【解決手段】絶縁性接着ベース層と絶縁性接着カバー層とが積層され、それらの界面近傍に導電粒子が平面格子パターンの格子点に配置された構造の異方性導電フィルムは、任意の基準領域に想定される平面格子パターンの全格子点に対する導電粒子が配置されていない格子点の割合が25%以下であり、平面格子パターンの格子点に配置された導電粒子の一部が、対応格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置されており、ズレて配置された導電粒子の平面投影中心と対応格子点との間の距離として定義されるズレ量が導電粒子の平均粒子径の50%未満である。
異方性導電フィルムの任意の基準領域の面積に対する、その面積中に存在する全導電粒子の粒子面積占有率が10〜35%である請求項1〜3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
導電粒子の平均粒子径が1〜10μmであり、平面格子パターンの隣接格子点間距離が導電粒子の平均粒子径の0.5倍以上である請求項1〜4のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置された導電粒子のズレ量の最大値が、長手方向に直交する方向のズレ量よりも大きい請求項1〜5のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
導電粒子の平均粒子径が1〜30μmであり、平面格子パターンの隣接格子点間距離が導電粒子の平均粒子径の0.5倍以上である請求項7または8記載の異方性導電フィルム。
工程(イ)の転写体の凸部の高さが、導電粒子の平均粒子径の2.5倍以上5倍未満であり、凸部の巾が、導電粒子の平均粒子径の0.6倍以上1.3倍未満である請求項10又は11記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、導電粒子は静電気等により凝集して二次粒子化し易いため、導電粒子を一次粒子として常時単独で存在させることは困難である。このため、特許文献1や特許文献2の技術には以下のような問題が生ずる。即ち、特許文献1の場合には、延伸可能フィルムの全面に導電粒子を欠陥なく単層で密集充填することが難しく、導電粒子が凝集状態で延伸可能フィルムに充填され、ショートの原因となったり、充填されない領域(いわゆる「抜け」)が生じ、導通不良の原因になったりするという問題があった。また、特許文献2の場合、転写型の凹部が粒子径の大きな導電粒子で覆われると、その後のスキージにより取り除かれて、導電粒子を保持していない凹部が生じ、異方性道電フィルムに導電粒子の「抜け」が生じて導通不良の原因になったり、反対に凹部に小さな導電粒子が配置されると、絶縁性接着ベース層に転写させた際、導電粒子を配置させるべき位置と実際に配置された導電粒子の中心とが重なり合わずに位置ズレし、結果的に規則配列が損なわれ、ショートや導通不良の原因になったりするという問題があった。
【0006】
このように、特許文献1や2では、異方性導電フィルムに規則的パターンで配列されるべき導電粒子の「抜け」と「配置ズレ」とをどのように制御すべきかということについては、十分に考慮されていないというのが実情である。
【0007】
本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、規則的パターンで配列されるべき導電粒子の「抜け」と「配置ズレ」の観点から、ショートや導通不良の発生を大きく抑制された異方性導電フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、平面格子の格子点に導電粒子を配置する際に、異方性導電フィルムの任意の基準領域に想定される平面格子パターンの全格子点に対する、「導電粒子が配置されていない格子点の割合」と、「導電粒子の格子点に対する配置ズレ」とを制御することにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、そのような異方性導電フィルムが、転写体の凹部に導電粒子を配置するのではなく、表面に柱状の凸部が形成された転写体の当該凸部の先端に導電粒子を付着させて転写を行うことにより製造できることを見出し、本発明の製造方法を完成させた。
【0009】
即ち、本発明は、絶縁性接着ベース層と絶縁性接着カバー層とが積層され、それらの界面近傍に導電粒子が平面格子パターンの格子点に配置された構造の異方性導電フィルムであって、
異方性導電フィルムの任意の基準領域に想定される平面格子パターンの全格子点に対する導電粒子が配置されていない格子点の割合が、25%以下であり、
平面格子パターンの格子点に配置された導電粒子の一部が、対応格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置されており、ズレて配置された導電粒子の平面投影中心と対応格子点との間の距離として定義されるズレ量が導電粒子の平均粒子径の50%未満である異方性導電フィルムを提供する。
