【解決手段】本開示の実施例に係る車載表示装置は、過去に撮影した路面画像に基づき車両の車体下側路面画像を表示する車載表示装置において、車両周囲を撮影するカメラと、カメラが撮影した撮影画像に基づき過去時刻における撮影画像に含まれる移動体の位置と移動速度を算出する移動体状況算出手段と、移動体状況算出手段により算出された移動体の位置と移動速度に基づき、指定時刻での車両の車体下側における移動体の存在状態を判定する存在状態判定手段と、存在状態判定手段の判定結果に基づき、車体下側路面画像に移動体の存在状態を示す移動体存在状態表示を行う存在状態表示手段と、を有することを特徴とする。
車両の停車状態において、前記存在状態判定手段が、移動体が存在する旨の判定をした場合に、警告音を発する警告音発生手段をさらに有する、請求項1または2に記載の車載表示装置。
前記存在状態表示手段は、前記車体下側路面画像に移動体が含まれ、かつ当該移動体が車両の車体下側から離脱したと判定された場合、移動体画像部分を消去処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車載表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る車載表示装置及び車載表示方法について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0011】
図1に本開示の実施例に係る車載表示装置を含む画像表示システムの構成図を示す。画像表示システム100は、車両に搭載される電子装置であり、車両の周辺を撮影して画像を生成し、車室内に表示する機能を備えている。画像表示システム100は、車両周囲を撮影するカメラ5と、カメラ5が撮影した画像を処理する機能を有するECU(Electronic Control Unit)である本体部10と、処理した画像を表示する表示部21とを備えている。
【0012】
カメラ5は、本体部10に電気的に接続され、本体部10からの信号に基づいて動作する。カメラ5は、車載カメラであるフロントカメラ51、サイドカメラ52、及び、バックカメラ53を備えている。各車載カメラ51〜53は、レンズと撮像素子とを備えており電子的に画像を取得する。
【0013】
これらの複数の車載カメラ51〜53は、車両の異なる位置にそれぞれ配置される。
図2は、車載カメラ51〜53が車両500に配置される位置を示す図である。
【0014】
図2に示すように、フロントカメラ51は、車両500の前端にあるナンバープレート取付位置の近傍に設けられ、その光軸51aは車両500の直進方向に向けられている。バックカメラ53は、車両500の後端にあるナンバープレート取付位置の近傍に設けられ、その光軸53aは車両500の直進方向と逆方向に向けられている。これらフロントカメラ51やバックカメラ53の取り付け位置は、左右中央であることが望ましいが、左右中央から左右方向に多少ずれた位置であってもよい。サイドカメラ52は左右のサイドミラー9にそれぞれ設けられ、その光軸52aは車両500の左右方向(直進方向と直交する方向)に沿って車両500の外側に向けられている。
【0015】
これらの車載カメラ51〜53のレンズとしては広角系のレンズ、本例では魚眼レンズが採用されており、車載カメラ51〜53は180度以上の画角を有している。このため、車載カメラ51〜53は、それぞれの光軸を中心として、斜め下方や斜め上方の範囲の視野も撮影画像に映すことができる。カメラ5は、4つの車載カメラ51〜53を利用することで車両500の全周囲の撮影が可能となっている。
【0016】
図1に示すように、本体部10は、過去に撮影した路面画像に基づき車両の車体下側路面画像を表示する車載表示装置3と、各種の演算処理を行うCPU1と、表示部21との間で通信を行う通信部42とを備えている。車載表示装置3で生成された画像は通信部42を介して表示部21に出力されて表示される。尚、本例では車載表示装置3を撮影画像の処理を行えるGPU(Graphics Processing Unit)等で構成して独立して、移動体の検出、表示画像の加工・生成等の処理を行えるように構成しているが、CPU1によりソフト的に実現する等の方法で実現することも可能である。
【0017】
画像表示システム100の本体部10は、メモリ11、及び信号入力部41をさらに備えており、これらはCPU1に接続されている。
