【解決手段】ハイサイドスイッチは、電源電圧が印加される電源端子と、負荷が外付け接続される出力端子と、グランド電圧が印加されるグランド端子と、前記電源端子と前記出力端子との間に設けられ、ボディダイオードを有する出力トランジスタと、を備える。前記ハイサイドスイッチは、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記出力トランジスタの制御端を充電する充電部と、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記グランド端子から前記電源端子に至る電流経路を遮断する遮断部と、をさらに備える。
前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記制御端に印加される電圧の上限を規定する制限部を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハイサイドスイッチ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したハイサイドスイッチでは、誤って電源端子とグランド端子との間に逆バイアスの電圧が印加されるおそれがある。
【0007】
電源端子とグランド端子との間に逆バイアスの電圧が印加された場合、対策が何ら講じられていなければ、ハイサイドスイッチ内の寄生ダイオードを通じてグランド端子から電源端子に電流が流れてハイサイドスイッチが破壊する。
【0008】
また、電源端子とグランド端子との間に逆バイアスの電圧が印加された場合、対策が何ら講じられていなければ、出力トランジスタのボディダイオードにも、負荷を通じて電流が流れて出力トランジスタが発熱し破壊に至るおそれがある。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、電源端子とグランド端子との間に逆バイアスの電圧が印加された場合の破壊を防止できるハイサイドスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中に開示されているハイサイドスイッチは、電源電圧が印加される電源端子と、負荷が外付け接続される出力端子と、グランド電圧が印加されるグランド端子と、前記電源端子と前記出力端子との間に設けられ、ボディダイオードを有する出力トランジスタと、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記出力トランジスタの制御端を充電する充電部と、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記グランド端子から前記電源端子に至る電流経路を遮断する遮断部と、を備える構成(第1の構成)である。
【0011】
また、上記第1の構成のハイサイドスイッチにおいて、前記充電部は、前記グランド端子と前記制御端との間に設けられる抵抗である構成(第2の構成)であってもよい。
【0012】
また、上記第1又は第2の構成のハイサイドスイッチにおいて、前記遮断部は、第1のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタと、第2のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタと、第1のデプレッション型Nチャネルトランジスタと、を備え、前記第1のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのゲートが前記電源端子に接続され、前記第1のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのドレインが前記グランド端子に接続され、前記第1のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのソースが前記第1のデプレッション型Nチャネルトランジスタのドレインに接続され、前記第1のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのバックゲートが前記第2のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのドレイン及びバックゲートと前記第1のデプレッション型Nチャネルトランジスタのゲート、ソース、及びバックゲートとに接続され、前記第2のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのゲートが前記電源端子に接続され、前記第2のエンハンスメント型Nチャネルトランジスタのソースが前記グランド端子に接続される構成(第3の構成)であってもよい。
【0013】
また、上記第1〜第3いずれかの構成のハイサイドスイッチにおいて、前記出力トランジスタを制御する制御部と、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記充電部から前記制御部に電流が流入することを阻止する阻止部と、を備える構成(第4の構成)であってもよい。
