【解決手段】半導体装置1は、表面2aおよび裏面2bを有しかつ表面2aにソースパッド11、ドレインパッド12およびゲートパッド13を有する半導体チップ2と、半導体チップ2の下方に配置され、半導体チップ2の裏面2bが接合されたダイパッド3と、ダイパッド3に電気的に接続されたソースリード4と、ダイパッド3の周囲に配置されたドレインリード5およびゲートリード6と、半導体チップ2、ダイパッド3および各リード4,5,6を封止する封止樹脂8とを含む。半導体チップ2には、平面視において半導体チップ2の周縁部に配置され、ソースパッド11に接続された少なくとも1つの外部接続用ビア60が形成されている。
平面視において、前記外部接続用ビアと前記ソースリードとの距離は、前記外部接続用ビアと前記ドレインリードとの距離よりも短くかつ前記外部接続用ビアと前記ゲートリードとの距離よりも短い、請求項2〜6のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
前記外部接続用ビアは、平面視において前記角に対して対角線上にある角から2方向に延びる2辺のうちの少なくとも1辺に沿って配置されている外部接続用ビアをさらに含む、請求項8に記載の窒化物半導体装置。
前記ビアホール内面は、前記基板内において、下側のビアホール径が上側のビアホール径よりも小さいことによって生じた環状段部を有している、請求項3に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体装置の構成を説明するための図解的な平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う拡大断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う拡大断面図である。
説明の便宜上、以下において、
図1、
図2および
図3に示した+X方向、−X方向、+Y方向および−Y方向を用いることがある。+X方向は、平面視において、半導体装置1の表面に沿う所定の方向であり、+Y方向は、半導体装置1の表面の沿う方向であって、+X方向に直交する方向である。−X方向は、+X方向とは反対の方向であり、−Y方向は、+Y方向とは反対の方向である。+X方向および−X方向を総称するときには単に「X方向」という。+Y方向および−Y方向を総称するときには単に「Y方向」という。
【0019】
半導体装置1は、半導体チップ(窒化物半導体チップ)2と、ダイパッド3と、2つのソースリード4と、4つのドレインリード5と、1つのゲートリード6と、1つのドライバソースリード7と、封止樹脂8とを備えている。ダイパッド3および各リード4,5,6,7は、例えば、銅または銅を含む合金からなる金属薄板から構成される。
ダイパッド3は、平面視がY方向に長方形の金属薄板から構成されている。ダイパッド3は、半導体チップ2を支持するためのものである。各リード4,5,6,7は、半導体チップ2に電気的に接続されている。封止樹脂8は、半導体チップ2、ダイパッド3および各リード4,5,6,7を封止している。
【0020】
半導体チップ2は、平面視がY方向に長い矩形状の直方体形状を有している。半導体チップ2は、表面2aを上方に向けた状態で、ダイパッド3の中央部上にダイボンディングされている。具体的には、半導体チップ2の裏面2bが、半田9によってダイパッド3の上面中央部に接合されている。
半導体チップ2の表面2aには、ソースパッド11、ドレインパッド12およびゲートパッド13が形成されている。ソースパッド11は、半導体チップ2の表面2aの−X方向側半部のうちの−Y方向端部を除く領域のほぼ全域に形成されている。ゲートパッド13は、半導体チップ2の表面2aの−X方向側半部のうちの−Y方向端部に形成されている。ドレインパッド12は、半導体チップ2の表面2aの+X方向側半部のほぼ全域に形成されている。
【0021】
各リード4,5,6,7は、ダイパッド3の周囲に配置されている。各リード4,5,6,7は、平面視において、X方向に長い長方形に形成されている。各ソースリード4は、他のリード5,6,7に比べて、X方向の長さが長い。
2つのソースリード4は、ダイパッド3と一体的に形成されている。2つのソースリード4は、それぞれ、平面視において、ダイパッド3の−X方向側辺の+Y方向端部における、Y方向に異なる位置から−X方向に延びている。各ソースリード4は、ダイパッド3と連結されている+X方向端部に、Y方向から見て上側に凸の円弧状の湾曲部4aを有している。
【0022】
4つのドレインリード5は、平面視において、ダイパッド3の+X方向側辺から+X方向に離れた位置において、互いにY方向に間隔をおいて並んで配置されている。各ドレインリード5は、金属ワイヤ14によってドレインパッド12に接続されている。
