【解決手段】ロボット制御装置1は、メモリ13と、ロボット2の作業ツール4の速度に応じて、作業ツール4の作業に先行して作業対象の形状を検出するレーザセンサ5のセンシング周期を決定する決定部14と、レーザセンサ5からセンシング結果を受け付け、センシング周期ごとのセンシング結果に応じた情報をメモリ13に蓄積する受付部12と、教示データに基づいて作業ツール4を移動させると共に、メモリ13で記憶されているセンシング結果に応じた情報によって作業ツール4の移動を補正する制御部15とを備える。このようにして、倣い作業のパラメータであるセンシング周期を自動的に決定することができる。また、センシング周期に応じてメモリ13に情報を蓄積することにより、メモリ13の容量不足を回避することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作業ツールを有するロボットにおけるセンシング結果を用いた倣い制御におけるパラメータの調整には多くの工数が掛かり、作業者の負荷が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、レーザセンサのセンシング結果に基づいて作業ツールを移動させる制御において、パラメータを自動的に決定することができるロボット制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明によるロボット制御装置は、教示データが記憶される記憶部と、作業ツール及び作業ツールの作業に先行して作業対象物の形状を検出するレーザセンサを備えたロボットにおける作業ツールの速度に応じて、レーザセンサのセンシング周期を決定する決定部と、メモリと、レーザセンサからセンシング結果を受け付け、センシング周期ごとのセンシング結果に応じた情報をメモリに蓄積する受付部と、教示データに基づいて作業ツールを移動させると共に、メモリで記憶されているセンシング結果に応じた情報によって作業ツールの移動を補正する制御部と、を備えたものである。
このような構成により、倣い制御のパラメータであるセンシング周期を自動的に決定することができるようになる。したがって、センシング周期を決定するための作業が不要になるというメリットがある。また、作業ツールの速度に応じた適切なセンシング周期を決定することによって、メモリの容量が足りなくなることがないように、センシング結果に応じた情報をメモリに蓄積することができるようになる。
【0007】
また、本発明によるロボット制御装置では、センシング周期は、次の算出式の値以上であってもよい。
算出式:先見距離/(記憶されるセンシング結果に応じた情報の数×作業ツールの速度)
(式中、先見距離は、作業ツールの作業位置と、レーザセンサのレーザ照射位置との距離である。)
このような構成により、作業ツールの速度に応じたセンシング周期を決定することによって、メモリの容量が不足しないようにすることができる。
【0008】
また、本発明によるロボット制御装置では、センシング周期は、算出式の値をレーザセンサの撮像周期の倍数に切り上げた値であってもよい。
このような構成により、実際のセンシングを行うことができる時間の単位で、センシング周期を決定することができるようになる。
【0009】
また、本発明によるロボット制御装置では、決定部は、作業ツールによる作業の開始から終了までにおける最低速度を用いてセンシング周期を決定してもよい。
このような構成により、作業ツールの速度が変化する場合であっても、作業の開始から終了まで、メモリの容量が不足しないようにすることができる。
【0010】
また、本発明によるロボット制御システムは、ロボット制御装置と、ロボット制御装置によって制御されるロボットと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるロボット制御装置等によれば、センシング周期を自動的に決定することができるようになり、センシング周期を決定するための作業が不要になるというメリットがある。また、作業ツールの速度に応じた適切なセンシング周期を決定することによって、メモリの容量が不足しないように、センシング結果に応じた情報をメモリに蓄積することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるロボット制御システム、及びロボット制御装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるロボット制御装置は、作業ツールの速度に応じたセンシング周期のセンシング結果に基づいて倣い制御を行うものである。
【0014】