【0014】
また、上記第4の構成のハイサイドスイッチにおいて、前記阻止部は、第2のデプレッション型Nチャネルトランジスタであり、前記第2のデプレッション型Nチャネルトランジスタのバックゲートと前記出力端子とが接続され、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記第2のデプレッション型Nチャネルトランジスタはオフになる構成(第5の構成)であってもよい。
【0015】
また、上記第1〜第5いずれかの構成のハイサイドスイッチにおいて、前記電源電圧が前記グランド電圧より低い場合に前記制御端に印加される電圧の上限を規定する制限部を備える構成(第6の構成)であってもよい。
【0016】
また、上記第6の構成のハイサイドスイッチにおいて、前記制限部は、エンハンスメント型Pチャネルトランジスタと、ツェナーダイオードと、を備え、前記エンハンスメント型Pチャネルトランジスタのゲート、ソース、及びバックゲートが前記電源端子に接続され、前記エンハンスメント型Pチャネルトランジスタのドレインに前記ツェナーダイオードのアノードが接続され、前記ツェナーダイオードのカソードが前記出力トランジスタの制御端に接続される構成(第7の構成)であってもよい。
【0017】
本明細書中に開示されている電子機器は、上記第1〜第7いずれかの構成のハイサイドスイッチを備える構成(第8の構成)である。
【0018】
本明細書中に開示されている車両は、バッテリと、前記バッテリから放電電圧の供給を受けて動作する上記第8の構成の電子機器と、を備える構成(第9の構成)である。
【発明の効果】
【0019】
本明細書中に開示されているハイサイドスイッチによれば、電源端子とグランド端子との間に逆バイアスの電圧が印加された場合の破壊を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<ハイサイドスイッチの構成例>
図1に示すハイサイドスイッチ100は、半導体集積回路装置であり、装置外部との電気的な接続を確立する手段として、複数の外部ピン(入力端子IN、電源端子VBB、出力端子OUT、グランド端子GND)を備える。入力端子INは、CMOSロジックICなどから制御信号の外部入力を受け付けるための外部ピンである。電源端子VBBは、バッテリ等の直流電源から電源電圧Vbb(例えば4.5V〜18V)の供給を受け付けるための外部ピンである。なお、電源端子VBBは、大電流を流すために複数並列(例えば4ピン並列)に設けてもよい。出力端子OUTは、負荷(例えばエンジン制御用ECU[electronic control unit]、エアコン、ボディ機器など)が外部接続される外部ピンである。グランド端子GNDは、グランド電圧が印加される外部ピンである。
【0022】
なお、ハイサイドスイッチ100は、入力端子IN、電源端子VBB、出力端子OUT、及びグランド端子GND以外の外部ピン(例えばハイサイドスイッチ100内の異常検出の有無を示す自己診断信号を外部出力するための外部ピン)を備えてもよい。
【0023】
ハイサイドスイッチ100は、出力トランジスタQ1と、定電圧生成回路1と、発振回路2と、チャージポンプ回路3と、ゲート制御回路4と、クランプ回路5と、入力回路6と、充電部7と、遮断部8と、抵抗R1と、阻止部9と、制限部10と、を備える。
【0024】
ハイサイドスイッチ100は、内部電源回路(不図示)も備える。内部電源回路は、電源電圧Vbbから所定の内部電源電圧を生成してハイサイドスイッチ100の各部に供給する。内部電源回路は、イネーブル信号ENの論理レベルに応じて動作可否が制御される。より具体的に述べると、内部電源回路は、イネーブル信号ENがイネーブル時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに動作状態となり、イネーブル信号ENがディセーブル時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに停止状態となる。
【0025】
ハイサイドスイッチ100は、ハイサイドスイッチ100の異常を検出し、その検出結果に応じた異常保護信号を生成する保護回路(不図示)も備える。
【0026】
出力トランジスタQ1は、電源端子VBBと出力端子OUTとの間に設けられるパワートランジスタである。出力トランジスタQ1は、ボディダイオードを有する。出力トランジスタQ1は、例えばエンハンスメント型NチャネルMOSトランジスタであり、ドレインが電源端子VBBに接続され、ソース及びバックゲートが出力端子OUTに接続される。
【0027】
