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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203532(P2020-203532A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の車体フレーム
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/32 20060101AFI20201127BHJP
【FI】
   B62K19/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-111248(P2019-111248)
(22)【出願日】2019年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 朋弥
(72)【発明者】
【氏名】細谷 享平
(72)【発明者】
【氏名】河瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 慎哉
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BJ04
(57)【要約】
【課題】車体フレームの応力集中を抑制可能な鞍乗り型車両の車体フレームを提供する。
【解決手段】車体フレーム11は、ヘッドパイプ21の上部から左右一対のメインフレーム22が後下方に延びるとともに、ヘッドパイプ21の下部からダウンフレーム26が後下方に延び、車体フレーム11は、ヘッドパイプ21に接合されるガセット85が設けられ、ガセット85は、左右のメインフレーム22の内側壁部22x間に配置された中央壁部85aと、中央壁部85aから下方へ延びてダウンフレーム26の外側面26bに接合される下部延出部85cとを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(21)の上部から左右一対のメインフレーム(22)が後下方に延びるとともに、前記ヘッドパイプ(21)の下部からダウンフレーム(26)が後下方に延びる鞍乗り型車両の車体フレームであって、
前記ヘッドパイプ(21)に接合される補強部材(85)が設けられ、前記補強部材(85)は、左右の前記メインフレーム(22)の内側壁部(22x)間に配置された縦壁部(85a)と、前記縦壁部(85a)から下方へ延びて前記ダウンフレーム(26)の側面(26b)に接合される下部延出部(85c)とを備えることを特徴とする鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項2】
前記ダウンフレーム(26)は、前壁部(26g)と、前記前壁部(26g)の後方に対向する後壁部(26f)と、前記前壁部(26g)及び前記後壁部(26f)のそれぞれの両端を接続する左右一対の側壁部(26h)とを備える断面台形状に形成され、台形の上底に対応する前記後壁部(26f)が、台形の下底に対応する前記前壁部(26g)よりも車幅方向の幅が狭く、前記補強部材(85)の前記下部延出部(85c)は、左右の前記側壁部(26h)の前記側面(26b)に接合されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項3】
前記補強部材(85)は、鍛造品であることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項4】
前記補強部材(85)の前記下部延出部(85c)は、前記ダウンフレーム(26)の左右の前記側壁部(26h)に沿って下方に向かって次第に幅狭となるように設けられ、前記下部延出部(85c)の後縁(85e)は、前記ダウンフレーム(26)の長手方向に対して傾斜することを特徴とする請求項2又は3に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項5】
前記メインフレーム(22)と前記補強部材(85)との合わせ部(92)には、前記メインフレーム(22)と前記補強部材(85)とを位置決めする位置決め部(93)が設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項6】
前記補強部材(85)は、前記縦壁部(85a)の左右端から前記メインフレーム(22)のそれぞれの前記内側壁部(22x)に沿って後側に延びて前記内側壁部(22x)に接合される左右一対の上部延出部(85b)を備えることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項7】
前記ヘッドパイプ(21)は、前記メインフレーム(22)の上壁部(22w)から前記内側壁部(22x)に沿って延びる上側延出部(21a)と、前記ダウンフレーム(26)の前記側壁部(26h)に沿って延びる下側延出部(21c)とを備え、前記上側延出部(21a)は、前記補強部材(85)の前記縦壁部(85a)と接合され、前記下側延出部(21c)は、前記ダウンフレーム(26)の前記側壁部(26h)と接合されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項8】
左右の前記メインフレーム(22)の後端部には、それぞれ下方に延びるピボットフレーム(23)が接続され、前記ダウンフレーム(26)の下端部には、フロントジョイント(27)を介して左右一対のロアフレーム(28)が接続され、左右の前記ロアフレーム(28)の後端部が、それぞれ前記ピボットフレーム(23)に接続され、
前記フロントジョイント(27)の前記ダウンフレーム(26)との接続部(27n)は、前方に向かって広がり、前記ダウンフレーム(26)の前記後壁部(26f)及び左右の前記側壁部(26h)に接続されることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【請求項9】
左右の前記ピボットフレーム(23)の各上端部は、後輪(16)から伝わる衝撃を緩和するクッションユニット(55)の一端部が連結されるクッションアッパーブラケット(54)で接続され、左右の前記ピボットフレーム(23)の各上端部に接続される前記メインフレーム(22)の後端(22j)は、側面視で前記クッションアッパーブラケット(54)の前記ピボットフレーム(23)への接続部(11C)よりも後方に位置することを特徴とする請求項8に記載の鞍乗り型車両の車体フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の車体フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダウンフレームの後面に補強部材を設ける場合、大きな応力が加わるため、ダウンフレームの後面部のガセットを大きくして強度を保つ車体フレームが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、左右のメインフレームの後端部にそれぞれ左右のピボットプレートの上端部が接続され、左右のピボットプレートの上端部が、緩衝器の上端部を支持する上部クロスメンバで接続された車体フレームが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5765114号公報
