【解決手段】軸体11と、軸体11の外周に弾性層12及び被覆層13をこの順に備えた排紙ローラ10であって、被覆層13が、熱収縮性フッ素樹脂チューブからなり、弾性層12が、被覆層13の収縮力によって被覆されており、弾性層12の収縮率が−12%以上−1.5%以下である排紙ローラ10とする。
前記被覆層が、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、又は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロイソプロピルビニルエーテル三元共重合体からなる請求項1から3いずれか1項記載の排紙ローラ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に何ら限定されるものではない。
【0015】
[排紙ローラ]
本発明の排紙ローラ10は、
図1(c)に示すように、軸体11と、軸体11の外周に弾性層12及び被覆層13をこの順に備えた排紙ローラ10であって、被覆層13が、熱収縮性フッ素樹脂チューブからなり、弾性層12が、被覆層13の収縮力によって被覆されており、弾性層12の収縮率が−12%以上−1.5%以下である。
以下、本発明の排紙ローラ10の各構成について説明する。
【0016】
(軸体)
軸体11は、好ましくは、導電性を有する、従来公知の現像ローラに用いられる軸体を用いることができる。軸体11は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、及び真鍮からなる群より選択される少なくとも1種の金属で構成されていることが好ましい。このような金属で構成される軸体11は、一般に、「芯金」の名称でも知られている。
【0017】
軸体11は、絶縁性樹脂を含むものであってもよい。絶縁性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。軸体11は、例えば、絶縁性樹脂からなる芯体と、この芯体上に設けられたメッキ層と、を備えるものであってよい。このような軸体11は、例えば、絶縁性樹脂からなる芯体にメッキを施して導電化することにより得ることができる。
軸体11は、良好な導電性を得るために、芯金であることが好ましい。
【0018】
軸体11の形状は、例えば、棒状、管状等であることが好ましい。軸体11の断面形状は、例えば、円形、楕円形であってもよく、多角形等の非円形であってもよい。軸体11の外周面には、弾性層12との接着性を向上させるため、洗浄処理、脱脂処理、プライマー処理等の処理が施されていてもよい。
【0019】
軸体11の軸線方向の長さは特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してもよい。例えば、印字対象がA4サイズである場合、軸体11の軸線方向の長さは250mm以上320mm以下であることが好ましく、260mm以上310mm以下であることがより好ましい。また、軸体11の直径(外接円の直径)も特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整すればよい。例えば、軸体11の外径(外接円の直径)は、4mm以上14mm以下であることが好ましく、6mm以上10mm以下であることがより好ましい。
【0020】
(弾性層)
弾性層12は、ゴム組成物を軸体11の外周面に設けた後、加熱硬化して形成される。また、弾性層12は、熱収縮性フッ素樹脂チューブからなる被覆層13が熱収縮することによって、収縮した状態で被覆層13に被覆される。したがって、弾性層12は、被覆層13によって収縮されるため、成形後の厚みから小さくなっている。
本発明における弾性層12の収縮率(%)は、−12%以上−1.5%以下であることが好ましく、−10%以上−3%以下であることがより好ましい。弾性層12の収縮率を上記範囲にすることにより、弾性層と被覆層との密着性が向上し、被覆層のズレを防止することができ、良好に排紙を行うことができる。
弾性層12の収縮率(%)は、弾性層12の厚みとしてどれだけ収縮されたかを示すものであり、以下の式で表される。符号は
図1を参照する。
【0021】
弾性層の収縮率(%)=(被覆層形成後のローラの外径T
12b−被覆層の厚さT
13×2−弾性層形成後のローラの直径T
12a)/(弾性層形成後のローラの直径T
12a−軸体の直径T
11)×100
本発明における「弾性層の収縮率」は、1本の排紙ローラにつき、3点測定した値の平均値とする。
【0022】
なお、上記式において、被覆層の厚みT
13は、熱収縮前後での厚さは変わらないものとして、熱収縮前の厚みを使用する。
弾性層12の厚みは、1mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上10mm以下であることがより好ましい。
【0023】
本発明において、弾性層12の復帰率は、30%以上100%以下であることが好ましく、50%以上100%以下であることがより好ましい。弾性層12の復帰率が上記範囲であることにより、良好に記録媒体を搬送することができ、かつ、離型性も良くすることができる。弾性層の復帰率は後述の方法によって求める。
【0024】
弾性層12を形成するためのゴム組成物は、ゴムと、導電性付与剤と、所望により各種添加剤とを含有するのが好ましい。
ゴム組成物中のゴムとしては、例えば、シリコーン又はシリコーン変性ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム(エチレンプロピレンジエンゴムを含む。)、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。シリコーン若しくはシリコーン変性ゴム又はウレタンゴムであるのが好ましく、シリコーン又はシリコーン変性ゴムが、圧縮永久歪を低減することができるとともに、低温環境下における柔軟性に優れる点、さらには、耐熱性及び帯電特性等に優れる点で、特に好ましい。シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンの架橋物が挙げられる。
