特開2020-203759(P2020-203759A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-203759(P2020-203759A)
(43)【公開日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】扉開放具
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/16 20060101AFI20201127BHJP
   B66B 13/26 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   B66B13/16 Z
   B66B13/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-112174(P2019-112174)
(22)【出願日】2019年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岸本 俊之
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307AA01
3F307CC28
3F307DA03
(57)【要約】
【課題】エレベータにおいてセーフティシューを簡単に操作できる扉開放具を提供する。
【解決手段】建屋の階にある乗場側に配置された乗場側扉14と、建屋に対して昇降自在なかご体15に乗場側扉14に前後方向で対向配置されたかご側扉17と、乗場側扉14とかご側扉17の間に配置され、かご体15に対して乗降りする対象を検知してかご側扉17の開閉方向に沿って出退自在に設けられたセーフティシュー183とを備えたエレベータ1の、乗場側扉14及びかご側扉17を開扉状態で、セーフティシュー183を後退させて保持する扉開放具であって、セーフティシュー183の前後方向を含む板状とされるとともに、一面側に、乗場側扉14及びかご側扉17の少なくともいずれか一方に設けられた磁性体に吸着するマグネット21を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の階にある乗場側に配置された乗場側扉と、前記建屋に対して昇降自在なかご体に前記乗場側扉に前後方向で対向配置されたかご側扉と、前記乗場側扉とかご側扉の間に配置され、前記かご体に対して乗降りする対象を検知して前記かご側扉の開閉方向に沿って出退自在に設けられたセーフティシューとを備えたエレベータの、前記乗場側扉及び前記かご側扉を開扉状態で、前記セーフティシューを後退させて保持する扉開放具であって、
前記セーフティシューの前後方向を含む板状とされるとともに、一面側に、前記乗場側扉及び前記かご側扉の少なくともいずれか一方に設けられた磁性体に吸着するマグネットを備えることを特徴とする扉開放具。
【請求項2】
建屋の階にある乗場側に配置された乗場側扉と、該乗場側扉を設けるための乗場側枠体と、前記建屋に対して昇降自在なかご体に前記乗場側扉に前後方向で対向配置されたかご側扉と、該かご側扉を設けるためのかご側枠体と、前記乗場側扉とかご側扉の間に配置され、前記かご体に対して乗降りする対象を検知して前記かご側扉の開閉方向に沿って出退自在に設けられたセーフティシューとを備えたエレベータの、前記乗場側扉及びかご側扉を開扉状態で、前記セーフティシューを後退させて保持する扉開放具であって、
前記セーフティシューの前後方向を含む板状とされるとともに、一面側に、前記乗場側枠体及び前記かご側枠体の少なくともいずれか一方に設けられた磁性体に吸着するマグネットを備えることを特徴とする扉開放具。
【請求項3】
縦長矩形状に形成された板状とされ、マグネットを縦長矩形状に応じて一面側に備える請求項1又は2に記載の扉開放具。
【請求項4】
板状に形成された芯材と、該芯材に設けられた前記マグネットを備えた、少なくとも二層構造である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の扉開放具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの扉を開状態にするための扉開放具に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータにおいて、その扉は、建屋の各階にある乗場側に配置された乗場側扉と、建屋に対して昇降自在なかご体に配置されたかご側扉とを備えている。また、乗場側扉とかご側扉とは、原則として同期して開閉動作するように構成されている。このようなエレベータでは、両扉を開いた開扉から、扉を閉める閉扉までの所要時間は、平均的乗降所要時間に基づいて設定される。