ゲートリード6は、平面視において、ダイパッド3の−X方向側辺の−Y方向側端部から−X方向に離れた位置に配置されている。ゲートリード6は、金属ワイヤ15によってゲートパッド13に接続されている。
【0023】
ドライバソースリード7は、平面視において、−Y方向側のソースリード4とゲートリード6の間位置であって、ダイパッド3の−X方向側辺から−X方向に離れた位置に配置されている。ゲートリード6は、金属ワイヤ16によってゲートパッド13に接続されている。
封止樹脂8は、例えば、エポキシ樹脂からなる。封止樹脂8は、平面視でX方向に長い長方形状であり、上下方向に扁平な直方体形状に形成されている。ダイパッド3の下面は、封止樹脂8の下面から露出している。各ソースリード4の下面は、湾曲部4aを除いて、封止樹脂8の下面から露出している。各ドレインリード5の下面、ゲートリード6の下面およびドライバソースリード7の下面は、封止樹脂8の下面から露出している。
【0024】
半導体チップ2の周縁部には、ソースパッド11に電気的に接続された複数の外部接続用ビア60が形成されている。複数の外部接続用ビア60は、平面視において、半導体チップのX方向側辺と+Y方向側辺との接続点である1つのコーナC1の近傍において、半導体チップのX方向側辺および+Y方向側辺に沿って配置されている。複数の外部接続用ビア60は、後述するように、半導体チップ2の基板21(
図4参照)に接続されている。ソースパッド11は、外部接続用ビア60、半導体チップ2の基板21、半導体チップ2の裏面電極34(
図4参照)、半田9およびダイパッド3を介して、ソースリード4に電気的に接続されている。
【0025】
平面視において、各外部接続用ビア60とソースリード4との距離(最短距離)は、当該外部接続用ビア60とドレインリード5との距離よりも短くかつ当該外部接続用ビア60とゲートリード6との距離よりも短い。
図4は、半導体チップの構成を説明するための断面図であって、
図1のIV−IV線に沿う部分拡大断面図である。
図5は、電極メタル構造を示す図式的な平面図である。
図6は、
図5の一部を拡大して示す平面図である。
図7は、主として第1層間絶縁膜上に形成された第1層目の配線メタル構造を示す図式的な平面図である。
図8は、主として第2層間絶縁膜上に形成された第2層目の配線メタル構造を示す図式的な平面図である。
図9は、主として、第3層間絶縁膜上に形成された第3層目の配線メタル構造(パッド構造)を示す図式的な平面図である。
【0026】
半導体チップ2は、半導体積層構造20と、半導体積層構造20上に配置された電極メタル構造とを含む。また、半導体チップ2は、電極メタル構造上に形成された第1層間絶縁膜41と、第1層間絶縁膜41上に形成された第1層目の配線メタル構造と、第1層目の配線メタル構造上に形成された第2層間絶縁膜43と、第2層間絶縁膜43上に形成された第2層目の配線メタル構造とを含む。さらに、半導体チップ2は、第2層目の配線メタル構造上に形成された第3層間絶縁膜45と、第3層間絶縁膜45上に形成された第3層目の配線メタル構造(パッド構造)とを含む。
【0027】
半導体積層構造20は、
図4に示すように、基板21と、基板21の表面に形成されたバッファ層22と、バッファ層22上にエピタキシャル成長された第1窒化物半導体層23と、第1窒化物半導体層23上にエピタキシャル成長された第2窒化物半導体層24とを含む。ただし、第2窒化物半導体層24は、第1窒化物半導体層23の周縁部上には形成されていない。なお、第2窒化物半導体層24が除去されている領域に対応する第1窒化物半導体層23の周縁部は、その表層部が除去されていてもよい。
【0028】
基板21は、この実施形態では、低抵抗のシリコン基板である。低抵抗のシリコン基板は、例えば、0.001Ωmm〜0.5Ωmm(より具体的には0.01Ωmm〜0.1Ωmm程度)の電気抵抗率を有したp型基板でもよい。また、基板21は、低抵抗のシリコン基板の他、低抵抗のSiC基板、低抵抗のGaN基板等であってもよい。基板21の厚さは、半導体プロセス中においては、例えば650μm程度であり、チップ化する前段階において、300μm以下程度に研削される。
【0029】
バッファ層22は、この実施形態では、複数の窒化物半導体膜を積層した多層バッファ層から構成されている。この実施形態では、バッファ層22は、基板21の表面に接するAlN膜からなる第1バッファ層(図示略)と、この第1バッファ層の表面(基板21とは反対側の表面)に積層されたAlN/AlGaN超格子層からなる第2バッファ層(図示略)とから構成されている。第1バッファ層の膜厚は、100nm〜500nm程度である。第2バッファ層の膜厚は、500nm〜2μm程度である。バッファ層22は、例えば、AlGaNの単膜または複合膜から構成されていてもよい。
