特開2020-203402(P2020-203402A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2020203402-熱転写受像シート及びその製造方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203402(P2020-203402A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】熱転写受像シート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/52 20060101AFI20201127BHJP
   B32B 25/02 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   B41M5/52 400
   B32B25/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-111514(P2019-111514)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】有田 傑
【テーマコード(参考)】
2H111
4F100
【Fターム(参考)】
2H111AA26
2H111BA03
2H111BA08
2H111BA41
2H111BA47
2H111BA53
2H111BB05
2H111CA03
2H111CA04
2H111CA23
2H111CA25
2H111DA02
4F100AA01B
4F100AK42
4F100AK42A
4F100AN01B
4F100AN02
4F100AN02B
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100DE01B
4F100EH46
4F100EH46B
4F100EJ86
4F100EJ86B
4F100JD14C
4F100JK15
4F100JK15B
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】均一な画像を得られる熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】基材100の一方の面側に、中空層200と染料受容層300とがこの順に形成されている。中空層200は、少なくとも中空粒子とバインダー樹脂を有し、バインダー樹脂は、天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方を主成分とし、中空層200の表面(基材とは反対側の面)のうねり曲線の最大谷深さWv(ISO4287−1997)が、2.0um以下である
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも一方の面側に、中空層と染料受容層とがこの順に形成され、
上記中空層は、少なくとも中空粒子とバインダー樹脂を有し、
上記バインダー樹脂は、天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムを主成分とし、
上記中空層表面のうねり曲線の最大谷深さWv(ISO4287−1997)が、
2.0um以下であることを特徴とする熱転写受像シート。
【請求項2】
基材の少なくとも一方の面側に、中空層と染料受容層とがこの順に形成された熱転写受像シートの製造方法であって、
天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムの水系コロイドに中空粒子及びpH緩衝液を含有したインキを、上記基材上に塗布・乾燥させることで上記中空層を形成し、
25℃環境下における上記インキのpHが、8.0以上9.0以下であり、
上記インキ全体の固形分に対する上記pH緩衝液の固形分の割合が、0.5重量%以上であることを特徴とする熱転写受像シートの製造方法。
【請求項3】
上記pH緩衝液が、105℃60分の加熱を受けても分解も揮発もしない材料からなるpH緩衝液であることを特徴とする請求項2に記載の熱転写受像シートの製造方法。
【請求項4】
上記pH緩衝液が、ホウ酸及びホウ酸化合物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の熱転写受像シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される熱転写受像シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱転写記録媒体は、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンと、被転写体である熱転写受像シートとを有する。インクリボンは、基材の一方の面に感熱転写層を設け、基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けたものである。ここで、感熱転写層は、インキの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインキを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、熱転写受像シート側に転写するものである。熱転写受像シートは、基材の一方の面に染料受容層を設けたものであり、染料受容層は前述のインキリボンから転写されたインキを受け取り、画像を形成するものである。
【0003】
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。
