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特開2020-203066椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203066(P2020-203066A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20201127BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   A61F5/01 E
   A47C7/54 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-240141(P2019-240141)
(22)【出願日】2019年12月16日
(31)【優先権主張番号】特願2019-122343(P2019-122343)
(32)【優先日】2019年6月11日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308040823
【氏名又は名称】有限会社フットケア
(72)【発明者】
【氏名】森田 友良
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB01
4C098BC30
(57)【要約】
【課題】安全に体幹傾斜の矯正が自宅で簡単にできる椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正保持具を提供する。
【解決手段】体幹支持部1の上部に一対の凹部の曲面2からなる腋支持部3を有し、体幹支持部1の中央に体幹部の前のめりを防ぐ上方に突出した凸部ストッパー24を設け、体幹支持部1に肘を載せるための肘支持部5を位置調整可能に取り付けるための上下に貫通した細長い穴4を設け、肘支持部5は体幹支持部1に取り付ける肘支持部調整穴6を設け、体幹支持部1の下端に椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込むための体幹支持部下部7を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体幹支持部1の上部に一対の凹部の曲面2を形成し、そこに腋を載せるための腋支持部3を有し、体幹支持部1に肘を載せるための肘支持部5を位置調整可能に取り付けるための上下に貫通した細長い穴4を設け、肘支持部5は体幹支持部1に取り付ける肘支持部調整穴6を設け、体幹支持部1の下端に椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込むための体幹支持部下部7を設けたことを特徴とする椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項2】
椅子の肘置きに取り付けたときに、肘置きの外側の支えになる肘置き固定部8を有し、その肘置き固定部8を位置調整可能に取り付けるための貫通した細長い穴9を肘支持部5に設け、肘置き固定部8は肘支持部5に取り付ける肘置き固定部穴10を設けている請求項1に記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項3】
座った人の肘、前腕の横ずれを防止する前腕支持部11を有し、前腕支持部11を回動可能な接続手段として角度調整金具12で肘支持部5に取り付けた請求項1又は請求項2に記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項4】
体幹支持部1、肘支持部5、肘置き固定部8で形成した肘置き挟み込み部15を椅子の肘置きに挟み込み、上下に貫通した細長い穴4に対応する位置に肘置き固定部8を貫通する細長い穴16を設け、貫通する細長い穴16、上下に貫通した細長い穴4を連通させる固定手段で椅子の肘置きに固定することを特徴とする請求項2記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項5】
前腕支持部11の外側両端に先端がループ状の伸縮可能な前腕回外支持部14を設けた請求項3記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項6】
体幹支持部1の中央に上半身の前のめりを防ぐ上方に突出した凸部ストッパー24を設けた請求項1に記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項7】
前腕支持部11の外側に、食事の際に肘置きとなる食事サポート台25を回動可能な接続手段として角度調整金具26で前腕支持部11に取り付け、食事サポート台25の外縁に簡易肘置き台27を設けた請求項3に記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【請求項8】
