【解決手段】360nm〜400nmのバイオレットライトの全て又は一部を発する光源2と、その光源2が取り付けられた筐体1とを備え、筐体1にはバイオレットライトを通過する開口窓11が設けられている。この装置10は、360nm〜400nmのバイオレットライトを室内に存在させることができる。開口窓11が光拡散板又は光透過板であることが望ましく、生体との距離を計測する生体距離センサーを備えていることが望ましい。生体距離センサーで距離を計測し、生体が一定距離内に入ったときに光源2をオフ又はオンとし、生体が一定距離を超えたときに光源2をオン又はオフとするオンオフ機能を備えていてもよい。
360nm〜400nmのバイオレットライトの全て又は一部を少なくとも発する光源と、該光源が取り付けられた筐体とを備える、ことを特徴とする室内設置型バイオレットライト装置。
生体が一定距離内に入ったときに前記光源をオフ又はオンとし、生体が一定距離を超えたときに前記光源をオン又はオフとするオンオフ機能を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の室内設置型バイオレットライト装置。
一定の距離内に不特定の人がいるか否かを検知する人認証センサー、又は、一定の距離内に特定の人がいるか否かを検知する個人認証センサー、を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の室内設置型バイオレットライト装置。
前記バイオレットライトの光センサー、前記バイオレットライトの光センサー、前記バイオレットライトの放射照度を制御する制御回路、及び携帯端末又はパーソナルコンピュータへのデータの送受信装置、から選ばれる1又は2以上を備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の室内設置型バイオレットライト装置。
前記光源は、前記360nm〜400nmの範囲内の全ての波長の光を発光する、前記360nm〜400nmの範囲内の一部の波長の光を発光する、前記360nm〜400nmの範囲内にピークを有する光を発光する、又は、前記360nm〜400nmの範囲内でのみ発光し且つその範囲内にピークを有する、のいずれかである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の室内設置型バイオレットライト装置。
請求項1〜9のいずれか1項に記載の室内設置型バイオレットライト装置を1又は2以上備え、さらに、前記室内設置型バイオレットライト装置の放射結果を送受信する送受信装置と、前記放射結果に基づいて前記室内設置型バイオレットライト装置の放射を制御する制御回路と、を備えることを特徴とするシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、非特許文献1、2に記載のように、光が身体や心に影響することを報告している。従来は、屋外では太陽光を受け、屋内では照明光を受けるといった単純な受光状態となっている。しかしながら、最近は、屋外での遊びや活動が減り、室内でのテレビゲーム等の遊びや活動が多く、屋外で太陽光を受ける時間が減少し、サーカディアンリズムの変調や睡眠障害等の種々の影響が懸念されている。
【0007】
また、特許文献1及び非特許文献4に記載のように、本発明者はこれまで、近視の発症抑制と進行抑制について研究している過程で、太陽光が眼に入ることが近視の発症抑制と進行抑制の点で有効であり、さらに、太陽光に含まれる広範囲の波長の中でも360nm以上400nm以下の波長帯の光(「バイオレットライト」という。)を眼球に照射することにより近視の発症抑制と進行抑制することができることを見出し、新規な近視予防物品について提案している(特許文献1を参照)。
【0008】
こうした近年の生活環境や仕事環境の変化と、バイオレットライトが近視発症と近視進行を抑制する役割があるとの知見を踏まえ、コントロール可能なバイオレットライトを室内に容易に受けることができる装置があれば、バイオレットライトが基本的に存在しない室内あっても、不足するバイオレットライトを受けることができる。そして、近視予防等のバイオレットライトに基づく効果を与えることができる。
【0009】