定電圧生成回路1は、電源端子VBBとグランド端子GNDとの間に設けられ、電源電圧Vbbに応じたハイ電圧VH(=電源電圧Vbb)と、ハイ電圧VHよりも定電圧REF(=例えば5V)だけ低いロー電圧VL(=Vbb−REF)とを生成して発振回路2及びチャージポンプ回路3に供給する。なお、定電圧生成回路1は、イネーブル信号EN及び異常保護信号の論理レベルに応じて動作可否が制御される。より具体的に述べると、定電圧生成回路1は、イネーブル信号ENがイネーブル時の論理レベル(例えばハイレベル)であるとき、若しくは、異常保護信号が異常未検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに動作状態となり、イネーブル信号ENがディセーブル時の論理レベル(例えばローレベル)であるとき、若しくは、異常保護信号が異常検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに停止状態となる。
【0028】
定電圧生成回路1は、例えば、電流源1A、エンハンスメント型PチャネルMOSトランジスタ1B(以下「トランジスタ1B」と略す)、ツェナーダイオード1C、ダイオード1D、負電圧保護回路1E、カレントミラー回路1F、及びエンハンスメント型NチャネルMOSトランジスタ1G(以下「トランジスタ1G」と略す)によって構成される。電流源1Aの一端に内部電源電圧が印加され、電流源1Aの他端からカレントミラー回路1Fに電流が出力される。トランジスタ1Bのソース及びバッグゲートは電源端子VBBに接続される。トランジスタ1Bのドレインはツェナーダイオード1Cのカソード、負電圧保護回路1E、発振回路2、及びチャージポンプ回路3に接続される。トランジスタ1Bは、保護回路によって異常が検出されていないときにオンとなり、保護回路によって異常が検出されているときにオフになる。ツェナーダイオード1Cのアノードはダイオード1Dのアノードに接続される。ダイオード1Cのカソードは発振回路2及びチャージポンプ回路3に接続される。また、ダイオード1Cのカソードは負電圧保護回路1Eを介してカレントミラー回路1Fに接続される。負電圧保護回路1Eは、出力端子OUTが負電圧となる場合にグランド端子GNDから出力端子OUTに至る電流経路を遮断する。なお、負電圧保護回路1Eは、例えば遮断部8と同様の構成にすればよい。遮断部8の構成例については後述する。カレントミラー回路1Fは、電流源1Aから出力される電流に応じたミラー電流をトランジスタ1B、ツェナーダイオード1C、ダイオード1D、及び負電圧保護回路1Eから吸い込む。トランジスタ1Gドレインは電流源1Aとカレントミラー回路1Fとの接続ノードに接続され、トランジスタ1Gソース及びバックゲートはカレントミラー回路1Fと遮断部8との接続ノードに接続される。トランジスタ1Gのゲートにイネーブル信号ENが供給される。イネーブル信号ENがディセーブル時にカレントミラー回路1Fはミラー電流(吸い込み電流)を出力しない。
【0029】
発振回路2は、ハイ電圧VHとロー電圧VLの供給を受けて動作し、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ回路3に出力する。なお、クロック信号CLKは、ハイ電圧VHとロー電圧VLとの間でパルス駆動される矩形波信号である。
【0030】
チャージポンプ回路3は、ハイ電圧VHとロー電圧VLの供給を受けて動作し、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより、電源電圧Vbbよりも高い昇圧電圧VCPを生成してゲート制御回路4及び阻止部9に供給する。
【0031】
ゲート制御回路4は、昇圧電圧VCPの印加端と出力端子OUTとの間に設けられており、ゲート電圧VGを生成して出力トランジスタQ1のゲートに出力する。ゲート電圧VGは、保護回路によって異常が検出されていないときにハイレベル(=VCP)となり、保護回路によって異常が検出されているときにローレベル(=Vout)となる。
【0032】
クランプ回路5は、電源端子VBBと出力トランジスタQ1のゲートとの間に設けられる。出力端子OUTに誘導性負荷が接続されるアプリケーションでは、出力トランジスタQ1をオンからオフへ切り替える際、誘導性負荷の逆起電力により出力端子OUTが負電圧となる。そのため、エネルギー吸収用にクランプ回路7(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。なお、Vbb−(Vclp+Vgs)で表されるアクティブクランプ電圧は、例えば48Vに設定するとよい(ただし、Vbbは電源電圧、Vclpは出力端子OUTの負側クランプ電圧、Vgsは出力トランジスタQ1のゲート・ソース間電圧)。
【0033】
クランプ回路5は、例えば、
図2に示すようにエンハンスメント型NチャネルMOSトランジスタ5A(以下「トランジスタ5A」と略す)、ツェナーダイオード5B、ダイオード5C、及び抵抗5Dによって構成される。トランジスタ5Aのドレインは電源端子VBBに接続される。トランジスタ5Aのソースは出力トランジスタQ1のゲートに接続される。トランジスタ5Aのバックゲートは出力端子OUTに接続される。ツェナーダイオード5Bのカソードは電源端子VBBに接続される。ツェナーダイオード5Bのアノードはダイオード5Cのアノードに接続される。ダイオード5Cのカソードはトランジスタ5Aのゲート及び抵抗5Dの一端に接続される。抵抗5Dの他端は出力トランジスタQ1のゲートに接続される。