上述した用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化、環境適合性、また、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では、インクリボンの基材の同じ面の側に、印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けた、複数の染料層を備える感熱転写記録媒体が普及している。
【0004】
上記のような状況の中、用途の多様化と普及拡大に伴い、熱転写受像シートの、サーマルヘッドからの熱に対する断熱性の向上や、クッション性の向上による、印画物の画質の向上を目的として、基材の表面または基材と染料受容層の間に、微細な気泡を持つ中空層を設けた熱転写受像シートが提案されている。中空層の形成については、内部に気泡を持つフィルムを基材に貼り合わせることで形成する、特許文献1に記載の方法や、中空粒子とバインダー樹脂を混合した塗液を塗工することで形成する、特許文献2に記載の方法などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−130989号公報
【特許文献2】特開平8−25813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フィルムを基材に貼り合わせることで熱転写受像シートに中空層を形成する方法では、フィルムに熱収縮が生じることによるカールが発生しやすいという問題がある。一方で、塗工により中空層を形成する方法は、比較的カールの発生を防ぐことが容易であるという利点が存在する。
また、前述の通り、中空層にはクッション性を高めるという目的も存在する。そのため、中空層を形成する材料については、柔軟性が高いことが望ましい。同時に、印画後の面の平滑性を高くするためには、圧をかけた後の復元性も高いことが望ましい。上記の二つの性能を満たす材料として、天然ゴムやスチレン―ブタジエンゴム(SBR)等の合成ゴムといったゴム類が挙げられる。
【0007】
中空粒子とバインダー樹脂を塗工することにより熱転写受像シートに中空層を形成する場合、印画物に均一な外観を持たせるためには、中空粒子をバインダー樹脂中に偏りなく分散させることが必要となる。しかしながら、中空粒子の分散性には、その表面電荷に関連してpHが大きく影響するが、中空粒子分散液のpHはおおむね8程度であることが多く、pHがこの値を大きく外れると中空粒子が凝集を始め、中空層の表面に凹凸が生じ、得られる印画物の画像が不均一になることがある。
【0008】
一方で、ゴム微粒子を水に分散させたラテックスには、各種添加剤が加えられるが、特に、ゴム微粒子の表面電荷を調整することによる安定性の向上を目的として、アルカリ系の安定剤が添加されることがある。アルカリ系の安定剤は乾燥の過程において濃縮され、乾燥中に塗液のpHが上昇することがあるが、特に膜厚が高い場合、pHの上昇は顕著なものとなる。このような場合、pHの上昇により中空粒子の分散性が充分に得られず、結果中空粒子が凝集し、不均一な画像しか得られないという問題が存在する。アルカリ系の安定剤の添加をラテックスに対して行わなければ、中空粒子の分散性は保たれ、平滑な塗膜となり均一な画像が得られるが、ラテックスの安定性は低下し、保存や塗工時の僅かな環境の変化でラテックスの粘度の変化やゲル化を生じるという問題が存在する。
【0009】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、均一な画像を得られる熱転写受像シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題解決のために、本発明の一態様である熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面側に、中空層と染料受容層とがこの順に形成され、上記中空層は、少なくとも中空粒子とバインダー樹脂を有し、上記バインダー樹脂は、天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムを主成分とし、上記中空層表面のうねり曲線の最大谷深さWv(ISO4287−1997)が、2.0um以下であることを要旨とする。
【0011】
本発明の一態様である熱転写受像シートの製造方法は、基材の少なくとも一方の面側に、中空層と染料受容層とがこの順に形成された熱転写受像シートの製造方法であって、天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムの水系コロイドに中空粒子及びpH緩衝液を含有したインキを、上記基材上に塗布・乾燥させることで上記中空層を形成し、25℃環境下における上記インキのpHが、8.0以上9.0以下であり、上記インキ全体の固形分に対する上記pH緩衝液の固形分の割合が、0.5重量%以上、5.0重量%以下であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、均一な画像を得られる感熱転写受像シートを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施に用いられる熱転写受像シートの概略構成を示す断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
[熱転写受像シートの全体構成]
図1に示すように、本実施形態の熱転写受像シートは、基材100と中空層200と染料受容層300を備えている。
【0015】
[基材100の構成]
基材100は、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度が要求される以外の制限はなく、従来公知のものが用いられる。
【0016】
