【解決手段】第1主面3を有する導電基板2と、第1主面3の上に形成されたAu系金属層7と、短波長領域の光反射率がAu系金属層7の光反射率よりも高い光反射特性を有し、Au系金属層7の上に形成された光反射層9と、光反射層9の上に形成された光透過層11と、光透過層11の上に形成された半導体発光層12と、を含む、半導体発光装置1を提供する。
前記光透過層は、前記光反射層側からこの順に積層された光透過電極層および光透過絶縁層を含む積層構造を有している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
前記光透過層に埋設され、前記半導体発光層および前記光反射層に電気的に接続されたコンタクト電極をさらに含む、請求項11〜14のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
前記半導体発光層は、前記光透過層の上に積層された第1導電型の第1半導体層、前記第1半導体層の上に積層された発光層、および、前記発光層の上に積層された第2導電型の第2半導体層を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
前記半導体発光層は、平面視において前記光透過層の周縁から内方に間隔を空けて形成され、前記光透過層を露出させている、請求項1〜17のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態(以下、単に「この形態(this embodiment)」という。)に係る半導体発光装置1を示す平面図である。
図2は、
図1に示すII−II線に沿う断面図である。
図1および
図2を参照して、半導体発光装置1は、直方体形状に形成された導電基板2を含む。導電基板2は、金属基板または半導体基板からなっていてもよい。導電基板2は、不純物によって導電性が付与された半導体基板からなることが好ましい。半導体基板は、Si基板、SiC基板、Ge基板、化合物半導体基板または窒化物半導体基板であってもよい。導電基板2は、この形態では、不純物によって導電性が付与されたSi基板からなる。
【0008】
導電基板2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する4つの側面5を含む。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という)において四角形状に形成されている。第2主面4は、研削面であってもよい。側面5は、第1主面3および第2主面4に対して垂直に形成されている。側面5は、研削面からなっていてもよい。
【0009】
導電基板2の厚さは、10μm以上300μm以下であってもよい。導電基板2の厚さは、10μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、または、250μm以上300μm以下であってもよい。
半導体発光装置1は、第1主面3の上に形成されたAu系金属層7を含む。Au系金属層7は、第1主面3の全域を被覆している。Au系金属層7の周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。Au系金属層7の周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。Au系金属層7の周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。Au系金属層7の周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。
【0010】
Au系金属層7は、Auを主成分に含む。Au系金属層7は、この形態では、第1主面3側からこの順に積層された第1Au層15および第2Au層16を含む積層構造を有している。
第1Au層15は、純Au層またはAu合金層からなっていてもよい。純Au層は、非合金のAuを含む層である。純Au層は、純度が99%以上のAuを含む層であってもよい。Au合金層は、他の材料と合金化したAuを含む層である。Auと合金化した金属は、Ge,Ni、Be、Si等であってもよい。第1Au層15は、この形態では、純Au層からなる。
【0011】
第2Au層16は、第1Au層15に接着(より具体的には圧着)されている。つまり、Au系金属層7は、第1Au層15および第2Au層16を含む接着層である。
図2では、第1Au層15および第2Au層16の間の境界が二点鎖線によって示されている。第2Au層16は、第1Au層15との間の境界が消失する態様で第1Au層15に接着されることがある。したがって、第1Au層15および第2Au層16の間の境界は、必ずしも視認できるものではない。
【0012】
第2Au層16は、純Au層またはAu合金層からなっていてもよい。純Au層は非合金のAuを含む層である。純Au層は、純度が99%以上のAuを含む層であってもよい。Au合金層は、他の材料と合金化したAuを含む層である。Auと合金化した金属は、Ge,Ni、Be、Si等であってもよい。第2Au層16は、第1Au層15と同一材料によって形成されていることが好ましい。第2Au層16は、この形態では、純Au層からなる。
【0013】
Au系金属層7の総厚さは、1100Å以上13000Å以下であってもよい。Au系金属層7の総厚さは、1100Å以上2000Å以下、2000Å以上4000Å以下、4000Å以上6000Å以下、6000Å以上8000Å以下、8000Å以上10000Å以下、または、10000Å以上13000Å以下であってもよい。Au系金属層7の総厚さは、3500Å以上8500Å以下であることが好ましい。
【0014】
第1Au層15の厚さは、100Å以上3000Å以下であってもよい。第1Au層15の厚さは、100Å以上500Å以下、500Å以上1000Å以下、1000Å以上1500Å以下、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、または、2500Å以上3000Å以下であってもよい。第1Au層15の厚さは、500Å以上1500Å以下であることが好ましい。
【0015】
第2Au層16の厚さは、1000Å以上10000Å以下であってもよい。第2Au層16の厚さは、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上4000Å以下、4000Å以上6000Å以下、6000Å以上8000Å以下、または、8000Å以上10000Å以下であってもよい。第2Au層16の厚さは、第1Au層15の厚さを超えていることが好ましい。第2Au層16の厚さは、3000Å以上7000Å以下であることが好ましい。
【0016】
半導体発光装置1は、Au系金属層7の上に形成された光反射層9を含む。光反射層9は、Au系金属層7の全域を被覆している。光反射層9の周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。光反射層9の周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。光反射層9の周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。光反射層9の周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。
【0017】
光反射層9は、Au系金属層7とは異なる金属材料を含む。これによって、光反射層9は、Au系金属層7の光反射特性とは異なる光反射特性を有している。光反射層9は、より具体的には、短波長領域(たとえば610nm以下の波長領域)の光反射率がAu系金属層7の光反射率よりも高い光反射特性を有している。また、光反射層9は、長波長領域(たとえば610nmを超える波長領域)の光反射率がAu系金属層7の光反射率よりも低い光反射特性を有している。
【0018】
光反射層9は、この形態では、Alを主成分に含む。光反射層9は、純Al層またはAl合金層からなっていてもよい。純Al層は非合金のAlを含む層である。純Al層は、純度が99%以上のAlを含む層であってもよい。Al合金層は、他の材料と合金化したAlを含む層である。Alと合金化した金属は、Cu、Si等であってもよい。光反射層9は、この形態では、純Al層からなる。
【0019】
光反射層9の厚さは、500Å以上3000Å以下であってもよい。光反射層9の厚さは、500Å以上1000Å以下、1000Å以上1500Å以下、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、または、2500Å以上3000Å以下であってもよい。光反射層9の厚さは、1000Å以上2000Å以下であることが好ましい。
