【解決手段】散布装置1は、第1の空間と、第1の空間に隣接する第2の空間との間に形成された出入り口を通過するユーザの位置を検知する位置検知部11と、位置検知部11によって検知されたユーザの位置に基づいて、出入り口の近傍から液体、粉体又は気体を散布する散布方向を決定する散布方向決定部121と、出入り口の近傍に配置され、散布方向決定部121によって決定された散布方向に向けて液体、粉体又は気体を散布する散布部13とを備える。
前記ユーザが前記第1の空間から前記第2の空間へ移動する際に散布される前記芳香物質と、前記ユーザが前記第2の空間から前記第1の空間へ移動する際に散布される前記芳香物質とは互いに異なる、
請求項3記載の散布装置。
前記散布方向決定部は、前記ユーザが前記第1の空間から前記第2の空間へ移動する場合、前記出入り口の近傍から前記第2の空間に向かう方向を前記散布方向として決定し、
前記第1の空間における臭気濃度を計測する臭気センサと、
前記ユーザが前記第1の空間から前記第2の空間へ移動する場合、前記臭気センサによって計測された前記第1の空間の前記臭気濃度に応じて、前記液体、前記粉体又は前記気体の散布量を決定する散布量決定部と、
をさらに備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の散布装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
近年、家庭内に芳香剤を置くなど、生活空間の中で香りを積極的に活用することが行われている。例えば、ユーザがドアを開けたタイミングで、香りを散布することにより、ユーザに心地よい空間を提供することが可能となる。
【0011】
例えば、従来の装置では、ドアの開閉動作と連動して散布液を散布するが、ドアで仕切られた2つの空間のうちの一方の空間のみにしか散布液を散布することができず、ユーザの位置に基づいて散布液を散布することは困難であった。
【0012】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る散布装置は、液体、粉体又は気体を散布する散布装置であって、第1の空間と、前記第1の空間に隣接する第2の空間との間に形成された出入り口を通過するユーザの位置を検知する検知部と、前記検知部によって検知された前記ユーザの前記位置に基づいて、前記出入り口の近傍から前記液体、前記粉体又は前記気体を散布する散布方向を決定する散布方向決定部と、前記出入り口の近傍に配置され、前記散布方向決定部によって決定された前記散布方向に向けて前記液体、前記粉体又は前記気体を散布する散布部と、を備える。
【0013】
この構成によれば、第1の空間と、第1の空間に隣接する第2の空間との間に形成された出入り口を通過するユーザの位置に基づいて、出入り口の近傍から液体、粉体又は気体を散布する散布方向が決定されるので、ユーザが向かう方向に対して液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0014】
また、上記の散布装置において、前記散布方向決定部は、前記出入り口の近傍から前記ユーザが移動する方向を前記散布方向として決定してもよい。
【0015】
この構成によれば、出入り口の近傍からユーザが移動する方向が散布方向として決定されるので、出入り口の近傍からユーザが移動する方向に向かって、液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0016】
また、上記の散布装置において、前記液体、前記粉体又は前記気体は、芳香物質を含んでもよい。
【0017】
この構成によれば、例えば、ユーザが第1の空間から第2の空間に移動した際に、ユーザが向かう方向に対して芳香物質が散布されるので、ユーザに対して快適な空間を提供することができる。
【0018】
また、上記の散布装置において、前記第1の空間から前記第2の空間へ移動する際に散布される前記芳香物質と、前記第2の空間から前記第1の空間へ移動する際に散布される前記芳香物質とは互いに異なってもよい。
【0019】
この構成によれば、ユーザが第1の空間から第2の空間へ移動する際に散布される芳香物質と、ユーザが第2の空間から第1の空間へ移動する際に散布される芳香物質とは互いに異なるので、ユーザの動きを匂いで認識することができる。
【0020】
また、上記の散布装置において、前記出入り口は、ドアを備え、前記散布部は、前記第1の空間側の前記ドアの近傍に設けられ、前記液体、前記粉体又は前記気体を散布する第1の散布開口と、前記第2の空間側の前記ドアの近傍に設けられ、前記液体、前記粉体又は前記気体を散布する第2の散布開口と、前記第1の散布開口及び前記第2の散布開口に接続されたダクトと、前記ユーザが前記ドアを開ける動力を用いて前記ダクトに空気を送るポンプと、前記ダクト内に設けられ、前記液体、前記粉体又は前記気体を収納するとともに、前記ポンプから送られた前記空気が通過することにより前記液体、前記粉体又は前記気体を送出する収納部と、前記収納部から送出された前記液体、前記粉体又は前記気体の送出先を前記第1の散布開口及び前記第2の散布開口のいずれか一方に切り替える切替部と、を含んでもよい。
【0021】
この構成によれば、ユーザがドアを開けることにより、ユーザの移動先にある第1の散布開口及び第2の散布開口のいずれか一方から液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0022】
また、上記の散布装置において、現在時刻を取得する時刻取得部と、前記時刻取得部によって取得された前記現在時刻に応じて前記液体、前記粉体又は前記気体の種類を決定する種類決定部と、をさらに備えてもよい。
【0023】
この構成によれば、例えば、午前の時間帯と午後の時間帯とで液体、粉体又は気体の種類を変化させることにより、散布される液体、粉体又は気体の変化によって、ユーザは時間の変化を認識することができる。
【0024】
また、上記の散布装置において、前記出入り口は、ドアを備え、前記ユーザが前記ドアを開ける際に前記ドアにかかる荷重を計測する荷重計測部と、前記ユーザを識別する識別情報と、前記ユーザの年齢と、前記ユーザの性別と、前記液体、前記粉体又は前記気体の種類とを対応付けたユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部と、前記荷重計測部によって計測された前記荷重に対応する年齢及び性別を推定する推定部と、前記ユーザ情報記憶部に記憶されている前記ユーザ情報を参照し、前記推定部によって推定された前記年齢及び前記性別に対応付けられる前記液体、前記粉体又は前記気体の種類を特定する種類特定部と、をさらに備えてもよい。
【0025】
この構成によれば、ユーザがドアを開ける際にドアにかかる荷重から、当該ユーザの年齢及び性別が推定され、推定された年齢及び性別から、当該ユーザが所望する液体、粉体又は気体の種類が特定される。したがって、ユーザがドアを開けることで、ドアを開けたユーザが所望する種類の液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0026】
また、上記の散布装置において、前記出入り口は、ドアを備え、前記ユーザが前記ドアを開ける際に前記ドアにかかる荷重を計測する荷重計測部と、前記ユーザが前記ドアを開ける際の前記ドアの加速度を計測する加速度計測部と、前記荷重及び前記加速度を入力データとし、前記ユーザの感情を出力データとする教師データを用いて機械学習した予測モデルに、前記荷重計測部によって計測された前記荷重と前記加速度計測部によって計測された前記加速度とを入力し、前記予測モデルから出力される感情を前記ユーザが前記ドアを開けた際の前記ユーザの感情として予測する予測部と、前記予測部によって予測された前記感情に応じて前記液体、前記粉体又は前記気体の種類を決定する種類決定部と、をさらに備えてもよい。
【0027】
この構成によれば、ユーザがドアを開ける際にドアにかかる荷重と、ユーザがドアを開ける際のドアの加速度とから、ユーザがドアを開けた際のユーザの感情が予測され、予測された感情に応じて液体、粉体又は気体の種類が決定される。したがって、ユーザがドアを開けることで、ドアを開けたユーザの感情に応じた種類の液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0028】
また、上記の散布装置において、前記散布方向決定部は、前記ユーザが前記第1の空間から前記第2の空間へ移動する場合、前記出入り口の近傍から前記第2の空間に向かう方向を前記散布方向として決定し、前記第1の空間における臭気濃度を計測する臭気センサと、前記ユーザが前記第1の空間から前記第2の空間へ移動する場合、前記臭気センサによって計測された前記第1の空間の前記臭気濃度に応じて、前記液体、前記粉体又は前記気体の散布量を決定する散布量決定部と、をさらに備えてもよい。