基材100の材料としては、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、レジンコート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等のフィルムが挙げられ、また、これらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色不透明フィルムも使用でき、特に限定されない。また、基材100として、上記材料からなる基材の任意の組み合わせによる積層体も使用できる。代表的な積層体の例として、セルロース繊維紙と合成紙あるいはセルロース合成紙とプラスチックフィルムとの合成紙が挙げられる。
【0017】
また、基材100の厚さ(図1中では、上下方向の長さ)は、熱転写受像シートに要求される強度や耐熱性等や、基材として採用した素材の材質に応じて、適宜変更可能であり、具体的には、50μm以上1000μm以下の範囲内であることが好ましく、100μm以上300μm以下の範囲内であることがより好ましい。
【0018】
[中空層200の構成]
中空層200は、画像形成時に加えられた熱が、基材100側への伝播によって損失されることを防ぎ、また、クッション性を高めることによって熱転写受像シートの表面のサーマルヘッドへの追従性を高め、均一な印画面を得ることができるものである。
中空層200は、少なくとも中空粒子とバインダー樹脂を含有してなる層である。バインダー樹脂は、天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムを主成分とする。主成分とは、例えば、バインダー樹脂の80重量%以上、好ましくは90重量%以上を指す。
【0019】
その中空層200の形成は、例えばバインダー樹脂を構成する天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムの水系コロイドに中空粒子とpH緩衝液を含有し、さらに界面活性剤や安定剤等の添加剤を適宜添加したインキを、中空層を形成するための塗液として使用し、その塗液を基材100の上に塗布、乾燥して、当該中空層200を形成する。
インキ全体の固形分に対するpH緩衝液の固形分の割合が、0.5重量%以上、5.0重量%以下が好ましい。
pH緩衝液の固形分の割合が0.5重量%を下回ると、pH緩衝液の性能が十分に効果を発揮せず、塗工・乾燥の過程において塗液のpHに急激な変化が生じ、結果中空粒子の凝集が発生する。一方、5.0重量%を上回ると、中空層200を構成するバインダー樹脂の結合力が低下し、印画時に受像シートに加えられる圧力に中空層が耐え切れず、印画物の画質に不良が生じることとなる。
【0020】
中空層200に用いられるバインダー樹脂の一例としては、天然ゴムのほかに、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムが挙げられ、好ましくは天然ゴム、SBR、ブタジエンゴム、塩素化ブチルゴム、アクリルゴムである。特に天然ゴム及びSBRの少なくとも一方のゴムがさらに好ましい。上記ゴムをバインダー樹脂として用いることにより、中空層のクッション性が向上することでサーマルヘッドへの熱転写受像シートの追従性が増し、均一な画像を得ることが可能となる。
【0021】
中空層200に用いられるバインダー樹脂は、その塗工において、水系の分散媒に対して分散した、水系コロイドとなることが要求される。塗液を水系とすることにより、熱転写受像シート製造時の環境への悪影響を抑えることが可能となる。
中空層200を形成する塗液(インキ)のpHは、塗工前、25℃下の環境下での測定において、pH8.0以上9.0以下であることが望ましい。このpHの範囲とすることにより、バインダー樹脂の水系コロイドは安定し、保存時や塗工時に粘度変化やゲル化を引き起こすことがなく、且つ粒子の凝集の発生を抑え、平滑な表面を持つ中空層を得ることが可能となる。このpHとするために、適宜後述のpH緩衝液やpH調整剤を加えても良い。
【0022】
中空層200に用いられる中空粒子の一例としては、その外殻がシリカ、炭酸カルシウム、セラミック、アクリル樹脂、アクリル―スチレン樹脂等からなる中空粒子が挙げられる。中空粒子の空隙は、単一孔だけでなく、多孔でも良い。また、中空粒子の空隙の部分には、空気だけではなく、水のような乾燥後に揮発しうる液体を含んでも良い。なお、該中空粒子には熱膨張性マイクロカプセルは含まれないものとする。
【0023】
中空粒子の粒径は、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。粒径がこの範囲を下回ると、充分な空隙が中空層中に形成されず、断熱性が不充分となり、一方、この範囲を上回ると、中空層表面の凹凸が過剰なものとなり結果、染料受容層面についても平滑性が失われ、印画物の画質に不良が生じることとなる。
中空粒子の空隙率は、20%以上60%以下が好ましい。空隙率が20%を下回ると、充分な空隙が中空層中に形成されず、断熱性が不充分となり、一方、60%を上回ると、印画時に受像シートに加えられる圧力に中空層が耐え切れず中空層がつぶれ、所定の断熱性が得られなかったり、印画物の画質に不良が生じたりすることとなる。
【0024】
中空層200を形成する塗液に用いられるpH緩衝液は、多少の酸・アルカリの添加や、濃度の変化があってもpHが大きく変化しない液のことである。pH緩衝液の一例としては、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、エチレンジアミン緩衝液、トリスEDTA緩衝液、トリスホウ酸EDTA緩衝液、クエン酸ナトリウム緩衝液、ホウ酸ナトリウム緩衝液等が挙げられる。これら緩衝液を塗液に加えることにより、塗工後の乾燥中における濃度変化においても、pHの急激な変化が抑えられ、結果中空粒子の凝集を防ぐことが可能になると考えられる。