【0003】
ところで、平均的乗降所要時間における開扉から閉扉までの所要時間は、使用者の人数あるいは運搬物によっては、不足する。そこで、エレベータには人や運搬物を検知する検知部、すなわちセーフティシューが敷設されている。このセーフティシューは、かご体に設けられて、かご側扉に隣合うように配置されている。また、セーフティシューは、例えば、かご側扉から常時的に突出され、使用者や運搬物を検知すれば、かご側扉に沿って後退し、後退を検知すれば、かご体の運搬を制御する制御装置からの信号により、かご体を開扉とする。セーフティシューを後退させた状態に保持するための扉開放具が特許文献1に提案されている。図16に示すように、扉開放具100は、かご側扉102とセーフティシューSの間に入る広拡体部101を備え、セーフティシューSの端部を囲むようU字状に形成されている。
【0004】
上記構成の扉開放具100によれば、エレベータの使用者は、かご側扉102に沿ってセーフティシューSを後退させた状態に保持しつつ、かご側扉102とセーフティシューSとの間に広拡体部101を挿込むことで、かご側扉102及びセーフティシューSに摩擦抵抗を付与して、かご側扉102からセーフティシューSを突出させずに、かご側扉102を開扉に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭58-42588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の扉開放具100を用いる場合、まず、セーフティシューSをかご側扉102に沿って後退させ、その後に扉開放具100とセーフティシューSとの間に扉開放具100の広拡体部101を位置合わせして扉開放具100をセーフティシューSに装着する必要がある。また、扉開放具100をセーフティシューSから離脱する場合は、広拡体部101の摩擦抵抗に抗してかご側扉102とセーフティシューSから抜かなければならない。よって、セーフティシューSの操作が面倒である。
【0007】
そこで、本発明は、エレベータにおいて、セーフティシューを簡単に操作できる扉開放具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の扉開放具は、建屋の階にある乗場側に配置された乗場側扉と、前記建屋に対して昇降自在なかご体に前記乗場側扉に前後方向で対向配置されたかご側扉と、前記乗場側扉とかご側扉の間に配置され、前記かご体に対して乗降りする対象を検知して前記かご側扉の開閉方向に沿って出退自在に設けられたセーフティシューとを備えたエレベータの、前記乗場側扉及び前記かご側扉を開扉状態で、前記セーフティシューを後退させて保持する扉開放具であって、前記セーフティシューの前後方向を含む板状とされるとともに、一面側に、前記乗場側扉及び前記かご側扉の少なくともいずれか一方に設けられた磁性体に吸着するマグネットを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成の本発明の扉開放具は、セーフティシューの前後方向を含む板状とされ、しかも一面側に、セーフティシューの前後に配置された磁性体に吸着するマグネットを有しているから、かご体に対して乗降りする前記対象の代わりに、後退したセーフティシューに被せるように扉開放具をあてがうと、一面側のマグネットが乗場側扉及び/又はかご側扉に設けられた磁性体に吸着して、乗場側扉及び/又はかご側扉を基準として、セーフティシューの後退位置を簡単に保持できる。また、扉開放具は、磁性体からマグネットを外す動作により、セーフティシューから容易に外れる。
【0010】
本発明の扉開放具は、建屋の階にある乗場側に配置された乗場側扉と、該乗場側扉を設けるための乗場側枠体と、前記建屋に対して昇降自在なかご体に前記乗場側扉に前後方向で対向配置されたかご側扉と、該かご側扉を設けるためのかご側枠体と、前記乗場側扉とかご側扉の間に配置され、前記かご体に対して乗降りする対象を検知して前記かご側扉の開閉方向に沿って出退自在に設けられたセーフティシューとを備えたエレベータの、前記乗場側扉及びかご側扉を開扉状態で、前記セーフティシューを後退させて保持する扉開放具であって、前記セーフティシューの前後方向を含む板状とされるとともに、一面側に、前記乗場側枠体及び前記かご側枠体の少なくともいずれか一方に設けられた磁性体に吸着するマグネットを備えることを特徴とする。
【0011】