【0029】
この構成によれば、ユーザが第1の空間から第2の空間へ移動する場合、第1の空間における臭気濃度が計測され、計測された第1の空間の臭気濃度に応じて、液体、粉体又は気体の散布量が決定される。したがって、例えば、第1の空間の臭気濃度が高ければ、第2の空間に散布する液体、粉体又は気体の散布量を増やすことで、ユーザに対してより確実に匂いを認識させることができる。
【0030】
本開示の他の態様に係るドアは、上記のいずれかに記載の散布装置を備える。この構成によれば、上記の散布装置をドアに適用することができる。
【0031】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1におけるユーザの動きについて説明するための模式図である。なお、
図1は、ユーザ106の住居を上方から見た図である。
【0033】
図1において、第1の部屋101と、第1の部屋101に隣接する第2の部屋102との境界には、壁103が設けられている。壁103には、出入り口104が形成されている。ユーザ106は、第1の部屋101と第2の部屋102との間に形成された出入り口104を通過する。なお、第1の部屋101は第1の空間の一例であり、第2の部屋102は第2の空間の一例である。
【0034】
出入り口104は、ドア105を備えている。第1の部屋101にいるユーザ106は、第1の部屋101側からドア105を開け、第2の部屋102へ移動する。また、第2の部屋102にいるユーザ106は、第2の部屋102側からドア105を開け、第1の部屋101へ移動する。なお、本実施の形態1におけるドア105は、引き戸タイプであるが、本開示は特にこれに限定されず、開き戸タイプであってもよい。また、出入り口104は、ドア105を備えていなくてもよい。
【0035】
図2は、本開示の実施の形態1において出入り口を第1の部屋側から見た図であり、
図3は、本開示の実施の形態1において出入り口を側方から見た図であり、
図4は、本開示の実施の形態1において散布部のダクトを上方から見た断面図であり、
図5は、本開示の実施の形態1における散布装置の構成を示すブロック図である。
【0036】
散布装置1は、位置検知部11、プロセッサ12及び散布部13を備える。
【0037】
位置検知部11は、第1の部屋101と、第1の部屋101に隣接する第2の部屋102との間に形成された出入り口104を通過するユーザ106の位置を検知する。位置検知部11は、第1の位置検知部111及び第2の位置検知部112を備える。
【0038】
第1の位置検知部111は、例えば、静電容量式タッチセンサで構成され、ドア105の第1の部屋101側の引き手部分に配置される。第1の位置検知部111は、ユーザ106によってタッチされたか否かを検知する。ユーザ106が第1の部屋101側からドア105を開ける場合、ユーザ106は、ドア105の第1の部屋101側の引き手部分をタッチする。このとき、第1の位置検知部111は、ユーザ106によってタッチされたことを検知し、検知信号を出力する。
【0039】
第2の位置検知部112は、例えば、静電容量式タッチセンサで構成され、ドア105の第2の部屋102側の引き手部分に配置される。第2の位置検知部112は、ユーザ106によってタッチされたか否かを検知する。ユーザ106が第2の部屋102側からドア105を開ける場合、ユーザ106は、ドア105の第2の部屋102側の引き手部分をタッチする。このとき、第2の位置検知部112は、ユーザ106によってタッチされたことを検知し、検知信号を出力する。
【0040】
プロセッサ12は、例えば、中央演算処理装置(CPU)で構成され、散布方向決定部121及び散布方向切替部122を備える。
【0041】
散布方向決定部121は、位置検知部11によって検知されたユーザ106の位置に基づいて、出入り口104の近傍から液体、粉体又は気体を散布する散布方向を決定する。散布方向決定部121は、出入り口104の近傍からユーザ106が移動する方向を散布方向として決定する。第1の位置検知部111によってユーザ106のタッチが検知された場合、ユーザ106の移動する方向は、第1の部屋101から第2の部屋102に向かう方向である。そのため、散布方向決定部121は、第1の位置検知部111によってユーザ106のタッチが検知された場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向を第2の散布方向として決定する。また、第2の位置検知部112によってユーザ106のタッチが検知された場合、ユーザ106の移動する方向は、第2の部屋102から第1の部屋101に向かう方向である。そのため、散布方向決定部121は、第2の位置検知部112によってユーザ106のタッチが検知された場合、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう方向を第1の散布方向として決定する。
【0042】
散布方向切替部122は、液体、粉体又は気体を散布する散布方向を、散布方向決定部121によって決定された散布方向に切り替える。散布方向切替部122は、液体、粉体又は気体を散布する散布方向を、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう第1の散布方向と、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう第2の散布方向とのいずれかに切り替える散布方向切替信号を切替弁駆動部131へ出力する。
【0043】
散布部13は、出入り口104の近傍に配置され、散布方向決定部121によって決定された散布方向に向けて液体、粉体又は気体を散布する。
【0044】
散布部13は、切替弁駆動部131、第1の散布開口132、第2の散布開口133、ダクト134、ポンプ135、収納部136及び切替弁137を備える。
【0045】
第1の散布開口132は、第1の部屋101側のドア105の近傍に設けられ、液体、粉体又は気体を散布する。第1の散布開口132は、第1の部屋101側のドア105の上方に設けられている。第1の散布開口132は、第2の部屋102から第1の部屋101へ移動したユーザ106に向けて液体、粉体又は気体を散布する。
【0046】
第2の散布開口133は、第2の部屋102側のドア105の近傍に設けられ、液体、粉体又は気体を散布する。第2の散布開口133は、第2の部屋102側のドア105の上方に設けられている。第2の散布開口133は、第1の部屋101から第2の部屋102へ移動したユーザ106に向けて液体、粉体又は気体を散布する。
【0047】
ダクト134は、第1の散布開口132及び第2の散布開口133に接続されている。ダクト134は、ドア105の上方に設けられている。
【0048】
ポンプ135は、ユーザ106がドア105を開ける動力を用いてダクト134に空気を送る。ポンプ135は、蛇腹形状であり、ドア105が開く方向1052に伸縮する。
図2に示すように、ドア105が開く方向1052に対して垂直であるドア105の2つの面のうち、引き手とは反対側の面には、ポンプ135を押し込むための突起部1051が形成されている。ドア105が開かれることにより、突起部1051がポンプ135を押し込み、ポンプ135が縮む。ポンプ135が縮むことによって、ポンプ135内部の空気がダクト134へ送出される。
【0049】
収納部136は、ダクト134内に設けられ、散布するための液体、粉体又は気体を収納する。収納部136は、ポンプ135から送られた空気が通過することにより、液体、粉体又は気体を送出する。収納部136は、例えば、液体の散布物質を収納している。空気が、収納部136に入ると、気化した散布物質が収納部136から送出される。
【0050】
切替弁137は、収納部136から送出された液体、粉体又は気体の送出先を第1の散布開口132及び第2の散布開口133のいずれか一方に切り替える。切替弁137は、例えば四角形状である。
図4に示すように、第1の散布開口132及び第2の散布開口133と、収納部136との間には、鉛直方向に延びる回転軸138が設けられている。回転軸138には、ダクト134内の空間を、第1の散布開口132側の空間と、第2の散布開口133側の空間とに仕切る仕切り板139が接続されている。また、回転軸138には、切替弁137の一辺が取り付けられている。回転軸138が回転することにより、切替弁137の一辺に対向する他辺が、ダクト134の第1の散布開口132側の側面と、ダクト134の第2の散布開口133側の側面とのいずれかに接触する。
【0051】