シリコーンゴム組成物としては、例えば、付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物、及び付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物等が挙げられる。
【0025】
−付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物−
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、例えば、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、(B)充填材、(C)導電性付与剤を含有するものであってよい。
R
1nSiO
(4−n)/2 …(1)
式(1)中、nは1.95以上2.05以下の正数を示す。また、R
1は、同一又は異なっていてよい、置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1以上12以下であり、より好ましくは1以上8以下である。
【0026】
R
1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基及びトリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。また、R
1は、これらの炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であってもよい。置換基は、例えばハロゲン原子、シアノ基等であってよい。置換基を有する炭化水素基としては、例えば、クロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0027】
(A)オルガノポリシロキサンは、分子鎖末端が、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ジメチルビニルシリル基等のジアルキルアラルキルシリル基、ジメチルヒドロキシシリル基等のジアルキルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等のトリアラルキルシリル基などで封鎖されていることが好ましい。
【0028】
(A)オルガノポリシロキサンは、分子中に2つ以上のアルケニル基を有することが好ましい。(A)オルガノポリシロキサンは、R
1のうち0.001モル%以上5モル%以下(より好ましくは0.01モル%以上0.5モル%以下)のアルケニル基を有することが好ましい。(A)オルガノポリシロキサンが有するアルケニル基としてはビニル基が特に好ましい。
【0029】
(A)オルガノポリシロキサンは、例えば、オルガノハロシランの1種若しくは2種以上を共加水分解縮合することによって、又は、シロキサンの3量体若しくは4量体等の環状ポリシロキサンを開環重合することによって得ることができる。(A)オルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであってよく、一部分岐していてもよい。また、(A)オルガノポリシロキサンは、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。
【0030】
(A)オルガノポリシロキサンは、25℃における動粘度が100cSt以上であることが好ましく、100000cSt以上10000000cSt以下であることがより好ましい。また、(A)オルガノポリシロキサンの重合度は、例えば100cSt以上であることが好ましく、3000cSt以上10000cSt以下であることがより好ましい。
【0031】
(B)充填材としては、例えばシリカ系充填材が挙げられる。シリカ系充填材としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ等が挙げられる。
【0032】
シリカ系充填材としては、R
2Si(OR
3)
3で示されるシランカップリング剤で表面処理された、表面処理シリカ系充填材を好適に用いることができる。ここで、R
2は、ビニル基又はアミノ基を有する基であってよく、例えば、グリシジル基、ビニル基、アミノプロピル基、メタクリロキシ基、N−フェニルアミノプロピル基、メルカプト基等であってよい。R
3はアルキル基であってよく、例えばメチル基、エチル基等であってよい。シランカップリング剤は、例えば信越化学工業株式会社製の商品名「KBM1003」、「KBE402」等として、容易に入手できる。表面処理シリカ系充填材は、定法に従って、シリカ系充填材の表面をシランカップリング剤で処理することにより得ることができる。表面処理シリカ系充填材としては、市販品を用いてもよく、例えば、J.M.HUBER株式会社製の商品名「Zeothix 95」等が挙げられる。
【0033】
シリカ系充填材の配合量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して11質量部以上39質量部以下であることが好ましく、15質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。また、シリカ系充填材の平均粒子径は、1μm以上80μm以下であることが好ましく、2μm以上40μm以下であることがより好ましい。なお、シリカ系充填材の平均粒子径は、レーザー光回折法による粒度分布測定装置を用いて、メジアン径として測定できる。
【0034】