【0030】
第1窒化物半導体層23は、電子走行層を構成している。この実施形態では、第1窒化物半導体層23は、GaN層からなり、その厚さは0.5μm〜2μm程度である。また、第1窒化物半導体層23を流れるリーク電流を抑制する目的で、表面領域以外には半絶縁性にするための不純物が導入されていてもよい。その場合、不純物の濃度は、4×10
16cm
−3以上であることが好ましい。また、不純物は、例えばCまたはFeである。
【0031】
第2窒化物半導体層24は、電子供給層を構成している。第2窒化物半導体層24は、第1窒化物半導体層23よりもバンドギャップの大きい窒化物半導体からなっている。この実施形態では、第2窒化物半導体層24は、第1窒化物半導体層23よりもAl組成の高い窒化物半導体からなっている。窒化物半導体においては、Al組成が高いほどバンドギャップは大きくなる。この実施形態では、第2窒化物半導体層24は、Al
x1Ga
1−x1N層(0<x1<1)からなり、その厚さは5nm〜15nm程度である。
【0032】
このように第1窒化物半導体層(電子走行層)23と第2窒化物半導体層(電子供給層)24とは、バンドギャップ(Al組成)の異なる窒化物半導体からなっており、それらの間には格子不整合が生じている。そして、第1窒化物半導体層23および第2窒化物半導体層24の自発分極と、それらの間の格子不整合に起因するピエゾ分極とによって、第1窒化物半導体層23と第2窒化物半導体層24との界面における第1窒化物半導体層23の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、第1窒化物半導体層23内には、第1窒化物半導体層23と第2窒化物半導体層24との界面に近い位置(例えば界面から数Å程度の距離)に、二次元電子ガス(2DEG)19が広がっている。
【0033】
電極メタル構造は、
図4、
図5および
図6に示すように、複数のソース電極31、複数のゲート電極32および複数のドレイン電極33を含む。ソース電極31およびドレイン電極33はX方向に延びている。
ゲート電極32は、互いに平行にX方向に延びた一対のゲート主電極部32Aと、これら一対のゲート主電極部32Aの対応する端部どうしをそれぞれ連結する2つのベース部32Bとを含む。
【0034】
1つのソース電極31は、平面視において、1つのゲート電極32の一対のゲート主電極部32Aを覆うように形成されている。ソース電極31は、
図4および
図6に示すように、平面視において、ゲート電極32の一対のゲート主電極部32Aの長さ中間部の間に配置されたソース主電極部31Aと、ソース主電極部31Aの周囲の延長部31Bとからなる。この実施形態では、ソース主電極部31Aとは、平面視において、ソース電極31の全領域のうち、ソースコンタクトホール27の輪郭に囲まれた領域およびその周辺領域からなる領域をいうものとする。
図5では、ソース電極31として、ソース主電極部31Aのみが図示されている。
【0035】
延長部31Bは、平面視において、ソース電極31の全領域のうち、ソース主電極部31A以外の部分をいう。延長部31Bは、平面視において、ゲート電極32の一対のゲート主電極部32Aと2つの第2ベース部32Bの一部を覆っている。
1つのソース電極31の両側のそれぞれに、ドレイン電極33が配置されている。隣り合うドレイン電極33およびソース主電極部31Aは、平面視において、ゲート電極32のゲート主電極部32Aを挟んで互いに対向している。
【0036】
図4、
図5および
図6の例では、ソース主電極部31A(S)、ゲート主電極部32A(G)およびドレイン電極33(D)は、Y方向にDGSGDGSの順に周期的に配置されている。これにより、ソース主電極部31A(S)およびドレイン電極33(D)でゲート主電極部32A(G)を挟むことによって素子構造が構成されている。
第2窒化物半導体層24上には、部分的に窒化物半導体ゲート層(以下、「半導体ゲート層」という)25が形成されている。半導体ゲート層25は、エピタキシャル成長によって、第2窒化物半導体層24の表面に形成されている。
【0037】
半導体ゲート層25は、平面視において、ゲート電極32とほぼ同じ形状を有している。具体的には、半導体ゲート層25は、互いに平行にX方向に延びた一対のリッジ部25Aと、これらの一対のリッジ部25Aの対応する端部どうしをそれぞれ連結する2つの連結部25Bとを含む。
ゲート電極32は、半導体ゲート層25上に形成されている。ゲート電極32の一対のゲート主電極部32Aは、半導体ゲート層25の一対のリッジ部25A上に形成されている。ゲート電極32の2つのベース部32Bは、半導体ゲート層25の2つの連結部25B上に形成されている。
【0038】