切替弁137の他辺が、ダクト134の第1の散布開口132側の側面に接触することにより、液体、粉体又は気体が第2の散布開口133に向かう経路が形成される。また、切替弁137の他辺が、ダクト134の第2の散布開口133側の側面に接触することにより、液体、粉体又は気体が第1の散布開口132に向かう経路が形成される。
【0052】
切替弁駆動部131は、散布方向切替部122から出力された散布方向切替信号に基づいて、切替弁137が取り付けられている回転軸138を回転させる。出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう第1の散布方向に切り替える場合、切替弁駆動部131は、切替弁137が第2の散布開口133側に移動するように、回転軸138を回転させる。これにより、ダクト134から第2の散布開口133に向かう経路がふさがれ、ダクト134から第1の散布開口132に向かう経路が形成される。また、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう第2の散布方向に切り替える場合、切替弁駆動部131は、切替弁137が第1の散布開口132側に移動するように、回転軸138を回転させる。これにより、ダクト134から第1の散布開口132に向かう経路がふさがれ、ダクト134から第2の散布開口133に向かう経路が形成される。
【0053】
なお、本実施の形態1において、散布される液体、粉体又は気体は、芳香物質である。芳香物質が、第1の散布開口132又は第2の散布開口133から散布される。例えば、リラックス効果のある芳香物質が散布されることにより、ユーザ106が一の空間から他の空間へ移動するタイミングで、心地よい空間を提供することができる。
【0054】
また、本実施の形態1では、散布される液体、粉体又は気体は、芳香物質に限定されず、消毒物質、滅菌物質、除菌物質又は消臭物質であってもよい。
【0055】
また、散布部13は、ダクト134とポンプ135との間に逆止弁を備えてもよい。逆止弁は、ポンプ135が空気をダクト134に送出した後、ダクト134側からポンプ135へ空気が逆流するのを防止するための弁である。ポンプ135は、空気をダクト134に送出した後、ダクト134から空気を取り入れるのではなく、ダクト134とポンプ135との間に別途設けられた空気孔から空気を取り入れ、伸張する。
【0056】
続いて、本実施の形態1における散布装置1の動作について説明する。
【0057】
図6は、本開示の実施の形態1における散布装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0058】
まず、ステップS1において、第1の位置検知部111及び第2の位置検知部112は、ユーザ106によるタッチを検知する。第1の位置検知部111は、ユーザ106によってタッチされたことを検知した場合、検知信号を散布方向決定部121へ出力する。また、第2の位置検知部112は、ユーザ106によってタッチされたことを検知した場合、検知信号を散布方向決定部121へ出力する。
【0059】
次に、ステップS2において、散布方向決定部121は、第1の位置検知部111によりユーザ106のタッチが検知されたか否かを判断する。
【0060】
ここで、第1の位置検知部111によりユーザ106のタッチが検知されたと判断された場合(ステップS2でYES)、ステップS3において、散布方向決定部121は、散布方向を、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう第2の散布方向に決定する。
【0061】
一方、第1の位置検知部111によりユーザ106のタッチが検知されていないと判断された場合(ステップS2でNO)、ステップS4において、散布方向決定部121は、第2の位置検知部112によりユーザ106のタッチが検知されたか否かを判断する。
【0062】
ここで、第2の位置検知部112によりユーザ106のタッチが検知されていないと判断された場合(ステップS4でNO)、ステップS1に処理が戻る。
【0063】
一方、第2の位置検知部112によりユーザ106のタッチが検知されたと判断された場合(ステップS4でYES)、ステップS5において、散布方向決定部121は、散布方向を、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう第1の散布方向に決定する。
【0064】
次に、ステップS6において、散布方向切替部122は、液体、粉体又は気体を散布する散布方向を、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう第1の散布方向と、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう第2の散布方向とのいずれかに切り替える散布方向切替信号を切替弁駆動部131へ出力する。
【0065】
次に、ステップS7において、切替弁駆動部131は、散布方向切替部122から出力された散布方向切替信号に基づいて、切替弁137が取り付けられている回転軸138を回転させることにより切替弁137を駆動する。そして、ユーザ106がドア105を開けることにより、ユーザ106の進行方向に対して気体が散布される。
【0066】
このように、第1の部屋101と、第1の部屋101に隣接する第2の部屋102との間に形成された出入り口104を通過するユーザ106の位置に基づいて、出入り口104の近傍から液体、粉体又は気体を散布する散布方向が決定されるので、ユーザ106が向かう方向に対して液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0067】
なお、本実施の形態1において、第1の位置検知部111及び第2の位置検知部112は、例えば、ドア105の引き手部分に配置されたタッチセンサであり、ユーザ106によってタッチされたか否かを検知しているが、本開示は特にこれに限定されない。第1の位置検知部111及び第2の位置検知部112は、例えば、ドア105の前にいる人物を検知する人感センサであってもよい。この場合、第1の位置検知部111は、第1の部屋101側のドア105の前にユーザが存在するか否かを検知する。また、第2の位置検知部112は、第2の部屋102側のドア105の前にユーザが存在するか否かを検知する。散布方向決定部121は、第1の位置検知部111によって第1の部屋101側のドア105の前にユーザが存在することが検知された場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向を散布方向として決定してもよい。また、散布方向決定部121は、第2の位置検知部112によって第2の部屋102側のドア105の前にユーザが存在することが検知された場合、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう方向を散布方向として決定してもよい。
【0068】
また、本実施の形態1におけるドア105は引き戸タイプであるが、本開示は特にこれに限定されず、開き戸タイプであってもよい。この場合、第1の位置検知部111及び第2の位置検知部112は、例えば、ドア105のドアノブに配置されたタッチセンサであり、ユーザ106によってタッチされたか否かを検知してもよい。また、第1の位置検知部111は、第1の部屋101側のドアノブが回されたことを検知してもよく、第2の位置検知部112は、第2の部屋102側のドアノブが回されたことを検知してもよい。
【0069】
さらに、ドア105が開き戸タイプである場合、位置検知部11は、ドア105を壁103に取り付けるための蝶番にかかる荷重を計測してもよい。この場合、位置検知部11は、蝶番の第1の部屋101側にかかる荷重と、蝶番の第2の部屋102側にかかる荷重とを計測してもよい。そして、位置検知部11は、蝶番の第1の部屋101側にかかる荷重が、蝶番の第2の部屋102側にかかる荷重よりも大きい場合、ユーザ106が第1の部屋101側のドア105の前に存在すると判定する。また、位置検知部11は、蝶番の第1の部屋101側にかかる荷重が、蝶番の第2の部屋102側にかかる荷重より小さい場合、ユーザ106が第2の部屋102側のドア105の前に存在すると判定する。
【0070】
さらに、ドア105が引き戸タイプである場合、位置検知部11は、ドア105の上部に設けられたローラ又はドア105の下部に設けられたガイドピンにかかる荷重を計測してもよい。この場合、位置検知部11は、ローラ又はガイドピンの第1の部屋101側にかかる荷重と、ローラ又はガイドピンの第2の部屋102側にかかる荷重とを計測してもよい。そして、位置検知部11は、ローラ又はガイドピンの第1の部屋101側にかかる荷重が、ローラ又はガイドピンの第2の部屋102側にかかる荷重よりも大きい場合、ユーザ106が第1の部屋101側のドア105の前に存在すると判定する。また、位置検知部11は、ローラ又はガイドピンの第1の部屋101側にかかる荷重が、ローラ又はガイドピンの第2の部屋102側にかかる荷重より小さい場合、ユーザ106が第2の部屋102側のドア105の前に存在すると判定する。
