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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203375(P2020-203375A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】研磨方法および研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/015 20120101AFI20201127BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20201127BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20201127BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20201127BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20201127BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   B24B37/015
   B24B37/005 Z
   B24B49/10
   B24B49/12
   B24B49/14
   H01L21/304 622R
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-93103(P2020-93103)
(22)【出願日】2020年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2019-108387(P2019-108387)
(32)【優先日】2019年6月11日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】椛沢 雅志
【テーマコード(参考)】
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA07
3C034AA13
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA02
3C034CA19
3C034CA26
3C034CB20
3C034DD10
3C158AA07
3C158AB04
3C158AC02
3C158BA02
3C158BA08
3C158BA09
3C158BB02
3C158BB06
3C158BB09
3C158CA01
3C158CB01
3C158CB03
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
5F057AA12
5F057BA11
5F057CA11
5F057DA03
5F057GA04
5F057GA06
5F057GB02
5F057GB13
5F057GB40
(57)【要約】
【課題】ウェーハなどの基板の研磨を、予め設定された研磨時間で終了させることができる研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨方法は、研磨パッド3の研磨面3aの温度を熱交換器11で調整しながら、基板Wを研磨面3aに押し付けて基板Wを研磨し、基板Wの研磨開始から、基板Wの膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、目標研磨レートを達成することができる研磨面3aの目標温度を決定し、基板Wの研磨中に、熱交換器11により研磨面3aの温度を目標温度に変更する工程を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドの研磨面の温度を熱交換器で調整しながら、基板を前記研磨面に押し付けて前記基板を研磨し、
前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、
前記目標研磨レートを達成することができる前記研磨面の目標温度を決定し、
前記基板の研磨中に、前記熱交換器により前記研磨面の温度を前記目標温度に変更する、研磨方法。
【請求項2】
前記目標研磨レートを算定する工程は、
現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、
前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、
前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定する工程である、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記研磨面の目標温度を決定する工程は、研磨レートと前記研磨面の温度との相関を示す関係式に基づいて、前記目標研磨レートに対応する前記研磨面の目標温度を決定する工程である、請求項1または2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記関係式は、
前記研磨面の温度を前記熱交換器により一定に維持しながら、複数のサンプル基板のうちの1つを前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、
前記1つのサンプル基板の研磨レートを算定し、
研磨されるサンプル基板を、前記複数のサンプル基板のうちの別のサンプル基板に変えながら、かつ前記研磨面の温度を別の温度に変えながら、前記1つのサンプル基板の研磨と、前記1つのサンプル基板の研磨レートの算定を繰り返して、前記研磨面の複数の温度に対応する複数の研磨レートを取得し、
前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である、請求項3に記載の研磨方法。
【請求項5】
前記関係式は、
前記研磨面の温度を測定しながら、サンプル基板を前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、
前記研磨面の複数の温度にそれぞれ対応する前記サンプル基板の複数の研磨レートを算定し、
前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である、請求項3に記載の研磨方法。
【請求項6】
研磨パッドの研磨面の温度を熱交換器で調整しながら、基板を前記研磨面に押し付けて前記基板を研磨し、
前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、
前記基板の現在の研磨レートが前記目標研磨レートに維持されるように、前記基板の研磨中に、前記熱交換器により前記研磨面の温度を調整する、研磨方法。
【請求項7】
前記目標研磨レートを算定する工程は、
現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、
前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、
前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定する工程である、請求項6に記載の研磨方法。
【請求項8】
前記研磨面の温度を調整する工程は、予め定められた上限温度を超えない温度範囲内で実行され、前記上限温度は、前記基板の研磨レートが最大となる前記研磨面の温度に基づいて決定される、請求項6または7に記載の研磨方法。
【請求項9】
研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨する研磨ヘッドと、
加熱流路および冷却流路を内部に有し、前記研磨テーブルの上方に配置された熱交換器と、
前記研磨面の温度を測定するパッド温度測定器と、