【0018】
メモリ11は、電源オフ時においても記憶内容を維持可能なフラッシュメモリなどであり、カメラ5で撮影された動画を記憶する。また、動画を記憶する代わりに、所定距離(所定時間)ごとの静止画を記憶するようにしてもよい。動画は、所定距離(所定時間)が短い複数の静止画と等価である。
【0019】
また、信号入力部41は、車両に設けられた各種装置からの信号を入力する。この信号入力部41を介して、画像表示システム100の外部からの信号がCPU1に入力される。本開示の実施形態では、シフトセンサ81及び車速度センサ82からの信号が信号入力部41を介してCPU1に入力される。
【0020】
シフトセンサ81からは、車両の変速装置のシフトレバーの操作の位置、すなわち、「P(駐車)」、「D(前進)」、「N(ニュートラル)」、「R(後退)」等のシフトポジションを示すシフト位置信号が入力される。車速度センサ82からは、車両の停止状態又は移動状態を検出する、車速パルスに基づく状態信号が入力される。
【0021】
また、画像表示システム100は、表示内容を切り替える指示をユーザから受け付ける切替スイッチ83を備えている。この切替スイッチ83からもユーザの指示を示す信号がCPU1に入力される。これにより、画像表示システム100は、表示部21に対するユーザの操作、及び、切替スイッチ83に対するユーザの操作の双方に応答した動作が可能となっている。切替スイッチ83は、ユーザが操作しやすいように、画像表示システム100とは別に車両の適切な位置に配置される。
【0022】
車両電源制御装置84からは車両のACC(アクセサリー電源)をオン/オフする信号が入力される。ACCは、車両500の画像表示システム100を含む付属品に対して、電力を供給する供給線への電源(バッテリ)接続をオン/オフするスイッチである。
【0023】
図3に、本開示の実施例に係る車載表示装置3の構成図を示す。車載表示装置3は、移動体状況算出手段31と、存在状態判定手段32と、存在状態表示手段33と、を有する。
【0024】
移動体状況算出手段31は、カメラ5が撮影した撮影画像に基づき過去時刻における撮影画像に含まれる移動体の位置と移動速度を算出する。
【0025】
移動体状況算出手段31は、停止位置(通過の場合は画像を表示する車両位置)から所定距離前の記憶画像をメモリ11から呼び出すことにより、過去時刻における撮影画像を取得する。
【0026】
尚、メモリ11に記憶された画像は所定距離(表示に用いる距離を十分に超えて、画像が不要になる距離)走行後に削除するようにしてもよい。例えば、ドライブレコーダ併用の場合は、ドライブレコーダの画像記憶処理に従う。即ち、メモリ11の容量が足りなくなった場合は画像を上書き可能とする。但し、衝突等の異常検知・上書き禁止操作等、保存要画像については上書き禁止とすることが好ましい。
【0027】
車両下側の路面の表示は、車両下面表示モード時に行われる。車両下面表示モードとなるのは、マニュアル操作が行われた場合、走行予定路の画像を画像認識することにより路面の凹凸が激しいと判断された場合、車両の発進時等である。従って、車両が走行中の場合も車両下面の画像を表示部21に表示することができる。
【0028】
このように、カメラ5は常時動画を撮影しておき、車両下面表示モードとなった際に、メモリ11に記憶された車両現在位置から所定距離前に撮影した画像(動画(連続静止画)から選択)から車両現在位置領域(車両の車体下面となる領域)を切り出し、表示部21に表示される。
【0029】
尚、所定距離前に撮影した画像から車両現在位置領域を切り出した画像における上方からの見下ろし角度(カメラ設置高さと車両現在位置領域までの距離により決まる角度)と、現位置における車両の車体下面となる領域の画像の見下ろし角度(地面に対して垂直)は異なるため、所定距離前に撮影した画像から車両現在位置領域を切り出した画像を見下ろし角度が地面に対して垂直となるように視点変換することが好ましい。
【0030】
尚、カメラ5により撮影された画像は、小動物(移動体)の検知、ドライブレコーダの記録画像、駐車支援画像等の車両周囲画像表示に使用されるため、撮影範囲はそれらの目的に応じた広範囲なものである。そこで、撮影画像からそれぞれの機能目的に応じた範囲の画像を切り出し、使用される。
【0031】
