【解決手段】作業機は、走行体の後部に装着され且つ圃場を耕耘する耕耘部と、前記耕耘部の前方に配置され且つ圃場に肥料を播く施肥部と、前記耕耘部の後方に配置され且つ圃場に苗を植え付ける植付部と、を備えている。前記耕耘部の上方であって、前記施肥部の後方且つ前記苗供給部の前方には、作業者が座る椅子が配置されている。
前記予備苗台は、前後方向において前記施肥部と前記苗供給部の間の位置であって、且つ側方から見て前記椅子とオーバラップする位置に配置されている請求項7に記載の作業機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は作業機1及び走行体2を示している。
図2及び
図3は作業機1を示している。作業機1は、走行体2と共に走行しながら施肥と耕耘と苗の植え付け(移植)を行うことができる作業機である。
図1〜
図3に示すように、作業機1は、圃場を耕耘する耕耘部1Aと、圃場に肥料を播く施肥部1Bと、移植機1Cと、を備えている。移植機1Cは、圃場に苗を植え付ける植付部39と、植付部39に苗を供給する苗供給部38とを有する。
【0013】
図1に示すように、耕耘部1Aは、走行体2の後部に装着されている。本実施形態では、走行体2として走行車両であるトラクタを例示している。また、耕耘部1Aとしてロータリ耕耘機を例示している。以下、走行体2をトラクタ2といい、耕耘部1Aをロータリ耕耘機という。但し、走行体2はトラクタには限定されず、他の走行車両であってもよい。また、耕耘部1Aはロータリ耕耘機には限定されず、圃場を耕耘することができる装置であればよい。また、ロータリ耕耘機1Aは、センタードライブ式のロータリ耕耘機を例示しているが、サイドドライブ式のロータリ耕耘機であってもよい。
【0014】
以下、特に断らない限り、トラクタ2の運転席5に着座した運転者の前側(
図1の左側)を前方、運転者の後側(
図1の右側)を後方、運転者の左側(
図1の手前側)を左方、運転者の右側(
図1の奥側)を右方として説明する。また、トラクタ2の前後方向K1(
図1参照)に直交する方向である水平方向K2(
図2参照)を機幅方向K2として説明する。
【0015】
また、トラクタ2の機幅方向中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機幅外方として説明する。言い換えれば、機幅外方とは、機幅方向K2であってトラクタ2の機幅方向中央部から離れる方向のことである。トラクタ2の機幅方向右部、或いは、左部から中央部へ向かう方向を機幅内方として説明する。即ち、機幅内方とは、機幅方向外方とは反対の方向である。言い換えれば、機幅内方とは、機幅方向K2であってトラクタ2の機幅方向中央部に近づく方向である。
【0016】
図1に示すように、トラクタ2は、車体6と、車体6の前部に装着された前輪7F及び車体6の後部に装着された後輪7Rを含む走行装置7と、を有する。車体6は、当該車体6に搭載された原動機(駆動源)E1と、原動機E1の後部に連結された動力伝達ケースT1と、を有する。
原動機E1は、例えば、ディーゼルエンジンである。また、原動機E1は、ガソリンエンジン、LPGエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0017】
動力伝達ケースT1は、クラッチを内蔵したクラッチハウジング、変速装置を内蔵したミッションケース、差動装置を内蔵したデフケース等を直結して構成されている。
車体6の後部には、運転席5が搭載されていると共に、原動機E1の動力を取り出す動力取出軸(所謂PTO軸)22が後方突出状に装備されている。即ち、トラクタ2は、原動機E1の動力を取り出す動力取出軸22を有する。運転席5の前方には、ステアリングホイール8が設けられている。また、トラクタ2は、前部にバッテリ(図示略)を搭載している。
【0018】
図5は、原動機E1の動力を動力取出軸22及び走行装置7に伝達する動力伝達装置4を示している。
動力伝達装置4は、主推進軸4aと、主変速部4bと、副変速部4cと、シャトル部4dと、PTOクラッチ4eと、PTO推進軸4fとを有する。
主推進軸4aには、原動機E1からの動力がクラッチを介して断続可能に伝達される。主変速部4bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有し、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主推進軸4aから入力された回転を変更して出力する(変速する)。副変速部4cは、主変速部4bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有し、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部4bから入力された回転を変更して出力する(変速する)。シャトル部4dは、副変速部4cからの回転動力を正転(前進回転)状態で又は逆転(後進回転)させて出力軸4gに伝達する。出力軸4gに伝達された動力は、後輪デフ装置4hを経て後輪7Rに伝達される。出力軸4gに伝達された動力は、前輪7Fにも伝達される場合がある。即ち、原動機E1は、走行装置7を駆動する。
【0019】
PTOクラッチ4eは、主推進軸4aからの回転動力を断続可能にPTO推進軸4fに伝達する。PTO推進軸4fに伝達された原動機E1からの回転動力は、ギア等を介して動力取出軸22に伝達される。したがって、トラクタ2の車速を原動機E1の回転数の変更によって変化させることで、動力取出軸22の回転が車速に連動する。
図1に示すように、ロータリ耕耘機1Aは、トラクタ2の後部に三点リンク機構9等の装着機構を介して昇降可能に装着されている。三点リンク機構9は、トップリンク9Aとロワーリンク9Bとを有し、車体6の後部に装着されている。車体6の後部には、上下揺動可能なリフトリンク10Aが設けられ、リフトリンク10Aはリフトロッド10Bを介してロワーリンク9Bに連結されている。リフトリンク10Aは、車体6の後上部に設けられた油圧装置10Cによって昇降駆動され、リフトリンク10Aが上下動することでロワーリンク9Bが上げ下げされる。これにより、ロータリ耕耘機1Aが昇降する。
【0020】
図6、
図9に示すように、ロータリ耕耘機1Aは、ロータリ機枠11を有する。ロータリ機枠11は、伝動ケース12と、前サポートフレーム13Fと、後サポートフレーム13Rと、左サイドフレーム15Lと、右サイドフレーム15Rとを有する。伝動ケース12は、ロータリ耕耘機1Aの幅方向(機幅方向K2と同じ方向)の中央部に位置している。前サポートフレーム13Fは、伝動ケース12の前方に、機幅方向K2に延伸して配置されている。後サポートフレーム13Rは、伝動ケース12の後方に、機幅方向K2に延伸して配置されている。前サポートフレーム13F及び後サポートフレーム13Rは、伝動ケース12に連結されている。左サイドフレーム15Lは、前サポートフレーム13Fと後サポートフレーム13Rの左端同士を連結している。右サイドフレーム15Rは、前サポートフレーム13Fと後サポートフレーム13Rの右端同士を連結している。ロータリ機枠11には、三点リンク機構9が連結される装着フレーム14が取り付けられている。
【0021】
図6〜
図9、
図12に示すように、伝動ケース12の下部には、機幅方向K2の軸心を有する回転軸16が機幅方向K2の一方及び他方に突出状に設けられている。回転軸16の外周には、ブラケットを介して多数の耕耘爪17が固定されている。回転軸16が軸心回りに
図7の矢印X1方向に回転することにより、耕耘爪17が圃場を耕起(耕耘)すると共に耕起した土壌を後方の後部カバー19B(後述する)へと放擲する。回転軸16及び耕耘爪17は、圃場を耕耘する耕耘体18を構成している。
【0022】
図6、
図7、
図9に示すように、耕耘体18は、ロータリ機枠11に取り付けられたロータリカバー19により覆われている。ロータリカバー19は、上部カバー19A、後部カバー19B、側部カバー19Cを有している。耕耘体18の上方は、上部カバー19Aで覆われている。耕耘体18の後方は、後部カバー19Bで覆われている。後部カバー19Bは、上端がロータリ機枠11に枢軸19Dを介して機幅方向K2の軸心回りに回転自在に枢支されていて上下揺動自在である。後部カバー19Bは、弾圧装置20で下方に付勢されている。弾圧装置20は、バネの力で後部カバー19Bを下方に付勢する装置である。後部カバー19Bは、後述する畝立て器51により成形される畝の上面を形成する。
【0023】
耕耘体18の側方は、側部カバー19Cで覆われている。側部カバー19Cは、第1側部カバー19CLと第2側部カバー19CRとを有している。第1側部カバー19CLは、ロータリ耕耘機1Aの幅方向(機幅方向K2)の一方側(左側)に配置されている。第2側部カバー19CRは、ロータリ耕耘機1Aの幅方向(機幅方向K2)の他方側(右側)に配置されている。
【0024】
第1側部カバー19CLは、左サイドフレーム15Lに取り付けられている。第2側部カバー19CRは、右サイドフレーム15Rに取り付けられている。
図3、
図4、
図9、
図10に示すように、作業機1は、畝立て器51を備えている。畝立て器51は取付体196に取り付けられている。取付体196は、第1側部材196Aと、第2側部材196Bと、中間部材196Cと、を有する。第1側部材196Aは、ロータリ耕耘機1Aの左側方に配置され、第1側部カバー19CLに取り付けられている。第2側部材196Bは、ロータリ耕耘機1Aの右側方に配置され、第2側部カバー19CRに取り付けられている。第1側部材196A及び第2側部材196Bは、ロータリ耕耘機1Aの前端部から後方に向けて延在している。中間部材196Cは、第1側部材196Aと第2側部材196Bとの間に配置されている。中間部材196Cは、ロータリ耕耘機1Aの幅方向(機幅方向K2)の中央に配置され、ロータリ機枠11の後サポートフレーム13Rに取り付けられている。
【0025】
畝立て器51は、例えば、培土器(リッジャー)から構成される。畝立て器51は、平面視にて、前方から後方に向けて幅(機幅方向の長さ)が拡がる形状を有する。
図9、
図10に示すように、畝立て器51は、側部畝立て器51L,51Rと中間畝立て器51Mとを含む。側部畝立て器51L,51Rは、第1側部畝立て器51Lと第2側部畝立て器51Rとを含む。したがって、ロータリ耕耘機1Aで耕耘した土壌に3つの畝立て器(第1側部畝立て器51L、中間畝立て器51M、第2側部畝立て器51R)で溝を形成することで2畝を形成することができる。畝の上面は、後部カバー19Bにより形成される。但し、作業機1は、2畝を形成するものには限定されず、3畝以上又は1畝のみを形成するものであってもよい。つまり、圃場に形成しようとする畝の数に対応して畝立て器51の数を増減してもよい。
【0026】
第1側部畝立て器51Lは、ロータリ耕耘機1Aの幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2側部畝立て器51Rは、ロータリ耕耘機1Aの幅方向の他方側(右側)に配置されている。中間畝立て器51Mは、ロータリ耕耘機1Aの幅方向の中央に配置されている。