さらに本発明者の最近の研究では、バイオレットライトが生体や細胞に及ぼす種々の効果の存在を見いだしている。そのため、日常の生活環境や仕事環境下でバイオレットライトを人体又は人体組織が受ける量を容易にコントロールできれば、バイオレットライトを日常の生活環境又は仕事環境下で受けることができることになる。
【0010】
本発明は、上記要請に応えて開発したものであって、その目的は、室内に設置して使用することで、バイオレットライトを日常の生活環境又は仕事環境下で受けることができるバイオレットライト装置及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置は、360nm〜400nmのバイオレットライトの全て又は一部を少なくとも発する光源と、該光源が取り付けられた筐体とを備えることを特徴とする。この発明によれば、360nm〜400nmのバイオレットライトを室内に存在させることができるので、バイオレットライトが基本的に存在しない室内であっても、必要なバイオレットライトを身体が受けることができる。
【0012】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、前記筐体には前記バイオレットライトを通過又は透過する開口窓が設けられている。この発明によれば、開口窓から室内の広い範囲にバイオレットライトを放射することができる。
【0013】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、前記透過窓が、光拡散板又は光透過板である。この発明によれば、バイオレットライトを拡散又は透過することができる。特に透過窓を光拡散板で形成することにより、バイオレットライトを広い範囲に均等又は略均等に拡散させることができる。
【0014】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、生体との距離を計測する生体距離センサーを備える。この発明によれば、生体距離センサーで生体との距離を計測することにより、生体が受けたバイオレットライトの放射照度や累計の放射照度を計算できる。
【0015】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、生体が一定距離内に入ったときに前記光源をオフ又はオンとし、生体が一定距離を超えたときに前記光源をオン又はオフとするオンオフ機能を備える。この発明によれば、生体との距離に応じて光源をオンオフできるので、人が室内にいるときだけバイオレットライトを照射するように設定したり、バイオレットライトの放射照度との関係で、近づきすぎた場合に光源をオフに設定したりすることができる。
【0016】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、一定の距離内に不特定の人がいるか否かを検知する人認証センサー、又は、一定の距離内に特定の人がいるか否かを検知する個人認証センサー、を備える。この発明によれば、人認証センサーや個人認証センサーを備えるので、室内で特定の個人が使用する場合や家庭内等で複数の人が使用する場合に、室内設置型バイオレットライト装置の周辺に、だれが、どの程度の時間、どの位置にいるかをセンシングすることができる。
【0017】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、前記バイオレットライトの光センサー、前記バイオレットライトの放射照度を制御する制御回路、及び携帯端末又はパーソナルコンピュータへのデータの送受信装置、から選ばれる1又は2以上を備える。この発明によれば、光センサーにより、その環境にどの程度のバイオレットライトが存在するか又はどの程度のバイオレットライトを放射したかを測定できる。また、放射照度を制御する制御回路を備えるので、放射照度の強弱を制御できる。その結果、バイオレットライトの不足分を補うようにバイオレットライトを照射したり強度の強弱を制御したりすることができる。また、携帯端末又はパーソナルコンピュータへのデータの送受信装置を備えるので、例えばスマートフォン等の制御機器が有するアプリケーションプログラムで、室内設置型バイオレットライト装置が備える様々な機能を都度又は計画的に制御することができる。
