特開2020-203556(P2020-203556A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203556(P2020-203556A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】車両の上部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20201127BHJP
【FI】
   B62D25/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-111742(P2019-111742)
(22)【出願日】2019年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】清下 大介
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB54
3D203BB55
3D203BB56
3D203BB62
3D203BB63
3D203BB64
3D203CA25
3D203CA53
3D203CA54
3D203CA58
3D203CA62
3D203CB04
(57)【要約】
【課題】側面衝突時におけるルーフサイドレールの変位抑制を介してピラーによる車室内への侵入を低減することができる車両の上部車体構造を提供する。
【解決手段】左右1対のルーフサイドレール10と、ルーフレイン30と、1対のルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を補強する左右1対のガセット40とを備え、ルーフレイン30が、断面略U字状の前後1対の下溝部31と、前側下溝部31の後側上端部と後側下溝部31の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部32とを有し、ガセット40が、上溝部32と協働して車幅方向に延びる閉断面Cを形成するように1対の下溝部31の底部に接合されると共に閉断面Cに対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部42bを備え、ビード部42bが、ルーフレイン30の車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成された。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフパネルの車幅方向両端部に連結されて車体前後方向に延びる左右1対のルーフサイドレールと、前記1対のルーフサイドレールの車体前後方向途中部を車幅方向に連結するルーフレインフォースメントと、前記1対のルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を補強する左右1対のガセットとを備えた車両の上部車体構造において、
前記ルーフレインフォースメントが、断面略U字状の、少なくとも前後1対の下溝部と、前側下溝部の後側上端部と後側下溝部の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部とを有し、
前記ガセットが、前記上溝部と協働して車幅方向に延びる閉断面を形成するように前記1対の下溝部の底部に接合されると共に前記閉断面に対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部を備え、
前記ビード部が、前記ルーフレインフォースメントの車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成されたことを特徴とする車両の上部車体構造。
【請求項2】
前記ビード部が、複数設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両の上部車体構造。
【請求項3】
前記ガセットは車幅方向外側部分に溶接用開口部を有し、
前記ビード部が前記溶接用開口部の外周部に沿って延びる環状ビード部に接続されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の上部車体構造。
【請求項4】
前記ルーフサイドレールが、車幅方向外側壁部を構成するルーフレールアウタと、このルーフレールアウタと協働して車体前後方向に延びる閉断面を形成するルーフレールインナとを有し、
前記ガセットは、車幅方向外側且つ車体前後方向端部が前記ルーフレールインナに接合されると共に、車幅方向外側且つ車体前後方向中間部がピラーインナ部材との間に前記ルーフレールインナを挟んで接合されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の上部車体構造。
【請求項5】
前記ルーフレールアウタが、前記ルーフレインフォースメント及びガセットに挟み込まれた第1接合部にて前記ルーフレインフォースメント及びガセットに接合されたことを特徴とする請求項4に記載の車両の上部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右1対のルーフサイドレールと、これら1対のルーフサイドレールの途中部を車幅方向に連結するルーフレインフォースメントとを備えた車両の上部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ルーフパネルの車幅方向両端部に連結されて車体前後方向に延びる左右1対のルーフサイドレールと、これら1対のルーフサイドレールの途中部から上下方向下方に夫々延びる左右1対のセンタピラーと、前記1対のルーフサイドレールの途中部を車幅方向に連結するルーフレインフォースメントと、前記1対のセンタピラーとルーフレインフォースメントとの間を補強する左右1対のガセットとを備えた上部車体構造は知られている。