【0010】
また、本発明は、上述の異方性導電フィルムの製造方法であって、以下の工程(イ)〜(ホ):
<工程(イ)>
平面格子パターンの格子点に相当する柱状の凸部が表面に形成された転写体を用意する工程;
<工程(ロ)>
該転写体の凸部の少なくとも天面を微粘着層とする工程;
<工程(ハ)>
該転写体の凸部の微粘着層に導電粒子を付着させる工程;
<工程(ニ)>
該転写体の導電粒子が付着した側の表面に絶縁性接着ベース層を重ねて押圧することにより、絶縁性接着ベース層に導電粒子を転着させる工程;及び
<工程(ホ)>
導電粒子が転着した絶縁性接着ベース層に対し、導電粒子転着面側から絶縁性接着カバー層を積層する工程
を有する製造方法を提供する。
【0011】
更に、本発明は、第1の電気部品の端子と、第2の電気部品の端子とが、本発明の異方性導電フィルムにより異方性導電接続された接続構造体を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の異方性導電フィルムにおいては、任意の基準領域に想定される平面格子パターンの全格子点に対する「導電粒子が配置されていない格子点」の割合が25%以下に設定され、しかも平面格子パターンの格子点に配置された導電粒子の一部が、対応格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置されており、ズレて配置された導電粒子の中心と対応格子点との間の距離として定義される「導電粒子のズレ量」が導電粒子の平均粒子径の50%未満に設定されている。この長手方向へのズレは、長手方向の一つの方向へのズレになる。このため、本発明の異方性導電フィルムを異方性導電接続に適用した場合、良好な初期導通抵抗値とエージング後の良好な導通信頼性とを実現でき、ショートの発生も抑制できる。
【0013】
また、本発明の異方性導電フィルムの製造方法においては、平面格子パターンの格子点に相当する柱状の凸部が表面に形成された転写体を使用し、その凸部の天面に形成した微粘着層に導電粒子を付着させた後に、その導電粒子を絶縁性接着ベース層に転写する。このため、異方性導電フィルムの任意の基準領域に想定される平面格子パターンの全格子点に対する「導電粒子が配置されていない格子点」の割合を25%以下とし、且つ平面格子パターンの格子点に配置された導電粒子の一部が、対応格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置された場合に、ズレて配置された導電粒子の中心と対応格子点との間の距離として定義される「導電粒子のズレ量」を導電粒子の平均粒子径の50%未満にすることができる。よって、本発明の製造方法で得られる異方性導電フィルムを用いれば、狭ピッチ化したICチップと配線基板とを、ショートや導通不良の発生を大きく抑制しつつ、異方性導電接続が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の異方性導電フィルムを図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<異方性導電フィルム>
図1(断面図)と
図2(平面透視図)に示すように、本発明の異方性導電フィルム10は、絶縁性接着ベース層11と絶縁性接着カバー層12とが積層され、それらの界面近傍に導電粒子13が平面格子パターン(
図2の点線)の格子点に配置された構造を有する。
図1及び
図2では、平面格子パターンは、異方性導電フィルム10の長手方向とそれに直交する方向(短手方向)に沿って想定されているが、長手方向と短手方向とに対し全体が傾斜して想定されてもよい。ここで、矢印Aは、平面格子の格子点に導電粒子が配置されていない位置、いわゆる導電粒子が「抜け」ている位置を示している。矢印Bは、対応格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置されている導電粒子を示している。ここで、ズレて配置された導電粒子の中心(具体的には、導電粒子を平面に投影した影の重心)と対応格子点との間の距離として定義されるズレ量は、規則配列性を考慮して導電粒子の平均粒子径の50%未満である。なお、このズレは製法に由来するものであり、フィルムの長手方向に対してのみ発生する。このように導電粒子が所定の範囲内でズレることで、異方性導電接続時に導電粒子がバンプが捕捉され易くなる効果が生じる。バンプの幅方向(フィルムの長手方向に直交する方向)に対して、導電粒子がバンプの端部にかかるとしても、適度にばらつくため、格子点に沿って直列している、即ちフィルム長手方向に略直行する方向における導電粒子の外接線が一致するよりも、上記外接線が一致しないように配置されれば、いずれかの粒子が捕捉され易くなり、捕捉数が安定する効果が期待できる。これは特にファインピッチの場合に効果を発揮する。
【0017】
なお、格子点に対して異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置された導電粒子のズレ量の最大値が、長手方向に直交する方向のズレ量よりも大きいことが好ましい。
