【課題】運搬車として災害時の救援物資などの荷物を容易に運搬することができながら、収納庫として救援物資などの荷物を運搬車の状態よりも狭い面積で常時保管することができる収納庫兼用運搬車を提供すること。
【解決手段】本発明では、収納庫兼用運搬車(1)において、開閉扉(3)を有する箱型状の本体(2)に車輪(4)を着脱自在に設け、本体(2)から車輪(4)を取外して起立させた状態で収納庫として機能するとともに、本体(2)に車輪(4)を取付けて倒伏させた状態で運搬車として機能するようにした。また、本発明では、本体(2)の内部に車輪(4)を収容するための車輪収容部(20)を設けることにした。さらに、本発明では、倒伏させた状態(運搬車)における本体(2)の前端部又は後端部であって、かつ、起立させた状態(収納庫)における本体(2)の下端部に、運搬車において緩衝体として機能し、収納庫において脚体として機能する端体(22)を設けることにした。
開閉扉を有する箱型状の本体に車輪を着脱自在に設け、本体から車輪を取外して起立させた状態で収納庫として機能するとともに、本体に車輪を取付けて倒伏させた状態で運搬車として機能することを特徴とする収納庫兼用運搬車。
倒伏させた状態(運搬車)における本体の前端部又は後端部であって、かつ、起立させた状態(収納庫)における本体の下端部に、運搬車において緩衝体として機能し、収納庫において脚体として機能する端体を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の収納庫兼用運搬車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の災害救助用具にあっては、災害時に救援物資を運搬するのには好適ではあるものの、常時救援物資を倉庫等に保管するとともに台車を駐車しておく必要があり、保管場所の確保が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、請求項1に係る本発明では、収納庫兼用運搬車において、開閉扉を有する箱型状の本体に車輪を着脱自在に設け、本体から車輪を取外して起立させた状態で収納庫として機能するとともに、本体に車輪を取付けて倒伏させた状態で運搬車として機能することにした。
【0007】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、本体の内部に車輪を収容するための車輪収容部を設けることにした。
【0008】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、倒伏させた状態(運搬車)における本体の前端部又は後端部であって、かつ、起立させた状態(収納庫)における本体の下端部に、運搬車において緩衝体として機能し、収納庫において脚体として機能する端体を設けることにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明では、収納庫兼用運搬車において、開閉扉を有する箱型状の本体に車輪を着脱自在に設け、本体から車輪を取外して起立させた状態で収納庫として機能するとともに、本体に車輪を取付けて倒伏させた状態で運搬車として機能することにしているために、運搬車として災害時の救援物資などの荷物を容易に運搬することができながら、収納庫として救援物資などの荷物を運搬車の状態よりも狭い面積で常時保管することができる。
【0011】
特に、本体の内部に車輪を収容するための車輪収容部を設けた場合には、収納庫の状態において収納した荷物を汚すことなく車輪を収容することができるとともに、迅速に収納庫から運搬車の状態に変化させることができる。
【0012】
また、倒伏させた状態(運搬車)における本体の前端部又は後端部であって、かつ、起立させた状態(収納庫)における本体の下端部に、運搬車において緩衝体として機能し、収納庫において脚体として機能する端体を設けた場合には、収納庫の状態において地面や床から底部を離すことができるので雨水や害虫等の浸入を防止することができるとともに、運搬車の状態において壁などへの激突を緩衝することができるので荷物の破損を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る収納庫兼用運搬車の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示すように、収納庫兼用運搬車1は、起立させた状態(
