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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-202806(P2020-202806A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】水田作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20201127BHJP
   A01C 23/00 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   A01C11/02 313Z
   A01C23/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-113035(P2019-113035)
(22)【出願日】2019年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】米田 達弘
(72)【発明者】
【氏名】安田 真
【テーマコード(参考)】
2B052
2B062
【Fターム(参考)】
2B052BC05
2B052BC07
2B052BC09
2B052BC16
2B052DB01
2B052DB07
2B052DB08
2B052EA03
2B062AA14
2B062AB01
2B062BA06
2B062BA12
2B062BA17
2B062BA18
2B062BA22
(57)【要約】
【課題】水田作業機において、作業用変速装置と、第2作業装置に動力を伝達する出力軸及び軸支持部とが、ミッションケースに無理なく設けられるようにする。
【解決手段】ミッションケース8の右部又は左部に連結された作業用変速装置34と、ミッションケース8から外側に延出された軸支持部86と、軸支持部86の内部に沿って支持されて動力を第2作業装置に伝達可能な出力軸84と、動力を出力軸84に伝動及び遮断可能な作業クラッチとが備えられる。作業クラッチを操作可能なクラッチ操作部135が、軸支持部86における作業用変速装置34に向く部分の反対側の部分に設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
田面に苗又は種子を供給する第1作業装置と、田面に肥料又は薬剤を供給する第2作業装置と、
機体に設けられたミッションケースの右部又は左部に連結されて、前記ミッションケースの内部の伝動軸に伝達された動力を変速して前記第1作業装置に伝達可能な作業用変速装置と、
前記ミッションケースにおける前記作業用変速装置と同じ側の右部又は左部から、外側に延出された軸支持部と、
前記軸支持部の内部に沿って支持されて、前記ミッションケースの内部の伝動軸に伝達された動力を前記第2作業装置に伝達可能な出力軸と、
前記ミッションケースの内部の伝動軸に伝達された動力を前記出力軸に伝動及び遮断可能な作業クラッチとが備えられ、
前記作業クラッチを伝動状態及び遮断状態に操作可能なクラッチ操作部が、前記軸支持部における前記作業用変速装置に向く部分の反対側の部分に設けられている水田作業機。
【請求項2】
前記作業用変速装置が、側面視で前記軸支持部に対して上側に配置され、前記軸支持部が、側面視で前記作業用変速装置に対して下側に配置されて、
前記クラッチ操作部が、前記軸支持部における前記作業用変速装置に向く部分の反対側の部分である下部に設けられている請求項1に記載の水田作業機。
【請求項3】
前輪を支持する前車軸ケースが、側面視で、前記軸支持部の後側で且つ前記作業用変速装置の下側に位置するように、前記ミッションケースにおける前記作業用変速装置及び前記軸支持部と同じ側の右部又は左部に連結されて、
前記クラッチ操作部を操作する連係部材が、側面視で前記作業用変速装置と前記前車軸ケースとの間に配置されて、前記クラッチ操作部に接続されている請求項2に記載の水田作業機。
【請求項4】
前記ミッションケースの内部の潤滑油用のフィルタが、側面視で、前記前車軸ケースの前側に位置し且つ前記作業用変速装置の下側に位置するように、前記ミッションケースにおける前記作業用変速装置及び前記軸支持部と同じ側の右部又は左部に連結されて、
前記クラッチ操作部が、側面視で前記前車軸ケースと前記フィルタとの間に配置されている請求項3に記載の水田作業機。
【請求項5】
前記作業用変速装置との干渉を避ける凹部が、前記軸支持部に設けられている請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の水田作業機。
【請求項6】
前記軸支持部の端部から出た前記出力軸の端部に連結された上手側回転体と、前記第2作業装置に動力を伝達可能な下手側回転体と、前記軸支持部の端部に連結された支持部材に支持されたテンション輪とが備えられ、
前記上手側回転体、前記下手側回転体及び前記テンション輪に亘って、無端伝動体が取り付けられて、
前記出力軸の動力が、前記上手側回転体及び前記無端伝動体を介して前記下手側回転体に伝達される請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の水田作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
水田作業機の一例である乗用型田植機では、特許文献1に開示されているように、田面に苗を植え付ける苗植付装置(第1作業装置に相当)と、田面に液状の肥料を供給する施肥装置(第2作業装置に相当)が設けられたものがある。
【0003】
特許文献1では、苗植付装置に動力を伝達可能な作業用変速装置が、機体に設けられたミッションケースの内部に設けられている。
軸支持部がミッションケースの右部に設けられて外側に延出され、出力軸が軸支持部の内部に支持されている。作業用変速装置の直前から分岐した動力が、施肥クラッチを介して出力軸に伝達され、出力軸から施肥装置に伝達される。
【0004】
施肥クラッチが伝動状態及び遮断状態に操作されることにより、施肥装置が作動及び停止操作される。施肥クラッチを伝動状態及び遮断状態に操作可能なクラッチ操作部が、軸支持部に設けられており、クラッチ操作部が外部から操作できるように、クラッチ操作具が軸支持部から外側に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−173087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水田作業機では、作業用変速装置のメンテナンス性の向上や、例えば無段変速装置等の高機能の作業用変速装置を装備する為に、作業用変速装置を、ミッションケースの内部に配置するのではなく、ミッションケースの外部に連結することが提案されている。
この場合、作業用変速装置がミッションケースの右部(左部)に連結され、軸支持部がミッションケースにおける作業用変速装置と同じ側の右部(左部)に設けられて、外側に延出されるように構成されることがある。
【0007】
本発明は、水田作業機において、第1作業装置に動力を伝達する作業用変速装置、及び第2作業装置に動力を伝達する出力軸及び軸支持部が、ミッションケースにおける同じ右部(左部)に設けられる場合、作業用変速装置及び軸支持部が無理なく設けられるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の水田作業機は、田面に苗又は種子を供給する第1作業装置と、田面に肥料又は薬剤を供給する第2作業装置と、機体に設けられたミッションケースの右部又は左部に連結されて、前記ミッションケースの内部の伝動軸に伝達された動力を変速して前記第1作業装置に伝達可能な作業用変速装置と、前記ミッションケースにおける前記作業用変速装置と同じ側の右部又は左部から、外側に延出された軸支持部と、前記軸支持部の内部に沿って支持されて、前記ミッションケースの内部の伝動軸に伝達された動力を前記第2作業装置に伝達可能な出力軸と、前記ミッションケースの内部の伝動軸に伝達された動力を前記出力軸に伝動及び遮断可能な作業クラッチとが備えられ、前記作業クラッチを伝動状態及び遮断状態に操作可能なクラッチ操作部が、前記軸支持部における前記作業用変速装置に向く部分の反対側の部分に設けられている。
【0009】
本発明によると、水田作業機において、動力を第1変速装置に伝達可能な作業用変速装置が、ミッションケースの右部(左部)に連結され、動力を第2作業装置に伝達可能な出力軸が内部に設けられた軸支持部が、ミッションケースにおける作業用変速装置と同じ側の右部(左部)に設けられた場合、軸支持部からと突出するクラッチ操作部が、軸支持部における作業用変速装置に向く部分の反対側の部分に設けられている。
