【解決手段】LED制御装置50は、電圧源と電流ドライバ60との間において直列に接続された複数のLEDを調光する。LED制御装置50は、電圧検出部52と、調光部54とを備える。電圧検出部52は、複数のLEDと電流ドライバ60との接続ノードN1の電圧Vfbを検出する。調光部54は、電圧Vfbに応じて電流ドライバ60を流れる電流ILを制御する。電圧Vfbが閾値よりも高い場合、調光部54は、電流ドライバ60を流れる電流ILの基準時間あたりの平均値を、電圧Vfbが当該閾値よりも低い場合の平均値よりも低下させる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る表示装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示されるように、表示装置1は、LED列10と、LED駆動装置100とを備える。LED駆動装置100は、DC(Direct Current)/DCコンバータ20(電圧源)と、半導体装置40とを備える。半導体装置40は、外部端子T1,T2と、LED制御装置50と、電流ドライバ60とを備える。半導体装置40は、たとえば、LED制御装置50及び電流ドライバが集積化されたIC(Integrated Circuit)として形成される。
【0011】
LED列10は、複数のLED12を含む。複数のLED12は、DC/DCコンバータ20と電流ドライバ60との間において直列に接続されている。
図1には、LED列10に含まれるLEDの数が4以上である場合が示されている。LED列10が含むLED12の数は、3以下でもよい。
【0012】
DC/DCコンバータ20は、電源ノード22と、コイル24と、スイッチング素子Q1と、ダイオード26と、キャパシタ28とを含む。コイル24は、電源ノード22とスイッチング素子Q1との間に接続されている。スイッチング素子Q1は、コイル24と接地ノードとの間に接続されている。スイッチング素子Q1のゲートは、LED制御装置50の外部端子T2に接続されている。
図1においてスイッチング素子Q1がN型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合が示されている。スイッチング素子Q1は、NPN型バイポーラトランジスタ等であってもよい。
【0013】
コイル24とスイッチング素子Q1との接続ノードに、ダイオード26のアノードが接続されている。LED列10のアノード側に、ダイオード26のカソードが接続されている。
図1に示されるダイオード26は、SBD(Schottky Barrier Diode)である。SBDは、順方向電圧が小さいため、順方向の損失が小さく高効率であるとともに、スイッチングが高速であることが知られている。ダイオード26は、SBD以外のダイオードであってもよい。キャパシタ28は、ダイオード26のカソードと接地ノードとの間に接続されている。
【0014】
電源ノード22、コイル24、スイッチング素子Q1、ダイオード26、及びキャパシタ28によって、昇圧チョッパ回路が形成されている。LED制御装置50によってスイッチング素子Q1がスイッチング制御され、電源ノード22から供給される電力が昇圧されてLED列10へ供給される。
【0015】
LED制御装置50は、エラーアンプおよびPWM回路等が形成されたハードウェア(電子回路)を含む。LED制御装置50は、LED列10と電流ドライバ60との接続ノードの電圧(外部端子T1の電圧)を受けて、DC/DCコンバータ20を駆動する。具体的には、LED制御装置50のPWM回路は、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、当該PWM信号をスイッチング素子Q1のゲートが接続される外部端子T2へ出力する。LED制御装置50は、外部端子T1の電圧に基づいてLED列10に流れる電流の目標値を設定するために基準電圧Vrefを電流ドライバ60に出力する。LED制御装置50は、基準電圧Vrefを調整することにより、LED列10に対してDC調光を行う。
【0016】
なお、LED制御装置50の機能は、ハードウェアによって実現されるものに限られず、ソフトウェアによって実現されてもよい。たとえば、LED制御装置50がCPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))、および各種信号を入出力するための入出力バッファ等を含み、CPUがROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行することによってもLED制御装置50の機能を実現することができる。ROMに格納されるプログラムは、LED制御装置50の処理手順が記されたプログラムである。LED制御装置50は、当該プログラムに従って各種処理を実行するように構成されても良い。
【0017】
図2は、
図1のLED制御装置50および電流ドライバ60の具体的な構成を示す機能ブロック図である。