【0020】
半導体発光装置1は、光反射層9の上に形成された光透過層11を含む。光透過層11は、光反射層9の全域を被覆していることが好ましい。光透過層11の周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。光透過層11の周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。光透過層11の周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。光透過層11の周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。
【0021】
光透過層11は、この形態では、光透過電極層11Aからなる単層構造を有している。光透過電極層11Aは、ITO層、ZnO層およびIZO層のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。光透過電極層11Aは、この形態では、ITO層からなる。
光透過電極層11Aの厚さは、500Å以上4000Å以下であってもよい。光透過電極層11Aの厚さは、500Å以上1000Å以下、1000Å以上1500Å以下、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、2500Å以上3000Å以下、3000Å以上3500Å以下、または、3500Å以上4000Å以下であってもよい。光透過電極層11Aの厚さは、1500Å以上3000Å以下であることが好ましい。
【0022】
半導体発光装置1は、第1主面3およびAu系金属層7の間に介在する下地バリア電極層6を含む。下地バリア電極層6は、第1主面3およびAu系金属層7に接している。下地バリア電極層6は、第1主面3およびAu系金属層7の全域に接していることが好ましい。
下地バリア電極層6の周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。下地バリア電極層6の周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。下地バリア電極層6の周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。下地バリア電極層6の周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。
【0023】
下地バリア電極層6は、導電基板2の材料(この形態ではSi)がAu系金属層7に拡散することを抑制する。これにより、第1主面3に対するAu系金属層7の密着力を下地バリア層6によって高めることができるから、Au系金属層7を適切に形成できる。
下地バリア電極層6は、Ti層またはTiN層からなる単層構造を有していてもよい。下地バリア電極層6は、Ti層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。下地バリア電極層6は、この形態では、Ti層からなる単層構造を有している。
【0024】
下地バリア電極層6の厚さは、10Å以上1000Å以下であってもよい。下地バリア電極層6の厚さは、10Å以上100Å以下、100Å以上200Å以下、200Å以上400Å以下、400Å以上600Å以下、600Å以上800Å以下、または、800Å以上1000Å以下であってもよい。下地バリア電極層6の厚さは、250Å以上750Å以下であることが好ましい。
【0025】
半導体発光装置1は、Au系金属層7および光反射層9の間に介在する第1バリア電極層8をさらに含む。第1バリア電極層8は、Au系金属層7および光反射層9に接している。第1バリア電極層8は、Au系金属層7の全域および光反射層9の全域に接していることが好ましい。
第1バリア電極層8の周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。第1バリア電極層8の周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。第1バリア電極層8の周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。第1バリア電極層8の周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。
【0026】
第1バリア電極層8は、Au系金属層7中のAuが光反射層9へ拡散することを抑制する。これにより、Au系金属層7に対する光反射層9の密着力を第1バリア層8によって高めることができる。よって、Au系金属層7および光反射層9を適切に形成できると同時に、光反射層9による光反射効果を適切に保持できる。
第1バリア電極層8は、Ti層またはTiN層からなる単層構造を有していてもよい。第1バリア電極層8は、Ti層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。第1バリア電極層8は、この形態では、Ti層からなる単層構造を有している。
【0027】
第1バリア電極層8の厚さは、1000Å以上5000Å以下であってもよい。第1バリア電極層8の厚さは、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、3000Å以上4000Å以下、または、4000Å以上5000Å以下であってもよい。第1バリア電極層8の厚さは、1500Å以上4500Å以下であることが好ましい。
【0028】
半導体発光装置1は、光反射層9および光透過層11の間に介在する第2バリア電極層10をさらに含む。第2バリア電極層10は、光反射層9および光透過層11に接している。第2バリア電極層10は、光反射層9の全域および光透過層11の全域に接していることが好ましい。
第2バリア電極層10の周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。第2バリア電極層10の周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。第2バリア電極層10の周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。第2バリア電極層10の周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。
【0029】
第2バリア電極層10は、光反射層9中のAlが光透過層11に拡散することを抑制する。これにより、光反射層9に対する光透過層11の密着力を第2バリア電極層10によって高めることができる。また、第2バリア電極層10は、入射光(光反射層9によって反射された光を含む)を透過させる。よって、光反射層9および光透過層11を適切に形成できると同時に、光反射層9による光反射効果および光透過層11による光透過効果を適切に保持できる。
【0030】
第2バリア電極層10は、Ti層またはTiN層からなる単層構造を有していてもよい。第2バリア電極層10は、Ti層およびTiN層を含む積層構造を有していてもよい。第2バリア電極層10は、第1バリア電極層8とは異なる導電材料を含んでいてもよい。第2バリア電極層10は、この形態では、TiN層からなる単層構造を有している。
第2バリア電極層10の厚さは、1Å以上100Å以下であってもよい。第2バリア電極層10の厚さは、1Å以上10Å以下、10Å以上20Å以下、20Å以上40Å以下、40Å以上60Å以下、60Å以上80Å以下、または、80Å以上100Å以下であってもよい。第2バリア電極層10の厚さは、10Å以上50Å以下であることが好ましい。
【0031】
半導体発光装置1は、光透過層11の上に形成された半導体発光層12を含む。半導体発光層12は、500nm以上1000nm以下の範囲に発光波長を有する光を生成してもよい。
半導体発光層12は、この形態では、短波長領域の光を生成する。半導体発光層12は、500nm以上700nm以下の範囲に発光波長を有する光(赤色光)を生成することが好ましい。半導体発光層12は、560nm以上700nm以下の範囲に発光波長を有する光(赤色光)を生成することが特に好ましい。
【0032】
半導体発光層12は、4元系の化合物半導体を含む。4元系の化合物半導体は、Al、Ga、InおよびPのうちの少なくとも2種によって構成される。半導体発光層12は、この形態では、平面視において導電基板2の側面5から内方に間隔を空けて形成されている。半導体発光層12は、平面視において側面5との間で光透過層11が露出した露出部23を区画している。露出部23は、平面視において半導体主面22を取り囲む環状(この形態では四角環状)に形成されている。これにより、半導体発光層12は、台地状に突出したメサ構造20を有している。
