【解決手段】電子機器10は、表示装置22と、表示装置22の周囲を囲う枠体24と、枠体24に配置されたカメラ26と、枠体24内の第1位置と第2位置との間でスライド可能なレンズカバーユニット32と、レンズカバーユニット32に固定され第1位置でレンズ26aの前方を覆い、第2位置でレンズ26aの前方を避ける位置に配置されるレンズカバー34と、レンズカバーユニット32に固定されZ方向に弾性変形可能な板バネ52と、枠体24に固定されレンズカバーユニット32が第1位置と第2位置との間でスライドするときに、板バネ52の屈曲部60をZ方向に押圧して弾性変形させてその後に屈曲部60が乗り越える突起62とを備える。板バネ52は両端がアーム46に固定されている。突起62は板バネ52とアーム46とにより挟持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電子機器においては、カバー体は人手によって第1位置と第2位置との間でスライドされるが、重力や振動などで不用意に動くことがないように第1位置および第2位置で保持されることが望ましい。これを実現するためには、例えば
図9に示す構成が考えられる。
【0008】
図9は、本願発明に対する比較例にかかる電子機器500の一部拡大模式図であり、(a)はカメラ506のレンズ506aが覆われている状態であり、(b)はレンズ506aが露呈されている状態である。
【0009】
図9(a),(b)に示すように電子機器500は、ディスプレイ502を囲む枠体504の一部にカメラ506を備えている。枠体504にはカバー体508が設けられており、(a)に示す第1位置と(b)に示す第2位置との間で横方向(X方向)にスライドする。カバー体508は、ノブ510と、カバー512と、弾性体514とを備える。ノブ510は、カバー体508全体をスライドさせために人手によって横方向に操作される。カバー512は(a)に示す第1位置でカメラ506のレンズ506aを覆い、(b)に示す第2位置でレンズ506aを露呈させる。弾性体514は横方向に延在しており先端には作用部514aを備える。作用部514aは上下方向(Y方向)に弾性的に変位可能である。枠体504には下方に突出する突起516が設けられている。突起516はカバー体508が第1位置と第2位置との間でスライドするときに、作用部514aを下方に押圧して弾性体514を弾性変形させ、その後に作用部514aが乗り越える。
【0010】
ところが、このような構成では、弾性体514が適度な弾性を確保するために比較的厚く、しかも変形する移動代として枠体504はY方向にある程度の幅が必要である。このようなことから枠体504をY方向に一層狭くすることは困難である。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、開閉式のレンズカバーを備えながら枠体の幅を一層狭くすることのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、表示装置と、前記表示装置の周囲を囲う枠体と、前記枠体内に配置され、前記枠体の前方を撮影可能なカメラと、前記枠体内の第1位置と第2位置との間でスライド可能なレンズカバーユニットと、光を透過させない材料で形成され、前記レンズカバーユニットに固定され、前記第1位置で前記カメラにおけるレンズの前方を覆う位置に配置され、前記第2位置で前記レンズの前方を避ける位置に配置されるレンズカバーと、前記レンズカバーユニットまたは前記枠体の一方に固定され、前記表示装置の厚み方向に弾性変形可能な弾性体と、他方に固定され、前記レンズカバーユニットが前記第1位置と前記第2位置との間でスライドするときに、前記弾性体の作用部を前記厚み方向に押圧して弾性的に変位させ、その後に前記作用部が乗り越える突起と、を備える。
【0013】
前記レンズカバーユニットは前記レンズカバーユニットのスライド方向沿って延在するアームを備え、前記弾性体は前記スライド方向に沿って延在する金属板で形成されて、両端が前記アームに固定されていてもよい。
【0014】
前記突起は前記枠体と一体構造の突起ベースに設けられ、前記突起ベースは前記弾性体と前記アームとの間に設けられていてもよい。
【0015】
前記突起ベースは、前記弾性体と前記アームとにより挟持されていてもよい。
【0016】
前記作用部は前記金属板が前記厚み方向の一方に突出する屈曲部であり、前記突起は前記厚み方向の他方に突出していてもよい。
【0017】
前記弾性体は前記レンズカバーユニットのスライド方向に沿って延在する金属板で形成されて、両端が前記枠体から突出する2つのポストに固定されていてもよい。