半導体ゲート層25およびゲート電極32は、それぞれ平面視で環状(閉鎖曲線状)に形成されている。
図4に示すように、半導体ゲート層25のリッジ部25Aと、その上に形成されたゲート主電極部32Aとによって、リッジ形状のゲート部30が形成されている。
半導体ゲート層25は、アクセプタ型不純物がドーピングされた窒化物半導体からなる。この実施形態では、半導体ゲート層25は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)からなっており、その厚さは40nm〜100nm程度である。半導体ゲート層25に注入されるアクセプタ型不純物の濃度は、1×10
19cm
−3以上であることが好ましい。この実施形態では、アクセプタ型不純物は、Mg(マグネシウム)である。アクセプタ型不純物は、Zn(亜鉛)等のMg以外のアクセプタ型不純物であってもよい。
【0039】
半導体ゲート層25は、ゲート部30の直下の領域において、第1窒化物半導体層23と第2窒化物半導体層24との間の界面における伝導帯のエネルギーレベルを変化させ、ゲート電圧を印加しない状態において、ゲート部30の直下の領域に二次元電子ガス19を発生させないために設けられている。
ゲート電極32は、この実施形態では、TiN層から構成されており、その厚さは50nm〜200nm程度である。ゲート電極32は、Ti、TiNおよびTiWのいずれか1つの単膜またはそれらの2以上の任意の組み合わせからなる複合膜から構成されてもよい。
【0040】
図4に示すように、第2窒化物半導体層24上には、第2窒化物半導体層24の露出面およびゲート部30の露出面を覆うパッシベーション膜26が形成されている。したがって、ゲート部30の側面および表面は、パッシベーション膜26によって覆われている。この実施形態では、パッシベーション膜26はSiN膜からなり、その厚さ50nm〜200nm程度である。パッシベーション膜26は、SiN、SiO
2およびSiONのいずれか1つの単膜またはそれらの2以上の任意の組み合わせからなる複合膜から構成されてもよい。
【0041】
パッシベーション膜26には、ソースコンタクトホール27およびドレインコンタクトホール28が形成されている。ソースコンタクトホール27およびドレインコンタクトホール28は、ゲート部30を挟む配置で形成されている。
ソース電極31のソース主電極部31Aの一部は、ソースコンタクトホール27内に入り込み、ソースコンタクトホール27内で第2窒化物半導体層24に接触している。
図6に示すように、ソース電極31の延長部31Bは、当該ソース電極31のソース主電極部31Aを挟むように配置された一対のゲート部30を覆っている。ソース電極31の延長部31Bの一部は、ゲート電極32のベース部32Bの一部を覆っている。ドレイン電極33の一部は、ドレインコンタクトホール28内に入り込み、ドレインコンタクトホール28内で第2窒化物半導体層24に接触している。
【0042】
ソース電極31およびドレイン電極33は、例えば、第2窒化物半導体層24に接する第1金属層(オーミックメタル層)と、第1金属層に積層された第2金属層(主電極メタル層)と、第2金属層に積層された第3金属層(密着層)と、第3金属層に積層された第4金属層(バリアメタル層)とからなる。第1金属層は、例えば、厚さが10nm〜20nm程度のTi層である。第2金属層は、例えば、厚さが100nm〜300nm程度のAlを含む層である。第3金属層は、例えば、厚さが10nm〜20nm程度のTi層である。第4金属層は、例えば、厚さが10nm〜50nm程度のTiN層である。
【0043】
第1窒化物半導体層23の露出面上およびパッシベーション膜26上には、ソース電極31およびドレイン電極33を覆うように、第1層間絶縁膜41が形成されている。第1層間絶縁膜41上の第1層目の配線メタル構造は、
図4および
図7に示すように、Y方向に延びた第1ソース配線メタル51(S1)および第1ドレイン配線メタル52(D1)を含む。
図7の例では、第1ソース配線メタル51および第1ドレイン配線メタル52がX方向に交互に並んで配置されている。第1ソース配線メタル51および第1ドレイン配線メタル52は、ソース電極31、ゲート電極32およびドレイン電極33と直交している。
【0044】
第1ソース配線メタル51は、第1層間絶縁膜41を貫通する第1ソースビア42を介して、当該第1ソース配線メタル51に直交する複数のソース電極31に電気的に接続されている。第1ドレイン配線メタル52は、第1層間絶縁膜41を貫通する図示しない第1ドレインビアを介して、当該第1ドレイン配線メタル52に直交する複数のドレイン電極33に電気的に接続されている。
【0045】