図1は、本実施の形態によるロボット制御システム100の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるロボット制御システム100は、ロボット制御装置1と、ロボット2と、溶接電源3とを備える。
【0015】
ロボット制御装置1は、ロボット2及び溶接電源3を制御する。ロボット2は、モータによって駆動される関節によって連結された複数のアームを有するマニピュレータを有しており、そのマニピュレータの先端に、作業ツール4と、作業ツール4の作業に先行して作業対象物(ワーク)6の形状を検出するレーザセンサ5とを有している。ロボット2は、特に限定されるものではないが、例えば、垂直多関節ロボットであってもよい。レーザセンサ5は、作業対象物6にライン状のレーザ光を照射し、そのレーザ光を撮像することによって作業対象物6までの複数のサンプリング点の距離を測定するレーザセンサであってもよい。また、レーザセンサ5は、ライン状に走査を行うことによって作業対象物6までの複数のサンプリング点の距離を測定する走査型のレーザセンサであってもよい。レーザセンサ5によって、例えば、開先などの溶接箇所の形状を取得することができる。なお、本実施の形態では、作業ツール4が溶接トーチであり、作業ツール4によって行われる作業が溶接である場合について主に説明する。また、作業ツール4やレーザセンサ5を備えたロボット2の構成はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0016】
溶接電源3は、溶接で用いられる高電圧を作業ツール(溶接トーチ)4とワーク6とに供給する。また、溶接に溶接ワイヤが用いられる場合には、溶接電源3は、溶接ワイヤの送給に関する制御を行ってもよい。なお、溶接電源3の構成はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0017】
ロボット制御装置1は、レーザセンサ5によるセンシング結果に基づいて、倣い作業を行うようにロボット2を制御するものであり、
図1で示されるように、記憶部11と、受付部12と、メモリ13と、決定部14と、制御部15とを備える。
【0018】
記憶部11には、教示データが記憶される。教示データによって、ロボット2の作業ツール4の移動経路(例えば、位置や姿勢等)が示されるものとする。なお、教示データに、作業ツール4の移動速度も含まれていてもよい。また、教示データには、溶接の開始点や終了点、溶接電流や溶接電圧等の溶接条件に関する情報が含まれていてもよい。
【0019】
記憶部11に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が記憶部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報が記憶部11で記憶されるようになってもよく、または、入力デバイスを介して入力された情報が記憶部11で記憶されるようになってもよい。例えば、ロボット制御装置1に接続されたティーチングペンダント等を用いて入力された教示データが記憶部11で記憶されてもよい。記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスクなど)によって実現されうる。
【0020】
受付部12は、レーザセンサ5からセンシング結果を受け付け、決定部14によって決定されたセンシング周期(後述する)ごとのセンシング結果に応じた情報をメモリ13に蓄積する。レーザセンサ5によるセンシング結果は、例えば、作業対象物6に照射されたレーザ光の複数の点に関する高さ方向の距離(例えば、レーザセンサ5から作業対象物6までの距離)であってもよい。センシング結果は、2次元または3次元の撮像センサ(例えば、CCDアレイ等)によって取得されてもよい。センシング結果は、通常、作業対象物6の形状を示す複数のサンプリング点の情報であるため、受付部12は、そのようなセンシング結果から、作業対象物6の形状を作成し、その作成した形状を用いて、作業ツール4によって作業が行われる位置、例えば、作業線(溶接線)の位置を取得してもよい。その位置を、以下、特徴点の位置と呼ぶこともある。例えば、重ね継手の溶接を行う場合には、センシング結果によって示される段差の位置が特徴点の位置となる。また、例えば、突き合わせ継手の溶接を行う場合には、センシング結果によって示される開先の位置が特徴点の位置となる。
【0021】