第1側部畝立て器51Lは、2つの畝のうち、左側の畝の左側面を形成する。第2側部畝立て器51Rは、2つの畝のうち、右側の畝の右側面を形成する。中間畝立て器51Mは、左側の畝の右側面と右側の畝の左側面とを形成する。
【0027】
図9に示すように、第1側部畝立て器51Lの前部は、前取付体52を介して第1側部カバー19CLに取り付けられている。第1側部畝立て器51Lの後部は、側部連結体53を介して第1側部材196Aに取り付けられている。
図8に示すように、中間畝立て器51Mの前部は、中間取付体54を介して伝動ケース12の下部に取り付けられている。中間畝立て器51Mの後部は、中間連結体55を介して中間部材196Cに取り付けられている。
【0028】
図3、
図4、
図6〜
図10に示すように、ロータリ耕耘機1Aの前方には土寄せディスク56L,56Rが配置されている。土寄せディスク56L,56Rは、耕耘体18に向けて機幅内方に土を寄せるための部材である。土寄せディスク56Lは、機幅方向の一方側(左側)に配置されており、ロータリ耕耘機1Aの左前方に位置する。土寄せディスク56Rは、機幅方向の他方側(右側)に配置されており、ロータリ耕耘機1Aの右前方に位置する。土寄せディスク56L,56Rは、平面視において、前方から後方に向かうにつれて機幅外方から機幅内方に移行するように斜め向きに配置されている。土寄せディスク56L,56Rは、ディスク取付体57及びブラケット(図示略)を介してロータリ機枠11の前サポートフレーム13Fに取り付けられている。ディスク取付体57は、上部材57aに対して下部材57bを出し入れすることにより、長さを調整することが可能となっている。ディスク取付体57の長さを調整することにより、土寄せディスク56L,56Rの高さを調整することができる。
【0029】
図7、
図8に示すように、伝動ケース12の上部の前部には、ロータリ耕耘機1Aに動力を取り入れる入力軸(所謂PIC軸)21が設けられている。
図1、
図7に示すように、入力軸21は、ジョイント(ユニバーサルジョイント)J1によって動力取出軸22に連動連結されている。したがって、動力取出軸22からジョイントJ1を介して入力軸21に動力が伝達される。言い換えると、動力取出軸22からロータリ耕耘機1Aに動力が伝達される。
【0030】
作業機1は、エンジンE1からの動力を動力取出軸22からロータリ耕耘機1Aに対して伝達する動力伝達部(第3動力伝達部)B3を備えている。
図11に示すように、第3動力伝達部B3は、入力軸21、第1ギアG1、第2ギアG2、第3ギアG3、第4ギアG4、第5ギアG5を有している。
図8、
図11に示すように、入力軸21の後部には、第1ギア(ベベルギア)G1が設けられている。第1ギアG1は、第2ギア(ベベルギア)G2に噛合している。第2ギアG2は、機幅方向K2の軸心を有する第1伝動軸S1に設けられている。第1伝動軸S1には、第3ギア(平歯車)G3が設けられている。第3ギアG3は、該第3ギアG3の下方に位置する第4ギア(平歯車)G4に噛合している。第4ギアG4は、該第4ギアG4の下方に位置する第5ギア(平歯車)G5に噛合している。第5ギアG5は、回転軸16に設けられている。したがって、入力軸21に伝達された動力は第1〜第5ギアG1〜G5を介して回転軸16に伝達され、該回転軸16が
図7の矢印X1方向に回転する。
【0031】
図6に示すように、第1伝動軸S1は、ロータリ耕耘機1Aの幅方向の略中央から機幅外方の一方(左方)に向けて延びている。第1伝動軸S1の一方端側には、第1動力伝達部B1が設けられている。第1動力伝達部B1は、エンジンE1からの動力を植付部39、苗供給部38及び後述する灌水ポンプ50に対して伝達する。第1動力伝達部B1は、ロータリ耕耘機1Aの幅方向中央に対して一方側(左側)に位置している。以下、
図11に基づいて、第1動力伝達部B1の構成を説明する。
【0032】
図11に示すように、第1伝動軸S1の機幅外方側の一端部(左端部)には、第1スプロケットSP1が設けられている。第1伝動軸S1の前方には、機幅方向に延びる第2伝動軸S2が設けられている。第2伝動軸S2には、第2スプロケットSP2が設けられている。第1スプロケットSP1と第2スプロケットSP2には、チェーン26が掛け渡されている。これにより、第1伝動軸S1に伝達された動力は、第2伝動軸S2に伝達される。
【0033】
第2伝動軸S2の一端部(左端部)には、第6ギアG6が設けられている。第6ギアG6は、第2伝動軸S2と一体に回転する。第6ギアG6は、第2伝動軸S2の回転数を計測するためのパルス検出ギアである。第2伝動軸S2の回転数を計測することで、原動機E1の回転数を算出することができる。
第6ギアG6の近傍には、第6ギアG6の凹凸を検出することによりパルス状の信号を出力する(パルスを発生させる)パルスセンサ25が設けられている。パルスセンサ25は、例えば、磁気抵抗素子式の回転センサが採用される。パルスセンサ25は、制御装置(図示略)に接続されており、発生したパルスは制御装置に入力される。制御装置は、パルスセンサ25からの信号に基づいて(信号処理を行って)第2伝動軸S2の回転数を計測する。第2伝動軸S2の回転数を計測することで、原動機E1の回転数を算出することができ、原動機E1の回転数から作業機1の移動量を算出することができる。また、植付具64の位置(上限位置)を検出することもできる。制御装置は、CPUやEEPROMなどを備えたマイクロコンピュータを利用して構成してある。制御装置は、例えば、トラクタ2のバッテリに接続され、このバッテリから電力が供給される。
【0034】
第2伝動軸S2の一端側(左端側)には、電磁クラッチ24が設けられている。電磁クラッチ24は、第2伝動軸S2に伝達された動力を第3伝動軸S3に断続可能に伝達する。第3伝動軸S3に伝達された動力は、
図11に示す動力伝達系統を介して移植機1Cに伝達され、該移植機1Cが駆動される(具体的には、移植機1Cに装備された後述する植付具64及び苗供給装置38A、38Bが駆動される)。
【0035】
電磁クラッチ24は、上述した制御装置に接続されており、制御装置によって制御される。電磁クラッチ24は、制御装置からのクラッチ切断信号によって切断された後、制御装置からのクラッチ接続信号によって接続される。即ち、電磁クラッチ24は、制御装置からの指令信号によって所要時間だけ切断される。なお、電磁クラッチ24を切断せずに(植付具64及び苗供給装置38A、38Bの駆動を止めないで)、連続的に移植機1Cを駆動させる場合もある。
【0036】
次に、
図11を参照して、第3伝動軸S3から移植機1Cに至る動力伝達系統を説明する。
第3伝動軸S3にはウォーム30が設けられ、ウォーム30はウォームホイール31に噛合している。ウォームホイール31は、第4伝動軸S4に設けられている。第4伝動軸S4はブレーキ27を介して出力軸32に連結されている。第3伝動軸S3に伝達された動力は、ウォーム30、ウォームホイール31、第4伝動軸S4及びブレーキ27を介して出力軸32に伝達される。したがって、原動機E1からの動力は、ウォーム30等を介して出力軸32から移植機1Cに伝達される。
【0037】
原動機E1からの動力を、ウォーム30を介して移植機1Cに伝達することにより、ウォームのセルフロック機能(ウォームホイールからウォームを回すことができない状態)によって、植付具64のシャクリ(植付具64が停止位置(上死点位置)の手前で停止し逆転すること)の発生を防止することができる。また、ブレーキ27は、バネの付勢力によって、上死点の手前で電磁クラッチ24を切断しても、植付具64が上死点まで惰性で動ききらずに逆転する(下降する)という事態を防止する。
【0038】
ブレーキ27、第6ギア(パルス検出ギア)G6、パルスセンサ25、電磁クラッチ24は、ロータリ耕耘機1Aの幅方向(機幅方向K2)の一端側(左端側)に設けられている。これにより、作業者は、ロータリ耕耘機1Aの側方からブレーキ27、第6ギア(パルス検出ギア)G6、パルスセンサ25、電磁クラッチ24に容易にアクセスして調整することができる。
【0039】
出力軸32は、プロペラシャフトから構成されている。
図6、
図8に示すように、出力軸32は、ロータリ耕耘機1Aの左上部から後方に向けて延びている。
図11に示すように、出力軸32の前寄りの中途部には、チェーン伝動機構等からなる動力分岐機構35が設けられている。出力軸32の回転動力の一部は、動力分岐機構35により分岐されてギア機構49を介して灌水ポンプ50に伝達され、灌水ポンプ50を駆動する。
図6、
図27に示すように、灌水ポンプ50は、ロータリ耕耘機1Aの左上部に載置されており、トラクタ2等に搭載された水タンクから植付具の近傍に配置された灌水チューブ(後述する)に水を送る。
【0040】
次に、施肥部1Bについて説明する。
図3、
図6に示すように、施肥部1Bは、ロータリ耕耘機(耕耘部)1Aの前方に配置されている。詳しくは、施肥部1Bは、ロータリ耕耘機(耕耘部)1Aの回転軸16の前方に配置されている。また、
図1に示すように、施肥部1Bは、トラクタ2の後方に配置されている。そのため、トラクタ2を運転する運転者は、後ろを振り返って施肥部1Bから圃場に肥料が播かれている状態を確認することができる。
【0041】
図12〜
図15等に示すように、施肥部1Bは、肥料ホッパ401、繰り出し機構402、施肥ホース403を備えている。
肥料ホッパ401には、圃場に播かれる肥料が投入される。肥料ホッパ401は、一部又は全部が透明な容器から構成されている。これにより、肥料ホッパ401の内部にある肥料の残量を外部から視認することができる。肥料ホッパ401の上部には開閉可能な蓋体404が設けられており、当該蓋体404を開くことによって肥料ホッパ401内に肥料を投入することができる。
【0042】
肥料ホッパ401は、ロータリ耕耘機1Aの上方に配置されている。
図3に示すように、肥料ホッパ401は、前後方向において、ロータリ耕耘機1Aの回転軸16よりも前方に配置されている。また、肥料ホッパ401は、移植機1Cに対して作業をする作業者が座る椅子(後述の第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)の前方に配置されている。これにより、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)に着座した作業者は、肥料ホッパ401に対する肥料の投入(補給)を容易に行うことができる。
【0043】
図3、
図12に示すように、肥料ホッパ401は、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)の前方であって、前方から見て椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)とオーバラップする高さに配置されている。詳しくは、肥料ホッパ401は、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)の背凭れ部とオーバラップする高さにあり、当該椅子の座部よりも高い位置にある。肥料ホッパ401の上端部は、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)よりも高い位置にある。これにより、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)に着座した作業者の目線の高さと肥料ホッパ401の高さとが概ね一致する。そのため、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)に着座した作業者は、後方を振り返って肥料ホッパ401内の肥料の残量を容易に確認することができる。