【0018】
前記突起の両側にはそれぞれ補助突起が設けられ、前記突起と2つの前記補助突起とにより第1凹部と第2凹部とが形成され、前記レンズカバーユニットが前記第1位置にあるとき前記作用部は前記第1凹部に嵌まり込み、前記レンズカバーユニットが前記第2位置にあるとき前記作用部は前記第2凹部に嵌まり込んでもよい。
【0019】
前記レンズカバーユニットが前記第1位置または前記第2位置にあるとき、前記作用部は前記突起の裾部に接触していてもよい。
【0020】
前記作用部が前記レンズカバーユニットのスライド方向に沿って複数設けられるとともに前記突起が前記スライド方向に沿って複数設けられ、複数の前記作用部と複数の前記突起とは、前記スライド方向に沿って交互に配置されていてもよい。
【0021】
前記カメラは動作状態を示すインジケータを備え、前記レンズカバーユニットは、前記第1位置にあるとき前記インジケータの前方を覆う位置に配置され、前記第2位置にあるとき前記インジケータの前方を避ける位置に配置されるインジケータカバーを有してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の上記態様によれば、レンズカバーユニットに設けられた弾性体の作用部は表示装置の厚み方向に弾性変形可能となっている。そして、レンズカバーユニットが第1位置と第2位置との間でスライドするときに、作用部は突起により厚み方向に弾性的に変位し、その後に作用部が突起を乗り越える構成となっている。つまり、作用部が弾性的に変位するための移動代は厚みに確保されていれば足り、高さ方向には不要であって、レンズカバーユニットおよび該レンズカバーユニットが収容される領域の高さ方向寸法を小さく設定することができる。これにより、開閉式のレンズカバーを備えながら枠体の幅を一層狭くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態にかかる電子機器であるノートブック型PC10の斜視図である。本発明にかかる電子機器はノートブック型PC10に限らず、例えばデスクトップ型PC、モバイル型タブレット端末または多機能携帯電話などでもよい。
【0026】
ノートブック型PC10は、筐体14に対して蓋体16がヒンジ18により開閉可能となっており、蓋体16を閉じることによってコンパクトになりモバイル用途に好適である。筐体14の上面にはキーボード20が設けられている。
【0027】
以下の説明では、蓋体16を基準として左右方向をX方向、高さ方向をY方向、表示装置22の厚み方向をZ方向とも表す。また、次に説明する表示装置22の表示面および枠体24の枠面の方向を前方、その逆側を後方とする。
【0028】
蓋体16は、正面つまりディスプレイ面に設けられた表示装置22と、該表示装置22の周囲を囲む枠体24と、枠体24の上辺である上枠24aに設けられて前方を撮影可能なカメラ26と、裏カバー28とを有する。
【0029】
表示装置22は薄型矩形のカラー液晶型であって、蓋体16における正面の大部分を占めている。枠体24は狭幅となっており、いわゆるナローベゼルである。表示装置22の前面にはガラス27が設けられている。ガラス27は矩形である。ガラス27はタッチパネルに対応したものでもよい。
【0030】
カメラ26は、枠体24の上枠24aにおける中央に設けられた細い横長形状の光学デバイスであり、中央部にはレンズ26aが設けられ、その右側にはインジケータ26bが設けられている。カメラ26の左側には赤外線ポート30が設けられている。カメラ26および赤外線ポート30は前方、つまりユーザの側を指向している。インジケータ26bはカメラ26の動作状態を表示する。上枠24aには、該X方向に沿って枠体24内の第1位置と第2位置との間でスライド可能なレンズカバーユニット32が設けられている。蓋体16はZ方向に薄い。
【0031】
図2は、枠体24における上枠24aの拡大正面図であり、(a)はレンズカバーユニット32が第1位置にある状態を示し、(b)はレンズカバーユニット32が第2位置にある状態を示す。
【0032】
図2(a)に示すように、レンズカバーユニット32が左寄りの第1位置にあるときには、該レンズカバーユニット32のレンズカバー34がレンズ26aの前方を覆うとともに、インジケータカバー36がインジケータ26bの前方を覆う。レンズカバーユニット32において、少なくともレンズカバー34およびインジケータカバー36は光を透過させない材料で形成される。レンズカバー34がレンズ26aの前方を覆うことにより、カメラ26によりユーザの意図に反した撮影が行われることが防止され、ユーザに安心感を与えることができる。また、レンズ26aが覆われていることにより、枠体24とのデザイン的一体感が得られる。