前記加熱流路および前記冷却流路にそれぞれ接続された加熱流体供給管および冷却流体供給管を有する流体供給システムと、
前記研磨テーブルに取り付けられた膜厚センサと、
プログラムを内部に格納した記憶装置と、前記プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置を有する動作制御部を備え、
前記動作制御部は、
前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、
前記目標研磨レートを達成することができる前記研磨面の目標温度を決定し、
前記基板の研磨中に、前記流体供給システムを操作して前記熱交換器により前記研磨面の温度を前記目標温度に変更するように構成されている、研磨装置。
【請求項10】
前記動作制御部は、
現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、
前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、
前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定するように構成されている、請求項9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記動作制御部は、研磨レートと前記研磨面の温度との相関を示す関係式を前記記憶装置内に格納しており、前記動作制御部は、前記関係式に基づいて、前記目標研磨レートに対応する前記研磨面の目標温度を決定するように構成されている、請求項9または10に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記関係式は、
前記研磨面の温度を前記熱交換器により一定に維持しながら、複数のサンプル基板のうちの1つを前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、
前記1つのサンプル基板の研磨レートを算定し、
研磨されるサンプル基板を、前記複数のサンプル基板のうちの別のサンプル基板に変えながら、かつ前記研磨面の温度を別の温度に変えながら、前記1つのサンプル基板の研磨と、前記1つのサンプル基板の研磨レートの算定を繰り返して、前記研磨面の複数の温度に対応する複数の研磨レートを取得し、
前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である、請求項11に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記関係式は、
前記研磨面の温度を測定しながら、サンプル基板を前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、
前記研磨面の複数の温度にそれぞれ対応する前記サンプル基板の複数の研磨レートを算定し、
前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である、請求項11に記載の研磨装置。
【請求項14】
研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、
基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨する研磨ヘッドと、
加熱流路および冷却流路を内部に有し、前記研磨テーブルの上方に配置された熱交換器と、
前記研磨面の温度を測定するパッド温度測定器と、
前記加熱流路および前記冷却流路にそれぞれ接続された加熱流体供給管および冷却流体供給管を有する流体供給システムと、
前記研磨テーブルに取り付けられた膜厚センサと、
プログラムを内部に格納した記憶装置と、前記プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置を有する動作制御部を備え、
前記動作制御部は、
前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、
前記基板の現在の研磨レートが前記目標研磨レートに維持されるように、前記基板の研磨中に、前記流体供給システムを操作して前記熱交換器により前記研磨面の温度を調整するように構成されている、研磨装置。
【請求項15】
前記動作制御部は、
現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、
前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、
前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定するように構成されている、請求項14に記載の研磨装置。
【請求項16】
前記動作制御部は、予め定められた上限温度を超えない温度範囲内で前記熱交換器により前記研磨面の温度を調整するように構成されており、前記上限温度は、前記基板の研磨レートが最大となる前記研磨面の温度に基づいて決定される、請求項14または15に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板を研磨パッドの研磨面に押し付けながら該基板を研磨する研磨方法および研磨装置に関し、特に研磨パッドの研磨面の温度を調整しながら基板を研磨面上で研磨する研磨方法および研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置は、半導体デバイスの製造において、ウェーハの表面を研磨する工程に使用される。CMP装置は、研磨テーブルを回転させながら、研磨ヘッドでウェーハを研磨テーブル上の研磨パッドに押し付けてウェーハの表面を研磨する。研磨中、研磨パッドにはスラリーが供給される。ウェーハの表面は、スラリーの化学的作用とスラリーに含まれる砥粒の機械的作用により平坦化される。
【0003】
CMP装置は、ウェーハの研磨、洗浄、および乾燥を実行する複合装置である。すなわち、ウェーハは研磨部で研磨され、その後研磨されたウェーハは洗浄部に搬送され、洗浄部でウェーハが洗浄される。さらに、洗浄されたウェーハは乾燥部に搬送され、ウェーハは乾燥部で乾燥される。このように、ウェーハの研磨、洗浄、乾燥が連続して行われる。
【0004】
CMP装置には、ウェーハカセットに収容された複数のウェーハが運ばれ、これらウェーハは、順次、CMP装置にて研磨、洗浄、乾燥される。1つのウェーハカセットに収容されている複数のウェーハ(研磨対象のウェーハ)は、同じ膜構造を有している。通常、各ウェーハの研磨は、ウェーハの表面を構成する膜の厚さが目標厚さに達したときに終了される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−148933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、膜の初期厚さは、ウェーハによって若干ばらついている。結果として、研磨開始から研磨終了までの研磨時間も、ウェーハごとに若干ばらついてしまう。ウェーハの研磨時間にばらつきがあると、スループットが不安定となる。特に、複数のウェーハを順番に研磨、洗浄、乾燥する複合処理では、ウェーハの研磨が律速因子となり、複数のウェーハ全体の処理時間が不安定となる。
【0007】
そこで、本発明は、ウェーハなどの基板の研磨を、予め設定された研磨時間で終了させることができる研磨方法および研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、研磨パッドの研磨面の温度を熱交換器で調整しながら、基板を前記研磨面に押し付けて前記基板を研磨し、前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、前記目標研磨レートを達成することができる前記研磨面の目標温度を決定し、前記基板の研磨中に、前記熱交換器により前記研磨面の温度を前記目標温度に変更する、研磨方法が提供される。