【0044】
図2に示すように、肥料ホッパ401は、機幅方向K2の長さが前後方向K1の長さに比べて長い。
図12、
図13、
図15に示すように、肥料ホッパ401の下部には、複数の肥料取出し部405が接続されている。複数の肥料取出し部405は、機幅方向に並んで配置されている。本実施形態の場合、4つの肥料取出し部405が機幅方向に並んで配置されている。これにより、1つの肥料ホッパ401に投入された肥料は、複数(4つ)の肥料取出し部405に分かれて下方に向けて取り出される。肥料取出し部405の数は、後述する植付具64の数に対応して設定される。
【0045】
図13〜
図15に示すように、肥料ホッパ401の下方には、肥料ホッパ401に投入された肥料を施肥ホース403に向けて所定量ずつ繰り出す回転ロール式の繰り出し機構402が設けられている。繰り出し機構402は、繰り出しロール軸407、従動ギア408、繰り出し駆動軸409、駆動ギア410を有している。
繰り出しロール軸407は、肥料取出し部405を貫通して機幅方向K2に延びている。繰り出しロール軸407は、軸回りに回転することによって、肥料ホッパ401の下部に接続された肥料取出し部405から施肥ホース403に向けて肥料を所定量ずつ繰り出す。繰り出しロール軸407には、複数の従動ギア408が取り付けられている。繰り出しロール軸407と複数の従動ギア408とは一体的に回転する。複数の従動ギア408は、繰り出しロール軸407の長さ方向(機幅方向)に間隔をあけて配置されている。複数の従動ギア408は、複数の肥料取出し部405にそれぞれ対応して設けられている。本実施形態の場合、4つの肥料取出し部405にそれぞれ対応して従動ギア408が設けられているため、従動ギア408の数は4つである。
【0046】
繰り出し駆動軸409は、繰り出しロール軸407の後方において機幅方向に延びている。繰り出し駆動軸409には、複数の駆動ギア410が取り付けられている。繰り出し駆動軸409と複数の駆動ギア410とは一体的に回転する。複数の駆動ギア410は、繰り出し駆動軸409の長さ方向(機幅方向)に間隔をあけて配置されている。複数の駆動ギア410は、複数の従動ギア408にそれぞれ噛み合っている。本実施形態の場合、4つの従動ギア408にそれぞれ噛み合って駆動ギア410が設けられているため、駆動ギア410の数は4つである。
【0047】
上記したように、繰り出し駆動軸409に設けられた駆動ギア410と繰り出しロール軸407に設けられた従動ギア408とが噛み合っている。これにより、繰り出し駆動軸409と共に駆動ギア410が回転すると、従動ギア408と共に繰り出しロール軸407が回転する。繰り出しロール軸407が回転すると、肥料ホッパ401に投入された肥料が複数の肥料取出し部405を介して施肥ホース403に向けて繰り出される。
【0048】
繰り出し駆動軸409は、第2動力伝達部B2から伝達される動力によって回転駆動される。第2動力伝達部B2は、エンジンE1からの動力を施肥部1Bに対して伝達する。具体的には、第2動力伝達部B2は、第5伝動軸S5から伝動された動力を繰り出し駆動軸409へと伝達する。
図6に示すように、第5伝動軸S5は、機幅方向K2の軸心を有し、第1伝動軸S1と同一軸線上に配置されている。第5伝動軸S5は、伝動ケース12から機幅外方の他方(右方)に向けて延びている。
【0049】
図11に示すように、第5伝動軸S5は、第1ギアG1(ベベルギア)と噛み合う第2ギア(ベベルギア)G2から第1伝動軸S1と反対側に向けて延びている。第5伝動軸S5の第1伝動軸S1と反対側(右端部側)には、第2動力伝達部B2が設けられている。第2動力伝達部B2は、ロータリ耕耘機1Aの幅方向中央に対して他方側(右側)に位置している。
【0050】
図11、
図15〜
図19に示すように、第2動力伝達部B2は、伝動ギア機構420、クラッチ機構421、連携部422を有している。
伝動ギア機構420は、第5伝動軸S5の機幅外方の他端側(右側)に設けられている。
図18、
図19に示すように、伝動ギア機構420は、第1伝動ギア423、第2伝動ギア424、第3伝動ギア425を有している。第1伝動ギア423、第2伝動ギア424、第3伝動ギア425は、ギアケース426(
図17参照)に収容されている。尚、
図18ではギアケース426の右半分を省略し、
図19ではギアケース426を省略している。
【0051】
第1伝動ギア423は、第5伝動軸S5の機幅外方の他端側(右側)に取り付けられており、第5伝動軸S5と一体的に回転する。第2伝動ギア424は、第1伝動ギア423と噛み合っている。第3伝動ギア425は、第2伝動ギア424と噛み合っている。第3伝動ギア425は、第6伝動軸S6に取り付けられている。第6伝動軸S6は、クラッチ機構421を介して第7伝動軸S7の一端側と接続されている。クラッチ機構421は、クラッチレバー427の操作によって、第6伝動軸S6から第7伝動軸S7への動力伝達の許容状態と遮断状態とを切り換えることができる。第6伝動軸S6から第7伝動軸S7への動力伝達が許容状態となると、第5伝動軸S5からの動力が第2動力伝達部B2を介して繰り出し駆動軸409へと伝達される。第6伝動軸S6から第7伝動軸S7への動力伝達が遮断状態となると、第5伝動軸S5からの動力は、第2動力伝達部B2において伝達が遮断され、繰り出し駆動軸409へと伝達されない。
【0052】
クラッチレバー427は、第6伝動軸S6及び第7伝動軸S7の高さ位置から上方に向けて延びている。
図6に示すように、クラッチレバー427の上端部(操作部)は、肥料ホッパ401の後方であって且つ作業者が座る椅子(第2前方椅子187B)の前方に位置している。これにより、椅子(第2前方椅子187B)に着座した作業者は、当該椅子に着座した状態で或いは椅子から僅かに移動することでクラッチレバー427を容易に操作することができる。
【0053】
図15〜
図19に示すように、連携部422は、クランクアーム428、往復ロッド429、連結体430、横軸431、連携機構432、ワンウェイクラッチ433を有している。
図18に示すように、クランクアーム428は、第7伝動軸S7の他端側と往復ロッド429の下端側とを連結している。クランクアーム428は、第7伝動軸S7の回転運動を往復ロッド429の往復運動に変換する。往復ロッド429は、上下方向に延びており、第7伝動軸S7からクランクアーム428を介して伝達される動力により上下方向に往復駆動する。
【0054】
往復ロッド429の上端側には、連結体430が設けられている。連結体430は、往復ロッド429の上端側と横軸431とを連結している。
図14に示すように、横軸431は、繰り出し駆動軸409の後方に配置されており、機幅方向に延びている。連結体430は、往復ロッド429の上下方向の往復運動の動力を横軸431に伝達する。これにより、横軸431は、軸回りの一方側の回転と他方側の回転とを繰り返す往復回転運動を行う。
【0055】
図17に示すように、連携機構432は、横軸431の機幅外方の他端側(右側)に設けられている。
図16に示すように、連携機構432は、横軸431とワンウェイクラッチ433とを連携している。連携機構432は、方向変換部434と第2往復ロッド435と接続片436とを有している。方向変換部434は、横軸431の他端部(右端部)と第2往復ロッド435の後端部とを連絡している。第2往復ロッド435は、前後方向に延びている。方向変換部434は、横軸431の軸回りの往復回転運動を第2往復ロッド435の前後方向の運動に変換する。接続片436は、第2往復ロッド435の前端部とワンウェイクラッチ433とを接続している。
【0056】
ワンウェイクラッチ433は、繰り出し駆動軸409の機幅外方の他端側(右側)に設けられている。ワンウェイクラッチ433は、第2往復ロッド435の前後方向の運動を繰り出し駆動軸409の軸回りの一方向の回転運動に変換する。これにより、第2往復ロッド435が前後方向に駆動すると、繰り出し駆動軸409の軸回りの一方向に間欠的に回転する。
【0057】
上述の通り、第2動力伝達部B2が第5伝動軸S5から伝動された動力を繰り出し駆動軸409へと伝達することによって、繰り出し駆動軸409は軸回りの一方向に回転する。これにより、肥料ホッパ401に投入された肥料が複数の肥料取出し部405を介して施肥ホース403に向けて繰り出される。
尚、上記実施形態では、施肥部1Bは、第2動力伝達部B2から伝達されるエンジンE1からの動力によって駆動するものであるが、別の方法(機構)によって駆動する形式(例えば、グランドドライブ式)としてもよい。例えば、作業機1に接地して回転する車輪(駆動輪又は従動輪)を設け、当該車輪の回転動力を施肥部1B(繰り出し駆動軸409)に伝達する形態としてもよい。
【0058】
図12に示すように、施肥ホース403は、肥料取出し部405から下方に延びている。施肥ホース403は、複数(4つ)の肥料取出し部405に対してそれぞれ2本ずつ取り付けられている。以下、1つの肥料取出し部405に取り付けられた2本の施肥ホース403を「肥料ホース対」という。本実施形態の場合、合計8本の施肥ホース403(合計4つの肥料ホース対)が機幅方向に間隔をあけて並んで配置されている。これにより、複数(4つ)の肥料取出し部405に取り出された肥料は、繰り出し機構402の駆動に伴い、それぞれ2本の施肥ホース403に分かれて下方に排出される。
【0059】
図3、
図4に示すように、施肥ホース403の下端部(肥料の出口)は、ロータリ耕耘機(耕耘部)1Aの耕耘体18(回転軸16、耕耘爪17)の前方に配置されている。
図12に示すように、施肥ホース403の下端部は、前方から見て、ロータリ耕耘機1Aの耕耘体18とオーバラップする高さに配置されている。また、施肥ホース403の下端部は、ロータリ耕耘機1Aの上部カバー19Aよりも下方であって回転軸16よりも上方に配置されている。
【0060】
図12、
図27に示すように、施肥ホース403の下端側は、支持杆437に取り付けられた支持具438に支持されている。支持杆437は、ロータリ機枠11の前サポートフレーム13Fの前方且つ下方に配置されて機幅方向に延びている。
図6、
図12、
図27に示すように、前サポートフレーム13Fの一端側(左側)には、支持部材439Lが取り付けられている。前サポートフレーム13Fの他端側(右側)には、支持部材439Rが取り付けられている。支持部材439Lと支持部材439Rは、前サポートフレーム13Fの前方において機幅方向K2に延びている。支持杆437の一端側(左側)は、ブラケット440Lを介して支持部材439Lに取り付けられている。支持杆437の他端側(右側)は、ブラケット440Rを介して支持部材439Rに取り付けられている。
【0061】