【0033】
図2(b)に示すように、レンズカバーユニット32が右寄りの第2位置に移動すると、レンズカバー34も移動し、レンズ26aの前方を避ける位置に配されて該レンズ26aが露呈する。またインジケータカバー36も移動し、インジケータ26bの前方を避ける位置に配置されて該インジケータ26bは露呈孔36aから露呈する。レンズカバー34が移動してレンズ26aが露呈することにより、カメラ26による撮像が可能となる。
【0034】
レンズカバーユニット32は上部にノブ38を備えている。ユーザが該ノブ38をX方向に操作することによりレンズカバーユニット32が第1位置と第2位置との間でスライドする。ノブ38には切欠き38aが設けられており、指または爪で操作しやすい。切欠き38aはレンズカバー34のちょうど上方部分に設けられており、直感的操作が可能である。ノブ38はY方向寸法が短くてX方向に延在する形状である。
【0035】
上枠24aの上部は裏カバー28の一部である横長部材28aで覆われている。横長部材28aとガラス27との間は、上枠24aの一部である中間部材24aaが前方に向かってやや突出している(
図3参照)。中間部材24aaは横長部材28a、ガラス27およびノブ38とともに同一面を形成しており、一体化したデザインを実現している。中間部材24aaはノブ38と同じ高さである。中間部材24aaには切欠24abが形成されている。ノブ38は横長部材28aとガラス27との間の領域で、切欠24abの範囲内でX方向にスライドする。
【0036】
中間部材24aaはガラス27の周囲を保護する。また、中間部材24aaはガラス27を装着(例えば接着)するときの位置決めに用いられ、組み付けが容易となる。
【0037】
蓋体16の組み立て順序は、まず枠体24にレンズカバーユニット32を組み付け、そして枠体24に表示装置22を組み付け、さらに枠体24に対して中間部材24aaを位置決めとしてガラス27を組み付け、最後に横長部材28aを含む裏カバー28を取り付ける。この電子機器10では、裏カバー28はレンズカバーユニット32を含む機構に関与しない構成となっている。
【0038】
図3は、蓋体16を斜め裏側から見た一部拡大分解斜視図である。
図3に示すように、ガラス27の上部には枠体24を遮蔽する着色部27aが設けられている。着色部27aはドット地で示している。着色部27aにはレンズ26a、インジケータ26bおよび赤外線ポート30に対応した3か所の窓27aa,27ab,27acが形成されている。窓27aa〜27acは着色のない透明部である。
【0039】
枠体24における上枠24aは、平面視でノブ38の三方を囲うガード40と、突起ベース61とを備える。ガード40はノブ38の裏側を覆い、正面を露呈させる形状である。ガード40の内側は切欠24abであり、ノブ38がスライドする際のストッパとなる。つまり、ノブ38が
図3の「左」矢印方向に変位してガード40の一端に当接するとレンズカバーユニット32は第1位置となり、「右」矢印方向に変位してガード40の他端に当接するとレンズカバーユニット32は第2位置となる。突起ベース61については後述する。
【0040】
図4は、斜め裏側から見たレンズカバーユニット32の斜視図であり、
図5は、正面斜め下方から見たレンズカバーユニット32と上枠24aとの分解斜視図である。
図4および
図5に示すように、レンズカバーユニット32はベース板42を備えており、該ベース板42の上端からは上記のノブ38が前方に突出しており、下端からはさらに下方に向かって上記のレンズカバー34およびインジケータカバー36が一体的に延在している。レンズカバー34およびインジケータカバー36は、一体的でなくともレンズカバーユニット32に固定されていればよい。ベース板42はZ方向が板厚方向であってX−Y方向の平面を形成する小板である。ベース板42、レンズカバー34およびインジケータカバー36は同一厚みで同一面を形成している。
【0041】
レンズカバー34はレンズ26aを覆うのに十分な面積の板である。レンズカバー34には小孔34aが形成されている。レンズカバー34の裏面には光を透過させないシール34bが塗付されている。正面からは小孔34aを通して裏面のシール34bが視認される。シール34bは例えば赤色であって、レンズカバー34がレンズ26aを覆っているとき、ユーザはシール34bの色で遮蔽状態を確認することができる。