【0009】
一態様では、前記目標研磨レートを算定する工程は、現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定する工程である。
一態様では、前記研磨面の目標温度を決定する工程は、研磨レートと前記研磨面の温度との相関を示す関係式に基づいて、前記目標研磨レートに対応する前記研磨面の目標温度を決定する工程である。
【0010】
一態様では、前記関係式は、前記研磨面の温度を前記熱交換器により一定に維持しながら、複数のサンプル基板のうちの1つを前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、前記1つのサンプル基板の研磨レートを算定し、研磨されるサンプル基板を、前記複数のサンプル基板のうちの別のサンプル基板に変えながら、かつ前記研磨面の温度を別の温度に変えながら、前記1つのサンプル基板の研磨と、前記1つのサンプル基板の研磨レートの算定を繰り返して、前記研磨面の複数の温度に対応する複数の研磨レートを取得し、前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である。
一態様では、前記関係式は、前記研磨面の温度を測定しながら、サンプル基板を前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、前記研磨面の複数の温度にそれぞれ対応する前記サンプル基板の複数の研磨レートを算定し、前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である。
【0011】
一態様では、研磨パッドの研磨面の温度を熱交換器で調整しながら、基板を前記研磨面に押し付けて前記基板を研磨し、前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、前記基板の現在の研磨レートが前記目標研磨レートに維持されるように、前記基板の研磨中に、前記熱交換器により前記研磨面の温度を調整する、研磨方法が提供される。
【0012】
一態様では、前記目標研磨レートを算定する工程は、現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定する工程である。
一態様では、前記研磨面の温度を調整する工程は、予め定められた上限温度を超えない温度範囲内で実行され、前記上限温度は、前記基板の研磨レートが最大となる前記研磨面の温度に基づいて決定される。
【0013】
一態様では、研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨する研磨ヘッドと、加熱流路および冷却流路を内部に有し、前記研磨テーブルの上方に配置された熱交換器と、前記研磨面の温度を測定するパッド温度測定器と、前記加熱流路および前記冷却流路にそれぞれ接続された加熱流体供給管および冷却流体供給管を有する流体供給システムと、前記研磨テーブルに取り付けられた膜厚センサと、プログラムを内部に格納した記憶装置と、前記プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置を有する動作制御部を備え、前記動作制御部は、前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、前記目標研磨レートを達成することができる前記研磨面の目標温度を決定し、前記基板の研磨中に、前記流体供給システムを操作して前記熱交換器により前記研磨面の温度を前記目標温度に変更するように構成されている、研磨装置が提供される。
【0014】
一態様では、前記動作制御部は、現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、研磨レートと前記研磨面の温度との相関を示す関係式を前記記憶装置内に格納しており、前記動作制御部は、前記関係式に基づいて、前記目標研磨レートに対応する前記研磨面の目標温度を決定するように構成されている。
【0015】
一態様では、前記関係式は、前記研磨面の温度を前記熱交換器により一定に維持しながら、複数のサンプル基板のうちの1つを前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、前記1つのサンプル基板の研磨レートを算定し、研磨されるサンプル基板を、前記複数のサンプル基板のうちの別のサンプル基板に変えながら、かつ前記研磨面の温度を別の温度に変えながら、前記1つのサンプル基板の研磨と、前記1つのサンプル基板の研磨レートの算定を繰り返して、前記研磨面の複数の温度に対応する複数の研磨レートを取得し、前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である。
一態様では、前記関係式は、前記研磨面の温度を測定しながら、サンプル基板を前記研磨パッドの前記研磨面上で研磨し、前記研磨面の複数の温度にそれぞれ対応する前記サンプル基板の複数の研磨レートを算定し、前記研磨面の複数の温度と、前記複数の研磨レートとの相関を表す関係式を決定することで、作成された関係式である。
【0016】
一態様では、研磨パッドを支持するための研磨テーブルと、基板を前記研磨パッドの研磨面に押し付けて前記基板を研磨する研磨ヘッドと、加熱流路および冷却流路を内部に有し、前記研磨テーブルの上方に配置された熱交換器と、前記研磨面の温度を測定するパッド温度測定器と、前記加熱流路および前記冷却流路にそれぞれ接続された加熱流体供給管および冷却流体供給管を有する流体供給システムと、前記研磨テーブルに取り付けられた膜厚センサと、プログラムを内部に格納した記憶装置と、前記プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する処理装置を有する動作制御部を備え、前記動作制御部は、前記基板の研磨開始から、前記基板の膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、前記基板の現在の研磨レートが前記目標研磨レートに維持されるように、前記基板の研磨中に、前記流体供給システムを操作して前記熱交換器により前記研磨面の温度を調整するように構成されている、研磨装置が提供される。
【0017】
一態様では、前記動作制御部は、現時点での前記基板の膜厚から前記目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定し、前記基板の研磨開始から前記現時点までの経過時間を、前記目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、前記残り膜厚を前記残り時間で割り算することで、前記目標研磨レートを算定するように構成されている。
一態様では、前記動作制御部は、予め定められた上限温度を超えない温度範囲内で前記熱交換器により前記研磨面の温度を調整するように構成されており、前記上限温度は、前記基板の研磨レートが最大となる前記研磨面の温度に基づいて決定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板の膜厚が目標厚さに到達すると同時に、予め設定された目標研磨時間に達する。したがって、複数の基板を研磨する場合において、これら基板の研磨を一定の研磨時間で終了させることができ、結果として、スループットを安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】研磨装置の一実施形態を示す模式図である。
図2】熱交換器を示す水平断面図である。
図3】研磨パッド上の熱交換器と研磨ヘッドとの位置関係を示す平面図である。
図4】研磨レートと研磨面の温度との相関を示す関係式の一例を示すグラフである。