まず、車両下面表示に用いる元画像を車両移動に伴い順次選択する。即ち、移動している現車両位置の所定距離前に撮影した画像を順次選択する。次に、該当領域を切り出して表示に用いる。従って、表示部21に表示される画像は、車両移動に伴い変化する動画となる。尚、車両が停止すれば所定距離前の位置も停止するため、表示部21に表示される画像は静止画となる。
【0032】
切り出し領域は、車両下面表示領域となる。これを現カメラ画像から生成された車両周囲画像に入れ込む。一般的には、車体下面全面となるため、車体長さより若干長い距離前に撮影した画像から現車両位置下面全面に該当する領域を切り出すことになる。尚、車両下面の一部を表示する場合、例えば、前輪周囲だけの表示の場合は、現車両位置下面における当該車両下面の一部に該当する領域を切り出すことになる。
【0033】
移動体の検出に用いる複数の画像は、動画から所定時間毎に静止画を切り出す。あるいは、所定時間毎の画像フレームを選択するようにしてもよい。次に、それら複数の画像を用いて判断処理を行う。
【0034】
また、停車後についても、各カメラ画像から、小動物等の車両下側への侵入、および車両下側からの離脱を監視し、その監視結果に基づき表示を行うようにしてもよい。この場合、画像認識により、車両下側への侵入・離脱小動物の一致・不一致を判定し、車両下側に存在する小動物を識別することが好ましい。例えば、人工知能(AI)を用いた動物種別判定を行い、判定結果に基づいて表示用キャラクタを切り替える等の表示を行うことができる。
【0035】
尚、駐車中にも監視を続けることにより、駐車中に車両下側へ侵入した小動物を車両発進前に確認することもできる。
【0036】
図4に、車載カメラが、将来車両が停止または通過する位置(車両の車体下を表示する位置)を撮像する領域と、車両との位置関係を示す。また、
図5に、車載カメラが予め撮像した領域と車両との位置関係を示す。車両500が、第1位置で停止するか、あるいは第1位置を通過するとした場合、第1位置から所定距離dだけ手前の所定位置において、車両500が、第1位置に移動した際の車両の下の路面の領域60をフロントカメラ51で撮像する。領域60は、車両500のシャーシ全体に相当する領域であってもよいし、フロント部分等、車両500のシャーシの一部の領域であってもよい。所定距離dは、例えば3[m]である。
図4及び
図5においては、フロントカメラ51が、車両500が将来停止または通過する第1位置に車両500が移動した際の路面を撮像する例を示したが、このような例には限られず、車両500が後退する場合は、バックカメラ53が、車両500が将来停止または通過する位置における車両の下の路面を撮像するようにしてもよい。
【0037】
カメラ5が取得する複数の画像は、車両500が所定位置で停止した状態でフロントカメラ51が撮像した画像でもよいし、車両500が移動している状態でフロントカメラ51が撮像した画像でもよい。ただし、複数の画像は、所定の時間間隔を持って撮像された複数の画像を含む。
【0038】
カメラ5で撮像された複数の画像はメモリ11に記憶される。
【0039】
移動体状況算出手段31は、カメラ5が撮影した撮影画像に基づき過去時刻における撮影画像に含まれる移動体400の位置と移動速度を算出する。移動体400の移動速度及び移動方向は、オプティカルフローにより算出することができる。ただし、ここでは、移動体400が2次元平面上で線形的な動きをする場合を例にとって説明する。
図6は、車載カメラで撮像した画像から抽出した移動体の初期位置と車両の位置との関係をグラフ上に示した図である。カメラ5が取得した複数の画像のうちのある画像(第1画像)に映っていた移動体の位置をP
0とする。ここで、
図6に示すように、車両500の進行方向と直交する方向にx軸をとり、車両500の進行方向にy軸をとり、車両の後方左側端部を原点にとった場合、P
0の座標を(x
0,y
0)とする。また、車両500の下の路面の範囲を0≦x≦X
m、0≦y≦Y
mとする。ただし、X
mは車幅を表し、Y
mは車長を表す。
【0040】
図7に、
図6に示したグラフ上で、車載カメラで撮像した他の画像から抽出した移動体の所定時間後の位置と車両の位置との関係を示す。カメラ5が取得した複数の画像のうちのある画像(第1画像)を撮像してから所定時間Δt後に撮像した他の画像(第2画像)に映っていた移動体の位置をP
1とし、その座標を(x
1,y
1)とする。
