【解決手段】実施形態に係るデータ収集システムは、収集部と、算出部と、推定部とを備える。収集部は、車両に関する所定データを収集する。算出部は、収集部によって収集される所定データの採取時における既知の測位位置からの経過指標を算出し、算出した当該経過指標を対応する所定データへ紐付ける。推定部は、上記経過指標に基づいて所定データの採取時における車両の位置を推定する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するデータ収集システム、車載装置およびデータ収集方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
まず、実施形態に係るデータ収集方法の概要について、
図1Aおよび
図1Bを用いて説明する。
図1Aおよび
図1Bは、実施形態に係るデータ収集方法の概要説明図(その1)および(その2)である。なお、
図1Aおよび
図1Bでは、実施形態に係るデータ収集方法を適用したデータ収集システム1を例に挙げて説明を行う。
【0013】
図1Aに示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車両V−1,V−2,V−3…にそれぞれ搭載された車載装置100−1,100−2,100−3…と、利用者端末200とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置100」と、それぞれ記載する。
【0014】
データ収集装置10は、たとえばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークNを介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、データ利用者から車両データの収集要求を受け付けるとともに、受け付けた収集要求に基づき、各車載装置100から車両データを収集し、データ利用者へ提供する。
【0015】
車載装置100はたとえば、カメラや、加速度センサ、GPSセンサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有するドライブレコーダであって、データ収集装置10が受け付けた収集要求に応じた車両データを車両Vから採取する。
【0016】
なお、このとき、採取される車両データには、GPSセンサによって測位された車両Vの位置情報が紐付くこととなる。すなわち、かかる位置情報は、車両データの採取位置を示すこととなる。
【0017】
また、車載装置100は、採取した車両データをデータ収集装置10へ適宜アップロードする。このようにドライブレコーダを車載装置100として兼用することによって、車両Vへ搭載する車載部品を効率化することができる。なお、兼用することなく、車載装置100とドライブレコーダとを別体で構成してもよい。
【0018】
利用者端末200は、データ利用者が利用する端末であり、たとえばノート型PC(Personal Computer)や、デスクトップ型PC、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(wearable device)などである。
【0019】
また、データ利用者は、たとえばデータ収集装置10から提供される車両データに基づいて自動運転技術の開発を行う開発者などである。データ収集装置10は、かかるデータ利用者に対し、利用者端末200を介してアクセス可能なユーザインタフェース(以下、「UI」と記載する)画面を提供する。
【0020】
データ利用者は、かかるUI画面を介し、
図1Aに示すように、車両データの収集条件を指定する(ステップS1)。すると、これを受け付けたデータ収集装置10は、各車両Vへかかる収集条件をたとえばファイル形式で配信する(ステップS2)。
【0021】
収集条件には、車両データの収集に関する各種パラメータが含まれる。各種パラメータは、たとえば「対象車両」や、「データ種別」、「収集トリガ条件」、「収集期間」などである。
【0022】
なお、「対象車両」は、収集対象となる車両Vの識別子である。また、「データ種別」は、収集対象となるデータの種別、言い換えれば各種センサから採取されるデータの種別である。一例として、CAN(Controller Area Network)情報に含まれるアクセル開度やブレーキ圧、操舵角、SOH(States Of Health:バッテリの劣化状態)等、また、カメラによって撮像された画像等である。「収集トリガ条件」は、収集のトリガとなる条件であり、一例として車速が所定速を超えた場合などである。
【0023】
そして、各車載装置100は、各車両Vにおいて採取した車両データを適宜データ収集装置10へアップロードし(ステップS3)、データ収集装置10はこれを蓄積する(ステップS4)。そして、データ利用者は、たとえば前述のUI画面を介して、データ収集装置10に蓄積された車両データを閲覧またはダウンロードし(ステップS5)、開発のための分析などに利用する。
【0024】
