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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203056(P2020-203056A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】タオル掛け
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/06 20060101AFI20201127BHJP
   A47K 10/04 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   A47K10/06
   A47K10/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-123246(P2019-123246)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】517268913
【氏名又は名称】新井 宏治
(72)【発明者】
【氏名】新井 宏治
(57)【要約】
【課題】タオルが湿っても即座に乾燥させ、快適にタオルを利用することができるタオル掛けを提供する。
【解決手段】2つのシートが重ね合わされて構成され、それぞれのシートが重ね合わされる面とは反対のそれぞれの面に乾燥させる対象の乾燥対象物が当接されるシート部11と、シート部を格納する格納部12と、シート部の一辺が取り付けられ、シート部を格納部へ巻物状にして巻き上げる又は巻き上げる方向の回転とは逆に回転させてシート部を格納部から送り出す巻き上げ部14と、シート部のそれぞれのシートの間に配設され、通電により発熱しシート部を温める電熱線21とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのシートが重ね合わされて構成され、それぞれのシートが重ね合わされる面とは反対のそれぞれの面に乾燥させる対象の乾燥対象物が当接されるシート部と、
前記シート部を格納する格納部と、
前記シート部の一辺が取り付けられ、前記シート部を前記格納部へ巻物状にして巻き上げる又は巻き上げる方向の回転とは逆に回転させて前記シート部を前記格納部から送り出す巻き上げ部と、
前記シート部のそれぞれのシートの間に配設され、通電により発熱し前記シート部を温める電熱線とを、
備えることを特徴とするタオル掛け。
【請求項2】
前記シート部は、前記シートが重ね合わされた状態でそれぞれのシートを貫通する孔が配設されていることを特徴とする請求項1に記載のタオル掛け。
【請求項3】
前記シート部の前記乾燥対象物の当接される面を凹凸加工したことを特徴とする請求項1又は2に記載のタオル掛け。
【請求項4】
前記電熱線は、前記巻き上げ部に取り付けられた前記シート部の一辺と対向する他方の辺に近づくにつれて配設される密度が高くなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のタオル掛け。
【請求項5】
前記シート部は、前記乾燥対象物を収納する収納部を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のタオル掛け。
【請求項6】
前記シート部は、当接される前記乾燥対象物を覆う被覆部を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のタオル掛け。
【請求項7】
前記シート部に当接される前記乾燥対象物を、前記乾燥対象物の前記シート部への当接面とは反対の面の側から押さえるとともに、押さえた状態で前記乾燥対象物上を移動する挟み込み部を更に備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のタオル掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タオルを掛けるタオル掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、濡れた手や体などを拭くためのタオルを掛けておくタオル掛けが洗面所や台所などに設置されている。洗面所や台所などに設置されたタオル掛けのタオルは、多くの人(例えば、家族全員)が1日のうちに何度も利用するため、乾ききらずに湿った状態で放置されることが多い。湿ったタオルで手や体を拭くことは利用者に不快感を与えていた。これに対して、湿ったタオルを乾燥させるためのタオル掛けがある(特許文献1を参照)。