【特許文献2】特許第5618856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車体フレームでは、軽量化と操安性の向上のため、車体フレームの断面を小さくしたり、薄肉部を増やしたりすると、車体フレームの撓みによって、車体フレームの接合部や接合部近傍などに応力が集中することがある。
また、特許文献2の車体フレームにおいても、特許文献1と同様に、車体フレームの接続部の応力集中が懸念される。
上記した特許文献1及び特許文献2において、車体フレームの応力集中を抑えて強度を確保することが望まれる。
本発明の目的は、車体フレームの応力集中を抑制しつつ、軽量化及び操安性の向上が可能な鞍乗り型車両の車体フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車体フレームは、ヘッドパイプ(21)の上部から左右一対のメインフレーム(22)が後下方に延びるとともに、前記ヘッドパイプ(21)の下部からダウンフレーム(26)が後下方に延びる鞍乗り型車両の車体フレームであって、前記ヘッドパイプ(21)に接合される補強部材(85)が設けられ、前記補強部材(85)は、左右の前記メインフレーム(22)の内側壁部(22x)間に配置された縦壁部(85a)と、前記縦壁部(85a)から下方へ延びて前記ダウンフレーム(26)の側面(26b)に接合される下部延出部(85c)とを備えることを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記ダウンフレーム(26)は、前壁部(26g)と、前記前壁部(26g)の後方に対向する後壁部(26f)と、前記前壁部(26g)及び前記後壁部(26f)のそれぞれの両端を接続する左右一対の側壁部(26h)とを備える断面台形状に形成され、台形の上底に対応する前記後壁部(26f)が、台形の下底に対応する前記前壁部(26g)よりも車幅方向の幅が狭く、前記補強部材(85)の前記下部延出部(85c)は、左右の前記側壁部(26h)の前記側面(26b)に接合されるようにしても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記補強部材(85)は、鍛造品であっても良い。
また、上記構成において、前記補強部材(85)の前記下部延出部(85c)は、前記ダウンフレーム(26)の左右の前記側壁部(26h)に沿って下方に向かうにつれて次第に幅狭となるように設けられ、前記下部延出部(85c)の後縁(85e)は、前記ダウンフレーム(26)の長手方向に対して傾斜するようにしても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記メインフレーム(22)と前記補強部材(85)との合わせ部(92)には、前記メインフレーム(22)と前記補強部材(85)とを位置決めする位置決め部(93)が設けられていても良い。
【0009】
また、上記構成において、前記補強部材(85)は、前記縦壁部(85a)の左右端から前記メインフレーム(22)のそれぞれの前記内側壁部(22x)に沿って後側に延びて前記内側壁部(22x)に接合される左右一対の上部延出部(85b)を備えても良い。
【0010】
また、上記構成において、前記ヘッドパイプ(21)は、前記メインフレーム(22)の上壁部(22w)から前記内側壁部(22x)に沿って延びる上側延出部(21a)と、前記ダウンフレーム(26)の前記側壁部(26h)に沿って延びる下側延出部(21c)とを備え、前記上側延出部(21a)は、前記補強部材(85)の前記縦壁部(85a)と接合され、前記下側延出部(21c)は、前記ダウンフレーム(26)の前記側壁部(26h)と接合されるようにしても良い。
【0011】
また、上記構成において、左右の前記メインフレーム(22)の後端部には、それぞれ下方に延びるピボットフレーム(23)が接続され、前記ダウンフレーム(26)の下端部には、フロントジョイント(27)を介して左右一対のロアフレーム(28)が接続され、左右の前記ロアフレーム(28)の後端部が、それぞれ前記ピボットフレーム(23)に接続され、前記フロントジョイント(27)の前記ダウンフレーム(26)との接続部(27n)は、前方に向かって広がり、前記ダウンフレーム(26)の前記後壁部(26f)及び左右の前記側壁部(26h)に接続されるようにしても良い。
【0012】
また、上記構成において、左右の前記ピボットフレーム(23)の各上端部は、後輪(16)から伝わる衝撃を緩和するクッションユニット(55)の一端部が連結されるクッションアッパーブラケット(54)で接続され、左右の前記ピボットフレーム(23)の各上端部に接続される前記メインフレーム(22)の後端(22j)は、側面視で前記クッションアッパーブラケット(54)の前記ピボットフレーム(23)への接続部(11C)よりも後方に位置するようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
車体フレームは、ヘッドパイプに接合される補強部材が設けられ、補強部材は、左右のメインフレームの内側壁部間に配置された縦壁部と、縦壁部から下方へ延びてダウンフレームの側面に接合される下部延出部とを備えるので、ダウンフレームの側面に下部延出部を接合することで、ヘッドパイプからダウンフレームに作用する荷重を下部延出部で受けて、ダウンフレームの後面の応力集中を抑制することができ、車体フレームの強度を確保することができる。
【0014】
上記構成において、ダウンフレームは、前壁部と、前壁部の後方に対向する後壁部と、前壁部及び後壁部のそれぞれの両端を接続する左右一対の側壁部とを備える断面台形状に形成され、台形の上底に対応する後壁部が、台形の下底に対応する前壁部よりも車幅方向の幅が狭く、補強部材の下部延出部は、左右の側壁部の側面に接合されるので、ダウンフレームの断面を台形とすることで、補強部材を切削加工なしでダウンフレームとの合わせが良好となる。また、ダウンフレームの断面積を小さくして、車体フレーム全体の剛性を上げ過ぎずに一定の剛性にすることができ、乗り心地や操安性を向上できる。
【0015】
また、上記構成において、補強部材は、鍛造品であるので、ヘッドパイプ、左右のメインフレーム及びダウンフレームに接続する補強部材を一体に成形でき、且つ、鍛造品にすることで薄肉で小型化することができる。また、ダウンフレームの断面が台形であるので、補強部材を切削加工せずにダウンフレームとの合わせが良好となる。