図1(a)の状態)で収納庫として機能し、倒伏させた状態(
図1(b)の状態)で運搬車として機能するものである。なお、以下の説明では、主に倒伏させて運搬車として機能する状態について説明する。運搬車の状態における前側、後側、上側、下側、左側、右側は、それぞれ、収納庫の状態における上側、下側、前側、後側、左側、右側に相当する。
【0016】
図2〜
図4に示すように、収納庫兼用運搬車1は、上方を開口させた箱型状の本体2の上部に左右一対の開閉扉3,3を取付けるとともに、本体2の下部内側に左右一対の車輪4,4を取付けている。
【0017】
本体2は、矩形板状の底壁5の左右端上部に左右一対の外側壁6,6を取付けるとともに、底壁5の左右側部に左右一対の内側壁7,7を外側壁6,6と平行に所定の間隔をあけて取付けている。
【0018】
また、本体2は、底壁5の前端上部の内側壁7,7の間に前壁8を着脱可能に取付けるとともに、底壁5の後端上部の内側壁7,7の間に後壁9を着脱可能に取付けている。
【0019】
これにより、収納庫兼用運搬車1は、本体2の中央部分に底壁5と内側壁7,7と前後壁8,9とで囲まれ上方が開口された中央収納部10を形成している。この中央収納部10には、救援物資等の荷物を収納することができる。
【0020】
中央収納部10の前後端部には、補強用の逆L字管状のガード11,11,12,12が左右対称にして間をあけて取付けられている。また、中央収納部10の前端上部には、左右一対の中空円筒状の牽引ハンドル支持管13,13が前高後低の傾斜状に取付けられており、コ字状の牽引ハンドル14を着脱自在に装着できるようになっている。なお、牽引ハンドル14は、内側壁7,7の間隔よりも狭い幅に形成されており運搬車の非使用時(収納庫の使用時)に中央収納部10に収納することができるようになっている。
【0021】
また、本体2は、底壁5の前後端上部の外側壁6と内側壁7との間に前後左右一対の前後側壁15,15,16,16を取付けるとともに、底壁5の前後中途上部の外側壁6と内側壁7との間に前後左右一対の仕切壁17,17,18,18を前後側壁15,15,16,16と平行に所定の間隔をあけて取付けている。
【0022】
これにより、収納庫兼用運搬車1は、本体2の左右側部前後端部分(四隅)に底壁5と外側壁6と内側壁7と前側壁15(後側壁16)と仕切壁17(仕切壁18)とで囲まれ上方が開口された4個の横収納部19を形成している。この横収納部19にも、救援物資等の荷物を収納することができる。
【0023】
また、収納庫兼用運搬車1は、本体2の左右側部中途部分に底壁5と外側壁6と内側壁7と仕切壁17,18とで囲まれ上方が開口された2個の車輪収容部20を形成している。この車輪収容部20には、後述するように車輪4が収容されている。
【0024】
さらに、本体2は、底壁5の左右側部前後端下部(四隅)に半円弧管状のストッパ21を取付けるとともに、後側壁16,16にコ字管状の左右一対の端体22,22を前方に突出させた状態で左右に間隔をあけて平行に取付けている。なお、端体22,22は、前側壁15,15に取付けてもよい。ここで、左右のストッパ21,21は、本体2を倒伏させた運搬車の状態において停車時に地面や床に当接することで、底壁5を損傷させることなく運搬車を停止させる機能を有するとともに、本体2を倒伏させた運搬車の状態から起立させた収納庫の状態とする際(本体2を起立させた収納庫の状態から倒伏させた運搬車の状態とする際)に地面や床に当接することで支点として機能し、本体2を円滑に起伏させることができるようになっている。また、左右の端体22,22は、本体2を倒伏させた運搬車の状態では本体2の端部に位置して壁等への激突を緩和する緩衝体として機能するとともに、本体2を起立させた収納庫の状態では本体2の下端部に位置して雨水や害虫等の浸入を抑止する脚体として機能する。
【0025】
収納庫兼用運搬車1は、以上に説明したように、底壁5と外側壁6,6と前後壁8,9及び前後側壁15,15,16,16とで上方が開口された矩形箱型状の本体2を形成しており、その本体2の上部開口を左右の外側壁6,6に取付けた開閉扉3,3で被覆できるようにしている。
【0026】
開閉扉3,3は、左右の外側壁6,6の上端部に蝶番23,23を介して回動自在かつ着脱自在に取付けられている。なお、開閉扉3,3は、外側壁6に開閉扉3が面状に当接するまで開放させることができるようにしてもよく、外側壁6から外して中央収納部10に収納するようにしてもよい。