特許文献1に開示されたタオル掛けは、壁面とタオルの間に隙間を設けることで風通しをよくするため、隙間がない場合に比べれば多少の乾燥には役立つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−68794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、多くの人が頻繁に利用する場合には、タオルを乾燥させることはできず、タオルは湿った状態で放置されるという問題がある。また、壁面とタオルとの間に隙間を設ける構成のため、タオル掛けが壁面から前方へ出っ張り、特に洗面所などの狭い空間ではタオル掛けが邪魔になるという問題もある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、タオルが湿っても即座に乾燥させ、快適にタオルを利用することができるタオル掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、2つのシートが重ね合わされて構成され、それぞれのシートが重ね合わされる面とは反対のそれぞれの面に乾燥させる対象の乾燥対象物が当接されるシート部と、前記シート部を格納する格納部と、前記シート部の一辺が取り付けられ、前記シート部を前記格納部へ巻物状にして巻き上げる又は巻き上げる方向の回転とは逆に回転させて前記シート部を前記格納部から送り出す巻き上げ部と、前記シート部のそれぞれのシートの間に配設され、通電により発熱し前記シート部を温める電熱線とを、備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のタオル掛けにおいて、前記シート部が、前記シートが重ね合わされた状態でそれぞれのシートを貫通する孔が配設されていることは好ましい態様である。
【0008】
また、本発明のタオル掛けにおいて、前記シート部の前記乾燥対象物の当接される面を凹凸加工したことは好ましい態様である。
【0009】
また、本発明のタオル掛けにおいて、前記電熱線が、前記巻き上げ部に取り付けられた前記シート部の一辺と対向する他方の辺に近づくにつれて配設される密度が高くなることは好ましい態様である。
【0010】
また、本発明のタオル掛けにおいて、前記シート部が、前記乾燥対象物を収納する収納部を更に備えることは好ましい態様である。
【0011】
また、本発明のタオル掛けにおいて、前記シート部が、当接される前記乾燥対象物を覆う被覆部を更に備えることは好ましい態様である。
【0012】
また、本発明のタオル掛けにおいて、前記シート部に当接される前記乾燥対象物を、前記乾燥対象物の前記シート部への当接面とは反対の面の側から押さえるとともに、押さえた状態で前記乾燥対象物上を移動する挟み込み部を更に備えることは好ましい態様である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、タオルが湿っても即座に乾燥させ、快適にタオルを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けの使用時の状態を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けの巻き上げ部を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシート格納時の状態を示す正面図である。
図4】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けの使用時の状態を示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けの使用時の状態を側面から見た側面図である。
図6】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けの電熱線が配設されたシートを示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシートのAA矢視による断面図である。
図8】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けの電熱線が下方に密集するシートを示す図である。
図9】本発明の第1、第2の実施形態におけるタオル掛けの他の態様のシートの断面図である。
図10】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けをバーに掛けた状態を示す斜視図である