【0016】
また、上記構成において、補強部材の下部延出部は、ダウンフレームの左右の側壁部に沿って下方に向かって次第に幅狭となるように設けられ、下部延出部の後縁は、ダウンフレームの長手方向に対して傾斜するので、ダウンフレームと補強部材とが斜めに交差することで応力が緩和されて強度が向上する。
【0017】
また、上記構成において、メインフレームと補強部材との合わせ部には、メインフレームと補強部材とを位置決めする位置決め部が設けられているので、メインフレームと補強部材との位置合わせが容易となり、組付性を向上できる。
【0018】
また、上記構成において、補強部材は、縦壁部の左右端からメインフレームのそれぞれの内側壁部に沿って後側に延びて内側壁部に接合される左右一対の上部延出部を備えるので、ヘッドパイプと左右のメインフレームとの接続部を補強できる。
【0019】
また、上記構成において、ヘッドパイプは、メインフレームの上壁部から内側壁部に沿って延びる上側延出部と、ダウンフレームの側壁部に沿って延びる下側延出部とを備え、上側延出部は、補強部材の縦壁部と接合され、下側延出部は、ダウンフレームの側壁部と接合されるので、ヘッドパイプと、ダウンフレーム及び補強部材との接合強度を高めることができる。
【0020】
また、上記構成において、左右のメインフレームの後端部には、それぞれ下方に延びるピボットフレームが接続され、ダウンフレームの下端部には、フロントジョイントを介して左右一対のロアフレームが接続され、左右のロアフレームの後端部が、それぞれピボットフレームに接続され、フロントジョイントのダウンフレームとの接続部は、前方に向かって広がり、ダウンフレームの後壁部及び左右の側壁部に接続されるので、ダウンフレームの断面台形形状は、フロントジョイントに対しても補強部材との合わせ部と同様に、フロントジョイントとの合わせが良好となる。
【0021】
また、上記構成において、左右のピボットフレームの各上端部は、後輪から伝わる衝撃を緩和するクッションユニットの一端部が連結されるクッションアッパーブラケットで接続され、左右のピボットフレームの各上端部に接続されるメインフレームの後端は、側面視でクッションアッパーブラケットのピボットフレームへの接続部よりも後方に位置するので、クッションユニットから荷重が加えられるクッションアッパーブラケットの接続部から、メインフレームとピボットフレームとの接続部を逃がすことで、接続部に作用する応力を抑制して車体フレームの強度を確保し、また、メインフレームで効率良く上記荷重を支えることができる。更に、メインフレームとピボットフレームとが重なる部分に肉抜きを形成可能となり、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態の車体フレームを備える自動二輪車を示す左側面図である。
図2】車体フレームを示す左側面図である。
図3】ガセット及びその周囲を示す斜視図である。
図4】車体フレームの前部を示す左側面図である。
図5】ガセットを斜め前方から見た斜視図である。
図6】ガセットを斜め後方から見た斜視図である。
図7】車体フレームの前部を車体中心線に沿って切断した断面図である。
図8図2のVIII−VIII線断面図である。
図9図2のIX−IX線断面図である。
図10】左右のメインフレームとガセットとの位置決め構造を示す図であり、状態図Bは左右のメインフレームに対してガセットが位置決めされた状態を示す左側面図、状態図Cはメインフレームの内側面を示す右側面図である。
図11】車体フレームの下部を示す斜視図である。
図12】ピボットフレームとクッションアッパーブラケットとの接続部及びその周囲を示す斜視図である。
図13】ピボットフレームの上端部における接続部を示す左側面図である。
図14図13のXIV−XIV線断面図である。
図15】フロントジョイントを示す背面図である。
図16図4のXVI−XVI線断面図である。
図17】フロントジョイント及びその周囲を示す斜視図である。
図18】バッテリ装置を示す斜視図である。
図19図1のXIX−XIX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ自動二輪車10の車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明の実施形態の車体フレーム11を備える自動二輪車10を示す左側面図、図2は、車体フレーム11を示す左側面図である。
図1に示すように、自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して支持された前輪13と、車体フレーム11の後部下部にスイングアーム14を介して支持された後輪16と、車体フレーム11の上部に支持されたシート17とを備える。このように、自動二輪車10は、運転者がシート17に跨って乗車する鞍乗り型車両である。
【0024】
図1及び図2に示すように、車体フレーム11は、ヘッドパイプ21、左右一対のメインフレーム22、左右一対のピボットフレーム23、左右一対のシートフレーム24、サブフレーム25、ダウンフレーム26、フロントジョイント27、左右一対のロアフレーム28を備える。
ヘッドパイプ21は、車体フレーム11の前端部を構成し、フロントフォーク12を操舵可能に支持している。左右のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21の上部から後方斜め下方に延び、シート17の前方に配置された燃料タンク31を支持している。左右のピボットフレーム23は、左右のメインフレーム22の後端部からそれぞれ後方に凸状に湾曲しつつ下方に延びている。左右のピボットフレーム23には、スイングアーム14の前端部を揺動可能に支持するピボット軸33が渡されている。
【0025】
左右のシートフレーム24は、左右のメインフレーム22からそれぞれ後方に延びてシート17を支持している。
サブフレーム25は、左右一対の上フレーム25A及び左右一対の下フレーム25Bからなり、左右の上フレーム25A及び左右の下フレーム25Bは、それぞれ左右のピボットフレーム23の上部と左右のシートフレーム24の後部とに接続されている。
ダウンフレーム26は、ヘッドパイプ21の後部下部から左右のメインフレーム22よりも下方を下方斜め後方に延び、ダウンフレーム26の下端部は、フロントジョイント27を介して左右のロアフレーム28に接続されている。
【0026】
フロントジョイント27は、下部が二股に分岐して左右のロアフレーム28に接続される。フロントジョイント27の上部と左右のメインフレーム22とは、前方に凸状に湾曲した補強パイプ34により接続されている。補強パイプ34は、車体フレーム11の一部を構成し、両端部が左右のメインフレーム22にそれぞれ接続され、車両側面視では、前後方向に延びている。