(C)導電性付与剤の配合量は、(A)オルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。
【0035】
付加硬化型ミラブル導電性シリコーンゴム組成物は、(A)から(C)以外の添加剤を更に含有していてよい。添加剤としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
【0036】
添加剤の具体例としては、(A)オルガノポリシロキサンより重合度の低いジメチルシロキサンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シラノール、ジフェニルシランジオール及びα,ω−ジメチルシロキサンジオール等の両末端シラノール基封止低分子シロキサン、シラン等の分散剤が挙げられる。また、添加剤の具体例としては、オクチル酸鉄、酸化鉄、酸化セリウム等の耐熱性向上剤が挙げられる。また、添加剤としては、接着性、成形加工性等を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、各種オレフィン系エラストマー等を用いてもよい。
【0037】
弾性層12は、公知の成形方法によって、加熱硬化と成形とを同時に又は連続して行い、軸体11の外周面に形成される。ゴム組成物の硬化方法はゴム組成物の硬化に必要な熱を加えられる方法であればよく、また、弾性層12の成形方法も押出成形による連続加硫、プレス、インジェクションによる型成形等、特に制限されるものではない。例えば、押出成形等を選択することができる。また、軸体11上に形成された弾性体(シリコーンゴム組成物の硬化物)の研削又は研磨等によって形成してもよい。
【0038】
ゴム組成物を硬化させる際の加熱温度は、100℃以上500℃以下が好ましく、120℃以上300℃以下がより好ましい。加熱時間は数秒以上1時間以下が好ましく、10秒以上35分以下がより好ましい。また、必要に応じ、二次加硫してもよい。また、ゴム組成物は既知の方法で発泡硬化させることにより、気泡を有するスポンジ状弾性層を容易に形成することもできる。
【0039】
(被覆層)
被覆層13は、熱収縮性フッ素樹脂チューブからなるものである。
被覆層13は、弾性層12を設けた後、
図1(b)に示すように、弾性層12が設けられた軸体11に、熱収縮性フッ素樹脂チューブ(図中符号13)を挿入して、加熱により、熱収縮性フッ素樹脂チューブを収縮させることにより、弾性層12を収縮させた状態で被覆するものである。加熱は、通常、熱収縮性フッ素樹脂チューブの収縮温度以上で、電気炉などで均一に熱を掛けることにより行われる。時間は、弾性層12の厚さ、排紙ローラ10の大きさによって適宜調整される。後述する材料であれば、通常、150℃以上350℃以下で、10分以上30分以下であることが好ましい。
【0040】
被覆層13の収縮性フッ素樹脂チューブの内径は、7mm以上15mm以下であることが好ましく、8mm以上13mm以下であることがより好ましい。通常、弾性層12を設けた後の排紙ローラの外径よりも大きいものを用いることが好ましい。
また、被覆層13の収縮前の厚さは、耐久性及び熱収縮に対する寸法安定性の観点から、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0041】
熱収縮性フッ素樹脂チューブの収縮率は、熱収縮前後のチューブの折径を用いた下記式で表される。折径は、
図2に示すように、熱収縮性フッ素樹脂チューブ(符号13)をつぶした状態での半径方向の長さを示す。加熱収縮前の折径をL
13aとし、加熱収縮後の折径をL
13bとする。
被覆層の収縮率(%)=(加熱収縮後の折径L
13b−加熱収縮前の折径L
13a)/(加熱収縮前の折径L
13a)×100
【0042】
被覆層13の収縮率は、加工性及び寸法安定性の観点から、−15%以上−10%以下であることが好ましく、−15%以上−12%以下であることがより好ましい。
【0043】
被覆層13の材料としては、良好に排紙を行う観点から、表面が平滑であり、離型性を有するものが好ましく、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、又は、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロイソプロピルビニルエーテル三元共重合体からなることが好ましい。
【0044】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた発明も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例】
【0045】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0046】
[実施例1]
(プライマー層の形成)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径5mm、長さ275mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の外周面にプライマー層を形成した。
【0047】
(弾性層の形成)
次いで、弾性層を形成するためのシリコーンゴム組成物を次のように調製した。すなわち、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度300)100質量部、BET比表面積が110m
2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(商品名「R−972」、日本アエロジル株式会社製)1質量部、平均粒子径6μm、嵩密度が0.25g/cm