【0033】
メサ構造20によれば、半導体発光層12に供給される電流を狭窄できる。これにより、半導体発光層12における発光効率を向上できる。また、光透過層11を露出させる露出部23を形成することによって、電流狭窄効果を適切に向上できる。
露出部23は、光透過層11の深さ方向途中部に区画されていることが好ましい。つまり、光透過層11の主面において露出部23を形成する部分は、光透過層11の主面において半導体発光層12によって被覆された部分よりも導電基板2側に位置していることが好ましい。
【0034】
光透過層11の露出部23は、導電基板2の側面5側の領域においてAu系金属層7、光反射層9、下地バリア電極層6、第1バリア電極層8および第2バリア電極層10を被覆し、保護する保護層として形成されている。これにより、光反射層9が外部に露出することを抑制できるので、光反射層9の光反射効果を適切に保持できる。
半導体発光層12は、錘台形状(この形態では四角錐台形状)に形成されている。半導体発光層12の形状は、四角錐台形状に限定されない。半導体発光層12は、三角錘台や六角錘台等の多角錘台形状や円錐台形状に形成されていてもよい。
【0035】
半導体発光層12は、半導体主面22および4つの半導体側面21を有している。半導体主面22は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。半導体側面21は、半導体主面22の周縁から光透過層11の周縁(導電基板2の側面5)に向けて下り傾斜している。むろん、半導体側面21は、半導体主面22に対して垂直に形成されていてもよい。
【0036】
半導体発光層12は、導電基板2側および導電基板2側とは反対側に向かう光を生成する。導電基板2とは反対側に向かう光は、半導体主面22から取り出される。導電基板2に向かう光は、光反射層9によって反射され、半導体主面22から取り出される。半導体主面22の一部は、粗面化されていてもよい。粗面化された半導体主面22によれば、半導体発光層12において生成された光を拡散させることができる。これにより、半導体主面22からの光取り出し効率を向上できる。
【0037】
半導体発光層12は、より具体的には、光透過層11側からこの順に積層されたp型半導体層17(第1半導体層)、発光層18およびn型半導体層19(第2半導体層)を含む積層構造を有している。p型半導体層17、発光層18およびn型半導体層19は、エピタキシャル層からそれぞれなる。n型半導体層19によって、半導体主面22が形成されている。p型半導体層17、発光層18およびn型半導体層19によって、半導体側面21が形成されている。
【0038】
p型半導体層17、発光層18およびn型半導体層19は、ダブルヘテロ構造を形成している。p型半導体層17は、発光層18に正孔を供給する。n型半導体層19は、発光層18に電子を供給する。発光層18は、正孔および電子を再結合させることによって光を生成する。
p型半導体層17は、この形態では、光透過層11側からこの順に積層されたp型コンタクト層24、p型ウィンドウ層25およびp型クラッド層26を含む積層構造を有している。
【0039】
p型コンタクト層24は、GaP層を含む。p型コンタクト層24は、p型不純物の一例としてのMgおよびC(炭素)のうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。p型コンタクト層24のp型不純物は、この形態では、C(炭素)を含む。p型コンタクト層24のp型不純物濃度は、1.0×10
18cm
−3以上1.0×10
20cm
−3以下であってもよい。p型コンタクト層24は、光透過層11に接している。p型コンタクト層24は、光透過層11とオーミック接触を形成している。
【0040】
p型コンタクト層24の厚さは、100Å以上10000Å以下であってもよい。p型コンタクト層24の厚さは、100Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上4000Å以下、4000Å以上6000Å以下、6000Å以上8000Å以下、または、8000Å以上10000Å以下であってもよい。p型コンタクト層24の厚さは、3000Å以上9000Å以下であることが好ましい。
【0041】
p型ウィンドウ層25は、GaP層を含む。p型ウィンドウ層25は、p型不純物の一例としてのMgを含んでいてもよい。p型ウィンドウ層25のp型不純物濃度は、p型コンタクト層24のp型不純物濃度未満であってもよい。p型ウィンドウ層25のp型不純物濃度は、1.0×10
17cm
−3以上2.0×10
19cm
−3以下であってもよい。p型ウィンドウ層25は、p型コンタクト層24に接している。p型ウィンドウ層25は、p型コンタクト層24の全域を被覆していることが好ましい。
【0042】
p型ウィンドウ層25の厚さは、100Å以上30000Å以下であってもよい。p型ウィンドウ層25の厚さは、100Å以上5000Å以下、5000Å以上10000Å以下、10000Å以上15000Å以下、15000Å以上20000Å以下、20000Å以上25000Å以下、または、25000Å以上30000Å以下であってもよい。p型ウィンドウ層25の厚さは、5000Å以上15000Å以下であることが好ましい。
【0043】
p型クラッド層26は、InAlP層を含む。p型クラッド層26は、p型不純物の一例としてのMgを含んでいてもよい。p型クラッド層26のp型不純物濃度は1.0×10
17cm
−3以上1.0×10
18cm
−3以下であってもよい。p型クラッド層26は、p型ウィンドウ層25に接している。p型クラッド層26は、p型ウィンドウ層25の全域を被覆していることが好ましい。
【0044】
p型クラッド層26の厚さは、100Å以上15000Å以下であってもよい。p型クラッド層26の厚さは、100Å以上5000Å以下、5000Å以上7000Å以下、7000Å以上9000Å以下、9000Å以上11000Å以下、11000Å以上13000Å以下、または、13000Å以上15000Å以下であってもよい。p型クラッド層26の厚さは、6000Å以上12000Å以下であることが好ましい。
【0045】
発光層18は、p型クラッド層26に接している。発光層18は、p型クラッド層26の全域を被覆していることが好ましい。発光層18は、この形態では、第1ガイド層28、第2ガイド層29、ならびに、第1ガイド層28および第2ガイド層29の間に介在するMQW(Multiple Quantum Well)構造27を含む。
第1ガイド層28は、比較的大きいAl組成比を有するInGaAlP層を含む。第1ガイド層28のAl組成比は、0.5以上1未満であることが好ましい。
【0046】
第1ガイド層28の厚さは、100Å以上5000Å以下であってもよい。第1ガイド層28の厚さは、100Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、3000Å以上4000Å以下、または、4000Å以上5000Å以下であってもよい。第1ガイド層28の厚さは、500Å以上1500Å以下であることが好ましい。
【0047】
第2ガイド層29は、比較的大きいAl組成比を有するInGaAlP層を含む。第2ガイド層29のAl組成比は、0.5以上1未満であることが好ましい。
第2ガイド層29の厚さは、100Å以上5000Å以下であってもよい。第2ガイド層29の厚さは、100Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、3000Å以上4000Å以下、または、4000Å以上5000Å以下であってもよい。第2ガイド層29の厚さは、500Å以上1500Å以下であることが好ましい。
【0048】
MQW構造27は、任意の順で交互に積層された複数のウェル層30および複数のバリア層31を含む。複数のウェル層30および複数のバリア層31は、交互に2層〜50層ずつ積層されていてもよい。
MQW構造27の最下層は、バリア層31またはウェル層30によって形成されていてもよい。MQW構造27の最下層は、第1ガイド層28の材料に応じて調整され、この形態では、ウェル層30によって形成されている。MQW構造27の最上層は、バリア層31またはウェル層30によって形成されていてもよい。MQW構造27の最上層は、第2ガイド層29の材料に応じて調整され、この形態では、ウェル層30によって形成されている。
【0049】
第1ガイド層28は、MQW構造27の最下層を形成する比較的厚いバリア層31によって形成されていると見なすこともできる。第2ガイド層29は、MQW構造27の最上層を形成する比較的厚いバリア層31によって形成されていると見なすこともできる。MQW構造27の最下層および最上層の両方をウェル層30によって形成する場合、第1ガイド層28および第2ガイド層29は除かれてもよい。
