【実施例】
【0030】
以下、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
含水含泡チョコレートの製造
チョコレート規格のチョコレート、水、生クリーム、乳化剤の混合物を、湯煎しながら撹拌し、材料をすべて溶解した。その後、68℃で30分間殺菌を行い、材料混合物を高速撹拌機(ホモミクサーMARK II、プライミクス株式会社製)で1000rpm、2分以上撹拌することで乳化した。
乳化したものを撹拌しながら45℃以下に冷却し、水分を37重量%含む含水チョコレートを得た。
続いて、上記で得た含水チョコレートを45℃において、一般的な大型ミキサーを用い、400rpmで90秒間撹拌することで、含水含泡チョコレートを得た。なお、通電を測定した結果、得られた含水含泡チョコレートはO/W型の乳化状態であった。
【0032】
(4)物性値の測定方法
上記で調製した含水含泡チョコレートの物性値を、以下の方法で測定を行った。
【0033】
(4−3)硬さ
上記で調製した含水チョコレート及び含水含泡チョコレートの歪率が40%となる荷重をφ30mmの樹脂製プランジャーを取り付けたレオメーター(RHEONER II CREEP METER RE2−33005C、株式会社山電製)を用いて、23℃および−18℃で測定を行った。サンプルは直径65mm、高さ30mmの円柱形のものを用い、測定速度は1mm/秒であった。−18℃および23℃における含水チョコレートの歪率が40%となる荷重は、それぞれ15.80Nおよび0.21Nであった。また、−18℃および23℃における含水含泡チョコレートの歪率が40%となる荷重は、それぞれ3.27Nおよび0.19Nであった。
図1には、23℃における含水含泡チョコレートおよび含水チョコレートの歪率と荷重の関係を示している。また、
図2には、−18℃での含水含泡チョコレートおよび含水チョコレートの歪率と荷重の関係を示している。
図1および
図2から、ホイップ前の含水チョコレートとホイップ後の含水含泡チョコレートは、23℃においては硬さの違いがほとんどないが、−18℃においてはホイップ後の含水含泡チョコレートが著しく軟らかくなることが分かる。
【0034】
(4−1)比重
含水含泡チョコレートを200mlの計量カップに満たし、すり切った重量を23℃で測定したところ、比重は0.67であった。
【0035】
(4−2)粘度
上記で調製した含水チョコレート及び含水含泡チョコレートの粘度をB型粘度計(TVB−10型粘度計、東機産業株式会社製)を用いて測定を行った。23℃における、含水チョコレートの粘度は2090cP、含水含泡チョコレートの粘度は8610cPであった。
【0036】
(4−4)円相当径が30μm以上50μm以下である気泡の割合
上記で調製した含水含泡チョコレートを、−40℃以下で切片(7mm×7mm)を切り出し、切片の断面を、−120℃〜100℃で走査型電子顕微鏡(Helious G4、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いてSEM画像を得た。SEM画像より、切片断面中の気泡の円相当径を求めたところ、円相当径が30μm以上50μm以下である気泡の割合は75%であった。
【0037】
[実施例2〜7]
実施例1と同様に、水分を16%〜60%含む含水チョコレートを調製した。含水チョコレートを表1に示す条件で撹拌し、実施例2〜7の含水含泡チョコレートを得た。これらの物性を実施例1と同様に測定し、表1に結果を示す。
なお、水分含有量が13〜15重量%となるように原料を配合したものは、原料混合物が乳化せず、含水チョコレートを得ることはできなかった。
【0038】
【表1】
【0039】
[官能評価]
以下の項目について、実施例1〜7の含水含泡チョコレートについて、専門家5名による官能評価を行った。結果を表2に示す。
・保形性:−18℃の冷凍庫から取出した後、22℃で30分放置後の形状
3:形状が変わらない
2:形状が一部変形する
1:形状が保てず崩れる
・口どけ:22℃で−18℃の冷凍庫から取出した直後の喫食による評価
3:良い
2:どちらでもない
1:悪い
・硬さ:−18℃の冷凍庫から取出した後、22℃での喫食時における硬さ
5:−18℃の冷凍庫から取出した直後に、抵抗なく噛める程度の硬さ
4:−18℃の冷凍庫から取出した直後に、容易に噛める程度の硬さ
3:−18℃の冷凍庫から取出した直後に、噛める程度の硬さ
2:−18℃の冷凍庫から取出した直後に、やや硬いが噛める程度の硬さ
1:−18℃の冷凍庫から取出した直後は、硬くて噛めない
・チョコ感:常温又は冷蔵流通している市販の生チョコレートとの比較
3:チョコレート感は変わらない
2:やや劣る
1:チョコレート感は弱い
・冷たさ:冷凍状態での喫食時における冷たさ
5:とても冷たく感じる
4:やや冷たく感じる
3:冷たく感じる
2:やや冷たさを感じない
1:冷たさを感じない
【0040】
なお、本発明の冷凍温度域においてもチョコレートの風味を十分に感じ取ることができ、滑らかでふんわりとした軟らかな新しい食感を有し、室温での加工性、並びに室温および冷凍温度域において優れた保形性を有する含水含泡チョコレートを提供するという目的に鑑みて、上記官能評価については、保形性、口どけ、チョコ感は、2以上の評価が許容であり、硬さは3以上の評価が許容である。なお、冷たさについては、商品の目的により、好まれる冷たさが変わるため、許容幅は設けない。
【0041】
【表2】
【0042】
以上のことから、実施例1〜6の水中油型の含水含泡チョコレートが、本発明の目的の効果を得ることができた。
【0043】
[実施例8]
メレンゲ含有含水含泡チョコレートの製造
実施例1と同様の方法で、水分を38重量%含むO/W型の含水含泡チョコレートを得た。この含水含泡チョコレートの比重は0.62であった。
別途、卵白、グラニュー糖、水からなる比重0.21のメレンゲを調製し、上記で調製した含水含泡チョコレートとメレンゲを重量比で1:1の割合で混合し、メレンゲ含有含水含泡チョコレートを得た。
このメレンゲ含有含水含泡チョコレートの物性を実施例1と同様に測定したところ、−18℃および23℃における歪率が40%となる荷重は、それぞれ0.69Nおよび0.11Nであり、比重は0.35であり、円相当径が30μm以上50μm以下である気泡の割合は54%であった。
また、メレンゲ含有含水含泡チョコレートについて、実施例1〜7と同様に、専門家5名による官能評価を行った結果を表2に示す。表2に示すように、本実施例のメレンゲ含有含水含泡チョコレートは、本発明の目的の効果を得ることができた。
【0044】
以上に示すように、特定量の水分を含有するO/W型の含水チョコレートをホイップすることにより、冷凍温度域においてもチョコレートの風味を十分に感じ取ることができ、滑らかでふんわりとした軟らかな新しい食感を呈する含水含泡チョコレートを提供することが可能となる。