【0041】
第1画像における移動体の座標P
0(x
0,y
0)、及び第2画像における移動体の座標P
1(x
1,y
1)から、移動体の移動速度及び移動方向を表す移動ベクトルV(v
x,v
y)を以下の式により算出することができる。
v
x=(x
1−x
0)/Δt
v
y=(y
1−y
0)/Δt
【0042】
存在状態判定手段32は、移動体状況算出手段31により算出された移動体400の位置と移動速度に基づき、指定時刻での車両の車体下側における移動体の存在状態を判定する。具体的には、存在状態判定手段32は、移動速度、移動方向、及び、移動時間に基づいて、第1位置における車両500の下の路面に移動体400が存在するか否かを判定する。
【0043】
車両500のフロントカメラ51が第1画像を撮像してから車両500の先端部が第1位置に到達するまでの時間を移動時間tとすると、車両500が第1位置に移動した際の移動体400の位置Pの座標は、第1画像における移動体400の位置P
0(x
0,y
0)、移動ベクトルV(v
x,v
y)、及び移動時間tから、(x
0+V
x×t,y
0+V
y×t)と求められる。
【0044】
このとき、移動体400が車両の下に存在すると判定されるための条件は、以下の2つの式(1)、(2)を満たすことである。
0≦x
0+V
x×t≦X
m (1)
0≦y
0+V
y×t≦Y
m (2)
【0045】
図8に、
図6に示したグラフ上で、車両が第1位置に移動した際に推定される移動体の位置が、車両の下の領域に含まれる例を示す。移動時間がt
2であったとすると、車両500が第1位置に移動した際の移動体の位置P
2は(x
0+V
x×t
2,y
0+V
y×t
2)となる。
図8に示すように、P
2の座標は以下のように上記の条件式(1)、(2)を満足している。
0≦x
0+V
x×t
2≦X
m
0≦y
0+V
y×t
2≦Y
m
このように、移動時間t
2後の移動体の位置座標が上記の条件を満足している場合に、移動体400が車両500の下に存在すると判定することができる。
【0046】
図9に、
図6に示したグラフ上で、車両が第1位置に移動した際に推定される移動体の位置が、車両の下の領域に含まれない例を示す。移動時間がt
3であったとすると、車両500が第1位置に移動した際の移動体の位置P
3は(x
0+V
x×t
3,y
0+V
y×t
3)となる。
図9に示すように、P
3の座標は以下のように上記の条件式(1)を満足していない。
X
m<x
0+V
x×t
3
0≦y
0+V
y×t
3≦Y
m
このように、移動時間t
3後の移動体の位置座標は上記の条件式(1)、(2)の少なくとも一方を満足していない場合に、移動体が車両の下に存在しないと判定することができる。
【0047】
車両の下に移動体が存在するか否かを判定する時間が現時点である場合は、指定時間は現時点である。この場合、移動体の移動時間は、車体下側路面画像を撮像した過去時刻から指定時刻(現時点)までの時間である。このように現時点で車両の下に移動体が存在するか否かを判定する代わりに、将来のある時点において移動体が車両の下に存在するか否かを判定することもできる。この場合は、移動体の移動時間を過去時刻から将来のある時点までの時間に設定すればよい。
【0048】
存在状態表示手段33は、存在状態判定手段32の判定結果に基づき、車体下側路面画像に移動体400の存在状態を示す移動体存在状態表示を行う。例えば、車両500が第1位置に移動した時に、存在状態判定手段32が車両500の下に移動体400が存在すると判定した場合に、存在状態表示手段33は、存在状態表示手段33は、移動体400の存在推定領域に移動体400を表すキャラクタ画像を描画するようにしてもよい。
【0049】
図10に、車両が第1位置に移動した際に表示された車両下の路面の状態を示す画像であって、車両の下の路面に移動体400が存在する場合の例を示す。画像6において、60は車両下の路面、61は左側の前輪のタイヤの位置、62は右側の前輪のタイヤの位置、63は車両の前方端部、64は車両の左側側面の端部、65は車両の右側側面の端部を示している。
【0050】