図2に示されるように、LED制御装置50は、電圧検出部52と、調光部54とを含む。電流ドライバ60は、スイッチング素子62と、抵抗素子64と、エラーアンプ66とを含む。
【0018】
電圧検出部52は、外部端子T1の電圧である接続ノードN1の電圧Vfbを検出し、調光部54に出力する。調光部54は、基準電圧Vrefをエラーアンプ66の非反転入力端子(+)に出力する。
【0019】
スイッチング素子62は、LED列10のカソード側が接続される外部端子T1と抵抗素子64との間に接続されている。
図2にはスイッチング素子62がN型MOSFETである場合が示されている。スイッチング素子62は、NPN型バイポーラトランジスタ等であってもよい。抵抗素子64は、スイッチング素子62と接地ノードとの間に接続されている。
【0020】
スイッチング素子62と抵抗素子64との接続ノードは、エラーアンプ66の反転入力端(−)に接続されている。エラーアンプ66の非反転入力端(+)には、調光部54から基準電圧Vrefが与えられる。エラーアンプ66の出力端は、スイッチング素子62のゲートに接続されている。
【0021】
エラーアンプ66の反転入力端(−)には、スイッチング素子62に流れる電流IL(すなわちLED列10に流れる電流)を抵抗素子64によって電圧に変換した検出信号(電圧)が入力される。エラーアンプ66の非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefは、LED列10に流れる電流の目標値を抵抗素子64の抵抗値によって電圧に変換した信号である。
【0022】
エラーアンプ66は、基準電圧Vrefと上記検出信号(電圧)との差分を増幅した信号をスイッチング素子62のゲートへ出力することでスイッチング素子62を駆動する。スイッチング素子62に流れる電流ILが、基準電圧Vrefに対応する電流目標値に調整される。なお、LED制御装置50および電流ドライバ60の各々は、互いに別個のICとして形成されてもよい。
【0023】
LED12が故障して、LED12のアノードとカソードとが短絡した場合、LED12の順方向電圧降下が生じなくなる。電圧Vfbが上昇するため、LED12に短絡故障が発生する前と同様の電流をLED列10に流し続けると半導体装置40の温度が想定よりも上昇し得る。そこで、表示装置1においては、電圧Vfbが閾値Vthより大きいことが検知された場合(第1の場合)、調光部54は、電流ドライバ60に出力する基準電圧Vrefを、電圧Vfbが閾値Vthより小さい場合(第2の場合)よりも基準電圧Vrefを低下させることによってLED列10に流れる電流を低減し、LED12の短絡故障による発熱を抑制する。また、表示装置1によれば、LED列10の発光が維持されるため、LED列10に含まれるすべてのLED12が停止される場合よりも、表示装置1の視認性の低下を抑制することができる。
【0024】
なお、閾値Vthは、LED列10に短絡故障が発生していない場合に想定される電圧Vfb(たとえば0.5V)に基づいて決定される。すなわち、電圧Vfbが閾値Vth以下である場合は、LED列10に短絡故障が発生していない場合に対応する。
【0025】
図3は、
図2の調光部54によってサンプリングタイム毎に行われる基準電圧設定処理の流れを示すフローチャートである。以下ではステップを単にSと記載する。
図3に示されるように、調光部54は、S101において電圧Vfbが閾値Vthより大きいか否かを判定する。電圧Vfbが閾値Vth以下である場合(S101においてNO)、調光部54は、S102において基準電圧Vrefを電圧V1に設定する。電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合(S101においてYES)、調光部54は、S103において基準電圧Vrefを電圧V2(<V1)に設定し、処理を終了する。
【0026】
表示装置1において、LED列10が駆動されている場合、電流ILは基準電圧Vrefに対応する電流値でほぼ一定であるから、電流ILの基準時間あたりの平均値は基準電圧Vrefに対応する電流値にほぼ等しい。電圧Vfbが閾値Vth以下である場合の電流ILの平均値は、電圧V1に対応する電流値にほぼ等しい。電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合の電流ILの平均値は、電圧V2に対応する電流値にほぼ等しい。電圧V2は電圧V1よりも小さいから、電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合の電流ILの平均値は、電圧Vfbが閾値Vthより小さい場合の電流ILの平均値よりも小さい。
【0027】
図1においては、LED列10が1つである場合について説明した。実施の形態に係る表示装置に含まれるLED列10の数は、複数であってもよい。