支持具438は、支持杆437の長さ方向(機幅方向)に間隔をあけて取り付けられた複数の支持具438を含む。支持具438は、平面視にて環状又はC字状に形成されており、施肥ホース403を挿通することが可能である。複数の支持具438にそれぞれ1本ずつ施肥ホース403を挿通することによって、複数の施肥ホース403の下端側が支持具438により位置決めされて支持される。これにより、複数の施肥ホース403の下端側は、機幅方向に間隔をあけて配置される。
【0062】
支持具438の数は、施肥ホース403の本数と同じ又は施肥ホース403の本数よりも多い。支持具438の数を施肥ホース403の本数よりも多くした場合、畝立て器51により形成される畝の数等に対応して、施肥ホース403を挿入する支持具438を変更することにより、施肥ホース403の下端側の位置を調整(変更)することができる。
支持具438は、施肥ホース403の下端側をロータリ耕耘機1Aの耕耘体18(回転軸16、耕耘爪17)の前方において支持している。これにより、施肥ホース403を通って落下する肥料は、耕耘体18(回転軸16、耕耘爪17)の前方に播かれる。耕耘爪17の前方に播かれた肥料は、耕耘爪17により土壌と共に攪拌されることによって、土壌中に満遍なく混ぜられる。
【0063】
複数の支持具438は、機幅方向において、複数の肥料ホース対の下端側を複数の植付具64にそれぞれ対応する位置に配置している。言い換えれば、1つの植付具64に対して1つの肥料ホース対(2本の施肥ホース403)が対応して配置されている。これにより、1つの植付具64により植え付けられる1条の苗に対して、2本の施肥ホース403により肥料を供給することができる。詳しくは、1つの植付具64により植え付けられる1条の苗に対して、2本の施肥ホース403により左側と右側から肥料を供給することができる。そのため、圃場に植え付けられた苗に対して確実に肥料を供給することができる。
【0064】
次に、移植機1Cについて説明する。
図2、
図11に示すように、移植機1Cは、複数の移植ユニット(第1移植ユニット36A、第2移植ユニット36B)を有する。第1移植ユニット36Aは、移植機1Cの機幅方向K2の一側部(左側部)に設けられている。第2移植ユニット36Bは、移植機1Cの機幅方向K2の他側部(右側部)に設けられている。
【0065】
第1移植ユニット36Aは、1つの機枠(第1機枠という)37Aと、1つの苗供給装置(第1苗供給装置という)38Aと、複数の植付装置(第1植付装置という)39Aと、植付装置39Aの数に対応した数の覆土装置(第1覆土装置という)40Aを有する。第1苗供給装置38A、第1植付装置39A及び第1覆土装置40Aは、第1機枠37Aに搭載されている。
【0066】
第2移植ユニット36Bは、1つの機枠(第2機枠という)37Bと、1つの苗供給装置(第2苗供給装置という)38Bと、複数の植付装置(第2植付装置という)39Bと、植付装置39Bの数に対応した数の覆土装置(第2覆土装置という)40Bを有する。第2苗供給装置38B、第2植付装置39B及び第2覆土装置40Bは、第2機枠37Bに搭載されている。
【0067】
本明細書において、第1機枠37Aと第2機枠37Bを纏めて機枠37ともいう。また、第1苗供給装置38Aと第2苗供給装置38Bを纏めて苗供給装置(又は苗供給部)38ともいう。また、第1植付装置39Aと第2植付装置39Bを纏めて植付装置(又は植付部)39ともいう。第1覆土装置40Aと第2覆土装置40Bを纏めて覆土装置40ともいう。
【0068】
苗供給装置38は、植付装置39に対して苗(ソイルブロック苗等)を供給する装置である。植付装置39は、苗供給装置38から供給される苗を圃場に植え付ける装置であり、原動機E1の動力によって昇降し、苗を保持して下降すると共に圃場に突入して苗を植え付ける植付具64を有する。覆土装置40は、植え付けた苗の根本部分に土寄せして覆土すると共に、苗の根本部分を鎮圧する装置である。
【0069】
図3に示すように、植付装置(植付部)39は、耕耘部1Aの後方に配置されている。
図11に示すように、複数の第1植付装置39Aは、左の第1植付装置39ALと右の第1植付装置39ARとを含む。複数の第1覆土装置40Aは、第1植付装置39ALに対応する左の第1覆土装置40ALと、第1植付装置39ARに対応する第1覆土装置40ARとを含む。また、複数の第2植付装置39Bは、左の第2植付装置39BLと右の第2植付装置39BRとを含む。複数の第2覆土装置40Bは、第2植付装置39BLに対応する左の第2覆土装置40BLと、第2植付装置39BRに対応する第2覆土装置40BRとを含む。
【0070】
なお、移植ユニットは、3つ以上であってもよい。また、移植ユニットは、複数設けられることが好ましいが、1つであってもよい。即ち、移植機1Cは、少なくとも、1つの移植ユニットを有していればよい。したがって、移植機1Cは、少なくとも1つの苗供給装置を有していればよい。また、植付装置は、1つの移植ユニットに対して少なくとも1つ設けられていればよい。即ち、移植機1Cは、少なくとも1つの植付装置(植付具)を有していればよい。
【0071】
図2、
図3に示すように、移植機1Cは、ロータリ耕耘機1Aの後部に作業機連結機構41を介して昇降可能に連結されている。また、移植機1Cは、昇降駆動装置(図示略)によって昇降駆動される。昇降駆動装置は、昇降シリンダ(油圧アクチュエータ)を有している。昇降シリンダを伸縮することによって、後述する椅子支持体150に支持された椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)及び移植機1Cが昇降する。
【0072】
作業機連結機構41は、移植機1Cが取り付けられるツールバー43と、ツールバー43をロータリ耕耘機1Aに昇降可能に連結する連結リンク機構44とを有する。連結リンク機構44は、平行リンク機構から構成されている。
ツールバー43は、角パイプによって形成され、後サポートフレーム13Rの後方に機幅方向K2に延伸して設けられている。ツールバー43に移植機1Cが装着されている。詳しくは、ツールバー43に第1移植ユニット36A(第1機枠37A)と第2移植ユニット36B(第2機枠37B)とが取り付けられている。また、第1移植ユニット36Aと第2移植ユニット36Bとは、ツールバー43に機幅方向K2に位置調整可能に取り付けられている。
【0073】
図2、
図4に示すように、ツールバー43には、椅子支持体150が接続されている。椅子支持体150は、移植機1Cに対して作業をする作業者が座る椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)を支持する。椅子支持体150は、ロータリ耕耘機1Aと移植機1Cとの間に配置されている。
作業機連結機構41にあっては、油圧シリンダ又は電動シリンダを含む昇降駆動装置42の駆動によって、椅子支持体150に支持された椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)及び移植機1Cが一体的に昇降する。ここで、連結リンク機構44が平行リンク機構で構成されているため、椅子187A,187B及び移植機1Cは地面に対して平行に昇降する。
【0074】
次に、原動機E1からの動力を苗供給装置38及び植付装置39に伝達する動力伝達機構105について説明する。
図11、
図20に示すように、原動機E1からの動力を伝達する出力軸32の後端部には、第7ギア(ベベルギア)G7が設けられている。第7ギアG7は、第8ギア(ベベルギア)G8と噛み合っている。第8ギアG8は、主軸107の一端部(左端部)に設けられている。これにより、原動機E1からの動力は出力軸32から主軸107に伝達される。
【0075】
図20に示すように、主軸107は、出力軸32に対して直角に機幅方向K2に延びている。主軸107は、第1機枠37Aと第2機枠37Bとにわたって設けられている。主軸107は、複数の軸及び、軸同士を連動連結する連結軸によって構成され、各機枠37A、37Bの機幅方向K2の位置調整に対応して伸縮可能である。主軸107は、出力軸32から伝達される原動機E1からの動力を受けて回転する。主軸107から各移植ユニット36A、36Bの苗供給装置38及び植付装置39に動力が伝達される。
【0076】
図11に示すように、主軸107には、第1トルクリミッタ108、第2トルクリミッタ109が設けられている。第1トルクリミッタ108は、第1移植ユニット36Aに過負荷が加わったとき、主軸107から第1移植ユニット36Aへの動力の伝達(トルク伝達)を遮断する。第2トルクリミッタ109は、第2移植ユニット36Bに過負荷が加わったとき、主軸107から第2移植ユニット36Bへの動力の伝達(トルク伝達)を遮断する。
【0077】
図11、
図20、
図21に示すように、主軸107に伝達された動力は、第1伝動機構(チェーン巻掛伝動機構)115aを介して第1軸111に伝達される。また、主軸107に伝達された動力は、第2伝動機構(チェーン巻掛伝動機構)115bを介して第2軸112に伝達される。
第1軸111に伝達された動力は、第3伝動機構(ベベルギア伝動機構)115c及び第4伝動機構(チェーン巻掛伝動機構)115dを介して第1苗供給装置38Aに伝達される。第2軸112に伝達された動力は、第5伝動機構(ベベルギア伝動機構)115e及び第6伝動機構(チェーン巻掛伝動機構)115fを介して第2苗供給装置38Bに伝達される。
【0078】
また、第1軸111に伝達された動力は、第7伝動機構(チェーン巻掛伝動機構)115gを介して右の第1植付装置39ARに伝達され、且つ第8伝動機構115h、第3軸113、第9伝動機構115iを介して左の第1植付装置39ALに伝達される。第2軸112に伝達された動力は、第10伝動機構(チェーン巻掛伝動機構)115jを介して右の第2植付装置39BRに伝達され、且つ第11伝動機構115k、第4軸114、第12伝動機構115mを介して左の第2植付装置39BLに伝達される。
【0079】
次に、植付装置39について説明する。
第1植付装置39A及び第2植付装置39Bは、同様に構成されるので、
図21、
図22に図示した第1植付装置39Aの構造を説明し、第2植付装置39Bについての構造の説明は省略する。また、左の第1植付装置39ALと右の第1植付装置39ARとは、左右対称に構成されている他は、同様に構成されるので、共通部分の説明を省略して説明する。
【0080】
図21、
図22に示すように、第1植付装置39ALと第1植付装置39ARとは、機幅方向K2で並べて配置されていると共に、前後方向K1において異なる位置に配置されている。第1植付装置39ALは、第1植付フレーム78Lに取り付けられ、第1植付装置39ARは、第2植付フレーム78Rに取り付けられている。
第1植付装置39ALは、植付具64と、植付昇降機構139とを有する。第1植付装置39ARは、第1植付装置39ALと同様に、植付具64と、植付昇降機構139とを有する。
【0081】
以下、第1植付装置39ALにおける植付具64を植付具64ALと称し、第1植付装置39ARにおける植付具64を植付具64ARと称することがある。また、第1植付装置39ALにおける植付昇降機構139を植付昇降機構139ALと称し、第1植付装置39ARにおける植付昇降機構139を植付昇降機構139ARと称することがある。
植付具64は、圃場(畝)に苗を植え付ける部材である。植付具64は先端が下方に向いたくちばし状を呈し(