図11】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシート部分に袋部を備えたタオル掛けの斜視図である。
図12】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシート部分に袋部を備えたタオル掛けを側面から見た側面図である。
図13】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシート部分に被覆部を備えたタオル掛けの斜視図である。
図14】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシート部分に被覆部を備えたタオル掛けを側面から見た側面図である。
図15】本発明の第1の実施形態におけるタオル掛けのシート部分に挟み込み部を備えたタオル掛けの斜視図である。
図16】本発明の第2の実施形態におけるタオル掛けのシートを示す図である。
図17】本発明の第2の実施形態におけるタオル掛けのシートのBB矢視による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1は第1の実施形態におけるタオル掛けを使用する際の正面から見た正面図である。タオル掛け10は、タオルを掛けるシート11と、シート11を格納する格納部12と、格納部12に格納されたシート11を格納部12から引っ張り出したり、引っ張りだされたシート11を格納部12へ格納させたりする引き出し部13とから構成されている。さらに、タオル掛け10は、シート11の一辺が取り付けられ、シート11を格納部12へ巻物状にして巻き上げる又は巻き上げる方向の回転とは逆に回転させてシート11を格納部12から送り出す巻き上げ部14を格納部12内に備える。
【0016】
シート11は、2つのシートが重ね合わされて構成され、それぞれのシートが重ね合わされる面とは反対のそれぞれの面に乾燥させる対象の乾燥対象物(例えば、タオルなど)が当接される。すなわち、シート11の表面にタオルが接する。シート11は、四角形状となっており、四辺のうちの一辺が巻き上げ部14に取り付けられ、格納部12へ巻物状(ロール状)に巻き込まれて格納されており、例えばロールスクリーンのように巻物状になって格納されている。また、シート11は、格納部12から引っ張り出される際、引き出し部13が所定の位置(例えば、シート11全体が格納部12から引っ張り出される位置)まで移動するとシート11の巻き込み構造にロック(ストッパー)がかかり、シート11全体が格納部12から引っ張り出された状態で維持される(図1参照)。維持された状態から格納部12にシート11を格納する際は、例えば引き出し部13をさらに引っ張ることでロックが外れてシート11が巻き込まれて格納部12へ格納される。
【0017】
上記のようにシート11を巻き込むために巻き上げたり、引っ張り出すためにシート11を送り出したりする機能は格納部12に設けられた巻き上げ部14(図2を参照)によって実現される。シート11が格納部12に巻き上げられて格納されるため、タオル掛けを使用しない場合にはシート11を格納させることができ、小さくまとまらない(コンパクトにならない)自立型の大きなタオルウォーマーと比べ、洗面所などのスペースの狭い場所にタオル掛け10を置いておいても邪魔にならず、持ち運びも容易にすることができるという有利な効果を奏する。また、タオル掛け10は不使用時にはコンパクトになり自立型のタオルウォーマーと比べて見栄えもよく、タオル掛け10の格納部12などにお洒落な照明や飾りを付けたり、模様を施すことによってコンパクトなインテリアとしても活用でき、余分な照明やインテリア商品を付ける手間を省くことができるという有利な効果を奏する。また、シート11にタオルを当接させて後述する電熱線21の熱を利用して乾燥させるものであるため、温風でタオルを乾燥させるものと比べ、音を発生させることなく乾燥させることができるため、時間や場所を選ばずにタオル掛け10を使用することができるという有利な効果も奏する。
【0018】
巻き上げ部14について図2を用いて説明する。ここでの巻き上げ部14は、一般的なロール式カーテンなどで利用されているプルコード式と呼ばれる一般的なものである。プルコード式とは、プルコード(引き出し部13、又はシート11や引き出し部13に取り付けられたコード)を引いた分だけシート11が下がり、少し引いて手を放すとシート11が自動で巻き上がるものである。
【0019】