左右のロアフレーム28は、フロントジョイント27の下端部からそれぞれ下方に延び、更に後方に延びて左右のピボットフレーム23の下端部にそれぞれ接続されている。
左右のメインフレーム22、フロントジョイント27及び左右のロアフレーム28にはエンジン35が支持されている。
【0027】
図1において、フロントフォーク12は、その上端部でバーハンドル37を支持し、下端部で前車軸38を介して前輪13を支持している。スイングアーム14は、後端部で後車軸39を介して後輪16を支持している。
エンジン35は、クランクケース41と、クランクケース41の前部上部から上方に延びるシリンダ部42とを備える。
【0028】
クランクケース41の後部には、変速機44が一体的に設けられている。
シリンダ部42は、シリンダヘッド46を備え、シリンダヘッド46の後部に吸気装置(不図示)が接続され、前部に排気装置48が接続されている。排気装置48は、シリンダヘッド46に接続された排気管51と、排気管51の後端部に接続されたマフラ52とを備える。
左右のピボットフレーム23の上端部間には、車幅方向に延びるクッションアッパーブラケット54(図2及び図11参照)が渡され、クッションアッパーブラケット54には、後輪16から車体フレーム11に伝わる衝撃を緩和する緩衝器であるクッションユニット55の上端部が連結されている。
【0029】
車体フレーム11の一部は、車体カバー60で覆われている。
車体カバー60は、フロントカバー61、左右一対のラジエータシュラウド62、左右一対のサイドカバー63などから構成される。
フロントカバー61は、フロントフォーク12の上部を前方から覆う。フロントカバー61は、ステー(不図示)を介してフロントフォーク12に取付けられている。左右のラジエータシュラウド62は、ラジエータ(不図示)、左右のメインフレーム22の上部、ダウンフレーム26、フロントジョイント27の上部を側方から覆う。左右のサイドカバー63は、左右のシートフレーム24及びサブフレーム25を側方から覆う。
【0030】
変速機44の出力軸にはドライブスプロケット72が取付られ、後輪16にはドリブンスプロケット73が取付けられ、ドライブスプロケット72とドリブンスプロケット73とにチェーン74が掛け渡されて、変速機44から後輪16にチェーン74を介して動力が伝達される。
前輪13は、上方からフロントフェンダ76に覆われている。後輪16は、上方からリヤフェンダ77に覆われている。ピボットフレーム23の下端部には運転者用ステップ81が設けられている。運転者用ステップ81の前方にはギアチェンジペダル82が配置されている。
クッションユニット55の下端部は、左右のピボットフレーム23の下端部側とスイングアーム14とに連結されたリンク機構83に連結されている。
一側(左側)のピボットフレーム23の上部には、バッテリ101が収納されたバッテリ装置84が取付けられている。
【0031】
図2において、車体フレーム11の前部は、ガセット85で補強されている。ガセット85は、ヘッドパイプ21と左右のメインフレーム22とが接続される左右一対の接続部11A、ヘッドパイプ21とダウンフレーム26とが接続される接続部11Bをそれぞれ補強している。
ガセット85は、鍛造により成形された鍛造品であり、ヘッドパイプ21、左右のメインフレーム22及びダウンフレーム26に溶接により接合されている。ガセット85には機械加工が施されていないため、ガセット85のコストが抑えられている。
【0032】
左右のピボットフレーム23の上端部の下側には、エンジン35(図1参照)の上部をそれぞれ支持する左右一対の上部エンジンハンガ87が設けられる。フロントジョイント27の下部には、エンジン35の前部をそれぞれ支持する左右一対の前部エンジンハンガ88が設けられる。左右のロアフレーム28には、エンジン35の下部をそれぞれ支持する左右一対の下部エンジンハンガ89が設けられている。
クッションアッパーブラケット54は、車幅方向に延びる棒状のブラケット本体54a(図11参照)と、クッションユニット55(図1参照)の上端部を揺動可能に支持するためにブラケット本体54aから上方斜め後方に延ばされた左右一対のクッション支持アーム部54bとを一体に備える。
【0033】
図3は、ガセット85及びその周囲を示す斜視図である。
なお、図3では、便宜上、一方(左側)のメインフレーム22を省いている。
ヘッドパイプ21は、上端部の後部から後側に延びる上側延出部21aと、左右のメインフレーム22の各前端面を当てて接合するために膨出された上側膨出部21bと、下端部の後部から下方斜め後方に延びる下側延出部21c(図4も参照)とを一体に備える。
上側延出部21aは、後方に向かうにつれて次第に左右のメインフレーム22の上面22aよりも下方に湾曲しつつ延びている。上側延出部21aの下端部には、ガセット85が接合されている。
下側延出部21cは、ダウンフレーム26の前面26a(図4参照)に沿って後下がりに延び、前面26aと、両側の外側面26bの一部とに接合されている(図4も参照)。
【0034】
ガセット85は、中央壁部85a、左右一対の上部延出部85b、左右一対の下部延出部85c、左右一対の側方延出部85d(一方の側方延出部85dのみ図示)を一体に備える。
中央壁部85aの上端部は、ヘッドパイプ21の上側延出部21aの後端部に後方から接合され、中央壁部85aの下端部は、ダウンフレーム26の後面26cに接合されている。
【0035】
左右の上部延出部85bは、中央壁部85aの上部側縁からそれぞれ後方に延びて左右のメインフレーム22の内側面22bに接合されている。
左右の下部延出部85cは、中央壁部85aの左右の下部側縁からそれぞれ前方及び下方に延びてダウンフレーム26の左右の外側面26b(一方の外側面26bのみ図示)に接合されている。
左右の側方延出部85dは、左右の上部延出部85bの各下縁及び左右の下部延出部85cの各上縁からそれぞれ側方に延びて左右のメインフレーム22の下面22c(図4参照)に接合されている。
【0036】
図4は、車体フレーム11の前部を示す左側面図である。
車両側面視で、左右のメインフレーム22、ダウンフレーム26、フロントジョイント27及び補強パイプ34は、三角形状の閉じた空間91を形成している。このように、閉じた空間91を形成するとともにガセット85を設けることで、車体フレーム11の前部の剛性を高めることができる。車体フレーム11では、左右のメインフレーム22及びダウンフレーム26の断面積が従来よりも小さくされているために上記した剛性アップは、過度ではなく、一定の剛性が確保されているため、乗り心地や操安性が向上している。
【0037】
ガセット85は、中央壁部85aでヘッドパイプ21に接合され、左右の上部延出部85b及び左右の側方延出部85dで左右のメインフレーム22に接合され、左右の下部延出部85cでダウンフレーム26に接合されている。なお、図中の矢印Aは、ガセット85を鍛造により成形する際の鍛造型での圧縮方向(又は型抜き方向)を示している。