【0018】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、前記光源は、前記360nm〜400nmの範囲内の全ての波長の光を発光する、前記360nm〜400nmの範囲内の一部の波長の光を発光する、前記360nm〜400nmの範囲内にピークを有する光を発光する、又は、前記360nm〜400nmの範囲内でのみ発光し且つその範囲内にピークを有する。
【0019】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置において、前記光源から発する光の放射照度が3000μW/cm
2以下である。
【0020】
(2)本発明に係るシステムは、上記本発明に記載の室内設置型バイオレットライト装置を1又は2以上備え、さらに、前記室内設置型バイオレットライト装置から発するバイオレットライトの放射データを送受信する送受信装置と、前記放射データに基づいて前記室内設置型バイオレットライト装置の放射を制御する制御回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、室内に設置して使用することで、バイオレットライトを日常の生活環境又は仕事環境下で受けることができるバイオレットライト装置及びシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す室内設置型バイオレットライト装置の平面図(A)と底面図(B)である。
【
図3】
図1に示す室内設置型バイオレットライト装置の右側面図(A)と左側面図(B)である。
【
図4】
図1に示す室内設置型バイオレットライト装置の正面図(A)と背面図(B)である。
【
図5】生体距離センサーで生体と光源との距離を測定する態様を示す説明図である。
【
図6】各種センサーの設置形態の一例を示す斜視図(A)と、装置の断面形態の一例を示す断面図(B)である。
【
図7】光源から発するバイオレットライトのスペクトルの例であり、(A)は360nm〜400nmの範囲内の全ての波長の光を発光するスペクトル例であり、(B)は360nm〜400nmの範囲内の一部の波長の光を発光するスペクトル例である。
【
図8】光源から発するバイオレットライトのスペクトルの他の例であり、(A)は360nm〜400nmの範囲内にピークを有する光を発光するスペクトル例であり、(B)は360nm〜400nmの範囲内で発光し且つピークを有するスペクトル例である。
【
図9】室内設置型バイオレットライト装置の他の形態例である。
【
図10】窓として光拡散部材又は光吸収部材が設けられた態様の例であり、(A)は光拡散板の例であり、(B)は光透過板の例である。
【
図11】本発明に係るシステムの一例を示す模式図である。
【
図12】家の中でのバイオレットライト装置の設置態様の一例である。
【
図13】蛍光灯で照射された室内環境で測定された光のスペクトルの一例である。
【
図14】時間毎に受けたバイオレットライトのドーズ量、その累計、一日の合計・必要量・不足量・過剰量、直近一週間の不足量・過剰量、直近一ヶ月の不足量・過剰量等を表示した例である。
【
図15】室内設置型バイオレットライト装置の一例を示す外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置及びシステムについて図面を参照しつつ説明する。本発明は、本願記載の要旨を含む限り以下の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変形可能である。
【0024】
本発明に係る室内設置型バイオレットライト装置10(以下「バイオレットライト装置10」という。)は、
図1〜
図4に示すように、360nm〜400nmの光(以下「バイオレットライト」という。)の全て又は一部を発する光源2と、その光源2が取り付けられた筐体1とを備え、筐体1にはバイオレットライトを通過する開口窓11が設けられている。こうしたバイオレットライト装置10は、360nm〜400nmのバイオレットライトを室内に存在させることができるので、バイオレットライトが基本的に存在しない室内でも、必要なバイオレットライトを身体が受けることができる。その結果、本発明に係るバイオレットライト装置10を室内に設置して使用することで、バイオレットライトを日常の生活環境又は仕事環境下で受けることができる。
【0026】
(光源)
光源2は、
図1や
図9に示すように、筐体1に取り付けられている。取付位置は特に限定されないが、
図1に示すように筐体内部に取り付けられていてもよいし、