なお、本発明の巻き上げ部14はプルコード式に限定されるものではなく、他の方式、例えばチェーン式、ハンドル式、ワンタッチ式、ループコード式、電動式などであってもシート11の巻き上げ、送り出しに支障がないものであればよい。チェーン式とはチェーンを引いた分だけシート11の上げ下げができるものである。ハンドル式とはハンドルを持ってシート11を直接上げ下げするものである。ワンタッチ式とはチェーンを引いた分だけシート11が下がり、少し引いて手を放すとシート11が自動で巻き上がるものである。ループコード式とはループコードを引いた分だけシート11の開閉操作をすることができるものである。電動式とは離れた場所からでもリモコン操作でシート11の巻き上げ、送り出しをすることができるものである。
【0020】
巻き上げ部14は、主として巻き上げチューブ15とスプリング16から構成されたている。巻き取りチューブ15は、シート11の一辺を巻き付けチューブ15に設けられた溝にはめて固定させ、シート11を巻き付けるものである。スプリング16はスプリング16の力で巻き上げチューブ15を回転させてシート11を巻き上げるものである。シート11を送り出す場合には上記回転(巻き上げる方向の回転)とは逆の回転をさせる。
【0021】
また、シート11には、シート11全体が引っ張りだされてロックがかかった状態で、シート11の一部が切り取られた隙間17が設けられている。隙間17には不図示のタオル(体を拭く大き目のタオル(バスタオル)を含む)が通され、タオルをシート11に掛けられるようにする。また、隙間17は常時開放されているものに限定されるものではない。例えば、隙間17の開口の周囲に収縮素材(例えば、ゴムなど)を設け、常時は収縮素材の収縮性により隙間17が閉じられている。そして、使用時には収縮性により閉じられた隙間17を広げるようにしてこじ開け、こじ開けた隙間17にタオルを通してシート11にタオルを掛ける。これにより、タオルを隙間17に通した後は収縮素材の収縮性により隙間17は閉じられ、タオルは隙間17によって押さえられる。すなわち、隙間17はタオルを押さえるストッパーの機能を果たし、タオルがシート11からズレ落ちることを防ぐことができる。
【0022】
また、タオル掛け10は、さらにタオル掛け10を既存のタオル掛けや物干しなどのバーに引っ掛けるためのフック18(18a、18b)を備えてもよい。フック18により、既存のタオル掛けにタオル掛け10を引っ掛けることができるため、タオル掛け10を設置するための新たな設備を用意する必要がない。フック18の形状は後述する図4に示すフック形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0023】
図3はタオル掛け10のシート11が格納部12に格納された状態を示す正面図である。この状態はタオル掛け10を使用しない状態、すなわち使用前の状態を示している。使用前ではシート11は格納部12に巻物状にして巻き込まれている。使用する際には格納部12からシート11を引き出し、上記したロックをかける。格納部12の長手方向の長さは、タオルや風呂上がりに体を拭くバスタオルが伸ばして掛けることが可能なシートを収めることができる幅の長さが少なくとも必要である。
【0024】
図4はタオル掛け10の使用時の状態を示す斜視図である。すなわち、引き出し部13を下方へ引っ張り、シート11が格納部12から引き出され、ロックが掛かって維持された状態である。
【0025】
図5図4に示すタオル掛け10の使用時の状態を矢印の方向に向かって見た際の側面図である。引き出し部13の大きさは格納部12に比べて小さいが、大きさはこれに限定されるものではない。なお、格納部12や引き出し部13は直方体の形状となっているが、これに限られるものではなく円柱形状などであってもよい。また、引き出し部13は設けなくてもよい。その場合、引き出し部13が接続されていた露出したシート11の端部を引っ張ることでシート11の出し入れをするようにしてもよい。また、引っ張るためのコード(プルコード)をシート11の端部に設置するようにしてもよい。
【0026】
ここで、タオル掛け10のシート11の詳細について図6を用いて説明する。図6は電熱線21が配設されたシート11を示す図である。シート11は上述したように2つのシートが重ね合わされたものであり、電熱線21はそれぞれのシートの間に挟まれるようにして配設されている。すなわち、電熱線21は、シート11のそれぞれのシートの間に配設され、通電により発熱しシート11を温めることができる(クレーム1)。ここでの電熱線21は屈曲可能であって被覆が施されており、図6や後述する図8では電熱線21は破線で示されている。
【0027】