【0034】
入力回路6は、入力端子INから制御信号の入力を受け付けてイネーブル信号ENを生成するシュミットトリガである。
【0035】
直流電源200を正しい向きでハイサイドスイッチ100に接続すると、
図3に示すように電源端子VBBに直流電源200の正極が接続される。なお、出力端子OUTに負荷300が接続され、グランド端子GNDに抵抗などの外付け素子が接続されることなくグランド電圧が印加される。
図3に示す接続状態では、電源電圧Vbbがグランド電圧よりも高くなり、電源端子VBBとグランド端子GNDとの間に正バイアスの電圧が印加される。
【0036】
一方、直流電源200を誤った向き(逆向き)でハイサイドスイッチ100に接続すると、
図4に示すように電源端子VBBに直流電源200の負極が接続される。なお、出力端子OUTに負荷300が接続され、グランド端子GNDに抵抗などの外付け素子が接続されることなくグランド電圧が印加される。
図4に示す接続状態では、電源電圧Vbbがグランド電圧よりも低くなり、電源端子VBBとグランド端子GNDとの間に逆バイアスの電圧が印加される。
【0037】
充電部7及び遮断部8は、電源端子VBBとグランド端子GNDとの間に逆バイアスの電圧が印加された場合の破壊を防止するために設けられる。
【0038】
充電部7は、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に出力トランジスタQ1のゲートを充電する。これにより、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に出力トランジスタQ1がオンになり、出力トランジスタQ1の消費電力及び発熱を低減することができる。すなわち、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に出力トランジスタQ1の発熱によって破壊することを防止できる。
【0039】
充電部7として、例えばグランド端子GNDと出力トランジスタQ1のゲートとの間に設けられる抵抗7Aを用いることができる。抵抗7Aは、電源電圧Vbbがグランド電圧より高い場合にプルダウン抵抗になるが、ゲート制御回路4による出力トランジスタQ1の制御に影響を与えない程度の抵抗値(例えば500kΩなど)を有する。
【0040】
遮断部8は、電源逆接続保護回路であり、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合にグランド端子GNDから電源端子VBBに至る電流経路を遮断する。これにより、抵抗やダイオードなどの素子をグランド端子GNDに外付け接続しなくても、ハイサイドスイッチ100内の寄生ダイオードを通じてグランド端子GNDから電源端子VBBに電流が流れてハイサイドスイッチ100が破壊することを防止できる。
【0041】
遮断部8は、定電圧生成回路1とグランド端子GNDとの間に設けられる。また、遮断部8は電源端子VBBに接続される。より詳細には、遮断部8は抵抗R1を介して電源端子VBBに接続される。
【0042】
遮断部8は、例えば、
図5に示すようにエンハンスメント型NチャネルMOSトランジスタ8A(以下「トランジスタ8A」と略す)、エンハンスメント型NチャネルMOSトランジスタ8B(以下「トランジスタ8B」と略す)、デプレッション型NチャネルMOSトランジスタ8C(以下「トランジスタ8C」と略す)によって構成される。
【0043】
トランジスタ8Aのゲートは電源端子VBBに接続される。より詳細には、トランジスタ8Aのゲートは抵抗R1を介して電源端子VBBに接続される。トランジスタ8Aのドレインはグランド端子GNDに接続される。また、トランジスタ8Aのゲートは定電圧生成回路1の一端に接続される。より詳細には、トランジスタ8Aのゲートは抵抗R1を介して定電圧生成回路1の一端に接続される。トランジスタ8Aのソースはトランジスタ8Cのドレインに接続される。また、トランジスタ8Aのソース及びトランジスタ8Cのドレインは定電圧生成回路1の他端に接続される。トランジスタ8Aのバックゲートは、トランジスタ8Bのドレイン及びバックゲートとトランジスタ8Cのゲート、ソース、及びバックゲートとに接続される。トランジスタ8Bのゲートは電源端子VBBに接続される。より詳細には、トランジスタ8Bのゲートは抵抗R1を介して電源端子VBBに接続される。また、トランジスタ8Bのゲートは定電圧生成回路1の一端に接続される。より詳細には、トランジスタ8Bのゲートは抵抗R1を介して定電圧生成回路1の一端に接続される。トランジスタ8Bのソースはグランド端子GNDに接続される。
【0044】
電源電圧Vbbがグランド電圧より高い場合に、
図5に示す構成例の遮断部8では、トランジスタ8Aのゲート電圧が所定の電圧(ドレイン電圧+閾値電圧Vth)以上となり、トランジスタ8Bがオンする。これにより、トランジスタ8Aのバックゲートがドレインと同電位となって、トランジスタ8Aがオン(ソース・ドレイン間がショート)する。
【0045】
一方、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に、
