(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-202212(P2020-202212A)
(43)【公開日】2020年12月17日
(54)【発明の名称】変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 27/28 20060101AFI20201120BHJP
H01F 30/12 20060101ALI20201120BHJP
H01F 29/02 20060101ALI20201120BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20201120BHJP
【FI】
H01F27/28 128
H01F30/12 Z
H01F29/02 Z
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-106267(P2019-106267)
(22)【出願日】2019年6月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】森本 貴志
(72)【発明者】
【氏名】篠永 雄治
【テーマコード(参考)】
5E043
5E085
【Fターム(参考)】
5E043EA04
5E085BB02
5E085BB12
5E085CC03
5E085DD16
5E085EE03
5E085EE11
5E085JJ38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】厚みの大きい被覆部によって導線が覆われている場合に、被覆部を安全に且つ短時間で切断して、電気的な接続を実現することができる変圧器を提供する。
【解決手段】変圧器は、鉄心と、該鉄心に巻回されたコイルと、該コイルに接続され、樹脂製の被覆部8bによって覆われた導線8aと、該導線8aを接続する接続具とを備える。接続具は、被覆部8bを押圧する突起9cを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄心と、
該鉄心に巻回されたコイルと、
該コイルに接続され、樹脂製の被覆部によって覆われた導線と、
該導線を接続する接続具と
を備え、
前記接続具は前記被覆部を押圧する突起を有する
変圧器。
【請求項2】
前記接続具は、前記導線と電力を供給する電力線とを接続する
請求項1に記載の変圧器。
【請求項3】
タップ切換器を備え、
前記接続具は、前記導線と、前記タップ切換器又は前記タップ切換器からの接続線とを接続する
請求項1に記載の変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状の圧着部の一面に突起を形成し、圧着部を湾曲させ、前記一面によってアルミニウム電線を覆い、圧着部を前記電線に圧着させて、前記電線と他の部品とを電気的に接続させる接続部材が提案されている。前記電線はエナメル層に覆われているが、突起を押しつけることによって、エナメル層は切断され、電気的な接続が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6440277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エナメル層よりも厚みの大きい樹脂製の被覆部によって電線が覆われている場合、電線を接続させるためには、薬剤を使用して被覆部を予め除去する必要があった。薬剤を取り扱える作業員は限られ、また薬剤には毒性があった。また除去のために、被覆部を薬剤に長時間浸漬させる必要があった。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、厚みの大きい被覆部によって導線が覆われている場合に、被覆部を安全に且つ短時間で切断して、電気的な接続を実現することができる変圧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る変圧器は、鉄心と、該鉄心に巻回されたコイルと、該コイルに接続され、樹脂製の被覆部によって覆われた導線と、該導線を接続する接続具とを備え、前記接続具は前記被覆部を押圧する突起を有する。
【0007】
本開示においては、突起によって樹脂性の被覆部を押して切断し、被覆部内の導線を他の部品と電気的に接続させる。
【0008】
本開示に係る変圧器は、前記接続具は、前記導線と電力を供給する電力線とを接続する。
【0009】
本開示においては、導線と電力線との接続に、突起を有する接続具を使用し、迅速な接続作業を実現させる。
【0010】
本開示に係る変圧器は、タップ切換器を備え、前記接続具は、前記導線と、前記タップ切換器又は前記タップ切換器からの接続線とを接続する。
【0011】
本開示においては、導線と、タップ切換器又はタップ切換器からの接続線との接続に、突起を有する接続具を使用し、迅速な接続作業を実現させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る変圧器にあっては、突起によって樹脂性の被覆部を押して切断し、被覆部内の導線を他の部品と電気的に接続させる。薬剤を使用することなく、被覆部を除去する接続作業を行うことができ、安全に且つ短時間で接続作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る変圧器の略示正面図である。
【
図3】接続具に圧着された電力線及び連結線、並びに第一接続線及び第二接続線の略示断面図である。
【
図4】実施の形態2に係る接続具の略示斜視図である。
【
図5】接続具を介して接続されたタップ切換器及び第二接続線の略示平面図である。
【
図6】接続具に圧着された複数の第二接続線の略示断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る変圧器を示す図面に基づいて説明する。
図1は、変圧器の略示正面図である。変圧器1は、矩形環状の鉄心2と、該鉄心2の長辺部に巻回したコイル3とを備える。コイル3の両端部から鉄心2は突出する。
【0015】