ところで、車両Vがトンネル等のGPS受信圏外にある場合、GPSセンサによる測位が不可となり、車両Vの位置情報を取得することができない。このため、車両の位置情報に紐付くデータを収集する場合に、そもそも車両の位置情報が取得できなかったならば、データの採取位置を推定する必要がある。
【0025】
ただし、かかる位置推定処理を車載装置100側で行おうとすれば、高い処理負荷に耐えうる車載装置100が必要となるため、コストが嵩んでしまう。
【0026】
そこで、実施形態に係るデータ収集方法では、かかる位置推定処理をデータ収集装置10側で行うこととしたうえで、車載装置100側では、かかる位置推定処理に必要となる車両Vの既知の位置からの経過指標を車両Vの位置情報に設定し、採取した車両データに紐付けることとした。
【0027】
具体的には、
図1Bに示すように、実施形態に係るデータ収集方法では、上述の経過指標として、たとえば追番を設けることとした。かかる追番は、直近の既知の測位データに対して付与される形で、車両Vの位置情報に設定される。
【0028】
より具体的には、同図に示すように、直近の既知の測位データが(A,B)であるものとした場合、車載装置100は、かかる測位データに対応する車両Vの位置情報については、(A,B,0)のように追番を「0」として位置情報を設定する。なお、Aは緯度に、Bは経度に該当する。
【0029】
一方で、車載装置100は、GPS測位不可区間については、直近の既知の測位データに対し、時間の経過とともにカウントアップしつつ追番(図中の下線部参照)を付与して、車両Vの位置情報として設定する。
【0030】
そして、車載装置100は、かかる形式の車両Vの位置情報を、車両データを採取したタイミングにおいて取得し、車両データへ紐付ける。そして、データ収集装置10側では、かかる位置情報の追番に基づいてたとえばマップマッチングを行い、GPS測位不可区間における車両Vの位置推定を行う。
【0031】
このように、実施形態に係るデータ収集方法では、位置推定処理をデータ収集装置10側で行うこととしたうえで、車載装置100側では、かかる位置推定処理に必要となる車両Vの既知の位置からの経過指標を車両Vの位置情報に設定し、採取した車両データに紐付けることとした。経過指標は、たとえば直近の既知の測位データに対しカウントアップされつつ付与される追番である。
【0032】
したがって、実施形態に係るデータ収集方法によれば、車両Vの位置情報が取得できない場合の収集データの採取位置を低コストに推定することができる。
【0033】
なお、
図1Bを用いた説明では、経過指標は追番としたが、これに限らず、走行距離や経過時間等であってもよい。
【0034】
ところで、
図1Aでは図示を略したが、車載装置100がアップロードする車両データには、タグデータTと実データRとが含まれる。
【0035】
かかる点を含めた補足事項として、データ収集システム1においてデータ利用者へ車両データが提供されるまでの一連の流れについて、
図1C〜
図1Eを用いてより具体的に説明しておく。
図1C〜
図1Eは、実施形態に係るデータ収集方法の補足説明図(その1)〜(その3)である。
【0036】
図1Cに示すように、まずデータ利用者は、データ収集装置10と接続された利用者端末200により収集条件を指定する。
【0037】
また、この際に、データ収集装置10は、収集することとなる実データRに付加され、かかる実データRの検索や概要把握、選択等に用いられるインデックスデータとしての特性を有するタグデータTを生成するための生成用データを生成する。なお、かかるタグデータTの生成用データは、利用者端末200あるいはデータ収集装置10に記憶されたプログラムや生成用データを用いつつ、データ利用者の操作に基づいて生成される。
【0038】
そして、指定された収集条件や、生成されたタグデータTの生成用データは、データ収集装置10に記憶されるとともに、データ収集の対象となる車両Vへ配信されて、車載装置100にも記憶される。
【0039】
次に、各車載装置100は、各種センサの出力データを監視し、記憶している収集条件を満たすイベントが発生した場合に、その実データRを記憶デバイスに記憶する。また、各車載装置100は、記憶しているタグデータTの生成用データと実データRとに基づき、当該実データRに対応するタグデータTを生成して記憶する。
【0040】
なお、タグデータTは、実データRの一部を単純に抜粋したようなデータではなく、データ利用者が参照したときに実データRの概要を把握し、実データRの要否を判断できる程度にメタ情報化されていることが好ましい。
【0041】
そして、各車載装置100は、タグデータTをデータ収集装置10に随時アップロードし、データ収集装置10はそのタグデータTを随時記憶する。なお、このとき、実データRは、データ収集装置10へはアップロードされない。また、ここに言う「随時」とは、リアルタイムに(すなわち、「即時に」)の意味のほか、通信環境が整った場合にまとめてアップロードするといった、ある程度リアルタイム性を持った場合を広く含む。通信環境が整った場合に限らず、所定のデータ容量が蓄積された場合や、前回のアップロードから所定時間が経過した、あるいは、所定距離を走行した場合などを含んでもよい。また、「周期的に」の意味を含んでもよい。
