【解決手段】本開示に係るLED制御装置は、チョッパ回路と電流ドライバとの間に接続されたLEDをPWM調光する。LED制御装置は、電源制御部と、調光部とを備える。電源制御部は、チョッパ回路に第1PWM信号Spwmを出力する。調光部は、第2PWM信号DM1に基づいて電流ドライバに流れる電流ILを制御する。第1PWM信号Spwmの第1周期は、第2PWM信号DM1の第2周期よりも短い。電源制御部は、第1PWM信号Spwmの立ち上がりタイミングを第2PWM信号DM1の立ち上がりタイミングに同期させる。
前記電源制御部は、前記第2PWM信号の立ち上がりタイミングから前記第1周期の間の前記第1PWM信号のデューティ比を、前記第2PWM信号の立ち上がりタイミングから前記第1周期以降の前記第1PWM信号のデューティ比よりも増加させる、請求項1に記載のLED制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る表示装置1の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示されるように、表示装置1は、LED列10と、LED駆動装置100とを備える。LED駆動装置100は、昇圧チョッパ回路20と、半導体装置40とを備える。半導体装置40は、外部端子T1,T2,T3と、LED制御装置50と、電流ドライバ60とを備える。半導体装置40は、たとえば、LED制御装置50及び電流ドライバが集積化されたIC(Integrated Circuit)として形成される。
【0011】
LED列10は、複数のLED12を含む。複数のLED12は、昇圧チョッパ回路20と電流ドライバ60との間において直列に接続されている。
図1には、LED列10に含まれるLEDの数が4以上である場合が示されている。LED列10が含むLED12の数は、3以下でもよい。
【0012】
昇圧チョッパ回路20は、電源ノード22と、コイル24と、スイッチング素子Q1と、ダイオード26と、キャパシタ28とを含む。コイル24は、電源ノード22とスイッチング素子Q1との間に接続されている。スイッチング素子Q1は、コイル24と接地ノードとの間に接続されている。スイッチング素子Q1のゲートは、LED制御装置50の外部端子T2に接続されている。
図1においてはスイッチング素子Q1がN型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である場合が示されている。スイッチング素子Q1は、NPN型バイポーラトランジスタ等であってもよい。
【0013】
コイル24とスイッチング素子Q1との接続ノードに、ダイオード26のアノードが接続されている。LED列10のアノード側に、ダイオード26のカソードが接続されている。
図1に示されるダイオード26は、SBD(Schottky Barrier Diode)である。SBDは、順方向電圧が小さいため、順方向の損失が小さく高効率であるとともに、スイッチングが高速であることが知られている。ダイオード26は、SBD以外のダイオードであってもよい。キャパシタ28は、ダイオード26のカソードと接地ノードとの間に接続されている。LED制御装置50によってスイッチング素子Q1がスイッチング制御され、電源ノード22から供給される電力が昇圧されてLED列10へ供給される。
【0014】
LED制御装置50は、エラーアンプおよびPWM回路等が形成されたハードウェア(電子回路)を含む。LED制御装置50のPWM回路は、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動するためのPWM(Pulse Width Modulation)信号であるスイッチング信号Spwm(第1PWM信号)を生成し、スイッチング信号Spwmをスイッチング素子Q1のゲートが接続される外部端子T2へ出力する。外部端子T3にはPWM信号である調光信号DM1(第2PWM信号)が入力される。スイッチング信号Spwmの周期(第1周期)は、調光信号DM1の周期(第2周期)よりも短い。たとえば、スイッチング信号Spwmの周波数は300kHzであり、調光信号DM1の周波数は150Hzである。LED制御装置50は、調光信号DM1に基づいて電流ドライバ60に流れる電流を制御することにより、LED列10に対してPWM調光を行う。
【0015】