【0003】
特許文献1の車両の上部車体構造は、ルーフサイドレールが、ルーフレールアウタ(ルーフサイドスチフナ)と、ルーフレールアウタと協働して前後方向に延びる閉断面を形成するルーフレールインナとを有し、ルーフレインフォースメント(ルーフアーチ)の左右端部に形成された舌片がルーフレールアウタの車幅方向内側端部の上面に接合されると共に、ガセットが、ルーフレールインナ及びルーフレインフォースメントにボルトを介して締結固定されている。これにより、センタピラーに入力した衝突荷重が、センタピラーからルーフレールアウタを経てルーフレインフォースメントに伝達される経路と、センタピラーからガセットを経てルーフレインフォースメントに伝達される経路とに分散されるため、ルーフサイドレールの断面崩れを抑制でき、部材の小型化を図っている。
【0004】
ところで、車両の側面衝突時における乗員の安全性を確保することを目的として、ピラー部材の車幅方向内側への変形を抑制する技術が種々提案されている。
図10に示すように、ルーフサイドレール51とサイドシル52との間を連結するセンタピラー53の上部側約2/3相当の上側部材の曲げ剛性を下部側約1/3相当の下側部材の曲げ剛性よりも大きくすることで、下側部材の曲げ変形角度を上側部材の曲げ変形角度よりも大きくでき、センタピラー53の車幅方向内側への最大変位量を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5548687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10に示すように、車両の側面衝突時、車幅方向内側へ向かう衝突荷重がセンタピラー53に入力した場合、センタピラー53の変位に伴ってルーフサイドレール51に車幅方向内側及び車体上下方向下側に向かう力が作用し、その結果、ルーフサイドレール51が車幅方向内側下方に変位する虞がある。つまり、ルーフサイドレール51の車幅方向内側への変位を抑制することにより、センタピラー53による車幅方向内側への侵入を低減することができる。
【0007】
特許文献1の車両の上部車体構造は、2系統のロードパス(荷重経路)を形成している。
しかし、特許文献1では、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間が、ルーフレインフォースメントから延びる舌片とガセットによって連結されるに過ぎず、車両の側面衝突時、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの連結が維持できない虞がある。つまり、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの連結が維持できない場合、衝突荷重がルーフサイドレールからルーフレインフォースメントに十分に伝達されないため、衝突荷重を車体全体に分散することができず、ルーフサイドレールによる車幅方向内側への変位を十分に抑制することができない。
【0008】
本発明の目的は、側面衝突時におけるルーフサイドレールの変位抑制を介してピラーによる車室内への侵入を低減可能な車両の上部車体構造等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の車両の上部車体構造は、ルーフパネルの車幅方向両端部に連結されて車体前後方向に延びる左右1対のルーフサイドレールと、前記1対のルーフサイドレールの車体前後方向途中部を車幅方向に連結するルーフレインフォースメントと、前記1対のルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を補強する左右1対のガセットとを備えた車両の上部車体構造において、前記ルーフレインフォースメントが、断面略U字状の、少なくとも前後1対の下溝部と、前側下溝部の後側上端部と後側下溝部の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部とを有し、前記ガセットが、前記上溝部と協働して車幅方向に延びる閉断面を形成するように前記1対の下溝部の底部に接合されると共に前記閉断面に対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部を備え、前記ビード部が、前記ルーフレインフォースメントの車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成されたことを特徴としている。
【0010】
この車両の上部車体構造では、前記ルーフレインフォースメントが、断面略U字状の、少なくとも前後1対の下溝部と、前側下溝部の後側上端部と後側下溝部の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部とを有するため、ルーフレインフォースメントの車幅方向剛性を高くすることができる。前記ガセットが、前記上溝部と協働して車幅方向に延びる閉断面を形成するように前記1対の下溝部の底部に接合されると共に前記閉断面に対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部を備え、前記ビード部が、前記ルーフレインフォースメントの車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成されたため、ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとを連結するガセットを用いてルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を跨る閉断面を形成することができ、両者の連結を強固にすることができる。また、ガセットの車幅方向剛性を高くするビード部によってルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を跨る閉断面の断面積を増加することができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記ビード部が、複数設けられたことを特徴としている。