【0050】
各ウェル層30は、比較的小さいAl組成比を有するInGaAlP層を含む。各ウェル層30のAl組成比は、第1ガイド層28のAl組成比未満である。各ウェル層30のAl組成比は、第2ガイド層29のAl組成比未満である。各ウェル層30のAl組成比は、0以上0.5以下であることが好ましい。
各ウェル層30の厚さは、10Å以上100Å以下であってもよい。各ウェル層30の厚さは、10Å以上20Å以下、20Å以上40Å以下、40Å以上60Å以下、60Å以上80Å以下、または、80Å以上100Å以下であってもよい。各ウェル層30の厚さは、10Å以上50Å以下であることが好ましい。各ウェル層30の厚さは、各バリア層31の厚さ未満であることが好ましい。
【0051】
各バリア層31は、比較的大きいAl組成比を有するInGaAlP層を含む。各バリア層31のAl組成比は、各ウェル層30のAl組成比を超えている。各バリア層31のAl組成比は、0.5以上1未満であることが好ましい。各バリア層31のAl組成比は、第1ガイド層28のAl組成比と等しくしてもよい。各バリア層31のAl組成比は、第2ガイド層29のAl組成比と等しくしてもよい。
【0052】
各バリア層31の厚さは、10Å以上100Å以下であってもよい。各バリア層31の厚さは、10Å以上20Å以下、20Å以上40Å以下、40Å以上60Å以下、60Å以上80Å以下、または、80Å以上100Å以下であってもよい。各バリア層31の厚さは、30Å以上80Å以下であることが好ましい。
n型半導体層19は、この形態では、発光層18側からこの順に積層されたn型クラッド層32、n型ウィンドウ層33およびn型コンタクト層34を含む積層構造を有している。
【0053】
n型クラッド層32は、InAlP層を含む。n型クラッド層32は、n型不純物の一例としてのSiを含んでいてもよい。n型クラッド層32のn型不純物濃度は、1.0×10
17cm
−3以上1.0×10
18cm
−3以下であってもよい。n型クラッド層32は、第2ガイド層29に接している。n型クラッド層32は、発光層18の全域を被覆していることが好ましい。
【0054】
n型クラッド層32の厚さは、100Å以上15000Å以下であってもよい。n型クラッド層32の厚さは、100Å以上5000Å以下、5000Å以上7000Å以下、7000Å以上9000Å以下、9000Å以上11000Å以下、11000Å以上13000Å以下、または、13000Å以上15000Å以下であってもよい。n型クラッド層32の厚さは、6000Å以上12000Å以下であることが好ましい。
【0055】
n型ウィンドウ層33は、InGaAlP層を含む。n型ウィンドウ層33は、n型不純物の一例としてのSiを含んでいてもよい。n型ウィンドウ層33のn型不純物濃度は、1.0×10
17cm
−3以上2.0×10
19cm
−3以下であってもよい。n型ウィンドウ層33は、n型クラッド層32に接している。n型ウィンドウ層33は、n型クラッド層32の全域を被覆していることが好ましい。
【0056】
n型ウィンドウ層33の厚さは、10000Å以上50000Å以下であってもよい。n型ウィンドウ層33の厚さは、10000Å以上20000Å以下、20000Å以上30000Å以下、30000Å以上40000Å以下、または、40000Å以上50000Å以下であってもよい。n型ウィンドウ層33の厚さは、n型クラッド層32の厚さを超えていることが好ましい。n型ウィンドウ層33の厚さは、20000Å以上25000Å以下であることが好ましい。
【0057】
n型コンタクト層34は、GaAs層を含む。n型コンタクト層34は、n型不純物の一例としてのSiを含んでいてもよい。n型コンタクト層34のn型不純物濃度は、1.0×10
17cm
−3以上2.0×10
19cm
−3以下であってもよい。
n型コンタクト層34は、n型ウィンドウ層33に接している。n型コンタクト層34は、この形態では、平面視においてn型ウィンドウ層33の周縁から内方に間隔を空けて形成されている。これにより、n型コンタクト層34は、n型ウィンドウ層33の周縁との間で、n型ウィンドウ層33が露出した露出部を区画している。
【0058】
n型コンタクト層34は、より具体的には、本体部34Aおよび枝部34Bを含む。本体部34Aは、平面視においてn型ウィンドウ層33の周縁から内方に間隔を空けてn型ウィンドウ層33の中央部に形成されている。本体部34Aは、この形態では、平面視において円形状に形成されている。本体部34Aの平面形状は任意である。本体部34Aは、平面視において、三角形状、四角形状、六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
【0059】
枝部34Bは、本体部34Aからn型ウィンドウ層33の周縁に向けて枝状に引き出されている。この形態では、複数の枝部34Bが、本体部34Aからn型ウィンドウ層33の周縁に向けて放射状に引き出されている。複数の枝部34Bは、平面視において本体部34Aから導電基板2の4つの側面5および導電基板2の四隅に向けて8方向に引き出されている。
【0060】
複数の枝部34Bの先端部は、n型ウィンドウ層33の周縁から内方に間隔を空けてn型ウィンドウ層33の上に位置している。複数の枝部34Bのうち導電基板2の四隅に向かう4つの枝部34Bの長さは、複数の枝部34Bのうち導電基板2の側面5に向かう4つの枝部34Bの長さを超えている。複数の枝部34Bの引き出し態様は、任意であり、特定の形態に制限されない。
【0061】
前述の半導体主面22は、n型ウィンドウ層33の露出部およびn型コンタクト層34によって形成されている。半導体主面22の一部が粗面化されている場合、n型ウィンドウ層33の露出部が粗面化されていることが好ましい。むろん、n型コンタクト層34が粗面化されていてもよい。ただし、この場合には、電気的特性(たとえば順方向特性)が変動する可能性があるため、n型コンタクト層34の一部(たとえば周縁部だけ)が粗面化されていることが好ましい。
【0062】
半導体発光装置1は、導電基板2の第2主面4に接続された第1端子電極13を含む。第1端子電極13は、この形態では、第2主面4の全域を被覆している。第1端子電極13は、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。第1端子電極13は、より具体的には、第2主面4側からこの順に積層されたTi層40およびAu層41を含む積層構造を有している。
【0063】
Ti層40は、第2主面4に接している。Ti層40は、第2主面4の全域を被覆していることが好ましい。Au層41は、Ti層40に接している。Au層41は、Ti層40の全域を被覆していることが好ましい。
Ti層40は、第2主面4に対するオーミック電極として形成されている。また、Ti層40は、導電基板2の材料(この形態ではSi)がAu層41へ拡散することを抑制するバリア電極として形成されている。
【0064】
Ti層40の厚さは、10Å以上1000Å以下であってもよい。Ti層40の厚さは、10Å以上100Å以下、100Å以上200Å以下、200Å以上400Å以下、400Å以上600Å以下、600Å以上800Å以下、または、800Å以上1000Å以下であってもよい。Ti層40の厚さは、250Å以上750Å以下であることが好ましい。
【0065】
Au層41の厚さは、500Å以上3000Å以下であってもよい。Ti層40の厚さは、500Å以上1000Å以下、1000Å以上1500Å以下、1500Å以上2000Å以下、2000Å以上2500Å以下、または、2500Å以上3000Å以下であってもよい。Au層41の厚さは、1000Å以上2000Å以下であることが好ましい。
【0066】
半導体発光装置1は、半導体発光層12に接続された第2端子電極14を含む。第2端子電極14は、より具体的には、n型コンタクト層34の上に形成されている。第2端子電極14は、さらに具体的には、n型ウィンドウ層33の露出部を露出させるようにn型コンタクト層34の上に形成されている。第2端子電極14は、n型コンタクト層34との間でオーミック接触を形成している。
【0067】
第2端子電極14は、n型コンタクト層34に対応した平面形状を有している。つまり、第2端子電極14は、電極本体部37および電極枝部38を含む。電極本体部37は、n型コンタクト層34の本体部34Aの上に形成されている。電極本体部37は、外部接続されるパッド電極として形成されている。