図9(A)に示すように筐体上面に取り付けられていてもよいし、
図9(B)(C)に示すように筐体上面の凹みに取り付けられていてもよい。さらに、そうした筐体内部、筐体上面、筐体上面の凹み等に取り付ける光源2の具体的位置も特に限定されないが、例えば、光源が1つの場合には、光源2は、中央又は略中央に設けられていることが好ましく、光源2が2以上の場合は、
図9(C)に示すように、対称位置となるように均等配置等されていることが好ましい。
【0027】
光源2は、360nm〜400nmの光(バイオレットライト)の全て又は一部を発する。こうした光源2の具体例は特に限定されないが、
図7及び
図8に示すように、光源2は、360nm〜400nmの範囲内の全ての波長の光を発光するもの(
図7(A)参照)であってもよいし、360nm〜400nmの範囲内の一部(例えば370nm以上)の波長の光を発光するもの(
図7(B)参照)であってもよいし、360nm〜400nmの範囲内にピーク(例えば380nmのピーク)を有する光を発光するもの(
図8(A)参照)であってもよいし、360nm〜400nmの範囲内でのみ発光し且つピーク(例えば375nmのピーク)を有するもの(
図8(B)参照)であってもよい。なお、
図7及び
図8に示すスペクトルにおいて、360nm付近や400nm付近で僅かに発光(例えば相対発光強度で10%以下程度の発光)する裾部分が存在していてもよい。こうした裾野部分を含めると、例えば360nm未満となる裾野部分や、400nmを超える裾野部分を含むものであってもよい。具体的な光源2は特に限定されないが、例えば日亜化学株式会社製の「NSPU510CS」(砲弾型、ピーク波長375nm)や「NVSU119CT」(レンズ付き表面実装、高出力型)や、特定波長を発光するレーザーダイオードを挙げることができる。スペクトルデータは種々の装置や方法で測定でき、例えば、StellarNet社製のフィバーマルチチャンネル分光器「BLUE−Wave」で測定することができる。
【0028】
光源2は、分光放射照度がバイオレットライト波長域(360nm〜400nm)の積分値で最大3000μW/cm
2の放射照度を可能とするものであればよい。好ましくは1000μW/cm
2以下の放射照度を可能とするものであればよく、より好ましくは310μW/cm
2以下の放射照度を可能とするものであればよい。なお、310μW/cm
2の放射照度のバイオレットライトを1日2時間浴びたとすると、1日あたりに眼が受ける光のドーズ量は22,320J/m
2と計算される。ドーズ量(エネルギー量)(J/m
2)は、放射照度(W/m
2)×時間(秒)で表される。
【0029】
バイオレットライトは、僅かにバイオレットライトを発光する白熱球やハロゲンランプ等が設置されている場合を除き、太陽光が当たらない室内には存在しない。本発明に係るバイオレットライト装置10は、室内でバイオレットライトを発光させることができるので、不足するバイオレットライトを補うことができ、バイオレットライトによって例えば軸性近視の発症抑制と軸性近視の進行抑制等のバイオレットライトを要因とする効果を実現できる。
【0030】
光源2は、広い角度で広い範囲に放射する非指向性の光源であることが好ましい。光をより広い角度で広い範囲に光拡散させるためには、
図10(A)に示すように、開口窓11を光拡散板11aとすることが好ましい。
【0031】
光源2は、点滅するものであってもよい。点滅サイクルは特に限定されないが、例えば、0Hzを超え、150Hz以下のような範囲を例示できる。光源2から発する光を点滅状態にすることで、本発明者らが研究しているバイオレットライトの他の効果、例えば認知症予防やアルツハイマー病等の効果に期待できる。
【0032】
(筐体)
筐体1は、
図1等に示すように、光源2が取り付けられ、室内に設置可能なバイオレットライト装置10の外形を構成する部材である。筐体1の構造は特に限定されないが、
図1等に示すように、光源2の取付部材としての下部材1bと、その下部材1bを覆う蓋部材としての上部材1aとで構成された例を挙げることができる。筐体1の形状は、例えば