また、センシング結果は、レーザセンサ5の座標系における位置を示すものであるため、受付部12は、その座標系における位置を、所定の基準座標系における位置に変換してもよい。その基準座標系は、例えば、ロボット2の座標系であってもよい。そのため、受付部12は、制御部15から作業ツール4の基準座標系における位置及び姿勢を受け取り、その受け取った位置及び姿勢とセンシング結果とを用いて、基準座標系における特徴点の位置を取得してもよい。メモリ13に蓄積される、センシング結果に応じた情報は、例えば、この基準座標系における特徴点の位置を示す情報であってもよく、センシング結果そのものであってもよく、センシング結果に応じたその他の情報であってもよい。本実施の形態では、センシング結果に応じた情報が、基準座標系における特徴点の位置を示す情報である場合について主に説明する。
【0022】
センシング結果は、例えば、後述するセンシング周期ごとにレーザセンサ5によって取得された情報であってもよく、または、センシング周期よりも短い周期で取得された情報であってもよい。後者の場合には、受付部12は、例えば、レーザセンサ5からセンシング結果を受け付けてから、そのセンシング結果に応じた情報をメモリ13に蓄積するまでに、センシング周期の情報となるように情報を間引く処理(ダウンサンプリング)を行ってもよい。例えば、レーザセンサ5から受け付けるセンシング結果が、20(ms)ごとの情報であり、決定部14によって決定されたセンシング周期が、40(ms)である場合には、受付部12は、レーザセンサ5から受け付けたセンシング結果を半分に間引いてから基準座標系における特徴点の位置を示す情報を取得し、メモリ13に蓄積してもよい。そのような場合には、厳密には、レーザセンサ5によってセンシング結果が取得される周期(20(ms))と、決定部14によって決定された周期(40(ms))とが異なることになるが、結果として、決定部14によって決定された周期のセンシング結果に基づいて倣い作業が行われることになるため、決定部14によって決定された周期をセンシング周期と呼ぶことにする。
【0023】
メモリ13では、倣い作業で用いられる情報が一時記憶される。具体的には、メモリ13には、前述のように、センシング結果に応じた情報が記憶される。そのセンシング結果に応じた情報は、決定部14によって決定されたセンシング周期ごとの情報である。
【0024】
決定部14は、ロボット2における作業ツール4の速度に応じて、レーザセンサ5のセンシング周期を決定する。このセンシング周期は、メモリ13の容量が足りなくなることがないように決定される。ここで、センシング周期の決定について
図3を参照して説明する。
【0025】
図3において、先見距離は、作業ツール4の作業位置と、レーザセンサ5のレーザ照射位置との距離である。メモリ13には、レーザセンサ5のセンシング結果に応じた情報(ここでは、図中の検出点(特徴点)の位置であるとする)が保存されるが、その保存の期間は、作業ツール4の先端が、検出点に到達するまでである。したがって、検出点の情報の保存期間T1(s)は、次式のようになる。
T1(s)=先見距離D(mm)/作業ツール4の速度V(mm/s)
【0026】
また、メモリ13で記憶される情報の数Nと、検出点の情報の保存期間T1(s)と、センシング周期T2(s)との関係は、次式のようになる。
N=T1(s)/T2(s)
【0027】
したがって、速度Vが遅い場合には、保存期間T1が長くなるため、センシング周期T2が一定であれば、メモリ13の容量が足りなくなり、センシング結果に応じた情報を保存できなくなって、適切な倣い制御を行うことができなくなる。そのことを回避するためには、例えば、先見距離を短くする、センシング周期を大きくする、メモリの容量を大きくするなどの方法が考えられる。しかしながら、先見距離を短くすることは、作業ツール4とレーザセンサ5との干渉が発生する可能性があり、また、作業ツール(溶接トーチ)4のアーク光がセンシングされてしまう可能性があるなどの物理的な制約のために、実現困難である。また、メモリの容量を大きくすることは実現可能ではあるが、コストの観点から回避したい。そのような事情から、本実施の形態によるロボット制御装置1では、センシング周期T2を大きくすることにする。
【0028】
上式より、センシング周期T2は、次の算出式の値となる。
算出式:先見距離D(mm)/(メモリ13で記憶されるセンシング結果に応じた情報の数N×作業ツール4の速度V(mm/s))
【0029】
また、センシング周期T2ごとに検出点が存在することになるため、
図3で示されるように、検出点の間隔(mm)は、「作業ツール4の速度V(mm/s)×センシング周期T2(s)」となる。また、センシング周期T2が上記算出式の値以上であれば、メモリ13の容量が不足することはないため、決定部14は、上記算出式の値以上となるように、先見距離、作業ツール4の速度、メモリ13で記憶される情報の数を用いてセンシング周期T2を決定すればよいことになる。
【0030】