電極本体部37は、この形態では、平面視において円形状に形成されている。電極本体部37の平面形状は、本体部34Aの平面形状に応じて調整される。電極本体部37は、本体部34Aの平面形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状、六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
【0068】
電極枝部38は、n型コンタクト層34の枝部34Bの上に形成されている。この形態では、複数の電極枝部38が、電極本体部37から半導体発光層12の周縁に向けて、n型コンタクト層34の対応する枝部34Bの上に放射状に引き出されている。つまり、複数の電極枝部38は、平面視において電極本体部37から半導体発光層12の4つの半導体側面21および半導体発光層12の四隅に向けて8方向に引き出されている。複数の電極枝部38の引き出し態様は、任意であり、特定の形態には制限されない。
【0069】
複数の電極枝部38の先端部は、半導体発光層12の半導体側面21から内方に間隔を空けてn型コンタクト層34の枝部34Bの上に位置している。複数の電極枝部38のうち半導体発光層12の四隅に向かう4つの電極枝部38の長さは、複数の電極枝部38のうち半導体発光層12の半導体側面21に向かう4つの電極枝部38の長さを超えている。
【0070】
第2端子電極14は、Auを含むことが好ましい。第2端子電極14は、この形態では、n型コンタクト層34側からこの順に積層された第1Au電極層35および第2Au電極層36を含む積層構造を有している。
第1Au電極層35は、n型コンタクト層34に接している。第1Au電極層35は、純Au層またはAu合金層からなっていてもよい。純Au層は、非合金のAuを含む層である。純Au層は、純度が99%以上のAuを含む層であってもよい。Au合金層は、他の材料と合金化したAuを含む層である。Auと合金化した金属は、Ge,Ni、Be、Si等であってもよい。第1Au電極層35は、この形態では、Au合金層の一例としてのAuGeNi層からなる。
【0071】
第1Au電極層35の厚さは、1000Å以上4000Å以下であってもよい。第1Au電極層35の厚さは、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、または、3000Å以上4000Å以下であってもよい。第1Au電極層35の厚さは、1500Å以上2500Å以下であることが好ましい。
第2Au電極層36は、第1Au電極層35に接している。第2Au電極層36は、純Au層またはAu合金層からなっていてもよい。純Au層は、非合金のAuを含む層である。純Au層は、純度が99%以上のAuを含む層であってもよい。Au合金層は、他の材料と合金化したAuを含む層である。Auと合金化した金属は、Ge,Ni、Be、Si等であってもよい。第2Au電極層36は、この形態では、純Au層からなる。
【0072】
第2Au電極層36の厚さは、15000Å以上20000Å以下であってもよい。第2Au電極層36の厚さは、15000Å以上16000Å以下、16000Å以上17000Å以下、17000Å以上18000Å以下、18000Å以上19000Å以下、または、19000Å以上20000Å以下であってもよい。第2Au電極層36の厚さは、16000Å以上18000Å以下であることが好ましい。
【0073】
半導体発光装置1は、半導体発光層12の外面を被覆する絶縁層39を含む。絶縁層39は、SiN層およびSiO
2層のうちの少なくとも1つを含む。絶縁層39は、SiN層およびSiO
2層を任意の順で積層させた積層構造を有していてもよい。絶縁層39は、この形態では、SiN層からなる単層構造を有している。
絶縁層39は、光透過層11および半導体発光層12を被覆している。絶縁層39は、光透過層11および半導体発光層12を保護すると同時に、光透過層11および半導体発光層12の間の不所望な短絡を抑制する。絶縁層39は、より具体的には、第1被覆部39A、第2被覆部39Bおよび第3被覆部39Cを含む。
【0074】
第1被覆部39Aは、光透過層11の露出部23を被覆している。第1被覆部39Aは、露出部23に沿って延びる帯状に形成されている。第1被覆部39Aは、より具体的には、露出部23に沿って延びる環状(この形態では四角環状)に形成されている。第1被覆部39Aは、露出部23を介して、導電基板2、下地バリア電極層6、Au系金属層7、第1バリア電極層8、光反射層9および第2バリア電極層10に対向している。
【0075】
第1被覆部39Aの周縁は、導電基板2の側面5側から露出している。第1被覆部39Aの周縁は、導電基板2の側面5に連なるように形成されている。第1被覆部39Aの周縁は、より具体的には、導電基板2の側面5に対して面一に形成されている。第1被覆部39Aの周縁は、さらに具体的には、導電基板2の側面5との間で1つの研削面を形成している。これにより、第1被覆部39Aは、露出部23の全域を被覆している。
【0076】
第1被覆部39Aは、導電基板2、下地バリア電極層6、Au系金属層7、第1バリア電極層8、光反射層9および第2バリア電極層10に対する保護層として形成されている。第1被覆部39Aは、光透過層11および半導体発光層12の間の不所望な短絡を抑制する。また、光反射層9の光反射効果を適切に保持できる。
第2被覆部39Bは、第1被覆部39Aと一体をなし、半導体発光層12の半導体側面21を被覆している。第2被覆部39Bは、半導体側面21の全域を被覆していることが好ましい。第2被覆部39Bは、p型半導体層17、発光層18およびn型半導体層19の間における不所望な短絡を抑制する。これにより、発光層18において適切に光を生成させることができる。
【0077】
第3被覆部39Cは、第2被覆部39Bと一体をなし、半導体発光層12の半導体主面22を被覆している。第3被覆部39Cは、より具体的には、半導体側面21から第2端子電極14に向けて延び、n型ウィンドウ層33の露出部を被覆している。
第3被覆部39Cは、n型ウィンドウ層33の露出部に形成された凹凸(unevenness)を埋めてn型ウィンドウ層33を被覆している。第3被覆部39Cは、さらに、第2端子電極14の主面を露出させるように第2端子電極14を部分的に被覆している。第3被覆部39Cは、より具体的には、第2端子電極14の主面を露出させるように第2端子電極14の電極本体部37および電極枝部38を被覆している。つまり、第3被覆部39Cは、n型コンタクト層34の本体部34Aおよび枝部34Bも被覆している。
【0078】
第3被覆部39Cは、n型ウィンドウ層33および第2端子電極14に対する保護層として形成されている。第3被覆部39Cは、より具体的には、第2端子電極14が外部接続される際に、第2端子電極14を外側から補強すると同時に、接続対象物からn型ウィンドウ層33を保護する。これにより、第2端子電極14を適切に外部接続させることができる。
【0079】
絶縁層39の厚さは、500Å以上5000Å以下であってもよい。絶縁層39の厚さは、500Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、3000Å以上4000Å以下、または、4000Å以上5000Å以下であってもよい。
第1端子電極13および第2端子電極14の間に所定の閾値電圧以上の順方向電圧が印加されると、半導体発光層12(発光層18)において光が生成される。半導体発光層12において生成された光は、導電基板2および半導体主面22に向けて照射される。
【0080】
半導体主面22に向かう光は、半導体主面22から直接取り出されるか、または、第2端子電極14によって導電基板2側に向けて反射される。導電基板2に向かう光(第2端子電極14による反射光を含む)は、光透過層11を通過し、光反射層9によって半導体主面22側に向けて反射される。これにより、半導体発光層12によって生成された光が、半導体主面22から取り出される。
【0081】
半導体主面22が粗面化されている場合、半導体主面22に入射する光を凹凸によって乱反射させることができる。これにより、半導体発光層12から外部への光の取り出し効率を高めることができる。
図3は、光反射率および光波長の関係をシミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。
図3において縦軸は、光反射率[%]を示し、横軸は光波長[nm]を示している。
図3には、第1曲線L1(破線参照)および第2曲線L2(実線参照)が示されている。第1曲線L1は、Au(ここでは純Au)の光反射特性を示している。第2曲線L2は、Al(ここでは純Al)の光反射特性を示している。
【0082】
第1曲線L1を参照して、Auは、光波長の増加に伴って対数関数的に増加する光反射率を有している。500nm以上610nm以下の短波長領域におけるAuの光反射率は、40%以上85%以下である。610nmを超えて800nm以下の長波長領域におけるAuの光反射率は、85%以上100%未満である。Auの光反射率は、長波長領域において96%以上100%未満の範囲で飽和する。