電熱線21は電気を供給する不図示の電源コードに接続されており、タオル掛け10に設けられた不図示の電源スイッチをオンにすることで電気が供給され温められる。電源スイッチの配置位置は電源スイッチをオンにしやすい位置であれば特に限定されるものではなく、例えば格納部12の表面部分に配置される。
【0028】
また、電熱線21に電気が供給される時間(タイマー)を設定することができるタイマー設定機能を設けてもよい。タイマー設定をすることにより、所望の時間だけ電熱線21を温め、タオルを乾燥させることができる。また、タオル掛け10にシート11に不図示の湿度を計測できる湿度計などを設け、設定された湿度を境に電源スイッチがオンにされたりオフにされたりしてもらいよい。すなわち、設定された湿度(例えば、湿度40%)を超えた場合に電源スイッチがオンにされ、設定された湿度を下回った場合に電源スイッチがオフにされるようにしてもよい。また、電源スイッチを設けず、電源コードの先端に設けられた電源プラグをコンセントの差し込み口に差し込むことで通電して電気を供給するようにしてもよい。
【0029】
また、シート11は、2つのシートが重ね合わされた状態でそれぞれのシートを貫通する孔(通気孔22)が配設されていてもよい。通気孔22はシート11を貫通しているため空気の往来が可能となり、シート11とタオルとの間に湿気がこもることを防ぎ、早期にタオルを乾燥させることができる。ここでは、通気孔22は電熱線21の配設の邪魔にならないように整列しているが、電熱線21の配設の邪魔にならなければシート11上のいずれの位置に配設されるようにしてもよい。また、通気孔22の数、大きさ、形状も図6に示すものに限定されるものではない。例えば、通気孔22は図6に示すような円形ではなく楕円形や長方形などであって、大きさもより大きいものであってもよい。シート11を切断線(AA矢視)により切断した断面図を図7に示す。図7に示すように、電熱線21はシート11内に等間隔で配設されている。ここではシート11の厚みは均一となっているが下方、すなわち巻き上げ部14に取り付けられたシート11の一辺と対向する他方の辺に近づくにつれて厚みが厚くなるようにシート11を構成してもよい。すなわち、シート11の厚みは、巻き上げ部14に取り付けられたシート11の一辺と対向する他方の辺に近づくにつれて厚くなり、断面的には山型の形状となる。山型にするには、例えば下方につれてシート11を構成する各シートの厚みを厚くしたり、各シート間にあらかじめ山型形状となった型を挟み込んでその型に各シートを張り付けたりするが、山形形状にする方法はこれに限定されるものではない。これにより、シート11をタオル掛け10に掛けた際、手を拭く際によく使われるタオルの長手方向における端部分がシート11に密着するため、より早くタオルを乾かすことができる。なお、この山型の形状は以下で説明するシート(図8図9図11図13図15図16)において構成されてもよい。
【0030】
また、電熱線21は、巻き上げ部14に取り付けられたシート11の一辺と対向する他方の辺に近づくにつれて配設される密度が高くなるようにしてもよい。すなわち、図8に示すように、シート11の下方に向かうにつれて電熱線21の配設の密度が高くなっている。通気孔22の数や大きさについては、電熱線21の配設の邪魔にならなければよく、シート11上のいずれの位置にいずれの大きさで配設されてもよい。これにより、手を拭く際によく使われるタオルの長手方向における端部分が当たるシート11の部分(下方部分)に電熱線21が集中するため、より早くタオルを乾かすことができる。
【0031】
また、シート11は2つのシートを重ね合わせたものであり、図7に示すようにタオルが当接するシート11の表面は凹凸のない平面で構成されているが、図9のシート11の断面図に示すように、タオルが当接するシート11の表面が凹凸に加工(エンボス加工)されていてもよい。これにより、凸部90にタオルが当接し、凹部91に空気層ができるため、温められた空気が空気層に滞留し、タオルをより早く乾燥させることができる。これはタオルを当接させるシート11を用いるため、温められた空気を空気層に滞留させることができ、タオルをより早く乾燥させることができるという有利な効果を奏する。このエンボス加工は後述する袋部26を構成するシート、被覆部27を構成するシート、挟み込み部28を構成するシート、風道部42を構成するシートにおいてなされていてもよい。また、エンボスを構成するピッチ(幅)は等間隔である必要はなく、細かいピッチなどでもよく、またシート11全体に施される必要もない。
【0032】