このようにして、決定部14は、作業ツール4の速度が大きい(小さい)ほど、短くなる(長くなる)周期を決定することになる。なお、決定部14は、センシング周期T2を、上記算出式の値に決定してもよいが、レーザセンサ5においては、通常、最短の撮像周期が決まっている。したがって、センシング周期T2が、撮像周期の倍数以外の値に決定されたとしても、そのセンシング周期T2ごとのセンシングはできないことになる。そのため、決定部14は、センシング周期T2を、上記算出式の値を、レーザセンサ5の撮像周期の倍数に切り上げた値に決定してもよい。すなわち、センシング周期T2は、上記算出式の値以上の値であって、レーザセンサ5の撮像周期の倍数である値のうち、最も小さい値に決定されてもよい。
【0031】
具体的には、先見距離が50(mm)であり、メモリ13で記憶される情報の数が300個であり、作業ツール4の速度が10(mm/s)であり、レーザセンサ5の撮像周期が20(ms)である場合には、上記算出式の値は、16.7(ms)となる。したがって、その算出式の値が、撮像周期の倍数に切り上げられることによって、センシング周期は20(ms)に決定されてもよい。
【0032】
なお、先見距離Dは、図示しない記録媒体にあらかじめ記憶されており、決定部14は、その先見距離Dを読み出して用いてもよい。また、作業ツール4の速度は、作業ツール4が作業を行っている際の移動速度である。例えば、教示データに作業ツール4の速度が含まれる場合には、決定部14は、教示データから作業ツール4の速度を取得してもよい。また、例えば、制御部15によって作業ツール4の速度が決定される場合には、決定部14は、制御部15から作業ツール4の速度を取得してもよい。また、メモリ13で記憶されるセンシング結果に応じた情報の数Nは、図示しない記録媒体にあらかじめ記憶されており、決定部14は、その数Nを読み出して用いてもよい。また、実質的に同じ結果が得られるのであれば、決定部14は、上記算出式とは異なる形の式を用いてセンシング周期を決定してもよい。
【0033】
また、センシング周期T2が決定されるタイミングは問わない。例えば、作業時における作業ツール4の速度が一定である場合には、決定部14は、作業の開始前に1回だけ、センシング周期T2を決定し、そのセンシング周期T2が作業の開始から終了までにおいて用いられてもよい。また、例えば、決定部14は、作業ツール4による作業が行われている際に、繰り返してセンシング周期T2を決定し、そのセンシング周期T2が、新たなセンシング周期T2の決定が行われるまで用いられてもよい。作業ツール4の速度が変化する可能性がある場合には、このようにセンシング周期T2の決定が繰り返されることが好適である。
【0034】
また、作業ツール4の速度が変化するとしても、作業の開始から終了までの作業ツール4の速度を知ることができる場合には、決定部14は、作業ツール4による作業の開始から終了までにおける最低速度を用いてセンシング周期T2を決定し、そのセンシング周期T2が作業の開始から終了までにおいて用いられてもよい。すなわち、決定部14は、作業ツール4の最低速度を、上記算出式の速度として用いて、センシング周期T2を決定してもよい。その決定は、例えば、作業に先行して1回だけ行われてもよい。そのように、最低速度を用いたセンシング周期T2の決定を行うことで、作業ツール4が最低速度で移動する場合に、メモリ13の容量が足りなくなることがないようにすることができる。また、作業ツール4が最低速度よりも速い速度で移動している場合には、メモリ13への蓄積よりも読み出しの方が速くなるため、当然、メモリ13の容量が足りなくなることはないことになる。最低速度は、例えば、教示データに含まれる移動速度から特定されてもよく、または、作業の開始に先行して、作業の開始から終了までのすべての移動速度が制御部15によって決定される場合には、その決定された移動速度から特定されてもよい。
【0035】
また、作業ツール4の速度が変化するとしても、作業の開始から終了までの作業ツール4の速度を知ることができる場合には、決定部14は、作業ツール4による作業の開始から終了までにおける複数の期間ごとに、それぞれセンシング周期T2を決定してもよい。その複数の期間は、作業ツール4の速度の範囲に応じた期間であってもよい。例えば、速度が遅い期間や、速度が速い期間、速度が中程度である期間などであってもよい。そして、受付部12は、ある期間においては、その期間に対応するセンシング周期T2に応じてメモリ13に情報を蓄積してもよい。
【0036】
