【課題】本発明は、1つの部品選択により、選択した部品とともに該部品に組み付いている部品を容易に確認することが可能な部品表示装置、部品表示方法及び部品表示プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の実施形態に係る部品表示装置は、複数の部品を組み付けた状態で画面上に表示する部品表示装置であって、複数の部品を組み付けた状態の表示において複数の部品のうち特定の部品が選択されると、部品の組み付け情報を記憶部から参照し、特定の部品に組み付けられる他の部品情報を抽出する部品抽出部と、抽出された部品情報及び部品の個数を画面上に表示する部品表示制御部と、を有することを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
大規模な物品の組立を行う際には、組立図面とその物品の3次元(3D)モデルを用いて組み立てを行う。設計者は、物品を構成する部品を組み合わせ、アセンブリモデルを作成する。このアセンブリモデルを用いて、組立作業員は物品の組立を行う。部品は識別番号若しくは品番で管理されている。
【0003】
組立作業員が組立作業を行うためには、アセンブリモデルで部品の識別番号を確認しつつ、部品や締結部品等を用意する。組立に必要な部品を集約した後、その部品に組み付けられている他の部品や、締結部品の個数や組付き方を確認しながら組立作業を進める。
【0004】
また、複数の部品から構成される組立品の設計を支援するCADシステムにおいて、組立品を構成しかつ指定された対象部品を含む部品の階層木を表示画面上に表示し、階層木を構成する部品のうち選択された部品の識別子を関連部品として記憶装置に格納することを特徴とするCADシステムにおける関連部品の抽出方法が報告されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
しかしながら、従来技術では、部品を一つずつ確認するためにモデルを回転させたり確認したりする際に、画面上で以前に見ていたモデルを見失ったり、モデルを復元する際に組み付け方法を規定する選択が外れてしまう場合があるという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る部品表示装置、部品表示方法及び部品表示プログラムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1に、本開示の実施形態に係る部品表示装置の構成図を示す。部品表示装置10は、記憶部1と、部品抽出部2と、部品表示制御部3とを有する。部品表示装置10は情報処理装置(コンピュータ)によって実現され、部品表示装置10に含まれる部品抽出部2及び部品表示制御部3は、記憶部1に格納されるプログラムを実行することによって実現され得る。部品表示装置10には、入力装置20及び表示装置30が接続されている。
【0015】
入力装置20として、例えば、キーボードやマウス等を用いることができる。あるいは、入力装置20として、表示装置30と重ねて配置したタッチパネルを用いることもできる。入力装置20により、複数の部品のうち特定の部品を選択するための情報等が部品表示装置10に入力される。
【0016】
表示装置30として、液晶表示装置や有機EL表示装置等を用いることができる。表示装置30は、入力装置20による情報の入力画面や、複数の部品を組み付けた状態の構成図や、複数の部品の中から選択された特定の部品の構成図等を表示することができる。
【0017】
記憶部1は、複数の部品を組み付けた物品を構成する部品の組み付け情報を記憶する。
図2に部品の組付情報の例を示す。部品の組付情報には、当該部品の識別番号、当該部品に組み付けられる部品の識別番号及び個数に関する情報が含まれる。例えば、識別番号「101」の部品の組み付け情報には、部品101に組み付けられる部品の識別番号「102」及び「103」、並びにそれぞれの個数「1」が含まれる。さらに、後述するように、部品情報に、部品を組み付ける順序に関する情報が含まれるようにしてもよい。
【0018】
記憶部1は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置及び光ディスク装置等により構成することができる。記憶部1は、部品表示装置10による処理に用いられるプログラム(部品表示プログラム)及びデータ等を記憶する。プログラムは、例えばCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部1にインストールされるようにしてもよい。
【0019】
部品抽出部2は、複数の部品を組み付けた状態の表示において複数の部品のうち特定の部品が選択されると、部品の組み付け情報を記憶部1から参照し、特定の部品に組み付けられる他の部品情報を抽出する。
図3に、複数の部品を組み付けた状態の表示装置30への表示例を示す。表示装置30の画面200上には、複数の部品を組み付けた状態の物品100が表示されている。物品100は、部品101〜111から構成されている。