このように、ガセット85でヘッドパイプ21、左右のメインフレーム22及びダウンフレーム26を結合した。この結果、ヘッドパイプ21と左右のメインフレーム22との接続部11A、ヘッドパイプ21とダウンフレーム26との接続部11Bにそれぞれ発生する応力を抑制するとともに車体フレーム11の前部の剛性を高めることができる。
【0038】
フロントジョイント27は、板状とされた上部ジョイント部27aと、上部ジョイント部27aの下部に設けられた下部ジョイント部27bとを一体に備える。
上部ジョイント部27aは、前方に開放された開口部27cを有する凹部27dと、上部の後部に後方に突出するように形成された後方突出部27eとを備える。
上部ジョイント部27aの凹部27d内であって開口部27cの縁部には、ダウンフレーム26の下端部に形成された側面視直線状の下端面26xが挿入され、開口部27cの縁部と、ダウンフレーム26の両側の外側面26b及び後面26cとが溶接されている。
後方突出部27eは、車幅方向に延びる凹状湾曲部27fを有し、凹状湾曲部27fに補強パイプ34の屈曲した前端34aが挿入されるとともに接合されている。
【0039】
下部ジョイント部27bは、左右に分岐した部分であり、上部に中空に設けられた左右一対の中空部27gと、それぞれの中空部27gの下部に設けられた左右一対のロアフレーム接続部27hとを一体に備える。
左右のロアフレーム接続部27hには、左右のロアフレーム28の上端部がそれぞれ接合されている。左右の中空部27gのそれぞれの前面27jは、前方に露出するとともに左右のロアフレーム28の上端部の前面28aと面一に配置されている。
左右の下部ジョイント部27bのそれぞれの後面27kに設けられた左右の前部エンジンハンガ88は、高さ方向で中空部27gとロアフレーム接続部27hとに亘って配置され、ロアフレーム28の上部の後方に配置されている。
【0040】
図5は、ガセット85を斜め前方から見た斜視図、図6は、ガセット85を斜め後方から見た斜視図である。
図5及び図6に示すように、中央壁部85aは、上部がほぼ平坦で、下部が下方に向かうにつれて次第に後方に湾曲している。
左右の上部延出部85bは、中央壁部85aから後方斜め下方(メインフレーム22(図3参照)が延びる方向)に向かうにつれて次第に側方に広がるように延びている。
【0041】
中央壁部85aと左右の上部延出部85bとの両側の角部85jから左右の上部延出部85bに亘って、左右のメインフレーム22(図4参照)との位置決めのためにそれぞれ突起85kが一体に設けられている。
左右の側方延出部85dは、メインフレーム22の下面22c(図4参照)に沿って前側に延びる平坦状の上面85hを有し、前側に向かうにつれて次第に車幅方向の幅が次第に狭くなる先細り形状に形成されている。左右の側方延出部85dの各内縁85mは、両方でU字状に形成されている。
左右一対の下部延出部85cは、中央壁部85a及び左右の側方延出部85dから下方に向かうにつれて次第に側方(車幅方向外側方)に広がるように延びている。
【0042】
図4において、ガセット85の左右の下部延出部85cの後縁85eは、直線状に形成され、車両側面視で、後縁85eは、ダウンフレーム26の前後幅の中央を通る中心線26Dに対して斜めに延びている。換言すれば、後縁85eは、車両側面視では、後上がりに傾いている。
後縁85eと中心線26Dとの成す角度θ1は、90°未満(鋭角)、好ましくは、60°以下、更に好ましくは、30〜60°に設定される。なお、中心線(中立線)26Dは、ダウンフレーム26を前後に曲げたときに伸びも縮みも発生しない中立面上にある。ガセット85の左右の下部延出部85cのそれぞれの先端85fは、中心線26Dに近接している。
【0043】
また、ガセット85の左右の上部延出部85bは、車両側面視で、左右のメインフレーム22のそれぞれの上下幅の中央を通る中心線22Dと重なり、また、左右の上部延出部85bのそれぞれの先端85gは、中心線22Dに近接している。なお、中心線(中立線)22Dは、メインフレーム22の中立面上にある。
また、ガセット85の左右の上部延出部85bの下側の斜辺85qは、直線状に形成され、車両側面視で、斜辺85qは、メインフレーム22の中心線22Dに対して斜めに延びている。斜辺85qと中心線22Dとの成す角度θ2は、90°未満、好ましくは、60°以下、更に好ましくは、30〜60°に設定される。
【0044】
図3及び図4に示したように、上記した下部延出部85cの先端85f及び上部延出部85bの先端85gは、溶接の端部となっていて応力集中しやすい部分である。これらの先端85f,85gをダウンフレーム26及びメインフレーム22の応力が抑えられる各中立面上に位置する中心線26D,22Dに近接させることで、発生する応力を抑えることができ、車体フレーム11の前部の強度を向上できる。
【0045】
また、高応力が発生しやすいメインフレーム22の角部22e及びダウンフレーム26の角部26eにガセット85の縁部(後縁85e及び斜辺85q)が斜めに交差するので、メインフレーム22及びダウンフレーム26に発生する主応力の方向(角部22e,26eの稜線に沿った方向)と溶接ビードの方向を斜めにずらすことができ、強度を向上できる。
また、ガセット85の中央壁部85a、左右の上部延出部85b、左右の下部延出部85c、左右の側方延出部85dと、ヘッドパイプ21、左右のメインフレーム22、ダウンフレーム26との溶接継手は、重ね継手であるため、例えば、T字状に溶接するT継手に比べて溶接部への応力集中を抑制できる。
【0046】
図7は、車体フレーム11の前部を車体中心線に沿って切断した断面図、図8は、図2のVIII−VIII線断面図、図9は、図2のIX−IX線断面図である。
図7に示すように、中央壁部85aは、上端側から下方に向けて延びた後に、後方に向けて湾曲する下部湾曲部85nを下部に備え、下部湾曲部85nが、ダウンフレーム26の後面26cに接合されている。
左右の上部延出部85b(一方の上部延出部85bのみ図示)は、それぞれ車両側面視で、略三角形状に形成され、上側の斜辺85pは、中央壁部85aから下方斜め後方に延び、下側の斜辺85qは、中央壁部85a側から上方斜め後方に延びている。2つの斜辺85p,85qの間の角部である先端85gは、後方に凸となる円弧状に形成され、先端85gが中心線22D(図4参照)に接近しているので、先端85gに発生する応力を低減できる。
下側の斜辺85qには、左右の側方延出部85dが連続している。
左右の側方延出部85dは、メインフレーム22の下面22cに接合されている。
【0047】
図8に示すように、メインフレーム22は、矩形の横断面に形成され、上下方向の中央部を補強する平板状の接続部22gを備える。