エンボス加工を施す方法は、例えば凹凸の押し型でシート11を強圧してエンボスを施すが、シート11が合成繊維の場合には型押しとともに加熱し、レーヨンや木綿の場合には生地に樹脂加工をしてから型押し加熱する。これにより、シート11を洗濯などしてもエンボス加工が消えないようにすることができる。なお、型押しの際、電熱線21が凸部90に配設されるように型押しする。
【0033】
図10はタオル20をバー19に掛けた状態のタオル掛け10の斜視図である。図10ではタオル掛け10は、洗面台やキッチンなどにある既存のタオル掛けのバー19にフック18を引っ掛けて使用されている。タオル20は隙間17を通してシート11に掛けられる。具体的には、タオル20を2つ折りにした半分の部分がシート11の片面側(前面側)、もう一方の半分の部分がシート11のもう一方の片面側(裏面側)になるように掛ける。これにより、タオル20の全面を乾燥させることができる。
【0034】
なお、フック18を引っ掛けるバー19はタオル掛け10を使用したい場所に新たに設けたものであってもよい。また、ここではフック18をバー19に引っ掛けてタオル掛け10を使用しているが、フック18を引っ掛けるのではなく、格納部12を壁などに固定させて使用するものでもよい。すなわち、タオル掛け10を使用する場所に応じて、タオル掛け10をバー19に引っ掛けたり、壁やドアなどに固定したりして使用することが可能である。固定の方法は、例えばネジや粘着性テープなどで格納部12を壁などに固定する方法が考えられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
また、上述したタオル掛け10(図4図10を参照)は更にシート11部分に袋部(ポケットなど)26を備えたタオル掛けについて図11を用いて説明する。図11に示すように、シート11はタオル20を収納する袋部(収納部)26が備えられている。袋部26はタオル20が掛けられた際にタオル20の長手方向の端部を収納するものである。タオル20の長手方向の端部が袋部26に収納されることにより、手を拭く際によく使われる長手方向における端部がシート11により密着し温められるため、タオル20においてよく使われる部分をより早く乾燥させることができる。
【0036】
手を拭く際には袋部26からタオル20の長手方向の端部を取り出して手を拭き、手を拭き終わった後に再度、タオル20の長手方向の端部を袋部26に収納する。なお、袋部26は図11では示されていないシート11の裏面(背面)においても同様に設けられていてもよい。
【0037】
また、袋部26はシート11と同じ素材又は別の素材をシート11に取り付けて構成されるものであり、シート11とは一体型又は着脱可能であってもよい。また、ここでは袋部26はタオル20の長手方向の端部が入る側の辺26aのみが開放可能となっており、他の3辺(辺26aと対向する辺、辺26aに隣接する垂直のそれぞれの辺)においては閉じられている。しかし、この構成に限定されるものではなく、他の3辺の一部の辺についても開放可能となっていてもよい。例えば、辺26aと対向する辺については開放可能となっていてもよい。すなわち、辺26aに隣接する垂直のそれぞれの辺は閉じられている。
【0038】
また、辺26aには伸縮可能な素材、例えばゴムや糸などが配置されていてもよい。これにより、タオル20の長手方向の端部が収納された状態で辺26aが伸縮して開放部分を閉じて蓋の役割を果たすため、よりタオル20の長手方向の端部がシート11に密着しさらに熱を逃がさずにより早く乾燥させることができる。
【0039】
図12図11に示すタオル掛け10を矢印の方向に向かって見た際の側面図である。図12に示すように、タオル20の長手方向の端部が収納できるように袋部26の辺26aが開放されている。
【0040】
また、上述したタオル掛け10(図4図10を参照)は更にシート11部分に被覆部27を備えたタオル掛けについて図13を用いて説明する。図13に示すように、シート11は当接されるタオル20を覆う被覆部27を更に備える。被覆部27はタオル掛け10のシート11に掛けられたタオル20をシート11との間で挟み込むようにしてタオル20の表面を覆う(押さえつける)ものである。タオル20を被覆部27によって覆うことによってシート11と被覆部27の間に挟まれたタオル20は、シート11に対して、より密着して温められるため、タオル20をより早く乾燥させることができる。
【0041】
タオル20が被覆部27に覆われていて手を拭く際には、例えば被覆部27の辺27aを基点にして辺27aに対向する辺27bを持って手前(矢印120の方向)に引くようにして被覆部27を開き、タオル20を露出させる。手を拭き終わった後は、再度タオル20を覆うように被覆部27を戻す。