【0020】
例えば、部品101に部品102及び103が組み付けられているとする。また、部品101〜103の識別番号が、それぞれ「101」、「102」及び「103」であるとする。また、画面200上で任意の部品がカーソル300により選択可能であるとする。複数の部品101〜111のうち特定の部品101がカーソル300により選択されると、部品101の組み付け情報を記憶部1から参照し、特定の部品101に組み付けられる他の部品102及び103の部品情報を抽出する。この部品情報には、部品の識別番号及び個数が含まれる。また、部品情報には、上述の部品の識別番号及び個数に加えて、部品の名称、種類及びサイズや、さらに部品の在庫状況(個数)などが含まれてもよい。
【0021】
部品表示制御部3は、抽出された部品情報及び部品の個数を画面上に表示する。
図3に示した例では、部品101がカーソル300により選択されると、画面200上において部品101にポップアップ400が表示される。ポップアップ400には、抽出された部品102及び103のそれぞれの識別番号、並びに部品102及び103のそれぞれの個数が表示される。具体的には、ポップアップ400は複数の領域401〜405に分けられる。領域401にカーソル300で選択された部品101の識別番号「101」が表示される。領域402及び403には、抽出された部品102及び103のそれぞれの識別番号「102」及び「103」が表示される。領域404及び405には、抽出された部品102及び103のそれぞれの個数「1」が表示される。ユーザはポップアップ400の表示から、選択した部品101の識別番号、選択した部品101に組み付けられる部品102及び103のそれぞれの識別番号及び個数を認識することができるため、部品101に組み付ける部品としてどの部品を何個用意すればよいかを容易に認識することができる。
【0022】
部品表示装置10は、選択された部品及び抽出された部品を画面上で他の部品とは異なる表示方法で表示するようにしてもよい。例えば、
図3において、部品101をカーソル300で選択した場合、部品101並びにこれに組み付けられる部品102及び103のみを他の部品104〜111とは異なる色や明るさで表示するようにしてもよい。これにより、カーソルで選択した部品にどの部品が組み付けられるかをユーザが容易に認識することができる。
【0023】
あるいは、選択した部品及びこの部品に組み付けられる部品のみを表示して他の部品を表示しないようにしてもよく、あるいは他の部品の透明度を上げる、コントラストを低下させる(薄くする)等の処理により他の部品の視認性を下げる等、してもよい。
図4に複数の部品のうち特定の部品を選択した状態の表示装置への表示例を示す。
図4に示すように、部品101〜103のみを表示し、他の部品104〜111を表示しないようにすることにより、部品101に対して部品102及び103がどのように組み付けられるかをユーザが容易に認識することができる。さらに、各部品に表示形態(方向等)の情報を持たせて記憶部1に記憶させ、部品選択により選択した部品及びこの部品に組み付けられる部品が適切な表示形態、具体的には、ユーザにとって部品を組み付ける順序が認識しやすい表示形態(方向)で表示させることができる。
【0024】
組み付け情報には、複数の部品を組み付ける順序に関する情報が含まれるようにしてもよい。
図5〜
図8に、物品100が組み付けられる第1〜第4工程の概略図を示す。
図5に示すように、第1工程として、部品105が用意され、次の第2工程では
図6に示すように部品105の上に部品106が載置されるとする。この場合、
図2に示すように、組み付ける順序に関する情報として、部品105の組み付け情報には、第1工程で部品105が用意されることを表す数値「1」、及び第2工程で部品106が部品105に組み付けられることを表す情報「2」が含まれるようにしてもよい。
【0025】
同様にして、
図2に示すように、部品101の組み付け情報には、組み付ける順序に関する情報として、
図7に示される第3工程で部品102及び103が部品101に組み付けられることを表す情報「3」が含まれるようにしてもよい。
【0026】
さらに、
図2に示すように、部品105の組み付け情報には、組み付ける順序に関する情報として、
図8に示される第4工程で部品101〜103が部品105に組み付けられることを表す情報「4」が含まれるようにしてもよい。
【0027】
また、組み付ける順序に従って、順番に組み付ける部品を他の部品とは異なる表示方法で表示するようにしてもよい。例えば、第1工程では部品105が用意されるため部品105を第1の色(例えば、黒)で表示し、第2工程では部品105に部品106が組み付けられるため部品106を第2の色(例えば、赤)で表示し、第3工程では部品101に部品102及び103が組み付けられるため、部品101〜103を第3の色(例えば、青)で表示するようにしてもよい。
【0028】
