットを留め付けることにより、第二支柱係止部12が幅木本体10に固定された状態とすることができる。なお、第二支柱係止部12の支持部20に孔部27を設ける代わりに、ボルト軸部を直接支持部20に突設しても良い。
【0026】
次に、本実施形態の幅木1の足場での使用方法について説明する。支柱Pは円筒または円柱であり、足場において設置面から鉛直方向に多数が立設される。隣接する支柱P間には、手摺りや梁部材などの横架材が架け渡される。また、同じ高さにある平行な二本の横架材間に、踏み板が架け渡される。踏み板が架け渡される横架材は、隣接する支柱P間に架け渡された横架材、或いは、支柱Pに片持ち状に支持された横架材である。
【0027】
幅木1は、幅木本体10が踏み板に対して直角をなすように、隣接する支柱P間に取り付けられる。その際、幅木1の向きは、下面部17が踏み板と連続する向きとする。幅木1の支柱Pへの取り付けに先立ち、まず、第二支柱係止部12を幅木本体10に対してスライドさせ、第一支柱係止部11のフック中心軸C1と第二支柱係止部のフック中心軸C2との間の距離を、支柱P間の距離に合わせて調整する。一般的な足場では、隣接する支柱間の距離は1800mm、または1829mmに設定されていることが多い。本実施形態の幅木1では、上記の一般的な支柱間間隔に対応させるために、幅木本体10の長さを支柱間距離1800mmに合わせた設定とすると共に、長孔15の長さを29mmより長く設定している。
【0028】
孔部27及び長孔15に通したボルト軸部が、長孔15の内周面における最も外側の部分に当接するまで第二支柱係止部12をスライドさせることにより、図5(a)に示すように、第一支柱係止部11のフック中心軸C1と第二支柱係止部12のフック中心軸C2との間の距離を最長とすることができる。また、孔部27及び長孔15に通したボルト軸部が長孔15の内周面における最も内側の部分に当接するまで支持部20をスライドさせることにより、図5(b)に示すように、第一支柱係止部11のフック中心軸C1と第二支柱係止部12のフック中心軸C2との間の距離を最短とすることができる。
【0029】
その後、第一支柱係止部11及び第二支柱係止部12それぞれにおけるフック21の開口を支柱Pに向けた状態で、幅木1を支柱Pに近づけて行き、フック21の開口に支柱Pを相対的に挿入する。フック21の内周面はV字周面部21vを有しているため、図4(a)及び図4(b)に対比して示すように、支柱Pの径が異なっても、支柱Pの外周面はV字周面部21vのどこかに当接する。ここで、図4(b)は、図4(a)に比べて支柱Pの径が小さい場合を誇張して図示している。
【0030】
支柱Pの外周面がフック21の内周面に当接した状態で、回動アーム23を基部23cの軸心周りに回動させ、アーム部23a,23bを支柱Pに当接させる。アーム部23a,23bそれぞれの端部は外側に向かって湾曲しているため、支柱Pを囲い込むように支柱Pに当接する。
【0031】
基部23cは筒部22に遊嵌されているため、回動アーム23は自重で下方に移動する。回動アーム23が下方に移動した状態では、アーム部23a,23bのフック中心軸C1,C2から離れる方向への回動は、ストッパ25によって規制される。そして、ストッパ25には、上方に向かうほどフック中心軸C1,C2から離れるように傾斜しているテーパ部25tが形成されている。そのため、支柱Pの径に応じて、上方のアーム部23aはテーパ部25tにおける高さ方向のどこかに当接するまで下降することができる。例えば、支柱Pの径が大きいとき、アーム部23aがストッパ25に当接する位置は、図4(c)に示すように、テーパ部25tにおける上部である。一方、支柱Pの径が小さいとき、アーム部23aがストッパ25に当接する位置は、図4(d)に示すように、図4(c)における当接位置より下方である。
【0032】
そして、アーム部23aは最大限に下降した状態で、支柱Pとストッパ25との間に挟持される。これにより、支柱Pとストッパ25との間に挟持されたアーム部23aによって、支柱Pがフック21に向かって押圧された状態となる。下方のアーム部23bは上方のアーム部23aと一体であるため、アーム部23bによっても支柱Pがフック21に向かって押圧された状態となる。このように、支柱Pの径が異なっても、アーム部23a、23bによって支柱Pをフック21に押圧することができ、フック21に支柱Pが保持された状態を維持することができる。
【0033】
なお、筒部22の下方には第二ストッパ26が突出しているため、下方のアーム部23bがフック中心軸C1,C2から離れる方向に回動することが、第二ストッパ26によって規制される。二つのアーム部23a,23bは一体であるため、ストッパ25のみによってもアーム部23a,23bの回動を規制することができるが、第二ストッパ26を備えることにより、アーム部23a,23bの回動を規制する際にストッパ25にかかる負荷を軽減することができる。なお、下方のアーム部23bは、支柱Pをフック21に向かって押圧する作用に加えて、基部23cを筒部22から抜け止めされた状態とする作用を兼ねている(本発明の、「筒部に挿入され、且つ、抜け止めされた基部」に相当する)。
【0034】
上記のように、フック21の内周面がV字周面部21vを有していることにより、支柱Pの径が異なっても、フック21の内周面に当接させてフック21に保持させることができる。また、フック21に保持された支柱Pをフック21に押圧するアーム部23a,23bの逆方向への回動を規制するストッパ25が、上端部にテーパ部25tを有していることにより、支柱Pの径が異なっても、フック21に支柱Pが保持された状態をアーム部23a,23bによって維持することができる。
【0035】
ここで、一般的な足場で使用される支柱Pとしては、径(直径)が48.6mmのものと、径が42.7mmのものとの何れかであることが殆どである。そのため、少なくともこれらの径の支柱Pを当接させることができるように、フック21のV字周面部21vの角度及び長さが設定される。また、双方の径の支柱Pをフック21が保持している状態を、アーム部23a,23bによる押圧によって維持できるように、ストッパ25におけるテーパ部25tの角度及び長さやストッパ25の高さ位置が設定される。
【0036】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0037】
例えば、上記では、回動アーム23が二本のアーム部23a,23bを備える場合を例示したが、これに限定されず、基部23cの筒部22からの抜け止めがなされていれば、アーム部23aのみであっても構わない。その場合、第二ストッパ26は不要である。また、二本のアーム部を備える場合であっても、上記と同様に二本のアーム部が一体である場合、或いは、一体的に回動する場合は、第二ストッパ26は必須ではない。
【符号の説明】
【0038】
1 幅木
10 幅木本体
11 第一支柱係止部
12 第二支柱係止部
15 長孔
21 フック
21v V字周面部
22 筒部
23 回動アーム
23a,23b アーム部
23c 基部
25 ストッパ
25t テーパ部
P 支柱
C1 フック中心軸(第一支柱係止部のフック中心軸)
C2 フック中心軸(第二支柱係止部のフック中心軸)

図1
図2
図3
図4
図5