【0027】
これにより、収納庫兼用運搬車1は、開閉扉3,3を閉塞させた状態とすることで、本体2を倒伏させた運搬車の状態では本体2の上部開口を被覆し、本体2を起立させた収納庫の状態では本体2の前部開口を被覆して、中央収納部10や横収納部19に収納された物資や車輪収容部20に収容された車輪4を雨水や塵等から保護している。
【0028】
また、収納庫兼用運搬車1は、運搬車の状態では本体2の車輪収容部20の底壁5に形成した貫通孔24から下方に車輪4の下部を露出(突出)させており、収納庫の状態では本体2の車輪収容部20の内部に車輪4を収容できるようにしている。
【0029】
車輪4は、
図5に示すように、本体2の車輪収容部20に車輪着脱機構25を介して回動自在及び着脱自在に取付けられている。
【0030】
車輪着脱機構25は、車輪4に設けられた左右に水平に伸延する車軸26を係止するための左右一対の係止体27,27を本体2の底壁5に固定する一方、車軸26を支持するための左右一対の支持体28,28を前後方向に向けてスライド移動可能に設けている。
【0031】
係止体27には、車軸26を摺動できるL字状の溝29が形成されており、溝29の上端部で車軸26の上部側を係止できるようになっている。一方、支持体28には、前高後低の傾斜状の突起30が形成されており、突起30の上端部で車軸26の下部側を支持できるようになっている。なお、支持体28には、前後方向に向けて前後一対の長孔31が形成されており、この長孔31に底壁5に立設した画鋲状のピン32を挿通させて、支持体28を保持しながら支持体28のスライド移動範囲を規制している。
【0032】
そして、車輪着脱機構25は、係止体27の溝29に車輪4の車軸26を挿入した状態で支持体28をスライド移動させることで、係止体27の溝29と支持体28の突起30とが協働して車輪4の車軸26を回転自在に支持することができ(
図5(b)参照。)、支持体28を逆方向にスライド移動させることで、車軸26の支持が解除されて車輪4を取外すことができる(
図5(c)参照。)。
【0033】
収納庫兼用運搬車1は、以上に説明したように構成しており、本体2を倒伏させて車輪4を地面や床に接地させ、牽引ハンドル支持管13に牽引ハンドル14を装着することで、運搬車として利用することができる。その際に、開閉扉3を開放させて、本体2の中央収納部10や横収納部19に荷物を積載することができる。一方、収納庫兼用運搬車1は、牽引ハンドル支持管13から牽引ハンドル14を取外し、端体22を下側にして本体2を起立させ、本体2から車輪4を取外し、車輪4を車輪収容部20に収容することで、中央収納部10や横収納部19に荷物をそのまま収納した収納庫として利用することができる。その際に、本体2の上部に前低後高の傾斜状の屋根材を取付けるようにしてもよい。
【0034】
以上に説明したように、上記収納庫兼用運搬車1は、開閉扉3を有する箱型状の本体2に車輪4を着脱自在に設け、本体2から車輪4を取外して起立させた状態で収納庫として機能するとともに、本体2に車輪4を取付けて倒伏させた状態で運搬車として機能するように構成している。
【0035】
そのため、上記構成の収納庫兼用運搬車1では、運搬車として災害時の救援物資などの荷物を容易に運搬することができながら、収納庫として救援物資などの荷物を運搬車の状態よりも狭い面積で常時保管することができる。
【0036】
また、上記収納庫兼用運搬車1は、本体2の内部に車輪4を収容するための車輪収容部20を設けた構成となっている。
【0037】
そのため、上記構成の収納庫兼用運搬車1では、収納庫の状態において収納した荷物を汚すことなく車輪4を収容することができるとともに、迅速に収納庫から運搬車の状態に変化させることができる。
【0038】
また、上記収納庫兼用運搬車1は、倒伏させた状態(運搬車)における本体2の前端部又は後端部であって、かつ、起立させた状態(収納庫)における本体2の下端部に、運搬車において緩衝体として機能し、収納庫において脚体として機能する端体22を設けた構成となっている。
【0039】
そのため、上記構成の収納庫兼用運搬車1では、収納庫の状態において地面や床から底部を離すことができるので雨水や害虫等の浸入を防止することができるとともに、運搬車の状態において壁などへの激突を緩衝することができるので荷物の破損を防止することができる。