【0042】
インジケータカバー36はレンズカバー34から連続的に右方向に伸びる板であり、その中央には露呈孔36aが形成されている。露呈孔36aはインジケータ26bを露呈させる部分であり、インジケータカバー36における露呈孔36aよりも「右」矢印側がインジケータ26bを覆う部分である。レンズカバー34とインジケータカバー36との間の下部には小さい切欠き44が形成されている。
【0043】
レンズカバー34はさらに、ベース板42から「右」矢印方向側に延在するアーム46と、該アーム46の先端に設けられた固定板48と、アーム46によって両端が固定された金属板50とを有する。金属板50は、例えばステンレス鋼である。
【0044】
アーム46は上枠24aに沿ってX方向にほぼ直線状に延在している。アーム46は、前面の「左」矢印側に段差46bが形成されるとともに、前面の「右」矢印側に段差46dが形成され、前側に浅い凹部46aが形成されている。また、アーム46は下面に段差46cが形成されており、該段差46cよりも「右」矢印側部分は直線部46eが形成されている。固定板48はアーム46の先端から下方向かって形成された小板である。
【0045】
図5に示すように、金属板50は、中央の板バネ52と、右端固定部54と、左端固定部56とを有する。右端固定部54は、固定板48と重なる同形状の板であってカシメ54aによって位置決め固定されている。左端固定部56は、ベース板42、レンズカバー34およびインジケータカバー36と重なる同形状の板であってカシメ56aによって位置決め固定されている。左端固定部56には、小孔34aおよび露呈孔36aを露呈させる孔が形成されている。左端固定部56における露呈孔36aの「下」矢印側および「左」矢印方向側にはL字形状の薄いテープ58が貼られている。テープ58によれば金属板50がガラス27(
図3参照)に対してスムーズに摺動可能となり、金属板50がガラス27を損傷することがない。露呈孔36aの下側部分はテープ58の貼り付け面をX方向に長く確保することができ、ガラス27の損傷を一層防止できる。
【0046】
板バネ52は右端固定部54および左端固定部56と一体的に形成されており、例えば同一の板材から打ち抜き加工によって得られる。板バネ52は両端をそれぞれ適度な面積を有する右端固定部54および左端固定部56によってアーム46に対して確実に固定されている。板バネ52の中央部には、後方に向かって突出する屈曲部(作用部)60が形成されている。屈曲部60は平面視で山なり形状である。板バネ52のY方向幅はアーム46のY方向幅とほぼ等しい。板バネ52のZ方向幅は適度に薄く弾性がある。したがって、屈曲部60はZ方向に弾性的に変位可能である。なお、板バネ52は、Z方向に弾性変形する際には曲げ変形が可能な程度に後に向かってわずかに凸となるように弓なり形状となっている。したがって、板バネ52はZ方向に弾性変形する際に引張りによる伸び変形はほとんどない。
【0047】
上枠24aにおけるガード40よりもやや「右」矢印方向の箇所では、天面24acから下方に向かって突起ベース61が突出している。突起ベース61は上枠24aと一体構造であるが、別体部品が上枠24aに固定されていてもよい。突起ベース61は前方に向かって突出する突起62と、2つの補助突起64L,64Rと、下端から後方に突出する小さい抜止66とを有する。突起62は突起ベース61の中央部から前方に突出する山なり形状である。突起62のZ方向高さは屈曲部60のZ方向高さとほぼ等しく、かつレンズカバーユニット32がX方向にスライドする際に、屈曲部60がZ方向に弾性変形して乗り越え可能な高さである。
【0048】
補助突起64Lは突起62の左側に設けられ、補助突起64Rは突起62の右側に設けられている。補助突起64Lと突起62との間には第1凹部68Lが形成され、補助突起64Rと突起62との間には第2凹部68Rが形成されている。
【0049】
図6は、正面斜め下方から見た組立状態のレンズカバーユニット32および上枠24aの斜視図である。
図6に示すように、組立状態においてはアーム46および板バネ52は上枠24aに沿って配置されており、該上枠24aの天面24acとの間にはほとんど隙間がない。また、組立状態においては、突起ベース61の突起62および補助突起64L,64Rは板バネ52とアーム46との間に配置される。
【0050】