図21参照)、前構成体140と後構成体141を有している。植付具64は、前構成体140と後構成体141とが前後方向K1で離反及び近接することにより開閉自在とされている。なお、前構成体140と後構成体141とは引張りバネによって閉じる方向に付勢されている。
【0082】
図21に示すように、第7伝動機構115gは、第1軸111と一体回転する駆動スプロケット116Rと、第1植付フレーム78Rに支軸118Rを介して支持された従動スプロケット117Rと、駆動スプロケット116Rと従動スプロケット117Rとにわたって巻掛けられたチェーン119Rとを有する。この第7伝動機構115gによって第1軸111から支軸118Rに動力が伝達されて、支軸118Rが回転する。
【0083】
第9伝動機構115iは、第3軸113と一体回転する駆動スプロケット116Lと、第2植付フレーム78Lに支軸118Lを介して支持された従動スプロケット117Lと、駆動スプロケット116Lと従動スプロケット117Lとにわたって巻掛けられたチェーン119Lとを有する。この第9伝動機構115iによって第3軸113から支軸118Lに動力が伝達されて、支軸118Lが回転する。
【0084】
第10伝動機構115jは、第7伝動機構115gと同様に構成される。この第10伝動機構115jによって第2軸112から右の第2植付装置39BRの支軸118Rに動力が伝達され、第2植付装置39BRの支軸118Rが回転する。
第12伝動機構115mは、第9伝動機構115iと同様に構成される。この第12伝動機構115mによって第4軸114から左の第2植付装置39BLの支軸118Lに動力が伝達され、第2植付装置39BLの支軸118Lが回転する。
【0085】
図21、
図22に示すように、植付昇降機構139は、植付具64を支持して、当該植付具64を昇降させる装置である。詳しくは、植付昇降機構139ALは植付具64ALを昇降させる装置であり、植付昇降機構139ARは植付具64ARを昇降させる装置である。
植付昇降機構139は、第1ケース120と、第2ケース121と、取付部材122とを有する。植付昇降機構139ALの第1ケース120は、第1植付フレーム78Lに支軸118Lを介して回転自在に支持されている。植付昇降機構139ARの第1ケース120は、第2植付フレーム78Rに支軸118Rを介して回転自在に支持されている。第2ケース121は、第1ケース120の遊端側に回転自在に支持されている。取付部材122は、第2ケース121に支持されている。取付部材122に植付具64が支持されている。
【0086】
支軸118L,118Rの回転に伴って第1ケース120及び第2ケース121が回転する。第1ケース120及び第2ケース121内には、第1ケース120が水平方向の軸心回りの一方に回転すると、第1ケース120の回転に連動して第2ケース121が第1ケース120とは逆方向(水平方向の軸心回りの他方)に回転するように動力伝達装置が設けられている。
【0087】
第1ケース120及び第2ケース121が回転することにより、取付部材122が前後に移動しながら上下に平行移動して、植付具64が、上下方向に長い楕円状の軌跡を描いて上下運動(昇降)する。
植付具64には、上昇した位置(上死点位置)で苗が落下供給される。このとき植付具64は閉じた状態であって、該植付具64の内部に苗が収容され且つ保持される。その後、植付具64は、苗を保持して下降すると共に下部が圃場に突入する。また、植付具64は、圃場に突入した際に開き、圃場に植穴を形成すると共に開いた状態で苗を下方に落下して放出する。これにより、圃場に苗が植え付けられる。
【0088】
上記構成の植付装置39にあっては、支軸118L,118Rが一回転すると植付具64が上下に一往復する。
第1植付装置39ALと第1植付装置39ARとは、機幅方向K2に並んで、前後方向K1において異なる位置に配置されている。これによって、一つの移植ユニットによって、畝に苗を千鳥状に2条植えする(機幅方向K2で隣接する苗の一方を他方に対して前後一方に位置ずれして植え付ける)ようにしている。
【0089】
本実施形態では、左と右の植付具64が同時に昇降する。また、植付具64が停止する際には、左と右の植付具64が上死点位置で停止する。
図11に示すように、移植機1Cは、複数のアシスト装置123を有する。複数のアシスト装置123は、第1移植ユニット36Aに設けられた第1アシスト装置123Aと、第2移植ユニット36Bに設けられた第2アシスト装置123Bとを含む。アシスト装置123は、植付具64の昇降動作をアシストする装置である。アシスト装置123は、植付具64を上昇させる方向に付勢するアシストスプリングを有している。アシスト装置123を有することにより、上死点の手前で電磁クラッチ24を切断しても、植付具64が上死点まで惰性で動ききらずに逆転するという事態を防止することができる。
【0090】
次に、覆土装置40について説明する。
第1覆土装置40A、第2覆土装置40Bの構造は、同様に構成されるので、第1覆土装置40Aを説明し、第2覆土装置40Bの構造の説明は省略する。
また、第1覆土装置40ALと第1覆土装置40ARの構成は同様に構成されるので、第1覆土装置40ALの構造を説明し、第1覆土装置40ARの構造の説明は省略する。
【0091】
図11に示すように、第1覆土装置40ALは、複数の覆土器(第1覆土器81L、第2覆土器81R)を有する。本実施形態の場合、覆土器81L,81Rは覆土輪であるため、以下、覆土器81L,81Rを覆土輪81L,81Rとして説明する。
覆土輪81L及び覆土輪81Rは、植付具64の後方の圃場上面(地面)に当接して回転し、植え付けた苗の根本部分に土寄せして覆土すると共に、苗の根本部分を鎮圧する。
【0092】
覆土輪81Lと覆土輪81Rは、それぞれ独立して上下動自在であり、圃場の凹凸に追従して上下動する。覆土装置40は、植付装置39を機幅方向K2に位置調整可能とした場合、これに対応して機幅方向K2に位置調整可能に構成される。
覆土輪81L及び覆土輪81Rは、機枠37の対地高さを検出する検出部材として機能する。機枠37の対地高さは、苗が植え付けられる植付面に対する機枠37の下端の相対高さである。植付面は、ロータリ耕耘機1Aの後部カバー19Bで整地される圃場表面である。圃場に畝が形成される場合は、植付面は畝の上面である。
【0093】
次に、苗供給装置38について説明する。
図2、
図3に示すように、苗供給装置38は、第1植付装置39A及び第2植付装置39Bの上方に配置されている。詳しくは、第1苗供給装置38Aは、第1植付装置39Aの上方に配置されている。第2苗供給装置38Bは、第2植付装置39Bの上方に配置されている。
【0094】
苗供給装置38は、当該苗供給装置38の下方に位置する植付具64に苗を落下させて供給する装置である。
第1苗供給装置38Aと第2苗供給装置38Bとは、構成が同じであるので、
図23〜
図25に第1苗供給装置38Aの構造を図示して説明し、第2苗供給装置38Bの説明は省略する。
【0095】
図2、
図3、
図23に示すように、第1苗供給装置38Aは、第1機枠37Aに支持される装置フレーム176を有する。同様に、第2苗供給装置38Bも第2機枠37Bに支持される装置フレーム176を有する。装置フレーム176の周囲の一部は、カバー189L,189Rにより覆われている。具体的には、第1苗供給装置38Aの装置フレーム176の機幅外方側(左側)の上部及び側部(左部)は、カバー189Lにより覆われている。第2苗供給装置38Bの装置フレーム176の機幅外方側(右側)上部及び側部(右部)は、カバー189Rにより覆われている。
【0096】
図23に示すように、苗供給装置38は、苗が投入される多数の供給カップ171、172を有する。多数の供給カップは、多数の第1供給カップ171と、多数の第2供給カップ172とを含む。本実施形態の場合、第1供給カップ171と第2供給カップ172とは11個ずつあり、供給カップの合計数は22個である。第1供給カップ171と第2供給カップ172とは、前後方向K1に延設されたループ状の移送経路R1に沿って配置されている。
【0097】
詳しくは、第1供給カップ171と第2供給カップ172とは、平面視で前後方向K1に長い長円形を呈するようにループ状に並べて配置されている。また、第1供給カップ171と第2供給カップ172とは、長円形の移送経路R1に沿って交互に配置されている。
第1供給カップ171と第2供給カップ172は、移送機構177によって移送経路R1に沿って矢印Y1方向に間欠的に移送される。移送機構177は、第1回転体178と、第2回転体179と、索体180とを有する。第1回転体178及び第2回転体179はスプロケットによって構成され、索体180は、第1回転体178と第2回転体179とにわたって巻掛けられた無端状(ループ状)のチェーンによって構成されている。第1回転体178及び第2回転体179は、装置フレーム176に縦軸心(上下方向に延伸する軸心)回りに回転自在に支持されている。第1供給カップ171及び第2供給カップ172は、索体180の外周側に索体180に沿って配置されている。
【0098】
図11、
図20に示すように、第1回転体178は、第3伝動機構115c及び第4伝動機構115dを介して動力が伝達されて回転する。これにより、索体180、第1供給カップ171及び第2供給カップ172が矢印Y1方向(
図23参照)に移動する。なお、
図11に示すように、第2苗供給装置38Bの第1回転体178には、第5伝動機構115e及び第6伝動機構115fを介して動力が伝達される。
【0099】
図25に示すように、第1供給カップ171は、投入される苗N1を収容する収容部181aと、索体180に取り付けられる取付部182aと、収容部181aの下端の開口を塞ぐ蓋183aとを有する。第2供給カップ172も、同様に、収容部181bと、取付部182bと、蓋183bとを有する。蓋183a、183bは、収容部181a、181bの下部にヒンジによって枢支されていて、収容部181a、181bの下端開口を開閉自在としている。蓋183a、183bが閉じていることにより、収容部181a、181b内に苗N1を保持可能である。また、蓋183a、183bが開くことにより、収容部181a、181bから下方に苗N1を排出可能である。
【0100】
図24に示すように、第1供給カップ171の蓋183aは、第1係合部184aを有する。第2供給カップ172の蓋183bは、第2係合部184bを有する。第1係合部184aは、供給カップ171、172の移送経路R1(索体180)の内周側に突出している。第2係合部184bは、供給カップ171、172の移送経路R1(索体180)の外周側に突出している。
【0101】
図23に示すように、第1供給カップ171は、移送経路R1の左側で蓋183aが開く。符号OP1で示す第1供給カップ171が、蓋183aが開いている第1供給カップ171である。また、符号D1で示す位置が、第1供給カップ171の蓋183aが開く第1開放位置(機幅方向一方側の開放位置)である。第2供給カップ172は、移送経路R1の右側で蓋183bが開く。符号OP2で示す第2供給カップ172が、蓋183bが開いた第2供給カップ172である。また、符号D2で示す位置が、第2供給カップ172の蓋183bが開く第2開放位置(機幅方向他方側の開放位置)である。
【0102】