【0071】
また、本実施の形態1では、第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する際に散布される芳香物質と、第2の部屋102から第1の部屋101へ移動する際に散布される芳香物質とは同じであるが、本開示は特にこれに限定されず、ユーザ106の動線に基づいて芳香物質を変更してもよい。すなわち、第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する際に散布される芳香物質と、第2の部屋102から第1の部屋101へ移動する際に散布される芳香物質とは互いに異なってもよい。この場合、散布部13は、ポンプ135と切替弁137との間に配置された収納部136を備えず、切替弁137と第1の散布開口132との間に配置された第1の収納部と、切替弁137と第2の散布開口133との間に配置された第2の収納部とを備えてもよい。第1の収納部は、第1の種類の芳香物質を含む液体、粉体又は気体を収納する。第2の収納部は、第1の種類とは異なる第2の種類の芳香物質を含む液体、粉体又は気体を収納する。
【0072】
また、本実施の形態1では、ポンプ135は、ユーザ106がドア105を開ける動力を用いてダクト134に空気を送っているが、本開示は特にこれに限定されず、散布部13は、第1の部屋101側のドア105の上方に配置され、電力により自動的に芳香物質を噴霧する第1の噴霧部と、第2の部屋102側のドア105の上方に配置され、電力により自動的に芳香物質を噴霧する第2の噴霧部とを備えてもよい。散布方向が、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう第1の散布方向に決定された場合、散布方向切替部122は、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かって芳香物質を噴霧するよう指示する信号を第1の噴霧部へ送信する。第1の噴霧部は、散布方向切替部122から信号を受信した場合、第2の部屋102から第1の部屋101に入るユーザ106の進行方向に向かって芳香物質を噴霧する。また、散布方向が、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう第2の散布方向に決定された場合、散布方向切替部122は、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かって芳香物質を噴霧するよう指示する信号を第2の噴霧部へ送信する。第2の噴霧部は、散布方向切替部122から信号を受信した場合、第1の部屋101から第2の部屋102に入るユーザ106の進行方向に向かって芳香物質を噴霧する。
【0073】
また、本実施の形態1において、特許文献1に開示されているように、バネを利用して収納部136に収納された液体を噴霧するように構成してもよい。
【0074】
(実施の形態2)
実施の形態2における散布装置は、現在時刻に応じて、散布する液体、粉体又は気体の種類を変更する。
【0075】
図7は、本開示の実施の形態2において散布部の第1の収納部の構成を示す図であり、
図8は、本開示の実施の形態2における散布装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0076】
実施の形態2における散布装置1Aは、位置検知部11、プロセッサ12A、散布部13A及び時計14を備える。
【0077】
プロセッサ12Aは、例えば、中央演算処理装置で構成され、散布方向決定部121、散布方向切替部122、芳香物質決定部123及び芳香物質切替部124を備える。
【0078】
芳香物質決定部123は、時計14から現在時刻を取得する。芳香物質決定部123は、現在時刻に応じて液体、粉体又は気体の種類を決定する。本実施の形態2において、散布する液体、粉体又は気体は、芳香物質である。本実施の形態2では、散布装置1Aは、午前の時間帯と、午後の時間帯とで、異なる種類の芳香物質を散布する。なお、散布装置1Aのメモリ(不図示)は、午前の時間帯に散布する芳香物質の種類と、午後の時間帯に散布する芳香物質の種類とを予め記憶してもよい。芳香物質決定部123は、現在時刻が午前の時間帯と午後の時間帯とのいずれであるかを判断する。芳香物質決定部123は、現在時刻が午前の時間帯であると判断した場合、散布する芳香物質の種類を、午前の時間帯に対応付けられている芳香物質の種類に決定する。また、芳香物質決定部123は、現在時刻が午後の時間帯であると判断した場合、散布する芳香物質の種類を、午後の時間帯に対応付けられている芳香物質の種類に決定する。
【0079】
芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質決定部123によって決定された芳香物質の種類に切り替える。芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質決定部123によって決定された芳香物質の種類に切り替える芳香物質切替信号を第1のフィルタ駆動部145及び第2のフィルタ駆動部146のいずれか一方へ出力する。散布方向決定部121によって散布方向が第1の散布方向に決定された場合、芳香物質切替部124は、芳香物質切替信号を第1のフィルタ駆動部145へ出力する。一方、散布方向決定部121によって散布方向が第2の散布方向に決定された場合、芳香物質切替部124は、芳香物質切替信号を第2のフィルタ駆動部146へ出力する。
【0080】
実施の形態2における散布部13Aは、切替弁駆動部131、第1の散布開口132、第2の散布開口133、ダクト134、ポンプ135、切替弁137、第1の収納部141、第2の収納部142、第1のフィルタ143、第2のフィルタ144、第1のフィルタ駆動部145及び第2のフィルタ駆動部146を備える。
【0081】
第1の収納部141は、切替弁137と第1の散布開口132との間に設けられ、互いに種類の異なる複数の液体、粉体又は気体を収納する。第1の収納部141は、例えば、円柱形状であり、第1の種類の液体、粉体又は気体を収納する第1の収納容器1411と、第2の種類の液体、粉体又は気体を収納する第2の収納容器1412と、第3の種類の液体、粉体又は気体を収納する第3の収納容器1413とを備える。第1の収納容器1411、第2の収納容器1412及び第3の収納容器1413のそれぞれは、ポンプ135から送られた空気が通過することにより、液体、粉体又は気体を送出する。
【0082】
第2の収納部142は、切替弁137と第2の散布開口133との間に設けられ、互いに種類の異なる複数の液体、粉体又は気体を収納する。なお、第2の収納部142の構成は、第1の収納部141の構成と同じである。
【0083】
第1のフィルタ143は、円形状であり、第1の収納部141の上面に摺接している。なお、
図7では、説明の便宜上、第1のフィルタ143と第1の収納部141とは離れた状態で図示されている。第1のフィルタ143の中心には、回転軸1431が設けられている。回転軸1431が回転することにより、第1のフィルタ143は回転する。また、第1のフィルタ143は、円形状の開口部1432を有している。開口部1432は、第1の収納容器1411、第2の収納容器1412及び第3の収納容器1413のそれぞれと同じ形状及び大きさである。第1のフィルタ143が回転することにより、開口部1432は、第1の収納容器1411、第2の収納容器1412及び第3の収納容器1413のいずれかの上部に移動する。第1のフィルタ143は、開口部1432により、ポンプ135から送られた空気が通過する位置を制限する。
【0084】
第2のフィルタ144は、円形状であり、第2の収納部142の上面に摺接している。なお、第2のフィルタ144の構成は、第1のフィルタ143の構成と同じである。
【0085】
散布装置1Aのメモリ(不図示)は、第1の収納容器1411、第2の収納容器1412及び第3の収納容器1413のそれぞれに収納されている芳香物質の種類を予め記憶してもよい。
【0086】
第1のフィルタ駆動部145は、第1のフィルタ143の回転軸1431を回転させることにより、第1のフィルタ143を回転させる。第1のフィルタ駆動部145は、芳香物質切替部124から出力された芳香物質切替信号に基づいて、第1のフィルタ143を回転させる。例えば、第1の種類の芳香物質に切り替える場合、第1のフィルタ駆動部145は、開口部1432が第1の収納容器1411上に位置するように、第1のフィルタ143を回転させる。これにより、ポンプ135から送られた空気は、第1の収納容器1411のみを通過し、第1の収納容器1411から第1の種類の芳香物質が送出される。