3である珪藻土(商品名「オプライトW−3005S」、中央シリカ株式会社製)40質量部、及び、アセチレンブラック(商品名「デンカブラックHS−100」、デンカ株式会社製)5質量部、をプラネタリーミキサーに入れ、30分撹拌した後、3本ロールに1回通した。これを再度プラネタリーミキサーに戻し、両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1質量部、エチニルシクロヘキサノール0.1質量部、白金系触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部を添加し、30分撹拌脱泡混練して、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を調製した。
【0048】
調製した付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を、金型を用いて射出成形し、軸体の外周面上にゴム材料からなる弾性層を成形した。射出成形では、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物を120℃で10分間加熱して硬化させ、200℃4時間の2次加硫を行い、弾性層を成形した。弾性層形成後のローラの外径を測定した。
【0049】
(被覆層の形成)
熱収縮性フッ素樹脂チューブとして、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(厚さ5μm)を用いた。
弾性層が設けられた軸体11に、熱収縮性フッ素樹脂チューブを挿入し、電気炉で、150℃20分加熱した。被覆層の形成後のローラの外径を測定した。
実施例1の弾性層の収縮率(平均、ゴム厚として)は、−6.7%であった。また、弾性層の復帰率は81%であった。
【0050】
表1及び表2に、被覆層チューブの内径、弾性層形成後のローラの外径、被覆層形成後のローラの外径、弾性層の収縮率及びその平均値、並びに弾性層の復帰率を示す。弾性層の収縮率の計算は、上記の式で求めた。弾性層の収縮率は、1本の排紙ローラにつき3点測定した。また、弾性層の復帰率は後述の方法によって求めた。
【0051】
[実施例2]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.3mmのものを用い、外径の異なる弾性層を成形し、弾性層の収縮率(平均)を−6.2%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
【0052】
[実施例3]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.5mmのものを用い、外径の異なる弾性層を成形し、弾性層の収縮率(平均)を−4.3%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
【0053】
[実施例4]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.5mmのものを用い、外径の異なる弾性層を成形し、弾性層の収縮率(平均)を−2.9%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
【0054】
[実施例5]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.5mmのものを用い、外径の異なる弾性層を成形し、弾性層の収縮率(平均)を−1.8%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
[実施例6]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.5mmのものを用い、弾性層の収縮率(平均)を−3.3%にし、弾性層の復帰率を86%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
【0055】
[実施例7]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.5mmのものを用い、外径の異なる弾性層を成形し、弾性層の収縮率(平均)を−8.4%にし、弾性層の復帰率を36%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
【0056】
[比較例1]
被覆層の熱収縮性フッ素樹脂チューブとして内径8.5mmのものを用い、外径の異なる弾性層を成形し、弾性層の収縮率(平均)を−0.2%にしたこと以外は、実施例1と同様にして排紙ローラを作製した。
【0057】
[評価]
上記実施例及び比較例について、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(弾性体の復帰率)
弾性の反発荷重を、アイコーエンジニアリング株式会製の微小荷重測定機、商品名「MODEL−1305VR」を用いて測定を行った。端子の形状は、25mm角のものを使用した。速度0.5mm/minでローラ表面から1.0mm変位させ、30秒間静置した後、同じ速度で元の位置まで戻した。その際の0.5mm位置における荷重の割合を算出しました。
弾性層の復帰率%=(解放時の荷重(N))/(圧縮時の荷重(N))×100
【0058】
(被覆層の引張試験)
被覆層の片側を一定の力で引っ張ったときに、被覆層のずれがないかの試験を行った。
速度100mm/minで20cm引張り、ずれがないことを確認する。
−評価基準−
A:ずれなし
B:2mm未満のずれ
C:2mm以上のずれ
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
表1及び表2に示すように、本発明の排紙ローラは、弾性層の収縮率を本発明の範囲とすることにより、被覆層と弾性層との密着性が良く、ズレが生じ難いことが分かる。このため、本発明の排紙ローラは、良好に排紙を行うことができる。