図4は、実施の形態1の変形例に係る表示装置1Aの構成を示す機能ブロック図である。表示装置1Aの構成は、
図1のLED列10が複数とされるとともに、
図1の半導体装置40が半導体装置40Aに置き換えられた構成である。半導体装置40Aの構成は、複数のLED列10に対応するように、外部端子T1、及び電流ドライバ60が複数とされるとともに、
図1のLED制御装置50がLED制御装置50Aに置き換えられた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0028】
図4を参照しながら、LED制御装置50Aは、複数のLED列10の各々と当該LED列10に対応する電流ドライバ60との接続ノードの電圧Vfbを取得する。LED制御装置50Aは、複数の電流ドライバ60の各々に対して、サンプリングタイム毎に
図3に示される処理を行う。
【0029】
以上、実施の形態1および変形例に係る表示装置によれば、LEDの短絡故障に伴う発熱を抑制しながら、LEDによる表示の視認性の低下を抑制することができる。
【0030】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、電圧源と電流ドライバとの間において直列に接続された複数のLEDに対してDC調光を行う場合について説明した。実施の形態2においては、当該複数のLEDに対してPWM調光を行う場合について説明する。
【0031】
図5は、実施の形態2に係る表示装置2の構成を示す機能ブロック図である。表示装置2の構成は、
図1の半導体装置40が半導体装置40Bに置き換えられた構成である。半導体装置40Bの構成は、
図1の半導体装置40の構成に外部端子T3が追加されているとともに、
図1のLED制御装置50および電流ドライバ60がLED制御装置50B及び電流ドライバ60Bにそれぞれ置き換えられた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。なお、実施の形態1と同様に、実施の形態2に係る表示装置において、LED列10を複数としてもよい。
【0032】
図5に示されるように、外部端子T3にはPWM信号である調光信号DM1が入力される。LED制御装置50Bは、調光信号DM1に基づいて電流ドライバ60Bに流れる電流を制御することにより、LED列10に対してPWM調光を行う。
【0033】
図6および
図7は、
図5のLED制御装置50Bおよび電流ドライバ60Bの具体的な構成を示す機能ブロック図である。LED制御装置50Bの構成は、
図2の調光部54が調光部54Bに置き換えられた構成である。電流ドライバ60Bの構成は、
図2の電流ドライバ60にスイッチSW1〜SW3およびインバータ68が追加された構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0034】
調光部54Bは、電圧Vfbおよび調光信号DM1に基づいて調光信号DM2を生成し、調光信号DM2を電流ドライバ60Bに出力する。
図6は、調光信号DM2の値がH値である場合の電流ドライバ60の接続状態を示す。
図7は、調光信号DM2の値がL値である場合の電流ドライバ60の接続状態を示す。
図6と
図7とでは、スイッチSW1〜SW3の接続状態が異なる。
【0035】
図6および
図7に示されるように、スイッチSW1は、エラーアンプ66の出力端とスイッチング素子62のゲートとの間に接続されている。スイッチSW2は、エラーアンプ66の反転入力端(−)と抵抗素子64との間に接続されている。スイッチSW3は、スイッチング素子62のゲートと接地ノードとの間に接続されている。インバータ68は、調光部54BとスイッチSW3との間に接続されている。
【0036】
スイッチSW1およびSW2の接続状態は、調光信号DM2に基づいて導通状態および非導通状態の間で切り替えられる。スイッチSW3の接続状態は、調光信号DM2がインバータ68によって論理反転された信号に基づいて導通状態および非導通状態の間で切り替えられる。
【0037】
調光信号DM2がH値である場合、スイッチSW1およびSW2が導通状態とされるともにスイッチSW3が非導通状態とされることにより、LED列10に電流ILが流れる。調光信号DM2がL値である場合、スイッチSW1およびSW2が非導通状態とされるともにスイッチSW3が導通状態とされることにより、電流ILが停止される。調光信号DM2においてH値とL値とが交互に繰り返されることにより、
図6に示される接続状態と
図7に示される接続状態とが交互に繰り返される。
【0038】
図8は、
図6および
図7の調光信号DM1,DM2、外部端子T1の電圧Vfb、及びLED列10を流れる電流IL各々の波形を併せて示す図である。
図8においては、時刻tm1〜tm2の間にLED12の短絡故障が発生したとする。
【0039】