上記構成の本発明の扉開放具は、セーフティシューの前後方向を含む板状とされ、しかも一面側に、セーフティシューの前後に配置された磁性体に吸着するマグネットを有しているから、かご体に対して乗降りする前記対象の代わりに、後退したセーフティシューに被せるように扉開放具をあてがうと、一面側のマグネットが乗場側枠体及び/又はかご側枠体に設けられた磁性体に吸着して、乗場側枠体及び/又はかご側枠体を基準として、セーフティシューの後退位置を簡単に保持できる。また、扉開放具は、磁性体からマグネットを外す動作により、セーフティシューから容易に外れる。
【0012】
本発明において、縦長矩形状に形成された板状とされ、マグネットを縦長矩形状に応じて一面側に備える構成を採用することができる。
【0013】
上記構成の扉開放具によれば、縦長矩形状にしたうえで、マグネットを縦長矩形状に応じて備えているから、その分だけマグネットの吸着力が大きくなり、セーフティシューの保持力が増大する。
【0014】
本発明において、板状に形成された芯材と、該芯材に設けられた前記マグネットを備えた、少なくとも二層構造である構成を採用することができる。
【0015】
上記構成の扉開放具によれば、芯材とマグネットの、少なくとも二層構造であるから、マグネットが芯材によって保護されており、扉開放具の強度が増す。
【発明の効果】
【0016】
本発明の扉開放具は、セーフティシューの前後方向を含む板状とされるとともに、一面側にセーフティシューの前後方向に配置された磁性体に吸着するマグネットを有しているから、マグネットがセーフティシューの前後方向に設けられた磁性体に吸着することで、セーフティシューの操作を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、エレベータの構成を示す概略側断面図。
図2図2は、図1の概略平断面図。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る扉開放具を示す側面図。
図4図4は、図3の正面図。
図5図5は、図3の背面図。
図6図6は、同実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図であり、扉開放具をエレベータの扉の端面に対向させた状態を示す図。
図7図7(a)は、セーフティシューに扉開放具を当接させた状態を示す図、図7(b)は、エレベータの扉に扉開放具を吸着させ、セーフティシューを後退させた状態を示す図。
図8図8は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図9図9は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図10図10は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図11図11は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図12図12は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図13図13は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図14図14は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図15図15は、他の実施形態に係る扉開放具の使用方法を示す図。
図16図16は、従来の扉開放具を示す概略平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る扉開放具について図面を参照しつつ説明する。
【0019】
はじめに、エレベータの構成について概要を説明する。図1及び図2に示すように、エレベータ1は、建屋10内(建屋10の階ごと)に複数配置された床11と、床11の後部で昇降するかご体15を備える。
【0020】
床11の上部空間は乗場空間12とされ、乗場空間12には両開き式の乗場側扉14が開閉自在に設けられている。また、乗場側扉14の前方には、三方枠(以下、枠体又は乗場側枠体という場合もある。)130が設けられている。三方枠130は、乗場空間12の床11に、所定の間隔を置いて配置された左右の側枠131,131と、側枠131,131の上端部に架設された上枠132とからなる。上枠132には、乗場側扉14が両開きの方向へ移動自在に吊下げられている。乗場側扉14は、乗場側扉開閉モータM1により開閉される。
【0021】