第1層間絶縁膜41上には、第1ソース配線メタル51および第1ドレイン配線メタル52を覆うように、第2層間絶縁膜43が形成されている。第2層間絶縁膜43上の第2層目の配線メタル構造は、
図4および
図8に示すように、X方向に延びた第2ソース配線メタル53(S2)および第2ドレイン配線メタル54(D2)を含む。
図8の例では、第2ソース配線メタル53および第2ドレイン配線メタル54がY方向に交互に並んで配置されている。第2ソース配線メタル53および第2ドレイン配線メタル54は、第1ソース配線メタル51および第1ドレイン配線メタル52と直交している。
【0046】
第2ソース配線メタル53は、第2層間絶縁膜43を貫通する第2ソースビア44を介して、当該第2ソース配線メタル53に直交する第1ソース配線メタル51に電気的に接続されている。第2ドレイン配線メタル54は、第2層間絶縁膜43を貫通する第2ドレインビア(図示略)を介して、当該第2ドレイン配線メタル54に直交する複数の第1ドレイン配線メタル52に電気的に接続されている。
【0047】
第2層間絶縁膜43上には、第2ソース配線メタル53および第2ドレイン配線メタル54を覆うように、第3層間絶縁膜45が形成されている。半導体積層構造20および第1〜第3層間絶縁膜41,43,45には、第3層間絶縁膜45、第2層間絶縁膜43、第1層間絶縁膜41、第2窒化物半導体層24、第1窒化物半導体層23およびバッファ層22を貫通し、基板21内部に達する複数のビアホール61が形成されている。ビアホール61の詳細については、後述する。第3層間絶縁膜45の表面上および複数のビアホール61の側面上には、絶縁膜46が形成されている。絶縁膜46は、例えばSiN等の絶縁膜からなる。
【0048】
第3層間絶縁膜45上の第3層目の配線メタル構造は、
図4および
図9に示すように、Y方向に延びたソースパッド11(第3ソース配線メタルS3)およびドレインパッド12(第3ドレイン配線メタルD3)を含む。
図4および
図9のいずれにも図示されていないが、第3層目の配線メタル構造は、
図1に示すようなゲートパッド13を含む。
なお、
図9に示されるソースパッド11およびドレインパッド12の大きさおよび配置位置は、
図1に示されるソースパッド11およびドレインパッド12に対応していない。半導体チップ2表面に対するソースパッド11およびドレインパッド12の大きさの比率および配置位置は、
図1の方が正確に現れている。
【0049】
ソースパッド11およびドレインパッド12は、第2ソース配線メタル53および第2ドレイン配線メタル54と直交している。ソースパッド11は、絶縁膜46および第3層間絶縁膜45を貫通する第3ソースビア47を介して、ソースパッド11に直交する複数の第2ソース配線メタル53に電気的に接続されている。ドレインパッド12は、絶縁膜46および第3層間絶縁膜45を貫通する図示しない第3ドレインビアを介して、ドレインパッド12に直交する複数の第2ドレイン配線メタル54に電気的に接続されている。ゲートパッド13は、半導体チップ2内部に形成された図示しないゲート配線を介して全てのゲート電極32に電気的に接続されている。
【0050】
第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜43および第3層間絶縁膜45は、例えばSiO
2からなる。第1ソース配線メタル51、第1ドレイン配線メタル52、第2ソース配線メタル53、第2ドレイン配線メタル54、ソースパッド11、ドレインパッド12およびゲートパッド13は、例えばAlCuからなる。
この実施形態では、複数のビアホール61は、平面視において、ソースパッド11の内側領域であって、半導体チップ2の第1コーナC1(
図1参照)の近傍領域に形成されている。より具体的には、平面視において、複数のビアホール61は、半導体チップ2の第1コーナC1に隣接する2つの辺のうちの一方の辺に沿って形成された複数のビアホール61と、他方の辺に沿って形成された複数のビアホール61とを含む。
【0051】
この実施形態では、ビアホール61の横断面形状は正方形状である。ビアホール61の横断面形状は円形状、長方形状等のように、正方形状以外の形状であってもよい。この実施形態では、ビアホール61は、第3層間絶縁膜45の表面から基板21の表層部内まで掘り下げられた第1部分61Aと、第1部分61Aの底面の中央部から基板21の裏面に向かって掘り下げられた第2部分61Bとからなる。
【0052】
第1部分61Aの4側面は、下方に向かって第1部分61Aの横断面積が徐々に小さくなる傾斜面に形成されている。第2部分61Bの4側面も、下方に向かって第2部分61B横断面積が徐々に小さくなる傾斜面に形成されている。平面視において、第2部分61Bの上端の横断面の4辺は、それぞれ、第1部分61Aの下端の横断面の対向する辺よりも内側に後退している。これにより、第1部分61Aの側面下端と第2部分61Bの側面上端との間に矩形環状段部61Cが形成されている。