肘支持部5の角度調整金具12で前腕支持部11を直角に立て、食事サポート台25をほぼ水平にした後、肘部を肘支持部5ではなく食事サポート台25に置けるようにした請求項7記載の椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳卒中麻痺、拘縮による体幹の傾斜や姿勢の矯正に用いる椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が加速し、脳血管障害や、運動器疾患及び外傷の後遺症等で医療費、介護費は増加の一途にある。医療・介護の重度化の原因に、神経麻痺、運動器の障害、廃用性症候群等があり慢性の疾患が多くを占め回復しにくいのが特徴である。
脳血管障害で麻痺があると、重力に負け体幹部及び骨盤部が麻痺側に倒れ関節・筋肉が固くなり自力でもとに戻せなくなる。慢性化すると、筋力の弱い方へ、前屈、回旋、側屈を合併した体幹の傾斜が起こり、これが日常的に維持されると、体のバランスが乱れ椅子からの立ち上がり、正常な歩行が困難になり日常生活動作(ADL)に支障が生じてくる。
【0003】
リハビリテーションでバランス、立ち上がり動作等の機能訓練を受けても、自宅で車椅子を使用すると、いつもの体幹傾斜の不良姿勢に戻り体幹の患側への傾斜が日常化して、骨盤後傾、体幹の傾斜、上肢の機能障害・拘縮を誘発し立位バランスの欠如から、座位・立ち上がり・歩行という基本動作を困難にする要因になり生活の質(QOL)の低下の原因になる。
【0004】
従来の体幹保持の手段には、幅広アームサポートを利用者の車いすのアームパイプに取り付けたものがある。
【0005】
また、椅子の肘置きの内側の両側面に設けた固定式の体幹保持板で体幹を支える技術もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4411420号公報
【特許文献2】特開2004−275579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の体幹保持の手段には、幅広アームサポートを利用者の車椅子のアームパイプに取り付けたものがある。また、車椅子の幅広アームサポートを上下に可動調整及び回旋をほどこしたものがあるが、左右にアームサポートを取り付けても、利用者の体幹傾斜が顕著な場合に肘が外へズレ落ちるリスクがある。軽度の利用者であれば姿勢保持も可能であるが、体幹保持板が無いので体幹傾斜矯正具には機能性や安全の面で問題がある。
【0008】
また、椅子の肘置きの内側の両側面に設けた体幹支持板で体幹を支える技術もあるが、固定式で症状に合わせての対応が出来ず、利用者にとってはきわめて使いづらい状況である。
【0009】
体幹傾斜矯正具は体幹部を垂直に押し上げ前のめりを防ぎ、また、体が横に崩れる座位姿勢の保持機能が重要である。
【0010】
さらに、麻痺、廃用性症候群が進行すると、体幹の傾斜に並行して、前腕の筋肉は回内筋が回外筋より強いので前腕部の回内拘縮が起こりやすく、手が内側に回旋し箸が持てなくなり日常生活動作に支障が生じるので緩和・矯正する必要がある。
【0011】
体幹の前傾傾斜・側屈傾斜・体幹の回旋を伴う体幹傾斜矯正のポイントは、専門的な体の解剖学的、運動学的な情報も含め、安全、確実なデザインによる商品開発が求められている。
【0012】
本発明はこれらの課題を解決することを目的とするもので、体幹支持部、肘支持部、肘置き固定部から成る肘置き挟み込み部を体幹傾斜側の椅子の肘置きに挟み、体幹支持部の下端に椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込むための体幹支持部下部を設け、前腕支持部を回動可能な接続手段で角度調整金具を肘支持部に取り付け、肘・前腕を肘支持部、前腕支持部に載せ保持し、傾斜した体幹を腋支持部及び体幹支持部で垂直方向へ押し上げ、前腕支持部の外側両端に先端がループ状の伸縮可能な前腕回外支持部を設け、ループ状の前腕回外支持部に前腕を回外した状態で親指を入れて前腕の回内を防ぎ前腕の回外を保持し、安全に施設、病院、自宅で簡単に矯正できる椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の課題を達成するために、本発明は、体幹支持部の上部に一対の凹部の曲面を形成し,そこに腋を載せるための腋支持部を有し、体幹支持部に肘を載せるための肘支持部を位置調整可能に取り付けるための上下に貫通した細長い穴を設け、肘支持部は体幹保持部に取り付ける肘支持部調整穴を設け、体幹支持部の下端に椅子の座面とひじ掛けの隙間に差し込むための体幹支持部下部を設けている。
【0014】
椅子の肘置きに取り付けたときに、肘置きの外側の支えになる肘置き固定部を有し、その肘置き固定部を位置調整可能に取り付けるための貫通した細長い穴を肘支持部に設け、肘置き固定部は肘支持部に取り付ける肘置き固定部穴を設けている。
【0015】
座った人の肘、前腕の横ずれを防止する前腕支持部を有し、前腕支持部を回動可能な接続手段として角度調整金具で肘支持部に取り付けている。