【0087】
第2のフィルタ駆動部146は、第2のフィルタ144の回転軸1431を回転させることにより、第2のフィルタ144を回転させる。第2のフィルタ駆動部146は、芳香物質切替部124から出力された芳香物質切替信号に基づいて、第2のフィルタ144を回転させる。なお、第2のフィルタ駆動部146の構成は、第1のフィルタ駆動部145の構成と同じである。
【0088】
続いて、本実施の形態2における散布装置1Aの動作について説明する。
【0089】
図9は、本開示の実施の形態2における散布装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0090】
なお、ステップS11〜ステップS17の処理は、
図6に示すステップS1〜ステップS7の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0091】
次に、ステップS18において、芳香物質決定部123は、時計14から現在時刻を取得する。
【0092】
次に、ステップS19において、芳香物質決定部123は、取得した現在時刻に応じて芳香物質の種類を決定する。より具体的には、芳香物質決定部123は、取得した現在時刻が午前の時間帯であるか否かを判断する。芳香物質決定部123は、現在時刻が午前の時間帯であると判断した場合、散布する芳香物質の種類を、午前の時間帯に対応付けられている芳香物質の種類に決定する。また、芳香物質決定部123は、現在時刻が午前の時間帯ではないと判断した場合、すなわち、現在時刻が午後の時間帯であると判断した場合、散布する芳香物質の種類を、午後の時間帯に対応付けられている芳香物質の種類に決定する。
【0093】
次に、ステップS20において、芳香物質切替部124は、散布方向決定部121によって決定された散布方向が第1の散布方向であるか否かを判断する。
【0094】
ここで、散布方向が第1の散布方向であると判断された場合(ステップS20でYES)、ステップS21において、芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質決定部123によって決定された芳香物質の種類に切り替える芳香物質切替信号を第1のフィルタ駆動部145へ出力する。
【0095】
次に、ステップS22において、第1のフィルタ駆動部145は、芳香物質切替部124から出力された芳香物質切替信号に基づいて、第1のフィルタ143を駆動する。第1のフィルタ駆動部145は、複数の収納容器のうち、芳香物質決定部123によって決定された種類の芳香物質が収納された収納容器に対応する位置に第1のフィルタ143の開口部1432を移動させる。
【0096】
一方、散布方向が第1の散布方向ではないと判断された場合、すなわち、散布方向が第2の散布方向であると判断された場合(ステップS20でNO)、ステップS23において、芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質決定部123によって決定された芳香物質の種類に切り替える芳香物質切替信号を第2のフィルタ駆動部146へ出力する。
【0097】
次に、ステップS24において、第2のフィルタ駆動部146は、芳香物質切替部124から出力された芳香物質切替信号に基づいて、第2のフィルタ144を駆動する。第2のフィルタ駆動部146は、複数の収納容器のうち、芳香物質決定部123によって決定された種類の芳香物質が収納された収納容器に対応する位置に第2のフィルタ144の開口部1432を移動させる。
【0098】
このように、例えば、午前の時間帯と午後の時間帯とで液体、粉体又は気体の種類を変化させることにより、散布される液体、粉体又は気体の変化によって、ユーザ106は時間の変化を認識することができる。
【0099】
なお、本実施の形態2では、芳香物質決定部123は、現在時刻に応じて散布する芳香物質の種類を変更しているが、本開示は特にこれに限定されず、現在時刻に応じて芳香物質を散布するか否かを判断してもよい。例えば、芳香物質決定部123は、現在時刻が所定の時間帯であれば芳香物質を散布しないと判断し、現在時刻が所定の時間帯以外であれば芳香物質を散布すると判断してもよい。所定の時間帯は、例えば、食事の時間帯であり、11時から12時の間の時間帯であってもよい。
【0100】
(実施の形態3)
実施の形態3における散布装置は、ユーザがドアを開ける際にドアにかかる荷重を計測し、計測した荷重に応じてユーザの性別及び年齢を特定し、特定した性別及び年齢からドアを開けたユーザを識別し、識別したユーザに対応付けられた種類の芳香物質を散布する。
【0101】
図10は、本開示の実施の形態3における散布装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態3において、実施の形態1,2と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0102】
実施の形態3における散布装置1Bは、位置検知部11、プロセッサ12B、散布部13A、荷重計測部15及びメモリ16を備える。
【0103】
プロセッサ12Bは、例えば、中央演算処理装置で構成され、散布方向決定部121、散布方向切替部122、芳香物質切替部124及び芳香物質特定部125を備える。メモリ16は、ユーザ情報記憶部161及び荷重情報記憶部162を備える。
【0104】
ユーザ情報記憶部161は、ユーザを識別する識別情報と、ユーザの年齢と、ユーザの性別と、液体、粉体又は気体の種類とを対応付けたユーザ情報を記憶する。本実施の形態3における液体、粉体又は気体は芳香物質である。識別情報は、散布装置1Bが設置された住居に住む家族のメンバーそれぞれを識別するための情報である。
【0105】
荷重情報記憶部162は、男性がドアを開ける際にドアにかかる荷重と、年齢との関係を示すとともに、女性がドアを開ける際にドアにかかる荷重と、年齢との関係を示す荷重情報を予め記憶している。人がドアを開ける際にドアにかかる荷重と、年齢と、性別とには相関関係がある。そのため、人がドアを開ける際にドアにかかる荷重から、年齢及び性別を推定することができる。
【0106】
荷重計測部15は、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重を計測する。ドア105が開き戸タイプである場合、荷重計測部15は、ドア105を壁103に取り付けるための蝶番にかかる荷重を、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重として計測してもよい。また、ドア105が引き戸タイプである場合、荷重計測部15は、ドア105の上部に設けられたローラ又はドア105の下部に設けられたガイドピンにかかる荷重を、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重として計測してもよい。
【0107】
芳香物質特定部125は、荷重計測部15によって計測された荷重に対応する年齢及び性別を推定する。すなわち、芳香物質特定部125は、荷重情報記憶部162に記憶されている荷重情報を参照し、荷重計測部15によって計測された荷重に対応する年齢及び性別を推定する。
【0108】
また、芳香物質特定部125は、ユーザ情報記憶部161に記憶されているユーザ情報を参照し、推定した年齢及び性別に対応付けられる液体、粉体又は気体の種類を特定する。すなわち、芳香物質特定部125は、ユーザ情報記憶部161に記憶されているユーザ情報を参照し、推定した年齢及び性別に対応付けられる芳香物質の種類を特定する。
【0109】
なお、メモリ16は、人がドアを開ける際にドアにかかる荷重を入力とし、年齢及び性別を出力として機械学習した推定モデルを予め記憶してもよい。そして、芳香物質特定部125は、荷重計測部15によって計測された荷重を推定モデルに入力し、推定モデルから出力される年齢及び性別を推定結果として取得してもよい。
【0110】
芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質特定部125によって特定された芳香物質の種類に切り替える。
【0111】
続いて、本実施の形態3における散布装置1Bの動作について説明する。
【0112】
図11は、本開示の実施の形態3における散布装置の動作について説明するための第1のフローチャートであり、
図12は、本開示の実施の形態3における散布装置の動作について説明するための第2のフローチャートである。
【0113】