【0010】
これにより、ミッションケースの右部(左部)において、作業用変速装置と軸支持部とが接近して配置されても、クラッチ操作部と作業用変速装置とが干渉することは少なく、作業用変速装置及び軸支持部が無理なく接近して配置されるようになるので、ミッションケースのコンパクト化の面で有利である。
【0011】
本発明において、前記作業用変速装置が、側面視で前記軸支持部に対して上側に配置され、前記軸支持部が、側面視で前記作業用変速装置に対して下側に配置されて、前記クラッチ操作部が、前記軸支持部における前記作業用変速装置に向く部分の反対側の部分である下部に設けられていると好適である。
【0012】
本発明によると、作業用変速装置が、比較的高い位置に配置され、田面から上側に離れて配置されるので、田面から飛散する泥や水が作業用変速装置に付着することを少なくするという面で有利になる。
【0013】
前述の状態において、本発明によると、軸支持部が、側面視で作業用変速装置に対して下側に配置され、クラッチ操作部が、軸支持部における作業用変速装置に向く部分の反対側の部分である下部に設けられるので、クラッチ操作部と作業用変速装置との干渉を少なくすること、及び、田面から飛散する泥や水の作業用変速装置への付着を少なくすることが、無理なく両立される。
【0014】
本発明において、前輪を支持する前車軸ケースが、側面視で、前記軸支持部の後側で且つ前記作業用変速装置の下側に位置するように、前記ミッションケースにおける前記作業用変速装置及び前記軸支持部と同じ側の右部又は左部に連結されて、前記クラッチ操作部を操作する連係部材が、側面視で前記作業用変速装置と前記前車軸ケースとの間に配置されて、前記クラッチ操作部に接続されていると好適である。
【0015】
水田作業機では、前輪を支持する前車軸ケースが、ミッションケースに連結されることがある。
本発明によると、前車軸ケースが、側面視で軸支持部の後側で且つ作業用変速装置の下側に配置されているので、作業用変速装置が比較的高い位置に配置されることになって、田面から飛散する泥や水が作業用変速装置に付着することを少なくするという面で有利になる。
【0016】
前述の状態において、本発明によると、連係部材が、側面視で作業用変速装置と前車軸ケースとの間に配置されて、クラッチ操作部に接続されており、連係部材によりクラッチ操作部が操作されて、作業クラッチが伝動状態及び遮断状態に操作される。
これにより、作業用変速装置と前車軸ケースとの間が有効に利用されて、連係部材が配置されるようになり、ミッションケースの付近の構造のコンパクト化の面で有利である。
【0017】
本発明において、前記ミッションケースの内部の潤滑油用のフィルタが、側面視で、前記前車軸ケースの前側に位置し且つ前記作業用変速装置の下側に位置するように、前記ミッションケースにおける前記作業用変速装置及び前記軸支持部と同じ側の右部又は左部に連結されて、前記クラッチ操作部が、側面視で前記前車軸ケースと前記フィルタとの間に配置されていると好適である。
【0018】
水田作業機では、ミッションケースの内部の潤滑油用のフィルタが、ミッションケースに連結されることがある。
本発明によると、フィルタが、側面視で、前車軸ケースの前側で且つ作業用変速装置の下側に配置されるので、作業用変速装置が比較的高い位置に配置されることになって、田面から飛散する泥や水が作業用変速装置に付着することを少なくするという面で有利になる。
【0019】
前述の状態において、本発明によると、クラッチ操作部が、側面視で前車軸ケースとフィルタとの間に配置されており、前車軸ケースとフィルタとの間が有効に利用されているので、ミッションケースの付近の構造のコンパクト化の面で有利である。
【0020】
本発明において、前記作業用変速装置との干渉を避ける凹部が、前記軸支持部に設けられていると好適である。
【0021】
本発明によると、作業用変速装置と軸支持部とが接近して配置されても、軸支持部と作業用変速装置との干渉が、軸支持部の凹部により避けられ易くなるので、作業用変速装置及び軸支持部が無理なく接近して配置されるようになり、ミッションケースのコンパクト化の面で有利である。
【0022】
本発明において、前記軸支持部の端部から出た前記出力軸の端部に連結された上手側回転体と、前記第2作業装置に動力を伝達可能な下手側回転体と、前記軸支持部の端部に連結された支持部材に支持されたテンション輪とが備えられ、前記上手側回転体、前記下手側回転体及び前記テンション輪に亘って、無端伝動体が取り付けられて、前記出力軸の動力が、前記上手側回転体及び前記無端伝動体を介して前記下手側回転体に伝達されると好適である。
【0023】
出力軸の上手側回転体と、第2作業装置に動力を伝達可能な下手側回転体とに亘って、伝動チェーンや伝動ベルト等の無端伝動体が取り付けられて、出力軸の動力が、無端伝動体及び下手側伝動体を介して、第2作業装置に伝達される場合、無端伝動体の張力を維持するテンション輪が設けられることが多い。
【0024】
前述の状態において、本発明によると、軸支持部の端部に支持部材が連結され、支持部材にテンション輪が支持されるので、軸支持部がテンション輪の支持に兼用されることになって、テンション輪の支持構造の簡素化の面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】乗用型田植機の右側面図である。
図2】フロアの付近の平面図である。
図3】変速レバー及び右の貯留タンクの付近の右側面図である。
図4】右の貯留タンクの付近の正面図である。
図5】変速レバー及び無段変速装置の付近の右側面図である。
図6】変速レバー及び供給変速装置の付近の平面図である。
図7】変速レバー及び供給変速装置の付近の分解斜視図である。
図8】供給変速装置から供給ポンプへの伝動系、供給ポンプと供給ノズルとの接続状態を示す概略図である。
図9】供給ポンプ操作機構の付近の縦断背面図である。
図10】供給ポンプ操作機構の付近の縦断左側面図である。
図11】ミッションケースの断面図である。
図12】ミッションケースの断面図である。
図13】ミッションケースの断面図である。
図14】制御装置と各部との連係状態、供給ポンプ操作機構と供給クラッチとの連係状態を示す概略図である。
図15】発明の実施の第1別形態において、ミッションケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1図15に水田作業機の一例である乗用型田植機が示されており、図1図15において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0027】
(乗用型田植機の全体構成)
図1に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2が設けられた機体3の後部に、リンク機構4が上下に揺動可能に支持されて後側に延出されて、リンク機構4を上下に昇降操作する油圧シリンダ5が設けられており、苗植付装置6(第1作業装置に相当)がリンク機構4の後部に支持されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、機体3は、前後方向に沿って配置された右及び左の機体フレーム7、機体フレーム7の前部に連結されたミッションケース8、ミッションケース8の前部に連結された支持フレーム9等を有している。
【0029】
右及び左の前車軸ケース10がミッションケース8の右部及び左部に連結されており、右及び左の前車軸ケース10に右及び左の前輪1が支持されている。後車軸ケース11が機体フレーム7の後部に支持されており、後車軸ケース11に右及び左の後輪2が支持されている。
【0030】
(苗植付装置の構成)
図1及び図8に示すように、苗植付装置6に、植付伝動ケース12、回転ケース13、植付アーム14、フロート15、苗のせ台16等が設けられている。
【0031】
3個の植付伝動ケース12が左右方向に並べて配置されており、3個のフロート15が植付伝動ケース12の下側に配置されている。植付伝動ケース12の後部の右部及び左部に、回転ケース13が回転可能に支持され、回転ケース13の両端部に、植付アーム14が支持されている。苗のせ台16が、左右方向に移動可能に支持されている。
【0032】
苗のせ台16が左右方向に横送り駆動されるのに伴って、回転ケース13が回転駆動され、植付アーム14が苗のせ台16の下部から交互に苗を取り出して田面に植え付ける。以上のように、苗植付装置6は、第1〜第6の植付条L1,L2,L3,L4,L5,L6に苗の植え付けを行う6条植型式に構成されている。
【0033】
(前輪及び後輪への伝動系)