【0042】
そして、データ利用者が、利用者端末200により、データ収集状況の確認や実データRの収集のためにデータ収集装置10と接続すると、データ収集装置10により収集されたタグデータTに基づくメタ情報が利用者端末200に表示される。あわせて、各タグデータTに対応する実データRを選択する操作を行うためのUI画面が表示される。
【0043】
そして、
図1Dに示すように、データ利用者が、利用者端末200により、収集したい実データRに対応するタグデータTを指定すると、データ収集装置10を介して該当の車載装置100へ実データRを指定する「指示データ」が送信される。
【0044】
その後、
図1Eに示すように、指定された実データRが選択されて、各車載装置100からデータ収集装置10へアップロードされ、データ収集装置10に記憶される。そして、データ利用者が、利用者端末200により、データ収集装置10に記憶された実データRにアクセスして、かかる実データRの閲覧やダウンロードなどを行う。
【0045】
なお、車載装置100のストレージ容量の観点からは、データ収集装置10にアップロードされた実データRおよびこれに対応するタグデータTは、データ収集装置10へのアップロード完了後に車載装置100から削除されることが好ましい。
【0046】
ここで、実データRは、たとえば映像データであり、タグデータTは、かかる映像データをメタ情報化したサムネイル画像等である。映像データの場合、大まかな位置が分かれば、当該映像データを基にした画像認識処理等により、正確な位置を算出することは比較的容易に可能である。
【0047】
したがって、
図1Bを用いて説明した実施形態に係るデータ収集方法に当てはめれば、たとえばタグデータTに前述の経過指標を含んでおき、かかる経過指標により大まかな位置が推定できれば、正確な位置の把握に必要となる実データR(ここでは、映像データ)を選択することが可能となる。
【0048】
そして、かかる実データRからは、前述のように画像認識処理等により、正確な位置の算出が可能となる。つまり、実施形態に係るデータ収集方法によれば、最終的に必要となる実データRおよびこれに基づく正確な位置を、データ通信量や処理負荷が嵩むことを軽減しつつ、容易に取得することを可能にできる。
【0049】
以下、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例について、より具体的に説明する。
図2は、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0050】
換言すれば、
図2に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0051】
また、
図2を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0052】
図2に示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10と、車載装置100とを含む。
【0053】
まず、データ収集装置10から説明する。データ収集装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0054】
通信部11は、たとえば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、車載装置100との間で情報の送受信を行う。
【0055】
記憶部12は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、収集データDB12aと、地図データDB12bと、補正関連情報12cとを記憶する。
【0056】
収集データDB12aは、後述する収集部13aによって各車載装置100から収集された収集データが蓄積される。地図データDB12bは、地図データが格納されたデータベースである。補正関連情報12cは、後述する推定部13bがマップマッチングを行った際の誤差の許容範囲や、誤差が許容範囲外となった場合の補正等に関する情報を含む。
【0057】
制御部13は、コントローラ(controller)であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、データ収集装置10内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0058】
制御部13は、収集部13aと、推定部13bと、要求部13cとを有して、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0059】
収集部13aは、車載装置100からアップロードされる車両データを、通信部11を介して収集し、収集データDB12aへ蓄積する。
【0060】
推定部13bは、収集データDB12aへ蓄積された車両データの解析を行う。推定部13bは、かかる解析の1つとして、マップマッチングを行う。かかるマップマッチングに際して、推定部13bは、車両データに紐付けられた位置情報を参照し、かかる位置情報に含まれる経過指標がGPS測位不可だったことを示す(たとえば、上述の追番が0でない)場合、かかる経過指標、走行履歴および地図データ等に基づくマップマッチングによる位置推定処理を行う。