【0018】
また、導電粒子が配置された全格子点に対する、導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向にズレて配置された格子点の割合は、接続の安定性の点から好ましくは90%以上である。換言すれば、導電粒子が粒子径の50%未満の距離で近接している個数は、導電粒子個数の10%以下になる。例えば、
図2の場合、ズレは、長手方向の一方の方向(右側)に寄るようになる。90%以上が一方に寄るので、全体としては粒子径の1倍以上の配列距離を保つことができる。従って、近接するのは全個数の10%以下となる。よって、ほぼ全ての導電粒子が一つの方向に所定の範囲内でズレるために格子形状が保たれ、ショートの要因となる凝集がなくなることになる。このように、フィルムの長手方向に沿った規則性は、フィルムの長手方向に直交する方向に沿った規則性よりも高くなる傾向が伺える。このことは、例えば
図2の場合、導電粒子が、フィルムの長手方向に直線上に揃う傾向があり、長手方向に直交する方向には直線上から外れやすい傾向にあることを意味している。更に、詳細に述べるとすれば、フィルム平面方向の粒子がフィルムの長手方向の一方に全体的にズレるとは、配列の格子点に対して粒子の中心点が主にフィルムの長手方向側にズレて観察され、また、フィルムの長手方向に直交する方向には蛇行しているように観察されることを意味している。
【0019】
(導電粒子の「抜け」)
本発明の異方性導電フィルムにおいては、異方性導電フィルムの任意の基準領域に想定される平面格子パターンの全格子点に対する「導電粒子が配置されていない格子点」(
図2のA)の割合(導電粒子が抜けている格子点の割合)を25%以下、好ましくは10〜25%に設定する。これにより、本発明の異方性導電フィルムを異方性導電接続に適用した場合に、良好な初期導通抵抗とエージング後の良好な導通信頼性とを実現でき、ショートの発生も抑制できる。
【0020】
なお、導電粒子が「抜け」た格子点が異方性導電フィルムの平面方向に連続しないことが初期導通抵抗と導通信頼性の観点から好ましいが、実用上、導電粒子の「抜け」た格子点が9個以上連続しなければよい。
【0021】
(平面格子パターン)
平面格子パターンとしては、斜方格子、六方格子、正方格子、矩形格子、平行体格子が挙げられる。中でも、最密充填可能な六方格子が好ましい。
【0022】
ここで、異方性導電フィルムの基準領域として、異方性導電フィルム全面を選択することも可能であるが、通常、異方性導電フィルムの平面中央部の以下の関係式(A)、好ましくは関係式(1)と、関係式(2)及び(3)とを満たす辺X及び辺Yからなる略方形の領域を基準領域として選択することが好ましい。
【0024】
なお、接続面積を比較的大きく取れるFOG接続に適用する場合には、フィルム中の導電粒子の存在量を少なくすることが可能であり、そのような場合には、以下に示すように、XとYとの値をそれぞれ大きくすること、好ましくは20D以上とすることが好ましく、「X+Y」の数値も100Dから400D近傍の数値、最終的には400Dとすることが好ましい。
【0026】
式(A)及び(1)〜(3)において、Dは、導電粒子の平均粒子径である。導電粒子の平均粒子径は、画像型粒度分布計により測定することができる。また、辺Yは異方性導電フィルムの長手方向(
図2参照)に対し±45°未満の範囲の直線であり、辺Xは辺Yに垂直な直線である。
【0027】
このように基準領域を規定することにより、基準領域を導電粒子が押圧されるバンプの形状に相似ないしは近似させることができ、結果的に、導電粒子の平面格子パターンからのズレの許容範囲を大きくすることができ、異方性導電接続を経済的に且つ安定して行えるようになる。換言すれば、この基準領域の最小の辺を導電粒子径の5倍以上とすることにより、この範囲内で想定される範囲内で導電粒子の位置ズレや抜け、近接があっても、いずれかのバンプで捕捉され、且つバンプ間スペースで過度に凝集することがないため、異方性導電接続を確実に行うことができる。
【0028】
なお、最小の辺を導電粒子径の5倍以上とする理由は、一般的に、異方性導電接続されるバンプの少なくとも1辺において捕捉を確実にするため導電粒子の平均粒子径よりも大きくする必要があり、しかもバンプ間スペースについてもショート防止の理由から、導電粒子の平均粒子径の望ましくは2倍以上の大きさを設ける必要があるからである。換言すれば、一つの基準となる円形の導電粒子に着目したときに、この導電粒子の平均粒子径Dにその径の4倍の長さ(4D)を足した長さ(即ち5D)を直径とする同心円内で想定外の不良が生じなければ、上記の要件を満たすことができると考えられるからである。また、ファインピッチとする場合のバンプ間の最小距離が、一例として、導電粒子径の4倍未満となるからでもある。
【0029】
(導電粒子の配置)