【0016】
体幹支持部、肘支持部、肘置き固定部で形成した肘置き挟み込み部を椅子の肘置きに挟み込み、上下に貫通した細長い穴に対応する位置に、肘置き固定部を貫通する細長い穴を設け、貫通する細長い穴、上下に貫通した細長い穴を連通させる固定手段で椅子の肘置きに固定している。
【0017】
前腕支持部の外側両端に、先端がループ状の伸縮可能な前腕回外支持部を設けている。
【0018】
体幹支持部の中央に、上半身の前のめりを防ぐ上方に突出した凸部ストッパーを設けている。
【0019】
前腕支持部の外側に、食事の際に肘置きとなる食事サポート台を回動可能な接続手段として角度調整金具で前腕支持部に取り付け、食事サポート台の外縁に簡易肘置き台を設けている。
【0020】
肘支持部の角度調整金具で前腕支持部を直角に立て、食事サポート台をほぼ水平にした後、肘部を肘支持部ではなく食事サポート台に置けるようにしている。
【発明の効果】
【0021】
本発明は脳血管障害の後遺症、運動器疾患、圧迫骨折、廃用性症候群等から生じる体幹の傾斜及び姿勢の横の崩れを、腋支持部及び体幹支持部で体幹部を垂直方向へ押し上げ、体幹が患側に傾く力を利用して肘及び前腕を肘支持部、前腕支持部に載せ得られる反力で、座位姿勢の横方向への体幹の崩れを防ぎ体幹傾斜を矯正・保持することができる。
【0022】
脳血管障害で麻痺があると、重力に負け体幹部及び骨盤部が麻痺側に倒れ(プッシャー症候群)椎間板が萎縮して関節・筋肉が固くなり元に戻せなくなる、また、病状が進行すると前腕の回内拘縮を誘発するので前腕の回外が困難になる。
本発明を実施すると、体幹部を起こし身体の崩れを防ぎ縮んで固くなった筋肉・関節を伸ばし、脊柱及び前腕の動きを好ましい状態(良肢位)へ導くので、機能回復の支援に繋がり生活の質(QOL)が向上する。
【0023】
体幹が側屈すると腰椎は側屈した反対側に回旋することになる。つまり体幹が右側屈すると腰椎は左回旋し、胸椎、下位頸椎は右回旋、上位頸椎は左回旋をとり、右の肋骨が凹み左の肋骨が凸になり側弯を招き不良な定型的肢位が症状悪化の原因になる。
また、体幹が傾斜すると、骨盤は後方傾斜を起こし座位での臀部の支持が広がり円背からも体幹の傾斜を誘発する。
【0024】
体幹支持部の上部に一対の凹部の曲面を腋支持部に設けているので、矯正時に腋部が凹部の曲面にフィットし、安定して上肢帯、体幹を垂直方向に押し上げ、体幹部の傾斜を矯正し保持して体幹が前のめりにならない。また、体幹支持部、腋支持部、肘支持部で体幹を保持するので体の横崩れを防ぐこともできる。
【0025】
腋支持部は一対の凹部の曲面で形成され3層の材料で設けられている。深部材料は密度がやや高い低反発ウレタンで、表層材料は高弾性スポンジを使用し、その上をフユ―ジョン(三次元立体編み物)で形成しているので、矯正時の腋の圧迫感が少なくフィット性・通気性も良く気持ちがいい。また、腋支持部の中央部は厚めに両端は薄めに形成している。
【0026】
体幹支持部に肘を載せる肘支持部を、位置調整可能に取り付けるための上下に貫通した細長い穴を設け、肘支持部は体幹支持部に取り付ける肘支持部調整穴を設けている。
【0027】
体幹支持部の下端に椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込むための体幹支持部下部を設けたので、体幹傾斜矯正具の左右の動きを制限するので矯正具本体が安定する。
【0028】
椅子の肘置きに取り付けたときに、肘置きの外側の支えになる肘置き固定部を設け、その肘置き固定部を位置調整可能に取り付けるための貫通した細長い穴を肘支持部に設け、肘置き固定部は肘支持部に取り付ける肘置き固定部穴を設けたので、椅子の肘置きの幅に合わせた状態で調整して固定ができる。
【0029】
肘支持部及び前腕支持部の表面には、密度がやや高い低反発ウレタンで覆っている。
【0030】
前腕支持部を角度調整金具で肘支持部に取り付けた事により、前腕支持部の傾斜角度を自由に調整し保持することができるので肘部、前腕部が安定する。
また、肘部、前腕を置くスペースを確保した状態で安定・安心した使用感を得られ、肘部、前腕部の横ずれを防止する。また、角度調整金具を介して前腕支持部は肘支持部に折りたたみが出来るのでコンパクトに納まる。
【0031】
前腕支持部の外側両端に形成した斜めに貫通した穴に、前腕の回外を保持矯正する伸縮可能なゴムチューブで形成したスライド可能な先端がループ状の前腕回外支持部を設けたので、前腕部の内旋拘縮の予防・矯正も同時にできる。
【0032】
体幹支持部、肘支持部、肘置き固定部から成る肘置き挟み込み部を、椅子の肘置きに挟めることで安定して使用できる。また、肘支持部は椅子の肘置きの上を前後にスライドして好きなポジションで固定して使用出来る。
【0033】
体幹支持部に設けた上下に貫通した細長い穴に対応する位置に、肘置き固定部に膝置き挟み込む部を固定する貫通した細長い穴を設け、貫通する細長い穴、上下に貫通した細長い穴を連通させる固定手段で椅子の肘置きに固定することが出来る。