なお、ステップS31〜ステップS37の処理は、
図6に示すステップS1〜ステップS7の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0114】
次に、ステップS38において、荷重計測部15は、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重を計測する。
【0115】
次に、ステップS39において、芳香物質特定部125は、荷重情報記憶部162に記憶されている荷重情報を参照し、荷重計測部15によって計測された荷重に対応する年齢及び性別を推定する。
【0116】
次に、ステップS40において、芳香物質特定部125は、ユーザ情報記憶部161に記憶されているユーザ情報を参照し、推定した年齢及び性別に対応付けられる芳香物質の種類を特定する。
【0117】
次に、ステップS41において、芳香物質切替部124は、散布方向決定部121によって決定された散布方向が第1の散布方向であるか否かを判断する。
【0118】
ここで、散布方向が第1の散布方向であると判断された場合(ステップS41でYES)、ステップS42において、芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質特定部125によって特定された芳香物質の種類に切り替える芳香物質切替信号を第1のフィルタ駆動部145へ出力する。
【0119】
なお、ステップS43の処理は、
図9に示すステップS22の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0120】
一方、散布方向が第1の散布方向ではないと判断された場合、すなわち、散布方向が第2の散布方向であると判断された場合(ステップS41でNO)、ステップS44において、芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質特定部125によって特定された芳香物質の種類に切り替える芳香物質切替信号を第2のフィルタ駆動部146へ出力する。
【0121】
なお、ステップS45の処理は、
図9に示すステップS24の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0122】
このように、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重から、当該ユーザ106の年齢及び性別が推定され、推定された年齢及び性別から、当該ユーザ106が所望する液体、粉体又は気体の種類が特定される。したがって、ユーザ106がドア105を開けることで、ドア105を開けたユーザ106が所望する種類の液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0123】
なお、本実施の形態3では、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重が計測され、計測された荷重からユーザ106の性別及び年齢が推定され、推定された性別及び年齢に対応する芳香物質の種類が特定されるが、本開示は特にこれに限定されない。散布装置1Bは、ドア105を開けるユーザ106の顔を撮像するカメラをさらに備えてもよい。ユーザ情報記憶部161は、ユーザを識別する識別情報と、ユーザの顔画像と、芳香物質の種類とを対応付けたユーザ情報を記憶してもよい。そして、芳香物質特定部125は、ユーザ情報記憶部161に記憶されているユーザ情報を参照し、カメラによって撮像されたユーザ106の顔画像に対応付けられる芳香物質の種類を特定してもよい。
【0124】
また、実施の形態3において、散布装置1Bは通信部を備えてもよい。例えば、通信部は、
図10に示すメモリ16に蓄積されているユーザ情報及び荷重情報を外部から取得し、メモリ16内のユーザ情報及び荷重情報を更新してもよい。
【0125】
(実施の形態4)
実施の形態4における散布装置は、ユーザがドアを開ける際にドアにかかる荷重を計測し、ユーザがドアを開ける際のドアの加速度を計測し、機械学習した予測モデルに、荷重と加速度とを入力し、予測モデルから出力される感情をユーザがドアを開けた際のユーザの感情として予測し、予測したユーザの感情に対応付けられた種類の芳香物質を散布する。
【0126】
図13は、本開示の実施の形態4における散布装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態4において、実施の形態1〜3と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0127】
実施の形態4における散布装置1Cは、位置検知部11、プロセッサ12C、散布部13A、荷重計測部15、メモリ16及び加速度計測部17を備える。
【0128】
プロセッサ12Cは、例えば、中央演算処理装置で構成され、散布方向決定部121、散布方向切替部122、芳香物質決定部123C、芳香物質切替部124及び感情予測部126を備える。メモリ16は、予測モデル記憶部163及び感情情報記憶部164を備える。
【0129】
加速度計測部17は、ユーザ106がドア105を開ける際のドア105の加速度を計測する。加速度計測部17は、ドア105に配置される。
【0130】
予測モデル記憶部163は、ユーザ106がドア105を開ける際にドアにかかる荷重及びユーザ106がドア105を開ける際のドア105の加速度を入力データとし、ユーザ106の感情を出力データとする教師データを用いて機械学習した予測モデルを予め記憶する。なお、ユーザ106の感情は、例えば、「喜」、「怒」、「哀」及び「楽」のいずれかの感情であってもよい。また、ユーザ106の感情は、例えば、怒っている感情と、怒っていない感情とのいずれかであってもよい。
【0131】
感情情報記憶部164は、ユーザ106の感情と、芳香物質の種類とを対応付けた感情情報を予め記憶する。例えば、怒っている感情には、人の心を落ち着かせるような匂いの芳香物質が対応付けられる。
【0132】
感情予測部126は、予測モデル記憶部163に記憶されている予測モデルに、荷重計測部15によって計測された荷重と加速度計測部17によって計測された加速度とを入力し、予測モデルから出力される感情をユーザ106がドア105を開けた際のユーザ106の感情として予測する。
【0133】
芳香物質決定部123Cは、感情予測部126によって予測された感情に応じて液体、粉体又は気体の種類を決定する。本実施の形態4において、散布する液体、粉体又は気体は、芳香物質である。すなわち、芳香物質決定部123Cは、感情情報記憶部164に記憶されている感情情報を参照し、感情予測部126によって予測された感情に対応付けられる芳香物質の種類を特定する。
【0134】
芳香物質切替部124は、散布する芳香物質の種類を、芳香物質決定部123Cによって決定された芳香物質の種類に切り替える。
【0135】
続いて、本実施の形態4における散布装置1Cの動作について説明する。
【0136】
図14は、本開示の実施の形態4における散布装置の動作について説明するための第1のフローチャートであり、
図15は、本開示の実施の形態4における散布装置の動作について説明するための第2のフローチャートである。
【0137】
なお、ステップS51〜ステップS57の処理は、
図6に示すステップS1〜ステップS7の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0138】
次に、ステップS58において、荷重計測部15は、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重を計測する。
【0139】
次に、ステップS59において、加速度計測部17は、ユーザ106がドア105を開ける際のドア105の加速度を計測する。
【0140】
次に、ステップS60において、感情予測部126は、予測モデル記憶部163に記憶されている予測モデルに、荷重計測部15によって計測された荷重と加速度計測部17によって計測された加速度とを入力し、予測モデルから出力される感情をユーザ106がドア105を開けた際のユーザ106の感情として予測する。
【0141】
次に、ステップS61において、芳香物質決定部123Cは、感情情報記憶部164に記憶されている感情情報を参照し、散布する芳香物質の種類を、感情予測部126によって予測された感情に対応付けられる芳香物質の種類に決定する。
【0142】
なお、ステップS62〜ステップS66の処理は、
図9に示すステップS20〜ステップS24の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0143】