図1等に示すような平面視で円形形状であることが好ましいが、それに限定されない。例えば、平面視で、略円形、楕円形、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等)や、球形、半球形等を挙げることができる。筐体1の色も特に限定されないが、室内設置型であることから、室内の色調に合わせた各種の色とすることができる。なお、白色系の色は、商品的観点でも好ましいし、光を吸収しにくいので好ましく採用される。筐体1の大きさも特に限定されないが、筐体が平面視で円形形状の場合は、例えば直径5cm〜10cm程度とすることがインテリア性及び実用性の観点で好ましい。筐体1の材質も特に限定されないが、例えば加工性のよいステンレス鋼やプラスチック等を挙げることができる。
【0033】
図1及び
図10に示すように、筐体1の内部に光源2が収容された形態で取り付けられているバイオレットライト装置10では、筐体1の上面板12に開口窓11が設けられていることが好ましい。例えば筐体1が上部材1aと下部材1bで構成されている場合、開口窓11は、上部材1aの上面に設けられている。この開口窓11は、光源2から発したバイオレットライトを通過させる。開口窓11が、
図10(A)に示すような光拡散板11aである場合は、光の拡散で光透過率がやや低下するものの、光源2から発したバイオレットライトをその光拡散板11aで広い角度にほぼ均等に分散させることができる。開口窓11が、
図10(B)に示すような光透過板11bである場合は、光源2から発したバイオレットライトをその光透過板11bで屈折透過させることができる、高い透過率で透過させることができる。光拡散板11aを採用する場合は、光透過率がやや低下するので、その光拡散板11aの性質を考慮して光源2から発するバイオレットライトの放射照度を上げるなどして調節すればよい。光拡散板11aの例としては、光学部材として公知の光拡散板、光拡散シート等を任意に選択して採用することができる。また、光透過板11bの例も、光学部材として公知の光透過板、光透過シート等を任意に選択して採用することができる。
図2中の符号12aは、上面板12の内周縁のテーパー面のことである。このテーパー面12aにより、筐体1の内部に取り付けられた光源2から発したバイオレットライトを放射しやすくすることができる。
【0034】
筐体1の下部材1bには、
図1及び
図6(B)等に示すように、光源2が取り付けられている。その光源2の周囲である筐体内の底面板13は、反射材又は光拡散材を備えていることが好ましい。その底面板13が反射材である場合は、光源2から発したバイオレットライトをその反射材で反射させて開口窓側に向かわせることができ、多くのバイオレットライトを開口窓11から放射することができる。その底面板13が光拡散材である場合は、光源2から発したバイオレットライトをその光拡散材で光拡散させることができ、多くのバイオレットライトを開口窓11から広い角度に放射することができる。光反射材や光拡散材は、光拡散材の例としては、光学部材として公知の光拡散板、光拡散シート等を任意に選択して採用することができる。また、光透過板11bの例も、光学部材として公知の光透過板、光透過シート等を任意に選択して採用することができる。
【0035】
なお、
図6において、符号1cは、筐体1の側部材であり、図示した筐体1の例は、上部材1a、下部材1b、側部材1cで構成されている。また、符号13aは、光源が取り付けられている底面板13の凹部13aである。
図15は、実際に作製した室内設置型バイオレットライト装置10の一例を示す外観写真である。
【0036】
(設置態様)
バイオレットライト装置10は、家庭又は職場の室内に設置される。設置態様は、
図5及び
図12に示すように、テーブル41やデスクの上に載せたり取り付けたりする態様、壁、天井、パーティション等に掛けたり取り付けたりする態様、車両内に載置したり取り付けたりする態様等を挙げることができる。家庭内での設置態様としては、
図12に示すように、設置箇所は1箇所であってもよいし、複数の部屋に設置してもよい。また、テーブルや机の上、壁や天井等に設置してもよい。なお、
図13は、蛍光灯で照射された室内環境で測定された光のスペクトルの一例である。このように、室内の照明機器である蛍光灯からは、バイオレットライトが放射されないのがわかる
【0037】
(センサー、制御回路等)