【0034】
体幹支持部の上部に一対の凹部の曲面からなる腋支持部を有し、体幹支持部の中央に上半身の前のめりを防ぐ凸部ストッパーを設けているので、座位において身体の動きを阻害することなく、体幹が前のめりになっても肩部の前にある凸部ストッパーが肩部の衝撃を受け止め矯正保持の状態に戻し、また、横崩れの場合は腋支持部及び体幹支持部、肘支持部・前腕支持部で体幹を垂直方向へ起こし体幹傾斜部の矯正・保持が安全にできる。
【0035】
腋部を保持する際、凸部ストッパーから腋支持部の側面部を楕円形に形成し、腋部が腋支持部の凹部の曲面にフィットして気持ちがいい。
また、体幹傾斜矯正の際は、凸部のストッパーから腋支持部間は身体の前後の動きに余裕があり、腋部・体幹部を固定しないので圧迫感が少なく使用感も良好である。
【0036】
腋窩部を腋支持部で保持する際、腋窩部の圧迫から腋窩神経麻痺がおこらないように、凸部ストッパーと腋支持部で腋窩部を直接圧迫しない形状にして圧を分散する構造になっている。
【0037】
肘支持部の角度調整金具で前腕支持部を直角に立て、食事サポート台をほぼ水平にした後、肘部を肘支持部ではなく肘を上に上げた状態で食事サポート台に載せるようにしたので、さらに、指手部と口が接近し指手部が動きやすくなり、自力による食事動作の可動域を広げ日常生活動作を改善し家族、介護員の介護負担軽減に繋がる。
【0038】
前腕支持部の外側に食事の際に肘置きとなる食事サポート台を回動可能な接続手段として角度調整金具で前腕支持部に取り付けたので、肘支持部の位置よりも肘部を上に上げた状態で食事サポート台に載せ体幹傾斜矯正の保持もできる。
【0039】
食事サポート台は取り付け部が短く外縁が長くなる菱形をしているので肘部、前腕部のフィット感に優れ安定感がある。
【0040】
肘支持部の角度固定金具で前腕支持部と食事サポート台を垂直にした状態で、腋部を腋支持部に納め、食事サポート台の外縁に設けた簡易肘置き台に前腕部を載せ、手首を前の腋支持部に置くと、さらに、指手部と口が近づき関節・筋肉が動きやすくなる。
【0041】
食事サポート台の外端の縁に肘部を載せる簡易肘置き台に、安心して肘部、前腕部が載せられるように菱形で外縁を厚めに形成しているので前腕部の座りも良く気持ちがいい。
【0042】
ご利用者の身長に合わせて体幹傾斜矯正が簡単にできるように、体幹支持部に設けた上下に貫通した細長い穴の横に身長目盛りを記している。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明を実施するための形態を示す椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の斜視図である。
図2】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の正面図である。
図3】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の使用時の側面図である。
図4】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の使用時の正面図である。
図5】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具のループ状の前腕回外支持部14を使用したときの側面図である。
図6】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の肘支持部、前腕支持部を連結する角度調整金具の正面図である。
図7】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の肘支持部の平面図である。
図8】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の肘置き固定部側面図である。
図9】本発明を実施するための形態を示す椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の斜視図である。
図10】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の食事サポート台27を水平にした正面図である。
図11】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の食事サポート台27の実施側面図である。
図12】本発明を実施するための形態を示す肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の食事サポート台27の実施正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面に記載の発明を実施するための形態に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