この構成によれば、簡単な構成で車幅方向に延びる稜線を増加することができ、ガセットの車幅方向剛性とルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの間を跨る閉断面の断面積とを同時に増加することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記ガセットは車幅方向外側部分に溶接用開口部を有し、前記ビード部が前記溶接用開口部の外周部に沿って延びる環状ビード部に接続されたことを特徴としている。
この構成によれば、溶接用開口部を設置したにも拘らずルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとの連結を強固にすることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記ルーフサイドレールが、車幅方向外側壁部を構成するルーフレールアウタと、このルーフレールアウタと協働して車体前後方向に延びる閉断面を形成するルーフレールインナとを有し、前記ガセットは、車幅方向外側且つ車体前後方向端部が前記ルーフレールインナに接合されると共に、車幅方向外側且つ車体前後方向中間部がピラーインナ部材との間に前記ルーフレールインナを挟んで接合されたことを特徴としている。
この構成によれば、ガセットとルーフレールインナとの連結を強固にできると共に、車両の側面衝突時、ピラーからの荷重伝達性を確保することができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記ルーフレールアウタが、前記ルーフレインフォースメント及びガセットに挟み込まれた第1接合部にて前記ルーフレインフォースメント及びガセットに接合されたことを特徴としている。
この構成によれば、車両の側面衝突時、ルーフサイドレールによる車幅方向内側下方への変位を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両の上部車体構造によれば、側面衝突時におけるルーフサイドレールの変位抑制を介してピラーによる車室内への侵入を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1に係る車両の車幅方向外側斜視図である。
図2】ルーフサイドレールの要部斜視図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4図2のIV-IV線断面図である。
図5図2のV-V線断面図である。
図6】ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとガセットを室内左方から視た斜視図である。
図7】ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとガセットを室内下方から視た平面図である。
図8図7のVIII- VIII線断面図である。
図9】ルーフサイドレールとルーフレインフォースメントとガセットの分解斜視図である。
図10】車両の側面衝突時におけるセンタピラーの変位に係る説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1について図1図9に基づいて説明する。
本実施例1に係る車両Vは、車室前側のエンジンルームに縦置き配置されたエンジン(図示略)を備え、後輪で駆動されるFR(Front engine Rear drive)自動車である。
以下、図において、矢印F方向を車体前後方向前方とし、矢印L方向を車幅方向左方とし、矢印U方向を車体上下方向上方として説明する。また、この車両Vは、左右対称の構造であるため、以下、特段の説明がない限り、右側部材及び右側部分について主に説明する。
【0019】
まず、全体構成について説明する。
図1に示すように、車両Vは、前後に延びる左右1対のサイドシル1と、これら1対のサイドシル1の間に掛け渡されると共に車室床面を構成するフロアパネル2と、前後に延びてルーフパネル3(図9参照)を支持する左右1対のルーフサイドレール10と、これら1対のルーフサイドレール10から1対のサイドシル1に亙って夫々下方に延びる左右1対のA〜Dピラー4〜7等を備えている。
【0020】
サイドシル1は、鋼板をプレス成形したアウタ部材とインナ部材とにより構成され、両部材が協働して前後に延びる略直線状の閉断面を形成している。
サイドシル1の前端部分に、Aピラー4の下半部に相当するヒンジピラーの下端が接続され、中間部分に、Bピラー5の下端が接続されている。
Aピラー4とルーフサイドレール10の前側部分とBピラー5とサイドシル1の前側部分とによって、フロントドア(図示略)のドア用開口縁部を形成している。
サイドシル1の後端部分に、リヤホイールハウス8の前端部分が接続されている。
Bピラー5とルーフサイドレール10の後側部分とCピラー6とリヤホイールハウス8の前側部分とサイドシル1の後側部分とによって、リヤドア(図示略)のドア用開口縁部を形成している。尚、Bピラー5は、上部側約2/3相当の上側部材の曲げ剛性が下部側約1/3相当の下側部材の曲げ剛性よりも大きくなるように構成されている。