かご体15は、天板150、底板151、左右の側板152,152、背板153を備える。かご体15は、その前側(床11側)に、両開きのかご側扉17が配置されている。また、かご体15は、かご側扉17を両開きに開閉するためのかご側扉開閉モータM3を備える。かご側扉17は、乗場側扉14に前後方向で対向配置されている。
【0022】
かご体15は、かご側扉17の前方で、かご側扉17の開閉方向に沿って相対移動するよう設けられたセーフティシュー183が配置される。セーフティシュー183は、かご側扉17の一側端170に沿うよう、出退可能に設けられる。また、セーフティシュー183は、かご側扉17の閉扉状態では、かご側扉17の一側端170に沿って後退され、かご側扉17の開扉状態に応じて、かご側扉17の一側端170に沿って突出するように、かご側扉17に付勢されている。行先の階に到着したら乗場側扉14とかご側扉17が前後で対向し、両扉14,17の間にセーフティシュー183が位置する。
【0023】
三方枠130の端面131a、乗場側扉14の端面140a及びかご側扉17の端面170aは、磁性体(磁性金属又はマグネット)である(図10参照)。
【0024】
エレベータ1は、制御装置18を備える。制御装置18は、乗場側扉開閉モータM1と、かご側扉開閉モータM3の開閉動作を同期させるよう、乗場側扉14とかご側扉17とを開閉させる開閉制御装置180を有する。また制御装置18は、かご体15の昇降駆動モータM2を介してかご体15の昇降を制御する昇降制御装置181を備える。また、制御装置18は、セーフティシュー183の突出状態と後退状態を検出する安全装置182を備える。
【0025】
具体的に安全装置182は、かご側扉17の閉扉状態において、かご側扉17の一側端170に対してセーフティシュー183が後退した状態を検知する。このときのセーフティシュー183の後退距離は、対象が衝突した場合よりも小さいため、かご側扉17及び乗場側扉14を開扉状態とする制御は行わない。また、安全装置182は、かご側扉17の開扉状態から閉扉状態に移る過程において、突出したセーフティシュー183に対象が衝突し、セーフティシュー183がかご側扉17の一側端170側に前記後退距離よりも大きく後退すると、かご側扉17及び乗場側扉14を開扉状態とするよう、乗場側扉開閉モータM1及びかご側扉開閉モータM3を制御する。
【0026】
つぎに、扉開放具2の構成について説明する。まず、扉開放具2は、一般的に、かご体15に乗り降りする人には用いられず、例えば、エレベータ1の管理をする使用者(対象)、あるいは運搬物を多く運ぶような対象である使用者(対象)に、主として用いられる。
【0027】
図3図6及び図7(a),(b)に基づいて、扉開放具2を説明すると、図3に示すように、扉開放具2は板状の芯材20と、該芯材20の一面20a側に設けられるマグネット21,21と、芯材20の他面20b側に設けられる化粧カバー22とを備える。
【0028】
芯材20は、縦長の矩形状すなわち板状であり、板状の表面は滑らかに形成されている。また、芯材20は、硬質材料、例えば硬質プラスチックや金属から構成される。芯材20の前後方向(短手方向)の寸法は、乗場側扉14の端面140aと、かご側扉17の端面170aに当接可能な大きさを備えている。なお、前述のように、かご側扉17の前側であって、乗場側扉14とかご側扉17の間にセーフティシュー183を備えており、したがって、芯材20の前後方向の寸法は、セーフティシュー183を含めた前後方向の寸法であり、セーフティシュー183を前後方向に跨ぐ寸法である。芯材20の縦方向(長手方向)の寸法は、前後方向の寸法より長ければよいが、扉開放具2を扱う使用者にとって苦痛にならない程度でよい。
【0029】
図4及び図5に示すように、芯材20の他面20bには、把持部23が設けられる。把持部23は、使用者が扉開放具2を把持するためのものである。把持部23は、芯材20の他面20bの前後方向中央の上部に、該他面20bに対し斜め下向きに延びる上側支持部230と、他面20bの前後方向中央の下部に、該他面20bに対し略直交方向に外向きに延びる下側支持部231と、上側支持部230と下側支持部231とで支持された把持部本体232とを備える。上側支持部230の他面からの延出高さは、下側支持部231の他面からの延出高さより低い。上側支持部230の前後方向の幅は、下側支持部231の前後方向の幅より広い。
【0030】