なお、LED制御装置50の機能は、ハードウェアによって実現されるものに限られず、ソフトウェアによって実現されてもよい。たとえば、LED制御装置50がCPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))、および各種信号を入出力するための入出力バッファ等を含み、CPUがROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行することによってもLED制御装置50の機能を実現することができる。ROMに格納されるプログラムは、LED制御装置50の処理手順が記されたプログラムである。LED制御装置50は、当該プログラムに従って各種処理を実行するように構成されても良い。
【0016】
図2および
図3は、
図1のLED制御装置50および電流ドライバ60の具体的な構成を併せて示す機能ブロック図である。
図2および
図3に示されるように、LED制御装置50は、電源制御部52と、調光部54とを含む。電流ドライバ60は、スイッチング素子62と、抵抗素子64と、アンプ66と、インバータ68と、スイッチSW1〜SW3とを含む。
【0017】
電源制御部52は、PWM回路を含む。電源制御部52は、スイッチング信号Spwmを生成し、外部端子T2に出力する。調光部54は、基準電圧Vrefをアンプ66の非反転入力端子(+)に出力する。調光部54は、調光信号DM1に基づいてスイッチSW1〜SW3の接続状態を制御する。
図2は、調光信号DM1の値がH値である場合の電流ドライバ60の接続状態を示す。
図3は、調光信号DM1の値がL値である場合の電流ドライバ60の接続状態を示す。
図2と
図3とでは、スイッチSW1〜SW3の接続状態が異なる。
【0018】
スイッチング素子62は、LED列10のカソード側が接続される外部端子T1と抵抗素子64との間に接続されている。
図2にはスイッチング素子62がN型MOSFETである場合が示されている。スイッチング素子62は、NPN型バイポーラトランジスタ等であってもよい。抵抗素子64は、スイッチング素子62と接地ノードとの間に接続されている。
【0019】
スイッチSW1は、アンプ66の出力端とスイッチング素子62のゲートとの間に接続されている。スイッチSW2は、スイッチング素子62と抵抗素子64との接続ノード、およびアンプ66の反転入力端(−)の間に接続されている。スイッチSW3は、スイッチング素子62のゲートと接地ノードとの間に接続されている。インバータ68は、調光部54とスイッチSW3との間に接続されている。
【0020】
アンプ66の非反転入力端(+)には、調光部54から基準電圧Vrefが与えられる。アンプ66の反転入力端(−)には、スイッチング素子62に流れるLED電流IL(すなわちLED列10に流れる電流)を抵抗素子64によって電圧に変換した検出信号(電圧)が入力される。アンプ66の非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefは、LED列10に流れる電流の目標値を抵抗素子64の抵抗値によって電圧に変換した信号である。
【0021】
アンプ66は、基準電圧Vrefと上記検出信号(電圧)との差分を増幅した信号をスイッチング素子62のゲートへ出力することでスイッチング素子62を駆動する。スイッチング素子62に流れるLED電流ILが、基準電圧Vrefに対応する目標値に調整される。なお、LED制御装置50および電流ドライバ60の各々は、互いに別個のICとして形成されてもよい。
【0022】
スイッチSW1およびSW2の接続状態は、調光信号DM1に基づいて導通状態および非導通状態の間で切り替えられる。スイッチSW3の接続状態は、調光信号DM1がインバータ68によって論理反転された信号に基づいて導通状態および非導通状態の間で切り替えられる。
【0023】
調光信号DM1がH値である場合、スイッチSW1およびSW2が導通状態とされるともにスイッチSW3が非導通状態とされることにより、LED列10にLED電流ILが流れる。調光信号DM1がL値である場合、スイッチSW1およびSW2が非導通状態とされるともにスイッチSW3が導通状態とされることにより、LED電流ILが停止される。調光信号DM1においてH値とL値とが交互に繰り返されることにより、
図2に示される接続状態と
図3に示される接続状態とが交互に繰り返される。
【0024】
図4は、調光信号DM1の波形図、スイッチング信号Spwmの波形図、およびLED列10を流れるLED電流ILの波形図を併せて示す図である。
図4に示されるように、電源制御部は、調光信号DM1がH値である時間帯においてスイッチング信号Spwmを出力する。調光部54は、調光信号DM1の立ち上がりタイミングに同期してLED電流ILを流し始め、調光信号DM1の立ち下がりタイミングにおいてLED電流ILを停止する。