図5】研磨時間に伴う研磨レートの変化の一例を表すグラフと、研磨時間に伴う膜厚の変化の一例を表すグラフを示す図である。
図6】研磨時間に伴う研磨レートの変化の他の例を表すグラフと、研磨時間に伴う膜厚の変化の他の例を表すグラフを示す図である。
図7】複数のサンプルウェーハのそれぞれの研磨レートと、対応する研磨面の温度とによって特定される複数のデータ点を示すグラフである。
図8図4に示す、研磨レートと研磨面の温度との相関を示す関係式を作成する一例を説明する図である。
図9】ドレッサーを備えた研磨装置の模式的断面図である。
図10】動作制御部の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、温度調整装置を備えた研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、基板の一例であるウェーハWを保持して回転させる研磨ヘッド1と、研磨パッド3を支持する研磨テーブル2と、研磨パッド3の表面にスラリーを供給するスラリー供給ノズル4と、研磨パッド3の研磨面3aの温度を調整するための温度調整装置5とを備えている。研磨パッド3の表面(上面)は、ウェーハWを研磨する研磨面3aを構成する。
【0021】
研磨ヘッド1は鉛直方向に移動可能であり、かつその軸心を中心として矢印で示す方向に回転可能となっている。ウェーハWは、研磨ヘッド1の下面に真空吸着などによって保持される。研磨テーブル2にはテーブルモータ6が連結されており、矢印で示す方向に回転可能となっている。図1に示すように、研磨ヘッド1および研磨テーブル2は、同じ方向に回転する。研磨パッド3は、研磨テーブル2の上面に貼り付けられている。
【0022】
研磨装置は、研磨ヘッド1、テーブルモータ6、スラリー供給ノズル4、温度調整装置5の動作を制御する動作制御部40を備えている。動作制御部40は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。動作制御部40は、プログラムが格納された記憶装置110と、プログラムに含まれる命令に従って演算を行う演算装置120を備えている。演算装置120は、プログラムに含まれる命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などを含む。記憶装置110は、演算装置120がアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。
【0023】
ウェーハWの研磨は次のようにして行われる。研磨されるウェーハWは、研磨ヘッド1によって保持され、さらに研磨ヘッド1によって回転される。研磨テーブル2は、研磨パッド3とともにテーブルモータ6によって回転される。この状態で、スラリーがスラリー供給ノズル4から研磨パッド3の研磨面3aに供給され、さらにウェーハWの表面は、研磨ヘッド1によって研磨パッド3の研磨面3aに対して押し付けられる。ウェーハWの表面は、スラリーの存在下での研磨パッド3との摺接により研磨される。ウェーハWの表面は、スラリーの化学的作用とスラリーに含まれる砥粒の機械的作用により平坦化される。
【0024】
研磨装置は、ウェーハWの膜厚を測定する膜厚センサ7をさらに備えている。この膜厚センサ7は、研磨テーブル2に固定されており、研磨テーブル2とともに回転する。膜厚センサ7は、ウェーハWの膜厚に従って変化する膜厚信号を生成するように構成されている。膜厚センサ7は、研磨テーブル2内に設置されており、研磨テーブル2が1回転するたびに、ウェーハWの中心部を含む複数の領域の膜厚を示す膜厚信号を生成する。膜厚センサ7の例としては、光学式センサや渦電流センサが挙げられる。
【0025】
ウェーハWの研磨中、膜厚センサ7は研磨テーブル2と共に回転し、ウェーハWの表面を横切りながら膜厚信号を生成する。この膜厚信号は、ウェーハWの膜厚を直接または間接に示す指標値であり、ウェーハWの膜厚の減少に従って変化する。膜厚センサ7は動作制御部40に接続されており、膜厚信号は動作制御部40に送られるようになっている。動作制御部40は、膜厚信号によって示されるウェーハWの膜厚が所定の目標厚さに達したときに、研磨ヘッド1および研磨テーブル2に指令を発してウェーハWの研磨を終了させる。
【0026】
温度調整装置5は、研磨パッド3と熱交換を行うことで研磨面3aの温度を調整する熱交換器11と、温度調整された加熱流体および冷却流体を熱交換器11に供給する流体供給システム30と、熱交換器11に連結された昇降機構20を備えている。熱交換器11は、研磨テーブル2および研磨パッド3の研磨面3aの上方に位置し、熱交換器11の底面は、研磨パッド3の研磨面3aに対面している。昇降機構20は熱交換器11を上昇および下降させるように構成されている。より具体的には、昇降機構20は熱交換器11の底面を研磨パッド3の研磨面3aに近づける方向、および研磨パッド3の研磨面3aから離れる方向に移動させるように構成されている。昇降機構20は、モータまたはエアシリンダなどのアクチュエータ(図示せず)を備えている。昇降機構20の動作は動作制御部40によって制御される。
【0027】
流体供給システム30は、温度調整された加熱流体を貯留する加熱流体供給源としての加熱流体供給タンク31と、加熱流体供給タンク31と熱交換器11とを連結する加熱流体供給管32および加熱流体戻り管33とを備えている。加熱流体供給管32および加熱流体戻り管33の一方の端部は加熱流体供給タンク31に接続され、他方の端部は熱交換器11に接続されている。
【0028】
温度調整された加熱流体は、加熱流体供給タンク31から加熱流体供給管32を通じて熱交換器11に供給され、熱交換器11内を流れ、そして熱交換器11から加熱流体戻り管33を通じて加熱流体供給タンク31に戻される。このように、加熱流体は、加熱流体供給タンク31と熱交換器11との間を循環する。加熱流体供給タンク31は、ヒータ(図示せず)を有しており、加熱流体はヒータにより所定の温度に加熱される。
【0029】
流体供給システム30は、加熱流体供給管32に取り付けられた第1開閉バルブ41および第1流量制御バルブ42をさらに備えている。第1流量制御バルブ42は、熱交換器11と第1開閉バルブ41との間に配置されている。第1開閉バルブ41は、流量調整機能を有しないバルブであるのに対し、第1流量制御バルブ42は、流量調整機能を有するバルブである。
【0030】
流体供給システム30は、熱交換器11に接続された冷却流体供給管51および冷却流体排出管52をさらに備えている。冷却流体供給管51は、研磨装置が設置される工場に設けられている冷却流体供給源(例えば、冷水供給源)に接続されている。冷却流体は、冷却流体供給管51を通じて熱交換器11に供給され、熱交換器11内を流れ、そして熱交換器11から冷却流体排出管52を通じて排出される。一実施形態では、熱交換器11内を流れた冷却流体を、冷却流体排出管52を通じて冷却流体供給源に戻してもよい。
【0031】
流体供給システム30は、冷却流体供給管51に取り付けられた第2開閉バルブ55および第2流量制御バルブ56をさらに備えている。第2流量制御バルブ56は、熱交換器11と第2開閉バルブ55との間に配置されている。第2開閉バルブ55は、流量調整機能を有しないバルブであるのに対し、第2流量制御バルブ56は、流量調整機能を有するバルブである。
【0032】
第1開閉バルブ41、第1流量制御バルブ42、第2開閉バルブ55、および第2流量制御バルブ56は、動作制御部40に接続されており、第1開閉バルブ41、第1流量制御バルブ42、第2開閉バルブ55、および第2流量制御バルブ56の動作は、動作制御部40によって制御される。
【0033】