把持部本体232は、上側支持部230によって他面20bに対し上側を低く支持され、下側支持部231によって他面20bに対し下側を高く支持されている。よって、把持部本体232は、上側支持部230が他面に近く、下側支持部231が他面に遠くなるように、傾斜して配置されている。また、把持部本体232は、上側支持部から下側支持部へ向けて前後方向の幅が狭くなるように構成されている。把持部本体232は、芯材20の他面20bの前後方向中央と上側支持部230と下側支持部231とにより、使用者の手指を挿入しやすい挿入空間233を形成している。把持部本体232は、上側が幅広で下側が幅狭の等脚台形状を呈しており、挿入空間233に挿入した手指で把持しやすい形状となっている。
【0031】
本実施形態の場合、図5に示すように、マグネット21,21は、一対で設けられている。ここで、各マグネット21の構成を説明する。マグネット21は板状に形成され、図3に示すように、芯材20の縦方向と同一寸法であり、縦方向を長手方向とする帯状に形成されて、表面は滑らかに形成されている。より具体的には、マグネット21は、マグネットシートであり、芯材20よりも剛性が低い。換言すると、芯材20は、マグネット21よりも剛性が高い。このようなマグネット21,21は、芯材20の一面20aのうち、芯材20の前後方向に離間して設けられ、マグネット21,21は芯材20に固着されている。具体的には、マグネット21,21は、芯材20の一面20aの前後方向一方側及び前後方向他方側に配置され、芯材20の一面20aに固着されている。各マグネット21,21の前後幅は、それぞれ乗場側扉14の端面140aと、かご側扉17の端面170aに対応する。芯材20においては、マグネット21,21を離間して設けているので芯材20の一面20aのうち、一部(前後方向で中央部の領域)は露出している。なお、この露出している部分は、以下の説明では当接面200aと称し、当接面200aの前後幅は、セーフティシュー183の前後幅に対応する。
【0032】
図4に示すように、化粧カバー22は、芯材20と同一外形に形成され、前後方向中央部に把持部23を突出させる開口220が形成されている。化粧カバー22の表面22aは、ワックスが塗布され保護されている。化粧カバー22の裏面22bは、芯材20の他面20bの中央部を除く面全体に固着される。
【0033】
ところで、一般にエレベータ1の駆動は、乗場空間12側、及びかご体15側に設けられた運転操作板(図示せず)において行先指定用の押釦を操作することで行われる。すなわち、使用者が押釦を操作すると、図2に示すように、かご体15が昇降移動し、所定の乗場空間12に到着して、乗場側扉14とかご側扉17とは、開閉制御装置180により開扉状態となり、乗場側出入り口13とかご側出入り口16とが連通する。なお、かご側扉17が閉扉状態にあるとき、安全装置182により、セーフティシュー183はかご側扉17に一側端170に沿って後退している。また、かご体15が所定の乗場空間12に到着し、かご側扉17及び乗場側扉14が開扉状態となると、安全装置182により、セーフティシュー183は通路Bに突出する。
【0034】
かご体15が所定の乗場空間12に到着して、例えば、使用者によって運搬物が運ばれたりした場合には、本実施形態にかかる扉開放具2は、かご側扉17及び乗場側扉14の開扉状態で、使用者(対象)の代わりに、かご側扉17及び乗場側扉14に対してセーフティシュー183を後退させるように用いられる。扉開放具2は、かご側扉17及び乗場側扉14が開扉状態において、上側支持部230を上、下側支持部231を下にして、把持部23の挿入空間233に、例えば人差し指から小指を挿入して把持部本体232の内面にあて、把持部本体232の外面に親指を押しあてて把持部本体232を把持し、図4に示すように、扉開放具2を乗場側扉14及びかご側扉17に対し縦長になるようにする。把持部23の把持部本体232は等脚台形状に形成され、上側支持部230を高く形成され下側支持部231を低く形成されているので、親指を除く四指で把持部本体232を把持して、親指で把持部本体232を外側から把持して支持できるので、把持部23を把持しやすく、扉開放具2全体として把持しやすい。
【0035】