【0061】
なお、推定部13bは、かかる位置推定処理の結果、誤差が許容範囲外となった場合、補正関連情報12cを参照しつつ、補正に必要となる情報を判定し、その情報の要求依頼を要求部13cへ通知する。
【0062】
ここで、実施形態に係る補正関連情報12cに含まれる情報の一例について、
図3および
図4を用いて説明する。
図3および
図4は、実施形態に係る補正関連情報12cに含まれる情報の一例を示す図(その1)および(その2)である。
【0063】
図3には、補正のためにデータ収集装置10から車載装置100へ要求される要求情報例を示した。同図に示すように、かかる要求情報としては、車速や、加速度、舵角、ヨーレート(角速度)等が挙げられる。
【0064】
また、
図4には、
図3に挙げた要求情報が必要となる状況の判定例、すなわち要求情報を判定例を示した。同図に示すように、たとえば直線道路においては、加速度が要求情報となる。加速度を知ることにより、道路の起伏を加味した位置推定を行うことが可能となる。
【0065】
また、同図に示すように、たとえばカーブが連続する道路においては、車速および舵角が要求情報となる。車速および舵角を知ることにより、カーブが連続する道路におけるより詳細な位置推定を行うことが可能となる。
【0066】
図2の説明に戻る。そして、推定部13bは、要求部13cから車載装置100への情報要求に基づき、車載装置100から送信された要求情報を受け取り、かかる要求情報を加味しながら改めてマップマッチングによる位置推定処理を行うこととなる。
【0067】
一方で、推定部13bは、上述の位置情報に含まれる経過指標がGPS測位不可だったことを示さない(たとえば、上述の追番が0である)場合、位置情報に含まれる測位データに基づくマップマッチングを行う。
【0068】
また、推定部13bは、マップマッチングの結果、推定された車両Vの位置を、収集データDB12aの該当データへ反映する。
【0069】
なお、推定部13bは、GPS測位不可区間の直前の既知の測位データおよび直後の既知の測位データに基づいて車両Vの位置を推定するようにしてもよい。かかる場合、GPS測位不可区間の両端の既知の測位データによる補完推定が行えるので、位置推定の精度を向上させることができる。
【0070】
要求部13cは、推定部13bから要求情報の要求依頼を受けた場合に、車載装置100への情報要求を行う。また、要求部13cは、情報要求の結果、車載装置100から送信された要求情報を受信し、推定部13bへ渡す。
【0071】
次に、車載装置100について説明する。車載装置100は、通信部101と、記憶部102と、制御部103とを備える。また、車載装置100は、上述したように、カメラや、加速度センサ、GPSセンサなどの各種センサ150が接続される。
【0072】
通信部101は、通信部11と同様に、たとえばNIC等によって実現される。通信部101は、ネットワークNと無線で接続され、ネットワークNを介して、データ収集装置10との間で情報の送受信を行う。また、通信部101は、各種センサ150の出力データを受信する。
【0073】
記憶部102は、記憶部12と同様に、たとえば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現され、
図2の例では、車両データ情報102aを記憶する。
【0074】
車両データ情報102aは、データ収集装置10から配信された収集条件に応じ、後述する取得部103aによって採取される車両データを含む情報である。車両データには、前述の位置情報(
図1B参照)が紐付けられている。
【0075】
制御部103は、制御部13と同様に、コントローラであり、たとえば、CPUやMPU等によって、車載装置100内部の記憶デバイスに記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部103は、たとえば、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0076】
制御部103は、取得部103aと、判定部103bと、算出部103cと、アップロード部103dとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0077】
取得部103aは、データ収集装置10から配信された収集条件を取得するとともに、かかる収集条件に応じ、該当する車両データを採取して車両データ情報102aへ格納する。また、取得部103aは、かかる車両データの採取タイミングにおける車両Vの測位データを取得する。
【0078】
また、取得部103aは、要求部13cからの情報要求を取得する。また、取得部103aは、かかる要求情報を取得した場合に、該当する要求情報をアップロード部103dにアップロードさせる。
【0079】