車両500が第1位置に移動した際に、車両500の下の路面の画像として表示部21に表示される画像は、過去時刻において第1位置から所定距離離れた所定位置から撮像した画像であって、所定位置から第1位置までの移動時間だけ過去の画像である。従って、車両500の下の路面における移動体400は、過去時刻から所定の時間が経過した指定時刻においては、移動体状況算出手段31によって算出された移動体の位置と移動速度から推定される位置に移動していると考えられる。そこで、存在状態判定手段32によって、移動体400が車両500の下の路面に存在すると判定される場合に、存在状態表示手段33は、移動体400が存在する範囲を画像(例えば、第1画像)に移動体を表す画像200を描画する。これにより、車両500が第1位置に移動した際に、車両500の下の路面のどの位置に移動体が移動しているかを認識することができる。
【0051】
図10に示した例では、移動体の代表的な例として猫のシルエットを表すキャラクタ画像を表示する例を示したが、このような例には限られない。例えば、撮像した画像に含まれる実際の移動体の画像を用いるようにしてもよい。
【0052】
さらに、車両500が第1位置に移動した時に、存在状態判定手段32が車両500の下に移動体400が存在すると判定した場合に、警告音を発する警告音発生手段34をさらに有するようにしてもよい。警告音の発生とともに、あるいは警告音を発する代わりに、表示部21に移動体が車両の下に存在することを警告する警告文を表示するようにしてもよい。ただし、このような例には限られず、ランプ等の警告表示灯の点灯により警告するようにしてもよい。警告音発生手段34が警告音を発すること等により、ユーザは車両の下の路面に移動体が存在することを認識することができる。
【0053】
また、車両500が第1位置に移動した時に、存在状態判定手段32が、車両500の下に移動体400が存在しないと判定した場合、即ち、過去に撮影した車体下側路面画像に移動体400が含まれ、かつ当該移動体400が車両の車体下側から離脱したと判定された場合、移動体画像部分を消去処理するようにしてもよい。消去処理の方法として、例えば、存在状態表示手段33は、複数の画像のうちの一部の画像において、移動体が映っている範囲を単色で塗りつぶすようにしてもよい。
【0054】
図11に、車両500が第1位置に移動した際に表示された車両500の下の路面の状態を示す画像であって、車両500の下の路面に移動体400が存在しない場合の例を示す。カメラ5が取得した画像の中には移動体400が表示されていた場合であって、車両500が第1位置に移動した際には移動体400は車両の下には存在しないと判断した場合には、表示部21には移動体が存在しない画像を表示することが好ましい。そこで、カメラ5が取得した画像において移動体400が表示されていた領域300を単色で塗りつぶすようにすることが好ましい。このように、カメラ5が取得した画像に表示されていた移動体が、車両500が第1位置に移動した際には離脱したために既に存在していないと判定される場合に移動体を表示しないようにすること(消去処理)ができるため、車両500が第1位置に移動した際の実際の路面の状況を反映した画像を表示部21に表示することができる。
【0055】
また、車両500が第1位置に移動した時に、存在状態判定手段32が、車両500の下に移動体400が存在しないと判定した場合に、存在状態表示手段33は、複数の画像のうち移動体400が映っていない画像を用いて、移動体400が映っている画像を補完するようにしてもよい。即ち、移動体画像部分を移動体が存在しない画像の過去画像で補完処理することにより消去処理を行うことができる。
【0056】
図12に、車両500が第1位置に移動した際に表示された車両500の下の路面の状態を示す画像であって、車両500の下の路面に移動体400が存在しない場合の他の例を示す。上述したように、移動体400が表示されていた領域300には移動体は既に存在していないため領域300を単色で塗りつぶす例を示したが、その代わりに、移動体が存在しない過去の画像600を用いて、移動体が存在した領域の画像と置き換えるようにしてもよい。例えば、カメラ5が取得した第1画像及び第2画像のうち、第1画像を車両下の画像として用いる場合において、第1画像の移動体が存在する領域に対応する第2画像の領域には移動体が表示されていなかった場合は、第2画像の当該領域の画像を用いて第1画像を補完するようにしてもよい。このように補完処理を行うことにより、移動体が存在しない、より自然な画像を表示することができる。
【0057】