図1及び図8に示すように、エンジン17が支持フレーム9に支持されており、エンジン17のマフラー67が、支持フレーム9の右部に沿って斜め下向きに配置されている。
【0034】
図8及び図11に示すように、走行用の静油圧型式の無段変速装置18がミッションケース8の左部の上部に連結されて、エンジン17の出力軸17aと無段変速装置18の入力軸18aとに亘って、伝動ベルト19が取り付けられている。無段変速装置18は、中立位置を挟んで、前進側及び後進側に無段階に変速可能に構成されている。
【0035】
図11に示すように、油圧ポンプ20がミッションケース8の右部の上部に連結されており、無段変速装置18の入力軸18aと油圧ポンプ20とに亘って、伝動軸21が連結されている。ミッションケース8の内部において、伝動軸22が無段変速装置18の出力軸18bに連結されており、伝動軸22に低速ギヤ23及び高速ギヤ24が連結されている。
【0036】
伝動軸22と平行に支持された伝動軸25に、シフトギヤ26がスプライン構造によって伝動軸25と一体で回転可能及びスライド可能に支持されている。シフトギヤ26がスライド操作されて低速ギヤ23及び高速ギヤ24に咬合することにより、無段変速装置18の出力軸18bの動力が、伝動軸22から高低2段に変速されて、伝動軸25に伝達される。
【0037】
右及び左の前輪伝動軸27が右及び左の前車軸ケース10に支持されており、右及び左の前輪伝動軸27の間に前輪デフ機構28が設けられている。伝動軸25に連結された伝動ギヤ29と、前輪デフ機構28に連結された伝動ギヤ30とが咬合しており、伝動軸25の動力が、伝動ギヤ29,30、前輪デフ機構28及び前輪伝動軸27を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
【0038】
出力軸31がミッションケース8の後部に後向きに支持されており、前輪デフ機構28に連結されたベベルギヤ32と、出力軸31に形成されたベベルギヤ31aとが咬合している。伝動軸25の動力が、伝動ギヤ30、ベベルギヤ32及び出力軸31を介して、後車軸ケース11に伝達され、後車軸ケース11の内部の伝動軸(図示せず)を介して、右及び左の後輪2に伝達される。
【0039】
ブレーキ33が出力軸31に設けられている。ブレーキ33が制動操作されることにより、前輪デフ機構28及び前輪伝動軸27を介して前輪1に制動が掛かり、出力軸31を介して後輪2に制動が掛かる。
【0040】
(苗植付装置への伝動系)
図8,11,12に示すように、苗植付装置6用の静油圧型式の無段変速装置34(作業用変速装置に相当)が、ミッションケース8の右部の上部に連結されて、無段変速装置34の入力軸34aと伝動軸22とが連結されている。無段変速装置34は、正転側に無段階に変速可能であり、植付アーム14による植付間隔(株間)を無段階に設定及び変更することができる。
【0041】
図12に示すように、ミッションケース8の内部において、伝動軸35,37が伝動軸22(ミッションケース8の内部の伝動軸に相当)と平行に支持されており、無段変速装置34の出力軸34bと伝動軸35とが連結されている。円筒状の伝動軸36が伝動軸35に相対回転可能に支持され、伝動軸37に伝動ギヤ38が相対回転可能に支持されている。伝動軸35に形成された伝動ギヤ35aと伝動ギヤ38とが咬合し、伝動軸36に連結された伝動ギヤ39と伝動ギヤ38とが咬合している。
【0042】
無段変速装置18の出力軸18bの動力が、伝動軸22から無段変速装置34に伝達されて、無段変速装置18の出力軸18bの動力が、無段変速装置34により変速される。無段変速装置の出力軸34bの動力が、伝動軸35(伝動ギヤ35a)及び伝動ギヤ38,39を介して、伝動軸36に伝達される。
【0043】
無段変速装置18の後進(逆転)の動力が無段変速装置34に伝達された場合、無段変速装置34の内部のリリーフ弁(図示せず)が開操作されて、無段変速装置34は停止した状態となるのであり、無段変速装置34から後進(逆転)の動力は出力されない。
【0044】
4個の株間ギヤ40,41が伝動軸36に連結され、4個の株間ギヤ42,43が伝動軸37に相対回転可能に取り付けられており、株間ギヤ40,42が咬合し、株間ギヤ41,43が咬合している。
【0045】
株間ギヤ40,42は、株間ギヤ40,42の中心が伝動軸36,37の中心と一致した等速ギヤである。株間ギヤ40,42の組は、伝動軸36の動力の1回転の中での角速度を等速に維持しながら、伝動軸36の動力を変速して伝動軸37に伝達する等速ギヤの組となる。
【0046】
株間ギヤ41,43は、株間ギヤ41,43の中心が伝動軸36,37の中心から外れた偏芯ギヤである。株間ギヤ41,43の組は、伝動軸36の動力の1回転の中での角速度を高低に変速しながら、伝動軸36の動力を同じ回転数で伝動軸37に伝達する偏芯ギヤの組となる。
【0047】
伝動軸37にスリット37aが形成されて、平板状のキー部材44が伝動軸37のスリット37aに挿入されている。キー部材44は、伝動軸37と一体で回転可能であり、伝動軸37の軸芯方向(図12の左右方向)にスライド可能である。
【0048】
キー部材44が伝動軸37の軸芯方向に沿って移動操作されて、キー部材44が株間ギヤ42,43の内径部に係合することにより、キー部材44が係合した株間ギヤ42,43が、伝動軸37と一体で回転する状態となる。
【0049】
出力軸45がミッションケース8の後部に後向きに支持されており、伝動軸37に連結されたベベルギヤ46と、出力軸45に相対回転可能に取り付けられたベベルギヤ47とが咬合している。ベベルギヤ47と出力軸45との間に、植付クラッチ48が設けられている。
【0050】
無段変速装置34により、通常の株間の範囲において株間が変更される場合、キー部材44が株間ギヤ42に係合操作される。無段変速装置34により、疎植状態の株間が設定される場合、キー部材44が3個の株間ギヤ43のうちの一つに係合操作される。
【0051】
これにより、伝動軸36の動力が、株間ギヤ40,42又は株間ギヤ41,43、伝動軸37、ベベルギヤ46,47、植付クラッチ48を介して出力軸45に伝達され、出力軸45から苗植付装置6に伝達される。
【0052】
(フロアの構成)
図1及び図2に示すように、作業者が搭乗可能なフロア49が、機体3に支持されている。フロア49の後部に、運転座席50が設けられ、フロア49の前部に、エンジン17を覆うカバー51が設けられており、前輪1を操向操作する操縦ハンドル52が、カバー51の上部に設けられている。
【0053】
フロア49は、運転座席50の直下から、カバー51に対して右側及び左側の領域に亘っている。以下の説明のように、フロア49の前部の横幅が、平面視で、フロア49の後部の横幅よりも狭くなっている。
【0054】
フロア49の前部の右における横部49aが、フロア49の後部における右の横部49b(フロア49の後部における右の横部49bから前後方向に延出された仮想線K1)よりも、機体左右中央側(左側)に位置するように形成されて、フロア49の前部における右の横部49aに、右の入り込み部53が形成されている。
【0055】
フロア49の前部及び後部の右における横部49a,49bは、フロア49の前部及び後部において、後述の(供給変速装置の変速操作における変速レバーの構成)に記載の変速レバー107,108側の横部49a,49bである。
【0056】
フロア49の前部における左の横部49aが、フロア49の後部における左の横部49b(フロア49の後部における左の横部49bから前後方向に延出された仮想線K2)よりも、機体左右中央側(右側)に位置するように形成されて、フロア49の前部における左の横部49aに、左の入り込み部53が形成されている。
【0057】
乗降用のステップ54が、側面視でフロア49よりも下側に位置し、平面視でフロア49の後部における右及び左の横部49bよりも外側に位置するように設けられている。乗降時の手摺りとして機能するフレーム55が、平面視でフロア49の後部における右及び左の横部49bよりも外側に位置するように設けられている。
【0058】
図2,3,4に示すように、フロア49を支持する右及び左の支持フレーム64が、フロア49の前後中間部の下側に沿って左右方向に配置され、前車軸ケース10に連結されており、フロア49の後部における右及び左の横部49bの下側に沿って前後方向に配置されている。
【0059】
フロア49の前部を支持する右及び左の支持フレーム65が、支持フレーム9の前部の右部及び左部に連結され、右側及び左側に延出されて、後側に延出されており、支持フレーム65の後部が支持フレーム64に連結されている。
【0060】