バイオレットライト装置10には、各種センサーが設けられていることが好ましい。センサーとしては、生体距離センサー、人認証センサー、個人認証センサー、光センサー等を挙げることができるが、これら以外のセンサーも必要に応じて設けてもよい。センサーの設置位置は、そのセンサーの目的に応じて最適な箇所に設置される。例えばバイオレットライト装置10が円形形状の場合は、センサーはその外周を3等分又は4等分(
図6(A)参照)した位置の外縁に設けられていることが好ましい。
【0038】
生体距離センサーは、生体との距離を計測するセンサーである。この生体距離センサーにより、例えば
図5に示すように、光源2と人との距離を測定することができる。
図5中、符号Aの位置に人がいる場合は距離LAを計測でき、符号Bの位置に人がいる場合は距離LBを計測でき、符号Cの位置に人がいる場合は距離LCを計測できる。生体距離センサーは特に限定されないが、市販の赤外線距離センサーや超音波距離センサーを好ましく適用することができる。
【0039】
光源2から発するバイオレットライトの強度は光源2からの距離の2乗に反比例するので、光源2から発光するバイオレットライトの強度と、計測された距離とにより、計測された位置にいる人がどの程度の放射照度をどの程度の時間受けているかを算出できる。生体距離センサーは、室内での人の移動にも追従できるので、その人が室内で場所を変えた場合であっても、また室内を移動中であっても、バイオレットライトの強度と位置とを計測すれば逐次算出できる。その算出結果を、バイオレットライト装置10が備える送受信装置6でスマートフォンやタブレット端末等に送信することで、その人がどの程度の放射照度のバイオレットライトをどの程度の時間受けているかを計算できる。その計算結果を例えばスマートフォンのアプリケーションプログラムでデータ管理すれば、その人が受けるべきバイオレットライトが足りているか不足しているかにより、光源2のオンオフ制御を行ったり、光源2のパワーアップやパワーダウンを行ったりして、放射照度を調整することができる。
【0040】
また、バイオレットライト装置10はオンオフ機能を有していてもよい。例えば、装置10への接近については、装置10に対して人が一定距離(例えば
図5の距離LC)より近づいたときに光源2をオフとし、その一定距離LCを超えたときにオンにすることもできる。また、装置10から遠ざかる場合については、装置10に対して人が一定距離(例えば
図5の距離LB)より遠ざかるときに光源2をオフとし、その一定距離LBの内側に入ったときにオンにすることもできる。このような制御は、生体距離センサーと光源2のオンオフ機能とで実現することができる。光源2のオンオフは、筐体1内に光源2のオンオフ装置を設置し、そのオンオフ装置を例えばスマートフォンのアプリケーションプログラムで制御して行うことができる。
【0041】
人認証センサーは、一定の距離内に不特定の人がいるか否かを検知するセンサーである。このセンサーは、個体認証を行わないので、赤外線距離センサーや超音波距離センサーを採用することができる。これらセンサーは、上記した生体距離センサーと同じなので、それらを共用することができる。
【0042】
個人認証センサーは、一定の距離内に特定の人がいるか否かを検知するセンサーである。こうしたセンサーとしては、例えば市販又は開発中の顔認証センサーが好ましく採用される。顔認証センサーにより、バイオレットライト装置10の近くに誰がいるかを特定できるので、室内に複数の人がいる場合であっても、その特定の人がバイオレットライトをどの程度受けているかを計算して、必要量のバイオレットライトを照射することができる。なお、
図12に示すように、家の中の部屋毎にバイオレットライト装置10を置いた場合には、複数の部屋で受けるバイオレットライトの照射量をカウントして、その人がいる部屋のバイオレットライト装置10を作動させてバイオレットライトを照射することができる。
【0043】
光センサーは、バイオレットライトを計測するセンサーである。この光センサーは、使用者が備えていてもよいし、バイオレットライト装置10の筐体1の上部材1aに設けられていてもよい。光センサーを使用者が備える場合は、光センサーを胸ポケットやネームタッグに取り付けておけば、その人がどの程度のバイオレットライトを受けたかを計測することができる。また、めがねをかける人の場合は、光センサーを取り付けためがねを使用することにより、その人がどの程度のバイオレットライトを受けたかを計測することができる。そして、その結果を携帯端末等に送信すれば、携帯端末等が有するアプリケーションプログラムで、光源2のオンオフや強度をコントロールして、その人が受けるバイオレットライトの放射照度を調整できる。一方、光センサーを筐体1の上部材1aに設けた場合は、バイオレットライトをオフにしてその室内に存在するバイオレットライトの光を測定することができる。通常、室内にはバイオレットライトが存在しないが、室内の照明機器によっては存在する場合もある。そうした場合に、光源2から発するバイオレットライトを、室内に予め存在するバイオレットライトの光を考慮して調整することができる。