図1に示すように、椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具Aは、体幹支持部1、肘支持部5、肘置き固定部8から成る肘置き挟み込み部15を体幹傾斜側の椅子の肘置きに挟み、体幹支持部1の下端に椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込むための体幹支持部下部7を設け、実施時には体幹傾斜側の腋支持部3の凹部の曲面2で腋部を垂直方向へ押し上げ、体幹が傾斜する力を利用して肘及び前腕を肘支持部5、前腕支持部11に載せ得られる反力で体幹傾斜の保持・矯正が安全にできる。
また、座った人の肘、前腕の横ずれを防止する前腕支持部11を有し、前腕支持部11を回動可能な接続手段で角度調整金具12を肘支持部5に取り付け、前腕支持部11の外側両端に先端がループ状の伸縮可能な前腕回外支持部14に、前腕を回外した状態で親指を入れて前腕の回内を防ぎ、同時に体幹傾斜矯正も行うことができる特徴を有する。
また、椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具Aは体幹支持部I、一対の凹部の曲面2、腋支持部3、肘支持部5、体幹支持部下部7、肘置き固定部8、前腕支持部11、角度調整金具12、斜めに貫通した穴13、ループ状の前腕回外支持部14、肘置き挟み込み部15から構成される。
【0045】
体幹支持部1は上部の一対の凹部の曲面2、腋支持部3、及び、上下の貫通した細長い穴4、体幹支持部下部7からなり体幹傾斜矯正の要になる。
【0046】
体幹支持部1に設けた腋支持部3の凹部の曲面2を体幹傾斜部の腋に納め、上腕と肩甲部を垂直方向に押し上げ体幹を起こすことで、体幹傾斜の矯正及び、座位姿勢の横への崩れを防ぐことができる。
【0047】
体幹支持部1の上部に一対の凹部の曲面2を設けその上に腋支持部3を形成している。また、一対の凹部の曲面2、腋支持部3の深部材料は密度がやや高い低反発ウレタンで、表層材料は高弾性スポンジを使用し、その上をフユ―ジョン(三次元網状構造体)の3層の材料でソフトに形成しているので通気性も良く圧迫感がなく気持ちいい。また、腋支持部3の中央は外径が大きく高めに、一対の凹部の曲面2は徐々に外径を小さく低めに形成している。
【0048】
椅子の肘置きに取り付けたときに、肘置きの外側の支えになる肘置き固定部8を設け、その肘置き固定部8を位置調整可能に取り付けるための貫通した細長い穴9を肘支持部5に設け、肘置き固定部8は肘支持部5に取り付ける肘置き固定部穴10を設けたので、椅子の肘置きの幅に合わせて調整しフィットした状態で固定ができる。また、肘置き固定部8は椅子の肘置きの外側の支えになる。
また、車椅子に限らず、肘置きを有する介護用椅子、肘置きを有する一般の低めの座椅子にも利用できる。さらに、左右兼用で使用できるのも特徴である。
【0049】
図2に示すように、体幹支持部1に設けた上下に貫通した細長い穴4及び肘支持部調整穴6をノブ20で肘支持部5を水平に固定することで、体幹傾斜矯正具の土台をつくり安定した固定感を得ることが出来る。
【0050】
体幹支持部1の両側の位置調整可能に取り付ける上下の貫通した細長い穴4は、体幹支持部1と肘支持部5を固定する体幹傾斜矯正の要で、ご利用者の腋部・上腕部の長さに合わせ肘支持部5から腋支持部3の高さ調整を行う。また、体幹支持部1は椅子の肘置きの内側の支えになる。
【0051】
肘支持部5裏面は椅子の肘置きの上に載り肘置き挟み込み部15の天井になり、体幹が傾斜する力を利用して肘及び前腕を肘支持部5、前腕支持部11に載せ得られる反力で体幹を起こし保持する事ができる。また、椅子の肘置きに挟めた肘置き挟み込み部15を前後にスライドして好きなポジションを選び固定することもできる。
【0052】
椅子の肘置き幅に合わせ、肘支持部5に設けた貫通した肘支持部5の細長い穴9に、肘置き固定部8に設けた肘置き固定部穴10をノブ21で肘支持部5に固定することで、肘置き挟み込み部15を形成し、肘置きを利用した体幹傾斜矯正具Aの土台を作る。
【0053】
また、肘支持部5及び前腕支持部11の表面には、密度がやや高い気持ちが良い低反発ウレタンaで覆っている。
【0054】
図3は実施図を示している。腋支持部3の両端は一対の凹部の曲面2を設け、中央より低めに下向きのカーブを形成し腋支持部3の中央部と比べて外径を小さく設けることで、矯正時に腋部が凹部の曲面2にフィットし、外径が大きく高めに設けた中央部の腋支持部3と連動して体幹傾斜の矯正保持を行い、体が前のめりになった場合に体幹の前のめりを防ぐストッパー効果もある。さらに、体の横崩れを防ぎ椅子からの転落防止にもなる。
【0055】
体幹支持部下部7を椅子の座面外側の隙間に差し込み、体幹支持部1、肘支持部5、肘置き固定部8から成る肘置き挟み込み部15を体幹傾斜部の椅子の肘置きに挟むと、矯正具の椅子の前後・左右の動きを制限するので本体が安定する。