制御部15は、記憶部11で記憶されている教示データに基づいて作業ツール4を移動させると共に、メモリ13で記憶されているセンシング結果に応じた情報によって作業ツール4の移動を補正する。このようにして、いわゆる倣い補正が行われることになる。より具体的には、制御部15は、作業ツール4の移動に先行して、教示データに基づいて、作業ツール4の目標位置及び目標姿勢を算出する。その目標位置及び目標姿勢の算出は、例えば、教示データに含まれる教示位置や教示姿勢を補間することによって行われてもよい。この算出された目標位置や目標姿勢によって、作業ツール4の移動に関する情報、すなわち作業ツール4の位置及び姿勢の時間変化が示されることになる。また、制御部15は、例えば、ロボット2のマニピュレータのエンコーダ等から読み出された各関節の角度に基づいて、作業ツール4の現在の位置及び姿勢を算出する。この情報は、上記のように、受付部12に渡されてもよい。また、制御部15は、メモリ13からセンシング結果に応じた情報を読み出し、その読み出した情報に応じて、作業ツール4の目標位置及び目標姿勢を算出し、教示データから算出した目標位置及び目標姿勢を、センシング結果に応じた情報から算出した目標位置及び目標姿勢に置き換えてもよい。なお、現在の位置及び姿勢から、センシング結果に応じた情報に基づいて算出された目標位置及び目標姿勢まで移動させることが困難な場合(例えば、位置や姿勢の変化があらかじめ決められた閾値以上の変化となる場合など)には、教示データに基づいて算出された目標位置及び目標姿勢と、センシング結果に応じた情報に基づいて算出された目標位置及び目標姿勢との間の目標位置及び目標姿勢が新たに生成され、教示データに基づいて算出された目標位置及び目標姿勢が、その新たに生成された情報に置き換えられてもよい。また、制御部15は、作業ツール4の現在の位置及び姿勢と、目標位置及び目標姿勢とを用いて、作業ツール4が目標位置及び目標姿勢となるようにロボット2を制御してもよい。このようにして、倣い補正が行われる。なお、結果として、センシング結果に基づいて倣い補正が行われるのであれば、上記した以外の方法によって倣い補正が行われてもよい。また、倣い補正についてはすでに公知であるため、その詳細な説明を省略する。また、制御部15は、センシング結果に応じた情報をメモリ13から読み出した場合に、その情報をメモリ13から削除してもよい。また、制御部15は、教示データに基づいて、溶接の開始や終了を溶接電源3に指示してもよく、また、溶接条件を溶接電源3に出力してもよい。
【0037】
なお、記憶部11と、メモリ13とは、通常、異なる記録媒体によって実現されるが、そうでなくてもよい。例えば、記録媒体におけるある領域が記憶部11として用いられ、他の領域がメモリ13として用いられてもよい。その場合であっても、本実施の形態のようにセンシング周期が決定されることによって、メモリ13の領域が、あらかじめ決められた以上の領域とならないように制御することができる。
【0038】
次に、ロボット制御装置1の動作について
図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)決定部14は、先見距離D、メモリ13で記憶されるセンシング結果に応じた情報の数N、作業ツール4の速度Vを用いて、センシング周期T2を決定する。
【0039】
(ステップS102)受付部12は、センシング結果を受け付けるかどうか判断する。そして、センシング結果を受け付ける場合には、レーザセンサ5からのセンシング結果を受け付けてステップS103に進み、そうでない場合には、ステップS105に進む。なお、受付部12は、例えば、ステップS101で決定されたセンシング周期T2ごとに、センシング結果を受け付けると判断してもよい。
【0040】
(ステップS103)受付部12は、レーザセンサ5から受け付けたセンシング結果に応じた情報を取得する。この情報は、例えば、基準座標系における特徴点の位置を示す情報であってもよい。
【0041】
(ステップS104)受付部12は、ステップS103で取得した情報をメモリ13に蓄積する。そして、ステップS102に戻る。
【0042】
(ステップS105)制御部15は、作業ツール4を移動させるかどうか判断する。そして、作業ツール4を移動させる場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、ステップS102に戻る。なお、制御部15は、例えば、作業ツール4を移動させると定期的に判断してもよい。
【0043】
(ステップS106)制御部15は、記憶部11で記憶されている教示データ、及びメモリ13で記憶されているセンシング結果に応じた情報に基づいて、作業ツール4の移動の制御を行う。この制御に応じて、ロボット2の作業ツール4が、目的位置及び目的姿勢に移動されることになる。また、制御部15は、作業ツール4の作業に関する制御を行ってもよい。具体的には、制御部15は、溶接電源3を制御することによって、溶接の開始や終了、溶接電圧や溶接電流等を制御してもよい。そして、ステップS102に戻る。ステップS105,S106の処理が繰り返されることによって、作業対象物6に対する一連の作業が行われることになる。