また、第1開放位置D1及び第2開放位置D2は、植付具64に苗を落下させて供給する位置である苗落とし位置である。即ち、苗供給装置38は、移送経路R1の前後方向の中途部に、植付具64に苗を落下させて供給する位置である苗落とし位置を有する。
図23に示すように、第1開放位置D1と第2開放位置D2とは、前後方向K1において異なる位置に設定されている。本実施形態では、第1開放位置D1が第2開放位置D2に対して後方に位置ずれしている。第1開放位置D1が第2開放位置D2に対して後方に位置ずれしているのに対応して、各移植ユニットにおける左の植付装置が右の植付装置に対して後方に位置ずれしている。
【0103】
図24に示すように、苗供給装置38は、供給カップ171、172の開放位置を設定する(第1開放位置D1、第2開放位置D2を設定可能な)設定部材185を有する。設定部材185は、複数の規制杆(第1規制杆186a〜第6規制杆186f)を含んでいる。
第1規制杆186aは、第1開放位置D1及び第2開放位置D2の前方側において、蓋183a、183bの下面に当接する。したがって、第1規制杆186aは、第1開放位置D1及び第2開放位置D2の前方側において、蓋183a、183bの開きを規制する。第2規制杆186bは、第1開放位置D1及び第2開放位置D2の後方側において、蓋183a、183bの下面に当接する。したがって、第2規制杆186bは、第1開放位置D1及び第2開放位置D2の後方側において、蓋183a、183bの開きを規制する。
【0104】
第3規制杆186cは、第1開放位置D1の前方側において、蓋183aの第1係合部184aに当接する。これによって、第3規制杆186cは、第1開放位置D1の前方側において、蓋183aの開きを規制する。第4規制杆186dは、第2開放位置D2の後方側において、蓋183bの第2係合部184bに当接する。これによって、第4規制杆186dは、第2開放位置D2の後方側において、蓋183bの開きを規制する。
【0105】
第5規制杆186eは、第1開放位置D1の左側に位置し、第1開放位置D1にある蓋183bの第2係合部184bに当接する。これによって、第1開放位置D1における蓋183bの開きを規制する。また、第1開放位置D1における蓋183aの開きを許容する。第6規制杆186fは、第2開放位置D2の左側に位置し、第2開放位置D2にある蓋183aの第1係合部184aに当接する。これによって、第2開放位置D2における蓋183aの開きを規制する。また、第2開放位置D2における蓋183bの開きを許容する。
【0106】
図25に示すように、第1開放位置D1の下方には、植付具64が位置しており、蓋183aが開いて苗N1が落下すると、中間ホッパ126を介して植付具64に苗N1が供給される。また、第2開放位置D2の下方にも、植付具64が位置しており、蓋183bが開いて苗N1が落下すると、中間ホッパ126を介して植付具64に苗N1が供給される。
【0107】
図3に示すように、供給カップ171、172は、椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)の背凭れ部又は座部とオーバラップする高さにあり、当該椅子の上端部よりも低い位置に配置されている。また、供給カップ171、172は、肥料ホッパ401よりも低い位置に配置されている。
図23に示すように、第1苗供給装置38Aは、移送機構177を支持する装置フレーム176を有している。装置フレーム176は、第1機枠37Aの上部に固定されている。装置フレーム176は、左杆176a、右杆176b、ベース杆176c、前杆176d,176e、後杆176f,176g、中間杆176h,176i、湾曲体176j,176kを有している。
【0108】
左杆176aは、第1苗供給装置38Aの左部において前後方向に延びている。右杆176bは、第1苗供給装置38Aの右部において前後方向に延びている。ベース杆176cは、左杆176aと右杆176bとの間において前後方向に延びている。前杆176d,176eは、第1苗供給装置38Aの前部において機幅方向に延びている。前杆176dは、ベース杆176cの前部と左杆176aの前部とを接続している。前杆176eは、ベース杆176cの前部と右杆176bの前部とを接続している。後杆176f,176gは、第1苗供給装置38Aの後部において機幅方向に延びている。後杆176fは、ベース杆176cの後部と左杆176aの後部とを接続している。後杆176gは、ベース杆176cの後部と右杆176bの後部とを接続している。ベース杆176cの前端部は、前杆176d,176eよりも前方に位置している。ベース杆176cの後端部は、後杆176f,176gよりも後方に位置している。
【0109】
中間杆176hは、ベース杆176cの後寄り部位と左杆176aの後寄り部位とを接続している。中間杆176iは、ベース杆176cの前寄り部位と右杆176bの前寄り部位とを接続している。湾曲体176j,176kは、平面視にてU字状を呈している。湾曲体176jは、装置フレーム176の前部に配置されており、U字の開放側が後方を向いている。湾曲体176kは、装置フレーム176の後部に配置されており、U字の開放側が前方を向いている。湾曲体176j,176kは、供給カップ171、172の移送経路R1(索体180)の外周側に設けられている。湾曲体176jの前部は、ベース杆176cの前端部に立設された前立設体176mに固定されている。湾曲体176kの後部は、ベース杆176cの後端部に立設された後立設体176nに固定されている。
【0110】
ベース杆176cの前部には、第1回転体178が縦軸心(上下方向に延伸する軸心)回りに回転自在に支持されている。ベース杆176cの後部には、第2回転体179が縦軸心回りに回転自在に支持されている。前杆176dの左部には、第1アイドラ251が縦軸心回りに回転自在に支持されている。前杆176eの右部には、第2アイドラ252が縦軸心回りに回転自在に支持されている。後杆176fの左部には、第3アイドラ253が縦軸心回りに回転自在に支持されている。後杆176gの右部には、第4アイドラ254が縦軸心回りに回転自在に支持されている。中間杆176hの左部には、第5アイドラ255が縦軸心回りに回転自在に支持されている。中間杆176iの右部には、第6アイドラ256が縦軸心回りに回転自在に支持されている。第1アイドラ251〜第6アイドラ256は、スプロケットから構成されている。当該スプロケットは、索体180を構成するチェーンと噛み合って回転する。
【0111】
第1アイドラ251〜第6アイドラ256は、第1回転体178と第2回転体179とにわたって巻掛けられた索体180に対して張力を付与する張力付与体を構成している。張力付与体(第1アイドラ251〜第6アイドラ256)は、索体180が弛まないように、索体180の外周側に向けて張力を付与する。張力付与体のうち、第5アイドラ255と第6アイドラ256は、蓋183a、183bの開放位置D1,D2において索体180に対して張力を付与する。具体的には、第5アイドラ255は、第1開放位置D1において索体180に対して張力を付与する。第6アイドラ256は、第2開放位置D2において索体180に対して張力を付与する。
【0112】
第1ガイド部材174Lの上方及び機幅外方(左方)は、カバー176oにより覆われている。カバー176oは、左杆176aに取り付けられている。第1ガイド部材174Rの上方及び機幅外方(右方)は、カバー176pにより覆われている。カバー176pは、右杆176bに取り付けられている。
図2〜
図4、
図26に示すように、作業機1は、移植機1Cに対して作業する作業者M1〜M4が座る複数の椅子を有する。複数の椅子は、複数の前方椅子(第1前方椅子187A、第2前方椅子187B)と、複数の後方椅子(第1後方椅子187C、第2後方椅子187D)である。第1前方椅子187Aは、第1移植ユニット36Aの前方に設けられ、第2前方椅子187Bは、第2移植ユニット36Bの前方に設けられている。また、第1後方椅子187Cは、第1移植ユニット36Aの後方に設けられ、第2後方椅子187Dは、第2移植ユニット36Bの後方に設けられている。
【0113】
言い換えると、機幅方向K2で並べて設けられた第1苗供給装置38A及び第2苗供給装置38Bを有する移植機1Cにおいて、第1前方椅子187Aは、第1苗供給装置38Aの前方に設けられ、第2前方椅子187Bは、第2苗供給装置38Bに前方に設けられている。また、第1後方椅子187Cは、第1苗供給装置38Aの後方に設けられ、第2後方椅子187Dは、第2苗供給装置38Bの後方に設けられている。
【0114】
第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bは、作業者M1,M2が後方(苗供給装置38側)を向いて座る椅子である。第1後方椅子187C及び第2後方椅子187Dは、作業者M3,M4が前方(苗供給装置38側)を向いて座る椅子である。
苗供給装置38の前後に作業者が座る椅子を設けることにより、作業機1の機幅方向K2の幅を減少させる(狭くする)ことができ、圃場間の移動が容易になると共にトラック輸送の際の輸送が容易(有利)になる。また、第1開放位置D1(苗落とし位置)及び第2開放位置D2(苗落とし位置)が、供給カップ171、172の移送経路R1の前後方向中途部に位置するので、即ち、苗を落とす位置が目の前にないので、供給カップ171、172への苗の供給作業が容易になる。また、前の作業者M1,M2と後の作業者M3,M4の作業が統一されるため、作業者の交代が容易になる。
【0115】
第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bの位置は、位置調整機構機によって、機幅方向、前後方向、上下方向に調整可能である。
図3に示すように、第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bの後方には、操作レバー(第1操作レバー167、第2操作レバー168)が設けられている。
図2に示すように、操作レバー(第1操作レバー167、第2操作レバー168)は、機幅方向K2において、第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bの間には操作レバー(第1操作レバー167、第2操作レバー168)が設けられている。2本の操作レバー167,168は、前後方向において、第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bと、苗供給装置38との間に配置されている。第1操作レバー167を前後に揺動操作することによって、検出部材(覆土輪81L,81R)による検出結果に基づく植付深さ(検出部材の高さと植付深さとの関係)を変更することができる。第2操作レバー168を前後に揺動操作することによって、機枠37を上昇させる第1状態と機枠37を下降させる第2状態とに昇降駆動装置42の駆動を切り替えることができる。
【0116】
図2に示すように、第1前方椅子187Aと移植機1Cとの間には、第1前方椅子187Aに座った作業者M1が足を置く足置き板235Aが設けられている。第2前方椅子187Bと移植機1Cとの間には、第2前方椅子187Bに座った作業者M2が足を置く足置き板235Bが設けられている。
図2〜