フロア49の前部を支持する右及び左の支持フレーム66が、支持フレーム65に連結され、右側及び左側に延出されて、フロア49の前部における右及び左の横部49aの下側に沿って後側に延出されており、支持フレーム66の後部が支持フレーム64及び前車軸ケース10に連結されている。
【0061】
(予備苗のせ台の支持フレームの構成)
図1図4に示すように、右(左)の前の支持フレーム56の下部が、支持フレーム9の前部の右部(左部)に連結されて、右(左)の前の支持フレーム56が、外側に延出され、右(左)の入り込み部53の位置を通って上側に延出されている。右の支持フレーム56は、マフラー67に対して下側を左右方向に沿って配置されている。
【0062】
右(左)の後の支持フレーム57の下部が、前車軸ケース10に連結されて、右(左)の後の支持フレーム57が、外側に延出され、右(左)の入り込み部53の位置を通って上側に延出されている。
【0063】
図1に示すように、前の支持フレーム56の上部と、後の支持フレーム57の上部とが連結されており、左右方向に沿った支持フレーム58が、右及び左の支持フレーム56,57の上部に亘って連結されている。自動操向用のGPSアンテナ59が、支持フレーム58の左右中央部に連結されている。
【0064】
予備苗のせ台60が、前及び後の支持フレーム56,57の上下中間部に取り付けられている。予備苗のせ台60は、3個設けられており、図1に示すように、3個の予備苗のせ台60が重ねられるように折り畳まれた状態、及び、3個の予備苗のせ台60が展開されて前後方向に沿って一列状に配置された状態に切換可能である。
【0065】
(予備苗のせ台の支持フレームの補強の構成)
図2,3,4に示すように、補強フレーム61が、左右方向に沿って配置されて、支持フレーム9(機体3)の下部に連結され、マフラー67に対して下側を左右方向に配置されており、補強フレーム61の右及び左のブラケット61aが、右及び左の前の支持フレーム56に連結されている。
【0066】
これにより、右及び左の前の支持フレーム56を補強する補強フレーム61が、右の前の支持フレーム56と左の前の支持フレーム56とに亘って、支持フレーム9(機体3)の下部を通って連結されている。
【0067】
前輪1を支持する前車軸ケース10が、側面視で、前及び後の支持フレーム56,57に対して後側に配置されている。右及び左の別の補強フレーム62が、補強フレーム61のブラケット61aと前車軸ケース10とに亘って連結されている。
【0068】
右及び左の保護フレーム63が、補強フレーム62の前部に連結されて、後述の(供給ポンプの構成)に記載の供給ポンプ72a〜72c,72d〜72fに対して前側に位置するように、片持ち状に延出されている。
【0069】
(田面に液状の肥料を供給する構成の概要)
図1及び図8に示すように、液状の肥料を貯留する右及び左の貯留タンク71と、貯留タンク71の肥料を繰り出す6個の供給ポンプ72a,72b,72c,72d,72e,72f(第2作業装置に相当)と、供給ポンプ72a〜72fから繰り出された肥料を田面に供給する6個の供給ノズル73a,73b,73c,73d,73e,73fとが備えられている。
【0070】
苗植付装置6(植付アーム14)による苗の植え付けに伴って、供給ポンプ72a〜72fが駆動される。右及び左の貯留タンク71の肥料が、供給ポンプ72a〜72fから繰り出されて、供給ノズル73a〜73fに供給され、供給ノズル73a〜73fから田面に供給される。
【0071】
(貯留タンクの構成)
図1図4に示すように、支持アーム68が、前及び後の支持フレーム56,57に連結されて外側に延出されている。貯留タンク71が、支持アーム68に支持されて、予備苗のせ台60に対して下側に配置されている。
【0072】
貯留タンク71は、合成樹脂製で半透明に構成され、縦長状に構成されており、貯留タンク71の前部の上部の左右方向の軸芯P1周りに、蓋部71aが開閉可能に設けられている。貯留タンク71の蓋部71aが開操作されることにより、貯留タンク71の蓋部71aの開口部から、肥料が補給可能となる。
【0073】
(供給ポンプの構成)
図4及び図8に示すように、正面視で逆三角形状の前及び後の支持板69が、支持アーム68に連結されて、下側に延出されている。左の貯留タンク71の下側において、3個の供給ポンプ72a,72b,72cが、左右方向に向いた姿勢で、前後方向に並べて配置され、互いに連結されて、前及び後の支持板69に支持されている。
【0074】
右の貯留タンク71の下側において、3個の供給ポンプ72d,72e,72fが、左右方向に向いた姿勢で、前後方向に並べて配置され、互いに連結されて、前及び後の支持板69に支持されている。
【0075】
供給ポンプ72a,72b,72cは、内部で互いに連通しており、左の貯留タンク71の前部の下部から延出された供給路70が、最前部の供給ポンプ72cに接続され、左の貯留タンク71の後部の下部から延出された供給路74,75が、最後部の供給ポンプ72aに接続されている。このようにして3個の供給ポンプ72a,72b,72cが、左の貯留タンク71の下部に接続されている。
【0076】
供給ポンプ72d,72e,72fは、内部で互いに連通しており、右の貯留タンク71の前部の下部から延出された供給路70が、最前部の供給ポンプ31fに接続され、右の貯留タンク71の後部の下部から延出された供給路74,75が、最後部の供給ポンプ72dに接続されている。このようにして3個の供給ポンプ72d,72e,72fが、右の貯留タンク71の下部に接続されている。
【0077】
供給路70,75は、ゴムホース製でエルボ状に構成されている。供給路74は合成樹脂製でT字状に構成されて、供給路74から排出路(図示せず)が延出されており、供給路74の排出路に開閉弁(図示せず)が内装されている。
【0078】
以上の構成により、左の貯留タンク71の肥料が、供給路70,74,75を通って、供給ポンプ72a,72b,72cに供給される。右の貯留タンク71の肥料が、供給路70,74,75を通って、供給ポンプ72d,72e,72fに供給される。
供給路74の排出路の開閉弁を開操作することにより、貯留タンク71の肥料を供給路74から排出することができる。
【0079】
(供給ノズルの構成)
図1及び図8に示すように、供給ノズル73a〜73fは、細いパイプ状で金属パイプにより構成されており、回転ケース13及び植付アーム14の通過軌跡の近傍に配置されるように、苗植付装置6に取り付けられて、供給ノズル73a〜73fの出口が、田面内の比較的浅い位置に配置されている。
【0080】
供給ポンプ72aと供給ノズル73aとに亘って、供給ホース76が接続され、供給ポンプ72bと供給ノズル73bとに亘って、供給ホース76が接続され、供給ポンプ72cと供給ノズル73cとに亘って、供給ホース76が接続されている。
【0081】
左の貯留タンク71の肥料が、供給ポンプ72a,72b,72cから繰り出され、供給ホース76を通って供給ノズル73a,73b,73cに供給されて、供給ノズル73a,73b,73cから田面に供給される。
【0082】
供給ポンプ72dと供給ノズル73dとに亘って、供給ホース76が接続され、供給ポンプ72eと供給ノズル73eとに亘って、供給ホース76が接続され、供給ポンプ72fと供給ノズル73fとに亘って、供給ホース76が接続されている。
【0083】
右の貯留タンク71の肥料が、供給ポンプ72d,72e,72fから繰り出され、供給ホース76を通って供給ノズル73d,73e,73fに供給されて、供給ノズル73d,73e,73fから田面に供給される。
【0084】
供給ポンプ72a及び供給ノズル73aが、第1の植付条L1に対応し、供給ポンプ72b及び供給ノズル73bが、第2の植付条L2に対応し、供給ポンプ72c及び供給ノズル73cが、第3の植付条L3に対応する。
【0085】
供給ポンプ72d及び供給ノズル73dが、第4の植付条L4に対応し、供給ポンプ72e及び供給ノズル73eが、第5の植付条L5に対応し、供給ポンプ72f及び供給ノズル73fが、第6の植付条L6に対応する。
【0086】
(供給ポンプの駆動においてミッションケースの出力軸までの伝動系)
図11,12,13に示すように、ミッションケース8の内部において、伝動ギヤ77が伝動軸22に相対回転可能に取り付けられている。ワンウェイクラッチ78が伝動軸22と伝動ギヤ77との間に設けられており、無段変速装置18の前進(正転)の動力が、ワンウェイクラッチ78を介して伝動ギヤ77に伝達される。
【0087】