つぎに使用者は、図6に示すように、手指で把持部23を把持した状態で、芯材20の両側に配置されたマグネット21,21を、乗場側扉14の端面140a、及びかご側扉17の端面170a(それぞれ磁性体)に扉開閉方向からそれぞれ対向させる。つぎに使用者は、図7(a)に示すように、かご側扉17の一側端170から突出したセーフティシュー183の端面183aに、二つのマグネット21,21間に露出した芯材20の一面20aの中央部、すなわち当接面200aを接触させつつ、セーフティシュー183をかご側扉17の一側端170側に後退(押込む)させる。このとき、マグネット21,21の前後幅は、乗場側扉14の端面140aと、かご側扉17の端面170aに対応し、芯材20の当接面200aはセーフティシュー183の前後幅に相当するから、扉開放具2の二つのマグネット21,21が乗場側扉14の端面140a及びかご側扉17の端面170aにそれぞれマグネット21,21の磁力で吸着することができる。この際、芯材20の一面20aである当接面200aを基準面として、乗場側扉14の端面140a、かご側扉17の端面170a、セーフティシュー183の端面183aが略面一(セーフティシュー183の端面183aがマグネット21,21の厚み分だけ突出した形)で、横並びに押さえつけられ、セーフティシュー183がかご側扉17の一側端170側に後退させられた状態が保持される(図7(b)参照)。
【0036】
扉開放具2の端面140a,170aへの装着状態によれば、安全装置182は、かご側扉17の一側端170側に後退した状態のセーフティシュー183の後退を検知し、この検知信号を開閉制御装置180に出力し、開閉制御装置180では、扉開放具2が使用者の代わりにセーフティシュー183を後退させたことによる検知信号に基づいて、乗場側扉14及びかご側扉17を同時に開扉状態にする。また、扉開放具2は、芯材20に沿わせてマグネット21,21を縦長矩形状に設けてあるが、マグネット21,21を縦長矩形状にして、かご側扉17及び乗場側扉14に沿わせてあるので、マグネット21,21の吸着力が、その分だけかご側扉17及び乗場側扉14に応じて大きくなり、セーフティシュー183を確実に後退させ、かご側扉17及び乗場側扉14に取付ける(吸着させる)だけで、セーフティシュー183の後退を保持できるので、扉開放具2の取付けに手間がかからない。一方で、扉開放具2は、マグネット21,21が芯材20に固着され、さらに化粧カバー22によって三層構造であり、したがって、扉開放具2全体の強度も増して保護されているから、扉開放具2を安定して用いることができる。
【0037】
扉開放具2の解除をする場合、使用者は、前記のように、把持部23を把持して、扉開放具2を乗場側扉14の端面140a及びかご側扉17の端面170aから引き離す。これにより、セーフティシュー183が乗場側扉14の端面140a及びかご側扉17の端面170aから取外される。これにより、安全装置182により、開状態の乗場側扉14及びかご側扉17が同時に閉方向に移動する。
【0038】
本実施形態では、扉開放具2は、板状とされ、しかもセーフティシュー183の、かご側扉17に対する出退方向の一側面にマグネット21,21を有している。このため、かご体15に対して乗降りする使用者の代わりに、セーフティシュー183を後退させるように扉開放具2を用いると、芯材20の一面側のマグネット21,21がセーフティシュー183の出退方向に位置する乗場側扉14の端面140a、かご側扉17の端面170aに吸着する。このように、扉開放具2は、マグネット21,21を乗場側扉14の端面140a(磁性体)、かご側扉17の端面170a(磁性体)に吸着することで、セーフティシュー183の後退を保持できるため、使用者による扉開放具2の取付けが非常に楽である。また、扉開放具2は、乗場側扉14の端面140a、かご側扉17の端面170aからマグネット21,21を外す動作により、セーフティシュー183から容易に外れるので、扉開放具2の着脱も容易に行える。
【0039】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、種々変更することができる。
【0040】
前記実施形態では、セーフティシュー183を挟む乗場側扉14及びかご側扉17にマグネット21,21を吸着させて、セーフティシュー183を乗場側扉14及びかご側扉17間に後退させる例示をした。また、扉開放具2の機能は、セーフティシュー183を後退位置に保持することであるから、扉開放具2では種々の変更が可能である。例えば、図8に示すように、扉開放具2Aは、セーフティシュー183と乗場側扉14の前後幅を有する板状に形成され、板状の芯材20Aの一側面のうち乗場側扉14の端面140aにのみ、マグネット21Aを固着するよう構成してもよい。この扉開放具2Aでは、マグネット21Aを乗場側扉14の端面140aに吸着させて、セーフティシュー183を後退させる。乗場側扉14の端面140aは磁性体である。また、扉開放具2Aは、マグネット21における乗場側扉14の端面140aの吸着を取外すことで、容易に取外すことができる。
【0041】