また、体幹支持部下部7の先端は椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込みやすいように丸く形成している。また、標準的な椅子の肘置きに左右とも取り付けができるので汎用性が高い。
【0056】
体幹支持部1の上下に貫通した細長い穴4に対応する位置に、肘置き固定部8を貫通した細長い穴16を設け、貫通した細長い穴16、上下に貫通した細長い穴4を連通させる固定手段で、肘置き挟み込み部15が前後左右に動かないようノブ22で固定するので、体幹傾斜の矯正が安全に安心してできる。
【0057】
図4はご利用者の腋部、上腕の長さに合わせ、肘支持部5から腋支持部3の高さ調整を行った実施正面図である。
体幹支持部1に肘を載せるための肘支持部5を位置調整可能に取り付けるための上下に貫通した細長い穴4を設け、肘支持部5は体幹支持部1に取り付ける肘支持部調整穴6を設けノブ20で固定している。
また、体幹支持部1の平面を肘支持部5の上下移動により、肘支持部5から腋支持部3の高さを調整し、体幹傾斜の矯正を行い肘部の安定した保持が出来る。さらに、体幹支持部1は椅子の肘置きの内側の支えになる。
【0058】
椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具Aは、腋支持部3の凹部の曲面2に腋部を載せ上肢帯、脊柱を垂直方向へ押し上げ、さらに、体幹が傾斜する力を利用して、肘及び前腕を肘支持部5、前腕支持部11に載せ得られる反力で体幹傾斜の保持・矯正が安全にできる。
【0059】
前腕支持部11を回動可能な接続手段で角度調整金具12を肘支持部5に取り付けた事により,症状に対応して前腕支持部11の傾斜角度を自由に調整しながら、肘部・前腕部の保持ができる。
【0060】
座った人の肘・前腕の横ズレを防止する前腕支持部11は、肘支持部5と共に肘部・前腕部を置くスペースを確保し安定・安心した使用感を得ることが出来る。
また、図4に示すように、体幹傾斜の顕著な方で体幹傾斜をより確実に矯正保持するには、肘関節を軽度屈曲して前腕支持部11の傾斜角度を角度調整金具12で強めることで、肘部、前腕部が外方へ逃げるのを防ぎ、肘部の反力で矯正保持することができる。
【0061】
前腕の筋力は回外が弱く回内が強いので、放置すると前腕の回内拘縮が起こる。特に右手の場合、前腕の回内拘縮が起こると箸・スプーンが持てなくなり生活の質(QOL)が著しく低下する。そこで、図5に示すように前腕支持部11の外側両端に先端がループ状の伸縮可能な前腕回外支持部14を設け、肘関節を軽度屈曲して前腕を回外位にして母指をスライド可能なループ状の前腕回外支持部14に入れることで、前腕を回外し前腕の内旋拘縮を防ぎ手指部の機能を保全することもできる。
また、体が前に倒れた場合に、母指を入れたループ状の前腕回外支持部14のチューブが伸びて、体幹の前のめりを防ぎストッパーの効果もある。
【0062】
本発明は、患側の体幹傾斜部の腋部を凹部の曲面2を形成した腋支持部3で、体幹部を起こし上半身の崩れを矯正し、肘支持部5、前腕支持部11に載せた肘関節の反力で肩甲帯を押し上げ、さらに、患側前腕を回外位にして母指をループ状の前腕回外支持部14に入れることで体幹傾斜部の矯正及び前腕の内旋位拘縮を防ぎ、また、手関節を背屈、回外の良肢位で保持するので手指部の機能保全も可能になる。
【0063】
ループ状の前腕回外支持部14の材質はゴムチューブを使用し伸縮性に優れる。
また、ループ状の前腕回外支持部14の両端は一対のループを形成しているが、中央部は1本のゴムチューブで成っている。また、使用後は前腕支持部11裏面のゴムチューブを引くことでコンパクトになる。
【0064】
図6は肘支持部5、前腕支持部11を連結する角度調整金具の正面図である。
【実施例】
【0065】
次に、上記発明を実施するための形態の構成に基づく椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具の使用方法について以下説明する。
体幹支持部1の上部に一対の凹部の曲面2を形成し,そこに腋支持部3を有し体幹支持部1に位置調整可能に取り付ける上下の貫通した細長い穴4を設け、肘支持部5は体幹支持部1に取り付ける肘支持部調整穴6を設け、体幹支持部1の下部に体幹支持部下部7を設けている。
また、肘支持部5に肘置き固定部8を取り付けるため位置調整をするための貫通した肘支持部5の細長い穴9を設け、肘置き固定部8に肘置き固定部穴10を設けたので、椅子の肘置き幅に合わせノブ21で椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具Aを固定できる。
さらに、前腕支持部11を回動可能な接続手段で角度調整金具12を肘支持部5に取り付けた事により,前腕支持部11の傾斜角度を自由に調整して肘・前腕を保持することができる。
また、前腕支持部11の外側両端に先端がループ状の伸縮可能な前腕回外支持部14を設け、ループ状の前腕回外支持部14に前腕を回外した状態で、親指を入れて前腕の回内を防ぎ前腕の回外を保持し、前腕の回外拘縮の矯正を行いながら体幹傾斜の矯正を行うこともできる。