さらに、抜止66はアーム46における直線部46eを下側から保持して該直線部46eが下方に抜けることを防止するとともに、レンズカバーユニット32がX方向にスライドする際のガイドとなる。さらにまた、突起ベース61は、板バネ52の屈曲部60とアーム46の凹部46aとにより隙間なく挟持されている。これにより凹部46aは突起ベース61の後面に当接し、該突起ベース61によってZ方向に位置決めされX方向にガイドされる。レンズカバーユニット32を上枠24aに組み付ける際には、板バネ52を前方に弾性変形させてアーム46との間の隙間を広げ、該隙間に突起ベース61および抜止66を入れ込むとよい。組立状態においては、ノブ38はガード40に囲われる(
図3参照)。
【0051】
レンズカバーユニット32は、このように上枠24aに対して組み立てられることにより、表示装置22やガラス27がない状態においてもいずれの方向にも抜け落ちることがない。したがって、枠体24に対して表示装置22やガラス27を装着する前の工程においてレンズカバーユニット32を組み付けた枠体24の扱いが容易である。また、仮に抜止66が設けられていなくとも、突起ベース61が板バネ52とアーム46との間に配置されていれば、レンズカバーユニット32は少なくともZ方向には抜けることがない。
【0052】
図7は、組立状態のレンズカバーユニット32および上枠24aを下方から見た底面図であり、(a)はレンズカバーユニット32が第1位置にある状態を示し、(b)はレンズカバーユニット32が第2位置にある状態を示し、(c)はレンズカバーユニット32が第1位置と第2位置との間にある状態を示す。
【0053】
図7(a)に示すように、レンズカバーユニット32が第1位置にある状態では、屈曲部60は第1凹部68Lに嵌まり込む。
図7(b)に示すように、レンズカバーユニット32が第2位置にある状態では、屈曲部60は第2凹部68Rに嵌まり込む。第1凹部68Lおよび第2凹部68Rは、それぞれ屈曲部60が嵌まり込む形状になっている。
【0054】
レンズカバーユニット32が第1位置と第2位置との間でスライドするときに、
図7(c)に示すように、突起62は屈曲部60を前方に押圧して弾性変形させ、その後に屈曲部60は突起62を乗り越える。これにより、レンズカバーユニット32はX方向について第1位置または第2位置のいずれかに位置決めされ、重力や振動などで不用意に動くことがない。また、ユーザはレンズカバーユニット32をX方向にスライドさせる際に好適なクリック感が得られるとともに動作確認が可能となる。レンズカバーユニット32が第1位置または第2位置との間でスライドする際にクリック音を発生させる構成としてもよい。
【0055】
さらに、レンズカバーユニット32が第1位置または第2位置にあるとき、屈曲部60は突起62の左右いずれかの裾部62aに接触しており、前方に向かって適度に弾性付勢されている。つまり、板バネ52はプリテンションを受けている。これにより、突起62と突起ベース61との間に隙間がなく、がたつきが防止されるとともに、屈曲部60が突起62を乗り越える際に規定荷重を発生させることができる。なお、突起62の裾部62aとは、突起62の両側の傾斜面から第1凹部68Lおよび第2凹部68Rの底部までを含む。
【0056】
屈曲部60が突起62を乗り越える際(
図7(c)参照)、アーム46は突起62が屈曲部60を押圧する反力を受けて前方に変位するように付勢されるが、突起ベース61は、屈曲部60とアーム46とにより挟持されている。したがってアーム46は前方に曲がることがなく、レンズカバーユニット32は適正姿勢に保たれ、突起62は規定量および規定荷重で屈曲部60を確実に押圧することができる。
【0057】
このように構成される電子機器10では、レンズカバーユニット32に設けられた板バネ52の屈曲部60は前方に弾性的に変位可能となっている。そして、レンズカバーユニット32が第1位置と第2位置との間でスライドするときに、板バネ52の屈曲部60は突起62によりZ方向に弾性的に変位し、その後に屈曲部60が突起62を乗り越える構成となっている。つまり、板バネ52が弾性変形するための移動代はZ方向に確保されていれば足り、Y方向には不要であって、レンズカバーユニット32および該レンズカバーユニット32が収容される領域のY方向寸法を小さく設定することができる。これにより、枠体24の上枠24aのY方向幅を一層狭くすることができる。
【0058】
また、板バネ52は、
図9の比較例として示す弾性体514のような片持ち式ではなく、両端がアーム46で固定されていることから薄く設定されていても十分な弾性反力を発生させることができ、レンズカバーユニット32のZ方向幅を狭くすることができる。後述する板バネ52C(