【0021】
図1に示すように、1対のルーフサイドレール10は、ルーフパネル3の左右端部に夫々対応するように配設され、前後1対のヘッダ21,22と、2つのルーフレインフォースメント(以下、ルーフレインと略す)23,30等を備えている。
フロントヘッダ21は、1対のルーフサイドレール10の前端部を連結し、リヤヘッダ22は、1対のルーフサイドレール10の後端部を連結している。リヤヘッダ22には、リフトゲート(図示略)を開閉するための左右1対のヒンジ(図示略)が設置されている。
ルーフレイン23は、1対のCピラー6の上端部に対応する部位を左右に連結する位置に配置され、ルーフレイン30は、1対のBピラー5の上端部に対応する部位を左右に連結する位置に配置されている。
【0022】
次に、ルーフサイドレール10について説明する。
図2図4に示すように、ルーフサイドレール10は、右側壁部(車幅方向外側壁部)を構成するルーフレールアウタ11と、このルーフレールアウタ11と協働して前後に延びる断面略台形状の閉断面を形成するルーフレールインナ12と、台形状閉断面を内外に仕切るルーフレールレイン13と、ルーフレールアウタ11の前後に延びる上側稜線を覆う断面略L字状補強部材14等によって構成されている。
Bピラーのアウタ部材5aは、上端部がルーフレールアウタ11の右側部に接合され、インナ部材5bは、上端側部分がルーフレールアウタ11の下端部とルーフレールレイン13の下端部を挟み込んで三重接合されている。ルーフレールレイン13の上端部は、ルーフレールアウタ11の上壁部に接合されている。
【0023】
図2図5に示すように、ルーフレールアウタ11の左側端部(車幅方向内側端部)は、側面視にて凹凸状(湾曲波状)に形成されている。ルーフレールアウタ11の端部には、上壁部の大半を占める基準面に対して上方に膨出する膨出部11aが前後に並んで複数形成されている。これら複数の膨出部11aがルーフパネル3の下面に溶接にて接合される。更に、ルーフレールアウタ11の左側端部には、ルーフレイン30が接合されている。
【0024】
次に、ルーフレイン30について説明する。
図2図5に示すように、ルーフレイン30は、例えば、高張力鋼板によって一体形成され、断面略U字状の前後1対の下溝部31と、前側下溝部31の後側上端部と後側下溝部31の前側上端部を連結して断面逆U字状の上溝部32を形成する連結部33と、前側下溝部31の前側上端部から前方に延びると共に後側下溝部31の後側上端部から後方に延びる前後1対のフランジ部34等を備えている。
【0025】
ルーフレイン30の右側端部、所謂連結部33と前後1対のフランジ部34の右側端部は、ルーフレールアウタ11の左側端部に対して僅かな隙間を空けて対向配置されている。
連結部33と前後1対のフランジ部34には、各々の端部から右方に延設された3つの突出部35が夫々形成されている。各突出部35は、隣り合う膨出部11aの間においてルーフレールアウタ11の上面(基準面)に溶接にて夫々接合されている。
図5に示すように、ルーフレールアウタ11の左側凹凸状端部とルーフレイン30の右側凹凸状端部は、側面視にて、少なくともルーフレールアウタ11の厚さ分交差している。また、膨出部11aが形成されている部位では、ルーフレイン30の凹凸状端部が膨出部11aの断面に交差しているため、ルーフレールアウタ11の厚さ分よりも大きな交差領域を形成している。
【0026】
図6図9に示すように、1対のBピラー5に対応した領域においてルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を車室内側から補強する左右1対のガセット40が設けられている。ガセット40は、例えば、断面略ハット状の高張力鋼板によって一体形成され、前後1対の縦壁部41と、これら1対の縦壁部41の下端部を連結する底壁部42と、前側縦壁部41の上端部から前方に延びると共に後側縦壁部41の上端部から後方に延びる前後1対の上部フランジ部43と、車幅方向外側端部に側部フランジ部44等を備えている。
【0027】
底壁部42には、車幅方向外側部分に前後方向に長い楕円状の開口部42aと、車幅方向に延びる下方に突出した前後2本のビード部42bと、開口部42aの外周部に沿って延びる下方に突出した環状ビード部42cとが設けられ、前後2本のビード部42bは環状ビード部42cに接続されている。開口部42aは、溶接用開口部である。
図2図7に示すように、ルーフレイン30の右側端部は、ルーフサイドレール10の左側端部に対して僅かに隙間を空けて略前後方向に沿っているため、ビード部42bは、平面視にてルーフレイン30の右側端部に対して略直交するように形成されている。
【0028】
図8に示すように、底壁部42が前後の下溝部31の底壁部に夫々接合され、1対の上部フランジ部43が1対のフランジ部34(突出部35)に夫々接合されている。
底壁部42と上溝部32は、ルーフサイドレール10とルーフレイン30との下側領域において両者間を跨る略矩形状の閉断面Cを形成している。
底壁部42に形成されたビード部42bは、下方に突出した断面略台形状に形成され、車幅方向に延びる4本の稜線を有している。それ故、ビード部42bによって底壁部42と上溝部32が形成する閉断面Cの断面積を増加している。
【0029】
ルーフサイドレール10とルーフレイン30とガセット40は、第1〜第4接合部P1〜P4で夫々接合されている。第1,第2接合部P1,P2は、ガセット40の前後端部に対応する部分に設定されている。図3に示すように、第1接合部P1では、突出部35(フランジ部34)と上部フランジ部43がルーフレールアウタ11を挟み込んで溶接により三重接合している。第1接合部P1よりも車幅方向外側に設定された第2接合部P2では、ルーフレールインナ12と側部フランジ部44が溶接により接合されている。