温度調整装置5は、研磨パッド3の研磨面3aの温度(以下、パッド表面温度ということがある)を測定するパッド温度測定器39をさらに備えている。パッド温度測定器39は動作制御部40に接続されている。動作制御部40は、パッド温度測定器39により測定されたパッド表面温度に基づいて第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56を操作するように構成されている。第1開閉バルブ41および第2開閉バルブ55は、通常は開かれている。パッド温度測定器39として、非接触で研磨パッド3の研磨面3aの温度を測定することができる放射温度計を使用することができる。パッド温度測定器39は、研磨パッド3の研磨面3aの上方に配置されている。
【0034】
パッド温度測定器39は、非接触でパッド表面温度を測定し、その測定値を動作制御部40に送る。動作制御部40は、パッド表面温度が、予め設定された目標温度に維持されるように、測定されたパッド表面温度に基づいて、第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56を操作することで、加熱流体および冷却流体の流量を制御する。第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56は、動作制御部40からの制御信号に従って動作し、熱交換器11に供給される加熱流体の流量および冷却流体の流量を調整する。熱交換器11を流れる加熱流体および冷却流体と研磨パッド3との間で熱交換が行われ、これによりパッド表面温度が変化する。
【0035】
このようなフィードバック制御により、研磨パッド3の研磨面3aの温度(すなわちパッド表面温度)は、所定の目標温度に維持される。上記フィードバック制御としては、PID制御を使用することができる。研磨パッド3の目標温度は、ウェーハWの表面を構成する膜の種類、または研磨プロセスに応じて決定される。決定された目標温度は、動作制御部40に予め入力され、記憶装置110内に記憶される。
【0036】
熱交換器11に供給される加熱流体としては、温水などの加熱液が使用される。加熱流体は、加熱流体供給タンク31のヒータ(図示せず)により、例えば約80℃に加熱される。より速やかに研磨パッド3の表面温度を上昇させる場合には、シリコーンオイルを加熱流体として使用してもよい。シリコーンオイルを加熱流体として使用する場合には、シリコーンオイルは加熱流体供給タンク31のヒータにより100℃以上(例えば、約120℃)に加熱される。
【0037】
熱交換器11に供給される冷却流体としては、冷水またはシリコーンオイルなどの冷却液が使用される。シリコーンオイルを冷却流体として使用する場合には、冷却流体供給源としてチラーを冷却流体供給管51に接続し、シリコーンオイルを0℃以下に冷却することで、研磨パッド3を速やかに冷却することができる。冷水としては、純水を使用することができる。純水を冷却して冷水を生成するために、冷却流体供給源としてチラーを使用してもよい。この場合は、熱交換器11内を流れた冷水を、冷却流体排出管52を通じてチラーに戻してもよい。
【0038】
加熱流体供給管32および冷却流体供給管51は、完全に独立した配管である。したがって、加熱流体および冷却流体は、混合されることなく、同時に熱交換器11に供給される。加熱流体戻り管33および冷却流体排出管52も、完全に独立した配管である。したがって、加熱流体は、冷却流体と混合されることなく加熱流体供給タンク31に戻され、冷却流体は、加熱流体と混合されることなく排出されるか、または冷却流体供給源に戻される。
【0039】
次に、熱交換器11について、図2を参照して説明する。図2は、熱交換器11を示す水平断面図である。図2に示すように、熱交換器11は、加熱流路61および冷却流路62が内部に形成された流路構造体70を備えている。本実施形態では、熱交換器11の全体は円形を有している。熱交換器11の底面は平坦であり、かつ円形である。熱交換器11の底面は流路構造体70の底面から構成されている。流路構造体70は、耐摩耗性に優れるとともに熱伝導率の高い材質、例えば緻密質のSiCなどのセラミックで構成されている。
【0040】
加熱流路61および冷却流路62は、互いに隣接して(互いに並んで)延びており、かつ螺旋状に延びている。さらに、加熱流路61および冷却流路62は、点対称な形状を有し、互いに同じ長さを有している。加熱流路61および冷却流路62のそれぞれは、曲率が一定の複数の円弧流路64と、これら円弧流路64を連結する複数の傾斜流路65から基本的に構成されている。隣接する2つの円弧流路64は、各傾斜流路65によって連結されている。
【0041】
このような構成によれば、加熱流路61および冷却流路62のそれぞれの最外周部を、熱交換器11の最外周部に配置することができる。つまり、熱交換器11の底面の全体は、加熱流路61および冷却流路62の下方に位置し、加熱流体および冷却流体は研磨パッド3の研磨面3aを速やかに加熱および冷却することができる。加熱流体および冷却流体と、研磨パッド3との間の熱交換は、研磨パッド3の研磨面3aと熱交換器11の底面との間にスラリーが存在した状態で行われる。ただし、加熱流路61および冷却流路62の形状は図2に示す実施形態に限定されず、他の形状を有してもよい。
【0042】
加熱流体供給管32(図1参照)は、加熱流路61の入口61aに接続されており、加熱流体戻り管33(図1参照)は、加熱流路61の出口61bに接続されている。冷却流体供給管51(図1参照)は、冷却流路62の入口62aに接続されており、冷却流体排出管52(図1参照)は、冷却流路62の出口62bに接続されている。加熱流路61および冷却流路62の入口61a,62aは、熱交換器11の周縁部に位置しており、加熱流路61および冷却流路62の出口61b,62bは、熱交換器11の中心部に位置している。したがって、加熱流体および冷却流体は、熱交換器11の周縁部から中心部に向かって螺旋状に流れる。加熱流路61および冷却流路62は、完全に分離しており、熱交換器11内で加熱流体および冷却流体が混合されることはない。
【0043】
図3は、研磨パッド3上の熱交換器11と研磨ヘッド1との位置関係を示す平面図である。熱交換器11は、上から見たときに円形であり、熱交換器11の直径は研磨ヘッド1の直径よりも小さい。研磨パッド3の回転中心Oから熱交換器11の中心Pまでの距離は、研磨パッド3の回転中心Oから研磨ヘッド1の中心Qまでの距離と同じである。加熱流路61および冷却流路62は、互いに隣接しているので、加熱流路61および冷却流路62は、研磨パッド3の径方向のみならず、研磨パッド3の周方向に沿って並んでいる。したがって、研磨テーブル2および研磨パッド3が回転している間、研磨パッド3は、加熱流体および冷却流体の両方と熱交換を行う。
【0044】
図1に戻り、動作制御部40は、ウェーハWの研磨中に、ウェーハWの膜厚を直接または間接に示す膜厚信号を膜厚センサ7から取得し、ウェーハWの膜厚が予め設定された目標厚さに到達したときに、研磨ヘッド1および研磨テーブル2などに指令を発してウェーハWの研磨を終了させる。目標厚さは、ウェーハWの膜厚の目標値を直接または間接に示す数値である。さらに、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、予め設定された目標研磨時間に一致するように、熱交換器11を介して、研磨パッド3の研磨面3aの温度(すなわちパッド表面温度)を制御する。
【0045】
より具体的には、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、予め設定された目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、その目標研磨レートを達成することができる研磨面3aの目標温度を決定し、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を目標温度に変更するように構成されている。
【0046】