【0042】
また、被覆部27はシート11と同じ素材又は別の素材から構成されており、辺27aの部分がシート11に接続されている。なお、被覆部27はシート11とは一体型であっても着脱可能であってもよい。また、被覆部27の見開き方向はこれに限定されるものではなく、辺27bがシート11に接続されていて辺27aを持って手前に引くようにしてもよい。
【0043】
図14図13に示すタオル掛け10を矢印121の方向に向かって見た際の側面図である。図14に示すように、被覆部27はシート11に密着するようにタオル20を覆うことが可能となっている。
【0044】
また、上述したタオル掛け10(図4図10を参照)は更にシート11部分に挟み込み部28(28a、28b)を備えたタオル掛けについて図15を用いて説明する。図15に示すように、シート11は、シート11に当接されるタオル20を、タオル20のシート11への当接面とは反対の面の側から押さえるとともに、押さえた状態でタオル20上を移動する挟み込み部28を更に備える。すなわち、挟み込み部28は、タオル20をシート11へ掛けた状態でタオル20を外側から押さえる。挟み込み部28は、タオル20が掛けられた際にタオル20を押さえた状態でタオル20の長手方向の端部からタオル20の表面上を上方(格納部12の方向)へ移動するものである。挟み込み部28がタオル20を押さえた状態で移動することにより、タオル20の押さえられた部分がシート11に密着し温められるため、タオル20をより早く乾燥させることができる。
【0045】
挟み込み部28(28a、28b)の移動範囲はシート11の下方端部29から上方端部30、すなわちシート11の端から端までであってもよく、また下方端部29から上方端部30の間の一部の範囲であってもよい。これにより、タオル20においてよく手を拭く部分を集中して乾燥させることができる。
【0046】
また、ここでは、挟み込み部28は2つの挟み込み部28a、28bから構成されているがこれに限定されるものではなく、1つの挟み込み部で構成されていてもよい。すなわち、図12に示すような被覆部27の辺27aの長さを短くしたものを挟み込み部として上下に移動できるようにしたものであってもよい。
【0047】
手を拭く際には、図13に示す被覆部27のように挟み込み部28a、28bの端部31a、31bを持って手前(矢印140の方向)に引くようにして挟み込み部28a、28bを開く。なお、例えば一方の挟み込み部28aのみを開くようにしてもよい。手を拭き終わった後は、再度タオル20を押さえるように挟み込み部28a、28bを戻す。なお、挟み込み部28は図15では示されていないシート11の裏面(背面)においても同様に設けられていてもよい。
【0048】
また、挟み込み部28はシートと同じ素材又はシート11とは別の素材(例えば、金属、プラスティック、木、生地など)であり、シート11とは着脱可能である。挟み込み部28は、あらかじめシート11に設けられた挟み込み部28が移動するためのレール(不図示)などの導線上を車輪などを介して電気や電池を動力として移動したり、挟み込み部28に別途設けられた不図示の移動手段(車輪を介して移動するもの)をシート11に取り付けて電気や電池を動力として移動したりしてもよい。
【0049】
<第2の実施形態>
第2の実施形態におけるタオル掛けについて図16を用いて説明する。第2の実施形態におけるタオル掛けは第1の実施形態のタオル掛けとシートの構成が異なるのみで他の構成については同一であるため、第2の実施形態のタオル掛けのシート41についてのみ説明し他の構成については説明を省略する。
【0050】
シート41は、2つのシートが重ね合わされており、それぞれのシートの間に配設され、温風を吹き出す温風発生器(例えば、ドライヤー)から吹き出される温風を通す風道部(トンネル)42を備える。更に、シート41は、それぞれのシートが重ね合わされた状態でそれぞれのシートを貫通する孔43が風道部42上に配設されていてもよい。
【0051】
図16に示すように、シート41は不図示の温風発生器の温風吹出口が挿入される挿入口44を備える。挿入口44に挿入された温風吹出口から吹き出される温風は、風道部42を通って排出口45から排出される。これにより、シート41に掛けたれたタオル20が風道部42を通る温風によって温められ、乾燥させることができる。このとき、風道部42は円柱形状であるが、排出口45は円柱形状ではなく風道部42に比べて先細っていく形状であってもよい。これにより、温風を一気に排出せずに風道部42内に温風を滞留させ、シート41に掛けられたタオル20をより乾燥させることができる。