図13に示すように、円筒状の伝動軸79が伝動軸25に相対回転可能に取り付けられている。伝動ギヤ80,81が伝動軸79に連結されており、伝動ギヤ80と伝動ギヤ77とが咬合している。伝動軸82が伝動軸25と平行に支持されており、伝動軸82に連結された伝動ギヤ83と伝動ギヤ81とが咬合している。
【0088】
出力軸84が伝動軸82と同芯状に支持されて、施肥クラッチ85(作業クラッチに相当)が、伝動軸82と出力軸84との間に設けられている。図2,5,8,13に示すように、円筒状の軸支持部86が、ミッションケース8における無段変速装置34と同じ側であるミッションケース8の右部に連結されて、右側(外側)に延出されている。出力軸84が、軸支持部86の内部に沿って支持されて、軸支持部86の端部から出ている。
【0089】
図13に示すように、施肥クラッチ85が、軸支持部86の基部(ミッションケース8との連結部分)の内部に設けられている。施肥クラッチ85において、スプライン構造により出力軸84と一体で回転可能及びスライド可能に出力軸84に取り付けられた咬合部87と、咬合部87を伝動軸82の端部との咬合側に付勢するバネ88とが設けられている。
【0090】
施肥クラッチ85において、咬合部87が伝動軸82の端部に咬合すると、伝動軸82の動力が施肥クラッチ85を介して出力軸84に伝達される伝動状態となる。バネ88に抗して咬合部87が伝動軸82の端部から離し操作されると、伝動軸82の動力が施肥クラッチ85で遮断された遮断状態となる。
【0091】
(供給ポンプの駆動においてミッションケースの出力軸から供給変速装置までの伝動系)
図2,6,7に示すように、板材が折り曲げられて構成された支持部材89が、支持フレーム9の後部の右部に連結されて右側に延出されている。供給変速装置91の左部が支持部材89に連結されて、供給変速装置91の左部とミッションケース8とに亘って、棒状の支持部材90が連結されており、供給変速装置91が、フロア49の右部に対して下側に配置されている。
【0092】
図6,7,8に示すように、入力軸93が、供給変速装置91から左側に延出されて、入力軸93の端部にスプロケット93a(下手側回転体に相当)が連結されている。
図5,8,13に示すように、軸支持部86から出た出力軸84の端部に、スプロケット84a(上手側回転体に相当)が連結されている。板状の支持部材95が軸支持部86の端部に連結されて、テンション輪96が支持部材95に回転可能に支持されている。
【0093】
図5,6,8,13に示すように、出力軸84のスプロケット84a、入力軸93のスプロケット93a及びテンション輪96に亘って、伝動チェーン94(無端伝動体に相当)が取り付けられており、テンション輪96により伝動チェーン94の張力が維持されている。
【0094】
以上の構成により図8及び図13に示すように、無段変速装置18の前進(正転)の動力が、ワンウェイクラッチ78、伝動ギヤ77、伝動軸79及び伝動ギヤ80,81、伝動ギヤ83及び伝動軸82、施肥クラッチ85を介して出力軸84に伝達され、出力軸84の動力が伝動チェーン94を介して、供給変速装置91の入力軸93に伝達される。
【0095】
(供給ポンプの駆動において供給変速装置から供給ポンプまでの伝動系)
図2,6,7,8に示すように、伝動軸97が、供給変速装置91から左側に出て、供給ポンプ72aの近傍に延出されている。伝動軸98が、供給変速装置91から右側に出て、供給ポンプ72dの近傍に延出されている。
【0096】
図8に示すように、供給クラッチ92a,92b,92c,92d,92e,92fが供給ポンプ72a〜72fに設けられており、2連のスプロケット99が、供給クラッチ92a〜92fを介して供給ポンプ72a〜72fに接続されている。供給クラッチ92a〜92fは、内装されたバネ(図示せず)により伝動状態に付勢されている。
【0097】
伝動軸97の端部に連結されたスプロケット97aと、供給ポンプ72aのスプロケット99とに亘って、伝動チェーン100が取り付けられている。供給ポンプ72aのスプロケット99と、供給ポンプ72bのスプロケット99とに亘って、伝動チェーン100が取り付けられ、供給ポンプ72bのスプロケット99と、供給ポンプ72cのスプロケット99とに亘って、伝動チェーン100が取り付けられている。
【0098】
伝動軸98の端部に連結されたスプロケット98aと、供給ポンプ72dのスプロケット99とに亘って、伝動チェーン100が取り付けられている。供給ポンプ72dのスプロケット99と、供給ポンプ72eのスプロケット99とに亘って、伝動チェーン100が取り付けられ、供給ポンプ72eのスプロケット99と、供給ポンプ72fのスプロケット99とに亘って、伝動チェーン100が取り付けられている。
【0099】
以上の構成により、供給変速装置91の入力軸93に伝達された動力が、供給変速装置91により変速され、変速された動力が、伝動軸97及び伝動チェーン100を介して、供給ポンプ72a,72b,72cに伝達され、伝動軸98及び伝動チェーン100を介して、供給ポンプ72d,72e,72fに伝達されて、供給ポンプ72a〜72fが同方向に回転駆動される。供給変速装置91の入力軸93に伝達された動力が、供給変速装置91により複数段に変速されることにより、供給ポンプ72a〜72fの繰り出し量が変更される。
【0100】
(供給変速装置の変速操作における変速レバー支持部の構成)
図5,6,7に示すように、供給変速装置91の右部に、2個の支持部91a,91bが出ており、変速軸101,102が、供給変速装置91の支持部91a,91bの近傍から右側に出ている。
【0101】
平面視で三角形状の2個の変速部材103,104と、板材がチャンネル状に折り曲げられた連結部材105が設けられている。変速部材103,104の支点軸103a,104aが、連結部材105の開口部に挿入され、供給変速装置91の支持部91a,91bの開口部に挿入されており、変速部材103,104の支点軸103a,104aに抜け止めピン(図示せず)が取り付けられている。
【0102】
変速部材103,104が、変速部材103,104の支点軸103a,104aの上下方向の軸芯P2,P3周りに揺動可能に、供給変速装置91の支持部91a,91bに支持されており、変速部材103,104と変速軸101,102とが接続されている。連結部材105が、変速部材103,104の支点軸103a,104aにより、供給変速装置91の支持部91a,91bに固定されている。
【0103】
変速レバー支持部106が設けられている。変速レバー支持部106に、板材が折り曲げられて形成されたレバーガイド106aと、板材がチャンネル状に折り曲げられてレバーガイド106aに連結された支持部106bと、丸パイプ状でレバーガイド106aに連結された連結部106cとが設けられている。
【0104】
変速レバー支持部106のレバーガイド106aが、支持フレーム66のブラケット66aに連結され、変速レバー支持部106の連結部106cが連結部材105に連結されている。図2,3,5に示すように、変速レバー支持部106が、フロア49の前部における右の横部49a(右の入り込み部53)に対して、下側の付近に配置されている。
【0105】
前述の(供給ポンプの駆動構造においてミッションケースの出力軸から供給変速装置までの伝動系)及び図6に示すように、供給変速装置91の左部が、支持部材89,90によりミッションケース8及び支持フレーム9に支持されることに加えて、供給変速装置91の右部が、変速レバー支持部106を介して支持フレーム66に支持される。
【0106】
(供給変速装置の変速操作における変速レバーの構成)
図5,6,7に示すように、丸棒材が折り曲げられて形成された2本の変速レバー107,108が設けられており、変速レバー107,108が、変速レバー支持部106の支持部106baの上下方向の軸芯P4,P5周りに揺動可能に支持されている。変速レバー107,108が、平面視で、変速レバー支持部106のレバーガイド106aと重複するように、外側(右側)に延出されている。
【0107】
変速レバー107,108に、アーム107a,108aが連結されている。変速レバー107のアーム107aと変速部材103とに亘って、連係ロッド109が接続され、変速レバー108のアーム108aと変速部材104とに亘って、連係ロッド109が接続されている。図2,3,6に示すように、連係ロッド109が、フロア49に対して下側に配置され、変速レバー支持部106の連結部106cに対して上側に交差するように配置されている。
【0108】
以上の構成により、作業者が変速レバー107,108を持って揺動操作することにより、連係ロッド109及び変速部材103,104を介して、変速軸101,102がスライド操作されて、供給変速装置91が変速操作される。
【0109】