メインフレーム22は、上部に位置する上壁部22w、内側面22bを有する内側壁部22x、外側面22fを有する外側壁部22y、下部に位置する下壁部22z、内側壁部22x及び外側壁部22yのそれぞれを接続する接続部22gを一体に備える。
ダウンフレーム26は、左右対称な横断面台形状に形成され、台形の上底、下底、対向する2つの脚(斜辺)に相当する後壁部26f、前壁部26g及び左右一対の側壁部26hを備える。このダウンフレーム26の後側の左右一対の角部26e及び前側の左右一対の角部26jは、それぞれ円弧状に形成され、左右の角部26eは、左右の角部26jよりも大きな半径の円弧に形成されている。
【0048】
前壁部26gは、後壁部26fよりも板厚が厚く且つ後壁部26fよりも車幅方向外側まで延びている。
左右の側壁部26hは、後方に向かうにつれて次第に左右の間隔が狭くなるように傾斜し、左右の側壁部26hにガセット85の左右の下部延出部85cがそれぞれ接合されている。左右の下部延出部85cは、左右の側壁部26hに沿うように傾斜している。
【0049】
図9に示すように、左右のメインフレーム22の先端部は、ヘッドパイプ21の上側膨出部21bに接合されている。
また、左右の上部延出部85bは、左右のメインフレーム22のそれぞれの内側面22bに沿うように後方に向かうにつれて次第に広がる形状に形成され、各内側面22bに接合されている。
【0050】
図10は、左右のメインフレーム22とガセット85との位置決め構造を示す図である。
上側に示す状態図Bは、左右のメインフレーム22に対してガセット85が位置決めされた状態を示す左側面図であり、下側に示す状態図Cは、メインフレーム22の内側面22bを示す右側面図である。
状態図Bに示すように、左右のメインフレーム22とガセット85の左右の上部延出部85bとの接続部92には、左右のメインフレーム22とガセット85とを位置決めする左右一対の位置決め部93が設けられている。
左右の突起85kは、輪郭が長円85sに形成され、長円85sの長軸85tは、ガセット85の鍛造型の型抜き方向に沿って形成されている。
【0051】
状態図Cに示すように、メインフレーム22の内側面22bには、突起85kの長軸85tと同じ角度に傾斜した長軸を有する長穴22hが形成されている。
上記した突起85kと長穴22hとは、位置決め部93を構成する。
左右のメインフレーム22の長穴22hには、上記したガセット85の左右の突起85kが嵌り、左右のメインフレーム22に対してガセット85が位置決めされる。これにより、ガセット85が位置決めされ状態で左右のメインフレーム22にガセット85を接合でき、ガセット85の組付精度と組付作業性とを向上できる。
【0052】
図11は、車体フレーム11の下部を示す斜視図である。
フロントジョイント27の下部ジョイント部27bは、逆Y字状に車幅方向に分岐し、上下方向に延びる左右のロアフレーム接続部27hの後部にそれぞれ左右の前部エンジンハンガ88が一体に設けられている。
車体フレーム11は、左右のピボットフレーム23の上端部同士を接続するクッションアッパーブラケット54と、左右のピボットフレーム23の下部同士を接続してリンク機構83(図1参照)を支持するリンクブラケット94とを備える。
【0053】
ピボットフレーム23の上端部とクッションアッパーブラケット54の端部との接続部11Cの車幅方向外側には、ピボットフレーム23の上端部とメインフレーム22の下端部との接続部11D(一方の接続部11Dのみ図示)が配置されている。接続部11Dでは、ピボットフレーム23の外側にメインフレーム22が接続されている。
左右のピボットフレーム23の下部には、ピボット軸33(図1参照)が挿入されるピボット軸挿通穴23aがそれぞれ形成されている。
【0054】
図12は、ピボットフレーム23とクッションアッパーブラケット54との接続部11C及びその周囲を示す斜視図、図13は、ピボットフレーム23の上端部における接続部11C,11Dを示す左側面図、図14は、図13のXIV−XIV線断面図である。
図12に示すように、ピボットフレーム23の外側面23bの上端部には、先端面23cまで延びる上端部凹部23dが形成され、上端部凹部23dの底部に、ピボットフレーム23の内側面23e(図11参照)まで貫通する貫通穴23fが開けられている。
【0055】
図13に示すように、メインフレーム22、ピボットフレーム23及びクッションアッパーブラケット54は、車両側面視で重なる。また、接続部11Cと接続部11Dとが車両側面視で重なる。
メインフレーム22は、ピボットフレーム23に上端部凹部23dを車幅方向外側から塞ぐように接合される。
メインフレーム22の後端22jは、クッションアッパーブラケット54のブラケット本体54aよりも後方まで延びている。また、メインフレーム22の後端22jは、メインフレーム22の長手方向では、クッション支持アーム部54bを含むクッションアッパーブラケット54の全体よりも後側まで延びている。
このように、メインフレーム22の後端22jは、クッションアッパーブラケット54とピボットフレーム23との接続部11Cから離れているので、ピボットフレーム23とメインフレーム22との接続部11Dに、クッションアッパーブラケット54から遠ざけた部分を設けることができる。これにより、クッションアッパーブラケット54から伝わる荷重により接続部11Dに発生する応力を抑制できる。
【0056】
図14に示すように、左右のピボットフレーム23は、それぞれ上端部に、車幅方向内側に向かって徐々に先細りになって突出する上端突出部23xを備え、左右の上端突出部23xの先端部にクッションアッパーブラケット54の両端が接続される。
上端突出部23xの車幅方向外側には、容積の大きな上端部凹部23dを備えることで、応力集中を回避しつつ軽量化が図られている。
貫通穴23fは、上端部凹部23dに隣接する小径穴23gと、小径穴23gに隣接して小径穴23gよりも大径にされた大径穴23hとからなる。
大径穴23hには、クッションアッパーブラケット54の筒状とされたブラケット本体54aの端部が挿入されて接合されている。このように、小径穴23gと大径穴23hとを設けることで、大径穴23hにブラケット本体54aを挿入したときの挿入位置を規制するとともに、クッションアッパーブラケット54内の中空部の容積をより大きくでき、ピボットフレーム23を効果的に軽量にできる。
【0057】
また、メインフレーム22の後端部を斜めに切断して、メインフレーム22の中空部22kとピボットフレーム23の上端部凹部23dと連通させて一体の空間96を形成している。このような空間96を形成することで、メインフレーム22の後端部を斜めにしないで単にメインフレーム22の後端部をピボットフレーム23に接合するのに比べて空間96を大きくできる。この結果、メインフレーム22の後端部の軽量化を図りつつ、メインフレーム22とピボットフレーム23とでボックス形状を形成でき、接続部11Dの剛性を高めることができる。
【0058】