【0083】
一方、第2曲線L2を参照して、Alは、500nm以上800nm以下の長短波長領域において安定した光反射率を有している。500nm以上610nm以下の短波長領域におけるAlの光反射率は、80%以上90%以下である。610nmを超えて800nm以下の長波長領域におけるAlの光反射率は、80%以上90%以下である。
このように、Alは、Auの光反射特性とは異なる光反射特性を有している。Alは、より具体的には、短波長領域(610nm以下の波長領域)の光反射率が、Auの光反射率よりも高い光反射特性を有している。また、Alは、長波長領域(610nmを超える波長領域)の光反射率が、Auの光反射率よりも低い光反射特性を有している。
【0084】
光反射層9に代えてAu系金属層7担体を光反射層として機能させることもできる。しかし、この場合には、短波長領域の光に対する反射率が不十分であり、輝度を適切に高めることはできない。
そこで、半導体発光装置1では、Au系金属層7が形成された構造において、Alを含む光反射層9を、Au系金属層7と半導体発光層12の間にさらに介在させている。これにより、超短波長領域における光を適切に反射させることができるから、半導体発光層12で生成された光を適切に反射させることができる。よって、輝度を向上できる。
【0085】
特に、短波長領域に発光波長を有する光を生成する半導体発光層12が採用される場合には、光反射層9による反射効果の恩恵が大きい。半導体発光層12は、500nm以上700nm以下の短波長領域に発光波長を有する光(赤色光)を生成することが好ましい。
図4A〜
図4Oは、
図1に示す半導体発光装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。半導体発光装置1の製造方法では、複数の半導体発光装置1が同時に製造されるが、
図4A〜
図4Oでは、1つの半導体発光装置1が形成される領域およびその周辺の領域を示している。
【0086】
図4Aを参照して、導電基板2のベースになる第1ベース基板42が用意される。第1ベース基板42は、この形態では、シリコン製のウエハからなる。第1ベース基板42は、一方側の第1主面43および他方側の第2主面44を有している。第1ベース基板42の第1主面43および第2主面44は、導電基板2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している。
【0087】
次に、
図4Bを参照して、下地バリア電極層6および第1Au層15が、第1ベース基板42の第1主面43の上にこの順に形成される。下地バリア電極層6は、この形態では、Ti層を含む。第1Au層15は、この形態では、純Au層を含む。下地バリア電極層6および第1Au層15は、蒸着法および/またはスパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0088】
一方、
図4Cを参照して、第2ベース基板47が用意される。第2ベース基板47は、ベース主面48を有している。第2ベース基板47は、エピタキシャル成長法によってベース主面48の上に半導体発光層12を形成するための半導体基板である。
第2ベース基板47は、化合物半導体基板からなることが好ましい。化合物半導体基板によれば、ベース主面48の上に半導体発光層12を適切に形成できる。第2ベース基板47は、この形態では、GaAs基板からなる。第2ベース基板47は、エピタキシャル成長法によって半導体発光層12を形成できる限り任意であり、特定の材質に限定されない。
【0089】
次に、半導体発光層12が、ベース主面48上に形成される。この工程は、エピタキシャル成長法によって、n型コンタクト層34、n型ウィンドウ層33、n型クラッド層32、発光層18、p型クラッド層26、p型ウィンドウ層25およびp型コンタクト層24を、第2ベース基板47のベース主面48側からこの順に形成する工程を含む。
次に、光透過層11が、半導体発光層12(p型コンタクト層24)の上に形成される。光透過層11は、この形態では、ITO層を含む。光透過層11は、蒸着法またはスパッタ法によって形成されてもよい。
【0090】
次に、
図4Dを参照して、第2バリア電極層10、光反射層9、第1バリア電極層8および第2Au層16が、光透過層11の上にこの順に形成される。第2バリア電極層10は、この形態では、TiN層を含む。光反射層9は、この形態では、純Al層を含む。第1バリア電極層8は、この形態では、Ti層を含む。第2Au層16は、この形態では、純Au層を含む。第2バリア電極層10、光反射層9、第1バリア電極層8、第2Au層16は、蒸着法および/またはスパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0091】
次に、
図4Eを参照して、第2ベース基板47が、第2Au層16を第1Au層15に対向させた姿勢で、第1ベース基板42の上に配置される。
次に、
図4Fを参照して、第1Au層15および第2Au層16が、圧着(より具体的には熱圧着)される。これにより、第1Au層15および第2Au層16が接合されて、Au系金属層7が形成される。
【0092】
次に、
図4Gを参照して、第2ベース基板47が除去される。第2ベース基板47は、より具体的には、n型コンタクト層34が露出するまで除去される。第2ベース基板47は、たとえば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法またはエッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0093】
次に、
図4Hを参照して、所定パターンを有するマスク51が、半導体発光層12の主面(n型コンタクト層34の主面)に形成される。マスク51は、半導体発光層12の主面に第2端子電極14を形成すべき領域を露出させる複数の開口52を有している。
次に、第2端子電極14が、半導体発光層12の主面に形成される。第2端子電極14は、この形態では、第1Au電極層35および第2Au電極層36を含む積層構造を有している。第1Au電極層35および第2Au電極層36は、この工程では、リフトオフ法によって形成される。
【0094】
第1Au電極層35および第2Au電極層36は、蒸着法および/またはスパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。第1Au電極層35および第2Au電極層36は、半導体発光層12およびマスク51を被覆するように形成される。
次に、
図4Iを参照して、第1Au電極層35および第2Au電極層36においてマスク51を被覆する部分が、マスク51と同時に除去される。これにより、半導体発光層12の主面に第2端子電極14が形成される。
【0095】
次に、n型コンタクト層34の不要な部分が、除去される。n型コンタクト層34の不要な部分は、n型ウィンドウ層33が露出するまで除去される。n型コンタクト層34の不要な部分は、第2端子電極14をマスクとするエッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、n型コンタクト層34が、第2端子電極14の平面形状に対応した平面形状に形成される。
【0096】
次に、
図4Jを参照して、半導体発光層12の主面において第2端子電極14から露出する部分(n型ウィンドウ層33の露出部)が粗面化される。半導体発光層12の主面は、第2端子電極14をマスクとする粗面化エッチング法によって粗面化されてもよい。
次に、
図4Kを参照して、所定パターンを有するマスク49が、半導体発光層12の主面(n型コンタクト層34の主面)に形成される。マスク49は、複数のメサ構造20を形成すべき領域を被覆し、それら以外の領域を露出させる複数の開口50を有している。
【0097】
次に、半導体発光層12の不要な部分が、マスク49を介するエッチング法によって除去される。半導体発光層12の不要な部分は、光透過層11が露出するまで除去される。この工程では、光透過層11の一部も半導体発光層12と同時に除去される。
エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、異方性のドライエッチング法(たとえばRIE(Reactive Ion Etching)法)であることが好ましい。
【0098】
これにより、半導体発光装置1にそれぞれ対応した複数のデバイス領域45、および、複数のデバイス領域45を区画する切断予定溝46が半導体発光層12に区画される。複数のデバイス領域45は、メサ構造20をそれぞれ含む。複数のメサ構造20は、平面視において格子状の切断予定溝46によって行列状に区画されてもよい。切断予定溝46の底壁は、光透過層11の露出部23によって形成されている。その後、マスク49は除去される。