供給変速装置91において、変速レバー107により3段の変速が可能であり、変速レバー108により4段の変速が可能であるので、変速レバー107,108により12段の変速が可能である。
【0110】
変速レバー107が中立位置に操作されると、供給変速装置91から供給ポンプ72a〜72fへの動力が停止される。この状態は、肥料の田面への供給を停止しながら、苗植付装置6による苗の植え付けを行う状態に適している。
【0111】
(フロア、変速レバー、貯留タンク、前及び後の支持フレームの位置関係)
図2に示すように、変速レバー107,108(変速レバー支持部106のレバーガイド106a)が、平面視で、フロア49の前部における右の横部49a(右の入り込み部53)に対して、外側(右側)に配置されている。
【0112】
右の前及び後の支持フレーム56,57が、平面視で、フロア49の前部における右(変速レバー107,108側)の横部49a(右の入り込み部53)に対して、外側(右側)に配置されている。
左の前及び後の支持フレーム56,57が、平面視で、フロア49の前部における左の横部49a(左の入り込み部53)に対して、外側(左側)に配置されている。
【0113】
右の貯留タンク71が、平面視で、フロア49の前部における右(変速レバー107,108側)の横部49a(右の入り込み部53)に対して、外側(右側)に配置されている。
左の貯留タンク71が、平面視で、フロア49の前部における左の横部49a(左の入り込み部53)に対して、外側(左側)に配置されている。
【0114】
図2及び図3に示すように、変速レバー107,108(変速レバー支持部106のレバーガイド106a)が、平面視で、右の前の支持フレーム56と、右の後の支持フレーム57との間に配置されている。
【0115】
図2に示すように、変速レバー107,108(変速レバー支持部106のレバーガイド106a)と、右の前及び後の支持フレーム56,57とが、平面視で、フロア49の前部における右(変速レバー107,108側)の横部49a(右の入り込み部53)と、右の貯留タンク71との間に配置されている。
左の前及び後の支持フレーム56,57が、平面視で、フロア49の前部における左の横部49a(左の入り込み部53)と、左の貯留タンク71との間に配置されている。
【0116】
変速レバー107,108(変速レバー支持部106のレバーガイド106a)と、右の前及び後の支持フレーム56,57とが、平面視で、フロア49の後部における右(変速レバー107,108側)の横部49bから前後方向に延出された仮想線K1よりも、機体左右中央側(左側)に配置されている。
【0117】
右の貯留タンク71の機体左右中央側(左側)の部分71bが、平面視で、仮想線K1よりも機体左右中央側(左側)に配置されている。右の貯留タンク71が、平面視で、右のステップ54に対して前側に配置されており、右の貯留タンク71の外側(右側)の部分71cが、平面視で、右のステップ54の外側の横部から前後方向に延出された仮想線K3よりも、機体左右中央側(左側)に配置されている。
【0118】
左の前及び後の支持フレーム56,57が、平面視で、フロア49の後部における左の横部49bから前後方向に延出された仮想線K2よりも、機体左右中央側(右側)に配置されている。
【0119】
左の貯留タンク71の機体左右中央側(右側)の部分71bが、平面視で、仮想線K2よりも機体左右中央側(右側)に配置されている。左の貯留タンク71が、平面視で、左のステップ54に対して前側に配置されており、左の貯留タンク71の外側(左側)の部分71cが、平面視で、左のステップ54の外側の横部から前後方向に延出された仮想線K4よりも、機体左右中央側(右側)に配置されている。
【0120】
(苗植付装置の昇降操作、植付クラッチ及び施肥クラッチの操作)
図14に示すように、操作レバー110が、操縦ハンドル52の下側の右側に設けられており、右側に延出されている。操作レバー110は、中立位置Nから上側の上昇位置U1及び下側の下降位置D1に操作可能であり、中立位置Nに付勢されている。機体3に設けられた制御装置111に、操作レバー110の操作位置が入力されている。
【0121】
植付クラッチ48(図12参照)及び施肥クラッチ85(図13参照)を伝動状態及び遮断状態に操作可能な電動モータ112、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する電磁操作型式の制御弁113が設けられている。制御装置111によって、電動モータ112及び制御弁113が以下の説明のように操作される。
【0122】
操作レバー110が上昇位置U1に操作されると、電動モータ112によって植付クラッチ48及び施肥クラッチ85が遮断状態に操作され、後述する自動昇降制御が停止されて、制御弁113により苗植付装置6が上限位置に上昇操作される。
【0123】
操作レバー110が下降位置D1に操作されると、植付クラッチ48及び施肥クラッチ85が遮断状態に維持されながら、制御弁113により苗植付装置6が下降操作されて、フロート15が田面に接地すると自動昇降制御が作動し、苗植付装置6が田面に接地して停止した状態となる。
【0124】
操作レバー110が再び下降位置D1に操作されると、自動昇降制御が作動した状態において、電動モータ112により植付クラッチ48及び施肥クラッチ85が伝動状態に操作される。
【0125】
自動昇降制御は、以下の説明のようにして行われる。
中央のフロート15の後部が上下に揺動可能に苗植付装置6に支持されて、中央のフロート15に対する苗植付装置6の高さを検出するポテンショメータ(図示せず)が設けられて、ポテンショメータの検出値が制御装置111に入力されている。
【0126】
機体3の進行に伴って中央のフロート15が田面に接地追従するのであり、ポテンショメータの検出値により、中央のフロート15に対する苗植付装置6の高さが検出されて、田面から苗植付装置6までの高さが検出される。
【0127】
これにより、中央のフロート15に対する苗植付装置6の高さ(田面から苗植付装置6までの高さ)に基づいて、苗植付装置6が田面から設定高さに維持されるように(ポテンショメータの検出値が設定値に維持されるように)、制御弁113により油圧シリンダ5が操作されて、苗植付装置6が自動的に昇降操作される。
【0128】
(電動モータと施肥クラッチとの機械的連係の構成)
図3及び図5に示すように、無段変速装置34がミッションケース8の右部の上部に連結され、軸支持部86がミッションケース8の右部に連結されている。無段変速装置34が、側面視で、軸支持部86に対して上側に配置され、軸支持部86が、側面視で、無段変速装置34に対して下側に配置されている。
【0129】
右の前車軸ケース10が、側面視で、軸支持部86の後側で且つ無段変速装置34の下側に位置するように、ミッションケース8における無段変速装置34及び軸支持部86と同じ側の右部に連結されている。
【0130】
図3及び図13に示すように、無段変速装置34と軸支持部86とが互いに接近しているので、無段変速装置34との干渉を避ける凹部86aが、軸支持部86における無段変速装置34に向く部分に、軸支持部86の左右方向に沿って設けられている。
【0131】
軸支持部86の基部(ミッションケース8との連結部分)には、後述のクラッチ操作部135及び施肥クラッチ85が設けられているので、軸支持部86の基部(クラッチ操作部135及び施肥クラッチ85が設けられた部分)に、凹部86aは設けられていない。
【0132】
図3及び図5に示すように、ミッションケース8の内部の潤滑油用のフィルタ134が側面視で、右の前車軸ケース10の前側に位置し且つ無段変速装置34の下側に位置するように、ミッションケース8における無段変速装置34及び軸支持部86と同じ側の右部に連結されている。
【0133】
図5及び図13に示すように、クラッチ操作部135が、軸支持部86の基部(ミッションケース8との連結部分)に、上下方向の軸芯P6周りに回転可能に支持されている。クラッチ操作部135が回転操作されることによって、施肥クラッチ85が、バネ88により咬合部87が伝動軸82の端部に咬合する伝動状態、及び、バネ88に抗して咬合部87が伝動軸82の端部から離し操作される遮断状態に操作される。
【0134】
クラッチ操作部135は、軸支持部86における無段変速装置34に向く部分の反対側の部分である下部に設けられ、下向きに突出するように設けられている。クラッチ操作部135は、側面視で、右の前車軸ケース10とフィルタ134との間に配置されている。クラッチ操作部135の下部にアーム135aが連結されて、アーム135aが軸支持部86の下側に沿って右側(外側)に延出されている。