【0025】
pH緩衝液は、特に加熱を受けても、分解も揮発もしない材料によるものであることが望ましい。塗膜は乾燥の過程において、100℃を超える環境下におかれるが、このような温度下においても、分解も揮発もしないものからpH緩衝液の材料を選択することにより、pH緩衝液の性能はより安定したものとなり、中空粒子の凝集を防ぐことが可能になると考えられる。
すなわち、pH緩衝液が、105℃60分の加熱を受けても分解も揮発もしない材料からなるpH緩衝液であることが好ましい。
pH緩衝液はさらに、ホウ酸及びホウ酸化合物の少なくとも一方を含むものであることが好ましい。原因については不明だが、pH緩衝液の材料にホウ酸及びホウ酸化合物の少なくとも一方を用いることにより、中空粒子の凝集を特に防ぐことが可能になる。
【0026】
以上のような本実施形態の熱転写受像シートは、中空層200の表面のうねり曲線の最大谷深さWvが、2.0μm以下である。最大谷深さWvは、ISO 4287−1997に準拠して定める。
中空層200の表面のうねり曲線の最大谷深さWvが2.0μm以下とするには、中空層を形成するインキの製造方法の調整の他に、使用する基材100や中空層200の表面状態を従来公知の各種方法にて調整することが挙げられる。Wvが2.0μmより大きいと、印画物に濃淡ムラが発生してしまうため、Wvが2.0μm以下とする必要がある。
【0027】
[染料受容層300の構成]
染料受容層300は、熱転写による画像形成時にインキリボンから転写される熱移行性染料を受容すると共に、受容した熱移行性染料を保持することで、画像を形成かつ維持するものである。
【0028】
染料受容層300は、例えば、バインダー樹脂に硬化剤や離型剤等の添加剤を適宜添加し、染料受容層300を形成するための塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成する。
染料受容層300に用いられるバインダー樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ系樹脂)、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル・アクリル共重合体、ポリアクリル酸エステル等のビニルポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等、及びこれら樹脂の混合系が挙げられ、好ましくは塩化ビニル系樹脂である。その塩ビ計樹脂の中でも、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/アクリル共重合体から選択される少なくとも1種類の塩化ビニル系樹脂であることがさらに好ましい。
【0029】
また、硬化剤として、バインダー樹脂に応じて適宜添加しても良い。硬化剤の一例としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、及びその誘導体等を用いることが可能である。
【0030】
また、染料受容層300は離型剤を適宜添加しても良い。離型剤の一例としては、アミノ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、及びアミド変性シリコーン等のシリコーンオイルが挙げられる。本発明においては、これらを混合、あるいは各種の反応を用いて重合させて用いることもできる。
シリコーン離型剤は、含有量が多くなると、地汚れが発生するため、染料受容層300のバインダー樹脂の固形分に対して、2%以下が好ましい。
【0031】
また、基材100と中空層200や、中空層200と染料受容層300の接着性を改善する目的で接着層を設けても良い。接着層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。また、接着層を形成する材料には、必要に応じてフィラーや帯電防止剤、蛍光増白剤等の公知の添加剤を添加しても良い。
【0032】
また、基材100の染料受容層300とは反対側の面に、裏面層を設けても良い。裏面層は、プリンタ内での搬送性の向上や保存時の染料受容層300との間のブロッキング防止、筆記性の向上などを目的として設けられる。裏面層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。また、裏面層を形成する材料には、必要に応じて、フィラーや帯電防止剤、蛍光増白剤等の公知の添加剤を添加してもよい。
【実施例】
【0033】
以下、図1を参照しつつ、実施例(実施例1〜5、比較例1〜3)を用いて、本発明の効果を検証する。なお、以降の説明で「部」と記載されている場合、特に断りのない限りは、質量基準を示す。また、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下に説明する、実施例及び比較例においては、熱転写受像シート中空層基材、及び熱転写受像シートを、以下に示す方法で作製した。
【0034】
・熱転写受像シート中空層基材の作製
・実施例1
基材として、188μmの易接着処理PET(Wv=0.2)を使用した。その一方の面に、下記に示す組成の中空層インキ(中空層200を形成するためのインキ、以下、「中空層インキ―1」と記載する)を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布厚が4.0μmになるように塗布し、温度100℃で10分間乾燥することで、中空層200を形成し、熱転写受像シート中空層基材Aを作製した。
【0035】
・中空層インキ−1