【0044】
なお、
図2のフローチャートでは、センシング周期の決定を、作業の開始前に行う場合について説明したが、そうでなくてもよい。作業ツール4の移動に応じて繰り返して、センシング周期の決定を行うようにしてもよい。その場合には、ステップS102において、最新のセンシング周期に応じたセンシング結果の受け付けが行われてもよい。また、
図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。例えば、作業ツール4による一連の作業が終了した際には、
図2のフローチャートにおける処理は終了してもよい。
【0045】
以上のように、本実施の形態によるロボット制御装置1によれば、センシング周期を自動的に決定することができるようになる。そのため、センシング周期を決定する作業が不要になるというメリットがある。また、作業ツール4の速度に応じた適切なセンシング周期が決定されることにより、メモリ13の容量が足りなくなることがないようにすることができ、結果として、適切な倣い制御を行うことができるようになる。また、センシング周期を、上記算出式の値をレーザセンサ5の撮像周期の倍数に切り上げた値とすることによって、レーザセンサ5のセンシングのタイミングに合わせて、一定のセンシング周期を決定することが可能になる。また、作業ツール4の最低速度を用いてセンシング周期を決定する場合には、作業ツール4の移動速度が変化するとしても、1回算出したセンシング周期によって、作業の開始から終了までのセンシング結果に応じた情報の蓄積を、メモリ13の容量が不足しないように行うことができる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、センシング周期を、上記算出式の値をレーザセンサ5の撮像周期の倍数に切り上げた値とする場合について説明したが、そうでなくてもよい。上記算出式の値そのものを、センシング周期としてもよい。その場合には、センシング結果が存在しないセンシングのタイミングについては、例えば、直前のセンシング結果を用いるようにしてもよい。具体的には、レーザセンサ5から受け付けるセンシング結果が、20(ms)ごとの情報であり、決定部14によって決定されたセンシング周期が、30(ms)である場合には、2回に1回のセンシングタイミングでは、10(ms)以前のセンシング結果が用いられてもよい。したがって、この場合には、メモリ13に蓄積されるセンシング結果に応じた情報の時間間隔は、20(ms)と、40(ms)とが交互に繰り返されたものとなってもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、レーザセンサ5の撮像周期と、決定部14によって決定されたセンシング周期とが異なる場合に、受付部12が、レーザセンサ5から受け付けたセンシング結果についてダウンサンプリングを行うと説明したが、そうでなくてもよい。撮像周期を変更できる場合には、レーザセンサ5は、決定部14によって決定されたセンシング周期でのセンシングを行ってもよい。その場合には、受付部12は、レーザセンサ5から受け付けたセンシング結果を、ダウンサンプリングを行うことなくそのまま用いてもよい。
【0048】
また、上記実施の形態では、倣い作業が溶接である場合について説明したが、倣い作業は、溶接以外の作業であってもよい。溶接以外の倣い作業は特に限定されるものではないが、例えば、シーリングやバリ取りなどの線倣い作業を挙げることができる。倣い作業がシーリングである場合には、作業ツールは、シーリングガン(コーキングガン)等であってもよい。また、倣い作業がバリ取りである場合には、作業ツールは、バリ取りユニット等であってもよい。なお、倣い作業が溶接でない場合には、ロボット制御システム100は、溶接電源3を備えていなくてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0052】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0053】
また、上記実施の形態において、ロボット制御装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
【0054】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
【0055】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。