図4等に示すように、第1後方椅子187C及び第2後方椅子187Dは、シートフレーム197に取り付けられている。シートフレーム197は、椅子が取り付けられるフレームである。具体的には、シートフレーム197には、第1後方椅子187C及び第2後方椅子187Dが取り付けられる。シートフレーム197は、ロータリ耕耘機1Aに取り付けられた取付体196に上下動可能に連結される。
【0117】
シートフレーム197の下部には、複数の車輪(第1車輪206A、第2車輪206B、第3車輪206C)が取り付けられている。複数の車輪は、例えばタイヤによって構成され、接地してシートフレーム197を支持する。したがって、シートフレーム197は、ロータリ耕耘機1A及び移植機1Cに対して圃場の凹凸に追従して上下動する。
図2〜
図4に示すように、シートフレーム197には係止具198が設けられている。係止具198は、第1後方椅子187Cと第2後方椅子187Dとの間に配置されている。
図26に示すように、係止具198には、苗トレイを収容するコンテナCN2の持ち手として形成される穴を係止することができる。係止具198に係止されたコンテナCN2は、開放された上部を斜め前上方に向けて保持される。これにより、第1後方椅子187C及び第2後方椅子187Dに着座した作業者M3,M4(
図26参照)は、着座した状態でコンテナCN2から苗トレイを取り出して、後述する苗供給台188A〜188D又は苗載せ台190へと移すことができる。
【0118】
図2〜
図4に示すように、第1後方椅子187Cの前下方には、第1後方椅子187Cに着座した作業者M1が足を置くための足置き板235Cが配置されている。第2後方椅子187Dの前下方には、第2後方椅子187Dに着座した作業者M2が足を置くための足置き板235Dが配置されている。
図2〜
図4、
図26等に示すように、第1前方椅子187Aの後方には、苗供給台188Aが設けられている。第2前方椅子187Bの後方には、苗供給台188Bが設けられている。また、第1後方椅子187Cの前方には、苗供給台188Cが設けられている。第2後方椅子187Dの前方には、苗供給台188Dが設けられている。苗供給台188Aは、第1前方椅子187Aに着座した作業者M1の正面側に位置する。苗供給台188Bは、第2前方椅子187Bに着座した作業者M2の正面側に位置する。苗供給台188Cは、第1後方椅子187Cに着座した作業者M3の正面側に位置する。苗供給台188Dは、第2後方椅子187Dに着座した作業者M4の正面側に位置する。
【0119】
苗供給台188A〜188Dには、多数の苗を有する苗トレイを置くことができる。作業者は、苗供給台188A〜188Dに置いた苗トレイから苗供給装置38の供給カップ171、172に苗を供給することができる。
図26は、苗供給台188Cに苗トレイNTを置いた状態を示している。
図2〜
図4、
図26に示すように、第1苗供給装置38A及び第2苗供給装置38Bの上方には、苗トレイを置くことができる苗載せ台190が設けられている。苗載せ台190上には、複数の苗トレイを置くことができる。
【0120】
作業者M1〜M4は、苗載せ台190上の苗トレイから苗を供給カップ171、172に苗を供給することができる。苗載せ台190は、第1苗供給装置38Aの上方と第2苗供給装置38Bの上方とに跨るように配置されているため、第1前方椅子187A、第2前方椅子187B、第1後方椅子187C、第2後方椅子187Dの各椅子に着座した作業者が、苗載せ台190上の苗トレイから苗を取ることができる。即ち、苗載せ台190は、各椅子に着座した作業者が苗載せ台190上の苗トレイから苗を取ることができる位置に配置されている。
【0121】
作業者は、苗供給台188上の苗トレイの苗がなくなると、苗載せ台190上の苗トレイの苗を供給カップ171、172に供給することができる。即ち、苗載せ台190は、予備の苗トレイが載置される台である。また、苗供給台188上の苗トレイの苗がなくなると、空の苗トレイを苗載せ台190上の苗トレイと交換してもよい。また、各作業者の正面に位置する苗供給台188を設けずに、苗載せ台190を各作業者に共通の苗供給台としてもよい。
【0122】
図2〜
図4、
図6、
図26、
図27に示すように、作業機1は、苗トレイを収容するコンテナCN1を載せるための予備苗台280L,280Rを備えている。予備苗台280L,280Rは、ロータリ耕耘機1Aの機幅外方に配置されている。具体的には、予備苗台280Lはロータリ耕耘機1Aの左方に配置され、予備苗台280Rはロータリ耕耘機1Aの右方に配置されている。予備苗台280L,280Rは、椅子(第1前方椅子187A、第2前方椅子187B)の側方に配置されている。具体的には、予備苗台280Lは、第1前方椅子187Aの左側方(機幅外方)に配置されている。予備苗台280Rは、第2前方椅子187Bの右側方(機幅外方)に配置されている。また、予備苗台280L,280Rは、肥料ホッパ401よりも後方に配置されている。
【0123】
予備苗台280Lと予備苗台280Rとは配置が異なるのみで構成は同じである。そのため、以下、主に予備苗台280Lの構成について説明し、予備苗台280Rの構成の説明は省略する。
図4、
図27に示すように、予備苗台280Lは、第1支柱281、第2支柱282、載せ枠体283、載せ板284を有している。
図27は、載せ枠体283から載せ板284を取り外した状態を示している。
【0124】
第1支柱281及び第2支柱282は、取付体196の第1側部材196Aと第2側部材196Bにそれぞれ取り付けられており、第1側部材196Aと第2側部材196Bから上方に延びている。第1支柱281と第2支柱282とは、前後方向に間隔をあけて配置されている。第1支柱281及び第2支柱282の上部には、載せ枠体283が固定されている。
【0125】
図2に示すように、載せ枠体283は、前後方向の長さが機幅方向の長さよりも長い平面視長方形の枠体である。載せ板284は、前後方向の長さが機幅方向の長さよりも長い平面視長方形の板であって、載せ枠体283に載置されている。載せ枠体283及び載せ板284は、ロータリ耕耘機1Aよりも高く且つ第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bの座面よりも低い位置に設けられている。
【0126】
図26に示すように、予備苗台280L,280Rの載せ板284上には、苗トレイを収容するコンテナCN1が載置される。コンテナCN1は、直方体の箱である。コンテナCN1には、複数の苗トレイを上下方向に並べて収容することができる。コンテナCN1は機体内方又は上方が開放されており、作業者M1,M2は機体内方又は上方からコンテナCN1に収容された苗トレイを取り出すことができる。また、苗供給台188又は苗載せ台190上の空の苗トレイを、コンテナCN1内の苗トレイと交換することができる。この苗トレイの交換は、第1前方椅子187A、第2前方椅子187Bに着座した作業者M1,M2が行う。
【0127】
予備苗台280L,280Rは、前後方向K1において施肥部1Bと苗供給装置38の間の位置であって、側方(機体外方側)から見て第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bとオーバラップする位置に配置されている。これにより、第1前方椅子187A及び第2前方椅子187Bに着座した作業者M1,M2は、予備苗台280L,280R上のコンテナCN1に収容された苗を取って苗載せ台190へと載せる作業を容易に行うことができる。
【0128】
図1〜
図4に示すように、作業機1は、灌水チューブを巻回したチューブロール290L,290Rを備えている。灌水チューブは、植え付けた苗に水を供給するチューブである。
チューブロール290L,290Rは、トラクタ2とロータリ耕耘機1Aとの間に配置されている。つまり、チューブロール290L,290Rは、トラクタ2の後方であって、ロータリ耕耘機1Aの前方に配置されている。また、チューブロール290L,290Rは、椅子(第1前方椅子187A、第2前方椅子187B)の前方に配置されている。詳しくは、チューブロール290Lは、第1前方椅子187Aの前方に配置されている。チューブロール290Rは、第2前方椅子187Bの前方に配置されている。これにより、椅子(第1前方椅子187A、第2前方椅子187B)に着座した作業者M1,M2は、チューブロール290L,290Rの交換作業を行うことができる。
【0129】
図6に示すように、チューブロール290Lは、灌水ポンプ50の前方に配置されており、灌水チューブの一端部は灌水ポンプ50の吐出口に接続される。また、チューブロール290Lは、機幅方向K2において、伝動ケース12と左サイドフレーム15Lとの間に配置されている。チューブロール290Rは、機幅方向において、伝動ケース12と右サイドフレーム15Rとの間に配置されている。
【0130】
チューブロール290L,290Rは、ロール支持体291により、機幅方向の軸回りに回転可能に支持されている。
図27に示すように、ロール支持体291は、軸体292と、軸受293と、支持杆294と、を有している。
図6に示すように、軸体292は、ロータリ耕耘機1Aの前方に配置され、機幅方向K2に延びている。軸体292は、ロータリ耕耘機1Aの予備苗台280Lの載せ板284よりも低い位置に配置されている。
【0131】
軸受293は、軸体292を回転可能に支持している。支持杆294は、前後方向に延びており、後端部がロータリ機枠11又はロータリカバー19に接続されている。支持杆294の前部に軸受293が支持されている。
チューブロール290は、軸体292に装着されている。チューブロール290は、軸体292の回転に伴って機幅方向の軸回りに回転する。チューブロール290を回転させることにより、灌水チューブを繰り出すことができる。灌水チューブは、ロータリ耕耘機1Aの上方(上部カバー19Aの上方)且つ椅子(第1前方椅子187A、第2前方椅子187B)よりも下方を通って、ロータリ耕耘機1Aの後方に繰り出される。
【0132】
灌水チューブは、作業機1を走行させる前に、一端(巻き出し側の端部)が圃場に固定される。この一端を圃場に固定した状態で、作業機1を走行させる。すると、灌水チューブが引っ張られてチューブロール290及び軸体292が一体的に回転する。これにより、灌水チューブがチューブロール290から巻き出されて作業機1によって形成された畝に敷設される。敷設された灌水チューブから畝に植え付けられた苗に灌水することができる。
【0133】
図1〜
図4、
図28に示すように、作業機1は、圃場に成形された畝にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置300を備えている。マルチフィルム敷設装置300は、トラクタ2の後方に装着される。詳しくは、マルチフィルム敷設装置300は、トラクタ2の後部に装着されたロータリ耕耘機1Aに装着される。マルチフィルム敷設装置300は、ロータリ耕耘機1Aの後方且つ植付部39の前方(移植機1Cの前方)に配置される。マルチフィルム敷設装置300によって、圃場に成形された畝にマルチフィルムを敷設することができる。
【0134】