中空層インキ−1の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 35.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 52.5部
純水 12.0部
【0036】
・実施例2
実施例1で作製した熱転写受像シート中空層基材において、基材100を、190μmの両面レジンコート紙(Wv=1.4)を使用し、中空層200を下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−2」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートAと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Bを得た。
【0037】
・中空層インキ−2
中空層インキ−2の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 35.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 52.5部
炭酸−重炭酸緩衝液(0.1mol/l pH9.2) 12.0部
【0038】
・実施例3
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−3」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Cを得た。
【0039】
・中空層インキ−3
中空層インキ−3の組成は次の通りである。
天然ゴムラテックス(LATEX LA) 29.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 58.5部
炭酸−重炭酸緩衝液(0.1mol/l pH9.2) 12.0部
【0040】
・実施例4
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−4」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Dを得た。
【0041】
・中空層インキ−4
中空層インキ−4の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 24.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイク Ultra) 63.5部
炭酸−重炭酸緩衝液(0.1mol/l pH9.2) 12.0部
【0042】
・実施例5
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−5」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Eを得た。
【0043】
・中空層インキ−5
中空層インキ−5の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 35.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 52.5部
リン酸緩衝液(0.2mol/l pH8.0) 12.0部
【0044】
・実施例6
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−6」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Fを得た。
【0045】
・中空層インキ−6
中空層インキ−6の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 35.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 52.5部
2x Trisホウ酸EDTA(TBE)緩衝液(pH8.1) 12.0部
【0046】
・比較例1
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、上記の中空層インキ−1とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Gを得た。
【0047】
・比較例2
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−7」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Hを得た。
【0048】
・中空層インキ−7
中空層インキ−7の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 35.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 52.5部
クエン酸−リン酸緩衝液(0.2mol/l pH7.2) 12.0部
【0049】
・比較例3
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−8」と記載する)とした以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Iを得た。
【0050】
・中空層インキ−8
中空層インキ−8の組成は次の通りである。
SBRラテックス(商品名:LX430) 35.5部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 52.5部
炭酸水素ナトリウム水溶液(2.5% pH8.0) 12.0部
【0051】
・比較例4