あるいは、図9に示すように、扉開放具2Bは、セーフティシュー183とかご側扉17の前後幅を有する板状に形成され、板状の芯材20Bの一側面のうち、かご側扉17の端面170aにのみ、マグネット21を固着するよう構成してもよい。この扉開放具2Bでは、マグネット21をかご側扉17の端面170aに吸着させて、セーフティシュー183を後退させる。なお、かご側扉17の端面170aは磁性体である。また、扉開放具2Bは、マグネット21におけるかご側扉17の端面170aの吸着を取外すことで、容易に取外すことができる。
【0042】
また、図10に示すように、乗場側扉14を設けるための乗場側枠体130と、かご側扉17を設けるためのかご側枠体190とが配置されている場合、扉開放具2Cは、かご側扉17と乗場側枠体130との前後幅を有する板状に形成され、板状の芯材20Cの一側面のうち、かご側扉17の端面170aと、乗場側扉14の端面140aと、乗場側枠体130の端面130aとにそれぞれマグネット21C,21C,21Cを固着するよう構成してもよい。この扉開放具2Bでは、マグネット21C,21C,21Cを、かご側扉17の端面170aと、乗場側扉14の端面140aと、乗場側枠体130の端面130aに吸着させて、セーフティシュー183を後退させる。なお、かご側扉17及び乗場側枠体130は磁性体である。このように、乗場側扉14、かご側扉17、もしくは乗場側枠体130が磁性体であれば、扉開放具2Cを適用することができる。
【0043】
あるいは、図11に示すように、乗場側扉14を設けるための乗場側枠体130と、かご側扉17を設けるためのかご側枠体190とが配置されている場合、扉開放具2Dは、かご側扉17と枠体130の前後幅を有する板状に形成され、板状の芯材20Dの一側面のうち、かご側扉17の端面170aと、乗場側扉14の端面140aと、枠体130の端面131aとにマグネット21D,21D,21Dを固着するよう構成してもよい。この扉開放具2Dでは、マグネット21D,21D,21Dを、かご側扉17の端面170a、乗場側扉14の端面140a、枠体130の端面131aにそれぞれ吸着させて、セーフティシュー183を後退させる。また、扉開放具2Dは、マグネット21D,21D,21Dにおけるかご側扉17の端面170a、乗場側扉14の端面140a、枠体131の端面131aの吸着を取外すことで、容易に取外すことができる。
【0044】
さらには、図12に示すように、乗場側扉14を設けるための乗場側枠体130と、かご側扉17を設けるためのかご側枠体190とが配置されている場合、扉開放具2Eは、乗場側枠体130とかご側枠体190の前後幅を有する板状に形成され、板状の芯材20Eの一側面のうち、かご側扉17の端面170aと、乗場側枠体130の端面130aとかご側枠体190の端面190aとにマグネット21E,21Eを固着するよう構成してもよい。この扉開放具2Eでは、マグネット21E,21Eを、乗場側枠体130の端面130a及びかご側枠体190の端面190aにそれぞれ吸着させて、セーフティシュー183を後退させる。また、扉開放具2Eは、マグネット21Eにおける乗場側枠体130の端面130a及びかご側枠体190の端面190aの吸着を取外すことで、容易に取外すことができる。
【0045】
上記実施形態では、扉開放具2の芯材20は、縦長の矩形状に構成された場合を例示した。しかしながら、芯材20は、縦長の矩形状に限定されるものではなく、板状であれば、横長の矩形状であってもよく、あるいは、芯材20はL字形状、長楕円状、H形状、角環状であってもよいし、マグネット21は、縦長の矩形に限る必要もなく、長楕円形等であってもよい。ここで、芯材20がL字形状の扉開放具について例示する。図13に示すように、扉開放具2Fでは、芯材20は、縦方向にはセーフティシュー183と対向する縦部材20a1、かご側扉17と対向する横部材20b1を有したL字形状の部材である。また、芯材20のうちの一側面のうち、マグネット21は、横部材20b1の全面に固着させる。この構成によれば、縦部材20a1をセーフティシュー183の端面183aに対向させ、横部材20b1をかご側扉17の端面170aに対向させるようにして、マグネット21をかご側扉17の端面170aに吸着させる。なお、マグネット21は、横部材20b1を縦長に形成して固着しても、横長(前後方向幅)に形成して固着してもよく、セーフティシュー183を後退させる吸着力があればよい。
【0046】
あるいは、図14に示すように、扉開放具2Gでは、芯材20は、縦部材20a1と、乗場側扉14と対向する横部材20c1を有し、マグネット21は、横部材20c1に固着させることもできる。この構成によれば、縦部材20a1をセーフティシュー183の端面183aに対向させ、横部材20b1を乗場側扉14の端面140aに対向させるようにして、マグネット21を乗場側扉14の端面140aに吸着させる。