さらに、前腕支持部11を回動可能な接続手段で角度調整金具12を肘支持部5に取り付けた事により,前腕支持部11の傾斜角度を自由に調整保持することができる。
また、体幹支持部1、肘支持部5、肘置き固定部8から成る肘置き挟み込み部15を設け椅子の肘置きに挟み込み、肘置き固定部8の両側に肘置き挟み込み部15を固定する貫通した細長い穴16を設け、体幹保持部1の上下に貫通した細長い穴4と連通させ、肘置き挟み込み部15が動かないようノブ22で固定するので体幹傾斜の矯正が安全、確実にできる。
【0066】
なお、ループ状の前腕回外支持部14は前腕支持部11の外側両端に伸縮可能にとりつけている。
【0067】
本発明は、簡単な構成で既存の車椅子、一般的な座椅子の肘置きに容易に装着することができ汎用性に優れ、患側の体幹傾斜矯正保持が可能になる。
【実施例2】
【0068】
以下、図面に記載の発明を実施するための形態の構成に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
体幹支持部1の上部に一対の凹部の曲面2を形成し、そこに腋を載せるための腋支持部3を有し、体幹支持部1の中央に上半身の前のめりを防ぐ上方に突出した凸部ストッパー24を設け、体幹支持部1に設けた上下に貫通した細長い穴4の横に記している身長目盛り28に合わせ、ご利用者の肘部から腋支持部3までの長さを肘支持部5で調整し、肘支持部5に設けた肘支持部調整穴6をノブ20で固定している。
また、椅子の肘置きに取り付けたときに、肘置きの外側の支えになる肘置き固定部8を有し、その肘置き固定部8を位置調整可能に取り付けるための貫通した細長い穴9を肘支持部5に設け、肘置き固定部8は肘支持部5に取り付ける肘置き固定部穴10をノブ21で固定している。
また、体幹支持部下部7を椅子の座面外側とひじ掛けの隙間に差し込み、体幹支持部1、肘支持部5、肘置き固定部8で形成した肘置き挟み込み部15を椅子の肘置きに挟み込み、上下に貫通した細長い穴4に対応する位置に肘置き固定部8を貫通する細長い穴16を設け、貫通する細長い穴16、上下に貫通した細長い穴4を連通させる固定手段でノブ22で椅子の肘置きの下部に固定することで、椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具Aを安全に使用できる。
このようにして、椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正保持具Aを、体幹傾斜側の椅子の肘置きに取り付け、体幹が傾斜する力を利用して肘関節を屈曲位にして肘支持部5・前腕支持部11に載せ得られる肘部からの反力と、体幹支持部1の上部に設けた一対の凹部の曲面2からなる腋支持部3を体幹傾斜部の腋に納め、体幹部を起こし垂直方向への合力で体幹傾斜の保持・矯正が安全にできる。
また、前腕支持部11の外側両端に形成した斜めに貫通した穴13に、前腕の回外を保持矯正するゴムチューブで形成した伸縮するスライド可能な先端がループ状の前腕回外支持部14を設け前腕を回外した状態で親指を入れて、体幹傾斜を矯正・保持しながら前腕部の内旋拘縮を防ぎ前腕部の回外を促し指手部の機能及び可動域を改善することができる。
また、前腕支持部11の外側に、食事の際に肘置きとなる食事サポート台25を回動可能な接続手段として角度調整金具26で前腕支持部11に取り付け、食事サポート台25の外縁に簡易肘置き台27を設けている。
また、肘支持部5の角度調整金具12で前腕支持部11を直角に立て、食事サポート台25をほぼ水平にした後、肘部を肘支持部5ではなく食事サポート台25に置けるようにしたので、さらに、肘が上に上がり指手部と口が近づき、食事が取りやすい環境が整うので食事の自立支援ができる。
さらに、症状に応じて肘支持部5に設けた前腕支持部11と食事サポート台25の形状を、複数の角度調整金具12・角度調整金具26で変えることで下記のとおり3つの肘置きの高さの選択ができる。
介護用いすの座面23の高さ40cmの場合、床から肘支持部5までの高さは62cm、床から食事サポート台25までの高さは74cm、さらに、床から簡易肘置き台27までの高さは85cmになり、症状に合った肘置きの高さの選択ができるので食事の自立支援、立ち上がり等の日常生活動作(ADL)支援に繋がり生活の質(QOL)が向上する。
【0069】
体幹支持部1の上部に一対の凹部の曲面2からなる腋支持部3を有し、体幹支持部1の中央に上半身の前のめりを防ぐ凸部ストッパー24を設けている。
また、腋支持部3と同様のソフトな緩衝材で形成した肩の前にある凸部ストッパー24が使用時に肩から外れないように左右に横幅を持たせ高めに曲面で設けているので、体幹部が急に前のめりになっても、肩部の前にある凸部ストッパー24が肩部の衝撃を受け止め、身体を元の状態に戻し体幹傾斜部の矯正・保持が安全にできる。
【0070】