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、基材100を、190μmの両面レジンコート紙(Wv=2.6)を使用した以外は、熱転写受像シートBと同様にして、熱転写受像シート中空層基材Jを得た。
【0052】
・比較例5
実施例2で作製した熱転写受像シート中空層基材において、中空層200を、下記に示す組成のインキ(以下「中空層インキ−9」と記載する)とした以外は、熱転写受像シート中空層基材Kを得た。
【0053】
・中空層インキ−9
中空層インキ−9の組成は次の通りである。
ポリウレタン水分散体(商品名:スーパーフレックス210) 42.0部
中空粒子分散液(商品名:ローペイクSN−1055) 48.0部
炭酸−重炭酸緩衝液(0.1mol/l pH9.2) 10.0部
【0054】
・染料受容層の形成
得られた熱転写受像シート中空層基材A〜Kについて、中空層の基材とは反対側の面に染料受容層塗布液を、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥し、それぞれ実施例a〜kの熱転写受像シートを得た。
【0055】
・染料受容層塗布液
染料受容層塗布液の組成は次の通りである。
塩化ビニル−アクリルエマルジョン(固形分40%) 98.3部
(商品名:ビニブラン900)
ポリエーテル変性シリコーン(商品名:KF−6012) 0.4部
イソシアネート系硬化剤(商品名:DNW−6000) 1.3部
【0056】
・熱転写記録媒体の作製
基材として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に下記に示す組成の耐熱滑性層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥し、耐熱滑性層付き基材を得た。次に、耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記に示す組成の熱転写層塗布液を、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布、乾燥して熱転写層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0057】
・耐熱滑性層塗布液
耐熱滑性層塗布液の組成は次の通りである。
シリコーン系アクリルグラフトポリマー 50.0部
(商品名:US−350)
メチルエチルケトン 50.0部
【0058】
・熱転写層塗布液
熱転写層塗布液の組成は次の通りである。
C.I.ソルベントブルー36 2.5部
C.I.ソルベントブルー63 2.5部
ポリビニルアセタール樹脂 5.0部
トルエン 45.0部
メチルエチルケトン 45.0部
【0059】
[評価]
・中空層平滑性評価
得られた熱転写受像シート中空層基材について、その表面を接触式の微細形状測定機ET4000(小坂研究所製)にて測定し、うねり曲線の最大谷深さWvの測定を行った。
・インキ緩衝液成分比率
調液した各中空層インキについて、そのインキ全体の固形分に対するpH緩衝液の固形分の割合を算出した。
・インキpH測定
調液した各中空層インキについて、その25℃時におけるpHを、pHメータ(商品名:D−71、堀場製作所製 ガラス電極式pHメータ)を用いて測定した。
【0060】
・印画評価
実施例1〜6、比較例1〜5の熱転写受像シート及び熱転写記録媒体を使用し、300dpi、10msec/line、0.5mJ/dotの設定にてベタ画像の印画を行い、画質の評価を行った。画質の評価は、以下の基準で実施した。
○:印画物の濃度が均一であり画質に優れている
×:印画物に濃淡ムラが発生し、実用上問題がある
【0061】
[評価結果]
表1に、各水準の評価結果を一覧にして示す。
【表1】
【0062】
表1に示す結果から分かるように、中空層が、中空粒子とバインダー樹脂とからなり、バインダー樹脂が天然ゴム及び合成ゴムの少なくとも一方のゴムを主成分とし、かつ中空層の表面のうねり曲線の最大谷深さWvを2.0μm以下とすることによって、画質に優れた熱転写受像シートを作製でき、発明の効果を確認できた。
【0063】
これに対して比較例1では、pH緩衝液を含んでいないため、充分な中空粒子の分散性を得ることができず、最大谷深さWvが2.0μmより大きくなり、レジンコート紙を基材とした場合には充分な画質を得ることができなかった。
比較例2では、pH緩衝液を含んでいるものの、インキのpHが8.0を下回っているため、充分な中空粒子の分散性を得ることができず、充分な画質を得ることができなかった。
比較例3では、pH緩衝液の代わりとして炭酸水素ナトリウム水溶液を添加しpHを調整したが、充分な中空粒子の分散性を得ることができず、最大谷深さWvが2.0μmより大きくなり、充分な画質を得ることができなかった。
【0064】
比較例4では、pH緩衝液を添加した、SBRをバインダーとする中空層を形成したが、基材の粗さが強すぎるため中空層で充分に平滑化させることが出来ず、最大谷深さWvが2.0μmより大きくなり、充分な画質を得ることができなかった。
比較例5では、最大谷深さWvを2.0μm以下となっているが、バインダーとしてポリウレタンを用いたため、中空層に充分なクッション性を持たせることができず、充分な画質を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明により得られる熱転写受像シートは、昇華転写方式のプリンタに使用することが可能であり、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に、広く利用することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 基材
200 中空層
300 染料受容層
図1