このように、ユーザ106がドア105を開ける際にドア105にかかる荷重と、ユーザ106がドア105を開ける際のドア105の加速度とから、ユーザ106がドア105を開けた際のユーザ106の感情が予測され、予測された感情に応じて液体、粉体又は気体の種類が決定される。したがって、ユーザ106がドア105を開けることで、ドア105を開けたユーザ106の感情に応じた種類の液体、粉体又は気体を散布することができる。
【0144】
なお、本実施の形態4では、感情予測部126は、荷重計測部15によって計測された荷重と加速度計測部17によって計測された加速度とを用いてユーザ106の感情を予測しているが、本開示は特にこれに限定されず、荷重計測部15によって計測された荷重のみを用いてユーザ106の感情を予測してもよく、加速度計測部17によって計測された加速度のみを用いてユーザ106の感情を予測してもよい。
【0145】
また、本実施の形態4において、散布装置1Cは、ドア105を開けるユーザ106の顔を撮像するカメラをさらに備えてもよい。予測モデル記憶部163は、ユーザ106がドア105を開ける際のユーザ106の顔画像を入力データとし、ユーザ106の感情を出力データとする教師データを用いて機械学習した予測モデルを予め記憶してもよい。そして、感情予測部126は、予測モデル記憶部163に記憶されている予測モデルに、カメラによって撮像されたユーザ106の顔画像を入力し、予測モデルから出力される感情をユーザ106がドア105を開けた際のユーザ106の感情として予測してもよい。
【0146】
また、本実施の形態4において、散布装置1Cは、ドア105を開けるユーザ106の生体情報を計測する生体センサをさらに備えてもよい。生体情報は、例えば、ユーザ106の体動、心拍数及び呼吸数の少なくとも1つである。予測モデル記憶部163は、ユーザ106がドア105を開ける際のユーザ106の生体情報を入力データとし、ユーザ106の感情を出力データとする教師データを用いて機械学習した予測モデルを予め記憶してもよい。そして、感情予測部126は、予測モデル記憶部163に記憶されている予測モデルに、生体センサによって計測されたユーザ106の生体情報を入力し、予測モデルから出力される感情をユーザ106がドア105を開けた際のユーザ106の感情として予測してもよい。
【0147】
また、実施の形態4において、散布装置1Cは通信部を備えてもよい。例えば、通信部は、
図13に示すメモリ16に蓄積されている予測モデル及び感情情報を外部から取得し、メモリ16内の予測モデル及び感情情報を更新してもよい。
【0148】
(実施の形態5)
実施の形態5における散布装置は、ユーザが第1の空間から第2の空間へ移動する場合、第1の空間の臭気濃度を計測し、計測した第1の空間の臭気濃度に応じて、出入り口の近傍から第2の空間に向かう方向へ散布する液体、粉体又は気体の散布量を決定し、決定した散布量の液体、粉体又は気体を散布する。
【0149】
図16は、本開示の実施の形態5において出入り口を側方から見た図であり、
図17は、本開示の実施の形態5における散布部のフィルタ及びフィルタ駆動部の構成を示す図であり、
図18は、本開示の実施の形態5における散布装置の構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態5において、実施の形態1〜4と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0150】
実施の形態5における散布装置1Dは、位置検知部11、プロセッサ12D、散布部13D、第1の臭気センサ181及び第2の臭気センサ182を備える。
【0151】
プロセッサ12Dは、例えば、中央演算処理装置で構成され、散布方向決定部121、散布方向切替部122、散布量決定部127及び散布量切替部128を備える。
【0152】
図16に示すように、第1の臭気センサ181は、第1の部屋101の出入り口104の上方に配置される。第1の臭気センサ181は、第1の部屋101における臭気濃度を計測する。
【0153】
図16に示すように、第2の臭気センサ182は、第2の部屋102の出入り口104の上方に配置される。第2の臭気センサ182は、第2の部屋102における臭気濃度を計測する。
【0154】
散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する場合、第1の臭気センサ181によって計測された第1の部屋101の臭気濃度に応じて、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する液体、粉体又は気体の散布量を決定する。なお、本実施の形態5において、散布する液体、粉体又は気体は、芳香物質である。
【0155】
例えば、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する際に、第1の部屋101の臭気濃度が高い場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量が少ないと、ユーザ106は芳香物質の匂いをほとんど感じることができない。そのため、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する際に、第1の部屋101の臭気濃度が高い場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量を通常よりも増加させる。
【0156】
また、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する際に、第1の部屋101の臭気濃度が小さい場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量が少なくても、ユーザ106は芳香物質の匂いを充分に感じることができる。そのため、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する際に、第1の部屋101の臭気濃度が小さい場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量を通常よりも減少させてもよい。
【0157】
本実施の形態5において、散布量は、例えば3段階に変化可能である。散布量決定部127は、第1の散布量、第1の散布量より少ない第2の散布量、及び第2の散布量より少ない第3の散布量のいずれかに決定する。散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101で検知され、第1の臭気センサ181によって計測された第1の部屋101の臭気濃度が第1の閾値より高い場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量を第1の散布量に決定する。また、散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101で検知され、第1の臭気センサ181によって計測された第1の部屋101の臭気濃度が第2の閾値より低い場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量を第3の散布量に決定する。なお、第2の閾値は、第1の閾値より低い。さらに、散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101で検知され、第1の臭気センサ181によって計測された第1の部屋101の臭気濃度が第1の閾値と第2の閾値との間である場合、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量を第2の散布量に決定する。
【0158】
また、散布量決定部127は、ユーザ106が第2の部屋102から第1の部屋101へ移動する場合、第2の臭気センサ182によって計測された第2の部屋102の臭気濃度に応じて、出入り口104の近傍から第1の部屋101に向かう方向へ散布する液体、粉体又は気体の散布量を決定する。
【0159】
散布量切替部128は、芳香物質の散布量を、散布量決定部127によって決定された散布量に切り替える。散布量切替部128は、芳香物質の散布量を、散布量決定部127によって決定された第1の散布量、第2の散布量及び第3の散布量のいずれかに切り替える散布量切替信号をフィルタ駆動部152へ出力する。
【0160】
実施の形態5における散布部13Dは、切替弁駆動部131、第1の散布開口132、第2の散布開口133、ダクト134、ポンプ135、切替弁137、収納部136、フィルタ151及びフィルタ駆動部152を備える。本実施の形態5における散布部13Dのフィルタ151及びフィルタ駆動部152以外の構成は、実施の形態1の散布部13の構成と同じである。