次に本開示の実施例に係る車載表示方法について説明する。
図13に、本開示の実施例に係る車載表示方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。この処理は、車載表示装置の稼働中に繰り返し実行される。まず、ステップS100において、カメラ5が、車両500の下の路面を撮像した画像を取得し、メモリ11に記憶する。
【0058】
次に、ステップS101において、車両下表示モードか否か判断し、車両下表示モードであればステップS102に移り、車両下表示モードでなければ処理を終える。
【0059】
そして、ステップS102において、メモリ11から、所定距離前後に撮影した複数の画像を読み出し、現位置における車両の車体下面となる領域の画像切り出し処理、視線変換処理を当該画像に施す。
【0060】
次に、ステップS103において、読み出した複数の画像(切り出し処理、視線変換処理を行う前の画像でも、行った後の画像でも処理可能)において、移動体が検出されたか否かを判定する。具体的には、取得した複数の画像のうちの第1画像における物体の位置座標をP
0(x
0,y
0)とし、取得した複数の画像のうちの第1画像とは異なる第2画像における物体の位置座標をP
1(x
1,y
1)とした場合、x
0≠x
1及びy
0≠y
1の少なくとも一方の条件を満足する場合に、画像に表示された物体は移動していることが検知できるため、移動体が検出されたものと判定することができる。
【0061】
次に、移動体が検出された場合は、ステップS104において、移動体状況算出手段31が、複数の画像から移動体の移動速度及び移動方向を推定する。
【0062】
一方、ステップS103において、移動体が検出されなかった場合は、ステップS114において、撮像した画像を車両の下の画像として表示する。この画像には、移動体は表示されない。
【0063】
次に、ステップS105において、所定位置から第1位置までの車両の移動時間を計測する。
【0064】
次に、ステップS106において、移動体状況算出手段31が、カメラ5が撮影した撮影画像に基づき過去時刻における撮影画像に含まれる移動体の位置と移動速度を算出する。
【0065】
次に、ステップS107において、存在状態判定手段32が、移動体状況算出手段31により算出された移動体の位置と移動速度に基づき、指定時刻での車両の車体下側における移動体の存在状態を判定する。指定時刻は、現時点とすることができる。
【0066】
車両の下に移動体が存在すると判定された場合は、ステップS108において、警告音発生手段34が、警告音を発する。
【0067】
次に、ステップS109において、存在状態表示手段33が、移動体が存在する範囲を車両の下の路面の状態を表す画像に描画する。
【0068】
次に、ステップS110において、表示部21が、画像処理した画像を車両の下の画像として表示する。
【0069】
一方、ステップS107において、存在状態判定手段32が車両の下に移動体が存在しないと判定した場合には、車両の下の画像として使用する画像に映っている移動体を表示しないようにすることが好ましい。そこで、ステップS111において、他の画像に移動体が映っているか否かを判定する。即ち、使用する画像の移動体が映っている領域に対応する他の画像の領域に、移動体が映っているか否かを判定する。
【0070】
他の画像に移動体が映っている場合には、車両の下の画像として使用する画像に映っている移動体の画像を移動体が映っていない画像で補完することができないため、ステップS112において、画像上で移動体が表示された領域を単色で塗りつぶす。
【0071】
一方、他の画像に移動体が映っていない場合には、車両の下の画像として使用する画像に映っている移動体の画像に対応する領域において、移動体が映っていない画像を取得できるため、ステップS113において、移動体が存在しない他の画像を用いて、車両の下の路面の状態を表す画像として使用する画像を補完する。
【0072】
次に、ステップS110において、表示部21が、画像処理した画像を車両の下の路面の状態を表す画像として表示する。
【0073】
以上説明したように、本開示の実施例に係る車載表示装置及び車載表示方法によれば、停車または通過する位置より所定距離手前で撮像した画像に移動体が映っていた場合に、停車または通過する位置に移動した際の車両の下の移動体の位置を表示することができる。