【0053】
ビアホール61内の絶縁膜46上には、導電膜62が形成されている。なお、ビアホール61の側面に形成された絶縁膜55は、絶縁が十分でない箇所が存在する可能性のあるバッファ層22と導電膜62とを絶縁し、導電膜62を流れる電流がバッファ層22にリークされるのを抑制するために設けられている。
導電膜62は、例えばAlCuからなる。導電膜62の上端部は、ソースパッド11と接続され、導電膜62の下部は、基板21に接続されている。ビアホール61と導電膜62とによって、ソースパッド11を基板21に接続する外部接続用ビア60が構成されている。この実施形態では、ソースパッド11とビアホール61内の導電膜62とは、同じ製造工程において同時に形成される。
【0054】
基板21の裏面21bには、裏面電極34が形成されている。裏面電極34は、例えば、Ni、Ag、TiまたはAuおよびそれらの2以上の組み合わせ等からなる。
この半導体チップ2では、第1窒化物半導体層(電子走行層)23上にバンドギャップ(Al組成)の異なる第2窒化物半導体層(電子供給層)24が形成されてヘテロ接合が形成されている。これにより、第1窒化物半導体層23と第2窒化物半導体層24との界面付近の第1窒化物半導体層23内に二次元電子ガス19が形成され、この二次元電子ガス19をチャネルとして利用したHEMTが形成されている。ゲート電極32のゲート主電極部32Aは、半導体ゲート層25のリッジ部25Aを挟んで第2窒化物半導体層24に対向している。
【0055】
ゲート主電極部32Aの下方においては、p型GaN層からなるリッジ部24Aに含まれるイオン化アクセプタによって、第1窒化物半導体層23および第2窒化物半導体層24のエネルギーレベルが引き上げられる。このため、第1窒化物半導体層23と第2窒化物半導体層24との間のヘテロ接合界面における伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも大きくなる。したがって、ゲート主電極部32A(ゲート部30)の直下では、第1窒化物半導体層23および第2窒化物半導体層24の自発分極ならびにそれらの格子不整合によるピエゾ分極に起因する二次元電子ガス19が形成されない。
【0056】
よって、ゲート電極32にバイアスを印加していないとき(ゼロバイアス時)には、二次元電子ガス19によるチャネルはゲート主電極部32Aの直下で遮断されている。こうして、ノーマリーオフ型のHEMTが実現されている。ゲート電極32に適切なオン電圧(たとえば5V)を印加すると、ゲート主電極部32Aの直下の第1窒化物半導体層23内にチャネルが誘起され、ゲート主電極部32Aの両側の二次元電子ガス19が接続される。これにより、ソース−ドレイン間が導通する。
【0057】
使用に際しては、たとえば、ソース電極31とドレイン電極33の間に、ドレイン電極33側が正となる所定の電圧(たとえば50V〜100V)が印加される。その状態で、ゲート電極32に対して、ソース電極31を基準電位(0V)として、オフ電圧(0V)またはオン電圧(5V)が印加される。
前述の半導体装置1では、ソース電極31は、第1ソースビア42、第1ソース配線メタル51、第2ソースビア44、第2ソース配線メタル53および第3ソースビア47を介してソースパッド11に接続されている。ソースパッド11は、外部接続用ビア60、基板21、裏面電極34およびダイパッド3を介して、外部ソース端子としてのソースリード4に接続されている。
【0058】
したがって、ソースパッド11を金属ワイヤによってソースリード4に接続する場合に比べて、半導体装置1内の寄生インダクタンスを低減することができる。
また、外部接続用ビア60は、平面視において、半導体チップ2におけるソースリード4に最も近いコーナC1の近傍に形成されている。これにより、ソースリード4とドレインリード5との間に外部接続用ビア60を介して主電流が流れるときに、主電流経路を制限することができる。これにより、半導体チップ2直下に流れる電流による電位分布形成を抑制できるので、ゲートしきい値電圧や電流コラプス等の特性の変動を抑制でき、安定した動作を実現できる。
【0059】
前述の実施形態では、ビアホール61の第1部分61Aの側面およびビアホール61の第2部分61Bの側面に絶縁膜46が形成されているが、第2部分61Bの側面に絶縁膜46は形成されなくてもよい。
また、前述の実施形態では、第1部分61A内に形成される導電膜(以下、「第1導電膜」という。)と、第2部分61B内に形成される導電膜(以下、「第2導電膜」という)とは、同じ材料であるが、それらは異なる材料であってもよい。例えば、第1導電膜は、ソースパッド11と同じAlCuから構成され、第2導電膜はSi基板21とオーミック接続するNiから構成されてもよい。このようにすると、ソースパッド11から裏面電極34までの主電流経路の抵抗を低減することができる。