また、メインフレーム22の車幅方向内側にピボットフレーム23が配置され、ピボットフレーム23が、クッションアッパーブラケット54との接続部に上端突出部23xを備えるため、左右のピボットフレーム23間の間隔を小さくでき、クッションアッパーブラケット54を短縮できる。ピボットフレーム23の上端突出部23xも、貫通穴23fと上端部凹部23dとによって肉抜きされ、これにより、クッションアッパーブラケット54及び左右のピボットフレーム23の軽量化が図れる。
更に、メインフレーム22の後端部、ピボットフレーム23の上端部及びクッションアッパーブラケット54が車幅方向に重なるため、クッションユニット55(図1参照)からクッションアッパーブラケット54に入力される荷重を効率良くメインフレーム22に伝えることができる。
この結果、車体フレーム11の各部で上記荷重を分担でき、車体フレーム11での応力集中が抑えられ、車体フレーム11のより一様な撓みを得ることができるため、強度や操安性を向上できる。
【0059】
図15は、フロントジョイント27を示す背面図である。
フロントジョイント27の後方突出部27eは、上部ジョイント部27aの車幅方向の幅では最も幅広に形成されている。このように、後方突出部27eを車幅方向に幅広とすることで、後方突出部27eの凹状湾曲部27fに接合される補強パイプ34(図4参照)を強固に支持できる。
【0060】
また、下部ジョイント部27bの上部の分岐した部分である左右の中空部27gを設けることで、上部ジョイント部27aから分岐直後の中空部27gによって軽量化を図ることができ、フロントジョイント27の全体の剛性を調整し、操安性を向上できる。
更に、ロアフレーム接続部27hに前部エンジンハンガ88を設けることで、ロアフレーム28(図11参照)と前後に重ねられて剛性が向上したロアフレーム接続部27hによってエンジン35(図1参照)の前部を支持でき、エンジン35の支持剛性を向上できる。
【0061】
図16は、図4のXVI−XVI線断面図であり、ダウンフレーム26とフロントジョイント27との接続部97を示している。
ダウンフレーム26の左右の側壁部26hの外側面26bは、後方に向かうにつれて次第に近づくように前後方向に対して傾斜している。
フロントジョイント27の上部ジョイント部27aの凹部27dは、底壁27mと、底壁27mの両側縁から前方斜め外側方に延びる左右一対の側壁27nとから一体に形成される。底壁27mと左右の側壁27nとの角部には、後方に延びる左右一対の部品取付部27pが設けられている。
【0062】
左右の側壁27nのそれぞれの内側面27qは、ダウンフレーム26の左右の外側面26bに沿って延びるとともに各外側面26bの後端部に接合されている。
ダウンフレーム26の下部と、フロントジョイント27の上部ジョイント部27aとは、それぞれ横断面形状がU字状であり、ダウンフレーム26の断面の車幅方向の幅は、後方に向かって狭くなる。これにより、ダウンフレーム26を上部ジョイント部27aの凹部27dに組み付けが容易で、ダウンフレーム26の下部とフロントジョイント27の上部ジョイント部27aとを精度良く接合することができる。また、ダウンフレーム26と上部ジョイント部27aとにより、ボックス状の空間98を形成でき、車体フレーム11の剛性を向上させることができる。
【0063】
図17は、フロントジョイント27及びその周囲を示す斜視図である。
フロントジョイント27の左右の中空部27gは、それぞれ下端面27rを有する。左右の中空部27gには、それぞれ下端面27rから中空部27gの長手方向に沿って延びる軽量化のための穴部27sが開けられている。
左右の穴部27sのそれぞれの開口27tは、フロントジョイント27の左右のロアフレーム接続部27hに接合された左右のロアフレーム28によって塞がれている。これにより、穴部27s内に石や土が入り込むのを防止できる。
【0064】
左右のロアフレーム接続部27hは、後壁27u、内壁27v、外壁27wを一体に備える。後壁27u、内壁27v及び外壁27wは、それぞれ中空部27gから一体に下方に延びている。後壁27u、内壁27v及び外壁27wのそれぞれの上端は、中空部27gの下端面27rの後縁、内縁、外縁に一体に接続されている。
後壁27uには前部エンジンハンガ88が設けられ、内壁27v及び外壁27wには、左右のロアフレーム28の各側壁が接合されている。
【0065】
図18は、バッテリ装置84を示す斜視図である。
バッテリ装置84は、バッテリ101(図19参照)と、バッテリ101を収納するバッテリケース102と、バッテリ101を排気管51(図1参照)で発生する熱から保護する遮熱カバー103とから構成される。
バッテリケース102は、バッテリケース本体105と、バッテリケース本体105の開口部を塞ぐバッテリケースカバー106とからなる。
バッテリケース本体105は、ピボットフレーム23に固定するための複数のフレーム固定部107,108を備える。
複数のフレーム固定部107,108は、バッテリケース本体105の側壁105a,105bにそれぞれ設けられる。側壁105a,105bは、ここでは、四角形を形成する4つの側壁の一部を構成する。なお、バッテリケース本体105の側壁は、4つに限らなくても良い。
バッテリケースカバー106は、バッテリケース本体105に係止するための一対の係止部材111を備える。
遮熱カバー103は、バッテリケース本体105のバッテリケースカバー106とは反対側の面に複数のビス112で固定されている。
【0066】
図19は、図1のXIX−XIX線断面図である。
バッテリ装置84は、一側(左側)のピボットフレーム23にフレーム固定部107,108(図18参照)を介して片持ち支持されている。このように、バッテリ装置84を車体フレーム11の一部に片持ち支持することで、車体フレーム11へのバッテリ装置84の配置自由度を増すことができる。
【0067】
バッテリケース本体105の底壁105eには、側方に突出する一対のボス部105fが形成され、遮熱カバー103を貫通して一対のボス部105fにそれぞれねじ込まれたビス112によって、底壁105eに遮熱カバー103が固定されている。
遮熱カバー103は、底壁103aと、複数の側壁103b(図18参照),103cからなる箱状に形成され、遮熱カバー103とバッテリケース本体105の底壁105eとで密閉又は略密閉された空間114を形成している。
【0068】
遮熱カバー103の底壁103aは、排気管51から車幅方向に隔てて配置されている。底壁103aには湾曲するように凹んだ湾曲凹部103eが形成され、湾曲凹部103eは、排気管51の一部の外周面を囲むように形成されている。
バッテリ装置84の上方には、吸気装置を構成するスロットルボディ116が配置され、バッテリ装置84の後方には、クッションユニット55が配置されている。