マルチフィルム敷設装置300は、トラクタ2の幅方向(機幅方向K2と同じ)に並んで成形される2つの畝UN1,UN2に対してそれぞれマルチフィルムを敷設する。以下、説明の便宜上、2つの畝UN1,UN2のうち、左側に成形される畝を「第1の畝UN1」、右側に成形される畝を「第2の畝UN2」という。
図28に示すように、マルチフィルム敷設装置300は、第1ロール支持軸301と第2ロール支持軸302とを有している。第1ロール支持軸301は、第1の畝UN1に敷設されるマルチフィルムが巻回された第1フィルムロール303を支持する。第2ロール支持軸302は、第2の畝UN2に敷設されるマルチフィルムが巻回された第2フィルムロール304を支持する。
【0135】
第1ロール支持軸301及び第2ロール支持軸302は、トラクタ2の幅方向(機幅方向K2)に延設されている。第1ロール支持軸301と第2ロール支持軸302とは、トラクタ2の幅方向(機幅方向K2)においてオーバラップしている。言い換えれば、第1ロール支持軸301の機幅内方側の部位301aは、第2ロール支持軸302の機幅内方側の部位302aとは、機幅方向K2においてオーバラップしている。
【0136】
第1ロール支持軸301の右端部(機幅内方側の端部)は、マルチフィルム敷設装置300の機幅方向K2の中心よりも右方に位置している。また、第1ロール支持軸301の右端部は、第2ロール支持軸302の左端部及び第2フィルムロール302の左端部よりも右方に位置している。
第2ロール支持軸302の左端部(機幅内方側の端部)は、マルチフィルム敷設装置300の機幅方向K2の中心よりも左方に位置している。また、第1ロール支持軸301の右端部及び第1フィルムロール301の右端部よりも左方に位置している。
【0137】
ロール支持軸(第1ロール支持軸301、第2ロール支持軸302)は、耕耘部1Aの後方且つ植付部39の前方であって、チューブロール290L,290Rの後方且つ下方に配置されている。
図28に示すように、第1ロール支持軸301と第2ロール支持軸302とは、前後方向K1にずらして配置されている。これにより、第1フィルムロール303と第2フィルムロール304とは、前後方向K1にずらして配置される。本実施形態の場合、第1ロール支持軸301が第2ロール支持軸302の前方に配置されている。但し、第1ロール支持軸301が第2ロール支持軸302の後方に配置されていてもよい。また、図示しないが、第1ロール支持軸301と第2ロール支持軸302とは、上下方向にずらして配置されていてもよい。
【0138】
第1ロール支持軸301の両端部は、第1軸支持体305L,305Rにより支持されている。第2ロール支持軸302の両端部は、第2軸支持体306L,306Rにより支持されている。
図28に示すように、マルチフィルム敷設装置300は、第1覆土部材321、第2覆土部材322、第3覆土部材323、第4覆土部材324を有している。第1覆土部材321、第2覆土部材322、第3覆土部材323、第4覆土部材324は、円板状の覆土ディスクから構成されている。
【0139】
第1覆土部材321及び第3覆土部材323は、後方に行くに従って第1の畝UN1側に移行する傾斜状に設けられている。第2覆土部材322及び第4覆土部材324は、後方に行くに従って第2の畝UN2側に移行する傾斜状に設けられている。
第1覆土部材321は、第1フィルムロール303の右部の後方に配置されている。第1覆土部材321は、第1フィルムロール303から巻き出されて第1の畝UN1に敷設されたマルチフィルムの第2畝UN2側の一端部(右端部)に土を被せる。第2覆土部材322は、第2フィルムロール304の左部の後方に配置されている。第2覆土部材322は、第2フィルムロール304から巻き出されて第2の畝UN2に敷設されたマルチフィルムの第1畝UN1側の一端部(左端部)に土を被せる。
【0140】
第3覆土部材323は、第1フィルムロール303の左部の後方に配置されている。第3覆土部材323は、第1フィルムロール303から巻き出されて第1の畝UN1に敷設されたマルチフィルムの他端部(左端部)に土を被せる。第4覆土部材324は、第2フィルムロール304の右部の後方に配置されている。第4覆土部材324は、第2フィルムロール304から巻き出されて第2の畝UN2に敷設されたマルチフィルムの他端部(右端部)に土を被せる。
【0141】
図28に示すように、マルチフィルム敷設装置300は、第1フィルム押え器331、第2フィルム押え器332、第3フィルム押え器333、第4フィルム押え器334を有している。第1フィルム押え器331、第2フィルム押え器332、第3フィルム押え器333、第4フィルム押え器334は、例えば、車輪から構成されている。
第1フィルム押え器331及び第3フィルム押え器333は、前方に行くに従って第1の畝UN1側に移行する傾斜状に設けられている。第2フィルム押え器332及び第4フィルム押え器334は、前方に行くに従って第2の畝UN2側に移行する傾斜状に設けられている。
【0142】
第1フィルム押え器331は、第1フィルムロール303の後方に配置されている。第1フィルム押え器331は、第1の畝UN1に敷設されたマルチフィルムの第2の畝UN2側(右側)の一端部(右端部)を押さえる。第2フィルム押え器332は、第2フィルムロール304の後方に配置されている。第2フィルム押え器332は、第2の畝UN2に敷設されたマルチフィルムの第1畝UN1側(左側)の一端部(左端部)を押さえる。第3フィルム押え器333は、第1フィルムロール303の後方に配置されている。第3フィルム押え器333は、第1の畝UN1に敷設されたマルチフィルムの他端部(左端部)を押さえる。第4フィルム押え器334は、第2フィルムロール304の後方に配置されている。第4フィルム押え器334は、第2の畝UN2に敷設されたマルチフィルムの他端部(右端部)を押さえる。
【0143】
本実施形態の作業機1は、以下に記載する効果を奏する。
作業機1は、走行体(トラクタ)2の後部に装着され且つ圃場を耕耘する耕耘部1Aと、耕耘部1Aの前方に配置され且つ圃場に肥料を播く施肥部1Bと、耕耘部1Aの後方に配置され且つ圃場に苗を植え付ける植付部39と、を備えている。
この構成によれば、施肥作業と耕耘作業と植付作業とを1台の連続的に行うことができる。そのため、施肥、耕耘、植付という一連の作業を効率良く行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0144】
また、作業機1は、耕耘部1Aの後方に配置され、且つ植付部39に供給される苗を収容する多数の供給カップ171,172をループ状の経路に沿って移送する移送機構177を有する苗供給部38と、苗供給部38に苗を補給する作業者が座る椅子187A,187Bと、を備え、椅子187A,187Bは、耕耘部1Aの上方であって、施肥部1Bの後方且つ苗供給部38の前方に配置されている。
【0145】
この構成によれば、椅子187A,187Bに着座した作業者は、施肥部1Bに肥料を供給(補給)する作業と、苗供給部38に苗を補給する作業とを容易に行うことができる。
また、施肥部1Bは、肥料を投入する肥料ホッパ401を有し、肥料ホッパ401は、椅子187A,187Bの前方であって、前方から見て椅子187A,187Bとオーバラップする高さに配置されている。
【0146】
この構成によれば、椅子187A,187Bに着座した作業者は、施肥部1Bの状態(肥料の残量等)の確認や肥料を供給(補給)する作業を容易に行うことができる。
また、耕耘部1Aは、回転軸16と当該回転軸16に取り付けられた耕耘爪17とを含む耕耘体18と、耕耘体18の上方を覆う上部カバー19Aと、を有し、施肥部1Bは、肥料ホッパ401に投入された肥料を圃場に向けて落下させる施肥ホース403を有し、施肥ホース403の下端部は、耕耘体18の前方であって且つ上部カバー19Aよりも下方に配置されている。
【0147】
この構成によれば、肥料ホッパ401に投入された肥料を施肥ホース403によって、耕耘体18の前方であって且つ上部カバー19Aよりも下方に落下させることができる。これにより、施肥ホース403から落下した肥料を確実に耕耘体18によって攪拌して土壌に混合することができる。
また、作業機1は、灌水ポンプ50と、灌水ポンプ50に接続された灌水チューブと、椅子187A,187Bの前方に配置され且つ灌水チューブが繰り出し可能に巻回されたチューブロール290L,290Rと、を備え、灌水チューブは、チューブロール290L,290Rから耕耘部1Aの上方且つ椅子187A,187Bよりも下方を通って後方に繰り出される。
【0148】
この構成によれば、椅子187A,187Bに着座した作業者は、チューブロール290L,290Rにアクセスすることができる。また、灌水チューブを耕耘部1Aに巻き込まれることなく植付部39に向けて配策することができる。
また、作業機1は、圃場にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置300を備え、マルチフィルム敷設装置300は、マルチフィルムが巻回されたフィルムロール303,304を回転可能に支持するロール支持軸301,302を有し、ロール支持軸301,302は、耕耘部1Aの後方且つ植付部39の前方であって、チューブロール290L,290Rの後方且つ下方に配置されている。
【0149】
この構成によれば、チューブロール290L,290Rから巻き出された灌水チューブを、耕耘部1Aの後方且つ植付部39の前方であって、ロール支持軸301,302付近まで容易に繰り出すことができる。そのため、耕耘部1Aにより耕耘され、フィルムロール303,304により覆われ、植付部39により苗が植え付けられた土壌に、灌水チューブから水を供給することができる。
【0150】
また、作業機1は、多数の苗を有する苗トレイを収容するコンテナCN1を載せるための予備苗台280L,280Rを備え、予備苗台280L,280Rは、椅子187A,187Bの側方であって且つ肥料ホッパ401よりも後方に配置されている。
この構成によれば、椅子187A,187Bに着座した作業者が、予備苗台280L,280Rに載せられたコンテナCN1に収容された苗トレイを取り出すことができる。
【0151】
また、予備苗台280L,280Rは、前後方向において施肥部1Bと苗供給部38の間の位置であって且つ、側方から見て椅子187A,187Bとオーバラップする位置に配置されている。
この構成によれば、椅子(第1前方椅子187A、第2前方椅子187B)に着座した作業者M1,M2は、予備苗台280L,280R上のコンテナCN1に収容された苗を取って苗載せ台190へと載せる作業を容易に行うことができる。
【0152】
また、作業機1は、走行体2に搭載された原動機E1からの動力を伝達する動力伝達部を備え、動力伝達部は、前記動力を植付部39に対して伝達する第1動力伝達部B1と、前記動力を施肥部1Bに対して伝達する第2動力伝達部B2と、前記動力を耕耘部1Aに対して伝達する第3動力伝達部B3と、を含む。
この構成によれば、走行体2に搭載された原動機E1からの動力を利用して、植付部39、施肥部1B、耕耘部1Aを駆動することができるため、駆動源を複数設ける必要が無く、作業機1を軽量化及び小型化することができる。
【0153】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。