【0052】
また、シート41を貫通する孔43が風道部42上に配設されていることにより、風道部42を通る温風の一部が孔43から吹き出し、シート41に掛けられたタオル20に温風が当たり、より早く乾燥させることができる。なお、孔43の大きさは一様ではなく、異なる大きさであってもよい。孔43が大きいほど孔43から吹き出される温風は多くなるため、手をよく拭くタオル20の長手方向の端部が当たるシート41の領域において孔43を他の領域の孔43よりも大きくしてもよい。これにより、手をよく拭くタオル20の長手方向の端部をより早く乾燥させることができる。
【0053】
また、風道部42は一様な形状をしているが、場所によって形状を変化させてもよい。例えば、手をよく拭くタオル20の長手方向の端部が当たるシート41の部分(下方部分)では他の部分(上方部分)よりも温風が多く通るように、風道部42をより大きな円柱形状としてもよい。これにより、風道部32が配設されるシート41の部分が大きく膨らみタオル20により密着し、手をよく拭くタオル20の長手方向の端部をより早く乾燥させることができる。この場合も孔43の大きさを一様でなく、下方部分の孔43を他の部分の孔43よりも大きくしてもよい。
【0054】
また、孔43の数も図16に示す数に限定されるものではない。シート41を切断線(BB矢視)により切断した断面図を図17に示す。図17に示すように、風道部42はシート41内に等間隔で配設されている。第2の実施形態のタオル掛けは、温風発生器によって吹き出された温風を風道部42に滞留させてタオル20を乾燥させるものであり、温風を一定時間(数分から数十分など)継続して吹き出して乾燥させるものではない。そのため、温風を発生させる際の音はごく一瞬であり、第2の実施形態のタオル掛けにおいても時間と場所を選ばずに使用することができるという有利な効果を奏する。
【0055】
上述したようなタオル掛けによれば、タオルが湿っても即座に乾燥させ、快適にタオルを利用することができる。
【0056】
以上の実施形態に関して以下の付記を開示する。
【0057】
(付記1)
2つのシートが重ね合わされ、それぞれのシートの重ね合わされた面とは反対の面に乾燥させる対象の乾燥対象物が当接されるシート部と、
前記シート部を格納する格納部と、
前記シート部の一辺が取り付けられ、前記シート部を前記格納部へ巻物状にして巻き上げる又は巻き上げる方向の回転とは逆に回転させて前記シート部を前記格納部から送り出す巻き上げ部と、
前記シート部のそれぞれのシートの間に配設され、温風を吹き出す温風発生器から吹き出される温風を通す風道部とを、
備えることを特徴とするタオル掛け。
【0058】
(付記2)
前記シート部は、前記シートが重ね合わされた状態でそれぞれのシートを貫通する孔が前記風道部上に配設されていることを特徴とする付記1に記載のタオル掛け。
【0059】
(付記3)
前記シート部の前記乾燥対象物の当接される面を凹凸加工したことを特徴とする付記1又は2に記載のタオル掛け。
【0060】
また、上述した各実施形態は、上述したものに限定されるものではなく、各実施形態の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、タオル掛けがタオルに芳香剤を塗布する構成を有していてもよく、またシート11(41)に脱臭剤(例えば、活性炭など)や乾燥剤(例えば、シリカゲルなど)を含めるようにしてもよい。これにより、使用する際に快適に使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るタオル掛けは、タオルが湿っても即座に乾燥させ、快適にタオルを利用することができるため、タオルを掛けるタオル掛けに有用である。
【符号の説明】
【0062】
10 タオル掛け
11、41 シート
12 格納部
13 引き出し部
14 巻き上げ部
15 巻き上げチューブ
16 スプリング
17 隙間
18(18a、18b) フック
19 バー
20 タオル
21 電熱線
22 通気孔
26 袋部
26a、27a 27b 辺
27 被覆部
28(28a、28b) 挟み込み部
29 下方端部
30 上方端部
31(31a、31b) 端部
42 風道部
43 孔
44 挿入口
45 排出口
90 凸部
91 凹部
120、121、140 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17