【0161】
図17に示すように、収納部136は、例えば、円柱形状であり、液体、粉体又は気体を収納する収納容器1361を備える。収納容器1361は、ポンプ135から送られた空気が通過することにより、液体、粉体又は気体を送出する。
【0162】
フィルタ151は、ポンプ135と収納部136との間に配置される。フィルタ151は、円形状であり、収納部136のポンプ135側の面に摺接している。なお、
図17では、説明の便宜上、フィルタ151と収納部136とは離れた状態で図示されている。フィルタ151の中心には、回転軸1510が設けられている。回転軸1510が回転することにより、フィルタ151は回転する。また、フィルタ151は、それぞれ円形状の第1の開口部1511、第2の開口部1512及び第3の開口部1513を有している。第1の開口部1511は、収納容器1361と同じ形状及び大きさである。第2の開口部1512の直径は、第1の開口部1511の直径より短く、第3の開口部1513の直径は、第2の開口部1512の直径より短い。
【0163】
フィルタ151が回転することにより、第1の開口部1511、第2の開口部1512又は第3の開口部1513は、収納容器1361の位置に移動する。フィルタ151は、それぞれ大きさの異なる第1の開口部1511、第2の開口部1512又は第3の開口部1513により、ポンプ135から送られた空気が通過する量を制限する。芳香物質の散布量が、最も多い第1の散布量に切り替えられる場合、第1の開口部1511が収納容器1361の位置に移動する。また、芳香物質の散布量が、第1の散布量より少ない第2の散布量に切り替えられる場合、第2の開口部1512が収納容器1361の位置に移動する。さらに、芳香物質の散布量が、第2の散布量より少ない第3の散布量に切り替えられる場合、第3の開口部1513が収納容器1361の位置に移動する。
【0164】
フィルタ駆動部152は、フィルタ151の回転軸1510を回転させることにより、フィルタ151を回転させる。フィルタ駆動部152は、散布量切替部128から出力された散布量切替信号に基づいて、フィルタ151を回転させる。
【0165】
例えば、第1の散布量に切り替える場合、フィルタ駆動部152は、第1の開口部1511が収納容器1361の前に位置するように、フィルタ151を回転させる。これにより、ポンプ135から送られた空気は、第1の開口部1511及び収納容器1361を通過し、収納容器1361から第1の散布量の芳香物質が送出される。
【0166】
また、第2の散布量に切り替える場合、フィルタ駆動部152は、第2の開口部1512が収納容器1361の前に位置するように、フィルタ151を回転させる。これにより、ポンプ135から送られた空気は、第2の開口部1512及び収納容器1361を通過し、収納容器1361から第2の散布量の芳香物質が送出される。
【0167】
さらに、また、第3の散布量に切り替える場合、フィルタ駆動部152は、第3の開口部1513が収納容器1361の前に位置するように、フィルタ151を回転させる。これにより、ポンプ135から送られた空気は、第3の開口部1513及び収納容器1361を通過し、収納容器1361から第3の散布量の芳香物質が送出される。
【0168】
続いて、本実施の形態5における散布装置1Dの動作について説明する。
【0169】
図19は、本開示の実施の形態5における散布装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【0170】
なお、ステップS71〜ステップS77の処理は、
図6に示すステップS1〜ステップS7の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0171】
次に、ステップS78において、散布量決定部127は、散布方向決定部121によって決定された散布方向が第1の散布方向であるか否かを判断する。
【0172】
ここで、散布方向が第1の散布方向であると判断された場合(ステップS78でYES)、ステップS79において、散布量決定部127は、第2の臭気センサ182から臭気濃度を取得する。
【0173】
一方、散布方向が第1の散布方向ではないと判断された場合、すなわち、散布方向が第2の散布方向であると判断された場合(ステップS78でNO)、ステップS80において、散布量決定部127は、第1の臭気センサ181から臭気濃度を取得する。
【0174】
次に、ステップS81において、散布量決定部127は、第1の臭気センサ181又は第2の臭気センサ182によって計測された臭気濃度に応じて、芳香物質の散布量を決定する。散布量決定部127は、第1の臭気センサ181又は第2の臭気センサ182によって計測された臭気濃度が第1の閾値より高い場合、芳香物質の散布量を、最も多い第1の散布量に決定する。また、散布量決定部127は、第1の臭気センサ181又は第2の臭気センサ182によって計測された臭気濃度が第2の閾値以上第1の閾値以下である場合、芳香物質の散布量を、2番目に多い第2の散布量に決定する。また、散布量決定部127は、第1の臭気センサ181又は第2の臭気センサ182によって計測された臭気濃度が第2の閾値より低い場合、芳香物質の散布量を、最も少ない第3の散布量に決定する。
【0175】
次に、ステップS82において、散布量切替部128は、芳香物質の散布量を、散布量決定部127によって決定された散布量に切り替える散布量切替信号をフィルタ駆動部152へ出力する。散布量切替部128は、芳香物質の散布量を、散布量決定部127によって決定された第1の散布量、第2の散布量及び第3の散布量のいずれかに切り替える散布量切替信号をフィルタ駆動部152へ出力する。
【0176】
次に、ステップS83において、フィルタ駆動部152は、散布量切替部128から出力された散布量切替信号に基づいて、フィルタ151を駆動する。フィルタ駆動部152は、第1の開口部1511、第2の開口部1512及び第3の開口部1513のうち、散布量決定部127によって決定された散布量に対応する開口部が収納容器1361の前に移動するように、フィルタ151を回転させる。
【0177】
このように、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する場合、第1の部屋101における臭気濃度が計測され、計測された第1の部屋101の臭気濃度に応じて、液体、粉体又は気体の散布量が決定される。したがって、例えば、第1の部屋101の臭気濃度が高ければ、第2の部屋102に散布する液体、粉体又は気体の散布量を増やすことで、ユーザ106に対してより確実に匂いを認識させることができる。
【0178】
なお、本実施の形態5において、散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する場合、移動先の第2の臭気センサ182によって計測された第2の部屋102の臭気濃度を取得してもよい。そして、散布量決定部127は、取得した臭気濃度が所定の臭気濃度になるように、出入り口104の近傍から第2の部屋102に向かう方向へ散布する芳香物質の散布量を決定してもよい。
【0179】
また、本実施の形態5において、散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する場合、移動先の第2の臭気センサ182によって計測された第2の部屋102の臭気濃度を取得してもよい。そして、散布量決定部127は、取得した臭気濃度が閾値以上である場合、芳香物質を散布しないように決定してもよい。
【0180】
また、本実施の形態5において、散布量決定部127は、ユーザ106が第1の部屋101から第2の部屋102へ移動する場合、移動先の第2の臭気センサ182によって計測された第2の部屋102の臭気濃度を取得してもよい。そして、散布量決定部127は、取得した臭気濃度が閾値以上である場合、所定の散布量の消臭物質を散布するように決定してもよい。その後、散布量決定部127は、第1の臭気センサ181によって計測された第1の部屋101の臭気濃度に基づいて芳香物質の散布量を決定してもよい。
【0181】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0182】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0183】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0184】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0185】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。