上記したように、遮熱カバー103の排気管51とは反対側に空間114を形成することで、単にバッテリケース102を覆うのに比べて、空間114内の空気層を介して遮熱でき、遮熱効果を高めることができる。
【0069】
以上の図1図3及び図9に示したように、鞍乗り型車両としての自動二輪車10の車体フレーム11は、ヘッドパイプ21の上部から左右一対のメインフレーム22が後下方に延びるとともに、ヘッドパイプ21の下部からダウンフレーム26が左右のメインフレーム22よりも下方を後下方に延びる。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ21に接合される補強部材としてのガセット85が設けられ、ガセット85は、左右のメインフレーム22の内側壁部22x間に配置された縦壁部としての中央壁部85aと、中央壁部85aから下方へ延びてダウンフレーム26の外側面26bに接合される下部延出部85cとを備える。
【0070】
この構成によれば、ダウンフレーム26の外側面26bに下部延出部85cを接合することで、ヘッドパイプ21からダウンフレーム26に作用する荷重を下部延出部85cで受けて、ダウンフレーム26の後面26cの応力集中を抑制することができ、車体フレーム11の強度を確保することができる。
【0071】
また、図8に示したように、ダウンフレーム26は、前壁部26gと、前壁部26gの後方に対向する後壁部26fと、前壁部26g及び後壁部26fのそれぞれの両端を接続する左右一対の側壁部26hとを備える断面台形状に形成される。台形の上底に対応する後壁部26fが、台形の下底に対応する前壁部26gよりも車幅方向の幅が狭く、ガセット85の下部延出部85cは、左右の側壁部26hの外側面26bに接合される。
【0072】
この構成によれば、ダウンフレーム26の横断面を台形とすることで、ガセット85を切削加工なしでダウンフレーム26との合わせが良好となる。また、ダウンフレーム26の断面積を小さくして、車体フレーム11の全体の剛性を上げ過ぎずに一定の剛性にすることができ、乗り心地や操安性を向上できる。
【0073】
また、図5及び図6に示したように、ガセット85は、鍛造品である。
この構成によれば、ヘッドパイプ21、左右のメインフレーム22及びダウンフレーム26に接続するガセット85を一体に成形でき、且つ、鍛造品にすることで薄肉で小型化することができる。また、ダウンフレーム26の断面が台形であるので、ガセット85を切削加工せずにダウンフレーム26との合わせが良好となる。
【0074】
また、図4及び図8に示したように、ガセット85の下部延出部85cは、ダウンフレーム26の左右の側壁部26hに沿って下方に向かって次第に幅狭となるように設けられ、下部延出部85cの後縁85eは、ダウンフレーム26の長手方向に対して傾斜する。
この構成によれば、ダウンフレーム26とガセット85とが斜めに交差することで応力が緩和されて強度が向上する。
【0075】
また、図5及び図10に示したように、メインフレーム22とガセット85との合わせ部としての接続部92には、メインフレーム22とガセット85とを位置決めする位置決め部93が設けられている。
この構成によれば、メインフレーム22とガセット85との位置合わせが容易となり、組付性を向上できる。
【0076】
また、図3及び図9に示したように、ガセット85は、中央壁部85aの左右端からメインフレーム22のそれぞれの内側壁部22xに沿って後側に延びて内側壁部22xに接合される左右一対の上部延出部85bを備える。
この構成によれば、ヘッドパイプ21と左右のメインフレーム22との接続部11A(図4参照)を補強できる。
【0077】
また、図3図4及び図7に示したように、ヘッドパイプ21は、メインフレーム22の上壁部22wから内側壁部22xに沿って延びる上側延出部21aと、ダウンフレーム26の側壁部26hに沿って延びる下側延出部21cとを備え、上側延出部21aは、ガセット85の中央壁部85aと接合され、下側延出部21cは、ダウンフレーム26の側壁部26hと接合される。
この構成によれば、ヘッドパイプ21と、ダウンフレーム26及びガセット85との接合強度を高めることができる。
【0078】
また、図2図4図8及び図16に示したように、左右のメインフレーム22の後端部には、それぞれ下方に延びるピボットフレーム23が接続され、ダウンフレーム26の下端部には、フロントジョイント27を介して左右一対のロアフレーム28が接続され、左右のロアフレーム28の後端部が、それぞれピボットフレーム23に接続され、フロントジョイント27のダウンフレーム26との接続部としての側壁27nは、前方に向かって広がり、ダウンフレーム26の後壁部26f及び左右の側壁部26hに接続される。
この構成によれば、ダウンフレーム26の断面台形形状は、フロントジョイント27に対してもガセット85との合わせ部と同様に、フロントジョイント27との合わせが良好となる。
【0079】
また、図1図11図13に示したように、左右のピボットフレーム23の各上端部は、後輪16から伝わる衝撃を緩和するクッションユニット55の一端部が連結されるクッションアッパーブラケット54で接続され、左右のピボットフレーム23の各上端部に接続されるメインフレーム22の後端22jは、側面視でクッションアッパーブラケット54のピボットフレーム23への接続部11Cよりも後方に位置する。
【0080】
この構成によれば、クッションユニット55から荷重が加えられるクッションアッパーブラケット54の接続部11Cから、メインフレーム22とピボットフレーム23との接続部11Dを逃がすことで、接続部11Dに作用する応力を抑制して車体フレーム11の強度を確保し、また、メインフレーム22で効率良く上記荷重を支えることができる。更に、メインフレーム22とピボットフレーム23とが重なる部分に肉抜きを形成可能となり、軽量化を図ることができる。
【0081】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
11 車体フレーム
11C ピボットフレームとクッションアッパーブラケットとの接続部
16 後輪
21 ヘッドパイプ
21a 上側延出部
21c 下側延出部
22 メインフレーム
22j 後端
22w 上壁部
22x 内側壁部
23 ピボットフレーム
26 ダウンフレーム
26b 外側面
26f 後壁部
26g 前壁部
26h 側壁部
27 フロントジョイント
27n 側壁(接続部)
28 ロアフレーム
54 クッションアッパーブラケット
55 クッションユニット
85 ガセット(補強部材)
85a 中央壁部(縦壁部)
85b 上部延出部
85c 下部延出部
85e 後縁
92 メインフレームとガセットの左右の上部延出部との接続部(合わせ部)
93 位置決め部
97 ダウンフレームとフロントジョイントとの接続部
図1
図2
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