導電粒子は、フィルムの長手方向と垂直な方向に、6個以上連続で配置されていることが好ましく、8個以上連続で配置されていることがより好ましい。これは、バンプの長手方向に対して導電粒子の欠落が生じると、異方性導電接続に支障をきたすおそれが生じるためである。この場合、フィルムの長手方向に沿って連続した7列中3列で上の条件を満たすことが好ましく、7列中5列で上の条件を満たすことがより好ましい。これにより、バンプに捕捉される導電粒子数を一定以上にすることができ、安定な異方性導電接続を行うことができる。
【0030】
また、導電粒子の欠落は、フィルムの長手方向に4個以上連続するものと、フィルムの長手方向と垂直な方向に4個以上連続するものが交わっていないことが好ましく、4個以上連続する何れかの欠落が、一つ以上の格子点になる導電粒子を介して隣接していないことがより好ましく、4個以上連続する何れかの欠落が、二つ以上の格子点になる導電粒子を介して隣接していないことが更により好ましい。このような欠落の交わりは、長手一つの方向の欠落に対して3列まで同時に交わっても問題はない。欠落がこれ以上に存在しなければ、その近傍の導電粒子がバンプに捕捉されるからである。
【0031】
導電粒子のフィルム長手方向への欠落は、任意の連続した格子点50個中に合計12個以内であれば実用上問題はない。これは連続した欠落の列に隣接した列の何れにも欠落がなければ、欠落の途中からでもカウントしてよい。
【0032】
(粒子面積占有率)
更に、異方性導電フィルムの任意の基準領域の面積に対する、その面積中に存在する全導電粒子の粒子面積占有率は、FOG接続のように、バンプサイズやバンプ間距離が比較的大きいものに対しては、通常0.15%以上、好ましくは0.35%以上、より好ましくは1.4%以上が有効である。この場合の上限は35%以下が好ましく、32%以下がより好ましい。また、バンプサイズやバンプ間距離が比較的小さくなる場合(例えばCOG接続)には、更に好ましくは10〜35%、特に好ましくは14〜32%である。この範囲であれば、本発明の異方性導電フィルムを異方性導電接続に適用した場合にも、より良好な初期導通性とエージング後の導通信頼性とを実現でき、ショートの発生もいっそう抑制できる。ここで、粒子面積占有率は、任意の基準領域の面積Sに対する、その基準領域内に存在する全導電粒子が占有する面積の割合である。全導電粒子が占有する面積とは、導電粒子の平均粒子径Rとし、導電粒子の数をnとした時に(R/2)
2×π×nで表される。従って、粒子面積占有率(%)=[{(R/2)
2×π×n}/S]×100で表される。
【0033】
ちなみに、導電粒子の平均粒子径が2μm、個数密度500個/mm
2(0.0005個/μm
2)、X=Y=200D、X+Y=400Dとした場合の計算上の粒子面積占有率は、0.157%となる。導電粒子の平均粒子径が3μm、個数密度500個/mm
2(0.0005個/μm
2)、X=Y=200D、X+Y=400Dとした場合の計算上の粒子面積占有率は、0.35325%となる。導電粒子の平均粒子径が3μm、個数密度2000個/mm
2(0.002個/μm
2)、X=Y=200D、X+Y=400Dとした場合の計算上の粒子面積占有率は、1.413%となる。また、導電粒子の平均粒子径が30μm、個数密度500個/mm
2(0.0005個/μm
2)、X=Y=200D、X+Y=400Dとした場合の計算上の粒子面積占有率は、35.325%となる。
【0034】
(導電粒子)
導電粒子としては、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウムなどの金属粒子、ポリアミド、ポリベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面をニッケルなどの金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を挙げることができる。また、導電粒子の平均粒子径は、製造時の取り扱い性の観点から、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜6μmである。平均粒子径は、前述したように、画像型粒度分布計により測定することができる。
【0035】
異方性導電フィルム中の導電粒子の存在量は、平面格子パターンの格子ピッチ並びに導電粒子の平均粒子径に依存しており、通常は、300〜40000個/mm
2である。
【0036】
(隣接格子点間距離)
また、異方性導電フィルムに想定される平面格子パターンにおける隣接格子点間距離は、導電粒子の平均粒子径の好ましくは0.5倍以上、より好ましくは1倍以上、更に好ましくは1倍以上20倍以下である。この範囲であれば、本発明の異方性導電フィルムを異方性導電接続に適用した場合にも、より良好な初期導通性とエージング後の導通信頼性とを実現でき、ショートの発生もいっそう抑制できる。
【0037】
(絶縁性接着ベース層)