図8(c)参照)なども同様である。板バネ52における作用部としての屈曲部60は、曲げ加工により容易に形成される。
【0059】
突起62を備える突起ベース61は枠体24と一体構造であって、部品点数が低減できる。突起ベース61は板バネ52とアーム46との間に配置されることから、組立工程においてレンズカバーユニット32がZ方向に抜け落ちることがない。また、抜止66がアーム46の直線部46eを保持することから、レンズカバーユニット32がY方向に抜け落ちることがない。
【0060】
レンズカバーユニット32が第1位置にあるとき屈曲部60は第1凹部68Lに嵌まり込み、レンズカバーユニットが第2位置にあるとき屈曲部60は第2凹部68Rに嵌まり込み、それぞれの状態で位置決めがなされる。
【0061】
なお、レンズカバーユニット32を第1位置と第2位置との間でスライドさせる際にクリック感を発生させるためには、突起ベース61には突起62があれば足り、設計条件によっては補助突起64L,64Rは省略してもよい。補助突起64L,64Rが省略される場合、レンズカバーユニット32の第1位置と第2位置における位置決めはノブ38とガード40の両壁との当接によって行うことができる。
【0062】
また、インジケータカバー36によれば、レンズ26aの遮蔽・露呈に同期して、インジケータ26bを遮蔽・露呈させることができる。
【0063】
図8は、変形例にかかる電子機器における組立状態のレンズカバーユニット32および上枠24aを下方から見た底面図であり、(a)は第1変形例にかかる電子機器10Aを示し、(b)は第2変形例にかかる電子機器10Bを示し、(c)は第3変形例に係る電子機器10Cを示し、(d)は第4変形例にかかる電子機器10Dを示す。
図8(a)〜(d)においてレンズカバーユニット32は第1位置にある。電子機器10A〜10Dにおいて上記の電子機器10と同様の構成要素については同符号を付してその詳細な説明を省略する。電子機器10A〜10Dの相互間においても同様である。また、電子機器10の構成要素に対応するものには符号に順に「A」、「B」、「C」、「D」を付けて表す。
【0064】
図8(a)に示すように、電子機器10Aにおけるレンズカバーユニット32では、上記の板バネ52に代えて板バネ52Aが設けられている。板バネ52Aは2つの屈曲部60L,60Rを備える。屈曲部60L,60Rは上記の屈曲部60に代えて設けられており、該屈曲部60よりもZ方向の突出量が小さい。2つの屈曲部60Lと屈曲部60Rとの間には中間凹部69Mが形成される。
【0065】
電子機器10Aにおける上枠24aでは、上記の突起ベース61に代えて突起ベース61Aが設けられている。突起ベース61Aは2つの突起62L,62Rを備える。突起62L,62Rは上記の突起62に代えて設けられており、が突起62よりもZ方向の突出量が小さい。2つの突起62Lと突起62Rとの間には中間凹部68Mが形成されている。突起62Lの左には補助突起64Lが設けられ、突起62Rの右には補助突起64Rが設けられている。
【0066】
電子機器10Aでは、レンズカバーユニット32が第1位置にあるとき(
図8(a)に示す状態)、屈曲部60Lが第1凹部68Lに嵌まり込み、屈曲部60Rが中間凹部68Mに嵌まり込み、突起62Lが中間凹部69Mに嵌まり込む。また、レンズカバーユニット32が第2位置にあるとき(図示省略)、屈曲部60Lが中間凹部68Mに嵌まり込み、屈曲部60Rが第2凹部68Rに嵌まり込み、突起62Rが中間凹部69Mに嵌まり込む。
【0067】
このような電子機器10Aでは、2つの屈曲部60L,60Rと2つの突起62L,62Rおよび補助突起64L,64Rとにより板バネ52Aと突起ベース61Aとが複数個所で係合することになり、レンズカバーユニット32の位置決めが一層確実に行われる。また、レンズカバーユニット32がX方向にスライドする際、2つの屈曲部60L,60Rが2つの突起62L,62RによってZ方向に押し出されるために、押圧力が分散されることになり、個々の屈曲部60L,60Rおよび突起62L,62RのZ方向高さは低く抑えられる。したがって、レンズカバーユニット32における板バネ52Aとアーム46とのZ方向幅を小さく設定することができる。なお、板バネにおける屈曲部と突起ベース61における突起とは3以上でもよく、複数の屈曲部と複数の突起とが、X方向に沿って交互に配置される間隔で設けられていればよい。
【0068】