動作制御部40は、ウェーハWの研磨中に、上記目標研磨レートを次のようにして算定する。動作制御部40は、現時点でのウェーハWの膜厚から目標厚さを減算することで、残り膜厚を算定する。現時点とは、ウェーハWの研磨中のある時点である。現時点でのウェーハWの膜厚は、膜厚センサ7から送信された膜厚信号から決定することができる。次に、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から上記現時点までの経過時間を、目標研磨時間から減算することで、残り時間を算定し、残り膜厚を残り時間で割り算することで、目標研磨レートを算定する。
【0047】
動作制御部40は、算定された目標研磨レートを達成することができる研磨パッド3の研磨面3aの目標温度を決定する。より具体的には、動作制御部40は、研磨レートと研磨面3aの温度との相関を示す関係式に基づいて、算定された目標研磨レートに対応する研磨面3aの目標温度を決定する。研磨レートと研磨面3aの温度との相関を示す関係式は、実験、製品ウェーハ(または製品基板)の研磨、またはサンプルウェーハ(またはサンプル基板)の研磨などの実際の研磨工程で得られた、研磨レートおよび研磨面3aの温度の測定データに基づいて予め作成される。動作制御部40は、この関係式を、記憶装置110内に予め格納している。
【0048】
図4は、研磨レートと研磨面3aの温度との相関を示す関係式の一例を示すグラフである。図4に示すように、ウェーハWの研磨レートは、研磨パッド3の研磨面3aの温度に依存して変わる。したがって、動作制御部40は、算定された目標研磨レートに対応する研磨面3aの温度(すなわち、目標温度)を関係式から決定することができる。動作制御部40は、目標研磨レートを達成することができる研磨パッド3の研磨面3aの目標温度を、ウェーハWの研磨中に決定するように構成されている。
【0049】
さらに、動作制御部40は、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を目標温度に変更する。より具体的には、動作制御部40は、研磨面3aの現在の温度と、上記目標温度との差に基づいて、第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56を操作するように構成されている。例えば、研磨面3aの現在の温度が目標温度よりも低い場合は、動作制御部40は、第1流量制御バルブ42の開度を増加させるとともに、第2流量制御バルブ56の開度を低下させる。熱交換器11内を流れる加熱流体の流量は増加し、熱交換器11内を流れる冷却流体の流量は低下する。結果として、熱交換器11自体の温度が上昇し、研磨面3aの温度は上昇する。このように、動作制御部40は、第1流量制御バルブ42および第2流量制御バルブ56を操作することによって熱交換器11を介して研磨面3aの温度を制御し、これによってウェーハWの研磨レートを調整することができる。
【0050】
図5は、研磨時間に伴う研磨レートの変化の一例を表すグラフと、研磨時間に伴う膜厚の変化の一例を表すグラフを示す図である。研磨パッド3の研磨面3aの温度は、熱交換器11によって設定温度に維持される。ウェーハWの研磨が開始されると(研磨時間0)、ウェーハWは第1研磨レートR1で研磨される。ウェーハWが研磨されるに従って、ウェーハWの膜厚は、その初期膜厚P1から徐々に減少する。
【0051】
研磨時間が研磨レートの補正点T1に到達すると、動作制御部40は、上述したように、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間EPに一致するために必要な目標研磨レートを決定する。具体的には、動作制御部40は、現時点T1でのウェーハWの膜厚P1’から目標厚さPTを減算することで、残り膜厚SPを算定し、ウェーハWの研磨開始から上記現時点T1までの経過時間を、目標研磨時間EPから減算することで、残り時間RTを算定し、残り膜厚SPを残り時間RTで割り算することで、目標研磨レートR2(=SP/RT)を決定する。さらに、動作制御部40は、目標研磨レートR2を達成することができる研磨面3aの目標温度を図4に示す関係式から決定し、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を目標温度に変更する。結果として、ウェーハWの研磨レートは、第1研磨レートR1から目標研磨レートR2に変化する。
【0052】
ウェーハWは、目標研磨レートR2で研磨され、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達したときに、ウェーハWの研磨は終了される。このときのウェーハWの研磨時間(実研磨時間)は、目標研磨時間EPに一致する。すなわち、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達すると同時に、ウェーハWの研磨開始からの経過時間が目標研磨時間EPに到達する。
【0053】
図6は、研磨時間に伴う研磨レートの変化の他の例を表すグラフと、研磨時間に伴う膜厚の変化の他の例を表すグラフを示す図である。研磨パッド3の研磨面3aの温度は、熱交換器11によって設定温度に維持される。ウェーハWの研磨が開始されると(研磨時間0)、ウェーハWは第1研磨レートR1で研磨される。ウェーハWが研磨されるに従って、ウェーハWの膜厚は、その初期膜厚P2から徐々に減少する。初期膜厚P2は、図5に示す初期膜厚P1よりも小さい。
【0054】
研磨時間が研磨レートの補正点T2に到達すると、動作制御部40は、上述したように、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間EPに一致するために必要な目標研磨レートを決定する。具体的には、動作制御部40は、現時点T2でのウェーハWの膜厚P2’から目標厚さPTを減算することで、残り膜厚SPを算定し、ウェーハWの研磨開始から上記現時点T2までの経過時間を、目標研磨時間EPから減算することで、残り時間RTを算定し、残り膜厚SPを残り時間RTで割り算することで、目標研磨レートR3(=SP/RT)を決定する。さらに、動作制御部40は、目標研磨レートR3を達成することができる研磨面3aの目標温度を図4に示す関係式から決定し、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を目標温度に変更する。結果として、ウェーハWの研磨レートは、第1研磨レートR1から目標研磨レートR3に変化する。
【0055】
ウェーハWは、目標研磨レートR3で研磨され、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達したときに、ウェーハWの研磨は終了される。このときのウェーハWの研磨時間(実研磨時間)は、目標研磨時間EPに一致する。すなわち、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達すると同時に、ウェーハWの研磨開始からの経過時間が目標研磨時間EPに到達する。
【0056】
図6に示す目標厚さPTおよび目標研磨時間EPは、図5に示す目標厚さPTおよび目標研磨時間EPとそれぞれ同じである。図6に示す研磨レートの補正点T2は、図5に示す研磨レートの補正点T1と同じであるが、異なってもよい。一実施形態では、複数の補正点が目標研磨時間EP内に設定されてもよい。動作制御部40は、これら複数の補正点において、目標研磨レートを算定し、研磨面3aの目標温度を決定し、研磨面3aの温度を目標温度に変更してもよい。
【0057】
本実施形態によれば、ウェーハWの膜厚が目標厚さに到達する時点は、ウェーハWの研磨開始からの経過時間が目標研磨時間に達する時点に一致する。すなわち、初期膜厚が異なる複数のウェーハを研磨する場合に、これら複数のウェーハの実研磨時間は同じであり、目標研磨時間に一致する。本実施形態に係る研磨装置は、複数のウェーハの研磨を一定の研磨時間で終了させることができ、結果として、スループットを安定させることができる。