【0025】
図5は、
図4の時刻tm1〜tm2の部分を拡大するとともに、
図1のコイル24を流れるコイル電流Idの波形図および昇圧チョッパ回路20の出力電圧Voutの波形図を併せて示す図である。なお、
図5には、実施の形態1の比較例としてスイッチング信号Spwmの立ち上がりタイミングと調光信号DM1の立ち上がりタイミングとが同期されていない場合が示されている。
【0026】
図5に示されるように、昇圧チョッパ回路20のスイッチング素子Q1のスイッチングがスイッチング信号Spwmに基づいて繰り返されることにより、昇圧チョッパ回路20のコイル24にエネルギーが蓄積される。スイッチング素子Q1は、スイッチング信号SpwmがH値である時間帯において導通状態とされ、L値である時間帯において非導通状態とされる。昇圧チョッパ回路20を流れるコイル電流Idは、スイッチング素子Q1のスイッチングに応じて増加と減少とを繰り返しながら、一定範囲内で増減する定常状態に達する。
図5においてコイル電流Idは、時刻tm3(tm1<tm3<tm2)において定常状態に達している。定常状態においてコイル電流Idは、電流Isに達した後、減少し、再度電流Isまで増加するという変化の過程を繰り返す。調光部54は、調光信号DM1の立ち上がりタイミングに同期してLED電流ILを流し始める。
【0027】
昇圧チョッパ回路20を流れるコイル電流Idが定常状態に達するまでは、昇圧チョッパ回路20の出力電圧Voutにリップルが発生する。
図5においては、時刻tm1において電圧V1である出力電圧Voutが、電圧V3(<V1)まで低下している。当該リップルによって昇圧チョッパ回路20の出力電圧が低下すると、電流ドライバ60のスイッチング素子62のドレイン電圧が低下するため、LED12に対する制御性が低下し得る。
【0028】
図6は、調光信号DM1の波形図および出力電圧Voutの波形図を併せて示す図である。
図6に示されるように、調光信号DM1の立ち上がりタイミング毎に出力電圧Voutにおいてリップルが周期的に発生する。出力電圧においてリップルが周期的に発生することにより、昇圧チョッパ回路20のキャパシタ28において音鳴りが発生する場合がある。
【0029】
そこで、電源制御部52は、スイッチング信号Spwmの立ち上がりタイミングを調光信号DM1の立ち上がりタイミングに同期させる。調光信号DM1の立ち上がりタイミングからスイッチング信号Spwmの1周期においてスイッチング信号SpwmがH値である時間帯だけ確実にコイル電流Idを増加させることができるため、コイル電流Idが定常状態となるまでの時間を短縮することができる。その結果、出力電圧Voutのリップルを抑制することができる。
【0030】
図7は、調光信号DM1の立ち上がりタイミングとスイッチング信号Spwmの立ち上がりタイミングとが同期された場合における、調光信号DM1の波形図、スイッチング信号Spwmの波形図、コイル電流Idの波形図、LED電流ILの波形図、及び出力電圧Voutの波形図を併せて示す図である。
図7に示されるように、コイル電流Idは、時刻tm3より早い時刻tm4において定常状態に達している。時刻tm1において電圧V1である出力電圧Voutは、電圧V4(>V3)までしか低下せず、
図5に示される場合よりも電圧V1からの減少幅が低減されている。
【0031】
調光信号DM1の立ち上がりタイミングとスイッチング信号Spwmの立ち上がりタイミングとを同期するとともに、調光信号DM1の立ち上がりタイミングからスイッチング信号Spwmの1周期においてスイッチング信号SpwmがH値である時間帯を長くすることにより、コイル電流Idが定常状態に達するまでの時間をより短縮することができる。すなわち、調光信号DM1の立ち上がりタイミングからスイッチング信号Spwmの1周期の間のスイッチング信号Spwmのデューティ比(最初のデューテ比)を、調光信号DM1の立ち上がりタイミングからスイッチング信号Spwmの1周期以降のスイッチング信号Spwmのデューティ比よりも増加させることが望ましい。なお、デューティ比とは、PWM信号の1周期においてH値である時間帯の1周期に対する比である。
【0032】
図8は、調光信号DM1の立ち上がりタイミングとスイッチング信号Spwmの立ち上がりタイミングが同期されるとともに、スイッチング信号Spwmの最初のデューティ比が増加された場合における、調光信号DM1の波形図、スイッチング信号Spwmの波形図、コイル電流Idの波形図、LED電流ILの波形図、及び出力電圧Voutの波形図を併せて示す図である。