【0135】
前述の(苗植付装置の昇降操作、植付クラッチ及び施肥クラッチの操作)及び図14に示す電動モータ112に接続された連係ロッド136(連係部材に相当)が、側面視で無段変速装置34と右の前車軸ケース10との間に前後方向に沿って配置されて、クラッチ操作部135のアーム135aに接続されている。
【0136】
(供給ポンプ操作機構の配置)
図9及び図10に示すように、左の前及び後の支持フレーム56,57において、側面視で、左の貯留タンク71と予備苗のせ台60との間の部分に亘って、支持板114が連結されている。
【0137】
複数の供給ポンプ72a〜72fのうちの選択された一部の供給ポンプ72a〜72fを停止操作可能な供給ポンプ操作機構115が、支持板114に連結されており、右及び左の支持フレーム56,57のうちの変速レバー107,108の反対側である左の前及び後の支持フレーム56,57に支持されている。
【0138】
供給ポンプ操作機構115は、支持板114の左部の後部に連結されており、平面視で左の貯留タンク71の後部と重複している。左の貯留タンク71の蓋部71aが上側に開操作されても、左の貯留タンク71の蓋部71aと供給ポンプ操作機構115とが干渉することはなく、左の貯留タンク71の開操作された蓋部71aと供給ポンプ操作機構115とが、正面視で、重複する状態となる。
【0139】
(供給ポンプ操作機構の構成)
図9,10,14に示すように、板材が折り曲げられて形成された前の支持板116及び後の支持板117が、支持板114に連結されており、駆動軸118が支持板116に回転可能に支持されている。駆動軸118が筒状の駆動軸119の一方の端部に挿入されて連結されており、駆動軸119の他方の端部が、支持板117に回転可能に支持されている。
【0140】
4個のカム120a,120b,120c,120dが、駆動軸119に一体で回転可能に取り付けられている。支点軸123が、支持板116,117に亘って支持されている。4個の操作アーム121a,121b,121c,121dが、支点軸123に揺動可能に支持されており、操作アーム121a〜121dに取り付けられたローラー124が、カム120a〜120dに乗っている。
【0141】
4本のワイヤ122a,122b,122c,122dが設けられており、支持板116,117に亘って連結された支持板125に、ワイヤ122a〜122dのアウターが支持されている。ワイヤ122a〜122dのインナーが、操作アーム121a〜121dに接続されている。
【0142】
ワイヤ122a,122bが、左の後の支持フレーム57に沿って下側に延出されており、ワイヤ122aのインナーが、供給クラッチ92a,92b(供給ポンプ72a,72b)に接続され、ワイヤ122bのインナーが、供給クラッチ92c(供給ポンプ72c)に接続されている。
【0143】
ワイヤ122c,122dが、左の後の支持フレーム57に沿って下側に延出され、補強フレーム61(図2,3,4参照)に沿って、変速レバー107,108側である供給ポンプ72d,72e,72fに向けて延出されている。ワイヤ122c,122dが、取付バンド(図示せず)により補強フレーム61に接続されており、支持フレーム9(機体3)の下部を通って配置されている。
【0144】
ワイヤ122cのインナーが、供給クラッチ92d(供給ポンプ72d)に接続され、ワイヤ122dのインナーが、供給クラッチ92e,92f(供給ポンプ72e,72f)に接続されている。
【0145】
電動モータ126及び減速機構127が、支持板116に連結されており、減速機構127のピニオンギヤ127aが、駆動軸118に連結された駆動ギヤ118aと咬合している。
【0146】
検出軸128が駆動軸119の他方の端部に挿入されて連結されており、検出軸128及び駆動軸118,119を介して、カム120a〜120dの位置(角度)を検出する位置センサー129が設けられて、位置センサー129の検出値が制御装置111に入力されている。
【0147】
電動モータ126により、減速機構127のピニオンギヤ127aが回転駆動されて、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、一体で回転駆動される。カム120a〜120dにより操作アーム121a〜121dが操作されて、ワイヤ122a〜122dのインナーが、操作アーム121a〜121d側に引き操作され、供給クラッチ92a〜92fが遮断状態に操作されて、供給ポンプ72a〜72fが停止操作される。
【0148】
(植付アームクラッチ及び縦送りクラッチの構成)
図14に示すように、3個の植付伝動ケース12の各々に、植付アームクラッチ131a,131b,131cが設けられている。
【0149】
左の植付伝動ケース12に設けられた植付アームクラッチ131aが、伝動状態及び遮断状態に操作されることにより、第1及び第2の植付条L1,L2の回転ケース13及び植付アーム14が回転及び停止操作される。
【0150】
中央の植付伝動ケース12に設けられた植付アームクラッチ131bが、伝動状態及び遮断状態に操作されることにより、第3及び第4の植付条L3,L4の回転ケース13及び植付アーム14が回転及び停止操作される。
【0151】
右の植付伝動ケース12に設けられた植付アームクラッチ131cが、伝動状態及び遮断状態に操作されることにより、第5及び第6の植付条L5,L6の回転ケース13及び植付アーム14が回転及び停止操作される。
【0152】
苗のせ台16に6個の苗のせ部(図示せず)が設けられ、苗の縦送り機構(図示せず)が苗のせ部の各々に設けられている。
第1及び第2の植付条L1,L2に対応する縦送り機構に動力を伝動及び遮断可能な縦送りクラッチ132aが設けられている。第3及び第4の植付条L3,L4に対応する縦送り機構に動力を伝動及び遮断可能な縦送りクラッチ132bが設けられている。第5及び第6の植付条L5,L6に対応する縦送り機構に動力を伝動及び遮断可能な縦送りクラッチ132cが設けられている。
【0153】
電動モータ130が設けられており、供給ポンプ操作機構115と同様な操作機構(図示せず)が、植付アームクラッチ131a,131b,131c及び縦送りクラッチ132a,132b,132cと、電動モータ130とに亘って設けられている。
【0154】
(供給クラッチ、植付アームクラッチ及び縦送りクラッチの遮断状態への操作)
図14に示すように、プッシュオン・プッシュオフ型式の3個のクラッチスイッチ133a,133b,133cが、操縦ハンドル52の後側の下側に左右方向に横に並べて配置されており、クラッチスイッチ133a,133b,133cの操作信号が、制御装置111に入力されている。
【0155】
クラッチスイッチ133a,133b,133cが押し操作されると、制御装置111により、電動モータ126,130が作動操作されて、以下の説明のような操作が行われる。
【0156】
供給クラッチ92a〜92f、植付アームクラッチ131a,131b,131c及び縦送りクラッチ132a,132b,132cが、伝動状態に操作された状態であったとする。
【0157】
図9,10,14に示すように、クラッチスイッチ133aが押し操作されると、供給ポンプ操作機構115において、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、正方向に所定角度だけ回転駆動される。
【0158】
カム120aにより操作アーム121aが操作されて、ワイヤ122aが操作アーム121a側に引き操作され、供給クラッチ92a,92bが遮断状態に操作されて、第1及び第2の植付条L1,L2に対応する供給ポンプ72a,72bが停止操作される。
【0159】
同様に、植付アームクラッチ131a及び縦送りクラッチ132aが遮断状態に操作されて、第1及び第2の植付条L1,L2に対応する植付アーム14及び縦送り機構が停止操作される。
【0160】
次に、クラッチスイッチ133bが押し操作されると、供給ポンプ操作機構115において、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、さらに正方向に所定角度だけ回転駆動される。
【0161】
供給クラッチ92a,92bが遮断状態に維持されながら、カム120b,120caにより操作アーム121b,121cが操作されて、ワイヤ122b,122cが操作アーム121b,121c側に引き操作され、供給クラッチ92c,92dが遮断状態に操作されて、第3及び第4の植付条L3,L4に対応する供給ポンプ72dc,72dが停止操作される。
【0162】