図8に示されるように、調光信号DM1においては、一定のデューティ比(Th1/Ts)のパルス波形が周期Ts(基準時間)で繰り返されている。調光信号DM2も時刻tm1までは調光信号DM1と同じデューティ比のパルス波形が繰り返されている。基準電圧Vrefは、電圧V1で一定である。電流ILは、調光信号DM2がH値である時間帯Th1(特定時間帯)において電流IL1となる。電流IL1は、電圧V1に対応する電流ILの目標値である。電圧Vfbは、時刻tm2までは電流ILが流れる時間帯において閾値Vthよりも小さい電圧V3である。電圧Vfbは、時刻tm2以降は閾値Vthよりも大きい電圧V4である。
【0040】
調光部54Bは、電圧Vfbが閾値Vth以下である場合、調光信号DM2のデューティ比を調光信号DM1のデューティ比に設定する。調光部54Bは、電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合、調光信号DM2のデューティ比を調光信号DM1のデューティ比よりも小さいデューティ比(Th2/Ts)に設定する。時刻tm2以降では、周期Tsにおいて電流IL1が流れる時間帯Th2は、時刻tm2以前において電流IL1が流れる時間帯Th1よりも短い。
【0041】
調光部54Bは、電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合、調光信号DM2のデューティ比を電圧Vfbが閾値Vthよりも小さい場合のデューティ比よりも低下させることにより、周期Tsに対する電流IL1が流れる時間帯の比(電流ILのデューティ比)を低下させる。その結果、電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合の電流ILの周期Tsあたりの平均値は、電圧Vfbが閾値Vthより小さい場合の電流ILの周期Tsあたりの平均値よりも小さくなる。LED列10に流れる電流が低減されるため、LED12の短絡故障による発熱を抑制することができる。また、表示装置2によれば、LED列10の発光が維持されるため、LED列10に含まれるすべてのLED12が停止される場合よりも、表示装置2の視認性の低下を抑制することができる。
【0042】
実施の形態2においては、LED12に短絡故障が発生した場合、電流ILの目標値を維持しながら電流ILのデューティ比を低下させる構成について説明した。電流ILの目標値を維持する必要はなく、電流ILのデューティ比を低下させるとともに、電流ILの目標値を低下させてもよい。また、電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合の電流ILの周期Tsあたりの平均値が、電圧Vfbが閾値Vthより小さい場合の電流ILの周期Tsあたりの平均値よりも小さい限度で、電流ILのデューティ比を低下させるとともに、電流ILの目標値を増加させてもよい。
【0043】
図9は、実施の形態2の変形例における調光信号DM1,DM2、外部端子T1の電圧Vfb、及びLED列10を流れる電流IL各々の波形を併せて示す図である。
図8と
図9との違いは、時刻tm2以降において基準電圧VrefがV1からV5(>V1)に、変更されるとともに、周期Tsにおいて電流ILが流れる時間帯がTh3(<Th2)に変更されていることである。基準電圧Vrefの変更および周期Tsにおいて電流ILが流れる時間帯の変更は、調光部によって行われる。
図9の調光信号DM1の波形図および電圧Vfbの波形図は、
図8と同様である。
【0044】
図9に示されように、時刻tm2以降において電流ILは、電流IL1から電圧V5に対応する電流IL5に変化している。電圧Vfbが閾値Vthより大きい場合の電流ILの周期Tsあたりの平均値が、電圧Vfbが閾値Vthより小さい場合の電流ILの周期Tsあたりの平均値よりも小さい以上、電流ILの目標値を増加させてもLED列10に流れる電流が低減される。実施の形態2の変形例に係る表示装置によっても、短絡故障による発熱を抑制しながら、表示装置2の視認性の低下を抑制することができる。
【0045】
以上、実施の形態2および変形例に係る表示装置によれば、LEDの短絡故障に伴う発熱を抑制しながら、LEDによる表示の視認性の低下を抑制することができる。
【0046】
なお、実施の形態および変形例に係る表示装置は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)の光源に適用することができ、特に、車両の運転状況等をドライバに表示する車載ディスプレイの光源に好適である。実施の形態1,2に係る表示装置によれば、LEDのアノードとカソードとが短絡した場合でも、車載ディスプレイが完全に消灯してしまうのを防止し、リンプホーム走行を行なうことができる。
【0047】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わされて実施されることも予定されている。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。