判定部103bは、取得部103aが測位データを正常に取得できたか否かを判定し、判定結果を算出部103cへ通知する。算出部103cは、車両データの採取時における既知の測位データからの経過指標を算出し、算出した経過指標を対応する車両データへ紐付ける。
【0080】
具体的には、算出部103cは、取得部103aが測位データを正常に取得できた場合、上述の追番に0を設定した位置情報を生成し、車両データ情報102aの該当する車両データと紐付ける。
【0081】
また、算出部103cは、取得部103aが測位データを正常に取得できなかった場合、上述の位置情報の追番を前回から1カウントアップし、カウントアップした追番を設定した位置情報を生成する。そして、かかる位置情報を、車両データ情報102aの該当する車両データと紐付ける。
【0082】
アップロード部103dは、たとえば収集条件に設定された、車両データをアップロードするトリガが発生した場合に、車両データ情報102aに格納された車両データおよび対応する位置情報をデータ収集装置10へアップロードする。また、アップロード部103dは、取得部103aによって要求部13cからの情報要求が取得された場合に、該当する要求情報をデータ収集装置10へアップロードする。
【0083】
次に、実施形態に係るデータ収集システム1の処理シーケンスについて、
図5を用いて説明する。
図5は、実施形態に係るデータ収集システム1の処理シーケンスを示す図である。なお、ここでは、主に位置情報に関する処理シーケンスについて説明する。
【0084】
図5に示すように、まず車載装置100は、GPS測位を行い(ステップS101)、その結果を反映した車両Vの位置情報を生成する(ステップS102)。すなわち、車載装置100は、GPS測位が正常であれば、測位データに追番が0の位置情報を生成する。また、車載装置100は、GPS測位が異常であれば、直近の既知の測位データにカウントアップされた追番が付与された位置情報を生成する。
【0085】
そして、車載装置100は、生成した位置情報およびこれに紐付く車両データをアップロードする(ステップS103)。そして、データ収集装置10は、受信した位置情報に基づくマップマッチングを行う(ステップS104)。
【0086】
すなわち、データ収集装置10は、GPS測位が正常であれば、測位データに基づくマップマッチングを行う。また、データ収集装置10は、GPS測位が異常であれば、直近の既知の測位データからの経過指標である追番ほかに基づくマップマッチングを行う。
【0087】
また、データ収集装置10は、マップマッチングの結果、誤差が許容範囲外の場合は、状況に応じて車両Vへ要求する要求情報を判定し(ステップS105)、その情報要求を車載装置100へ送信する(ステップS106)。
【0088】
そして、車載装置100はこれに応じ、要求された要求情報をデータ収集装置10へアップロードする(ステップS107)。データ収集装置10は、受け取った要求情報をパラメータとして加味しつつ、改めてマップマッチングを行うこととなる(ステップS108)。
【0089】
次に、実施形態に係る車載装置100が実行する処理手順について、
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態に係る車載装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、主に位置情報に関する処理手順について説明する。
【0090】
図6に示すように、まず判定部103bが、GPS測位が正常であるか否かを判定する(ステップS201)。ここで、GPS測位が正常である場合(ステップS201,Yes)、算出部103cが、測位した測位データを含む位置情報の追番を0として算出する(ステップS202)。
【0091】
一方、GPS測位が正常でない場合(ステップS201,No)、算出部103cが、前回の位置情報、言い換えれば、直近の既知の測位データを含む位置情報の追番を1カウントアップし(ステップS203)、かかるカウントアップした追番を設定した位置情報を生成する。
【0092】
そして、アップロード部103dが、生成された位置情報およびこれに紐付く車両データをデータ収集装置10へアップロードする(ステップS204)。
【0093】
また、アップロード部103dは、データ収集装置10から情報要求があるか否かを判定し(ステップS205)、情報要求がなければ(ステップS205,No)、ステップS201からの処理を繰り返す。また、情報要求があれば(ステップS205,Yes)、アップロード部103dは、要求された要求情報をデータ収集装置10へアップロードし(ステップS206)、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0094】
次に、実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理手順について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施形態に係るデータ収集装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでも、主に位置情報に関する処理手順について説明する。