絶縁性接着ベース層11としては、公知の異方性導電フィルムにおいて絶縁性接着ベース層として使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合性樹脂層、アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合性樹脂層、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合性樹脂層、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合性樹脂層等、又はそれらの硬化樹脂層を使用することができる。また、これらの樹脂層には、必要に応じてシランカップリング剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜選択して含有させることができる。
【0038】
なお、絶縁性接着ベース層11は、上述したような樹脂を含むコーティング組成物を塗布法により成膜し乾燥させることや、更に硬化させることにより、あるいは予め公知の手法によりフィルム化することにより形成することができる。
【0039】
このような絶縁性接着ベース層11の厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜15μmである。
【0040】
(絶縁性接着カバー層)
絶縁性接着カバー層12としては、公知の異方性導電フィルムにおいて絶縁性接着カバー層として使用されているものを適宜選択して使用することができる。また、先に説明した絶縁性接着ベース層11と同じ材料から形成したものも使用することができる。
【0041】
なお、絶縁性接着カバー層12は、上述したような樹脂を含むコーティング組成物を塗布法により成膜し乾燥させることや、更に硬化させることにより、あるいは予め公知の手法によりフィルム化することにより形成することができる。
【0042】
このような絶縁性接着カバー層12の厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜15μmである。
【0043】
更に、絶縁性接着ベース層11や絶縁性接着カバー層12には、必要に応じてシリカ微粒子、アルミナ、水酸化アルミニウム等の絶縁性フィラーを加えてもよい。絶縁性フィラーの配合量は、それらの層を構成する樹脂100質量部に対して3〜40質量部とすることが好ましい。これにより、異方性導電接続の際に絶縁接着剤層10が溶融しても、溶融した樹脂で導電粒子13が不要に移動することを抑制することができる。
【0044】
(絶縁性接着ベース層と絶縁性接着カバー層との積層)
なお、導電粒子13を挟んで絶縁性接着ベース層11と絶縁性カバー層12とを積層する場合、公知の手法により行うことができる。この場合、導電粒子13は、これらの層の界面近傍に存在する。ここで、「界面近傍に存在」とは、導電粒子の一部が一方の層に食い込み、残部が他方の層に食い込んでいることを示している。
【0045】
<異方性導電フィルムの製造>
次に、絶縁性接着ベース層と絶縁性接着カバー層とが積層され、それらの界面近傍に導電粒子が平面格子パターンの格子点に配置された構造の本発明の異方性導電フィルムの製造方法を説明する。この製造方法は、以下の工程(イ)〜(ホ)を有する。図面を参照しながら、工程毎に詳細に説明する。
【0046】
(工程(イ))
まず、
図3Aに示すように、平面格子パターンの格子点に相当する柱状の凸部101が表面に形成されている転写体100を用意する。ここで、柱状とは、円柱状もしくは角柱状(三角柱、四角柱、6角柱等)である。好ましくは円柱状である。凸部101の高さは、異方性導電接続すべき端子ピッチ、端子巾、スペース巾、導電粒子の平均粒子径等に応じて決定することができるが、使用する導電粒子の平均粒子径の好ましくは2.5倍以上5倍未満、より好ましくは2.5倍以上3.5倍以下である。また、凸部101の巾(半分の高さでの巾)は、導電粒子の平均粒子径の好ましくは0.6倍以上1.3倍未満、より好ましくは0.6倍以上1.1倍以下である。この高さと巾がこれらの範囲であれば、脱落と抜けが連続的に発生することが避けられるという効果が得られる。
【0047】
更に、凸部101は、導電粒子が安定的に付着していられるようなレベルのほぼ平坦な天面を有する。
【0048】
*転写体の具体例
この工程(イ)で用意すべき転写体は、公知の手法を利用して作成することができ、例えば、金属プレートを加工して原盤を作成し、それに硬化性樹脂を塗布し、硬化させて作成することができる。具体的には、平坦な金属板を切削加工して、凸部に対応した凹部を形成した転写体原盤も作成し、この原盤の凹部形成面に転写体を構成する樹脂組成物を塗布し、硬化させた後、原盤から引き離すことにより転写体が得られる。
【0049】
(工程(ロ))
次に、
図3Bに示すように、表面に複数の凸部101が平面格子パターンで形成された転写体100の凸部101の少なくとも天面を微粘着層102とする。
【0050】
*転写体の微粘着層