図8に示されるように、コイル電流Idは、時刻tm4より早い時刻tm5において定常状態に達している。時刻tm1において電圧V1である出力電圧Voutは、電圧V5(>V4)までしか低下せず、
図7に示される場合よりも電圧V1からの減少幅が低減されている。
【0033】
図1においては、LED列10が1つである場合について説明した。実施の形態に係る表示装置に含まれるLED列10の数は、複数であってもよい。
図9は、実施の形態1の変形例に係る表示装置1Aの構成を示す機能ブロック図である。表示装置1Aの構成は、
図1のLED列10が複数とされるとともに、
図1の半導体装置40が半導体装置40Aに置き換えられた構成である。半導体装置40Aの構成は、複数のLED列10に対応するように、外部端子T1、及び電流ドライバ60が複数とされるとともに、
図1のLED制御装置50がLED制御装置50Aに置き換えられた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0034】
以上、実施の形態1および変形例に係る表示装置によれば、チョッパ回路と電流ドライバとの間に接続されたLEDをPWM調光するLED制御装置において、チョッパ回路の出力電圧のリップルを低減することができる。
【0035】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、調光信号の立ち上がりタイミングとスイッチング信号の立ち上がりタイミングを同期することにより、出力電圧のリップルを低減する場合について説明した。実施の形態2においては、調光信号の立ち上がりタイミングとスイッチング信号の立ち上がりタイミングを同期するとともに、コイル電流が閾値に達するまでLED電流を遅延することにより、出力電圧のリップルを低減する場合について説明する。
【0036】
図10は、実施の形態2に係る表示装置2の構成を示す機能ブロック図である。表示装置2の構成は、
図1の半導体装置40が半導体装置40Bに置き換えられた構成である。半導体装置40Bの構成は、
図1の半導体装置40に外部端子T4が追加されているとともに、LED制御装置50がLED制御装置50Bに置き換えられた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
図10に示されるように、LED制御装置50Bは、外部端子T4からコイル電流Idを受ける。
【0037】
図11は、
図10のLED制御装置50Bおよび電流ドライバ60の具体的な構成を併せて示す機能ブロック図である。
図11に示されるLED制御装置50Bの構成は、
図2の調光部54が調光部54Bに置き換えられた構成である。調光部54Bは、外部端子T3から受ける調光信号DM1および外部端子T4から受けるコイル電流Idに基づいて、スイッチSW1〜SW3を制御する。
【0038】
図12は、実施の形態2における調光信号DM1の波形図、スイッチング信号Spwmの波形図、LED電流ILの波形図、コイル電流Idの波形図、および出力電圧Voutの波形図を併せて示す図である。
図12においては、調光信号DM1の立ち上がりタイミングとスイッチング信号Spwmの立ち上がりタイミングが同期され、スイッチング信号Spwmの最初のデューティ比が増加されている。
図12に示されるように、調光部54Bは、コイル電流Idが閾値Ithに達する時刻tm6までLED電流ILを遅延する。コイル電流Idは、時刻tm3より早い時刻tm7において定常状態に達している。コイル24に或る程度エネルギーが蓄積されてからLED電流ILが流れ始めるため、コイル電流Idが定常状態に達するまでの時間が短縮される。また、時刻tm1において電圧V1である出力電圧Voutは、電圧V6(>V4)までしか低下せず、
図7に示される場合よりも電圧V1からの減少幅が低減されている。
【0039】
以上、実施の形態2に係る表示装置によれば、チョッパ回路と電流ドライバとの間に接続されたLEDをPWM調光するLED制御装置において、チョッパ回路の出力電圧のリップルを低減することができる。
【0040】
なお、実施の形態および変形例に係る表示装置は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)の光源に適用することができ、特に、車両の運転状況等をドライバに表示する車載ディスプレイの光源に好適である。
【0041】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わされて実施されることも予定されている。今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。