また、選択した部品が関係する組付け工程(選択した部品に他部品を組み付ける、あるいは選択した部品を他部品に組み付ける工程)を順次動画で表示するようにしても良い。
【0029】
このように、組み付け情報には、複数の部品を組み付ける順序に関する情報が含まれ、組み付ける順序に従って、順番に組み付ける部品を他の部品とは異なる表示方法で表示することにより、どの部品がどのような順序で組み付けられるかをユーザは1つの画面から容易に認識することができる。
【0030】
ここで、組み付け情報は、複数の部品により物品を設計する段階で生成されることが好ましい。例えば、
図4に示すように、部品101に部品102及び103を組み付けるように設計した段階で、
図2に示すように、部品101の組み付け情報には、部品101に組み付けられる部品102及び103のそれぞれの識別番号「102」及び「103」、並びにそれぞれの個数「1」が含まれるように組み付け情報が生成されることが好ましい。このようにすることで、組み付け情報を別途生成する工数を省略することができ、組み付け情報を容易に生成することができる。
【0031】
次に、本開示の実施形態に係る部品表示方法について説明する。まず、ステップS101において、複数の部品101〜111を組み付けた状態の物品100を表示装置30の画面200上に表示する(
図3参照)。このステップS101の処理は、部品表示装置の電源投入後、例えば所望するアセンブリモデルを選択し表示モードに移行することにより実行される。
【0032】
次に、ステップS102において、画面200上において複数の部品101〜111のうちの特定の部品が選択されたか否かを判断する。部品の選択は、入力装置20を用いてユーザがカーソル300を操作することにより実行される。
【0033】
カーソル300により特定の部品が選択されなかった場合(no)は、ステップS102に戻って、再度特定の部品が選択されたか否かを判断する。この繰り返し処理は、部品表示装置の電源がオフとなる、あるいは表示モードが解除されることによって、終了される。
【0034】
カーソル300により特定の部品が選択された場合(yes)は、記憶部1を参照し、組み付け情報に基づいて、特定の部品に組み付けられる部品を抽出する。例えば、
図3に示すように、特定の部品として部品101を選択した場合、部品抽出部2は記憶部1を参照し、組み付け情報(
図2)に基づいて、特定の部品101に組み付けられる部品を抽出する。部品101〜103の識別番号がそれぞれ「101」、「102」、「103」であって、特定の部品として部品101を選択した場合、部品抽出部2は、
図2に示した組み付け情報に基づいて、特定の部品101に組み付けられる部品102及び103を抽出する。部品抽出部2は、同時に、組み付けられる部品102及び103の個数に関する情報も抽出する。
【0035】
次にステップS104において、部品表示制御部3が、抽出された部品102及び103の識別番号及び個数を画面200上の組み付けた状態の物品100上に表示する。例えば、部品表示制御部3は、
図3に示すように、画面200上にポップアップ400を表示し、特定された部品101の識別番号「101」、抽出された部品102及び103の識別番号「102」及び「103」、並びに抽出された部品102及び103のそれぞれの個数「1」をポップアップ400に表示することができる。
【0036】
次に、ステップS105において、特定の部品と抽出された部品のみの表示が選択されたか否かを判断する。例えば、
図3において、特定の部品として部品101を選択した場合、部品101並びに部品101に組み付けられる部品102及び103のみの表示がユーザにより選択されたか否かを判断する。特定の部品と抽出された部品のみの表示が選択されなかった場合(no)は、一連の動作を終了する。
【0037】
特定の部品と抽出された部品のみの表示が選択された場合(yes)は、ステップS106において、特定の部品と抽出された部品の識別番号及び個数を画面200上に表示する。例えば、
図3に示すように、画面200上で部品101並びに部品101に組み付けられる部品102及び103のみの表示がユーザにより選択された場合、
図4に示すように、部品101に組み付けられる部品102及び103のみが画面200上に表示され、かつ、特定の部品101並びに抽出された部品102及び103の識別番号「101」、「102」、「103」並びに部品102及び103の個数「1」を画面200上にポップアップ400を用いて表示する。
【0038】
このように、特定の部品と抽出された部品の識別番号及び個数を画面上に表示することにより、ユーザは特定した部品に対してどの部品を何個組み付ければよいかを認識することができるため、物品の組立を容易に行うことができる。
【0039】
以上説明したように、本開示の実施形態に係る部品表示装置、部品表示方法及び部品表示プログラムによれば、1つの部品選択により、選択した部品とともに該部品に組み付いている部品を容易に確認することができる。