【0095】
図7に示すように、まず車載装置100から位置情報を受信したか否かが判定される(ステップS301)。ここで、位置情報を受信していなければ(ステップS301,No)、ステップS301を繰り返す。位置情報を受信していれば(ステップS301,Yes)、推定部13bが、追番が0でないか否かを判定する(ステップS302)。
【0096】
ここで、追番が0でない場合(ステップS302,Yes)、推定部13bは、追番、走行履歴および地図データに基づいてマップマッチングを行う(ステップS303)。一方、追番が0である場合(ステップS302,No)、推定部13bは、位置情報に含まれる測位データに基づいてマップマッチングを行い(ステップS304)、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0097】
また、推定部13bは、ステップS303の結果、誤差が許容範囲外であるか否かを判定する(ステップS305)。ここで、誤差が許容範囲内であるならば(ステップS305,No)、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0098】
また、誤差が許容範囲外であるならば(ステップS305,Yes)、推定部13bは、補正に必要となる情報を判定し(ステップS306)、要求部13cが、推定部13bの判定した情報を車載装置100へ要求する(ステップS307)。
【0099】
そして、要求部13cは、要求した情報を受信したか否かを判定し(ステップS308)、受信していなければ(ステップS308,No)、ステップS308を繰り返す。受信していれば(ステップS308,Yes)、推定部13bは、受信した要求情報をパラメータに加味したうえで(ステップS309)、ステップS303からの処理を繰り返す。
【0100】
上述してきたように、実施形態に係るデータ収集システム1は、収集部13aと、算出部103cと、推定部13bとを備える。収集部13aは、車両Vに関する車両データ(「所定データ」の一例に相当)を収集する。算出部103cは、収集部13aによって収集される所定データの採取時における既知の測位データ(「測位位置」の一例に相当)からの経過指標を算出し、算出した当該経過指標を対応する車両データへ紐付ける。推定部13bは、上記経過指標に基づいて車両データの採取時における車両の位置を推定する。
【0101】
したがって、実施形態に係るデータ収集システム1によれば、車両の位置情報が取得できない場合の収集データの採取位置を推定することができる。
【0102】
また、算出部103cは、車両Vの位置が測位不可である場合に、上記経過指標を算出する。
【0103】
したがって、実施形態に係るデータ収集システム1によれば、無用な処理実行により、処理負荷が大きくなるのを防ぐことができる。
【0104】
また、経過指標は、直近の既知の測位データを基準とする追番、走行距離および経過時間である。
【0105】
したがって、実施形態に係るデータ収集システム1によれば、適正な位置推定を行うことが可能となる。
【0106】
また、実施形態に係るデータ収集システム1は、データ収集装置10を含む。データ収集装置10は、各車両Vに搭載される車載装置100と相互通信可能に設けられ、収集部13aと推定部13bとを備える。
【0107】
したがって、実施形態に係るデータ収集システム1によれば、車載装置100の処理負荷を軽減することができ、また、データ収集装置10側が有する豊富な情報を用いた位置推定が可能となる。したがって、位置推定の精度を向上させることができる。
【0108】
また、推定部13bは、測位不可区間の直前の既知の測位データおよび直後の既知の測位データに基づいて車両Vの位置を推定する。
【0109】
したがって、実施形態に係るデータ収集システム1によれば、測位不可区間の両端の既知の測位データによる補完推定が行えるので、位置推定の精度を向上させることができる。
【0110】
また、実施形態に係る車載装置100は、各車両Vに搭載され、車両Vに関する車両データを採取してデータ収集装置10(「上位装置」の一例に相当)へ収集させる車載装置100であって、算出部103cを備える。算出部103cは、データ収集装置10によって収集される車両データの採取時における既知の測位データからの経過指標を算出し、算出した当該経過指標を対応する車両データへ紐付ける。
【0111】
したがって、実施形態に係る車載装置100によれば、車両の位置情報が取得できない場合の収集データの採取位置を推定することができる。
【0112】
なお、上述した実施形態では、車載装置100が算出部103cを備え、経過指標を算出することとしたが、車載装置100に代わり、データ収集装置10が算出部103cを備えることとしてもよい。
【0113】
また、上述した実施形態では、データ利用者が、自動運転技術の開発者等であることとしたが、ユーザの一例であって、たとえばサービスプロバイダ等の法人ユーザや、一般の個人ユーザであってもよい。
【0114】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。