微粘着層102は、異方性導電フィルムを構成する絶縁性接着ベース層に導電粒子が転着されるまで、導電粒子を一時的に保持できる粘着力を示す層であり、凸部101の少なくとも天面に形成される。従って、凸部101全体が微粘着性であってもよい。微粘着層102の厚みは、微粘着層102の材質、導電粒子の粒子径等に応じて適宜決定することができる。また、“微粘着”とは、絶縁性接着ベース層に導電粒子を転着する際に、絶縁性接着ベース層よりも粘着力が弱いという意味である。
【0051】
このような微粘着層102は、公知の異方性導電フィルムに使用されている微粘着層を適用することができる。例えば、シリコーン系の粘着剤組成物や絶縁性接着ベース層や絶縁性接着カバー層と同材質の粘着層を、凸部101の天面に塗布し乾燥することにより形成することができる。
【0052】
(工程(ハ))
次に、
図3Cに示すように、転写体100の凸部101の微粘着層102に導電粒子103を付着させる。具体的には、転写体100の凸部101の上方から導電粒子103を散布し、微粘着層102に付着しなかった導電粒子103をブロアを用いて吹き飛ばせばよい。この場合、一部の凸部101においては、ある程度の頻度で、その側面に静電気等の作用により導電粒子が付着し、しかもブロアで除去できないことが生ずる。
【0053】
このように導電粒子をブロアで吹き飛ばす際、ブロアの回数を変化させることにより導電粒子の「抜け」の発生量をコントロールことができる。例えば、ブロア回数を増加させると、導電粒子の「抜け」を増加させることができる。導電粒子の「抜け」を増加させると、結果的に導電粒子の使用量を減ずることができ、異方性導電フィルムの製造コストを低減させることが可能となる。
【0054】
なお、
図3Cから面の方向を逆転させ、導電粒子を一面に敷き詰めた面に突起の天面を付着させてもよい。導電粒子に不要な応力を加えないためである。このように配置に必要な導電粒子のみを突起天面に付着させることで導電粒子を回収し再利用しやすくなり、開口部に導電粒子を充填し取り出す方法に比べ、経済性にも優れることになる。なお、開口部に導電粒子を充填し取り出す方法の場合、充填されなかった導電粒子には不要な応力がかかりやすくなることが懸念される。
【0055】
(工程(ニ))
次に、
図3Dに示すように、転写体100の導電粒子103が付着した側の表面に、異方性導電フィルムを構成すべき絶縁性接着ベース層104を重ねて押圧することにより、絶縁性接着ベース層104の片面に導電粒子103を転着させる(
図3E)。この場合、転写体100を、その凸部101が下向きになるように絶縁性接着ベース層104に重ねて押圧することが好ましい。下向きにしてブロアすることで、凸部の天面に貼着されていない導電粒子を除去し易くさせるためである。
【0056】
(工程(ホ))
図3Fに示すように、導電粒子103が転着した絶縁性接着ベース層104に対し、導電粒子転着面側から絶縁性接着カバー層105を積層する。これにより本発明の異方性導電フィルム200が得られる。
【0057】
<接続構造体>
本発明の異方性導電フィルムは、第1の電気部品(例えば、ICチップ)の端子(例えばバンプ)と、第2の電気部品(例えば配線基板)の端子(例えばバンプ、パッド)との間に配置し、第1又は第2の電気部品側から熱圧着により本硬化させて異方性導電接続することにより、ショートや導通不良が抑制された、いわゆるCOG(chip on glass)やFOG(film on glass)等の接続構造体を与えることができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0059】
実施例1
厚さ2mmのニッケルプレートを用意し、四方格子パターンで円柱状の凹部(内径3μm、深さ10μm)を形成し、転写体原盤とした。隣接凹部中心間距離は8μmであった。従って、凹部の密度は16000個/mm
2であった。
【0060】
得られた転写体原盤に、フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))60質量部、エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))40質量部、及びカチオン系硬化剤(SI−60L、三新化学工業(株))2質量部を含有する熱硬化性樹脂組成物を、乾燥厚が30mmとなるように塗布し、80℃に5分間、加熱することにより転写体を作成した。
【0061】
転写体を原盤から引き剥がし、凸部が外側になるように直径20cmのステンレス製のロールに巻き付け、このロールを、回転させながらエポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))70質量部とフェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))30質量部とを含有する微粘着剤組成物を、不織布に含浸させた粘着シートに接触させ、凸部の天面に微粘着剤組成物を付着させ、厚さ1μmの微粘着層を形成して転写体を得た。
【0062】