【0058】
次に、図4に示す、研磨レートと研磨面3aの温度との相関を示す関係式を作成する一例について説明する。研磨パッド3の研磨面3aの温度を熱交換器11により一定に維持しながら、予め用意された複数のサンプルウェーハ(サンプル基板)のうちの1つを研磨パッド3の研磨面3a上で研磨する。これらサンプルウェーハのそれぞれは、図1に示すウェーハW(製品ウェーハまたは製品基板)の表面を構成する膜と同じ種類の膜から構成された表面を有している。例えば、サンプルウェーハは、単一の膜から構成された表面を有するブランケットウェーハ(ブランケット基板)であってもよい。サンプルウェーハの研磨は、図1に示すウェーハWと同じ研磨条件下で実行される。
【0059】
動作制御部40は、上記1つのサンプルウェーハが研磨されると、そのサンプルウェーハの研磨レートを算定する。研磨レートは、サンプルウェーハの初期膜厚と研磨後の膜厚との差を研磨時間で割り算することで算定することができる。
【0060】
さらに、研磨されるサンプルウェーハを、複数のサンプルウェーハのうちの別のサンプルウェーハに変えながら、かつ研磨パッド3の研磨面3aの温度を別の温度に変えながら、サンプルウェーハの研磨と、サンプルウェーハの研磨レートの算定を繰り返すことで、研磨面3aの複数の温度に対応する複数の研磨レートを取得する。
【0061】
図7は、複数のサンプルウェーハのそれぞれの研磨レートと、対応する研磨面3aの温度とによって特定される複数のデータ点を示すグラフである。各データ点DPは、各サンプルウェーハを研磨したときの研磨パッド3の研磨面3aの温度と、そのサンプルウェーハの研磨レートを示している。動作制御部40は、複数のデータ点DPを座標系上にプロットする。この座標系は、研磨レートを表す縦軸と、研磨面3aの温度を表す横軸を有する。縦軸が研磨面3aの温度を表し、横軸が研磨レートを表してもよい。動作制御部40は、座標系上の複数のデータ点DPに対してカーブフィッティングまたは回帰分析などを行うことにより、複数のデータ点DPを表す近似線を決定する。この近似線は、研磨面3aの複数の温度と、複数の研磨レートとの相関を表す関係式に対応する。
【0062】
図8は、図4に示す、研磨レートと研磨面3aの温度との相関を示す関係式を作成する他の例を説明する図である。この例では、研磨面3aの温度をパッド温度測定器39で測定しながら、予め用意された1枚のサンプルウェーハを研磨パッド3の研磨面3a上で研磨する。熱交換器11は使用されない。サンプルウェーハの研磨中、サンプルウェーハの膜厚が膜厚センサ7により測定される。
【0063】
この例では、熱交換器11による研磨面3aの温度調整は行われない。したがって、図8に示すように、研磨面3aの温度は、サンプルウェーハの研磨時間と共に上昇する。通常、サンプルウェーハの研磨レートは、研磨面3aの温度に依存して変化する。そこで、動作制御部40は、研磨面3aの複数の温度にそれぞれ対応するサンプルウェーハの複数の研磨レートを算定する。具体的には、動作制御部40は、複数の膜厚測定期間MPでの膜厚の変化量を算定し、膜厚の変化量を、対応する膜厚測定期間MPでそれぞれ割り算することで、複数の研磨レートを算定する。各膜厚測定期間MP内での研磨面3aの温度は、一定であると仮定される。
【0064】
動作制御部40は、複数の膜厚測定期間MPでの研磨面3aの温度の複数の測定値をパッド温度測定器39から取得し、研磨面3aの温度の複数の測定値と、対応する研磨レートとにより特定される複数のデータ点を、座標系上にプロットする。この座標系は、図7に示す座標系と同じである。動作制御部40は、座標系上の複数のデータ点に対してカーブフィッティングまたは回帰分析などを行うことにより、複数のデータ点を表す近似線を決定する。この近似線は、研磨面3aの複数の温度と、複数の研磨レートとの相関を表す関係式に対応する。
【0065】
製品ウェーハ(製品基板)であるウェーハWを研磨したときに得られた研磨面3aの測定データ、およびウェーハWの膜厚データは、上述した関係式の作成および/または更新に使用してもよい。
【0066】
図4に示すように、ウェーハWの研磨レートは、研磨パッド3の研磨面3aの温度(すなわちパッド表面温度)に依存して変わるが、研磨レートは研磨装置の消耗部材にも影響されうる。研磨装置は、一般に、複数の消耗部材を有している。消耗部材の具体例としては、研磨パッド3、ドレッサー、研磨ヘッド1の弾性膜およびリテーナリング等が挙げられる。
【0067】
図9は、ドレッサー80を備えた研磨装置の模式的断面図である。説明の簡略化のために、図9では、上述した熱交換器11を含む温度調整装置5の図示は省略されている。ドレッサー80は、ウェーハWを研磨した後、またはウェーハWの研磨中に、研磨パッド3の研磨面3aをドレッシング(再生)するための装置である。ドレッサー80は、ダイヤモンド粒子などからなる砥粒から構成されたドレッシング面80aを有している。ドレッサー80は、その軸心を中心に回転しながら、ドレッシング面80aを研磨パッド3の研磨面3aに押し付ける。研磨面3aはドレッサー80により少しだけ削り取られ、これにより研磨面3aが再生される。
【0068】
研磨パッド3のドレッシングが繰り返されるにつれて、ドレッシング面80aを構成する砥粒(ダイヤモンド粒子など)は、徐々に摩耗する。砥粒の摩耗が進むと、ドレッサー80は、研磨パッド3の研磨面3aを良好にドレッシングすることができず、結果として、ウェーハの研磨レートが変化する。また、研磨パッド3のドレッシングが繰り返されるにつれて、研磨パッド3も摩耗する(つまり研磨パッド3の厚さが減少する)。研磨パッド3の摩耗が進むと、研磨パッド3の性状が変化し、結果として、ウェーハの研磨レートが変化する。
【0069】
図9に示すように、研磨ヘッド1は、内側に圧力室90を形成する弾性膜(メンブレン)91を備えている。ウェーハWの研磨中は、圧力室90は加圧された気体で満たされる。弾性膜91の下面はウェーハWの上面に接触している。圧力室90内の加圧された気体は、弾性膜91を介してウェーハWを研磨パッド3の研磨面3aに対して押し付ける。ウェーハWの研磨パッド3に対する押付力は、圧力室90内の気体の圧力によって調整できる。弾性膜91は、シリコーンゴムなどの材料から構成されている。弾性膜91が長期間に亘って使用されると、弾性膜91の応答性(伸縮など)が低下する。結果として、ウェーハの研磨レートが変化する。
【0070】
図9に示すように、研磨ヘッド1は、弾性膜91の周囲に配置されたリテーナリング92をさらに備えている。リテーナリング92はウェーハWとともに回転しながら、ウェーハWの周囲で研磨パッド3の研磨面3aを押し付ける。リテーナリング92は、研磨中のウェーハWの位置を保持する機能のみならず、ウェーハWのエッジ部の研磨レートを制御する機能も有する。リテーナリング92は研磨面3aに摺接されるため、ウェーハの研磨が繰り返されるにつれて、リテーナリング92は徐々に摩耗する。リテーナリング92の摩耗が進行すると、リテーナリング92が研磨パッド3を押し付ける力が変化し、結果として、ウェーハの研磨レートが変化する。
【0071】
このように、研磨パッド3の消耗部材の経時的変化(例えば摩耗)に起因して、研磨レートは変化しうる。そこで、一実施形態では、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、ウェーハWの現在の研磨レートが目標研磨レートに維持されるように、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を調整するように構成されている。
【0072】