コイル3の一端部において、鉄心2を覆うように支持台4が設けられている。支持台4は連結具5を介して、タップ切換器6を支持している。タップ切換器6には、タップ切換器6を上下に貫通した複数のタップ端子6aが設けられている。複数の第一接続線11の一端がタップ端子6aの下側に接続されている。コイル3には、第二接続線12の一端が接続されている。第一接続線11及び第二接続線12それぞれの他端は接続具9を介して接続されている。
【0016】
コイル3には、外部の電力供給部(図示略)から電力が供給されている。電力供給部と、コイル3とは、電力線7及び連結線8を介して接続されている。ケースカバー50のブッシング51を介して、電力線7の一端が電力供給部に接続されている。コイル3には、連結線8の一端が接続されている。電力線7及び連結線8それぞれの他端は、接続具9を介して接続されている。
【0017】
図2は、接続具9の略示斜視図である。接続具9は円筒状をなす圧着部9aを備え、圧着部9aの外周面に複数の凹部9bが形成されている。凹部9bは、パンチによって形成されており、凹部9bの反対側、即ち圧着部9aの内周面に、複数の突起9cが形成されている。
【0018】
図3は、接続具9に圧着された電力線7及び連結線8、並びに第一接続線11及び第二接続線12の略示断面図である。電力線7は、例えば銅線によって構成された導線7aと、該導線7aを被覆する被覆部7bとを有する。連結線8は、例えばアルミニウム線によって構成された導線8aと、該導線8aを被覆する樹脂製の被覆部8bとを有する。被覆部8bの厚みは、例えば0.3mm〜0.8mm程度である。一般に、エナメル層の厚みは、0.003〜0.035mmであり、被覆部の厚みはエナメル層の厚みに比べて充分に大きい。
【0019】
接続具9の一端側に電力線7を挿入し、接続具9の他端側に連結線8を挿入し、治具を使用して、接続具9を電力線7及び連結線8に圧着させた場合、突起9cは電力線7及び連結線8の周囲を押し、複数の突起9cの間から導線7a、8aが被覆部7b、8bを突き破り、外側に出る。導線7a、8aは接続具9に接続する。
【0020】
第一接続線11は、金属製の導線11a及び該導線11aを覆う樹脂製の被覆部11bを備える。第二接続線12は、金属製の導線12a及び該導線12aを覆う樹脂製の被覆部12bを備える。
【0021】
接続具9の一端側に第一接続線11を挿入し、接続具9の他端側に第二接続線12を挿入し、治具を使用して、接続具9を第一接続線11及び第二接続線12に圧着させた場合、上述したように、第一接続線11の導線11aは被覆部11bを突き破って、接続具9に接続し、第二接続線12の導線12aは被覆部12bを突き破って、接続具9に接続する。
【0022】
実施の形態1に係る変圧器にあっては、突起9cによって樹脂性の被覆部7b、8b、11b、12bを押して切断し、被覆部7b、8b、11b、12b内の導線7a、8a、11a、12aを他の部品と電気的に接続させる。薬剤を使用することなく、被覆部7b、8b、11b、12bを除去する接続作業を行うことができ、安全に且つ短時間で接続作業を行うことができる。
【0023】
また導線8aと電力線7との接続に、突起9cを有する接続具9を使用し、迅速な接続作業を実現させる。またコイル3からの第二接続線12とタップ切換器6からの第一接続線11との接続に、突起9cを有する接続具9を使用し、迅速な接続作業を実現させる。
【0024】
接続具9の一端側に第一接続線11を挿入し、接続具9の他端側に第二接続線12を挿入し、接続具9を第一接続線11及び第二接続線12に圧着させた場合も、同様に、迅速な接続作業を実現させる。
【0025】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る変圧器を示す図面に基づいて説明する。実施の形態2の構成の内、実施の形態1と同様な構成については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。実施の形態1において、第一接続線11及び第二接続線12を接続していたが、実施の形態2においては第一接続線11を使用せず、第二接続線12を、接続具10を介してタップ切換器6に接続する。
【0026】
図4は、接続具10の略示斜視図である。接続具10は、柔軟な金属材、例えば銅材又は銅合金材によって構成されている。接続具10は、樋状をなす圧着部10aと、圧着部10aの一端部から突出した舌部10cとを備える。圧着部10aの内面には複数の突起10bが形成されている。舌部10cには貫通孔が形成されている。
【0027】
図5は、接続具10を介して接続されたタップ切換器6及び第二接続線12の略示平面図、
図6は、接続具10に圧着された複数の第二接続線12の略示断面図である。二つの第二接続線12とタップ端子6aとを接続する場合について説明する。二つの第二接続線12の端部を、圧着部10aの内側に配置し、治具を用いて、二つの第二接続線12を圧着部10aによって包み、圧着部10aを圧着させる。突起10bは第二接続線12の周囲を押し、複数の突起10bの間から導線12aが被覆部8bを突き破り、外側に出る。導線12aは圧着部10aに接続する。
【0028】
そして、舌部10cをタップ端子6aの下側に接続する。例えば、タップ端子6aの下端部には雌ねじ(図示略)が形成されている。貫通孔10dが雌ねじに対して同軸的に配置されるように、舌部10cをタップ端子6aの下側に配置し、ボルト(図示略)を貫通孔10dに挿入し、ボルトに結合させる。ボルトの頭部とタップ端子6aとの間に舌部10cは狭持され、舌部10cはタップ端子6aに接続される。
【0029】
なおタップ端子6aの下端部に雄ねじを形成し、貫通孔10dに雄ねじを挿入し、ナットを雄ねじに結合させて、舌部10cとタップ端子6aとを接続させてもよい。また接続具10を介して、三つ以上又は単数の第二接続線12をタップ端子6aに接続してもよい。
【0030】
実施の形態2にあっては、接続具10の舌部10cをタップ端子6aに直接接続するので、第一接続線11を削減し、迅速な接続作業を実現させることができる。
【0031】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
1 変圧器 2 鉄心 3 コイル 6 タップ切換器 7 電力線 8 連結線
8a 導線 8b 被覆部 9、10 接続具 9a、10a 圧着部
9c、10b 突起 11 第一接続線(接続線) 12 第二接続線