図5に示す構成例の遮断部8では、トランジスタ8Aのゲート電圧が所定の電圧以下となり、トランジスタ8Bがオフする。すると、トランジスタ8Cによって、トランジスタ8Aのバックゲートがソースと同電位となるので、トランジスタ8Aがオフする。
【0046】
図5に示す構成例の遮断部8では、電源端子VBBとグランド端子GNDとの間に印加される電圧のバイアス方向に応じて、トランジスタ8Aのバックゲートに接続されるトランジスタ8Bまたは8Cのいずれか一方が選択的にオンされるようになっている。電源端子VBBとグランド端子GNDとの間に逆バイアスの電圧が印加された場合には、トランジスタ8Cが選択的にオンされてトランジスタ8Aがオフされる。これにより、グランド端子GND側(トランジスタ8Aのドレイン側)から電源端子VBB側(トランジスタ8Aのソース側)への電流経路が遮断される。
【0047】
阻止部9は、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に、充電部7からゲート制御回路4に電流が流入することを阻止する。これにより、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に、充電部7による出力トランジスタQ1のゲート充電に関する確実性が向上する。
【0048】
阻止部9として、例えばゲート制御回路4と充電部7及び制限部10との間に設けられるデプレッション型Nチャネルトランジスタ9A(以下「トランジスタ9A」と略す)を用いることができる。電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に、トランジスタ9Aはオフになる。一方、電源電圧Vbbがグランド電圧より高い場合に、トランジスタ9Aはオンになる。
【0049】
制限部10は、電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に出力トランジスタQ1のゲートに印加される電圧の上限を規定する。これにより、充電部7による充電で出力トランジスタQ1のゲート電圧が過度に上昇することを防止できる。
【0050】
制限部10は、例えばエンハンスメント型Pチャネルトランジスタ10A(以下「トランジスタ10A」と略す)及びツェナーダイオード10Bによって構成される。トランジスタ10Aのゲート、ソース、及びバックゲートは電源端子VBBに接続される。トランジスタ10Aのドレインにツェナーダイオード10Bのアノードが接続される。ツェナーダイオード10Bのカソードは出力トランジスタQ1のゲートに接続される。
【0051】
電源電圧Vbbがグランド電圧より低い場合に、電源端子VBBと出力トランジスタQ1のゲートとの間の電圧は、トランジスタ10Aのドレイン・バックゲート間のPN接合の順方向電圧とツェナーダイオード10Bのツェナー電圧との和でクランプされる。一方、電源電圧Vbbがグランド電圧より高い場合に、トランジスタ10Aはオフになる。したがって、電源電圧Vbbがグランド電圧より高い場合に、制限部10は、出力トランジスタQ1のゲートに印加される電圧の上限を規定しない。
【0052】
<ハイサイドスイッチの用途例>
図6は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電源電圧Vbbの供給を受けて動作する種々の電子機器X11〜X18と、を搭載している。なお、本図における電子機器X11〜X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0053】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0054】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0055】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0056】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0057】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0058】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0059】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0060】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0061】
なお、先に説明したハイサイドスイッチ100は、電子機器X11〜X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0062】
<その他>
本明細書中に開示されている発明は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。