【0099】
次に、
図4Lを参照して、絶縁層39が、半導体発光層12(メサ構造20)、切断予定溝46および第2端子電極14の上に形成される。絶縁層39は、半導体発光層12(メサ構造20)、切断予定溝46および第2端子電極14を一括して被覆する。絶縁層39は、この形態では、SiN層からなる単層構造を有している。絶縁層39は、CVD法によって形成されてもよい。
【0100】
次に、
図4Mを参照して、所定パターンを有するマスク53が、絶縁層39の上に形成される。マスク53は、第2端子電極14に対応した平面形状を有する複数の開口54を有している。
次に、絶縁層39の不要な部分が、マスク53を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第2端子電極14を露出させる絶縁層39が形成される。その後、マスク53は除去される。
【0101】
次に、
図4Nを参照して、第1端子電極13が、第1ベース基板42の第2主面44に形成される。第1端子電極13は、第2主面44側からこの順に積層されたTi層40およびAu層41を含む。Ti層40およびAu層41は、蒸着法および/またはスパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
第1端子電極13の形成工程に先立って、任意のタイミングで、第1ベース基板42が薄化されてもよい。第1ベース基板42の薄化工程は、第2主面44を研削する工程を含んでいてもよい。第2主面44は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削されてもよい。
【0102】
次に、
図4Oを参照して、第1ベース基板42が、切断予定溝46に沿って切断される。第1ベース基板42は、ダイシングブレードまたはレーザーダイザーによって切断されてもよい。ダイシングブレードのブレード幅は、切断予定溝46の幅未満である。これにより、複数の半導体発光装置1が切り出される。このとき、切断予定溝46の底壁の一部が、光透過層11の露出部23となる。
【0103】
切断工程では、切断予定溝46に沿って第1ベース基板42が切断されるため、半導体発光層12(メサ構造20)に物理的な外力が加えられない。これにより、クラックをはじめとする半導体発光層12の形状不良を適切に抑制できる。よって、光を適切に生成できる半導体発光層12を形成できる。
また、切断工程において、切断予定溝46の全域は、絶縁層39によって被覆されている。絶縁層39は、切断工程において、第1ベース基板42、下地バリア電極層6、Au系金属層7、第1バリア電極層8、光反射層9および第2バリア電極層10に対する保護層となる。れにより、切断工程に起因して生じるパーティクルが、光透過層11や半導体発光層12に付着することを絶縁層39によって抑制できる。
【0104】
また、切断工程に起因するクラックが、第1ベース基板42、下地バリア電極層6、Au系金属層7、第1バリア電極層8、光反射層9および第2バリア電極層10に生じることを、絶縁層39によって抑制できる。よって、第1ベース基板42から複数の半導体発光装置1を適切に切り出すことができる。以上を含む工程を経て、半導体発光装置1が製造される。
【0105】
図5は、本発明の第2実施形態(以下、単に「この形態(this embodiment)」という。)に係る半導体発光装置61を示す平面図である。
図6は、
図5のVI−VI線に沿う断面図である。以下では、半導体発光装置1について述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図6を参照して、半導体発光装置61に係る光透過層11は、光透過電極層11Aに代えて、光反射層9の側からこの順に積層された光透過電極層63および光透過絶縁層64を含む積層構造を有している。
【0106】
光透過電極層63は、光反射層9の上に形成されている。光透過電極層63は、光反射層9の全域を被覆していることが好ましい。光透過電極層63は、ITO層、ZnO層およびIZO層のうちの少なくとも1つを含む。光透過電極層63は、この形態では、ITO層からなる。
光透過電極層63の厚さは、500Å以上5000Å以下であってもよい。光透過電極層63の厚さは、500Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、3000Å以上4000Å以下、または、4000Å以上5000Å以下であってもよい。光透過電極層63の厚さは、2000Å以上3000Å以下であることが好ましい。
【0107】
光透過絶縁層64は、光透過電極層63に接している。光透過絶縁層64は、光透過電極層63の全域を被覆していることが好ましい。光透過絶縁層64は、SiO
2層およびSiN層のうちの少なくとも1つを含む。光透過絶縁層64は、SiO
2層およびSiN層を任意の順で積層させた積層構造を有していてもよい。光透過絶縁層64は、この形態では、SiO
2層からなる単層構造を有している。
【0108】
光透過絶縁層64の厚さは、1000Å以上5000Å以下であってもよい。光透過電極層63の厚さは、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、3000Å以上4000Å以下、または、4000Å以上5000Å以下であってもよい。光透過電極層63の厚さは、2500Å以上4000Å以下であることが好ましい。光透過絶縁層64の厚さは、光透過電極層63の厚さを超えていてもよい。
【0109】
光透過層11の露出部23は、この形態では、光透過絶縁層64によって形成されている。つまり、絶縁層39(第1被覆部39A)は、光透過絶縁層64を被覆している。
第2バリア電極層10は、この形態では、光反射層9および光透過電極層63に接している。第2バリア電極層10は、光反射層9および光透過電極層63の全域に接していることが好ましい。
【0110】
第2バリア電極層10は、光反射層9中のAlが光透過電極層63に拡散することを抑制する。これにより、光反射層9に対する光透過電極層63の密着力を第2バリア電極層10によって高めることができる。また、第2バリア電極層10は、入射光(光反射層9によって反射された光を含む)を透過させる。よって、光反射層9および光透過電極層63を適切に形成できると同時に、光反射層9による光反射効果および光透過電極層63による光透過効果を適切に保持できる。
【0111】
半導体発光装置61は、光透過層11内に形成されたコンタクト電極66を含む。この形態では、複数のコンタクト電極66が、光透過層11内に形成されている。複数のコンタクト電極66は、この形態では、平面視において第2端子電極14と重ならない領域に形成されている。
各コンタクト電極66は、光透過層11を貫通し、光反射層9および半導体発光層12を電気的に接続させている。各コンタクト電極66は、より具体的には、光透過層11に形成されたコンタクト孔67に埋め込まれている。
【0112】
コンタクト孔67は、光透過電極層63および光透過絶縁層64を貫通し、第2バリア電極層10および半導体発光層12(p型コンタクト層24)を露出させている。p型コンタクト層24のp型不純物は、Mgであってもよい。各コンタクト電極66は、コンタクト孔67内において第2バリア電極層10および半導体発光層12(p型コンタクト層24)に接続されている。
【0113】
各コンタクト電極66は、Auを主成分に含む。各コンタクト電極66は、第2バリア電極層10側からこの順に積層された第1Au層68および第2Au層69を含む積層構造を有している。第1Au層68は、第2バリア電極層10に接続されている。第2Au層69は、半導体発光層12に接続されている。
第1Au層68および第2Au層69は、純Au層およびAu合金層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。純Au層は、非合金のAuを含む層である。純Au層は、純度が99%以上のAuを含む層であってもよい。Au合金層は、他の材料と合金化したAuを含む層である。Auと合金化した金属は、Ge,Ni、Be、Si等であってもよい。第1Au層68は、この形態では、純Au層からなる。第2Au層69は、この形態では、Au合金層の一例としてのAuBeNi層からなる。
【0114】
第1Au層68の厚さは、100Å以上3000Å以下であってもよい。第1Au層68の厚さは、100Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、または、2000Å以上3000Å以下であってもよい。第1Au層68の厚さは、500Å以上1500Å以下であることが好ましい。