体幹傾斜矯正時に腋窩部を腋支持部3で保持する際、腋窩部の圧迫から腋窩神経麻痺がおこらないように、凸部ストッパー24と腋支持部3で腋窩部を直接圧迫しない形状にして圧を分散する構造になっている。肘支持部5及び前腕支持部11に肘関節屈曲位の状態で肘部を載せ得られる反力と、腋支持部3と凸部ストッパー24を楕円形に形成した外側部が胸上部の側面を支え、傾斜した体幹部を垂直方向に起こす合力で腋窩神経を圧迫することなく体幹傾斜矯正の保持が安全にできる。
【0071】
また、体が急に前のめりになっても、肩の前にある凸部ストッパー24が、患側の腋部、肩関節前部、上腕上部を凹部の曲面2からなる腋支持部3と共に衝撃を受け止めて、体幹部の前のめりと体の沈み込みを防ぎ安全に元の状態に戻すことができる。
【0072】
肘支持部5の角度調整金具12で前腕支持部11を直角に立て、食事サポート台25をほぼ水平にした後、前腕部を肘支持部5ではなく食事サポート台25に載せ手首を前方の腋支持部3に載せると、さらに、肩が上に上がり指手部・肘部が口に近づき、今まで出来なかった食事が出来るようになる可能性が広がる。
【0073】
前腕支持部11の外側に、食事の際に肘置きとなる食事サポート台25を回動可能な接続手段として角度調整金具26で前腕支持部11に取り付け食事サポート台25の外縁に簡易肘置き台27を設けたので、症状に応じて肘支持部5に設けた前腕支持部11と食事サポート台25の形状を変えることで下記のとおり3つの肘置きの高さの選択ができる。
介護用椅子の座面23の高さが40cmの場合、▲1▼椅子の座面23から肘支持部5の高さは22cm。▲2▼前腕支持部11を直角に立て食事サポート台25を水平にした状態で、椅子の座面23から食事サポート台25の高さは34cm。さらに。▲3▼前腕支持部11と食事サポート台25を直角に立て、椅子の座面23から簡易肘置き台27の高さは45cmになる。
また、肘置き部の高さが上がるほど上腕部の外転角度が広がり関節の拘縮の予防・矯正になる。さらに、自分に合った肘置き部の高さを選択できるので、食事の自立支援を促し、関節可動域を改善にして拘縮の緩和に効果がある。
【0074】
通常、体幹傾斜矯正の邪魔にならないように食事サポート台25は前腕支持部11に対して下に直角に倒しているが、必要に応じて、肘支持部5に高さに合わせて、前腕支持部11・食事サポート台25を水平にして支持面積を広げた状態で、自由上肢(上腕骨・橈骨・尺骨・指骨)を載せると、関節可動域を広げながら体幹傾斜矯正の保持もできる。
また、使用しないときは、前腕支持部11と食事サポート台25を水平にした状態から、肘支持部5の角度固定金具12を直角に上に折りたたむとコンパクトに収納ができるので便利である。
【0075】
六角棒スパナで調整ボルトを回すことで角度調整金具26のトルク調整ができる。また、体幹傾斜矯正時には前腕支持部5を直角にして食事サポート台25を水平から軽度上に起こし肘部を載せると、身体を起こす反力で安全に体幹傾斜の矯正保持ができる。
【0076】
肘支持部5の角度固定金具12で前腕支持部11と食事サポート台25を垂直にした状態で、腋部を腋支持部3に納め、食事サポート台25の外縁に設けた簡易肘置き台27に前腕部を載せ、手首を前の腋支持部3に置くと、さらに、肩部が上がり指手部と口が近づき関節・筋肉が動きやすくなり拘縮予防にもなる。
【0077】
食事サポート台の外縁に設けた肘部を載せる簡易肘置き台27は、取り付け部が短く縁が長くなる菱形で外縁を厚めに形成しているので前腕部、肘部の座りも良く安定する。
また、水平面での食事サポート台25の高さから角度調整金具26で食事サポート台25を垂直にすると、水平面での食事サポート台25の高さから簡易肘置き台27の高さまで約11cmも高くなり、身長のある方には便利な肘置きにもなる。
【0078】
また、体幹支持部1に設けた上下に貫通した細長い穴4の横に、体幹傾斜矯正用の身長目盛り28を身長の低い順から高い順へ150cmから180cmまで5cm刻みで上から下に記しているので、ご利用者の身長、腋支持部3から肘部の長さを肘支持部5で調整して、貫通した細長い穴4と肘支持部5をノブ20で固定することで体幹傾斜部の矯正が簡単にできる。
【符号の説明】
【0079】
A 椅子の肘置きを利用した体幹傾斜矯正具
a 低反発ウレタン
1 体幹支持部
2 一対の凹部の曲面
3 腋支持部
4 上下に貫通した細長い穴
5 肘支持部
6 肘支持部調整穴
7 体幹支持部下部
8 肘置き固定部
9 貫通した肘支持部5の細長い穴
10 肘置き固定部穴
11 前彎支持部
12 角度調整金具
13 斜めに貫通した穴
14 ループ状の前腕回外支持部
15 肘置き挟み込み部
16 肘置き挟み込み部15を固定する貫通した細長い穴
20 ノブ 20
21 ノブ 21
22 ノブ 22
23 椅子の座面
24 凸部ストッパー
25 食事サポート台
26 角度調整金具(調整式トルクヒンジ)
27 簡易肘置き台
28 身長目盛り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12