この転写体の表面に、平均粒子径4μmの導電粒子(ニッケルメッキ樹脂粒子(AUL704、積水化学工業(株)))を散布した後、ブロアすることにより微粘着層に付着していない導電粒子を除去した。
【0063】
導電粒子が付着した転写体を、その導電粒子付着面から、絶縁性接着ベース層である厚さ5μmのシート状の熱硬化型の絶縁性接着フィルム(フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))60質量部、エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))40質量部、カチオン系硬化剤(SI−60L、三新化学工業(株))2質量部、及びシリカ微粒子(アエロジルRY200、日本アエロジル(株))20質量部を含有する絶縁性接着組成物から形成したフィルム)に対し、温度50℃、圧力0.5MPaで押圧することにより、絶縁性接着ベース層に導電粒子を転写させた。
【0064】
得られた絶縁性接着ベース層の導電粒子転着面に、透明な絶縁性接着カバー層として厚さ15μmのシート状の別の絶縁性接着フィルム(フェノキシ樹脂(YP−50、新日鉄住金化学(株))60質量部、エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))40質量部、及びカチオン系硬化剤(SI−60L、三新化学工業(株))2質量部を含有する熱硬化性樹脂組成物から形成されたフィルム)を重ね、温度60℃、圧力2MPaで積層した。これにより異方性導電フィルムが得られた。
【0065】
実施例2
微粘着層に付着していない導電粒子の除去のためのブロアの回数を、実施例1の3倍とすること以外、実施例1を繰り返すことにより異方性導電フィルムを得た。
【0066】
実施例3
転写体原盤の凹部の内径を2μm、凹部の深さを9μm、隣接凹部中心間距離を6μmとして凹部の密度を28000個/mm
2とし、且つ平均粒子径4μmの導電粒子に代えて平均粒子径3μmの導電粒子(AUL703、積水化学工業(株))を使用すること以外、実施例1を繰り返すことにより異方性導電フィルムを得た。
【0067】
実施例4
微粘着層に付着していない導電粒子の除去のためのブロアの回数を、実施例3の3倍とすること以外、実施例3を繰り返すことにより異方性導電フィルムを得た。
【0068】
比較例1
微粘着層に付着していない導電粒子の除去のためのブロアの回数を、実施例1の10倍とすること以外、実施例1を繰り返すことにより異方性導電フィルムを得た。
【0069】
比較例2
微粘着層に付着していない導電粒子の除去のためのブロアの回数を、実施例3の10倍とすること以外、実施例3を繰り返すことにより異方性導電フィルムを得た。
【0070】
<評価>
(導電粒子の「抜け」と「ズレ量」)
実施例1〜4及び比較例1〜2の異方性導電フィルムについて、その透明な絶縁性接着カバー層側から光学顕微鏡(MX50、オリンパス(株))で1cm四方の領域を観察し、想定される平面格子パターンにおいて導電粒子が付着していない格子点の全格子点に対する割合(抜け[%])を調べた。得られた結果を表1に示す。また、想定される平面格子パターンの格子点に配置された導電粒子の当該格子点からのズレ量を測定した。得られた最大値を表1に示す。なお、抜け以外には、接続に著しく支障をきたすような状態は観察されなかった。
【0071】
なお、実施例1〜4、比較例1〜2の異方性導電フィルムにおける導電粒子のズレの方向は、異方性導電フィルムの長手方向の一方であった。また、導電粒子が配置された全格子点に対する、導電粒子が異方性導電フィルムの長手方向の一方に粒子径の50%未満にズレて配置された格子点の割合は、実施例1の場合は4%であり、実施例2の場合は10%であり、実施例3の場合は5%であり、実施例4の場合は10%であり、比較例1の場合、15%であり、比較例2の場合、17%であった。ズレ量が大きい場合、所定の位置に導電粒子を設けることが難しくなり、不良となる端子が発生し易くなる。
【0072】
(粒子面積占有率)
導電粒子の平均粒子径と、転写体原盤の凹部密度(=転写体の凸部密度)とから、導電粒子の「抜け」を考慮した上で、粒子面積占有率を計算した。得られた結果を表1に示す。
【0073】
(初期導通抵抗)
実施例及び比較例の異方性導電フィルムを用いて、バンプ間スペースが12μmで、高さ15μm、直径30×50μmの金バンプを有するICチップと、12μmスペースの配線が設けられたガラス基板とを、180℃、60MPa、5秒という条件で異方性導電接続し、接続構造体を得た。得られた接続構造体について、抵抗測定器(デジタルマルチメーター、横河電機(株))を用いて初期導通抵抗値を測定した。得られた結果を表1に示す。0.5Ω以下であることが望まれる。
【0074】
(導通信頼性)
初期導通抵抗値の測定に使用した接続構造体を、温度85℃、湿度85%に設定されたエージング試験器中に投入し、500時間放置した後の導通抵抗値を、初期導通抵抗と同様に測定した。得られた結果を表1に示す。5Ω以下であることが望まれる。