第2Au層69の厚さは、500Å以上4000Å以下であってもよい。第2Au層69の厚さは、500Å以上1000Å以下、1000Å以上2000Å以下、2000Å以上3000Å以下、または、3000Å以上4000Å以下であってもよい。第2Au層69の厚さは、第1Au層68の厚さを超えていることが好ましい。第2Au層69の厚さは、1000Å以上3000Å以下であることが好ましい。
【0115】
n型コンタクト層34の本体部34Aは、平面視においてn型ウィンドウ層33の周縁から内方に間隔を空けてn型ウィンドウ層33の中央部に形成されている。本体部34Aは、この形態では、平面視において円形状に形成されている。本体部34Aの平面形状は任意である。本体部34Aは、平面視において、三角形状、四角形状、六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
【0116】
n型コンタクト層34の枝部34Bは、平面視において本体部34Aから導電基板2の2つの側面5に引き出された第1部分、および、第1部分に交差(直交)して当該2つの側面5に沿って延びる第2部分を含む。複数の枝部34Bの引き出し態様は、任意であり、特定の形態に制限されない。
第2端子電極14の電極本体部37は、n型コンタクト層34の本体部34Aの上に形成されている。電極本体部37は、この形態では、平面視において円形状に形成されている。電極本体部37の平面形状は、本体部34Aの平面形状に応じて調整される。電極本体部37は、本体部34Aの平面形状に応じて、平面視において三角形状、四角形状、六角形状等の多角形状、または、楕円形状に形成されていてもよい。
【0117】
第2端子電極14の電極枝部38は、n型コンタクト層34の枝部34Bの上に形成されている。電極枝部38は、平面視において電極本体部37から導電基板2の2つの側面5に引き出された第1部分、および、第1部分に交差(直交)して当該2つの側面5に沿って延びる第2部分を含む。電極枝部38の引き出し態様は、任意であり、特定の形態に制限されない。
【0118】
以上、半導体発光装置61によっても、半導体発光装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図7A〜
図7Qは、
図5に示す半導体発光装置61の製造方法の一例を説明するための断面図である。半導体発光装置61の製造方法では、複数の半導体発光装置61が同時に製造されるが、
図7A〜
図7Qでは、1つの半導体発光装置61が形成される領域およびその周辺の領域を示している。
【0119】
以下では、
図4A〜
図4Oにおいて述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。また、以下では、
図4A〜
図4Oにおいて述べた工程に対応する工程については具体的な説明を省略する。
図7Aを参照して、第1ベース基板42が用意される。
次に、
図7Bを参照して、下地バリア電極層6および第1Au層15が、第1ベース基板42の第1主面43の上に形成される。
【0120】
一方、
図7Cを参照して、第2ベース基板47が用意される。次に、n型コンタクト層34、n型ウィンドウ層33、n型クラッド層32、発光層18、p型クラッド層26、p型ウィンドウ層25およびp型コンタクト層24が、第2ベース基板47のベース主面48の上に形成される。
次に、光透過層11が、半導体発光層12の上に形成される。光透過層11は、この形態では、p型コンタクト層24側からこの順に積層された光透過絶縁層64および光透過電極層63を含む。光透過絶縁層64は、この形態では、SiO
2層からなる。光透過電極層63は、この形態では、ITO層からなる。光透過絶縁層64は、CVD法によって形成されてもよい。光透過電極層63は、蒸着法および/またはスパッタ法によって形成されてもよい。
【0121】
次に、
図7Dを参照して、所定パターンを有するマスク72が、光透過電極層63の上に形成される。マスク72は、光透過層11にコンタクト孔67を形成すべき領域をそれぞれ露出させる複数の開口73を有している。
次に、光透過層11の不要な部分が除去される。光透過層11の不要な部分は、マスク72を介するエッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、異方性のドライエッチング法(たとえばRIE法)であることが好ましい。これにより、光透過層11に複数のコンタクト孔67が形成される。
【0122】
次に、
図7Eを参照して、コンタクト電極66が、各コンタクト孔67内に形成される。コンタクト電極66は、この形態では、第2Au層69および第1Au層68を含む積層構造を有している。この工程では、各コンタクト孔67を埋めてマスク72を被覆する第2Au層69および第1Au層68がこの順に形成される。第2Au層69および第1Au層68は、蒸着法および/またはスパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0123】
次に、第2Au層69および第1Au層68においてマスク72を被覆する部分が、マスク72と同時に除去される。これにより、コンタクト電極66が、コンタクト孔67内に形成される。コンタクト電極66の形成工程では、マスク72を利用した。しかし、マスク72とは異なるマスクを利用してコンタクト電極66を形成してもよい。
次に、
図7Fを参照して、第2バリア電極層10、光反射層9、第1バリア電極層8および第2Au層16が、光透過電極層63の上にこの順に形成される。
【0124】
次に、
図7Gを参照して、第2ベース基板47が、第2Au層16を第1Au層15に対向させた姿勢で第1ベース基板42の上に配置される。
次に、
図7Hを参照して、第1Au層15および第2Au層16が圧着(より具体的には熱圧着)される。
次に、
図7Iを参照して、第2ベース基板47が除去される。
【0125】
次に、
図7Jを参照して、マスク51を利用したリフトオフ法によって、第2端子電極14が形成される。
次に、
図7Kを参照して、n型コンタクト層34の不要な部分が、第2端子電極14をマスクとするエッチング法によって除去される。これにより、n型コンタクト層34が、第2端子電極14の平面形状に対応した平面形状に形成される。
【0126】
次に、
図7Lを参照して、半導体発光層12の主面において第2端子電極14から露出する部分(n型ウィンドウ層33の露出部)が粗面化される。
次に、
図7Mを参照して、半導体発光装置61にそれぞれ対応した複数のデバイス領域45(メサ構造20)、および、複数のデバイス領域45を区画する切断予定溝46が、マスク49を介するエッチング法によって形成される。
【0127】
次に、
図7Nを参照して、絶縁層39が、半導体発光層12(メサ構造20)、切断予定溝46および第2端子電極14の上に形成される。
次に、
図7Oを参照して、絶縁層39の不要な部分が、マスク53を介するエッチング法によって除去される。
次に、
図7Pを参照して、第1端子電極13が、第1ベース基板42の第2主面44に形成される。第1端子電極13の形成工程に先立って、任意のタイミングで、第1ベース基板42が薄化されてもよい。
【0128】
次に、
図7Qを参照して、第1ベース基板42が、切断予定溝46に沿って切断される。これにより、複数の半導体発光装置61が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体発光装置61が製造される。
図8は、本発明の第3実施形態(以下、単に「この形態(this embodiment)」という。)に係る半導体発光装置81を示す断面図である。以下では、半導体発光装置61について述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0129】
図8を参照して、半導体発光装置81に係る光透過層11は、光透過絶縁層64からなる単層構造を有している。半導体発光装置81に係る光透過層11は、光透過電極層63を備えていない。
以上、半導体発光装置81によっても、半導体発光装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。半導体発光装置81は、
図7Cの工程から光透過電極層63の形成工程を省くことによって製造される。
【0130】
本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまりp型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で、種々の設計変更を施すことが可能である。