【0030】
第3,第4接合部P3,P4は、ガセット40の前後中間部に対応する部分に設定されている。図4に示すように、ルーフレールインナ12が部分的に左方に延設されているため、第3接合部P3では、突出部35(連結部33)とルーフレールインナ12がルーフレールアウタ11を挟み込んで溶接により三重接合している。第3接合部P3よりも車幅方向外側に設定された第4接合部P4では、側部フランジ部44とインナ部材5bがルーフレールインナ12を挟み込んで溶接により三重接合している。
【0031】
本実施例では、第1,第2,第4接合部P1,P2,P4における各部材の接合方法を同じにし、更に、第3接合部P3におけるルーフレールアウタ11とルーフレールインナ12とルーフレイン30の接合方法を第1,第2,第4接合部P1,P2,P4における各部材の接合方法と同じにすることで、同一の溶接ステーションで作業することができ、生産効率の向上を図っている。
【0032】
次に、上記上部車体構造の作用、効果について説明する。
実施例1に係る上部車体構造によれば、ルーフレイン30が、断面略U字状の前後1対の下溝部31と、前側下溝部31の後側上端部と後側下溝部31の前側上端部を連結して形成された断面逆U字状の上溝部32とを有するため、ルーフレイン30の車幅方向剛性を高くすることができる。ガセット40が、上溝部32と協働して車幅方向に延びる閉断面Cを形成するように1対の下溝部31の底部に接合されると共に閉断面Cに対して外側に突出して車幅方向に延びるビード部42bを備え、ビード部42bが、ルーフレイン30の車幅方向外側端部と平面視にて交差するように形成されたため、ルーフサイドレール10とルーフレイン30とを連結するガセット40を用いてルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を跨る閉断面Cを形成することができ、両者の連結を強固にすることができる。また、ガセット40の車幅方向剛性を高くするビード部42bによってルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を跨る閉断面Cの断面積を増加することができる。
【0033】
ビード部42bが、複数設けられたため、簡単な構成で車幅方向に延びる稜線を増加することができ、ガセット40の車幅方向剛性とルーフサイドレール10とルーフレイン30との間を跨る閉断面Cの断面積とを同時に増加することができる。
【0034】
ガセット40は車幅方向外側部分に溶接用開口部42aを有し、ビード部42bが溶接用開口部42aの外周部に沿って延びる環状ビード部42cに接続されたため、溶接用開口部42aを設置したにも拘らずルーフサイドレール10とルーフレイン30との連結を強固にすることができる。
【0035】
ルーフサイドレール10が、車幅方向外側壁部を構成するルーフレールアウタ11と、このルーフレールアウタ11と協働して前後に延びる閉断面を形成するルーフレールインナ12とを有し、ガセット40は、車幅方向外側且つ前後方向端部がルーフレールインナ12に接合されると共に、車幅方向外側且つ前後方向中間部がインナ部材5bとの間にルーフレールインナ12を挟んで接合されたため、ガセット40とルーフレールインナ12との連結を強固にできると共に、車両Vの側面衝突時、Bピラー5からの荷重伝達性を確保することができる。
【0036】
ルーフレールアウタ11が、ルーフレイン30及びガセット40に挟み込まれた第1接合部P1にてルーフレイン30及びガセット40に接合されたため、車両Vの側面衝突時、ルーフサイドレール10による車幅方向内側下方への変位を抑制することができる。
【0037】
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、ルーフレイン30を一体形成した例を説明したが、複数部材を接合してルーフレイン30を形成しても良い。例えば、前側下溝部31と後側下溝部31を別々に準備し、パネルである連結部33を用いて前側下溝部31と後側下溝部31を接続することも可能である。また、前後1対の下溝部31を有するルーフレイン30の例を説明したが、1の下溝部31を設けても良く、3以上の下溝部31を設けても良い。この場合、突出部35の数を任意に設定しても良い。
【0038】
2〕前記実施形態においては、ガセット40に前後2本のビード部42bを設けた例を説明したが、ビード部42bは1本でも良く、3本以上であっても良い。また、ビード部42bが、ルーフレイン30の車幅方向外側端部に直交した例を説明したが、少なくとも交差角度を有すれば良く、直交に限られない。
【0039】
3〕前記実施形態においては、断面略U字状の前後1対の下溝部31が形成されたルーフレイン30の例を説明したが、交差部部を構成するために少なくとも2つの下溝部31が形成されれば良く、3つ以上の下溝部31を形成しても良い。
【0040】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態や各実施形態を組み合わせた形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【符号の説明】
【0041】
3 ルーフパネル
5b インナ部材
10 ルーフレール
11 ルーフレールアウタ
12 ルーフレールインナ
30 ルーフレイン
31 下溝部
32 上溝部
40 ガセット
42a 開口部
42b ビード部
42c 環状ビード部
C 閉断面
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10