同様に植付アームクラッチ131a及び縦送りクラッチ132aが遮断状態に維持されながら、植付アームクラッチ131b及び縦送りクラッチ132bが遮断状態に操作されて、第3及び第4の植付条L3,L4に対応する植付アーム14及び縦送り機構が停止操作される。
【0163】
次に、クラッチスイッチ133cが押し操作されると、供給ポンプ操作機構115において、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、さらに正方向に所定角度だけ回転駆動される。
【0164】
供給クラッチ92a〜92dが遮断状態に維持されながら、カム120dにより操作アーム121dが操作されて、ワイヤ122dが操作アーム121d側に引き操作され、供給クラッチ92e,92fが遮断状態に操作されて、第5及び第6の植付条L5,L6に対応する供給ポンプ72e,72fが停止操作される。
【0165】
同様に植付アームクラッチ131a,131b及び縦送りクラッチ132a,132bが遮断状態に維持されながら、植付アームクラッチ131c及び縦送りクラッチ132cが遮断状態に操作されて、第5及び第6の植付条L5,L6に対応する植付アーム14及び縦送り機構が停止操作される。
【0166】
(供給クラッチ、植付アームクラッチ及び縦送りクラッチの伝動状態への操作)
前述の(供給クラッチ、植付アームクラッチ及び縦送りクラッチの遮断状態への操作)に記載のようにして、供給クラッチ92a〜92f、植付アームクラッチ131a,131b,131c及び縦送りクラッチ132a,132b,132cが、遮断状態に操作されたとする。
【0167】
前述の状態において、クラッチスイッチ133cが押し操作されると、供給ポンプ操作機構115において、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、逆方向に所定角度だけ回転駆動されて、供給クラッチ92e,92fが伝動状態に操作され、植付アームクラッチ131c及び縦送りクラッチ132cが伝動状態に操作される。
【0168】
次に、クラッチスイッチ133bが押し操作されると、供給ポンプ操作機構115において、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、さらに逆方向に所定角度だけ回転駆動されて、供給クラッチ92e,92fが伝動状態に維持されながら、供給クラッチ92c,92dが伝動状態に操作される。
【0169】
同様に植付アームクラッチ131c及び縦送りクラッチ132cが伝動状態に維持されながら、植付アームクラッチ131b及び縦送りクラッチ132bが伝動状態に操作される。
【0170】
次に、クラッチスイッチ133aが押し操作されると、供給ポンプ操作機構115において、駆動軸118,119及びカム120a〜120dが、さらに逆方向に所定角度だけ回転駆動されて、供給クラッチ92c〜92fが伝動状態に維持されながら、供給クラッチ92a,92bが伝動状態に操作される。
【0171】
同様に植付アームクラッチ131b,131c及び縦送りクラッチ132b,132cが伝動状態に維持されながら、植付アームクラッチ131a及び縦送りクラッチ132aが伝動状態に操作される。
【0172】
(供給クラッチ、植付アームクラッチ及び縦送りクラッチの逆方向での遮断状態及び伝動状態への操作)
供給クラッチ92a〜92f、植付アームクラッチ131a,131b,131c及び縦送りクラッチ132a,132b,132cが、伝動状態に操作された状態において、クラッチスイッチ133c,133b,133aが、この順番で押し操作されると、先ず供給クラッチ92e,92f、植付アームクラッチ131c及び縦送りクラッチ132cが遮断状態に操作される。
【0173】
次に供給クラッチ92c,92d、植付アームクラッチ131b及び縦送りクラッチ132bが遮断状態に操作される。次に供給クラッチ92a,92b、植付アームクラッチ131a及び縦送りクラッチ132bが遮断状態に操作される。
【0174】
前述のようにして、供給クラッチ92a〜92f、植付アームクラッチ131a,131b,131c及び縦送りクラッチ132a,132b,132cが、遮断状態に操作された状態において、クラッチスイッチ133a,133b,133cが、この順番で押し操作されると、先ず供給クラッチ92a,92b、植付アームクラッチ131a及び縦送りクラッチ132aが伝動状態に操作される。
【0175】
次に供給クラッチ92c,92d、植付アームクラッチ131b及び縦送りクラッチ132bが伝動状態に操作される。次に供給クラッチ92e,92f、植付アームクラッチ131c及び縦送りクラッチ132cが伝動状態に操作される。
【0176】
(発明の実施の第1別形態)
図11,12,13に示すミッションケース8において、無段変速装置34の変速範囲が、通常の株間の範囲にのみ対応し、疎植状態の株間に対応しないものに設定されていると、伝動軸35,36,37に関する構成が、以下の説明のように構成されてもよい。
【0177】
図15に示すように、伝動軸36において、株間ギヤ40が残されて、株間ギヤ41が廃止されている。伝動軸37において、株間ギヤ42,43が廃止されて、株間ギヤ42と同じ外径及び歯数を有する伝動ギヤ137が伝動軸37に連結されており、株間ギヤ40と伝動ギヤ137とが咬合している。
【0178】
(発明の実施の第2別形態)
供給変速装置91が、フロア49の左部に対して下側に配置されるように構成されてもよい。
【0179】
前述の構成によると、無段変速装置18がミッションケース8の右部に連結され、無段変速装置34及び軸支持部86、フィルタ134がミッションケース8の左部に連結される。
【0180】
変速レバー107,108(変速レバー支持部106のレバーガイド106a)が、平面視で、フロア49の前部における左の横部49a(左の入り込み部53)に対して、外側(左側)に配置され、左の前の支持フレーム56と左の後の支持フレーム57との間に配置される。
【0181】
変速レバー107,108(変速レバー支持部106のレバーガイド106a)が、平面視で、フロア49の前部における左(変速レバー107,108側)の横部49a(左の入り込み部53)と、左の貯留タンク71との間に配置される。
供給ポンプ操作機構115が、右及び左の支持フレーム56,57のうちの変速レバー107,108の反対側である右の前及び後の支持フレーム56,57に支持される。
【0182】
(発明の実施の第3別形態)
フロア49の前部における右及び左の横部49aの全てにおいて、入り込み部53が形成されるのではなく、フロア49の前部における右及び左の横部49aの一部に、入り込み部53が形成されるように構成してもよい。
フロア49の前部における右及び左の横部49aにおいて、入り込み部53が形成されなくてもよい。
【0183】
(発明の実施の第4別形態)
出力軸84のスプロケット84aに代えて、出力プーリー(図示せず)(上手側回転体に相当)が設けられ、入力軸93のスプロケット93aに代えて、入力プーリー(図示せず)(下手側回転体に相当)が設けられ、伝動チェーン94に代えて、伝動ベルト(図示せず)(無端伝動体に相当)が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明は、液状の肥料を田面に供給する乗用型田植機ばかりではなく、粉粒状の肥料を田面に供給する施肥装置(第2作業装置に相当)を装備した乗用型田植機や、種子を田面に供給する播種装置(第1作業装置に相当)(図示せず)及び粉粒状又は液状の肥料を田面に供給する施肥装置(第2作業装置に相当)(図示せず)を装備した乗用型直播機にも適用できる。本発明は、施肥装置に代えて、粉粒状又は液状の薬剤を田面に供給する供給装置(第2作業装置に相当)(図示せず)を装備した乗用型田植機や乗用型直播機等にも適用できる。
【符号の説明】
【0185】
1 前輪
3 機体
6 苗植付装置(第1作業装置)
8 ミッションケース
10 前車軸ケース
22 伝動軸
34 無段変速装置(作業用変速装置)
72a 供給ポンプ(第2作業装置)
72b 供給ポンプ(第2作業装置)
72c 供給ポンプ(第2作業装置)
72d 供給ポンプ(第2作業装置)
72e 供給ポンプ(第2作業装置)
72f 供給ポンプ(第2作業装置)
84 出力軸
84a スプロケット(上手側回転体)
85 施肥クラッチ(作業クラッチ)
86 軸支持部
86a 凹部
93a スプロケット(下手側回転体)
94 伝動チェーン(無端伝動体)
95 支持部材
96 テンション輪
134 フィルタ
135 クラッチ操作部
136 連係ロッド(連係部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15