【0075】
(導通不良率)
初期導通抵抗で使用したものと同じ接続構造体を作成し、端子の導通不良率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1の結果から、実施例1〜4の異方性導電フィルムを使用した接続構造体は、初期導通抵抗、導通信頼性、導通不良率の各評価項目について、良好な結果を示したことがわかる。
【0078】
他方、比較例1、2の異方性導電フィルムの場合、導電粒子の「抜け」の割合が高く、初期導通抵抗値が実施例に比べて高く、導通不良率が0%にならなかった。
【0079】
実施例5
凹部密度が500個/mm
2である転写原盤を使用するために隣接凹部中心間距離を調整すること以外、実施例2と同様にして転写体を作成し、更に異方性導電フィルムを作成した。得られた異方性導電フィルムについて、実施例2と同様に導電粒子の「抜け」と「ズレ量」とを測定し、更に粒子面積占有率を算出した。その結果、導電粒子の「抜け」は実施例2と同等であった。「ズレ量」も実施例2に順じた結果が得られた。また、粒子面積占有率は0.5%であった。
【0080】
また、得られた異方性導電フィルムを、ガラス基板(ITOベタ電極)とフレキシブル配線基板(バンプ幅:200μm、L(ライン)/S(スペース)=1、配線高さ10μm)との間に挟み、接続バンプ長さが1mmになるように、180℃、80MPa、5秒という条件で異方性導電し、評価用の接続構造体を得た。得られた接続構造体について、その「初期導通抵抗値」と、温度85℃で湿度85%RHの恒温槽に500時間投入した後の「導通信頼性」とを、デジタルマルチメータ(34401A、アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して電流1Aで4端子法にて導通抵抗を測定し、「初期導通抵抗値」の場合には、測定値が2Ω以下の場合を良好、2Ωを超えるものを不良と評価し、「導通信頼性」の場合には、測定値が5Ω以下の場合を良好、5Ω以上の場合を不良と評価した。その結果、本実施例の接続構造体は、いずれも「良好」と評価された。また、実施例2と同様に「導通不良率」を測定したところ、実施例2と同様に良好な結果が得られた。
【0081】
実施例6
凹部密度が2000個/mm
2である転写原盤を使用するために隣接凹部中心間距離を調整すること以外、実施例2と同様にして転写体を作成し、更に異方性導電フィルムを作成した。得られた異方性導電フィルムについて、実施例2と同様に導電粒子の「抜け」と「ズレ量」とを測定し、更に粒子面積占有率を算出した。その結果、導電粒子の「抜け」は実施例2と同等であった。「ズレ量」も実施例2に順じた結果が得られた。また、粒子面積占有率は1.9%であった。
【0082】
また、得られた異方性導電フィルムを、実施例5と同様にガラス基板とフレキシブル配線基板との間に挟み異方性導電接続することにより評価用の接続構造体を得た。得られた接続構造体について、実施例5と同様に、「初期導通抵抗値」、「導通信頼性」、「導通不良率」とを評価したところ、いずれも良好な結果が得られた。
【0083】
実施例7
実施例1から導電粒子の大きさを4μmから10μmとするため、凹部密度が4400個/mm
2にするため実施例1に順じて凹部寸法および隣接凹部中心間距離等、を調整した写原盤を使用すること以外、実施例1と略同様にして転写体を作成し、更に導電粒子径を10μm、絶縁性接着ベース層の厚みを12μm、絶縁性接着カバー層の厚みを12μmに変更する以外は実施例1と同様に異方性導電フィルムを作成した。得られた異方性導電フィルムについて、実施例1と同様に導電粒子の「抜け」と「ズレ量」とを測定し、更に粒子面積占有率を算出した。その結果、導電粒子の「抜け」は実施例1と同等であった。「ズレ量」も実施例1に順じた結果が得られた。粒子面積占有率は30.7%であった。
【0084】
また、得られた異方性導電フィルムを、ガラス基板(ITOベタ電極)とフレキシブル配線基板(バンプ幅:100μm、L(ライン)/S(スペース)=1、配線高さ19μm)との間に挟み、接続バンプ長さ1mmになるようにして、180℃、80MPa、5秒という条件で異方性導電し、評価用の接続構造体を得た。得られた接続構造体について、その「初期導通抵抗値」と、温度85℃で湿度85%RHの恒温槽に500時間投入した後の「導通信頼性」とを、デジタルマルチメータ(34401A、アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して電流1Aで4端子法にて導通抵抗を測定し、「初期導通抵抗値」の場合には、測定値が2Ω以下の場合を良好、2Ωを超えるものを不良と評価し、「導通信頼性」の場合には、測定値が5Ω以下の場合を良好、5Ω以上の場合を不良と評価した。その結果、本実施例の接続構造体は、いずれも「良好」と評価された。また、実施例1と同様に「導通不良率」を測定したところ、実施例1と同様に良好な結果が得られた。