【0060】
図10は、半導体チップの変形例を示す断面図であって、
図4に対応する断面図である。
図10において、
図4の各部に対応する部分には、
図4と同じ符号を付して示す。
この半導体チップ2Aでは、外部接続用ビア60は、基板21を貫通して、裏面電極34に接続されている。具体的には、この半導体チップ2Aでは、ビアホール61は、基板21を貫通している。より具体的には、ビアホール61の第2部分61Bが、基板21を貫通している。ビアホール61の側面全体に絶縁膜46が形成されており、絶縁膜46上に導電膜62が形成されている。導電膜62の下端は、裏面電極34に接続されている。
【0061】
図10の半導体チップ2Aでは、ソースパッド11から裏面電極34までの主電流経路の抵抗を低減することができる。
図10の半導体チップ2Aでは、第1部分61Aおよび第2部分61Bの側面に絶縁膜46が形成されているが、第2部分61Bの側面に絶縁膜46は形成されなくてもよい。また、第1部分61A内に形成される第1導電膜と、第2部分61B内に形成される第2導電膜とは、異なる材料から構成されていてもよい。第1導電膜はAlCuから構成され、第2導電膜はSi基板21とオーミック接続するNiから構成されてもよい。
【0062】
図11〜
図14は、それぞれ、外部接続用ビア60の配置パターンの変形例を示す平面図であって、
図1に対応する断面図である。
図10〜
図14において、
図1の各部に対応する部分には、
図1と同じ符号を付して示す。
図11の半導体装置1Aでは、複数の外部接続用ビア60は、半導体チップ2の第1コーナC1に隣接する2つの辺のうちの−X方向側の一辺のみに沿って形成されている。
【0063】
図12の半導体装置1Bでは、複数の外部接続用ビア60は、半導体チップ2の第1コーナC1に隣接する2つの辺のうちの+Y側方向側の一辺のみに沿って形成されている。
図13の半導体装置1Cのドレインパッド12Cは、
図1の半導体装置1のドレインパッド12の+Y方向側端部が切除された形状を有している。このため、
図13の半導体装置1Cでは、平面視において、半導体チップ2の+Y方向側辺とドレインパッド12Cの+Y方向側辺との間隔が、
図1の半導体装置1に比べて大きくなっている。
【0064】
図13の半導体装置1Cのソースパッド11Cは、
図1の半導体装置1のドレインパッド12と同様なソースパッド本体部11Caと、ソースパッド本体部11Caの+X方向側辺における+Y方向側端部から+X方向に延びた延長部11Cbを有している。延長部11Cbは、ソースパッド本体部11Caの+X方向側辺における+Y方向側端部から、半導体チップ2の+Y方向側辺とドレインパッド12Cの+Y方向側辺との間領域に延びている。
【0065】
図13の半導体装置1Cでは、
図1の半導体装置1と同様な複数の外部接続用ビア60が形成されているとともに、平面視において延長部11Cb内にX方向に間隔をおいて複数の外部接続用ビア60が形成されている。
図14の半導体装置1Dのドレインパッド12Dは、
図1の半導体装置1のドレインパッド12の−Y方向側端部が切除された形状を有している。切除部のY方向長さは、ゲートパッド13のY方向長さの2倍程度である。これにより、平面視で、半導体チップ2の第1コーナC1に対して対角線上にある第2コーナC2付近にドレインパッド12Dが形成されていない切除領域が形成されている。
【0066】
図14の半導体装置1Dのソースパッド11Dは、
図1の半導体装置1のドレインパッド12と同様なソースパッド本体部11Daと、ソースパッド本体部11Daの+X方向側辺における−Y方向側端部から+X方向に延びかつ切除領域のほぼ全域を覆う延長部11Dbとを有している。
図14の半導体装置1Dでは、
図1の半導体装置1と同様な複数の外部接続用ビア60が形成されているとともに、平面視において、半導体チップ2の第2コーナC2の近傍に、第2コーナC2に隣接する2つの辺の各々に沿って複数の外部接続用ビア60が形成されている。
【0067】
図15は、半導体装置1が実装される配線基板上の配線パターンの一例を示す図解的な平面図である。
図15において、
図1の各部に対応する部分には、
図1と同じ符号を付して示す。ただし、説明の便宜上、半導体チップ2は、省略されている。