【0047】
また、図15に示すように、扉開放具2Hでは、芯材20は、逆T字形状で、縦部材20a1、横部材20b1、及び横部材20c1を有し、マグネット21,21は、横部材20b1、横部材20c1にそれぞれ固着されている。この構成によれば、縦部材20a1をセーフティシュー183の端面183aに対向させ、横部材20b1をかご側扉17の端面170aに対向させ、横部材20c1を乗場側扉14の端面140aに対向させるようにして、マグネット21,21を、図2に示すかご側扉17の端面170a、乗場側扉14の端面140aに吸着させる。なお、把持部23は、縦部材20a1、横部材20b1、及び横部材20c1の何れに設けてもよい。
【0048】
上記実施形態の扉開放具2では、芯材20を形成し、芯材20の一側面にマグネット21を固着した。しかしながら、芯材20を設けて多層構造にせずともよく、例えば扉開放具2は、磁性体に吸着するマクネットプレートを一側面に有する構成としてもよい。また、上記実施形態の扉開放具2では、化粧カバー22を設けた。しかし扉開放具2は、特に設ける必要はない。また、上記実施形態の扉開放具2では、把持部23を設けている。しかしながら、使用者が容易に扉開放具2を用いることができるのであれば、把持部23は特に必要ない。
【0049】
また、前記実施形態では、図3に示す芯材20の一面20aの中央部を除く両側に長手方向に沿って帯状のマグネット21,21を平行配置した例示した。しかし、マグネット21は、前記長手方向に沿って点在させてもよく、あるいは、芯材20の一面20a全体に配置してもよく、さらには、マグネットプレートであってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、吸着材としてマグネット21を使用し、乗場側扉14、かご側扉17、乗場側枠体130、かご側枠体190が磁性体である場合を例示した。しかし、乗場側扉14、かご側扉17、乗場側枠体130、かご側枠体190の少なくともいずれか一方が磁性体であればよい。
【0051】
また、前記実施形態では、マグネット21、芯材20、化粧カバー22の三層構造を例示した。しかし、マグネット21及び芯材20の二層構造であってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、かご側扉17の一側端170側にセーフティシュー183を後退させた際、乗場側扉14の端面140a、かご側扉17の端面170a、及びセーフティシュー183の端面183aを略面一とした。つまり、安全装置182が、かご側扉17の一側端170側にセーフティシュー183を検知すればよい。このように、セーフティシュー183を検知すればよいことから、その制限の範囲内で、図4ないし図6のマグネット21の厚みを変更することが可能である。また、前記実施形態では、かご側扉17及び乗場側扉14の開閉方向が、左右に開閉した場合を挙げた。しかしながら、扉開放具2は、かご側扉17及び乗場側扉14の開閉方向が上下に開く扉であっても適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1…エレベータ、10…建屋、11…床、12…乗場空間、13…乗場側出入り口、130…三方枠(枠体又は乗場側枠体)、131…側枠、131a…側枠の端面、132…上枠、14…乗場側扉、140a…乗場側扉の一側端の端面、15…かご体、150…天板、151…底板、152…左右の側板、153…背板、16…かご側出入り口、17…かご側扉、170…かご側扉の一側端、170a…かご側扉の一側端の端面、18…制御装置、180…開閉制御装置、181…昇降制御装置、182…安全装置、183…セーフティシュー、183a…セーフティシューの端面、190…かご側枠体、190a…かご側枠体の端面、2,2A〜2H…扉開放具、20,20A,20B,20C,20D,20E…芯材、20a…芯材の一面、200a…芯材の当接面、20b…芯材の他面、21,21A,21B,21C,21D,21E…マグネット、22…化粧カバー、22a…化粧カバーの表面、22b…化粧カバーの裏面、220…化粧カバーの開口、23…把持部、230…上側支持部、231…下側支持部、232…把持部本体、233…挿入空間、B…通路、M1…乗場側扉開閉モータ、M2…昇降駆動モータ、M3…かご側扉開閉モータ
図1
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