具体的には、図5に示す例において、研磨時間が研磨レートの補正点T1に到達すると、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間EPに一致するために必要な目標研磨レートR2(=SP/RT)を決定する。その後、動作制御部40は、ウェーハWの研磨中における複数の時点において現在の研磨レートを算定し、現在の研磨レートが目標研磨レートR2に一致するように、流体供給システム30を操作して熱交換器11を介して研磨面3aの温度を調整する。現在の研磨レートは、ウェーハの研磨中の単位時間当たりの研磨レートである。動作制御部40は、膜厚センサ7から受け取った膜厚信号の変化量と、上記単位時間から、現在の研磨レートを算定することができる。
【0073】
図4に示すグラフから分かるように、研磨レートは、研磨パッド3の研磨面3aの温度によって変化する。したがって、動作制御部40は、熱交換器11を介して研磨面3aの温度を調整することによって、目標研磨レートを維持することができる。より具体的には、動作制御部40は、図5に示す補正点T1の後、ウェーハWの研磨中に現在の研磨レートを定期的または不定期に算定し、現在の研磨レートと目標研磨レートR2との差が最小となるように、流体供給システム30および熱交換器11を含む温度調整装置5を制御する。このようなフィードバック制御動作により、ウェーハWの研磨レートは目標研磨レートR2に維持される。
【0074】
結果として、図5に示すように、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達したときに、ウェーハWの研磨は終了される。このときのウェーハWの研磨時間(実研磨時間)は、目標研磨時間EPに一致する。すなわち、ウェーハWの膜厚が目標厚さPTに到達すると同時に、ウェーハWの研磨開始からの経過時間が目標研磨時間EPに到達する。図6に示す例でも、同様にして実行される。
【0075】
研磨レートは、研磨パッド3の研磨面3aの温度の上昇に従って基本的に増加する。しかしながら、スラリーおよび/または研磨されるウェーハ表面の材料によっては、研磨面3aの温度が高すぎると、図4に示すように、研磨レートは低下することがある。そこで、動作制御部40は、予め定められた上限温度を超えない温度範囲内で、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を調整するように構成されている。上限温度は、研磨レートが最大となる研磨面3aの温度に基づいて決定される。一例では、上限温度は、研磨レートが最大となる研磨面3aの温度である。決定された上限温度は記憶装置110内に記憶される。
【0076】
図1乃至図8を参照して説明した先の実施形態と、図9を参照して説明した実施形態は適宜組み合わせてもよい。例えば、動作制御部40は、上記目標研磨レートを算定し、この目標研磨レートを達成することができる研磨面3aの目標温度を決定し、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を前記目標温度に変更し、その後、ウェーハWの研磨中における複数の時点において現在の研磨レートを算定し、現在の研磨レートが上記目標研磨レートに一致するように、流体供給システム30を操作して熱交換器11を介して研磨面3aの温度を調整してもよい。
【0077】
動作制御部40は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。図10は、動作制御部40の構成の一例を示す模式図である。動作制御部40は、プログラムやデータなどが格納される記憶装置110と、記憶装置110に格納されているプログラムに含まれる命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングユニット)などの処理装置120と、データ、プログラム、および各種情報を記憶装置110に入力するための入力装置130と、処理結果や処理されたデータを出力するための出力装置140と、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークに接続するための通信装置150を備えている。
【0078】
記憶装置110は、処理装置120がアクセス可能な主記憶装置111と、データおよびプログラムを格納する補助記憶装置112を備えている。主記憶装置111は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であり、補助記憶装置112は、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)などのストレージ装置である。
【0079】
入力装置130は、キーボード、マウスを備えており、さらに、記録媒体からデータを読み取るための記録媒体読み取り装置132と、記録媒体が接続される記録媒体ポート134を備えている。記録媒体は、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、光ディスク(例えば、CD−ROM、DVD−ROM)や、半導体メモリー(例えば、USBフラッシュドライブ、メモリーカード)である。記録媒体読み取り装置132の例としては、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどの光学ドライブや、メモリーリーダーが挙げられる。記録媒体ポート134の例としては、USBポートが挙げられる。記録媒体に記憶されているプログラムおよび/またはデータは、入力装置130を介して動作制御部40に導入され、記憶装置110の補助記憶装置112に格納される。出力装置140は、ディスプレイ装置141、印刷装置142を備えている。
【0080】
動作制御部40は、記憶装置110に電気的に格納されたプログラムに含まれる命令に従って動作する。一実施形態では、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを決定し、目標研磨レートを達成することができる研磨面3aの目標温度を決定し、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を目標温度に変更するステップを実行する。他の実施形態では、動作制御部40は、ウェーハWの研磨開始から、ウェーハWの膜厚が目標厚さに到達するまでの実研磨時間が、目標研磨時間に一致するために必要な目標研磨レートを算定し、ウェーハWの現在の研磨レートが目標研磨レートに維持されるように、ウェーハWの研磨中に、流体供給システム30を操作して熱交換器11により研磨面3aの温度を調整するステップを実行する。
【0081】
これらステップを動作制御部40に実行させるためのプログラムは、非一時的な有形物であるコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、記録媒体を介して動作制御部40に提供される。または、プログラムは、インターネットまたはローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークを介して動作制御部40に提供されてもよい。
【0082】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 研磨ヘッド
2 研磨テーブル
3 研磨パッド
4 スラリー供給ノズル
5 温度調整装置
6 テーブルモータ
11 熱交換器
30 流体供給システム
31 加熱流体供給タンク
32 加熱流体供給管
33 加熱流体戻り管
39 パッド温度測定器
40 動作制御部
41 第1開閉バルブ
42 第1流量制御バルブ
51 冷却流体供給管
52 冷却流体排出管
55 第2開閉バルブ
56 第2流量制御バルブ
61 加熱流路
62 冷却流路
64 円弧流路
65 傾斜流路
70 流路構造体
80 ドレッサー
80a ドレッシング面
90 圧力室
91 弾性膜
92 リテーナリング
110 記憶装置
120 処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10