配線基板70上には、配線パターンとして、ソース導体層71、ドレイン導体層72、ゲート導体層73およびドライバソース導体層74が形成されている。ソース導体層71は、平面視でY方向に長い長方形状の第1部分71Aと、第1部分71Aの−X方向側辺の+Y方向側半部から−X方向に延びかつ平面視でX方向に長い長方形状の第2部分71Bとからなる。平面視において、第2部分71Bの−X方向側端部を含む過半部は、半導体装置1の−X方向側辺から−X方向に突出している。第1部分71Aの表面にダイパッド3の下面が接合され、第2部分71Bの表面の+X方向側縁部上に、2つのソースリード4の下面が接合されている。
【0068】
ドレイン導体層72は、平面視でY方向に長い長方形状であり、ソース導体層71に対して+Y方向側に間隔をおいて配置されている。平面視において、ドレイン導体層72の+X方向側の側部を含む過半部は、半導体装置1の+X方向側辺から+X方向に突出している。ソース導体層71表面の−X方向側縁部上に、4つのドレインリード5の下面が接合されている。
【0069】
ドライバソース導体層74は、平面視でX方向に長い長方形状であり、ソース導体層71の第2部分71Bの−Y方向側に間隔をおいて配置されている。平面視において、ドライバソース導体層74の−X方向側端部を含む過半部は、半導体装置1の−X方向側辺から−X方向に突出している。ドライバソース導体層74表面のX方向側端部上に、ドライバソースリード7が接合されている。
【0070】
ゲート導体層73は、平面視でドライバソースリード7の−Y方向側に配置されかつY方向に長い長方形状の第1部分73Aと、第1部分73Aの−X方向側辺の−Y方向側端から−X方向に延びかつ平面視でX方向に長い長方形状の第2部分73Bとからなる。平面視において、第1部分73Aの−Y方向側端部は、半導体装置1の−Y方向側辺から−Y方向に突出している。第1部分73A表面のX方向側半部上にゲートリード6の下面が接合されている。
【0071】
このような配線パターンが用いられている場合には、主電流は
図15に矢印Aで示すようにX方向に流れる。このような場合には、外部接続用ビア60の配置パターンとしては、主電流経路上に外部接続用ビア60が多く形成されている
図11の配置パターンを用いることが好ましい。
図16は、半導体装置1が実装される配線基板上の配線パターンの他の例を示す図解的な平面図である。
図16において、
図15の各部に対応する部分には、
図15と同じ符号を付して示す。ただし、
図16においては、ソース導体層には、
図15とは異なる符号171を付して示す。
【0072】
図16では、ソース導体層171の形状が、
図15のソース導体層71の形状と異なっている。ソース導体層171は、配線基板70上に半導体装置1が実装された状態において、平面視で半導体装置1の内側に配置される内側部分171Aと、平面視で半導体装置1の外側に配置される外側部分171Bとからなる。
内側部分171Aは、Y方向に長い長方形状の第1部分171Aaと、第1部分171Aaの−X方向側辺の+Y方向側半部から−X方向に延びかつ平面視でY方向に長い長方形状の第2部分171Abとからなる。第1部分171Aaの表面にダイパッド3の下面が接合され、第2部分171Abの表面に2つのソースリード4の下面が接合されている。
【0073】
外側部分171Bは、内側部分171Aの+Y方向側縁の全域から+Y方向に延びた平面視でX方向に長い長方形状の第3部分171Baと、第3部分171Baの+X方向側縁の−Y方向側端部を除く領域からX方向に突出した第4部分171Bbとからなる。
このような配線パターンが用いられている場合には、主電流は、
図16に矢印Aで示すように、平面視でL字状に流れる。具体的には、ソース導体層171内にはY方向に主電流が流れ、ドレイン導体層72内にはX方向に主電流が流れる。このような場合には、外部接続用ビア60の配置パターンとしては、主電流経路上に外部接続用ビア60が多く形成されている
図12の配置パターンを用いることが好ましい。
【0074】
図15および
図16の説明からわかるように、半導体装置1は、外部接続用ビア60が形成されている近傍を主電流が流れるように、配線基板70に接続されることが好ましい。したがって、外部接続用ビア60が
図1に示すように半導体チップ2の第1コーナC1近傍に形成されている場合には、半導体装置1の−Y方向側辺を横切って主電流が流れるように、半導体装置1を配線基板70に接続することは好ましくない。そこで、このことをユーザに注意喚起するために、
図1に2点鎖線で示すように、ダイパッド3における−Y方向側辺の近傍に平面視でX方向に細長い長方形状の開口部3aを形成してもよい。これにより、半導体チップ2直下に流れる電流による電位分布形成を抑制できるので、ゲートしきい値電圧や電流コラプス等の特性の変動を抑制でき、安定した動作を実現できる。
【0075】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。