【0044】
(システム)
システム31は、
図11に示すように、バイオレットライト装置10と、携帯端末やパーソナルコンピュータ等の制御機器21とで構成されている。バイオレットライト装置10は、
図11に示すように、光源2、筐体1、センサー3,4の他に、制御回路7や送受信装置6等を備えている。制御回路7は、送受信装置6を搭載した回路基板として筐体1内に設けられている(
図6(B)参照)。この制御回路7は、必要に応じて、上記した各種センサーのオンオフ制御、光源2のオンオフ制御、バイオレットライトの放射照度の強弱制御等を行うことができる。
【0045】
送受信装置6は、バイオレットライト装置10内に設けられ、例えば制御回路7に搭載されている。この送受信装置6は、制御機器21からの制御信号を受信する。受信した制御信号は、制御回路7を駆動して、光源2やセンサー3,4の制御を行う。また、送受信装置6は、センサー3,4で検知した信号を制御機器21に送信する。なお、バイオレットライト装置10の電源は、バッテリーであってもよいし、ACDC電源であってもよい。
【0046】
制御機器21は、アプリケーションプログラムを有する携帯端末やパーソナルコンピュータ等の制御機器である。この制御機器21は、表示部22、操作部23、制御部(アプリケーションプログラム)24、送受信装置25等を備えている。制御機器21がスマートフォンやタブレット端末の場合は表示部22と操作部23とはディスプレイの表示上に一体化しているが、パーソナルコンピュータのようにディスプレイとキーボードに分かれていてもよい。送受信装置25は、バイオレットライト装置10から送信された信号を受信し、その受信データに応じたアクションを起こす。そのアクションはアプリケーションプログラム24で制御される。
【0047】
例えば、バイオレットライト装置10からは、光源2の放射照度情報、光源2のオンオフ情報、センサー3,4のセンシング情報等が送信され、送信された情報を制御機器21の送受信装置25が受信する。受信した情報は、アプリケーションプログラム24で解析され、必要に応じて表示・記憶し、さらに送受信装置25からバイオレットライト装置10に送信して、バイオレットライト装置10が備える光源2やセンサー3,4を制御する。その制御としては、各種センサーのオンオフ制御、光源2のオンオフ制御、バイオレットライトの放射照度の強弱制御等を挙げることができる。
図12に示すように、バイオレットライト装置10が複数設置されている場合には、それぞれのバイオレットライト装置10からの送信信号が制御機器21の送受信装置25に送られる。その情報をもとに、必要な強度と時間で、バイオレットライト装置10の光源2が発光し、バイオレットライトが使用者に照射される。
【0048】
図14は、時間毎に受けたバイオレットライトのドーズ量(=放射照度×時間)のデータ、その累計データ、一日の合計・必要量・不足量・過剰量、直近一週間の不足量・過剰量、直近一ヶ月の不足量・過剰量等を表示した例である。なお、この表示例は特に限定されず、アプリケーションプログラム24により、必要な情報表示を任意に設定して表示することができる。
図14の例に示すように、就寝時は室内でバイオレットライトは存在しないが、朝になってバイオレットライト装置10を駆動させることでバイオレットライトを発光させて、受ける放射照度が増加し、通勤時間には屋外でバイオレットライトを受けることがわかる。その後、職場にバイオレットライト装置10を設置していることにより、バイオレットライトが存在しない職場内でも自分のデスクに自分専用のバイオレットライト装置10を設置しておけば、必要量のバイオレットライトを受けることができる。アプリケーションプログラム24によるこうした表示により、一日単位、一週間単位、一ヶ月単位でのバイオレットライトの放射照度を集計することができる。