図8(b)に示すように、電子機器10Bにおいては、上記の板バネ52に代えて板バネ52Bが設けられており、さらに上記の突起ベース61に代えて突起ベース61Bが設けられている。板バネ52Bはレンズカバーユニット32に設けられ、突起ベース61Bは上枠24aに設けられている。板バネ52Bは中央の屈曲部60Bと、その左右に2つの補助屈曲部70L,70Rとを備える。補助屈曲部70Lと屈曲部60Bとの間には第1凹部72Lが形成され、補助屈曲部70Rと屈曲部60Bとの間には第2凹部72Rが形成されている。突起ベース61Bは上記の突起ベース61と同様に突起62を有するが、補助突起64L,64Rは省略されている。
【0069】
電子機器10Bでは、レンズカバーユニット32が第1位置にあるとき(
図8(b)に示す状態)、突起62が第2凹部72Rに嵌まり込む。また、レンズカバーユニット32が第2位置にあるとき(図示省略)、突起62が第1凹部72Lに嵌まり込む。
【0070】
図8(c)に示すように、電子機器10Cにおけるレンズカバーユニット32にはアーム74が設けられている。アーム74は上記のアーム46よりも前方に配置され、該アーム46と並列してX方向に沿って延在しており、右端固定部54と左端固定部56とを接続している。アーム74はアーム46と同様に剛体である。
【0071】
また、電子機器10Cにおいては、上記の板バネ52に代えて板バネ52Cが設けられており、さらに上記の突起ベース61に代えて突起ベース61Cが設けられている。突起ベース61Cはアーム74に設けられている。突起ベース61Cは、突起62C、補助突起64CL,64CRを有する。突起62C、補助突起64CL,64CRは上記の突起62、補助突起64L,64Rに相当するが、それぞれ後方に向けて突出している。つまり、突起ベース61Cは上記の突起ベース61と同形状であるが、前後逆向きに配置されている。
【0072】
板バネ52CはX方向に沿って延在しており、両端が上枠24aから突出する2つのポスト76L,76Rに固定されている。板バネ52Cとポスト76L,76Rとの固定は、例えば溶着による。板バネ52Cは屈曲部60Cを有する。屈曲部60Cは上記の屈曲部60に相当するが、前方に向けて突出している。つまり、板バネ52Cは上記の板バネ52と同形状であるが、前後逆向きに配置されている。
【0073】
このように電子機器10Cは、概念的には電子機器10における弾性体の板バネ52と剛体の突起ベース61とを入れ替えた構造となっている。電子機器10と電子機器10Cとの比較、および電子機器10Bと後述する電子機器10Dとの比較から明らかなように、レンズカバーユニット32を第1位置と第2位置とに位置決めするために用いられる弾性体の板バネは、レンズカバーユニット32または枠体24の一方に固定され、剛体の突起は他方に固定されていればよい。弾性体が枠体24の側に設けられていると寸法の調整が容易となる。一方、弾性体がレンズカバーユニット32に設けられていると、枠体24に弾性体が不要となり、コストが低減するとともに弾性体固定の工程が容易となる。
【0074】
なお、上記の弾性体と剛体とは相対的なものであり、剛体がわずかながら弾性を有していてもよい。
【0075】
図8(d)に示すように、電子機器10Dにおけるレンズカバーユニット32は、電子機器10Cの場合と同様にアーム74が設けられている。アーム74には後ろ向きに突出する突起62Dが設けられている。また、電子機器10Dにおいては、上記の板バネ52に代えて板バネ52Dが設けられている。板バネ52DはX方向に沿って延在しており、両端が上枠24aから突出する2つのポスト76L,76Rに固定されている。
【0076】
板バネ52Dは中央の屈曲部60Dと、その左右に2つの補助屈曲部78L,78Rとを備える。補助屈曲部78Lと屈曲部60Dとの間には第1凹部80Lが形成され、補助屈曲部78Rと屈曲部60Dとの間には第2凹部80Rが形成されている。
【0077】
屈曲部60D、補助屈曲部78L,78Rは上記の屈曲部60B、補助屈曲部70L,70Rに相当するが、それぞれ前方に向けて突出している。つまり、板バネ52Dは上記の板バネ52Bと同形状であるが、前後逆向きに配置されている。
【0078】
このように電子機器10Dは、概念的には電子機器10Bにおける弾性体の板バネ52Bと剛体の突起ベース61Bとを入れ替えた構造となっている。
【0079】
設計条件によっては、上記の板バネ52,52A〜52Dは他の弾性体、例えば金属製スプリングピンなどを適用してもよい。
【0080】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。